異世界にレッドアクシズの名を刻む!   作:有澤派遣社員

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クーデター勃発、同時並行する話が多くなるかもしれないです。


皇都は燃えているか

 

時は少し遡り、シオス王国に派遣義勇軍艦隊が到着する数時間前………

 

 

[皇都エストシラント パラディス城]

 

Sideレミール

 

……………あれから、何日が過ぎた?

最近は日の感覚が判らなくなってきた。

思考が霞み、起きてる時間よりも寝てる時間のが長いように感じる……。

痛みはあまり感じない、そもそも感覚自体がないような……?

それに付きそいの医師は薬を処方するが魔法による治癒はあまり進んでいないように感じる………。

だめだ、思考が回らない………。

早く身体を治して、ルディアス様にご助力を………。

リットリオ様…………、私は………。

…………また急に眠気が……、やだ、もう……寝た………。

水底に沈んでいくように、意識を手放した。

 

 

 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

 

 

 

[皇都エストシラント 皇都防衛軍基地]

 

Side魔信技術士パイ

 

いつも通り魔力探知レーダーを見ていると内陸側から高魔力反応が確認出来た。

 

「え?何これ?」

「どうした?」

「内陸方面、パールネウスのある方より高魔力反応です」

「なんだと?」

 

上司と共に訝しながら数値を確認する。ワイバーンなんて目ではない数値に計器の故障を疑うもつい先日点検したばかりなのであり得ないだろう。

 

「他の数値に異常はないので故障ではないはずです」

「そうか、念の為竜騎士を上げるぞ。号令を出せ!」

 

号令とともに数騎の竜騎士とオーバーロード種が滑走路へと出てくる。

しかし何故か、とてつもなく嫌な予感が過ぎる……。

改めてレーダーを見ると正体不明の高魔力反応が凄まじい速度で接近し始めていた。

ロード種どころかオーバーロード種よりも速い!?

 

「え!?嘘でしょ!?高魔力反応急速接近!」

「なに!?」

 

上司の驚いた声とともに耳障りな不快な音が辺りに響き渡った。

 

ギギギギーーー!!!!

 

 

 

 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

 

 

 

[皇都防衛軍基地 滑走路]

 

Side第18竜騎士団第2飛行隊隊長デリウス

 

ギギギギーーー!!!!

 

スクランブルを受けて滑走路を移動していると耳障りは音が辺りに響き、思わず耳を塞ぐ。

 

「なんの音だ!?」「耳痛ぇ!」

 

周りにいた人間は悶える中、滑走路に出てきたオーバーロード種は呆然と音のした方角を見つめていた。

人間よりも聴覚がいいワイバーンの反応が弱いことに疑問を持っていると、突然ワイバーンが滑走路を走り出した。

 

「な!?おい待て!」「止まれ!止まれ!」

「駄目だ!言う事聞かねぇ!」

「竜舎のワイバーンが!?」

 

遠くの竜舎にいたワイバーンも扉を破壊し出てきて次々に飛び出していく。

無数のワイバーンが滑走路を無秩序に走り出すため、何体かは助走中に他のワイバーンと接触して転倒したり、助走距離が足らずにオーバーランする個体も何体もいる。

しかしそれでも無理やり飛び立とうと暴れ出す、まるで操られるかのように……。

 

「どう、なっている……?」

 

あまりに不自然な事態に目を白黒させていると上空を巨大な影が通り過ぎる。

全幅がワイバーンの倍以上の二対の異なる翼を持った竜らしき生物、その手には大きな籠のような物を持っていた。

 

 

 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

 

 

 

[皇都エストシラント上空 【魔竜ジャバウォック】背上]

 

Side????

 

魔竜ジャバウォック、パーパルディア皇国にあった古の魔法帝国の遺跡、魔導生命体研究施設にて封印処置をしていた個体だ。………オレと一緒にな。

 

『フン!“指輪”による影響こそ癪だったがようやく暴れられるか!』

 

無駄に彩飾過多な鎧、劣化修復された魔導アーマーを全身に纏った魔導生命体。

"究極の魔導生命体(ノスグーラ)"の量産型、その改修モデルこそがこのオレ、【レオノス】だ。

 

『魔帝様が復活なさるまでの暇潰しだ!精々楽しませろよ!』

 

ドミディア自身も人間にしては面白いヤツだ。無論、滑稽という意味でだがな。

人間の分際で人間を家畜扱いする!まるで魔帝様の猿真似のようではないか!ハッハハハ!

無数の下位竜種の群れを引き連れて眼下の家畜共の国を見ながらルノスの高笑いが辺りに響くのであった。

 

 

 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

 

 

 

[皇都エストシラント上空 魔竜ジャバウォック吊り籠内]

 

Sideドミディア

 

魔竜の動きに合わせて多少揺れるが豪華な内装でワインを飲める程度には快適だ。

 

「思ったよりも快適だな、ワイバーンに同じことができんのが残念だ」

「叔父上、その………」

 

前に座るヘリオガが若干混乱しているようで不安そうな顔をしている。

 

「どうした?」

「その、本当に、兄様がご乱心を?」

「ああ、大変嘆かわしいことだよ……。無理な軍拡により重い税に苦しむ市民、他国への侵攻するために物資を無駄に消費している」

「でも、それは皇国の発展のために……」

「発展のためと言えば聞こえはいいが、すでに国の基盤に無理をきたし始めてるのだよ」

 

大きくなった国を維持するために他国を侵攻して、また大きくなっては侵攻を繰り返す……。

挙句の果てに“世界の覇者”なぞと夢物語を見る始末、そんな無駄なことに"私の"国を消費されたのではたまったものではない。

 

「故に国のため民のためにルディアスの奴を止めなければならん。

そしてヘリオガ、お前にこそ新たな皇帝の座についてほしいのだ」

「自分が、皇帝に……」

「大丈夫だ、私が宰相として補佐につくよ。頼りにしてるぞ?」

「!?はい!頑張ります!」

 

無邪気に笑顔を向けるヘリオガに笑顔の仮面と僅かばかりの憐憫を向ける。

私の言う通りになるように育てたとはいえ、ここまで素直なのも考えものだな。

 

(やった!叔父上と一緒にいられる!頼ってもらえるんだ!)

 

ドミディアの真意に気づかないヘリオガ、ヘリオガの純粋な心を察せないドミディア。

眼の前にいながらもすれ違う二人、血の繋がりを持ちながら悲しいものである……。

 

 

 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

 

 

 

[皇都エストシラント パラディス城 城門前]

 

Sideパーラス

 

ついに今日という最高の日がやってきた。

ドミディア様が玉座を手にし、我々【顔無しの支配者(ノー・フェイス)】が表舞台に立つ日が!

秘密結社としてそれなりに“美味いこと”やってきたが表立って動けないことを歯痒く感じたことが何度あったか……。

しかしそれも今日変わる。ククク!最後の点数稼ぎを始めるとしよう!

臣民統治機構の面々を伴って城門前まで来ると門番が慌てた様子でこちらを静止させてくる。

 

「お、お待ちを!これは一体……」

「やれ」

 

パンッ!と乾いた音とともに門番が倒れる、よりにもよって今日門番とはまったく不運な奴だ。

銃声を聞いて慌てて出てきた連中が、後ろから組敷かれ剣で刺された(・・・・・・・・・・・・・・)

昨日まで酒を飲み交わしていた同僚からの突然の凶刃に信じられないという顔をしながら息を引き取る。

 

「首尾は?」

「外壁沿いから中庭までの掌握は完了しています。あとは僅かばかりの近衛くらいです」

「よろしい、では正面門を開け」

「はっ!開門!」

 

正面門が開くと外に待機していた陸軍がぞろぞろと入城してくる。

現在皇都にいる陸軍の殆どが“コチラ側”だ、万一にも敗北はありえん。

唯一、融通のきかなかった皇都防衛隊もご自慢の竜騎士が無力化されては脅威ではない。

 

「では諸君、行くとしよう。我々の時代の幕開けだ」

 

空を見上げると無数のワイバーンオーバーロードを引き連れた巨大なな竜が中庭へと降り立とうとしていた。

 

 

 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

 

 

 

[皇都エストシラント パラディス城 執務室]

 

Sideルディアス

 

いつも静かな城内がまるで蜂の巣を突いたかのような騒ぎになっている。

原因は言うまでもなく、中庭に降りた化け物と正面門から入ってきた愚か者共だ。

 

「どういうことか!状況を報告しろ!」

「はっ!パーラス率いる臣民統治機構と陸軍が謀反を起こした模様!中庭に降りた巨竜にはドミディア閣下の紋章が見られました!」

「……!?あの、恥知らずめがぁ!」

 

父上を謀殺し私利私欲を満たすしか能のない下郎が!等々本性を顕にしたか!

処刑するには証拠不十分だったのとレミールが悲しむやもと恩情をくれてやったのに!やはり無理やりにでも首を切っておくべきであった!

 

「また城外への連絡手段を制圧されました。現在我々は孤立無援の状態です!」

「くぅ!手を回されてたな、これではパーラス以外にも寝返った奴は確実にいる……。アルデはどうした!」

「本日は陸軍の者らに戦術討論会へ招待されていたかと」

「……身柄を拘束されたな」

「はい、恐らくは。最悪向こう側の可能性も」

「どのみち不在なのは変わらん、打つ手がない……!」

 

手詰まりだ、あまりにも戦力差がありすぎる。

近衛兵長の士気は高いが、守衛や使用人は怯えて役に立ちそうにはない。

無駄に意地をみせても好転はありえない………。

 

「………無用な流血で城を穢したくはない」

「ルディアス陛下……!」

「玉座の間にて向かい入れる、すまんが最後まで付き合ってくれ」

「………解りました、無念です」

 

悔しがる近衛兵長をつれて玉座の間へと向かう。ドミディア……!簡単には皇帝の座は譲らんぞ!

そもそもドミディアはかつての悪行が原因で正統な継承権が剥奪されている。

賛同者がいくらいようとも民からの支持を得るのは難しいだろう。

レミールを矢面に立たせる気か?いや、血統的に無理がある。

先帝、父上の実子は自分だけであり、愛妻家で潔癖症だったために妾などもいない。

そもそも民からの支持率は高いのだ、故にまだ逆転の目はある。問答無用で我の首を斬ろうものなら一波乱は免れん。

それこそ我自ら玉座を譲る(・・・・・・・・)とでも言わぬ限りは強硬策は取れぬ、はずだが………。

あのドミディアがそんなことに気付かないはずはなく、そんな短絡的な行動をするようなヤツでもない。

………まぁいい、相対すれば解るだろう。この国を貴様のような卑劣漢にくれてやってたまるか!

 

 

 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

 

 

 

[皇都エストシラント 路地裏]

 

Side???

 

薄暗い路地裏、目元以外の全身を覆う都市迷彩コートを纏いながら音を立てないように颯爽と駆けていく。

空を見上げると無数のワイバーンが飛び交い通行人の殆どが空に注意が向いており、こちらに気付く者は皆無であった。

 

「まったく、到着早々情報収集も出来ずに動くことになるとはな……」

「どうします?」

「止まる訳にもいくまい。なぁに、少し派手に動くことになるだけだ」

「はぁ…、頑張ってお供しますよ」

「ああ、頼むぞ」

 

私がウィンクをすると同伴者が深い溜息をついて呆れる。

 

「あ〜、後で女帝陛下に怒られるなぁ」

「あの方なら笑って許すさ」

 

報告内容は大スペクタル映画みたいなのになるだろうと思いながらも目的地、パラディス城へと向かうのであった。

 

 

 




量産型ノスグーラ【レオノス】
パーパルディアの遺跡にて発見され、劣化修復された魔導アーマーを全身に纏った魔導生命体。
"究極の魔導生命体"ノスグーラの量産型であり、魔法適性を落とし近接戦闘に改修したモデル。
高い再生力と身体向上魔法によりオリジナルのノスグーラ並みの戦闘能力を持つ。
ただし魔力の全てを肉体強化に回しているため、攻撃魔法は使えない。

【魔竜ジャバウォック】
かつての古の魔法帝国、ラヴァナール帝国で開発された対竜特化型魔導生命体。
竜を狩る魔導生命体をコンセプトに製造され、下位の竜種を支配下におけ兵器としての性能自体はそこそこでの完成度だった。
しかし魔導生命体としても最大サイズで運用が難しくなった上に製造には結局相当数の竜種の生体部品が必要になると本末転倒となってしまい、試作されただけで量産はされなかった。
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