異世界にレッドアクシズの名を刻む!   作:有澤派遣社員

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人によっては賛否分かれる展開かもです。


愛は極上の蜜

 

[パラディス城 旧王妃室]

 

Sideカグヤ・エムブラ

 

ーーーーー会談中の皇帝ヘリオガからの衝撃(笑)発言より数時間経過ーーーーー

 

『申し訳ない!これよりは関係者各位で急ぎ議論する故、ご客人方は別室にてご寛ぎ戴きたい!』

 

そう言われて宰相ドミディア公より案内された部屋にて寛がさせて貰っている。

内装はそこまで綺羅びやかではないが、トレント曰く置かれてる家具はどれも手の込んだ高級品らしく関心していた。

軽食を運んできた使用人から教えてもらったが元々は先王ルディアスの母のプライベートルームだったらしい。

ゴテゴテした装飾を嫌う人だったらしく、成る程と納得すると同時にそんな部屋を客人に割り当ててよかったのだろうか?とも思った。

既に日が傾き初めており、恐らく今日はどこかで泊まりかな?

 

「しかしまさか皇帝から告白されるなんて………」

「ど、どうするんですか?」

 

マエストラーレとリベッチオが心配そうにこちらを見てくる。

 

「うん、まぁどうするも何もお断りするしかないというか?」

「でしょうねぇ……」

 

トレントが飲んでたカップを置いてため息をつく、まぁそりゃそうよね……。

 

「正直結婚するしない以前に、もう、その、ね?」

 

色々察した三人が「お疲れ様です……」と憐れみの目を向けてくる、うん。

"主上"や"主席"は本人が望むなら特に反対しないだろうけど、"皇帝"は政治的に無意味な婚約は反対、"女帝"は自分以外との婚約なんてそもそも反対。

さらに言うなら鉄血、重桜KAN-SENの一部からの反応が予想がつかない。

セイレーン側は………ん?どうなんだろ?

 

「ストレングス、もし私が結婚したらどう思う?」

「………?おめでと?」

「あ〜、そうじゃなくて、結婚して貴女達と一緒にいられなくなるかも……」

「ヤダ」

 

だよね!(諦め)そもそも、その、もう心に決めてる人がいるし///

お菓子作りとお世話が好きな嫉妬深い戦争狂……、字面にすると理由解らないわね(^_^;)

彼女とは結婚できなくとも生涯を共にする“片翼”であることは既に決めている。

 

「とりあえず、婚約話については戻っても報告には上げない方針でお願い」

「余計なトラブルの元だし妥当ね」

 

そんなことを話していると扉がノックされる、どうぞと返事をすると使用人が青い顔で入ってくる。

 

「し、失礼します、エムブラ様は居られるでしょうか……」

「はい、私がそうですが何かありましたか?」

「その、あっと……、皇帝陛下が二人きりでお話しをしたいと……」

 

………これヘリオガ陛下の独断だな。

青い顔をしてるのを見るに宰相達には知らせずに連れて来るように無茶なお願いをされたのだろう。

ここまで執着されてる理由がイマイチ解らないが、公の場で婚約を断る前に直々にちゃんと話を合わせないとまた暴走しかねない。

 

「解りました、ただし護衛は連れていきたいのですがよろしいですか?」

「え!?しかし!」

「一人だけ、入室はさせずに部屋前にて待機させますので、これ以上は譲歩出来ません」

「………はい」

「トレント達は待機、他の人が訪ねてきたら対応お願い。ストレングス、行こ」

 

まったく、まだ10歳くらいとはいえ自身の権力に責任問題が付き纏うことを少しばかり説教せねば!

部屋を出てしばらく移動すると豪華な扉の前に案内され、ストレングスに待機してるようにお願いし自身だけ中に入るとそこには幼い皇帝が一人だけで座っていた。

まさか護衛も側近もいないとは思わず目を見開いていると嬉しさを隠しもせずに声をかけてくる。

 

「お待ちしてました!さぁどうぞこちらに!」

 

促されるまま対面へと座ると、ヘリオガ陛下は目を輝かせて話し始める。

 

「呼び出すような形になってごめ、コホン、申し訳ないです」

「いえ謝られるようなことはないです。このように陛下と直接お会いできる機会を得られたことに最大限の感謝を」

「………ここにはボク以外いません」

 

んん?どこか拗ねたような声色?

 

「ええ、確かに少々不用心かと……」

「そうじゃなくて、その、もっと気がねなく……」

「え?」

「お互い立場を一旦置いていて、気軽に話しを……」

 

………あ〜、成る程。あくまでプライベートな付き合いの場にしたいということかな?

他国の私にそのような態度でいいのかと思うが、自国の人間に対してこそ弱みを見せまいと気を張っているのかもしれない。

自分も若輩ながら組織のトップに座らせてもらっている立場だ、わからなくもない。

自分にはKAN-SEN、セイレーン達など気を張らずに接することができる者らがいるが、皇帝である彼にはそのような身近な人間がいないのだろう。

 

「……わかった、敬語は無し、ね?」

「!、はい!」

 

尻尾があったら千切れんばかりに振っているであろうと思うほどの笑顔が眩しい。

 

「じゃあ早速!カグヤ(・・・)の国、レッドアクシズのことを教えてほしい!」

「え?レッドアクシズについて?」

「うん!カグヤが住む世界がどんなのかは“コレ”である程度見たけどもう動かなくなっちゃって……」

 

そういってソファーの下から取り出したのは普及型のタブレット端末だった。

何故コレがここに?と疑問を持つもとりあえず確認する。

どうやらただのバッテリー切れのようだ、充電すればまだ使えるだろうがこのパーパルディアに電気はない。

 

「バッテリー切れ、動かすための燃料が尽きてる状態ですね。コレをどこで?」

「叔父上がレミール義姉様の邸宅から回収したものだよ。実はコッソリ持ち出したから叔父上はそれの存在を知らないかもだけど……」

 

なかなかにヤンチャなヘリオガ陛下の行動に頬をひきつらせながらも納得する。

恐らくリットリオがレミールに渡したと言っていた閲覧資料がコレだろう。

個人端末用に持ってきた予備バッテリーがあるなら充電は可能、もう少し話した感じで教えてあげよう。

 

「とりあえずまずはレッドアクシズについてですね。そもそもですがレッドアクシズは国名ではなく組織名で……」

「え!?」

 

 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

 

 

[聖都パールネウス付近 辺境地]

 

Sideルパーサ

 

聖都パールネウスの外れにある辺境といえる場所、かつての皇族が隠居生活をするために作られた屋敷。

自分を除けば使用人、護衛というなの監視人は全て憎きドミディア公の息のかかった者ばかり。

クーデター以降、ルディアス様は魂が抜けたように無気力になり、こちらから促さなければ食事さえ満足に取ろうとしない。

 

「…………」

「ルディアス様、昼食のお時間です」

「…………、ああ」

 

以前はワイン好きでこちらから飲む量に小言を言うことがあったが……、今では飲むことさえ珍しくなってしまった。

かつての豪華な食事とは比べ物にならない程に質素な食事を義務的に処理する姿があまりにも痛々しい……。

さらに退位して以降、時々頭を抑えて俯くこともあり、最初こそドミディア公の手の者に毒でも盛られてるのかと思い毒味もしてるが自分には特に影響はないためその可能性低い。

そもそも、何故あのヘリオガとかいう先王陛下の隠し子と嘯く(・・)存在を認め、自ら退位などしたのか?をそれとなく聞くもまったく聞き出せずにいる。

先王陛下の愛妻家振りは相当であり、なかなか子を授からない王妃の代わりに側室を娶っては?と提案した愚か者を一族郎党処刑にした程である。

なので隠し子などあり得ないことはルディアス陛下は重々承知のはずなのに……。

何かが致命的におかしくなってるのは間違いないが、どういうカラクリなのかが解らない。

一瞬、何かしらの魔法かと考えて即座に一蹴する。

そんな“御伽噺のような都合の良い魔法”なぞあり得ない。

もっと現実的に考えねばと思うも、もはや御伽噺の空想くらいしか説明がつかないのも事実上。

 

「…………」

「陛下、食事が終わったのでしたら少しばかり散歩に出ませんか?適度に運動せねばお身体に障ります」

「………、ああ」

 

いつか陛下が正気に戻ることを願い、今日も真摯に世話をしていくのであった。

 

 

 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

 

 

 

 

[パラディス城内 皇室用プライベートルーム]

 

 

Sideカグヤ・エムブラ

 

「………このよう我々の国々では魔法に類似した特殊技術はありますが魔法技術自体はは手探りな状態であり、殆どはムー国と同様の科学技術でなっているのです」

「すごい……、あの鉄船もゴーレムも魔法を使ってないなんて!」

 

年相応に目をキラキラさせるヘリオガ陛下に思わず微笑んでしまうと、顔を赤くして俯いてしまう。

 

「その、こんな場で言うのも、変ですが……、正式な婚儀はいつ……」

「………すいません」

「……え?」

「婚儀についてはお断りします」

「そうですよ、ね……」

 

露骨に残念がるが仕方なさそうに苦笑、さすがにいきなり結婚は無理があるのは自覚があるようだ。

 

「で、でも相談役としての常駐は……」

「自分は若輩ながらもレッドアクシズ軍部総責任者、他国に常駐するのは色々問題がありますので」

「……ヤだ」

「ん?……!?」

「イヤだ!」

 

バンッ!と机を叩いてヘリオガ陛下が立ち上がる。

その瞳からは昏い狂気が滲み出てきており、机越しに私の手を掴み取る。

 

「イヤだ!イヤだ!!イヤだ!!!!やっと見つけたんだ!ボクの、ボクだけの"聖女"を!絶対に、絶対に手放したくない!」

「な、にを言って……」

 

目を白黒させていると掴み取った手にポタポタと雫落ちる。

先程までの狂気を宿した瞳から涙がポロポロと流れ、縋るような声で……

 

「ヤダ、ヤダ、お願い、お願いだから……」

 

ああ、私はこの子の"瞳"を知っている。

両親に続いて"先生"を、心の拠り所を無くして頃の自分だ。

当時自分はただ孤児であったから自分の殻に閉じ籠もることで耐えることが出来た、しかしこの子は?

なんの拠り所もなく、国の頂点として逃げることも許されない。

何故自分なのかは解らないが、彼なりの固執する理由があるのだろう。

ここで拒絶してしまったら、この子は心を壊してしまうのでは?と思うと強くでれなくなってしまった。

無意識に彼の頭を撫でようとしたところで扉が突然開かれる。

 

「不用心が過ぎるぞヘリオガ」

「叔父上……!」

 

そこには厳しい表情で佇むドミディア宰相が立っていた。

 

 

 




できるだけ続きは早く上げます(土下座)
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