異世界にレッドアクシズの名を刻む!   作:有澤派遣社員

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総合演習一日目


疾走する巨人達

 

[ダイダル基地 仮設市街地演習場]

 

Sideランディ

 

重桜製ヴァンツァー 【150式】

右腕部 ガトリングガン 腕部破損判定のため使用不能

左腕部 シールド    腕部破損判定のため使用不能

背面部 リペアユニット 稼働中

 

半壊したビルの影で破損判定を受けた両腕部をリペアユニットで修復するがなかなか終わらない。

動悸が止まらない、緊張で目がかすむ……。

最初は四機いたはずの小隊も、部隊員の二人が既に墜ちたため、

あとはオレとウォルターだけ、いやホントどうしてこうなった!?

 

「ウォルター!敵機は!?」

『すまん見失った!そっちに行ったかもしれん!』

 

ウォルターの通信が終わるかどうかのタイミングで影が差し、恐る恐ると建物の上にカメラを向ける。

………マジかよ。

影が差した先、全身を黒色と灰色のツートンカラーをしたヴァンツァーがこちらに銃口を向けている。

 

『これで3機目』

 

そして左肩の大盾には龍が絡みつく白十字の紋章が描かれていた。

 

 

 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

 

 

Sideカグヤ・エムブラ

 

セイレーン製ヴァンツァー【VOLK(ヴォルク)フルカスタム】

両腕部 大型マシンガン×2

右肩部 可動式装甲+試作単分子ブレード

左肩部 可動式装甲+試作積層シールド

背面部 給弾ベルト付コンテナユニット(ペイント弾満載)

 

「これで3機目」

 

ランディさんが乗る150式をペイント塗れにして最後の獲物を索敵する。

………見つけた、目的地に向けて機体を加速させる。

くぅぅー!最高!加減せずに機体を動かせるのがこんなに気持ちいいなんて思わなかった!

90式やグリレゼクスだといつも機体のほうがヘタレちゃうから思いっきり動かせなかったんだよね!*1

かと言って頑丈な重装ヴァンツァーだと動きが鈍くてストレスだったけど、この機体ならイメージ通りの機動が出来る!壊れない!

崩れかけのビルを足場に空中に飛び出てサマーソルトを行う。

勿論テンションが上がっての無意味な動きではない!

……半分嘘です、オーバーアクションです。

機体が上下反転したタイミングで下にいたウォルターさんの90式を捉える。

向こうも気づいたがちょい遅い!

 

斉射(バースト)!」

 

大型マシンガンから雨あられとペイント弾がばら撒かれる。

しかしさすがはレッドアクシズ屈指エース、バック走行をしながら避けきりついでにショットガンで反撃までかましてくる。

散弾でこの距離なら有効判定はでないだろうけど念の為左肩の大盾を可動させて前に向ける。

 

〘左肩装甲ダメージ判定5%〙

 

機体からのダメージ報告を聞きながら飛び越えた先のビルに着地、すぐさま追撃を開示する。

通常のヴァンツァーなら既に脚部が2回は大破しているであろう急制動を繰り返しているがまだまだいけるようだ。

 

「機体性能頼みがなんだ!今日こそ白星を頂くんだ!」

 

ウォルター中佐との戦績、通算14連敗中。

内、機体が操縦に耐えきれず自壊したのが6回、付いたあだ名は”壊し屋(クラッシャー)”!

動かして壊れるほうが悪い!私は悪くない!

だから今日こそは勝〜つ!

 

 

 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

 

 

 

重桜製ヴァンツァー【90式改】

 

右腕部 ショットガン(マガジン式)

左腕部 2連装パイルバンカー

背面部 コンテナユニット

 

 

Sideウォルター・フェン

 

「くそ、あれだけ無茶な機動をしててまだ動くか!

やはりアレと正面からやり合うしかないな」

 

凄まじい機動性を見せる新型機ヴォルクの性能に舌を巻く。

北方連合の最新鋭機ヴィーザフもさすがにあそこまでの機動は出来まい。

時々勢いのあまり壁走りまでしているのはホントに勘弁してくれ………。

疾走しながら最後のマガジンを取り替える、これでいよいよ後がない。

 

「このまま逃げていてもジリ貧、こうなれば勝負を仕掛けるほかないか!」

 

勝負は一度きり、次の曲がり角で勝負を決める!

 

 

 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

 

90式改が急カーブを曲がるために僅かに減速したのを確認して、距離を詰めるチャンスと判断したヴォルクが一気に加速した。

しかしカーブを曲がった直後、何かに視界が遮られ衝突警報が鳴り響く。

90式改が背負っていたはずのコンテナが視界いっぱいに映る。

反射的に構えていた左手の大型マシンガンで殴りつけてコンテナを叩き落とすが、

その後ろからはショットガンを構えた90式改が急接近してきていた。

殴りつけた勢いのままに機体を捻り右手の大型マシンガンを前に突きだす。

 

互いに同時発砲、ショットガンの散弾がヴォルク右手の大型マシンガンを破損判定にし、僅かに発射された弾丸が90式改のショットガンと右肩に命中し破損判定を出した。

 

お互いに武装を一つ失う痛み分け、というには状況に差がありすぎた。

加速した上で大きくバランスを崩し初めたヴォルクと、

右腕を犠牲にすること前提で左腕の2連装パイルバンカーを腰だめに突撃する90式改。

破損判定を受けた大型マシンガンを手放し肩にマウントされた単分子ブレードの柄に手をかけるが、

既に90式改は必殺の間合いまで詰めてきていた。

 

「打ち抜くのみ!」

「させるかぁー!」

 

ローラーダッシュ機構最大速度、ヴォルクそのものが悲鳴を上げながら急加速、旋回機動を開始。

通常機ではあり得ないほどの爆速でのターンに地面が火花をあげて赤熱する。

パイルバンカーの射突動作が作動すると同時に180°ターンが完了、左肩の積層シールドが90式改の左腕を叩いた。

 

金属がぶつかり合う音とパイルバンカーの炸裂音が響き、

2本の必殺の杭はシールドの表面を掠めるだけに留まる。

そしてヴォルクの旋回機動は停まっていない。

 

「これで!」

 

右肩から単分子ブレードが外れ、旋回機動の遠心力を得て勢いよく横殴りに振られる。

 

「初白星!」

 

ブレードの刀身が90式改の左腕をパイルバンカーごと拉げさせた。

シールドの打撃とブレードの直撃を受けて転倒する90式改、旋回機動を停めて左手の大型マシンガンを構えるヴォルク。

勝敗はここに決まった。

 

「私の勝ちだぁ!」(ノ≧∇≦)ノ

「やれやれ、降参だ。負けだよ」( ´Д`)=3

 

〘撃破判定を確認、残存機無し〙

〘演習終了します、システム通常モードへ移行〙

〘撮影ドローン全機回収、中継を終了します〙

 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

 

 

 [ダイダル基地 データ観測室]

 

Side夕張

 

データ収集完了、結果は指揮官の勝ち、と。

フルチューンナップにも立ち会ったからある程度予想していたが、まぁ負けることはなかったか。

自国、他国の視察団らも色々と考察しているようだな。

 

北方「凄まじい性能ですな、我が国のヴィーザフも傑作だと思っていたのですが……」

重桜「確かに通常サイズのヴァンツァーとは思えない性能ですが、コストは………」

鉄血「そもそもあれだけの機動に耐えれる者がどれほどいるか……。

パイロットを"創る"ことから考えないと部隊規模の運用は不可能かと」

サ帝「………重桜や北方の異人種*2の方々でも無理なのですか?」

北方・重桜「「KAN-SENと白兵戦できるような奴なら、多分?」」

鉄血・サ帝「「あ、無理ですな」」

 

そもそもヴォルクの主動力がメンタルキューブだからKAN-SEN以外だと指揮官達みたいなキューブ適合者ぐらいしか動かせないがな。

………外法で考えるなら生体ユニットとしてKAN-SENモドキを製造して同乗させるか”組み込む”かしないと無理だが、

何だかんだと言って人のいい彼らはではそこまでの発想はでなかったか。

むしろ、それをやりそうなのは”コイツら”のほうだな。

会話にも参加せず部屋の片隅で一人黙々とデータ取りしてるセイレーンの人型自律型。

 

アビータ・TemperanceⅩⅣ

 

クラゲ型の艤装を外して小柄な女性体だけであるが、

コイツ一人でも十人以上のKAN-SENを相手取れるような存在だ。

指揮官の活躍をドローンやら設置カメラから接続して見ていたのか頬を赤らめて感動に浸っている。

よっぽどのことがない限り問題ないだろうが正直生きた心地がしない。

他の同席者らもセイレーンの人型個体がいるのには気づいてはいても、

よもやそこまでの強力な戦闘個体とは思っていまい。

正直生きた心地がしないので早めに退席願いたい、切実に………。

 

 

 

 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

 

 

 

 

[ダイダル基地 貴賓室『ムー使節団御一行様』]

 

Side吾妻

 

オーディンとマルコ・ポーロとともに指揮官様よりムー使節団の案内役に兼解説役として同行しましたが……。

 

 

…………ナニアレ?(。∀゜)

ラッサンが魂が抜けたような間抜けな顔で固まっている。

 

………?( ᐛ)バナナ?

マイラスは思考がパンクし意味不明な単語を発する。

 

ポポポポポ( ゚д゚)゚д゚)゚д゚)゚д゚)゚д゚)ポカーン……?

他使節団メンバーは思考が追いつかずに呆然とする。

 

案の定、貴賓室の面々は混沌を極めてますね。

 

「では引き続き鉄血公国とサディア帝国のヴァンツァー部隊による演習を始めます。

制限時間は一時間、機数は12対12の2個中隊による小規模演習となります。

詳しくはお配りしました資料の12Pをお開きください」

「我が鉄血機甲部隊の勇姿を是非みてくれ」

「ふふふ!栄光あるサディアの装甲騎士団の姿を目に焼き付けなさい!」

(まだビックリドッキリがあんの!?)

 

【出撃機内容】

鉄血機甲中隊

グリレゼクス 10機

ルフトローバー 2機

 

サディア装甲騎士団

ストレーガ 8機

クラスタシア 4機

 

(…………これで小規模演習?)

 

ムー使節団の方々の顔色がさらに曇ってしまいましたね?

自信満々だったオーディンとマルコ・ポーロも顔を見合わせて若干困惑しています。

う〜ん?この程度の規模の演習なんて月二ぐらいで行われてるのだけど、言わないほうがいいかしら?

 

…………結果として、残り機数が2対2で決着がつかず、残存機の消耗具合から暫定的に鉄血側の勝利となった。

制限時間いっぱいまで続いた演習が終わる頃には真っ白に燃え尽きた使節団の方々のお姿がありました。

 

 

 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

 

 

 

使節団来訪一日目午後のスケジュールを終了。

ロウリア新共和国のサディア系列の高級ホテルにて宿泊予定。

二日目のスケジュールは予定通りに進行。

 

・午前 重桜KAN-SEN金剛四姉妹主導による艦隊砲撃演習に参加。

 

・午後 グラメウス大陸にて北方連合陸軍による大規模火力演習を中継予定。

 

・また今回の演習内容はレッドアクシズの友好関係にある国家全てに映像情報を配信中。

 

 

 

〜一日目、ヴァンツァー市街戦演習を見た各国の反応〜

 

 

・クワ・トイネ公国、クイラ王国

「いや〜、味方で本当によかった!ほんとに……」

「今後もよい付き合いをしていきたいですな……」

 

・ロウリア新共和国

「俺ら、こんな連中と戦争してなんで無事だったんだ?」

 

・エスペラント王国

「北方連合に招待されたので明日の演習予定地にいます!」

 

・トーパ王国、アルタラス王国、フェン王国

「これで小規模?明日の大規模火力演習、どんだけの規模なん?」

 

・シオス王国、他文明圏外国

「…………絶対にレッドアクシズは敵に回さないようにせねば!」

 

 

*1
機体より頑丈なパイロット故の弊害、普通はねぇーよ!

*2
鬼人、獣人、人狼などの特異性のある人類全般




・機体解説

【ヴォルク フルカスタム】
セイレーン側で可能な限りのチューンナップを行ったカグヤ専用機。
カタログスペック上では他陣営の主力ヴァンツァーの一個小隊相当の戦闘能力を持つ一方、整備・運用コストは5倍近いトンデモ仕様。
その上パイロットを守る安全システム周りは不要のため全て撤去されてる。
スペックを見た各国軍関係者が驚愕し、コストを見て卒倒しかけた。

【90式改】
重桜の開発チームが【ヴィーザフショック】を受けて既存機のスペックアップを目指した改修型モデル。
信頼性と現場からの人気の高さから90式をベースに改修を施し、
総合性能は1.2倍近い向上に成功した。
しかしこれ以上の改修できる余裕は無いのも事実であり、
そのため重桜開発陣、メーカーは今後は新規設計する方針で決定している。
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