異世界にレッドアクシズの名を刻む!   作:有澤派遣社員

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※今後活かせるかわからない、ご都合主義的なオリジナル設定追加です。
申し訳ありません。


”人”の定義

 

[スダンパーロ区 廃棄装甲車両内]

 

Sideザビル

 

人間に弄ばれる魔族という常識が壊れるような、頭が痛くなるような光景に説明を求めると、

まぁ大体納得の出来る内容ではあった。頭は痛いことに変わりなかったが。

 

「………なるほど、それでこのような状況なのか」

「うむ、我々だけでは魔族については知らんことが多いからな。

念の為に君らにも同席をお願いしたいのだ」

 

ガングート殿の後ろの魔族にチラリと目を向ける。

 

「ムム、ム〜!(解いてぇ〜!)」

「さて、まずはどうするか?」▼ω▼ニヨニヨ

「爪剥がす?生皮剥がす?思い切って手足一本切ろうか?」(`▽´)ケラケラ

「モゴー!ムグ〜!(やだぁ!助けてぇ!)」

 

…………目隠しの下からは涙が見えてきて、あまりの待遇にこっちまで涙が流れそうである。

ジャスティードやサフィーネからも同情の視線が向けられている。

というより無機質なフルフェイスのせいで解らなかったが声の質的に二人共女性か?

 

「レディ方、あまりこういうことは言いたくないがもっとお淑やかにだね……」

「うるせぇ、ファ■ン野郎。てか香水臭いから近づくな」▼ω▼

「■玉引っこ抜いて女装させるぞ、クソイケメン」(`▽´)

「言葉遣いー!!!」

 

あまりにストレートな言い方に思わず声を張り上げる。

なんて破廉恥な言動をするレディ達だ!?

というより、汗の匂いが消せるわりとお気に入りの香水なのだがそこまで臭いか?

 

「すまん、彼女らは貴族とか特権階級が嫌いでな。

こら、ルサンナにルルーカ。あまり客人に汚い言葉を使うな」

「は!申し訳ありません!」ビシッ

「以後気を付けます!」シャキッ

 

………ガングート殿には礼儀正しい、のか?

なんだろう、扱いの差にすごくムカついてきたのだが?

 

「ず、随分態度が違うんだねぇ……」(#´Д`)

「当然だ、権限でいえば将官に命令できるような方だぞ」

「私はそういう契約だからね

(・・・・・・・・・・)

 

ん?契約?どういうことだ?

疑問に思っているとガングート殿が魔族の顔の布を取り払い、簀巻きにしていたロープも外してしまった。

 

「さて、悪ふざけもおしまいだ。色々喋ってもらうぞゼリムよ」

「………おれ、しなずにすむ?」

「それはお前次第だ」

わかったしょうじきにはなします

「別に正直に話さなくていいよ〜?」

はなさせてください!」

 

ジャスティード殿とサフィーネ殿と共に目を見合わせる。

ガングート殿達は何故会話が出来てる?

 

「申し訳ない、ガングート殿らは彼の言葉がわかるのですか?」

「ん?何言ってんの?」

「彼は普通に喋ってるぞ?」

「我々には理解できない言語で喋ってるのですが……?」

「「「???」」」

 

噛み合わない話をしているとガングート殿が思い出したように手を叩いた。

 

「ああ、これが自動翻訳の恩恵とやらか」

「そういえばそんなのがあるって言われてたような……?」

「全然実感なかったから忘れてた……」

「ジドウホンヤク?」

「簡単にいうと会話が成立していればどのような言語でも聞き取れ、話せるというというものだ」

「スゴイ恩恵ですね、どこの神のなのですか?」

「知らん、そもそも我々も何故こうなっているのかは把握してないのだ」

うらやましいおんけいです

「ふむ、羨ましい、か……。まぁこうして貴殿と話せるなら無駄ではなかったな」

 

確かに活用される場面は限定的だが凄まじい恩恵をお持ちなのだな、北方連合の人々は………。

 

 

Sideガングート

 

「話を戻そう。ゼリム、今のお前に我々を害する意図はあるか?」

「な、ないです……」

 

ふむ、やはり普通話しているように聞こえる。

もしや王宮科学院では大陸共通語を無理やり喋らさせられてたのか?

 

「ほんとぉ〜?」

「この場しのぎでは無いだろうな?」

「嘘じゃないです!人間は食べても殺してない……あっ」

「人間を、食べた?」

 

サフィーネらからの視線がきつくなり、ゼリムの顔色が青褪めていく。

 

「野蛮な……!」

「殺してないとか、どうせ嘘だろ!」

「ガングート殿、すぐに処分すべきです」

「……?何故だ?(・・・・)

「「「えっ?」」」

 

真偽はともかく殺人をしていないなら問題ない(・・・・)と思うのだが、もしやエスペラント王国では違うのか?

 

「あ〜、咽そうな死臭がしたのはそのせいか」

「だめだよ?死体はちゃんと保存しておかないと。

そうしないから死臭がきつくなるよ?」

「えっ?ええ?」

 

ルサンナが溜息をつき、ルルーカが駄目息子を叱るように説教をする。

 

「た、食べたことはいいのか……?」

「私は人間の味が駄目で食べれないがな」

「アタイも昔は死にたくなくて食べてたけど、今は自粛してる。

たまに輸血用血液でも飲んでれば飢餓感は満たせるし」

 

ルルーカがケラケラ笑いながらゼリムの肩をバンバンと叩く。

するとサフィーネらが恐る恐るといった様子を見せる。

 

「………ガングート殿、彼女達は、人間じゃないの?」

「んああ、説明してなかったな。彼女らは”ヴルコドラク(人狼)”という種族の末裔だ」

 

二人がフルフェイスマスクを外す。

ルサンナは目の瞳が縦に割れている以外は普通だが、ルルーカは大きな犬耳が左右に垂れており、首には金属のゴツい首輪がはめられていた。

 

「私はほとんど人間、セミクォーターだけどな。鼻が異常に良いことと両腕だけ人狼化できる」▼ω▼

「アタイはクォーターだけど先祖返り、て奴!

これでも一応死刑囚!首のは爆弾だよ!そして!」(`▽´)

 

ルルーカの体が変化し始める。

頭は人のそれとはかけ離れた形に変わり身長も2m近くまで大きくなる。

ブカブカだった戦闘服がピッタリになり、黒い毛並みの人狼がそこに現われる。

 

「どうよ!これが人狼様よぉ!」

「「「ヒェッ!」」」

「ルルーカ、声うるさい」

「エスペラント王国の方々が怯えてる、元に戻れ」

「は〜い」

 

シュルシュルと元の姿に戻ると、戦闘服の裾などをベルトで止め直す。

 

「ル、ルルーカ殿は魔族なのか?」

「え?違うよ?確かに身体能力と治癒力は上がるけど白兵戦以外大して強くはないし?」

「いや十分強い………そうか、北方連合の装備に対抗できるほどではないのだな」

 

”ヴルコドラク”、エウロラ大陸に古くからいた食人種族、というより人間も食料にしていたが正しく率先して人間を狩っていたわけではない。

しかし人間達がエウロラ大陸で大きな国家を創り始めると真っ先に”人狼狩り”が行われ、住処を北の端へと追いやられてしまった。

そして細々と隠れ住んで300年余り、労働奴隷として北に派遣されてきた北方連合のご先祖達と出会う。

最初こそお互い警戒するが極寒の永久凍土の脅威に晒される彼らにそんな余裕はなく、お互いに協力し合うようになる。

 

《我々は人狼を迫害しない、故に人狼も我々を殺傷しない》

 

このルールを作ることで歩み寄るようにしてきたが、既に少数しか生き残りがいない上に出生率が低い人狼達は種族として緩慢な滅びへの道を止められないと判断。

率先して混血を進め、人間達に自分らの遺伝子が残るようにするようにしていった。

そのため純正種は既におらず、混血児の中にたまに先祖返りが生まれる程度である。

ルルーカはその先祖返りでも特に強い血を持つが、早く親を亡くし孤児として過ごしていた頃に相当数の人間を殺してしまっていた。

(まぁいなくなって感謝されるような連中ばかりを狙っていたようだが)

軍に捕縛されすぐに死刑、というところをガングートが身柄を預かることで一応の生存が許された。

ルサンカは基礎教育を受けてないルルーカの世話役兼見張り役、

二人共軍属ではあるがガングートの私兵のような扱いである。

 

「獣人や鬼人に比べると特異な点はあるが、身体変化する獣人と思ってもらえればいい」

「魔族を知らないはずなのに黒騎士を相手に全く怯まなかっか理由がわかりましたよ………」

「身近に魔族みたいな種族が一緒だったんですね……」

「まぁ、こういう経緯もあって北方連合では人殺しは罪だが人喰いに関しては酌量の余地ありということだ」

 

くるりとゼリムに向き直る、彼はどう反応したらいいのかと困惑気味であった。

 

「ゼリム、お前は人を殺してないか?」

「…………ダクシルド様に、ま、魔族としての力を使わないように制限されて!

だ、だから死体集めるので手いっぱいだった……」

「そうか、では何故人間を食べていた?」

「………人間食べると、み、満たされる感じがする、だから食べてた」

「ふむ、では人間しか食えないわけではないな?」

「一応普通の食事でも腹は満たせる、でも物足りなくって………」

 

チラッとルルーカを見るとウンウンと頷いていた、どうやら彼女は共感できたようだ。

では同じ対処でどうにかできるのではないか?

 

「………魔族は魔法の扱いに長けてると聞くがお前は?」

「お、おれは落ちこぼれで……、治癒魔法はそこそこだけど、攻撃魔法はからっきしだめで……」

「いや、どちらかと言うと治癒とかのが有り難いが……。

なぁ、知っていることを全て話してくれないか?

そうすれば魔法技術官として、お前を北方連合で匿ってやるぞ?」

「えっ?オレを、匿う?」

「ガングート殿!?」「なっ!正気か!?」

「………ガングート殿、相手は魔族ですよ?」

 

サフィーネが腰の短剣に手をやる。

彼女達からしたら魔族の彼を引き入れようとする行為は暴挙を通り越して無謀にほかならないのだろう。

しかし私からすると彼は気弱な”人”にしか映らない。

 

「すまんがここは譲れんぞ、ゼリムがどうしようもない”人でなし”であれば私自ら処断したさ。

だが彼は人間でなくとも”人”だ。

こうして話し合えるのであればな………」

 

彼が”人ではない”とどう証明する?

血の色か?肌の色か?宗教観か?社会性の違いか?

否、そんなものは証明にならない。

己を律し、歩み寄れるならばどのような姿でも、生物でなくとも”人”なのだ。

道具である我らKAN-SENを”人”と呼んでくれた同志マクスウェル、同志カグヤ。

彼らもゼリムに会ったのであれば同じことを言うだろう。

 

 

誰かを思いやれるなら、あなたも”人”だ、と。

 

 

「……オレが、”人”?」

 

 

 

Sideゼリム

 

魔族のオレを、人喰いのオレを、爆炎の女神は”人”と呼んでくれるのか……。

 

「ゼリム、お前はこのまま誰かによって流されるがままでいいのか?」

「オ、レは……」

「今あるチャンスをふいにするか?また誰かの言いなりになるか?」

「女神、様……」

「お前は気弱だが、決して弱者ではない。

その胸の内には変わりたいという願望があるだろう?」

「変われる……?オレが?」

「そうだ!怖がることはない!

現状を打破したいと願うならば!このガングート、その”革命”を肯定しよう!」

 

女神から手が差し伸ばされる。

 

「最初の一歩が怖いのであれば、そこだけは私が導いてやるさ」

 

ああ、こんなオレを、仲間と言ってくれるのか……!

変わりたい!この人の期待に応えたい!

オレは涙を流しながら差し出された手を両手で握るのであった。

 

 




ゼリム生存ルート、原作と違い自身が重荷になるとは思っていません。
ガングート姉貴が豪快すぎたんや……。

ルサンカ▼ω▼:女性で小柄ツルペタ、無表情で口がとんでもなく悪いこと以外はとても優秀な軍人。

ルルーカ(`▽´):女性で長身グラマス、性格が子供っぽく刹那主義。
ガングート狂信者、ブレーキ役がいないと普通に危険人物。

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