新規計画艦開発完了記念その3
合流編
開発完了記念最期のお話になります。
[海上要塞ヴァルハラ 飛行場]
Sideチカロフ
同志アヴローラと共に同志指揮官に挨拶に来たのだが、なにやら騒がしいな?
近くにいた兵に聞くと、どうやら襲撃があったらしい。
「まぁ、それは大変ですわね!」
「その割には緊張感がないような……?」
「すでに状況は終了したらしです。
襲撃というのも正確ではないようでして……、
ふ〜ん、被害は”無し”ねぇ……。
ホントかしら?正確な情報がほしいわね。
同志アヴローラの後ろについていきながら思考に耽ていると、前から来る人影に気づく。
あれは……、重桜のKAN-SENか?
「アヴローラさん、申し訳ないのです。
指揮官が別件対応中で場を離れられないため代わりに来ました」
「お久しぶりね、綾波さん。この子が特別計画艦の空母、チカロフよ」
「この子て、まぁ別にいいですが……」
まぁ同志から見れば私なんて子供みたいなものか……。
「特別計画艦のチカロフよ。"鬼神"綾波よね?よろしく」
「おお!よろしく、です!」
目を輝かせて喜んでいる姿に微笑ましくなる。
しかし別件とは、先程の襲撃のことか?
「指揮官は今どこに?」
「KAN-SEN用修理ドックです」
「………被害は無かったと、聞いたが?」
「襲撃犯がKAN-SENでしたので……」
思わず目を見開いて驚く、さすがにKAN-SENが襲撃犯とは予想外だった。
「なるほど、修理ドックに詰め込まれたのは相手のほうか。
………申し訳ない、少々興味がわいた。ドックへの案内を頼む」
「むう、わかったのです。ではこっちです」
さてさて、一体どういうことなのやら……?
[海上要塞ヴァルハラ KAN-SEN用施設棟]
Side明石
このピンク髪の重傷患者を修理ドックにポイして起動準備確認、問題無し起動と。
指揮官が慌てて修理ドックの起動を指示したから何事かと思えば、予想の7割増しぐらい酷かったニャ……。
イヤな予感して夕張と不知火も呼んでおいて正解だったニャ。
「まったくローン!やるならもう少し丁寧に壊すニャ!」
「ごめんなさい、ちょっとテンション上がっちゃって、テヘッ」(*ノω・*)
「指揮官も、もう少しコイツに”手加減の仕方”を教育してくれニャ」
「明石と不知火の商売人根性を治す以上に不可能だと思うよ?」
あ、その例えは納得ニャ。ゴメンニャ、周る星を逆回転させるような話だったのニャ
しかしコレを治すのは大変ニャよ?
そもそも修理のためのデータは現在進行形でフリードリヒから転送して貰ってるような状態。
………取り敢えず応急処置して動ける程度にはしてあげるしかないニャ。
しかしこの子、よりにもよってローンに喧嘩売るとか自殺願望者かニャ?
「てかローンの”ロケットキック”をまともに受けて真っ二つにならない程度には頑丈で助かったニャ。」
「そんなパチモンヒーローみたいな技名つけないでくださいよ」ヽ(`Д´)ノプンプン
「いや、そのままの意味ではないか……?」
となりの夕張が呆れながら言った内容にローン以外のものらが頷く。
このトチ狂った戦闘狂、あろうことか後ろ向きに複数の榴弾砲を放って至近距離で爆発させて加速しているのだ。
発生した爆風を自身の展開する防弾シールドで爆発エネルギーをしっかりと受けてるあたり、
とんでもなく緻密な計算が必要なはずだがそれを直感的に行ってるようなのだニャ。
ロケットが科学薬品の爆発を利用してるのだから、火薬式は正確には違うかもしれないけど些細な違いニャ。
『足りない機動力は爆発で加速すればいける』という発想自体がもはやトチ狂ってるのニャ。
「ブレストだったかニャ?初の実戦見聞がこんな非常識なもので申し訳ないニャ」
「いえ、常識に囚われるのは危険だと痛感しました。
どのような状況でも取り乱さないようにするのは大切ですから……」
アイリスの新型さんは真面目だニャ〜。
そんなことを考えてると入口の扉が開いて綾波とアヴローラに……、あと一人は誰ニャ?
「指揮官、北方連合の方々をお連れしました」
「ごめんね綾波、アヴローラ様もお久しぶりです」
「様付けなんてしないでくださいな、この場の私は一兵器ですよ?
同志指揮官、この子が北方連合の新たなKAN-SEN、チカロフよ」
「北方連合特別計画艦、空母KAN-SENのチカロフよ。
貴女の噂はかねがね耳にしてるわ、よろしく」
「よろしくチカロフさん、今後ともよろしくお願いします。
何か入用であれば遠慮なくお願いします」
「クスクス、さんは要らないわよ。
ではどこか頑丈で自由に使える一室が欲しいわ」
「わかった、すぐに用意させるね」
………この女、もしかして研究者か技術者かニャ?
先程から無礼にならないギリギリのところで視線を周りに向けて値踏みをしているような様子ニャ。
………これは金儲けのニオイがするニャ!
※後日、明石からの購入物と支払い明細を事細かに記した報告書がカグヤ指揮官の元に届き、
不正な利益を巻き上げたことで大目玉を食らうのであった。
[海上要塞ヴァルハラ 来客用港湾区画]
プリンツ・ループリヒトの襲撃より数日後、一隻のサディア船籍の小型客船が誘導に従い接舷する。
その船からはまさにVIP待遇と呼べる扱いを受けながら2名のKAN-SENが上陸してきていた。
東煌KAN-SEN ハルビン
ロイヤルKAN-SEN プリマス
アズールレーン陣営側からの新規開発艦の訪問によりちょっとしたお祭り騒ぎとなっていた。
Sideハルビン
プリマス殿とともにタラップを降りる。
ここがセイレーン技術を解析して造られた海上要塞……。
ふむ、ほぼ自然がないというもの東大陸では見られん光景だな。
そして目の前に立つ人物こそが……。
「ようこそ新世界へ、カグヤ・エムブラと申します」
「指揮官様自らの歓迎ありがとうございます。
ロイヤルKAN-SEN、軽巡洋艦プリマスです」
「わざわざ出迎えてもらい申し訳ない。
東煌KAN-SEN、軽巡ハルビンだ。よろしくたのむ」
………?なぜかエムブラ指揮官殿の視線が首下になる。
プリマス ボン!、キュッ、ボン
ハルビン ボン、キュッ、ポッ
カグヤ フニ、スッ、トン
(………解ってはいるけど、虚しい)
…………なぜか指揮官殿が落ちこみ、とても申し訳ないような感情におそわれる。
プリマス殿も少し困った感じで苦笑いをしている。
「……あ、すいません!少し余所事考えてまして!」
「いや、問題無いさ。ではまず何処に向かうのだ?」
取り敢えず話題を振ってこのなんとも言えぬ雰囲気を振り払おう。
「貴女方からの要望が特に無ければ、まず始めに"皆さん"で集まり食事会でもしませんか?」
「む?その言い方、もしや他の五期組は到着済みか?」
そういえば出発前の連絡でチカロフの奴が一足先に新世界に向かうといっていたな。
「もしかして、私達が最後でしたか?」
「ええ!どうぞこちらにお乗りぐださい」
指揮官殿とともに装甲車両に乗り込むとに中央の施設へと向かっていく。
この新たな世界で東煌のためになる情報を集めなければな。
その後の食事会で全員の自己紹介が行われた。
久々に会った北方連合KAN-SENのチカロフと酒を楽しんだり、プリマスがアイリスKAN-SENであるブレストと意気投合して盛り上がっていた。
鉄血KAN-SENであるループリヒトが会話に乗り遅れて寂しそうにしていたので酒を飲ませたのかだが、
泣き上戸であったようで先日ボロボロに負かされたと泣き出してしまう。
思わず頭を撫でてやるとさらにギャン泣きされてしまい、四人がかりであやす羽目になったのであった。
いやホントに何があったの?
[アルタラス王国 王都ル・ブリアス 王都港]
Sideプリマス
ドレイクと共に降り立った港には民衆が集まりアルタラス王国旗とレッドアクシズの組織旗が何本も振られ、民謡楽器のによる音楽隊までいた。
私は特に気にはしなかったが、ドレイクは頭を痛めていた。
「一応調査任務なんだが、まるで国賓扱いだな……」
「歓迎されてるならいいではありませんか、しかしとても綺麗な場所ね。
戦火に焼かれず本当によかったわ」
そう周りを見渡していると勢いよく飛び出す人影が目に入る。
「ようこそ!アルタラス王国へ!歓迎するにゃ!」
「チェシャー、お前が我々を歓迎してどうするのだ……」
この方が噂のチェシャーね、話には聞いてたけどまるで猫みたいな方ね♪
奥からはネプチューンとモナークが一人の女性を警護するように歩いてくる。
「チェシャー様、お仲間に会えるのが嬉しいのはわかりますが、どうか落ち着いてくださいな」
「あ〜、ルミエスちゃんごめんにゃ……」
ふむ、この方がルミエス王女様ね。
う〜ん、他国の王族に対して適切な話し方と敬語が出来てない……減点3、と。
微笑ましい光景ではあるが任された任務に手を抜くつもりはないの、ごめんなさいね♪
盆休み幕間スペシャルはこれで終わりです。
取り敢えず計画艦はカグヤと相性がいいという設定なので頑張って出して上げたいです。