ーーー「……準備はいいっスか?」
「は、はい!」
シマノテンペストはバンブーメモリーに連れられるまま練習着に着替え、トレセンの練習場に来ていた。練習場は入学式が終わって時間ができた何人かの生徒が練習をおこなっており、少し活気に溢れていた。
「あ、そう言えば聞いてなかったっスけど、シマノテンペストの得意な距離ってあるっスか?」
「えっ!?えーっと……まだ中距離からの長さは走ったことないですね……」
「ふむ、今回は1200mの短距離でいいっスか?アタシが得意な距離になるっスけど」
「あ、はい!大丈夫です!」
「よし!じゃあ1200で決まりっスね!」
その後、バンブーメモリーとスタート地点とゴール地点の話をしながら2人は配置に着いた。
(うう……なんか周りの人すっごい見てくるなあ……。ダメダメ落ち着かなきゃ!)
入学初日であろう初々しいウマ娘と、声はいつもと変わらないが明らかに不機嫌なトレセンの風紀委員長の組み合わせは、他の練習に没頭していたウマ娘の視線を振り向かせ、いつの間にか注目の的になっていた。
ーーーシマノテンペストは他のウマ娘の視線を気にしながらも、前を見据える
「ーーー準備はいいっスか?」
「っふぅ〜…はい!」
息を整え、緊張を少し和らげる
「よし、じゃあ。よ〜い……」
目標のゴールを見据え、スタートダッシュを成功させるため徐々に脚に意識を向けていく
「「ドンッ!」」
ーーースタートダッシュでシマノテンペストはバンブーメモリーより前に出る。
(スタートは上手くいった!……後はこのままゴールまで突っ切る!)
後ろから足音は聞こえてくるがそこまで大きくなく、シマノテンペストは少し安心しながらも脚を動かし500m、600mと進み続けていた。
(よし!あと300m!……このまま行けば勝て「甘いっスね」……え!?)
脚を動かしつつも、後ろの方から聞こえた声に振り向くとバンブーメモリーがすぐそこまで迫ってきていた。決死に脚を動かすが距離は縮まるばかりで引き離すことは叶わない。
「シマノテンペスト。確かに強いと思うっス……けど……」
「まだまだっス!!!」
そう言い残すとバンブーメモリーはあっという間にシマノテンペストを追い抜かしゴール地点に到着した。
「……ッフゥー……アタシの勝ちっスね」
「つ、強かった……自信あったのにあっという間に追い抜かれた……なんだろう、めっちゃ悔しいです」
普段のシマノテンペストなら負けたとしてもここまで悔しい気持ちにはならなかった。「何故ここまで悔しい」のか理解しかねていると、バンブーメモリーが答えを示す。
「それが「真剣勝負」ってことだから」
「真剣……勝負……」
「トレセンにはアタシより強いウマ娘が沢山いるっス。さっきまでの覚悟のまま続けるなら選抜レースにも勝てない。勝ちたければもっとレースに、勝ちに貪欲になることっス」
その言葉を聞いたシマノテンペストは心が少し揺らいだ。正直トレセンを舐めていた過去の自分を殴りたい気分だ。ここはある意味戦場なんだと思い知らされた。
(勝ちに貪欲に……か……)
「バンブーメモリー先輩!」
「うおっ。急に大声出してなんスか」
「あ……ごめんなさい。あの……今回はありがとうございます!先輩のおかげで目が覚めました!私強くなります!」
シマノテンペストの言葉を聞いたバンブーメモリーは少し驚きつつも口角を上げ微笑んだ。シマノテンペストは言葉を繋ぐ
「なので……あの……また一緒に走ってもらえますか?」
「なんだそんなこと、いつでも誘ってくれていいっスよ!」
「ありがとうございます!今度は負けません!」
「アタシも勝ちを譲る気はないっスよ!」
勝負前の緊張感のある空気はいつの間にか消えていたらしく、2人の間にはどこか爽やかな雰囲気が漂っていた。
はい。めっっっっっちゃ遅れました。
楽しみにされていた方がいたら申し訳ない。
実はレース描写で1回投げましたが、「描写なんて知るか!とりあえず書け!矛盾は修正で直せ!」っていう書き手として最悪の考えが浮かびあがったのでなんとか書けました。
どんなに遅れても死なない限り最終話まで書くつもりなので、ゆーーーーーーーっくり待ってもらえると幸いです。
さて次の話どうすっかな……(不安)