長い間更新ができず申し訳ありません、更新速度上げれるよう頑張ります!
時は少し遡り皇都襲撃直後………
[皇都エストシラント陸軍駐屯地 会議室]
Sideアルデ
「おのれぇ……!このアルデ一生の不覚……!よもやこんな暴挙にでるとは!」
先程まで対ロデニウス大陸攻略会議を行っていた一室にて半ば幽閉される形になっている。
会議室は盗撮、盗聴対策に窓は無く壁は厚く作られており、唯一の出入り口には武装した兵に固められていて脱出は困難。
せめて剣の一本でもあれば、一矢報いてやれるというのに!
しかし無いものはどうしようもない………。
「陛下……、どうかご無事で……!」
己の無力感に苛まれながら、ただ必死に祈るしかできることは無かった……。
[皇都エストシラント 第3外務局]
Sideカイオス
窓から見える無数のワイバーンと巨大な翼竜が空を飛んでいるのを局員全員が不安そうに見ている。
兆候らしいのはあったが。ここまで大規模のクーデターとなるとは……!
一連の不穏な動き、やはり背後にいたのはドミディア公爵で間違いなさそうだが、もはや後の祭りか……。
「………これは、我々も相応の覚悟せねばならんか」
パーパルディア皇国建国以来、幾度と反乱はあったがどれも大した成果も出せずに鎮圧されてきた。
しかし今回ばかりは成功するだろう、あのドミディア公が失敗するような計画をするとは思えん。
やるならば確実に勝てる状況でしか行動に移さないお方だ。
「ドミディア公は拡大戦略に反対派だったな、今後のことを考えればよいのかもしれんが……」
兄君であった先帝の毒殺疑惑を始め、黒い噂も結構あるのも事実……。
前途多難だな、と周りに気づかれないように溜息をつくのであった。
そして時は戻り………
[皇都エストシラント パラディス城]
Sideルディアス
ドゴォン!
玉座の間にて近衛兵長らと共に待ち構えていると重厚な扉が轟音とともに勢いよく開いた。
近衛兵らが銃剣を構えるも破城槌でも使ったのかという事態に皆が動揺している。
最初に入って来たのは3メートルを超える彩飾過多な全身鎧の巨体と完全武装した陸軍の兵士達、そして……。
「こうして会うのもいつぶりかな?ルディアス陛下」
「ドミディア……!」
二度と顔を見たくなかった男の姿に思わず憎しみが噴き出すが、ドミディアはどこ吹く風と歩き始める。
「やれやれそのように殺気立つでない、恐ろしくて震え上がってしまいそうだ」
「どの口が……!」
近衛兵達がドミディアへと銃剣を向けるが全身鎧の巨体が最前列の眼前に一瞬で現れる。
「は?」「なっ!?」
『死ねぇ!』
グシャリ!という音ともに二人の兵がまるで粘土細工のように叩き潰される。
ひび割れた床と赤いシミとなった兵の姿にその場が凍りつく。
どこぞの奴隷亜人かと思っていたがそんな生易しいものではないぞ!?
「レオノス、雑にやり過ぎだ。もう少し綺麗にやりたまえ」
『ふん!コイツラが脆すぎるのだ!もう少しホネのあるやつはいないのか!?』
「単独戦力で君に勝てるような存在はこの国にはないと以前話したと思ったが?」
『集団なら少しは相手になるかもとも言っていただろ!この程度の連中が千人束になろうと物の数ではないわぁ!』
耳に纏わりつくような不快感を催す声に思わず眉を顰める、ホントに何なのだこの不気味な存在は……!?
周りの近衛兵か怯えているのを見ても情けないなどとは口が裂けても言えぬ、これは個人の武力でどうこうなるような存在ではないと本能が警鐘を鳴らす。
だがそれと同時に、そんな存在を平然と相対出来ているドミディアにも同様に理解出来ない恐怖を感じている……。
震える余を見てドミディアが嘲笑しながらこちらへと歩み寄ってくる。
「まるで幼子のようなお姿ですな陛下、あまりの情けなさに憐れみさえ感じますな!」
「く……!無礼者どもめ……!」
「ですがご安心くだされ!陛下には大任がありまする故、害をなすつもりはありません」
「大任……だと?まさか玉座を譲れと脅迫するつもりか!?」
そうだとするなら舐められたものだ!命惜しさにそのような愚行をするものか!
余が屈しぬ限り貴様が正統な皇位継承を得ることはない!
せいぜい皇帝殺しの大罪で民衆から吊るし上げられるがいい!
しかしドミディアは笑みをより深めてこちらへとさらに歩み寄ってくる。
「脅迫なんてとんでもない、陛下には
ん?ドミディアが手の甲をこちらに向けて……?
「私のかわいい
指にはめられた指輪が妖しく光ったと認識したと同時に余の意識は途絶えた………。
[パラディス城 離宮]
Sideエルト
ノイスとまだ傷の癒えぬルーナと共に離宮の廊下を慌ただしく走っていると、本城からの喧騒がコチラまで聞こえてくる。
「不味いですな、エルト殿!本城は予想以上の速度で制圧されてるようですぞ!」
ノイスの悲鳴混じりの叫びに焦りが募る。
元々はレミール様を診ている宮廷医師が何処からか多額の金を受け取っていたという情報を得て調べてみれば案の定真っ黒であったため、その詰問のために訪れたのだが……!
「急ぐぞ!賊がレミール様のお命を狙うやもしれん!」
最早そのような状況ではない、なんとしても安全な場所までお連れしなければ!
バン!と扉を乱暴に開けると豪奢な寝台の側にいた宮廷医師が慌てた様子のこちらを振り向く。
「な!何だ貴様ら……」
「ふん!」
「アベシっ!?」
思いっ切りビンタをくらわせると簡単に昏倒する。いや、弱すぎんか?
念のためつま先で突くが起きる様子はない、これは……。
「……顔色が悪いな、相当心労が溜まってたようだな」
「そのようですな、もし陛下にバレたらと気が気でなかったのでしょう………」
ノイスが縄で縛り上げながら同情混じりに溜息をする。
「少しだけ哀れですが、いい気味です」
そういながらゲシゲシと蹴りつけるルーナ、こらこらやめなさい。
「レミール様は……寝ていらしゃるな。申し訳ありません、お触りします」
ルーナと二人がかりでレミール様を持ち上げて車椅子へと移動させる。
包帯の隙間から見える痛々しいお姿に思わず目を逸らしそうになる。
「ああ、レミールさま……!」
「……急ぎましょう、はやく脱出せねば」
そうだ、不届き者どもがいつ来るかもわからん、急がねば。
眠るレミール様の負担を考慮しながら足早に離宮の廊下を駆け足で進んでいく。
幸いまだ離宮まで賊の手は来ていないようで、時たますれ違う使用人がいる程度だ。
使用人達もこちらを見て一瞬驚くも一礼して見て見ぬふりをしてくれた。
当然正面門は使えないため、普段搬入に使う裏門へと向かう。
特に問題なく来れた、これなら……!
しかし離宮の扉を開けたところで十数人の臣民統治機構が待ち構えていた。
「お待ちしておりましたよ、皇族を攫う国賊諸君!このケダンの慧眼から逃れられると思っていたのかね!?」
中央の指揮官らしき若い男が大袈裟な身振りで叫ぶ。なんですコイツは?
「ケダン、確か臣民統治機構の副長だったはずです」
「なんかウザそうなヤツですね……」
同感だな、こういう軽薄そうな男は好かん。
「離宮から城壁を超えるならこの使用人出入り口しかあるまいと待ち伏せしていたのさ!」
聞いてもないことをペラペラと話しているが事実として不味い状況であることは確かだ。
なんとか打開策はないかと周りを見ると、隊員らがニタニタした下衆い笑みを浮かべているのを見て鳥肌が立つ。
…………死んだほうがマシな目には会いたくはないな。
どうにかしてこの状況を打開しようと辺りを見渡すもそう都合よくある筈もなく、思わず舌打ちしてしまう。
「おやおや舌打ちとは端ない!美人が台無しですよ?もっと優雅さを大事にせねば」
「引き連れている者達のが余程優雅さに欠けてるようですが?」
「フフフ、これは失敬!後ほど注意しておきますよ、貴方方を捕縛してからね!」
ここまでかと諦めかけたところに城壁の上からローブを身に着けた何者かが包囲の外側に舞い降りてきた。
おおよそ人が着地したとは思えぬ衝撃音に驚いたケダンや他の統治機構の者達が一斉に振り向くも、
石畳が砕けるような衝撃をものともしてないであろう謎の人物の登場に誰もが事態を理解出来ずに固まる。
「ギリギリ間に合ったと思ってよいのかな?この状況は?」
ローブの人物が立ち上がると同時にフードが外れ、その姿を見て誰もが息を呑む。
散りばめられた宝石のように輝く若草色の長髪、赤薔薇の如き紅色の瞳。
そして何よりも美の女神と見間違うほどの整った美貌、この世の存在とは思えない存在がそこにいた。
「さぁ!美しきシニョリーナらを取り囲む悪漢どもよ!諸君らに問う!君達は私の“敵”で相違はないね?」
その相貌には不釣り合いな鋭い殺気がその場を支配した。
本作オリジナルキャラ紹介
【ケダン】
年齢20代後半 二枚目を自称する三枚目なキザ男。
臣民統治機構の副官。
資産家として有名な伯爵家の長男坊でナルシスト。
見た目はイケメンだがどこか抜けておりカッコイイというよりは面白い人物。