異世界にレッドアクシズの名を刻む!   作:有澤派遣社員

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遅くなって申し訳ありませんでした。
今回でロウリア海戦は終了となります!


ロウリア海戦④(終)

 

[パーパルディア皇国 聖都パールネウス]

 

Sideドミディア

 

『………以上が現在報告出来る内容となります』

「そうか、ご苦労だった」

 

魔信を切り笑みを浮かべる、着々と準備と状況は揃いつつある。

もうすぐだ、あの時手に入れ損ねた"玉座"が正当なる者へと戻る時が来たのだ。

無論、表向きは私の可愛いヘリオガが玉座につくのだがな。

 

「皇都常駐の陸軍と臣民統治機構も掌握出来た、こちらも予定通りに事を起こすとしよう」

 

グチュグチャと湿っぽい音と鉄臭い匂いがする石造りの部屋へと顔を向ける。

 

「お前達、予定通り“食事”が済み次第、皇都に向かうぞ」

 

指にはめた竜の瞳を象った指輪が妖しく光りを放つ、すると奥にいた2つの影が蠢いた。

 

グルルルッ……!

 

一つはワイバーンオーバーロードをも遥かに超える巨大な竜種の影。

羽翼と翼膜、二対の異なる巨翼と左右で異なる形状の腕、全身の所々に金属を纏っている。

その姿は恐ろしさとともに不気味さに拍車をかけている。

 

『……フン、餌代くらいの仕事はしてやる』

 

もう一つの影が手にした"ナニカ"を投げ捨てる。

綺羅びやかな全身鎧を纏った3mを超える巨体が手にした彩飾ゴテゴテの兜を被る。

全身に纏う鎧はかつてパーパルディアが発掘した魔帝時代の遺物を流用した魔導甲冑であり、修繕費用だけで城が建つほどの手間がかかった代物だ。

コロコロと足元に転がってきた"ナニカ"が足元で止まる。

その"ナニカ"に目をやり、僅かな憐憫を向ける。

 

「……可愛そうに、最後まで狂えなんだか」

 

足元の"ナニカ"、かつて地下にて可愛がっていた"女の生首"には恐怖に染まった表情が張り付いていた。

 

『貴様らしくもない、今更同情か?』

「まさか、死に際ぐらい新しい一面を見れるかと期待していただけさ」

『クククッ、同族に対するものとは思えんな』

「同族?それこそまさかだよ!はははっ!」

 

石造りの部屋に響く笑いは何処までも傲慢で醜悪なものであった……。

 

 

 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

 

 

 

[ロウリア海域外洋上空]

 

Sideとある竜騎士隊長

 

『おいおい!なんだコイツら!?』

『まさか幻獣のグリフォンか!?』

『馬鹿を言え!ワイバーンよりもデカかったぞ!?』

「落ち着け!編隊を崩すな!」

 

大声で指示を出すがパニックが収まる気配はなく、視界の隅で別の編隊が蹴散らされるのを捉える。

クソクソクソ!?どうなってる!?機械動力の飛行戦力を持つ可能性があるとは聞いてたが、こんな化け物どもが出てくるなんて聞いてないぞ!?

グリフォンモドキがワイバーンを超える巨体が軽やかに宙返りし、次の獲物めがけて加速する。

そして翼から"何か"が舞い落ちると、それが巨大化して飛行機械となり耳障りな音を出しながら赤い閃光を放ち始める。

………ふざけんな!?あんなトンデモ連中相手にできるか!?

役に立たない部下に見切りをつけ、浮足立つ味方を見捨てて編隊から離脱を始める。

この混乱だ、敵前逃亡してもバレやしない!

竜母艦隊は駄目だ、バカでかい黒竜に蹂躙されている。そうなるとシオス王国方面に飛ぶしかないか。

そんなことを考えていると大きな影が差す、雲か?と思い見上げて後悔した。

 

「は、はは……なんだ、"アレ"?」

 

巨大、ただ巨大としか言い様のないワイバーンが頭上を飛び越えていく。

全幅だけで100門級戦列艦の倍はあろうかというデカさを持ち、無数の飛行機械を引き連れて悠然と飛んでいた。

まさか、レッドアクシズは、神竜を使役している、のか……!?

 

「なんでこんな奴らに、戦争吹っ掛けたんだよ……!?」

 

上から降下してくる飛行機械から放たれた赤い閃光の光景を最後に自身の意識は途切れた。

 

 

 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

 

 

 

[ロウリア海域外洋上空 空母型機竜艤装上]

 

Sideグラーフ・ツェッペリン

 

「予想よりも敵が分散しているな、統率も取れてる様子がない」

 

眼下に広がる光景に眉を顰める。個々で勝てないなら編隊を崩すのは愚行のはずだが……?

それすら出来ない程に混乱している?まさかコチラの戦力を全く把握できてなかったのか?

 

「………愚かな、いっそ憐れだ」

 

仮にも列強と嘯くのだから戦力で劣っていようとそれなりの練度と気概を期待していたのだがな……。

 

「自身を強者と驕った報い、死を持って償うがいい」

 

頭部モジュールの顎が開かれ荷電粒子を帯び始める。

推定被害範囲の射線上にいるエルベとヴェーザーに警告を送信、二人が離脱していく。

 

「消し飛べ」

 

放射状に拡散した荷電粒子がワイバーンの群れを蒸発させていった。

 

 

 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

 

 

 

 

[ロウリア海域外洋孤島付近 竜母艦隊旗艦【ヴェロニア】]

 

Side海将バルス

 

目が眩むほどの閃光に遅れ凄まじい落雷のような轟音が辺りに響く。

視力が回復した頃には上空に展開していたはずのワイバーンの殆どが消え去っていた……。

 

『竜騎士隊からの通信途絶!』

『何が起きてる!?誰か!誰か状況を教えてくれ!』

『こちらデュナス!船体一部が破断!浸水甚大!』

『こ、黒竜が!?イヤだ、死に……』

「はぁ……」

 

…………もう、どうしようもないな。

諦めから思わずため息が出る、ここまで圧倒的だと思考放棄もしたくなる。

参謀や副官も状況についていけず茫然としている。

 

 

「バルス様!わ、我々はどうすれば……!」

「………降伏だ」

「は?」

「降伏だ!急げ!こちらに戦闘継続の意志はないと示せ!」

「こ、降伏!?」

「まさか…!皇国軍の我々が!?」

「そんなことを言っている場合か!?状況が理解できないのか!?」

 

降伏に抵抗があるのは解る、皇国を貶める行為として厳罰化されており最悪一族郎党処刑にされる可能性もある。

今まで降伏に追い込めれたこともないため半ば形骸化しているものでもあったが、それ故にどのような処分が下されるかの判断も難しい。

 

「責任は全て私がとる!どうあっても勝ち目がない以上生き残ることを優先せよ!」

「わ、わかりました!」

「降伏の合図を上げろ!いそげぇ!」

「各艦にも通達しろ!」

 

………間に合うか?遠方に見えるサイズ感が解らなくなりそうな巨大ワイバーンとグリフォン、そして通り過ぎる度に大損害を発生させる出鱈目な速さの黒竜。

後者の黒竜は現在凄まじい速度で艦隊の外縁を飛んでおり、再び突撃してくるのは確実だ。

せめて次の突撃前にはこちらの戦闘継続意志がないことを示さねば……!?

黒竜の方角から閃光が迸ったと知覚したと同時に船体が凄まじい衝撃とともに爆ぜつし、自身の体も吹き飛ばされると同時に意識を失った。

 

 

 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

 

 

 

[ロウリア海域外洋 竜母艦隊付近]

 

Sideアウグスト・フォン・パーセヴァル

 

頭部モジュールから放たれた集束荷電粒子砲が艦隊中央を貫通し薙ぎ払う。

荷電粒子が通過した所々で水蒸気爆発が連続し、自身も大きく海水を浴びる羽目になった。

 

「水面ギリギリで撃つのは予想よりもリスクが高いわね……」

 

ベタベタになった髪をイジり気分が落ち込み気味なところで、残存する帆船のマスト天辺から旗が飛び出て凄まじい速さで左回転を始めたて。

 

「……???ナニアレ?」

 

あまりに珍妙な光景に攻撃の手が止まる。

アウグストは知らないことだがマストの上で振られているのはパーパルディア皇国の降伏装置である。

遠くの海洋からでも降伏していることが判るように大きな国旗を左に廻すために【風神の涙】を使い、風見鶏のように旗を降る降伏装置である。

しかし今まで使用されたことがなかったため、トンデモナイ欠陥が発覚していた。

 

「旗を回してるみたいだけど、何の旗を回してるのかしら?」

 

痛恨のミス、旗を回す速度が早すぎてイマイチ認識できないのであった!

 

「よく判らないから攻撃してもいいけど……、後でカグヤに怒られたくないし、どうしようかしら?」

 

わかりやすく白旗ならよかったのにと思いながら艦隊の上空を旋回し始めるのであった。

 

 

 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

 

 

 

[ロウリア海域外洋上空 空母型機竜艤装上]

 

 

Sideカグヤ・エムブラ

 

上空から戦域を把握していると残存する竜母艦隊からのマストから回転する旗が上がりはじめた。

何かしらの魔術儀式の可能性は有り得そうだけど……。

 

「……ペーター、あれ降伏の合図かな?」

「さすがにそうでしょう、この距離で魔力を測定方法がないので万一はありえますが」

「ロデニウス大陸の測定器だともっと近づかないと役に立たないからね。

早く実用レベルの魔力測定装置の作成しないと……」

 

今だに機械式魔力測定装置については北連と鉄血で共同開発中であり、遠距離での精度問題がクリア出来ずに難儀している。

 

「各員に通達、戦闘行動停止。………逃げる敵は追わなくていいから」

 

降伏はせず独自の判断で戦域を離脱していく船もチラホラと見受けられるが数としては少数だ。

 

「ペーター、降下して。グラーフ達ともに救助活動を行うよ」

「了解した、でも万一があるから気を抜かぬこと」

 

ペーターからの年押しにキョトンとしていると綾波がため息をつく。

 

「指揮官さん、自棄になった兵が襲ってくる可能性を考慮してほしいのです」

「へ???あ、そうだよね」

 

セイレーン相手だとそんな可能性が発生しなかったので完全に抜け落ちていた。

そうだよね、目の前に敵の司令官がいれば一矢報いろうと後先考えずに攻撃してくる可能性はありえる、ウンウン。

 

「わかったよ、襲撃とかには注意しておくね」

「…………ダメです、多分"襲われる"の意味が伝わってないです」

「だな、少々箱入りに育て過ぎたか………」

 

あれ?なんか反応が変?

頭を悩ますような二人の反応に私は首を傾げるしかなかった。

 

 

 

 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

 

 

ロウリア海戦が始まって僅か2時間足らずで趨勢は決まった。

戦列艦を主力とした大艦隊群は半数以上を損失、海域を無事に離脱出来た船は2割に満たなかった。

外洋にいた竜母艦隊も竜騎士の7割近くを損失、竜母自体も離脱成功出来たのは僅か十数隻。

大半の竜母は大破、もしくは拿捕される形となった。

そして離脱した船の殆どは最も近い友好国であるシオス王国へと向かうのであった。

 

「さて、最後の詰めだ!せいぜい派手にやるぞ!」

 

ジャン・バール率いる戦艦3隻、超巡・重巡洋艦からなる派遣義勇軍艦隊が"最後の仕上げ"に向かっているとは知らずに………。

 

 

 

 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

 

 

「ところでペーター?」

「ん?どうした?」

「今回の海戦に合わせて、サディアのKAN-SENは全艦召集されてたよね?」

「ああ、故に全員この海戦に参加してるはずだ」

「海域内にリットリオ、カラビニエーレ、トリチェリとレオナルドの反応が無いんだけど……?」

「なに……?まさか別行動しているのか?」

「………無茶してないといいけど」

 

 

 




更新が遅れて申し訳ありません、どこかでペースアップ出来るようにしたいです(泣)

リットリオ達の動向も早めに上げれるよう頑張ります
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