異世界にレッドアクシズの名を刻む!   作:有澤派遣社員

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※艦隊出陣より少しだけ時を戻します。


フェン王国防衛戦①

 

[フェン王国 ニシノミヤコ西岸上陸地点]

 

Sideベルトラン

 

上陸地点にて設営された天幕の中で報告をまとめながら今までになかった状況に困惑していた。

 

「……いくらなんでも何も無さ過ぎる、どういうことだ?」

「先行した部隊から連絡です!ニシノミヤコに人影一つありません!」

「そうか、蛮族どもに読まれていたのは予定が狂ったが仕方ない。

無駄な労力もなく上陸できたとしよう」

 

最初、一切の抵抗もなく上陸出来たため、武の国が聞いて呆れると思っていたが……。

 

「西側を捨てて首都で迎え討つ気か、浅知恵を絞り出したようだが無駄だ」

 

ここで戦わずとも結果は変わらん。

フェン王国に上陸した陸軍数は過剰なまでの戦力だ。

この国をさっさと落としてロデニウス大陸に向かわねばならん以上、寧ろ出鼻を挫かれるようなことが無かったほうがありがたい。

しかしここで功を焦るのは二流、盤石な体制で挑むことこそが最前。

魔信をとり後方の竜母艦隊へと連絡をする。

 

「私だ、ワイバーンによる威力偵察を頼む」

 

フェン王国に飛竜やそれに対抗できる戦力はなく、ガハラ神国から風竜が援軍がくる可能性は低い。

上陸を阻めなかった時点で貴様らの敗北は決定しているのだ。

唯一の懸念事故であったレッドアクシズを名乗る蛮族であったが、姿も形も見えない。

情報局の連絡では戦力の配置ミスをやらかしているらしいしな、

今頃大慌てで海戦への準備に奔走しているのであろう。

 

「レッドアクシズとやらも所詮名ばかりの新興国、自分達のことで手一杯だろう。

さっさと制圧して本番であるロデニウス大陸侵攻への準備もせねばな」

 

ふと空を見ると10騎ものオーバーロード種が内陸へと飛んでいく姿を捉える。

 

「偵察に向かった連中が戻り次第、我々も出陣するか」

 

そう思いながら天幕を出て部下達へ呼びかけをする。

 

 

 

…………しかし偵察に向かった部隊は予定時間を過ぎても帰ってくることはなく、多少の不気味さを感じつつも予定通り首都へと進軍を開始した。

 

 

 

 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

 

 

 

[フェン王国 山頂付近]

 

重桜製ヴァンツァー 【90式改】

右腕部 対装甲ライフル

右肩部 ライフル固定用アーム

左腕部 刺突形状型シールド

左肩部 観測用ガンカメラ

背面部 兵装コンテナユニット

 

 

Side彩峰慧

 

狭い操縦席の中で焼きそばパンを頬張っていると正面モニターに黒い点々が見え始める。

 

ムグムグ、ゴックン「ようこそマヌケさん達、四番機より各機へ。

西北西より飛翔物体確認、飛竜種型と推測、数10」

『了解した、各機兵装自由、目標が迎撃ラインを超え次第、確実に撃墜せよ』

『『「了解」』』

 

とは言ったものの、遠距離射撃は苦手なんだけど……。

まぁだからこそ雑に狙ってもいい弾を撃てる対装甲ライフル(コレ)にしたんだけど。

 

「………ココ」

 

迎撃ラインを超えた飛竜を狙ってトリガーを引く。

放たれた大口径弾頭が狙ったところよりやや右に逸れる軌道をとったが、許容範囲。

大口径弾頭の時限信管が作動し、ダーツ状の子弾へとなり弾ける。

 

フレシェット弾頭

対生物目標に対して十分な殺傷力があることは北方連合のグラメウス大陸解放戦にて実証済み。

 

無数の金属片が編隊の右翼を襲い2騎を撃墜し、1騎は騎手を失ったのかパニック状態になり隣接していた飛竜と激突、キリモミ状態で墜落していった。

他の6騎も状況を理解出来ずにいると他小隊機が放ったライフル弾により撃墜、全滅した。

はぁ、人を撃つ感触は、慣れたくないな……。

 

『二番機は広域索敵開始、情報を持ち帰らせるな』

『二番機了解、索敵システム起動します』

『四番機、観測カメラで何か補足できるか?』

「ないよ、海側からも」

『ではそのまま待機してろ、追って指示を出す』

「了解」

 

………千歳や千代田、まだ怒ってるかな?

彼女らは今回の内陸への誘引作戦に反対していた。

〘自分らが出ていけば手間なく簡単にケチらせるのに!〙と。

そんな二人を泣き落としで説得したら慌てた二人が引き下がったのたが、暫くして嘘泣きとバレた。

申し訳無さそうな千歳と頬を膨らませてプンスコとしていた千代田。

でも今回ばかりは譲れない。

彼女らばかりに負担を強いたくないのは勿論だが、"仲間"として頼れるのだと証明したかった。

 

「もう守られるだけなのは、いや……!」

 

セイレーンという圧倒的な存在を相手に、ただ守られるしかなかった自分が情けなく嫌いだった。

そして、自分らが守られるのが当たり前だと彼女らを拝む"フリ"をする連中がもっと嫌いだった。

セイレーン大戦が落ち着いてもそういう連中が未だに一定数、そこそこの権力を持って政界にいる。

父親やその友人、沙霧兄の同志らがそんな不届き者からKAN-SEN達を守る為に人権確立の派閥を作るも、情報操作のせいで一般市民からの受けが極端だ。

 

KAN-SENを蔑ろにしていると罵倒する者。

 

国賊、反乱分子だと敵意を向ける者。

 

真意を理解して応援してくれる者。

 

皮肉なことに純粋な崇拝派の方が私達の真意に理解を示してくれてるような状態だ。

だからこそ必要なんだ、私達がKAN-SENと共闘して侵略者を退けたという事実が……!

結局は、私達も彼女らを利用してる、のだ。

しかも他国も巻き込んで、軽蔑されても文句は言わない。

それでも、もう見たくない……!

 

"務め"のせいで指揮官に会えず寂しそうにする長門様と陸奥様。

 

妹の信濃様のために自ら"務め"を望んだ大和様と武蔵様。

 

そんな彼女らの現状に思い悩む友達(カグヤ)の姿。

 

 

「私達が、軛から解き放つ……!」

 

決意を新たに、覚悟を決めるのであった。

 

 

 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

 

 

 

[フェン王国 ゴクト平野 野戦陣地]

 

Side千代田

 

陣地中央に設営されたプレハブ基地でお茶を飲みながら外の風景を見る。

そこには木柵に固定機銃、侍鎧に小銃、丸太柵に迫撃砲となんともいえない光景が見えており苦笑いになる。

 

「なんともヘンテコな光景だねぇ〜」

「ええ、そうね……」

 

落ち込み気味の千歳姉に私も気分が沈みそうになる。

沙霧大尉(鬼畜眼鏡)と慧ちゃん達に海上での先制攻撃を禁止され、

さらには陸上での戦闘も制空権確保に尽力して欲しいと言われた。

最初はそれはもう反発したが、慧ちゃんの必死の説得に折れた。………すぐに嘘泣きと気付いてムキャーと怒ってしまったが。

 

「私達、頼りないのかなぁ?」

「……沙霧大尉殿も立場があります、それを尊重してあげましょう」

「それって私達の"人権"のこと?現状との違いがよくわかんないや」

「長門様達が、尽力してくれてるから、ね」

 

そう言ってお茶を啜る千歳姉。

う〜ん、難しいことを考えるのは苦手なんだけどなぁ〜。

でも長門様達が指揮官と自由に逢うことが出来るようになるなら、それは喜ばしいことだ。

 

「………シアトルとかユニオンのKAN-SENに聞いてみようかな?」

「ええ、きっと必要な知識になるわ」

 

よし、とりあえず悩み事は後回し!今は侵略者どもをボコボコにすることに集中しよう!

そう考えながら団子を頬張るのであった。

 

 

 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

 

 

 

[フェン王国 沖合の島嶼 竜母艦隊停泊池]

 

Side艦隊副司令アルモス

 

甲板にてフェン王国の方角を睨むように見続ける、時刻はもうすぐ夕日が沈む頃だ。

なのに偵察に向かった騎竜隊は勿論、調査に行かせた者達も帰ってこない。

 

「どういうことだ?いくらなんでもおかしいぞ?」

「もう日が暮れます、これ以上の出撃は……」

「わかっている!しかし原因が解らねば明日の作戦行動に支障が出る!」

「ではせめて明日の早朝にしませんか?竜達を早めに寝かせてやればなんとかなります」

「………仕方ないか、すまんがソレで頼むぞ」

「はっ!すぐに通達させます!」

 

部下が船内に戻るのを見届けて再び王国方面の海を見る。

胸騒ぎがする、それも今までにない薄ら寒いものがだ。

 

「まったく、勝手な行動をする連中もいるしたまったものではないな……」

 

今回のフェン王国への派遣された艦隊の中で離脱した連中がいたのだ。

無論、魔信にて勝手な行動をするなと警告したのだが、どうやら正式な命令書があるらしくそのまま北上していってしまった。

北、おそらくはリーム、トーパを経由するルートでグラメウス大陸に向かったのだろう。

唯一レッドアクシズで所在地が明確なのはグラメウス大陸にいる北方連合だ。

おそらくそれが狙いだろうが、海魔の脅威がどの程度か未知数なのにも関わらず強欲な連中だ。

 

「120門の超フィシャヌス級を含めた戦列艦20隻が抜けたのは痛いな……。

幸い竜母艦隊から引き抜かれてはいないから良しとしよう」

 

さっさとフェン王国を占領してロデニウス大陸へと馳せ参じねばならん。

こうなれば明朝の出撃に合わせて艦隊もフェン王国に接近させ、一気に蹴散らしてしまうしかない。

 

「そうなると早急に司令と相談せねばな」

 

未だにおさまらぬ胸騒ぎと悪寒を感じながらも、司令と通信をするために艦の中へと向かう………。

 

 

 

 

 

「…………みーつけた」

 

遠く、海面から顔を出す青髪の少女に気づくこと無く

 

 




今回はちょっと蛇足気味になった、反省。
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