異世界にレッドアクシズの名を刻む!   作:有澤派遣社員

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就役から除籍までの期間をみたのですが、ガングート級てかなり長生きした戦艦なんてすね。


未知領域調査

 

[グラメウス大陸南西上空 VTOL輸送機内]

 

【調査隊編成】

・北方連合陸軍歩兵一個小隊(強化外骨格装備)

・ヴァンツァーパイロット

 アニーツカ・イワノヴナ・アレクサンドロフ

 マキシム・トロアディエヴ・バビロフ

 

【KAN-SEN】

・戦艦ガングート

 

【搭載兵器】

・ヴィーザフ・ローグ(アニーツカ機 スナイパーライフル、ジェットパック装備)

・ヴィーザフ・ローグ(マキシム機 大型ロッド、長距離通信パック装備)

・歩兵支援装甲車両×3

 

Sideガングート

 

「同志らよ!良くぞこの危険な任務に志願してくれた!

諸君らのような勇士とともに困難に立ち向かえることをこのガングート、心より誇りに思う!」

「「「Урааа!!!」」」×多数

 

うむ!よい返事だ!これでこそ我が北方連合の精鋭と言える!

特に同志アニーツカは若くして佐官にまで登りつめた優秀な人材だ。

今回の任務につくため各方面に少々無茶を通したようだが、その程度には目を瞑ろう。

やる気が溢れんばかりの若者につまらんケチをつけたくはないしな!

 

アニーツカ(あぁ〜!ガングート様の生演説!最高!!!)

マキシム(はぁ………、異動願い、考えよう……)※強制連行された

 

陸軍も任務を取り合うほど気合が入っていると同志メルクーリアから聞いてたし、

やはり国を支えるのは意欲ある若者達だな!

このメンバーであればどのような苦難があろうと乗り越えられるだろう!

 

「同志ガングートとの任務、もう悔いはねぇ」(フラグ)

「へへ、この任務が終わったら死んだ親父の墓前で自慢するんだ!」(フラグ)

「オレ、この任務終えたら本土にいる彼女にプロボーズするんだ」(フラグ)

「おいやめろ、変なフラグ乱立させるなよ!?

墜落でもしたらどうするんだ!?」

「「「サ〜セン」」」

 

ハハハッ!まぁ優秀な同志達が造った試作(・・)輸送機が墜落するなんてことは無いだろうがな!(特大フラグ)

 

 

 

 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

 

 

 

[エスペラント王国 スダンパーロ区]

 

Sideサフィーネ

 

 

「何だあれ!?魔獣か!?」

「デカいぞ!」

「だがアレ、墜落してないか?」

「………おい、コッチに来てるぞ!?」

「なぁ!?退避!退避しろ!!!」

 

小隊50人とともに南門防衛戦の帰り道、何か巨大な物体が空から降ってきた。

その巨体で木々を薙ぎ倒し、勢いよく区壁へと頭をから突っ込んでいく。

辺りに響く轟音、石壁がまるで子供が崩した積み木のように崩れる。

幸い居住区にまでは被害は出ていなさそうだが修繕にはかなりの時間を必要とするだろう。

 

「全隊!すぐに向かうぞ!」

「え!?何処へですか!?」

「墜ちてきた”アレ”へだ!」

 

隊を率いて近付いていくと”ソレ”の全容が分かってきた。

鉄とは違う金属が辺りに散らばっており、その巨体を石壁の残骸に埋もれさせていた。

翼であろう部分は見る影もなく、胴体にも大きな亀裂が入っていたが辛うじて原型を留めているようだ。

 

「ひでぇな、なんなんだこれ?」

「微弱ながら生体魔力反応が複数ある!気をつけろ!」

 

魔力の少ない人間のものにしても弱々しい反応から恐らく瀕死なのかもしれない。

反応を検知した亀裂へと近づくと内側から凄まじい音を響かせながら”鋼鉄の巨人”が現れた。

手には巨大な鋼鉄の棒を2本持ち、亀裂を押し拡げなら這い出てくる。

突然の事態に怯える小隊員に喝をいれようとしていると人間の声が亀裂から聞こえてきた。

 

「くそ!雑な死に方するところだった!」

「北方連合製の頑丈さは世界一!!!!」

「生きてる、生きてるよ俺ら!」

「生きてるって素っ晴らしい〜!!!」

 

全身を白と黒の金属鎧らしきものを着込んだ人型が次々に亀裂から這い出てきて歓喜の雄叫びを上げている。

さらにもう一体、鋼鉄の巨人が黒い長大な鉄塊を片手に出てくる。

あれだけの魔獣が存在するはずなのに生体魔力反応は微弱なまま、どうなっているのだ?

混乱しているとさらに頭のほうから凄まじい爆発が発生した。

 

    ドゴーン!!!!

 

「うあー!」「ひぃー!」

「落ち着け!この程度で怯むな!」

 

悲鳴を上げる部下を叱るが正直自分も足が震えそうだ。

あれ程の爆発なのに魔力反応が一切ない、これでは事前に察知ができない!

爆煙が晴れると人間らしきものを両肩に担いだ大柄の女性が現れた。

 

「同志諸君!よく生き残った!すまんが機長らが重体だ!至急医療キットを掘り出してくれ!」

「了解しました!」

「急げ!命がけで職務を全うした同志を死なせるわけにはいかん!」

 

慌ただしく残骸の山を掘り出す人型の1人がこちらに気づき、何かを構える。

 

「誰だ!ここの原住民か!?」

 

見つかった!しかもよくわからない、銃に似た物をこちらに向けている。

こうなれば止むを得ないと、弓矢を構えたところで長大な鉄塊を持った鋼鉄の巨人が射線を塞ぐように移動する。

 

「イワノヴナ中佐!?」

『この馬鹿!無闇に相手を刺激すんな!』

 

巨人から女性の声がする、そのことに驚いてるといつの間にか爆発から出てきた大柄な女性がすぐ近くまで来ていた。

 

「騒がしく申し訳ない、こちらに君らを害する意思はない。

彼らの応急処置が済めばそちらの指示に従うと約束しよう」

「わ、解った!こちらも武器を収めよう!」

 

丁寧な口調に思わず返事をしてしまった。

そしてこの時に気付く、この女性から一切の魔力反応が無いことに………。

 

 

 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

 

 

 

 

[エスペラント王国 ノバールボ区騎士団病院]

 

Sideガングート

 

あの邂逅の後、同志らに無事な物資の捜索と収集を命じて、私と陸軍の者ら数人で重傷者の運び込みを行った。

エルフの女性、サフィーネ氏に案内されて病院で手当を受けさせてもらったが、

バルサス医師の魔法で機長と副機長の傷がみるみる塞がっていく光景は素直に驚嘆した。

 

「しばらく安静でいればとりあえず大事はないですな」

「感謝する、しかし魔法とはやはり便利だな。

帰ったら適正ある者を選抜してみるか?」

「医療キットだけだと限界ありますからね」

「魔法、俺らにも使えるのか?」

 

同志らとそんな雑談をしているとバルザス医師とサフィーネ氏が驚いたようにこちらを見てきた。

 

「ガングート達は魔法を使えないのか?」

「存在自体最近知ったし」

「使い方も知らん」

「私に至っては魔力もないからな」

 

私がそう言うとサフィーネ氏はどこか納得したように頷き、されど疑念は尽きなかったのかさらに質問をしてきた。

 

「………魔力の無い生物なんてあり得るのか?」

「私は生物では無い(・・・・・・)からな。まぁ当然ではあるな」

「は?それはどういう……」

ドン!「貴様ら!そこを動くな!」

 

突然扉が乱暴に開けられ鎖帷子を着た連中が数名ドカドカと入ってきた。

そしてその奥からさらに地位の高そうな格好の赤っぽい茶髪の男性が入ってくる。

エルフのようだが耳の長さは少し短い、いわゆるハーフエルフと言うやつか?

 

「貴様らが空から降って………」

 

ハーフエルフの男性と他の連中が私の方を見て固まる。

……?どうした?首を傾げると何人かが顔を赤らめてそっぽを向く。

 

(これ、何人か墜ちたな)

(あ〜、解るわぁ〜)

(信じられるか?あれで無自覚なんだぜ?)

 

同志らがコソコソ話しているがよく聞き取れなかった。

 

「(なんと美しい……は!?)ゴホン!

失礼、このノバールボ区の憲兵署長のジャスティード・ワイヴリューである!」

「ガングートだ、それで?ここには病人も多い、あまり騒がしくするのはマナー違反では?」

「煩い!魔族めが!上手く化けたようだが私の目は誤魔化されんぞ!」

 

魔族?魔獣とは違うのか?我々はそれと勘違いされているのか?

同志らも事態が掴めず困惑しているとサフィーネ氏が激昂する。

 

「これはどういうこと、ジャスティード!」

「サ、サフィーネ、君も居たのだね……」

「当たり前でしょ!私が彼女達を案内したのよ!

ともかく何で彼女達が魔族なんてことになったのよ!」

「簡単だ、この国の外に人間はいない、なら外から来た者は魔王軍の手先しかいない!」

 

ん?この国以外に人間はいない(・・・・・・・・・・・・)

確かにこの大陸にはココ以外に人間はいなかったが、そういう意味では無いようだ。

 

「待て、外に人間がいないとはどういう意味だ?」

「何をぬけぬけと……!遥か昔!貴様ら魔王軍が我々以外の人間を滅ぼしたのだろう!」

「いや、滅んでないが?」

 

私がそう言った途端、室内の人間が一斉にこちらに意識を向けて驚愕していた。

 

「滅んで、いない?」

「ああ、このグラメウス大陸には人間は他に居なかったが隣のフィルアデス大陸には普通に住んでるぞ?

大陸を境い目にはトーパ王国も………」

「トーパ王国だと!?馬鹿を言うな!トーパ王国こそ真っ先に魔王直々に滅ぼされているはずだぞ!?」

「魔王……?サフィーネ、申し訳ないがその魔王とやらの名はノスグーラとかいうのか?」

「ええ、その通りですが……?」

「それなら同志カグヤが原子の塵も残さず消し飛ばしたぞ?」

 

同志達もウンウンと頷く。

戦闘記録を拝見したが人型形態のKAN-SENにかなりの損傷を負わせれる存在だ。

確かに剣や魔法では相手にするのは厳しかったのだろう。

呆けるサフィーネ氏と違い、顔を真っ赤にして激怒するジャスティード氏が剣を抜きコチラに殺気を放つ。

 

「ふざけるな!我らの先祖が何千何万という犠牲を出した存在だぞ!?

かの魔王がたかが1人でどうにかできるものか!」

「いやふざけてねぇし」

「そのたかが1人が最強格なんだよなぁ……」

「むしろ切り札、レッドアクシズの至宝だぞ?」

「とにかく我々は一切の虚偽を言っていない。

その剣と殺気を収めてもらおう」

 

私が手で剣を退けようとしたのが不味かったようだ。

ジャスティード氏が反射的に、故に凄まじい速度で剣を振る。

狙いは私の首をだった。しかし……

 

ガギン!

 

首にあった部分から金属がぶつかり合うような音がする。

巻き込んだ髪毛一本さえ切れてはいない。

 

「……は?」

「ガングート!?……大……丈夫……ね?」

「問題無い、対人兵器(その程度)ではな」

 

同志達から鋭い殺気がジャスティード氏に向けられるが私はそれを手で制する。

彼の言動はどうやらこの国での常識では当然のことであったようだ。

であれば少々のやんちゃぐらいは多めに見てやるべきだ。

 

「これ以上ここにいると無用なトラブルを起こしそうなので退散させてもらうとしよう。

バルサス医師、すまんが同志らの面倒を頼む」

「わかった、そこの奴らには指一本触れさせんよ」

 

バルサス医師が憲兵達を睨みつけてながら言う、

どうやら病室で騒がれたことに彼自身だいぶご立腹のようだ。

他の同志らを連れて病室を退室しようとする。

 

「ま、待て!勝手な行動を……!」

「いい加減にしてジャスティード!」

「君も見ただろ!?剣で切れない首を持つ奴が人間なものか!」

「それは……!(確かに彼女も自身を”生物ではない”と言っていた。人間では無いのか?)」

「サフィーネ氏、そろそろ王宮からの調査隊が来るのであろう?

そこで私についてのことも話すよ」

「……わかった。すぐ行く」

「サフィーネ!」

「ジャスティードも!早まったことはしないでよ!」

「では行くか、患者の皆様方ご迷惑をかけた」

 

私が頭を下げると同志らもそれに続き会釈や敬礼をして退室していった。

 

 

 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

 

 

 

 

[スダンパーロ区 墜落現場]

 

Sideアニーツカ

 

マキシムのヴィーザフが残骸を運んでいるのを見ながら頭を掻く。

ガングート様が留守の間に危険物の回収と使える物を探してはいるのだが………。

う〜ん、想像以上に装備や弾薬が散らばってしまっている。

特にヴァンツァーの精密部品の予備と装甲車両が1台完全にオシャカになったのが痛い。

外せる搭載火器や燃料を取り出してあとはスクラップだな。

 

「イワノヴ中佐!現地の調査隊が来ました!」

「まだ同志ガングートが戻ってない!テントに案内して待たせとけ!」

「解りました!」

「マキシム!作業をやめ!客の相手するよ!」

『了解しました、すぐに向かいます』

 

やれやれ、頭の悪い貴族とかが来ないことを祈るしかない。

十数分後、マキシムと合流して設営したテントに向かっているのだ妙に騒がしい。

怒鳴り散らしてるとかではない、なんか素晴らしいだの最高だのハイテンションな感じの騒がしさ。

取り敢えずテントに近付くと騒ぎの原因はテント横の装甲車両からであったようだ。

 

「素晴らしい!まさか魔力も持たないものでこれほどの物が動くとは!?」

「あの、セイ様落ち着きを……」

「落ち着いていられるか!彼らには悪いがここの残骸全てを譲ってほしいぐらいだよ!」

 

…………すげぇ面倒くさそうなのがいるんですが?

マキシムと見合う、諦めたように首を振るのを見て頭をガシガシと掻き散らす。

くそ、佐官になって初めてこの地位を後悔したぞ!

 

「あー、ゴホン。お待たせして申し訳ありませんでした。現在この現場の指揮代行をしているアニーツカ・イワノヴナ・アレクサンドロフです。

貴方が調査隊の責任者で?」

「おや?これは失礼、王宮科学院の技監セイ・ザメンホフだよ」

 

お互い手を出して握手をする。

どうやら頭の切り替えが出来るタイプのようで助かった。

 

(え?イワノヴ中佐?)

(猫被るとかのレベルじゃねぇー!)

(いつも暴言かスラングしか出てこねぇのに!?)

(KAN-SENマニアの残念美女のくせに!)

(お淑やかな感じの中佐……いい!)

 

………おい、テメェら!珍獣でも見るような目で見るとは死にてぇのか!?

僅かにこめかみが動いたのが見えたのかセイ技監が苦笑する。

 

「無理しなくていいよ?こちらも気軽に話させてもらうからね」

「そうですか、ありがとうございます。

………オイてめぇら、あとで”的”な」

「「「「スイマセンでした!それだけは勘弁を!!!」」」」

 

一斉に土下座し始めたがもう遅い。

マキシムは我関せず、口調が荒くなった私を見た調査隊の護衛どもがギョッとした目で見てくる。

 

「馬鹿どもの仕置は後回しにするとして………。

セイ技監、取り敢えずそっちの要求は?見て終わりじゃないでしょ?」

「お、話が早いね。調査は勿論だが、君たちの科学を余さず全てを知りたいよ!」

「ははは!いいね!その取り繕わない態度好きだよ!

その辺りの交渉はもうすぐ帰ってくる同志ガングートに頼みます。

ですが助言として、意欲高い人が大好きな方だからそのまま言ったほうがいいよ」

「おお!ありがとう!ではすまないがそのガングート殿が来るまでの間に調査させてもらってよいかね?」

「念のため部下は同伴させるよ、万一危険物があって死にたくはないでしょ?」

「寧ろお願いするよ、正直見るもの全てに興味が尽きないからね!」

 

なんだ、立ち振舞からそれなりの家柄かと思ったがサッパリした感じで相手しやすい。

もしくは自分の趣味に没頭するダメ人間というか……。

まぁ、威張り散らす馬鹿だったら頭撃ち抜いてたかもしれないから変人ぐらいでよかったとしよう。

 

 





エスペラント王国編は一気に終わらせる予定です。
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