異世界にレッドアクシズの名を刻む!   作:有澤派遣社員

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今回はパーパルディア視点で進行していきます。


フェン王国防衛戦②

 

【パーパルディア皇国海軍】

〘艦隊司令 ローガナン〙

・超フィシャヌス級120門級戦列艦「メルバハ」(旗艦)

・フィシャヌス級100門戦列艦 8隻

・80門級戦列艦 32隻

・50門級戦列艦 44隻

・オーバーロード種対応型改良竜母 4隻

・竜母 10隻

・砲艦(30門級含む)・揚陸艦・輸送船などの補助艦艇 270隻

 

日が昇って間もなくの早朝、フェン王国のはずれにある沖合の島嶼にて慌ただしく作業をする竜母艦隊の姿があった。

 

「急げ急げ!陸軍の奴らがお待ちかねだ!」

「オーバーロード種は後だ!先にロード種を飛ばせろ!」

「準備完了!次の騎を誘導しろ!」

 

次々に飛び立つ飛竜が上空にて合流して編隊を組んで飛んでいく。

 

オーバーロード種30騎

 

ロード種120騎

 

艦隊が保有する総数の半分近く、オーバーロード種に至ってはほぼ全てを出撃させる。

予定ではもう少し出撃させる予定だったが、早朝故に飛竜が起きなかったり機嫌を悪くしたモノもいたため今回の出撃数となった。

 

「ローガナン司令!出撃可能な騎の発艦完了しました!」

「よし、通達通り艦隊をフェン王国南海岸に向けて進ませよ!」

 

フェン王国侵攻艦隊司令ローガナンの指示の下、戦列艦と竜母の混合艦隊が帆を張り始める。

失脚したシウスの後釜として任命されたローガナンにとって、今回のフェン王国占領は自身の地位を確固たるものとする絶好の機会であった。

 

(わざわざ功績が手に入るかどうかも解らん艦隊戦をするよりも、こちらのが旨みがある。

それに占領の暁には好きにしてもよいと言われているしな。

くくく、さらにレッドアクシズの情報を手に入れればロデニウスに行った連中も出し抜ける……!)

 

ローガナンは舌舐めずりしながら、占領後の動きと情報源の確保などを思考する。

 

(密偵の報告ではジューオウだとかいうレッドアクシズの関係国が駐屯し、フェン王国防衛に参加しているとのことだ。

これらは確実に確保したい、運悪く死なないことを願うとしよう)

 

揚陸艦・輸送船と上陸地点防衛に戦列艦と砲艦十数隻を残し、ほぼ全ての戦列艦と竜母の艦隊が移動を開始する。

この大規模艦隊の勇姿に、ローガナンだけでなく同乗したパーパルディア軍人の殆どが、勝った後のことを考えていた。

 

 

 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

 

 

 

[フェン王国 ゴトク平野付近]

 

【パーパルディア皇国陸軍】

〘陸将ベルトラン〙

・戦列歩兵 1万

・移動式魔導砲 220門

・地竜リントヴルム 55頭

 

Sideベルトラン

 

これまでの道中ではこれといったことが起きることはなく、行軍そのものは順調である。

偵察に向かった竜騎士隊が未帰還なのが不気味ではあったが、今更止まるわけにはいかない。

ここで止まれば生涯腰抜けの誹りを受けることになる。

せめて上空からの支援は確実なモノとしたい、そろそろ増援の部隊が到着するはすだが……?

 

「………竜騎士達はまだか?」

「ベルトラン陸将…見えました…あちらを」

 

参謀のヨウシが指差す先、100騎を優に超えるワイバーンの大編隊が見えてきた。

よし!間に合った!これで確実に勝てる!

 

「全隊!進軍速度を上げろ!戦功を海軍に持ってかれるぞ!」

「「「「オオォー!!!!!!」」」」

 

陸軍の各部隊が進軍速度を上げて平原への突撃を開始するなか、ワイバーンの大編隊が頭上を通り過ぎていく。

これで先制攻撃や奇襲を受ける可能性はぐっと下がった。

「進め!進めぇ〜!」

「蛮族共を蹴散らせぇ!」

 

下がり気味だった部隊の士気も十分に回復してきている。

このまま平野を抜けて首都までなだれ込んでくれる!

 

 

 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

 

 

 

[フェン王国 ゴトク平野上空]

 

Sideとある精鋭竜騎士

 

いけ好かないが腕は確かだった同僚が未帰還になったのは少なからず衝撃だった。

10騎以上の精鋭竜騎士が何故未帰還になったのは結局解らず、正直未知への恐怖はあった。

しかしいざ来てみれば空は快晴で風が多少強いくらいで脅威らしき影もなく、地上には背の高い草と所々"大きな岩"と"小さな丘"があるくらいなもの。

きっと未帰還の連中もどこかで無事なのだろう。

遥か平原の先、遠くに木柵と"黒い塊"に"白い箱"のようなものが見え始めた。

 

「あれは、野戦陣地?あそこで待ち構える気か!?」

 

編隊の先頭も確認出来たのか、陣地らしきものがある方へと進路を修整し始める。

同じタイミングでこちらの編隊長からも続くように指示がきた、よし!空を掌握されるということがどういうことなのか蛮族共に教えてやる!

副司令曰く【制空権】という表現らしいが、要は頭上をおさえれば勝ちということだろう。

竜もなく魔法もないフェン王国に我々をどうこうする方法なんぞない、このまま……!

 

ブオォ……

 

……ん?なんだ?空耳?

 

ブオオォ……!

 

いや、違う!?空耳じゃない!?どこだ!?

必死に左右を見ると何人かも異常に気づいて目視で確認をし始めていた。

 

ブオオオオオォー!!!!

 

音が降ってくる、上だと!?

バッと上を、太陽が眩しい空を見上げ………

 

ババババッ!!!!

 

無数の赤い光が雨の如く降り注ぎ、自身の右肩と相棒の頭と片翼が抉れ血飛沫を上げる。

 

ゴゴォー!!

 

………何が、起こった?

”ナニカ”が眼前を通り過ぎたことを僅かに認識したところで、相棒だったモノの背から落脱し自身の意識は深い闇の中へと沈んでいった………。

 

 

 

Sideとある新米竜騎士

 

「何だよ、何なんだよ”アレ”は!?」

 

先頭を飛んでいたオーバーロード種20騎以上が”高空から来たナニカ”に反応出来ずに墜落していく。

嘘だろ?今前を飛んでたのは竜母艦隊の精鋭揃いだぞ!?

 

『緊急事態!緊急事態!!対処自由!応戦……!』

 

編隊長からの通信が不自然に途切れ、編隊の先頭が”ナニカ”に蹴散らされる(・・・・・・・)

 

「……は?なん…!?」

 

悪寒が走り慌てて急降下、かなり危険な角度だがそんな場合ではない!

 

バババッ!!

 

「〜〜〜〜!?!?」

 

すぐ脇を”死”が掠めていく。

うそだろ、降下したヤツがもう上昇してきたのかよ!?

下を見ようとしたところで、上昇していく”ナニカ”がすぐ近くを通り過ぎていった。

 

緑の羽ばたかない竜。

 

そうとしか表現出来ないソレは斜め上方の空を凄まじい速度で飛び、再びこちらへと向かって来ようとしている。

速い、オーバーロード種さえ置き去りにする高速性に笑いが込み上げ現実逃避しそうになる。

だが現実逃避気味に下を見て思考が停止した。

 

「嘘だろおい!?」

 

平原にあった”大きな岩”や”小さな丘”から黒いゴーレムのようなモノが出てきていた。

いや違う、出てきたのではない!上から岩や草の色の布を被っていただけだ!?

こんな、子供騙しみたいな……!?

 

ドドドッ!!

 

侮蔑と怒りという八つ当たり染みた思考は降り注いだ”死”によって強制的に途切れさせられた………。

 

 

 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

 

 

 

[フェン王国 ゴトク平野地上]

 

Sideベルトラン

 

「何だ!?何が起きている!?」

 

前方を飛んでいたワイバーンが遥か上空から降下してきた10体ほどの”ナニカ”に蹂躙されている。

目算だけでも既に三分の一が叩き墜され、さらに削られていっている。

しかし自身らも上の連中ばかりに気を回していられない、異常が発生しているのは空だけではないのだ。

先程まで岩や丘があった場所からは黒い人型、鳥足型のゴーレムが出現してきていたのだ。

 

「正面にゴーレムが6……、いえ!左から2体、右からも2体!?」

「不味い!?ゴーレムに半包囲されているぞ!?」

「落ち着けぇ!所詮はたかがゴーレムが10体、対してこちらは1万の軍勢だ!

数の優勢を活かせ!砲撃隊は急ぎ魔導砲を準備!歩兵は方陣を組んで火力を集中させろ!リントヴルムは前へ!」

 

パニックになってた直掩の隊が指示の下動き出すと周りの隊も落ち着きを取り戻し迎撃の準備を始める。

恐らくはゴーレムの威圧感でこちらを浮足立たせることが目的だったのだろうが、当てが外れたな!

空に関しては竜騎士達を信じるしかない、いくら地上が優勢でも空を抑えられたら勝算はぐっと下がってしまう。

 

「ゴーレム接近!意外と足が早いです!」

「近付いてきたゴーレムをリントヴルムで足止めしろ!」

「!?ゴーレムが何か構えた!?」

 

ヨウシの驚愕する声に思わず反応した。

構えた?ゴーレムが?何を?参謀が指差す方向を見ると

人型ゴーレムが手にしたナニかを、まるで銃を向けるかの………!?

 

ドドドッ!ドドドッ!

 

連続する大砲の如き"発砲音"とともに最前列のリントヴルムが粉々になっていく。

馬鹿な!?ゴーレムが銃を使う!?しかも、装填動作もなく連続射撃だと!?

目の前の状況を理解出来ずに目を白黒させていると、鳥足型ゴーレムの両側に付いたモノがこちらを向く。

まさか、あれも銃なのか!?

 

ガガガガガガッ!!!!

 

凄まじい連続音に音の途切れがわからない!

リントヴルムが血飛沫を上げてミンチとなり、近くで方陣を組んでいた戦列歩兵をも蹂躙する。

 

「がぁ!」「あ、ああ?」「ギャァァァ!腕がぁ!?」「あぎっ!」「足が!俺の足がぁ!!」

 

阿鼻叫喚の鮮血地獄が広がる、このまま好き放題にさせてたまるか!

 

「魔導砲!撃て!撃て!!撃てぇ!!!」

 

装填が終わった魔導砲から順次、砲撃を開始する。

最前に立つ鳥足型ゴーレムの付近に数発が着弾、その間にも人型や鳥足型の砲撃は止まずリントヴルムを次々に蹂躙していく。

そしてリントヴルムが全て地に伏した頃に、ようやく数発の命中弾が発生した。

 

「やったぁ!命ちゅ……!?」「無傷だとぉ!?」

 

鳥足型の中央部分に命中するも僅かに煤けただけ、とてもではないが効いているようには見えない。

事態を理解出来ずに呆然としていると、ヨウシが慌てた様子で上申してくる。

 

「ベルトラン陸将!一時後退を!このままでは全滅です!」

「しかし……!」

「ゴーレム共を南海岸まで誘引するのです!そこで戦列艦からの支援砲撃を要請すれば打倒できます!」

 

なんと!?そうか!それであればゴーレム共もひとたまりもあるまい!

空を見る、すでにこちらのワイバーンの数は極僅かとなっている。

ここで敵の飛行機械まで地上攻撃に参加し始めれば被害が拡大する、であればこれが最善!

 

「全軍後退!南海岸まで後退せよ!装備は捨て置け!」

 

リントヴルムが全滅していたこともこの判断を後押しした。

牽引式魔導砲の放棄は痛手だが、今は少しでも移動速度が必要だ!

一部の砲兵隊は後退命令を聞かずに独断で殿を引き受けていた、すまない!!

 

「あのゴーレムの足は意外と速い!急げぇ!」

「海岸まで走り抜けろ!」

「おお!艦隊が見えたぞぉ!」

 

海岸が見える位置までくると雄大なる我らの艦隊が見えてきた。

私は魔信を背負った部下を呼び、急いで通信をかける。

 

「こちらベルトランだ!敵ゴーレムに追われている!至急援護を頼む!」

 

 

 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

 

 

[南海岸近海 旗艦「メルバハ」艦内]

 

Side艦隊司令ローガナン

 

出撃した竜騎士達からの応答がないことに苛立っていると、部下から凶報が入る。

 

「陸軍の連中が敗走してるだと!?」

「はい!現在海岸まで後退中とのこと!」

「蛮族相手になんと恥知らずな……!

ええぃ!戦列艦を急ぎ岸辺へよせろ!竜母艦隊にはありったけのワイバーンを出すように伝えろ!」

「は!」

 

 

 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

 

 

[南海岸近海 オーバーロード種対応改良竜母「ドルセン」艦上]

 

Side艦隊副司令アルモス

 

「先発の竜騎士達が壊滅しただと!?」

「陸軍からの緊急連絡ではそのようです!」

 

馬鹿な!?あれ程のワイバーンを、しかもオーバーロード種を含む大編隊が壊滅!?

ということは敵に制空権を奪われているということか!?

フェン王国にそんな戦力があるとは考えられない、そうなると……!

 

「おのれレッドアクシズの仕業か!?帆を畳め!すぐに発艦………」

 

 

ドオォーン!!

 

 

「………は?何事だぁ!?」

 

突然の巨大な爆発音に慌てて周囲を確認する。

護衛の戦列艦が炎上している!?いったい何処から攻撃を受けている!?

 

ドオォン!!

ボゴォーン!!

ドオォーン!!

 

次々と戦列艦が、竜母が下部から(・・・・)爆発して炎上していく。

必死に海上と空を見るが敵影は無い、しかし原因不明の爆発が続き、次々と艦が沈んでいく。

何故だ!?何故敵の姿がない!?

 

「何処からだ!?何処から攻撃を受けているんだぁ!?」

 

 

ボオォーン!!!

 

 

悲鳴のような絶叫は自身の乗る竜母とともに爆炎の中へと消えていった………。

 




本作オリジナルキャラ紹介
【ローガナン】
年齢40代後半 少し頭が寂しい壮年の男性。
失脚したシオスに替わりに任命されたフェン王国懲罰艦隊司令。
派手な武功よりも堅実な成果を積み重ねるそこそこ優秀な将校で、今まで大きな失敗をしたことがない。
なかなか昇進できないことに不満を感じていた時に今回の艦隊司令を任命される。
そのためどのようなことがあっても今回の作戦を成功させようと躍起になっている。
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