異世界にレッドアクシズの名を刻む!   作:有澤派遣社員

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新規計画艦開発完了記念その2
襲撃編

プリンツ・ループリヒト、最後になった君のための特別編だよ!
先に言っておきますが、ループリヒトが最後だったのは鉄血艦の戦術データ収集が1番楽だったからです。
ループリヒトちゃんの性格は大好きです。


幕間 第五期計画艦、抜錨!(2)

 

[ロデニウス大陸 クイラ王国 鉄血特区]

 

Sideフリードリヒ・デア・グローセ

 

今日は新規特別計画艦である巡洋戦艦が着任する予定であり、一度クイラ王国の鉄血支部まで来てもらう予定だったのだが……。

転移ゲートを抜けたと同時に脱走、そのまま海上要塞方面へと向かってしまったと報告を受けた。

まったく、お転婆過ぎる娘が来たものね……。

 

「で、被害は?」

『輸送物資の一部が盗難されました。

輸送艦そのものは上部装甲が艤装により食い千切られた程度です。

運行に問題はありません』

「本土のビスマルクへの報告は?」

『すでに報告済みです。

至急本土から増援を送ってくれるそうですが、おそらくは間に合わないかと』

 

ため息をつく、現在鉄血主力艦は大半コチラの世界で展開中。

さらにビスマルクとティルピッツは内政や他業務に忙しかったとすると……。

 

「戦艦クラスでの訓練相手はテューリンゲンやザイドリッツか。

リュッツォウはサボっていそうだし……。

元になった艦が旧式の彼女らでは流石に大変だったでしょうね」

 

艤装形態であれ艦船形態であれ、やはり元になった艦が旧いと世代差は否めない。

さらに彼女は計画艦、想定される世代でいえば自身に近い。

実戦であれば問答無用で叩きのめしただろうが、訓練となればある程度手心を加えながらになる。

それを理解せず純粋に性能差で訓練をしていたとすると、増長してしまう可能性はあるかしら?

 

「ともかく急ぎ連絡ね、今日はアイリスからの客人を迎えてるはずだからカグヤは要塞にはいるはず」

 

手のかかる子ほどなんとやらというが、どうしたものか……。

 

 

 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

 

 

[海上要塞ヴァルハラ近海]

 

蒼い空、碧い海。

そんな平和な海上を疾走する薄桃色の髪を靡かせる人型と、人型を囲うように展開する3体の蛇竜型の半自律艤装。

鉄血において7番目に開発された特別計画艦、巡洋戦艦プリンツ・ループリヒト。

その瞳には激しい嫉妬と憎悪が宿っていた……。

 

 

Sideプリンツ・ループリヒト

 

通りすがりにいたセイレーン駆逐艦2隻と人型セイレーン、スカベンジャー型に砲撃を叩き込む。

駆逐艦2隻は真っ二つになって轟沈、スカベンジャー型は回避が間に合わずに吹き飛んでいく。

ははは!やっぱセイレーンなんてザコじゃん!

 

「どいつもこいつも!大袈裟なのよ!こんなヨワヨワな奴らに苦戦してたなんて、大したこと無いわね!」

 

本土で建造されて以来、私は負けなしだった。

無論訓練なのだから向こうが本気でないのは理解していたが、

自身の調整が不十分であったことを考えれば条件としてはイーブン。

調整も完了して完成された私ならばザイドリッツ達を相手にも十二分に戦える!

そうだ、私は強いんだ!同じ戦艦型であるオーディンやフリードリヒにも匹敵するKAN-SENなのだ!

100歩譲って、強力な艤装を持つ空母型のアウグストスと比べられるなら納得もできた!

なのに、なのに、よりにもよって……!

 

「どいつもこいつも、ローン、ローン、ローン!

なんで戦艦の私が!重巡如きより下に見られなきゃいけないのよ!」

 

鉄血の最強格と嘯かれる(・・・・)存在にしてセイレーン撃破数の最大記録者(レコードホルダー)

戦歴がそこそこ長いならあんな雑魚どもを倒した数が多いのは当たり前!

政治にも関与して前線にあまり出れないフリードリヒ。

防衛戦向けの能力の関係上、艦隊規模で運用されたオーディン。

彼女らの撃破数が少ないのは単純に機会が少なかっただけのこと。

条件が同じであれば私や彼女らのほうが戦績は圧倒的に上なのだ!

なのにそれを理解出来ない馬鹿共は……!

 

(優秀な成績だな、流石にローン程ではないが)

(あれと比べては可哀想だ)

(”アレ”は別格だよ、いやKAN-SENの皮を被った別次元の”バケモノ”だ)

(おいバカ!滅多なことをいうな!指揮官の耳に入ればことだぞ!)

(事実だろ?正確な評価をしないほうが失礼だよ)

(まぁローンはむしろ肯定するだろうが……)

(我らの指揮官殿はローンにゾッコンだ、恋人の悪口を怒るのは普通だろ?)※ジョーク混じりです

(確かに!そりゃそうだわ!)※ジョーク混じりを理解している

 

「ようは指揮官とグルで戦績を偏らせたってことでしょ!ほんと最悪!」※ジョークを理解できなかった

 

無能な指揮官のお気に入りのために、なんで私が惨めな思いをしないといけないのよ!

なら私がローンの奴をボコボコにしてやって!

ついでに無能依怙贔屓指揮官を引きずり落としてやる!

 

「待ってなさい!たかが巡洋艦如き!私がわからせて(・・・・・)やるわ!」

ギシャ〜!!!×3

 

珍しく普段は気難しい生体艤装どもも今日は絶好調だ、負けるはずがない!

 

 

鉄血KAN-SEN【プリンツ・ループリヒト】、襲撃開始!

 

 

 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

 

 

 

砲撃により吹き飛ばされたスカベンジャーがむくりと立ち上がる。

片腕が千切れ、片足が拉げたが痛覚のない彼女からすれば特に問題はなかった。

 

『至急電。

所属不明、推定鉄血KAN-SENが襲撃してきたもよう。

交戦時の発言内容転送します』

 

我らへの上位命令権を持つ存在に通信を終える頃には、

沈みかけていた駆逐艦が光の粒子になっていっている。

そして自身も光に分解(・・)されて回収(・・)されていく。

上位命令権保持者は驚いた様子であったが、労いのお言葉をくれる。

 

 

お疲れ様、ゆっくり休んでね

 

 

…………会話内容を5重にプロテクト完了。

…………バックアップ作成完了。

…………システム休止。

…………お休みなさい、指揮官。

 

 

 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

 

 

[海上要塞ヴァルハラ北側区画 海上制圧艦"スサノヲ"専用港]

 

Sideカグヤ

 

ローンと一緒にアイリスからのご客人、ジャン・バールにブレストさんにスサノヲの見学をお願いされたので案内していると、

海上警備中のセイレーン部隊から緊急電が脳内に響く。

驚いて変な声が出てしまい恥ずかしかった……!

とりあえずスカベンジャーからの通信内容から状況を推測する。

 

・所属不明、その姿からおそらくは鉄血KAN-SEN。

・該当するデータは無し、新規建造KAN-SEN?

・ローンと私に対しての発言を確認。

・発言から推測するにローンと戦いたい……?

 

ふむ、なんて命知らずなKAN-SENなのだろう……。

もしやローンや加賀と同じバトルジャンキーか?

戦って死ねるなら本望!を地で行くタイプ?

 

「ん〜、どうしよう?」

「どうしました、カグヤ?」

「東南東の警備部隊が襲撃された。

そんで目当て的にたぶんローンの”お客さん”、みたいな?」

「へ〜、私の”お客さん”ですかぁ〜」ニタリ

 

恍惚とした暗黒微笑やめて、ジャン・バールとブレストさんがドン引きしてるよ……。

 

「では行ってきますね!」

「艤装形態限定だからね?そんで確保命令、絶対に沈めないこと」

「は〜い!イってきまぁす!」

 

ルンルンと艤装を展開して海上へと出撃していくローン

の様子をジャン・バールと私は不安そうに眺めている。

 

「カグヤ、大丈夫だと思うか?」

「………流石に、信じる、よ?」(;¬_¬) フイッ

「おい、こちらを向いて目を見て話せ」(#^ω^)

「し、信じたいけど、テンション上がったローンがどれだけヤバイかはジャン・バールもよく理解してるでしょ?」

「そ、そこまでの事態なのですか……?」

「………丁度いい機会か、戦闘が見える位置までいくぞブレスト」

 

状況を理解できてないブレストは困惑している。

知らない立場からすれば何を心配しているかは解らないだろう。

 

「それなら私も同行するよ、客人にばかり負担をかけれないし」

「艤装展開できないんじゃなかったか?」

「武装は装備出来ないけど水上移動と最低限の自衛ぐらいはできるようになった」

 

黒い小さなキューブが足に集まり黒色のゴツいブーツのような形状になる。

そして手元には真っ黒なハンドキャノンサイズのバカでかい拳銃*1が二丁形成される。

実はどれもセイレーン製、コンパイラーからのプレゼントである。

そんで念の為、応援に大鳳とオーディン、伊吹にも召集連絡をしておく。

 

「じゃいくよ、ブレストさん。………色々覚悟はしといてね?」

「は、はい…?」

 

相手さん、変な地雷を踏まないといいけど……。

 

 

 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

 

 

[海上要塞ヴァルハラ 近海]

 

Sideプリンツ・ループリヒト

 

体中がイタイ、目が霞んでる……?

違う、多分片眼潰れてるな、これ。

なんで、なんで、私は……?

 

「あらあら、ヤンチャなわりに呆気なかったわねぇ。

もうお仕舞なの?」

 

たかが依怙贔屓されただけの、巡洋艦ごときに、負けてるの?

あり得ない、接近速度も、攻撃の苛烈さも……!?

コイツはほんとにKAN-SEN、なの……!?

 

 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

 

 153秒

 

接近を確認して先制砲撃を加えてからの戦闘時間だ。

初撃の砲弾が海面に着弾し、大きな水柱が立ち上る。

砲撃が外れるぐらいは計算のうち。

及び腰になったところを叩こうとして、何故か水柱からローンが吹き飛んできた(・・・・・・・)

その光景に呆気に取られているうちに接近されて、

次弾装填完了して狙いをつけていた1番艤装が砲撃を受けて誘爆、頭部部分が吹き飛んだ。

残りの2番、3番艤装が砲撃をするがおそらくは避けられた。

水飛沫で視界がゼロになってしまい確認は出来なかった。

そして慌てて周囲を警戒しよとして、響き渡る炸裂音とともに3番艤装からの繋がりが無くなる。

なんで!?と思い振り向くと、首の根本から上が千切れて無くなった胴体部分にローンが立っていた。

ゼロ距離砲撃で吹き飛ばされた!?

2番艤装の副砲で攻撃させようとして、多重に響く爆発音とともにローンが超加速、飛び蹴りをモロに喰らい腹部と背骨部(・・・)に激痛が走った。

内部ダメージを確認した結果、背骨が砕けていた。

そしてローンへと噛みつこうとした2番艤装が、ローンの艤装に首を噛みつかれ………

 

グシャ!

 

噛み千切られた首が頭を垂れ、海面に落ちた。

 

残ったのは立つことも、姿勢も替えれない自身と、動かなくなった艤装。

そして……

 

「チェックメイト♡」

 

笑顔でトドメの砲撃を加えるローンの姿であった。

 

 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

 

 

 

Sideローン

 

久々の運動だったというのにもう終わってしまった………。

まさか蹴りの一発ですでに行動不能になっていたとは気づかずに追加で砲撃をしたのは失敗だったかな?

とりあえず仰向けで倒れてる彼女の横にしゃがんで顔を覗き込む。

 

「ねぇ?あなたお名前は?」

「プリン、ツ・ループリ、ヒト………」

 

う〜ん、確か次期特別計画艦がそんな名前だったような……?

 

「なんで襲撃なんかしたの?誰かの命令?」

「命令、じゃない、わた、しのワガママ……ゲホッ」

 

ん〜?命令でもないのに、味方を襲撃したの?

 

「襲撃の目的は?」

「あ、なたと、指揮、官……ゴホッゴホッ」

「ふ〜ん?私とカグヤをねぇ〜?」

 

一瞬、頭をかち割りそうになったが特に殺気もないので辞める。

カグヤにも殺さないように念押しされたし。

 

「ねぇ助かりたい?」

「あ、た…ゲホッゴフッ!」

 

苦しそうに人工血液を吐血する姿に、ニコリと満面の笑みをループリヒトに向ける。

もう喋る余裕さえないようね、これ以上は可哀想だし"放生"して………。

 

「こら、何してんの!?」

ポカン!「アタッ!」

 

ループリヒトの首元に手が伸びそうになったところで、カグヤに後ろから叩かれた、酷い……!

 

「むぅ、イジメ反対」

「どの口が言ってんだよ………」

 

呆れるジャン・バールと顔を青褪めさせて口元を押さえるブレスト。

カグヤはループリヒトの側にしゃがみ、彼女を横抱きに持ち上げる。

 

「ジャン・バールとブレストは艤装を回収してあげて!」

「解った」「は、はい!」

「体ボロボロじゃん……!?もうローン!やりすぎだよ!」

「ごめんなさ〜い♪」テヘペロ

 

据わった眼で睨まれ背筋がゾクリと震える。

カグヤから蔑まれるのもたまにはいいかも……!

 

「も、申し訳……」

「まったく!弱い者いじめは程々にだよ!

「グフッ!(弱い、私が……!)」

 

………あ〜あ、止め刺しちゃった。

彼女的に多分今の言葉が1番ダメージとして酷そうなんだけど、カグヤは気づいてないわね。

 

「ウッウウ、ウワァ〜……!」(ボロ泣き)

「あ!痛いですか!?大丈夫ですよ!すぐに修復できますからね!」

 

僅かばかり残ったプライドの欠片さえも砕け、心身共にズタボロになったループリヒトはガチ泣き。

カグヤは傷が痛むのかと勘違いして慌て始める、気遣われるほどに彼女のプライドが壊れていくと気づかずに……。

………ほっといても面白そうだからそのままにしておこ♡

 

 

*1
※外観形状はHELLSINGの【ジャッカル】





プリンツ・ループリヒトの特別編(わからせ回)

ループリヒトちゃんの性格、ツンデレメスガキかまってちゃんという表現で正しいのだろうか?

戦闘冒頭のローンの謎加速は次回に説明しますが、ヒントはロケットや弾の構造・仕組み。
それとローンの艤装は直結型で背面に全て集中していること。
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