異世界にレッドアクシズの名を刻む!   作:有澤派遣社員

3 / 76
序盤は原作と変更が無いところは飛ばし気味でいきます。


ロウリア侵攻

[海上要塞ヴァルハラ]

 

Sideカグヤ

 

クワ・トイネ公国、クイラ王国との同盟をしてはや2ヶ月、食料と燃料の心配が無くなり2カ国からの技術交流やWAWの輸出やらを円滑にするため要塞機能を拡張などもした。

特にWAW生産施設の新造には明石やピュリ姉にかなり無茶振りをしたがなんとかなった。

製造するWAWについては基地で使っているものをベースにコピーしてるので元の世界に帰ったら製造会社にも謝らなければならないけど……(泣)

………未だに元の世界との連絡は取れていない。

長門様、心配してるだろうな。

ビスマルクは無理をしてないだろうか?

ヴィットリオも体調を崩してないかな?

 

……………………オブザーバー(義母さん)は大丈夫かな?

 

ピュリ姉も頑張って鏡面海域を開こうとかもしてくれていたがうまくいっていないようだ。

………駄目だイヤな方向に思考が向かっていく。

今はこの世界での基盤をしっかりせねば!

皆とあったときに情けない姿を見せたくはない!

 

「よし、チョット早いけど息抜きがてらなにか食べよ」

バン!「指揮官!大変だ!」

「アブネェ!」

 

開けようとした扉から土佐が勢いよく入ってきた。

開いた扉が鼻先掠めたよ!

 

「土佐!?何事!?」

「すまない、だが緊急事態だ」

「緊急?」

「クワ・トイネとクイラがロウリアに宣戦布告された」

「!?両国からの連絡とかは!?」

「まだ連絡はきていないが直にくると思われる」

 

ロウリア王国、亜人廃絶を掲げる人間至上主義の国家。

重桜人も亜人認定される危険が高いため未だに交流はなかったが、そこが動いた……!

 

「……ッ!」

「大丈夫だ、指揮官」

「土佐?」

「我々は守る為に戦う。例えそれが一方的な虐殺(・・・・・・)になろうとも、だ」

 

土佐が私の頭を撫でる。……見透かされてた。

私が懸念していたのは戦争の勝敗ではない。

ロウリアには悪いが最初から結果は解っているのだ。

問題なのは、この戦いがKAN-SEN達の誇りに傷をつけるのでは?と思っていることだ。

KAN-SENは人類の盾としてセイレーンと戦ってきた。

そんな彼女達に人を、それも数千数万規模の殺戮をさせることは正しいのだろうか……。

 

「でも、それは……」

「正直、一部のKAN-SENは抵抗があるだろうが、だからこそちゃんと聞いてみよう」

「ごめん、決断力の無い指揮官で……」

「我々の志を尊重してくれているということだ、気にするな」

「………こちらからクワ・トイネに連絡する。二時間後に皆を会議場に集めておいて」

「了解した」

 

………覚悟を決めよう、人を殺す命令を下す覚悟を。

それが上に立つものの務めなのだから。

 

 

〜二時間後〜

 

 

会議場にはKAN-SEN全員と各陣営の陸戦隊と機甲部隊の代表が集まっている。

緊張した面持ちの者、不安そうな顔をしている者、いつも通りの者と様々だ。

モニターにはロデニウス大陸の地図が映し出される。

 

「状況を説明します。ロウリア王国が宣戦布告、クワ・トイネ国境付近に侵攻中であり目標はギザであると予想されます」

 

国境付近に推定人数40万人と表示されて陸戦隊の人達から僅かにどよめきが上がる。

 

「そして海からは4400隻の船舶が確認されています。

目標はマイハーク港の可能性大、首都まで一気に流れ込むつもりだと推測されます」

 

今度はKAN-SEN達からどよめきが上がる。

 

「我々には同盟国からの支援要請が上がっています。

今回の戦争でロウリアが勝利すれば我々は生命線を非友好国に握られることになる。

故に参戦は確定事項と考えてもらいたいです。

数は比べるまでもなく圧倒的に劣勢ですが、戦力差でいうなら何の問題もありません」

 

ここで一息つき、改めて自分に言い聞かせるように発言する。

 

「鎧袖一触、天変地異でも起きない限り敗北は有り得ない、それ程の状態です。

逆を言えばこれから行われるのはワンサイドゲーム、人を相手の、です」

 

周りを見渡すように見ると、幼年組のKAN-SENの何名かの表情が暗い。

 

「そのため今回は作戦説明の前に参加の拒否をある程度容認するつもりです。

何か質問はありますか?」

 

すると、意を決した感じでツェッペリンちゃんが手を上げた。

 

「し、指揮官!私は!相手の犠牲も減らしたい!」

 

震える声で半泣きになりながらも。それでも力強く発言する。

すると機甲部隊所属の者からも手を上げるものがいた。

 

「自分も彼女の意見に賛同します!」

「おい、ランディ」

「落ち着けよ」

「止めるなウォルター、グレン!あんな子供が必死になってんだぞ!大人の俺達が応援しなくてどうする!?」

「なら何か案があるのか?」

「それは……、……どうする?」

 

周りからは生暖かい視線が集まる、ツェッペリンちゃんは「同志!」と言って喜んでいるが。

すると今度は天城さんが手を上げる、その側には赤城ちゃんが不安そうな顔をしている。

 

「今回の作戦ですが、勝利条件は?」

「勝利条件はクワ・トイネ、クイラの脅威の排除になります」

「では、敵の殲滅は手段であって目的ではないのですね?」

「はい、その認識で大丈夫です」

「逃走する敵を追う必要は無いのですね?」

「ええ、”脅威の排除”と判断できれば問題ありません」

 

ここまで話すと一部のKAN-SENが疑問を浮かべていた。

まぁ対セイレーン戦の場合は基本殲滅戦だったから今回もそうだと思う者も多かったであろう。

………ローンはなんで残念そうな顔なの?

 

「今回は敵の戦意を挫くことが第一目標です。

故に一撃目は無力化とインパクトを重視したものになります。

無論我々とクワ・トイネの安全が第一ですので、殺傷を制限はしません。

ただし目的から著しく逸脱する殺傷行為をするのであれば……、その限りではありません」

 

無用な心配だとは思うが私はあえてセイレーン化をして皆を見渡す。

 

「戦場に立つ以上、命を賭ける覚悟を持つべきだ。

だが人としての尊厳を踏みにじるようなことは絶対に許さない。

………それでは作戦内容の説明を始めます」

 

この世界では”人”を相手にする戦いがこれからの主流になるだろう。

この戦いでの経験は決して無駄にはしない。

我らのよき未来のため、ロウリアには申し訳ありませんが実戦検証の糧となってもらいます。

 

 

 

 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

 

 

 

[クワ・トイネ公国 ギム国境線]

 

Sideモイジ

 

 

ウオォォー!!!

 

 

「ロウリアの鬨の声……ついに来るか!」

 

可能な限りの準備はした。

しかし敵は大群、援軍も間に合わないだろう。

せめて一矢報いてみせる!

だがその決意も200を超える飛竜の群れを見て無に帰した。

 

「何だこの数は!?敵の指揮官は正気か!?」

『全騎迎撃に上がれ!団長、あとを任せます!』

 

味方の飛竜が決死の覚悟で上がって行くが数の差は10倍以上、勝ち目などない………。

我らは一矢報いることさえ出来ずに死ぬのか……!

だがその時、頭上を聞き慣れない轟音とともにナニかが通り過ぎる。

それは味方の飛竜達の頭上をも通り過ぎ、ロウリアの飛竜の群れに突っ込んでいった!

あれはレッドアクシズの鉄竜か!?

 

ドドドドドッ!!!

 

鉄竜達が凄まじい轟音を鳴らしながら通り過ぎると何十体もの飛竜が堕ちていく……!!!

ロウリアの飛竜達は完全に混乱状態になり四方八方に散り散りとなっている。

こちらの飛竜隊も何が起きたのか理解できずに滞空を続けていた。

すると今度はゴーレムを吊り下げた鉄竜が何体も現れたではないか!?

何事かと混乱していると魔信から通信が入る。

 

『こちらはレッドアクシズ所属アインリーダーのウォルター・フェン!

到着が遅れて申し訳ない、これより戦闘を開始する!』

 

……援軍が間に合った!この戦い、勝てる!

 

「全軍に通達!レッドアクシズが援軍に来てくれたぞ!

飛竜隊は後退、巻き込まれるぞ!守備隊は援護射撃を絶やすな!」

 

 

 

Sideウォルター

 

【部隊編成】

・アインチーム

90式 4機

150式 4機

 

・ツヴァイチーム

90式 4機

150式 4機

 

・サードチーム

グリレゼクス 4機

ルフトローバー 4機

 

【航空支援KAN-SEN】

グラーフ・ツェッペリン

ツェッペリンちゃん

・出撃機

Me-155A艦上戦闘機 10機

試作型BF-109G 10機

 

「各機へ!頭上は気にするな!我々は地上の連中を追っ払うぞ!」

『『『『了解!』』』』

『了解、お前ら!ツェペリンちゃん達の頑張りを無駄にするんじゃないぞ!』

『当たり前だ!』

『レディ直々のエスコートを無駄にはしないさ!』

『てかランディ、お前妙にあの子に肩入れするよな?』

『え?もしかしてロリコン?』

『お前ら冗談でもそれをツェッペリンの姉御の前でいうなよ!?』

『安心しろ、もう手遅れだ』

『グレンー!?』

 

全く、騒がしい連中だ。………悪くは、無いがな。

 

「無駄口はそこまでだ!降下開始!」

 

懸架されていたヴァンツァー24機が一斉降下、地面に降り立つ。

敵の先頭集団も此方を目視したのだろう、動揺して明らかに動きが鈍っている。

 

「グレン、ボッシュ!予定通り三手に別れる!

作戦遂行に支障を来さない限りは臨機応変に対応しろ!」

『ツヴァイリーダー了解、ヘマはしないさ』

『サードリーダー了解、犠牲を減らせるように努力するよ』

 

グレン中隊が左翼、ボッシュ中隊が右翼へと向かっていく。

ロウリア軍もこちらのWAPを見てサッサと逃げ出してくれれば楽だったが思ったより根性があるようだ、前進はやめていなかった。

 

「アインリーダーより二番機、三番機へ、対人特殊装備の使用を許可!」

『了解、喰らえやぁ!』

『明石ちゃんの特別製よ!泣き叫びながら喜びな!』

 

二番機、ランディが機体の肩についたグレネードランチャーを、三番機が手投げ弾を投げ放つ。

それぞれが敵歩兵の頭上10mの高さで爆発、真っ白な粉を撒き散らす。

 

「なんだコ、ごほぉ!」

「ゔぇー!!」

「目がー!!鼻が〜!!」

「ど、毒の煙だぁ!」

「ゴーレムが魔法を使ったぞ!」

「逃げろ〜!!」

「死にたくねぇ!」

 

『すげぇ効果だな!』

『敵歩兵前進を停止、十分に効果を発揮してる模様』

「よし、一先ず様子見だ。突出してくる連中に注意し ろ!」

 

 

 

 

Sideグレン

 

「やれやれ、暴徒鎮圧でもしてるみてぇだな……」

 

催涙弾でパニックになっている連中を憐れに思いながらも周囲の警戒は怠っていない。

 

『そろそろ効果時間が切れますが、どうします?』

「おかわりの準備だ、たらふく食わしてやれ」

『了解しました、10カウントで再攻撃します』

「間違っても奥に投げ込むなよ、逃げ道をなくした死兵の相手なんてゴメンだ」

『ハッ!投下地点に留意します』

 

………こいつらのどれだけの人間が占領後の”お楽しみ”を目当てにしてたかは知らないが相手が悪かったと諦めやがれ、むしろ感謝してほしいぐらいだ。

そんなことをしていれば間違いなく指揮官のお嬢ちゃんの逆鱗に触れることになってたのだから。

 

「まぁ、あのお嬢ちゃんがお冠ならKAN-SENの連中も黙ってはいないか。

尚更感謝しろよ、馬鹿共め」

 

 

 

Sideボッシュ

 

『隊長!北側より騎兵を確認!』

 

やれやれ、風上から迂回すれば大丈夫と理解した連中がいたか……。

 

「仕方ない、攻撃準備。……すまない」

『気にしないで下さいよ隊長!』

『空で頑張ってるKAN-SENの嬢ちゃん達にばかりに負担はかけないさ!』

 

セイレーン戦争の弊害から軍人でも対人戦を経験したことがないものが多い。

ましてや相手は暴徒と変わらない脅威だ、抵抗のある者も多いと思っていたのだが、杞憂だったようだ。

二番機とともにバズーカを騎兵隊に向ける。

 

「二番機合わせろ、……撃て!」

 

ニ番機の2発の弾頭が騎兵隊の前方と中央に着弾、爆音とともに人間と馬"だったもの"が空を舞う。

それが止めになったのか後続の歩兵達が逃げ出し始めた。

空を見れば飛竜はすでにおらず、鉄血KAN-SENの戦闘機しかいない。

この状況で敵方の司令官殿はどう動くかな?

 

 

Sideアデム

 

「いったい何が起きている!?」

 

迂回した騎馬隊からの連絡は着ていない、恐らく先程の爆音から察するに全滅したのだろう。

先行した飛竜達が所属不明の鉄竜に蹂躙され、魔法を放つゴーレムどもが兵士達を蹴散らしている!?

こんな馬鹿なことがあってたまるか!?

クソ!亜人どもを蹂躙できると思えばこちらが蹂躙されるなど!!!

 

「すぐに部隊を再編して……!」

「アデム様!兵達が逃げ出し始めてます!」

「なんだと!?」

 

こ、根性無しどもが〜!!!

不味い!このままでは総崩れになる!

 

「今すぐ伝令を……!」

「敵騎がこちらに!!!」

 

部下が叫ぶと同時に凄まじい爆音と衝撃は辺りを襲う。

宙を舞う感覚とともにアデムの意識は永遠に閉じられた。

 

 

 

Sideグラーフ・ツェッペリン

 

試作型BF-109Gによる敵陣地へのロケット弾攻撃は成功、配置的に指揮陣地だったのだろう潰走が止まる気配がない。

 

「ギム侵攻勢力を撃退、作戦の第一段階を完了。

征くぞ我が同胞よ」

「うむ!海で頑張るの皆のためにも!」

 

………どうやら心配はなさそうだ。

我々役目は一先ず終わりだ、あとは第二段階の完了を待つとしよう。

 

 





書きたいことをうまく纏めるのも大変です。
他の作者さんには凄いと改めて思いました。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。