異世界にレッドアクシズの名を刻む!   作:有澤派遣社員

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悪ふざけ回


完成!その名は”革命”!

 

[エスペラント王国 スダンパーロ区 墜落地点改め訓練場]

 

Sideマキシム

 

エスペラント王国より兵の教育を頼まれたが、期間はあまりに短い。

なので肉体強化よりは精神面の強化を重点的に行うことになった。

なのでとにかく理不尽なまでに虐めぬくという方針で訓練をしている。

 

「お前ら!筋トレのペースが落ちてるぞ!あと30分で次の訓練だ!さっさと終わらせろ!」

「「「ひ〜!鬼!悪魔!」」」×多数

「無駄口叩いてる暇があればさっさと終わらせろ!

時間内にできなければ、お前らも”あっち”だぞ!」

 

指を指した方向には………。

 

「オラオラ!さっと走れる!死ぬ気で走れ!死んでも走り続けろ!!!」

「根性みせろ!止まったりコケたりしたらお仕置きだぁ!!!」

「ヒャハー!!!俺のケツ叩き棒が血に飢えてるぜぇ!!!!」

「「「ぎゃ〜!!!!」」」×多数

 

強化外骨格装備の陸戦隊との【ドキドキ!恐怖の一時間耐久鬼ごっこ〜ケツを賭けて〜】が開催されていた。

人数にして逃亡側10人に対して鬼側が15人、捕まればケツ叩き棒(金属製)で真っ赤に腫れるまで叩かれている。

既に何人かが真っ赤な生ケツを晒して気絶している。

なお逃亡者側のメンバーは遅刻やサボり、訓練ノルマの不達成者である。

 

「ひぇ……、痛そう」

「マジ恥ずか死ぬ……」

「あいつら、そこそこの貴族の坊っちゃんだよな?」

「貴族も平民も関係ない!罰は平等だ、イヤならさっと終わらせろ!」

「「「はい!(必死)」」」×多数

 

 

 

Sideアニーツカ

 

離れたところから聞こえる絶叫と悲鳴を聞き流しながら現時点での適性試験合格者に装備の使い方をレクチャーしている。

メンバーは銃士隊所属の者が殆どで、無論あのイケメン野郎ザビルはトップの合格者だ。

 

「銃の分解整備の時には部品無くすなよ、私も新人のころ何回もやらかしたから」カチャカチャカッチン

「すげぇ、瞬く間に組み上がってく」

「銃一つにこんなに部品があるのか」 

「整備だけでも一苦労だな……」

 

感心されてるがこんなものは慣れと回数こなせば誰でも出来るようになる。

試射をしていたザビルが感激の歓声を上げる。

 

「素晴らしい!弾が真っ直ぐ飛ぶ!これならイメージ通りに狙える!」

「ん?イメージ通り?」

「ああ!いつもは狙えてるのに弾が振れて外れてたがこの銃ならそんなことは起きないからね!」

 

おお?こいつ、もしかして同類か?

 

「ねぇ、銃を撃つ前にどんなこと考えてる?」

「?、変なことを聞くな……、考えなくても狙えば当たるだろ?」

「やっぱそうだよね!構えて撃てば当たる!いや〜、理解者いて助かるわ〜」

「うむ、皆に言っても理解してもらえなかったがな………」

「ははは!こればかりは感覚的なことだからねぇ〜」

 

((((これだから天才という奴らは……!))))

 

ん?野郎どもがなんかすごい顔でコッチを見てるけどどうした?

 

 

 

Sideアビシ・アレンベルナ

 

基礎体力に難ありと判断されて延々とランニングと筋トレを繰り返す自身を含めた貴族の新兵達。

しんどい、しぬ……

 

「どうした!この程度のランニングでバテたか!やはり貴族上がりの”ヘタレ小僧”だな!」

「き、貴族に向かって……!」

「ぶ、ぶれ、もの……げほっ」

「減らず口叩けるならまだ余裕だな!全員10周追加だ!」

 

ふ、増えんの!?あと3周だったのに!?

走ってた全員が恨めしそうに減らず口を叩いた奴らを睨みつける。

チクショウ、やってられるか!オレは、

 

爆炎の女神の冷たい目が脳裏に蘇る。

 

………やってやる!やってやるさ!そう思いながら走りのペースを上げる

 

「うおぉー!!!」

「ほお?根性見せるじゃないか」

「……すげぇ、あいつあんなに動けるのか」

「いの一番に脱落するかと思ってたけど……」

「負けてられるか!」

 

オレが認めさせてやるんだ!貴族の貴き血を!無価値なんかじゃないと!

教官を置いてけぼりにするつもりで残りの13周を走りきったが、結局教官は大して息も上げてなかった。

 

「カヒュ、ヒヒュ〜」

「よくやった、根性は見せてもらった。

まずは息整えろ、ゆっくりだ」

 

教官には無理にペースを乱すなと怒られたが、初めて誰かに認められたことが何よりも嬉しかった。

 

 

 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

 

 

 

[ラボレーオ区 王宮科学院]

 

Sideガングート

 

新兵器開発にあたり、回転式拳銃を作成することが決まって5日目。

 

「諸君!試作第一号の完成だよ!」

「「「おっしゃ〜!!!」」」

 

予想以上の速さで試作品が形になり、皆が涙を流しながら喜び合っていた。

試験動作は万一暴発、爆ぜつしても問題無いように私が撃つことになった。

用意された五発の弾丸を1つづつ込めていく、ちなみに弾の口径は見本があるのもあって北方連合規格のものに合わせた。

シリンダーを回す、何度回してもちゃんと規定の位置で止まるのを確認していく。

そして10m先の丸太の上の木片を狙い……撃つ。

乾いた音とともに木片を見事撃ち抜いた。

そしてそのまま連続射撃を丸太に行い、全て命中した。

 

「やった、やったぞ!!!!」

「動作も完璧だ!」

「不発弾も無い!成功だ!」

 

銃の全体を確認する、特に亀裂が入ったり歪んだような形跡は無し。

反動もこの程度なら問題あるまい。

 

「同志諸君!貴殿らの熱意と想いが作り出した傑作品といえよう!

このような場に同席できたこと感謝したい!」

「いや〜、ガングート殿達の助力あってこそですよ。

そうだ!ガングート殿が”コイツ”の名付け親になってくれないかね!」

 

突然の提案に驚くも、周りからは賛成だ!と同調する。

 

「名前か………、では”革命(リヴォリャーツィヤ)”とはどうだ?」

「”革命”、我らの歴史における大革新の銃に相応しい素晴らしい名ではないか!」

 

皆が喜んでいる中、ふと扉に目をやると隙間からこちらを覗いている人物が目に入る。

 

「サフィーネ氏か、どうした?」

「頼まれてた用事が完了したからその報告、あと新型銃が完成したって聞いて興味があって……」

「そうか、ならあとでゆっくり話そう。

セイ技監、我々は一度本隊の訓練状況の確認に向かうので後を頼む」

「わかったよ!叔父上への報告はこちらでやっておくよ!」

 

共に頑張った学者矢工匠の者達に挨拶をしながら退室し、王宮科学院を出たあたりで足を早める。

 

「調査結果は?」

「ほぼ黒、今は訓練場のほうにいるよ」

「危険なことを頼んですまんな」

「いや、危険なんて全然。

むしろなんか拍子抜けするぐらいアッサリでちょっと困惑してる」

「………やはり妙だな、罠か?」

 

サフィーネに頼んでいたのは以前すれ違った男性ゼリムの調査を依頼したのだ。

ここ最近王宮科学院での仕事をサボり気味と聞いてもしやと思ったが訓練場を見張っていたとのことだ。

 

「とにかく彼を確保するぞ、可能な限り傷つけるな」

「「「了解!」」」

 

 

 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

 

 

[スダンパーロ区 訓練場外れ]

 

Sideゼリム

 

やっぱりヤバイ、早く、逃げたい………!

僅か10人の人間による射撃で瞬く間に的が蜂の巣になった。

車輪の付いた鉄塊が凄まじい速度で走り目標の残骸を木っ端微塵にした。

そして、巨人の如きゴーレムが巨大な銃や棍棒を装備して鎮座している。

あんなの、絶対勝てない!無理!帰りたい!

でも『見張れ』と命令されたので渋々やらなければならない………。

だから早く報告が可能になる日が来るのを祈りながらいたが、

やっぱり神様は俺なんかに見向きもしなかったようだ。

何故なら………

 

「やぁゼリム殿、こんな辺鄙なところでどうしたのかね?」

 

こうして笑顔の爆炎の女神に声をかけられ、眷属達からは敵意を向けられているのだから………

 

 

Sideガングート

 

「どうする?打つ?」

「………いや、弓を降ろしてくれ。同志らも銃を降ろせ、命令だ」

 

ゼリムは明らかに恐怖に震えていた。

仮に魔族なら飛んだり魔法を使ったりできるらしいのだがその気配さえない。

やはり何かしらの制限をかけられた上にで命令に逆らえないのだろう。

 

「お、俺は……!」

「ここ数日の行動を見張らせてもらった、言い訳は出来んぞ」

「あ、ああ……」

 

ペタリと座り込む彼に近付く、趣味の悪いサークレットが僅かに光を放っていた。

 

「前みたいに頭突きで壊すの?」

「いや、そこまでする必要はない」

 

サークレットの水晶部分を指先で摘む、そして……

 

バキン!

「これで充分だ」

「……えぇ?」

 

あっさりと割れた水晶が地面に落ちる。

ゼリムも唖然とした表情をしたと思ったら頭を抱えてうめき出す。

そしてみるみるとその姿が変容する。

背中からはコウモリのような羽が生え、肌の色も変わっていく。

なるほど、これが本来の彼の姿か。

パタリと倒れたゼリムを念の為(・・・)持ってきた死体袋に詰めて運ぶ。

取り敢えず壊れた装甲車両の中なら逃げ場もない、何人か集めて尋問をするとしよう。

 

 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

 

 

 

[スダンパーロ区 廃棄装甲車両前]

 

Sideジャスティード

 

殺人的な訓練に心身ともに疲弊しているところに招集をかけられて勘弁してくれとボヤきたくなる。

案内されたのは車輪のついた鉄箱、装甲車両なるものの……残骸。

正確には操縦席部分と前輪が拉げて使い物にならないが、後ろの搭乗口やらは無事で中には問題なく入れるようになっている。

扉の前には北方連合の兵が何人かおり、エスペラント王国の人間はザビル殿だけであった。

 

「ザビル殿、貴方も呼ばれてたのか」

「ああ、内容までは知らんがな。だが無意味に呼ばれたわけではあるまい」

 

雑談をしていると装甲車両の扉が開き、中からサフィーネが姿を現した。

 

「ザビル様、ジャスティード!準備出来たから中に入って!」

 

まさかサフィーネがいると思わず驚いたが、ザビル殿が中に入っていくのを見て急いで自分も中へと入る。

中にはガングート殿と妙にダボついた服装をしたフルフェイスマスクの2名の兵がいた。

そして中央には………

 

「わざわざ呼び出してすまんな、招集に応じてもらい感謝する」

 

椅子に縛り付けられ口と目を布で覆われて恐怖に身を震わせる魔族らしき者の姿があった。

 

「フフフ、大人しくしてれば痛く()しないよ?」▼ω▼ニヨニヨ

「へへ、アタイ的には抵抗してくれてもいいよ?血がどんな色か興味あるし」(`▽´)ケラケラ

「モゴー!ムグ〜!(怖いよぉ!助けてぇ!!!)」

「「何事!?」」

 

あまりに衝撃的な光景にザビル殿共に叫ぶ羽目になったのであった。

 

 




ゼリム虐めは楽しいゾイ!

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