アズールレーンの指揮官の名前は【マクスウェル・ノア】愛称がマックスにしました。
[重桜本土 首都島]
Sideオブザーバー
………カグヤが追跡不能というシミュレーション結果を100の百乗以上繰り返しては絶望するばかりの無意味な時間が過ぎていく。
かつての私が今の無様な姿を見たら間違いなく軽蔑していただろう。
たった一人の実験体を失っただけで、自分はここまで壊れてしまうものだったのか。
他の端末達はカグヤの追跡を中断し、この世界を諦めて別手段を模索する方向にシフトを始めている。
そうなればピュリファイアーの端末の新造もしなければならない。
………私も、機能不全の、原因を……カグヤの、記録を……!!!
イヤだ、無くしたくない。
あの子を忘れるくらいなら、切り捨てられたほうが遥かに………!
カグヤ、愛しの…………ん?
「何?この反応?空間操作が起きてる?」
反応座標は……ユニオン大陸?
星のほぼ真反対の位置の空間操作が索敵もせず感知できてる?
そんな馬鹿みたいに出鱈目な出力を誰が?
索敵システム起動、正確な座標点確認……。
………ユニオン技術研究施設上空に鏡面海域?
展開権限使用者はオブザーバー、私になってる?
私は何もして……まさか!?
「あぁ……、これで追える。カグヤが、道を、開いた!」
こんなところに居る場合ではない!
この反応を辿ればカグヤの元に辿り着ける!
私はすぐさま鏡面海域の座標点へと転移をした。
[ユニオン本土大陸 アズールレーン本部]
Sideサラトガ
『技術研究施設上空にて鏡面海域の反応確認!』
『こちら近海警備中のノーザンプトン!なんかスゴイことになってるよ!』
『施設にいる北方連合のKAN-SENと連絡できず!』
一体何が起きてるのよぉ!
これはもう指揮官代理権限の範疇を逸脱してる事態よ!!
「ああも〜う!指揮官との連絡は!?」
「駄目です、通信が安定せず繋がりません!」
よりにもよって指揮官がユニオン軍本部に呼ばれいない時にこんなことが起きるなんて!
さすがのサラドガちゃんでも無理なものは無理なんだよ〜!
[ユニオン軍本部 情報管理局]
Sideパルルトン陸軍中将
『施設上空に大穴を確認!計測不能!』
『施設より緊急連絡!スサノヲが起動を開始!船体をブラックキューブに変換して上へと向かってるそうです!』
『大穴に向かって施設周囲のものが吸い上げられ始めてます!』
『施設からの避難と撤収はまだ終わらんのか!?』
そこら中から悲鳴のような報告と情報が飛び交っていた。
映像中継している中央モニターに目をやると空に赤黒い大穴が空き、そこに向かって大小様々なブラックキューブが昇っていっている。
………これ以上の醜態と機密漏洩の可能性を看過するわけにはいかんな。
「施設からの撤収は困難と判断、施設の放棄と機密保持のため【"M.I.D.A.S"】を起動する」
私は認証キーを片手に持ち、側近たちに起爆用端末の立ち上げを指示する。
すると周りの連中が正気を疑うような目でこちらを見てきた。
「中将、正気ですか!?」
「無論正気だとも、起動時の効果範囲設定内に民間施設は無い」
「半径1キロ四方を”消滅”させる代物ですよ!?」
【"M.I.D.A.S"】
あらゆる構造体を分子分解、莫大なエネルギーを持って範囲内のみを消滅させる対セイレーンの切り札であった指向性爆弾だ。
「研究施設と軍港の損失は大きいが、機密保持が最優先だ」
「ではせめて避難の完了を待ってください!現在あそこには北方連合のKAN-SENが……」
「だからこそだ、将来の憂い諸共消し飛ばせば良い」
絶句する馬鹿共を無視して起爆準備をしていると、視界の端に足早に来る者が見えた。
「それはどういうことですか!?中将殿!?」
………タイミングの悪い奴め。
私は溜息を付きながら振り返る。
「これはこれは、ノア指揮官殿。このような所に何用で?」
「黙れ!さっきのはどういう了見だと聞いている!」
「潜在的な脅威の排除、といえば理解できるかね?」
「あんたはKAN-SENをなんだと思ってる!?」
「ユニオンに帰属してないKAN-SENなぞ、ただの道具であろう?
それは貴殿が最も理解しているだろう」
「それは……!」
ふん、青二才めが。自国のKAN-SENに市民権や法的権利を保証しているのはユニオンのみだ。
他の陣営では象徴やら神格化やらして丁寧に扱われてはいるが所詮は道具の延長線でしかない。
「時間の無駄だな、起動シーケンスは?」
「もうすぐです、あと1分ください」
「パルルトン中将!」
「くどいぞ若造が!貴様の腑抜けた言葉なんぞ……」
「その行為は、アイツに!
青二才が言った瞬間、ハッと後悔したように目を背けた。
だから青二才なのだ、………愚か者め。
「無論だ、ユニオン軍人としての責務を果たすだけだ」
「起動準備完了です」
ラフィー殿………もはや一緒に酒を飲むことは叶わぬだろうな。
私は自爆コードを入力、認証キーを回す。
ユニオンの国益を守るため、これでよいのだ。
柄にもなく感傷に浸っていると側近が焦った様子を見せる。
「どうした?」
「起動失敗!"M.I.D.A.S"がコードを受け付けません!?」
「なんだと!!!」
「遠隔操作を何者かに妨害されてます!」
バッと振り返ってノア指揮官を確認すると、頭を抱えた様子でモニターを指さされた。
モニターを見ると大穴へと吸い込まれていく残骸に紛れて奇妙なものが見えた。
円柱状の物体"M.I.D.A.S"が触手のようなものに絡め取られながら上昇していっている!?
そしてよく目を凝らして見ると"M.I.D.A.S"の上に座る人物がいるではないか!
「セイレーン”オブザーバー”です」
「な、なんということだ……」
"M.I.D.A.S"の起爆を阻止させた以上、もはやここからできることはない。
私は無念に思いながらも、どこかでホッとしてる自身の心象に嫌気がさすのであった。
【今回の異常事態による被害報告書】
・ユニオン技術研究施設地下に格納されていた海域制圧艦スサノヲの完全ロスト
・研究施設の3割が崩落、または消失。
・機密保持用の"M.I.D.A.S"が消失、強奪された可能性大
・施設関係者に軽度のケガをしたものがいたが死者・行方不明者無し
・北方連合KAN-SEN クロンシュタット消息不明
[城塞都市トルメス 北側城壁]
この日、城塞都市トルメスに”地獄”が具現した。
天空に開いた地獄の如き赤黒い大穴。
空を覆い尽くす黒い四角い物体と赤い稲妻。
そして、二匹の巨大な大蛇が引き起こす天変地異。
そう、天変地異。余波で城壁は崩落し、地面を絶えず揺らすほどの爆発の暴威。
正しく神話の中だけであるべき地獄が、神の怒りが大地に降り注いでいた………。
Sideマラストラス
天空に空いた穴から出現した巨大な鋼鉄の大蛇から無数の光の矢が放たれた。
想像を絶する爆発魔法が大地を、我らの軍勢を飲み込んでいく……。
何だ、あれは?
これが、あの混ざりものの人間の仕業というのか……?
われは飛べたため初撃を何とか逃れたが、レッドオーガとブルーオーガのいた地面は跡形もなく吹き飛んでいた。
そして大蛇の一匹が後方の軍勢に意識を向けたと思えば
凄まじい轟音と衝撃が発生して危うく墜落しそうになった。
最初はこちらに攻撃してきたと思ったのだ。
だが違った、後方で爆音とともに
そして悟った、今受けたのはただのおまけだったのだと、アレを放つ際に起きた余波なのだと……!
こんな、こんなことが許されるはずがない!!??
理不尽を呪ったその時、われは痛みもなく消し飛ばされるのであった。
[城塞都市トルメス上空 戦艦主砲ユニット頭部上]
Sideカグヤ
鬱陶しく視界の隅を飛んでいたコウモリを両用砲で撃ち落とした。
偉そうなことをいっていた割に大したことはなかったな。
初撃で混乱したスキにドレイクとシアトルをトルメスの兵士(モアという人物)に預けて、私はピュリ姉の艤装で戦艦主砲ユニットの頭部まで運んでもらった。
今回無理矢理鏡面海域を開いて呼び出したため、戦艦主砲ユニットと軽巡洋艦両用砲ユニットの
私が黙々と処理していると、ピュリ姉が心配そうに顔を覗き込んできた。
「カグヤ、大丈夫?まだ正気?」
「………正気だよ、安心して」
”あの時”とは違う、取り乱すほどの激情には駆られていない。
【スサノヲ事件】
実戦テスト中のスサノヲを巡ってレッドアクシズとアズールレーンが争っていたところにセイレーンまで乱入した三つ巴の海戦。
その時にローンが瀕死の重傷を負い、私の激情に反応したセイレーン因子が覚醒。
スサノヲを自身の艤装として乗っ取り、因子元のオブザーバーの端末の一部を侵食して暴走した。
結果としては死人こそ出なかったが同海域いた3大陣営全てに大損害を与えることになる。
その後、私とスサノヲを一緒にしておくのは危険と両陣営が判断し、アズールレーンがスサノヲを接収することで自体は落ち着いた。
また私という貴重なサンプルの誕生にセイレーン内部でも方針転換があったのか停戦を提案してきた。
最初こそ各国首脳は難色を示したがユニオン以外の国家基盤が破綻手前という現実に渋々受け入れた。
今思えばこの事件のおかげで今があると思うと色々複雑な気分だ。
苦虫を噛み潰したような顔をしていると、後ろから気に入らない気配がする。
ピュリ姉も気づいたのか「げぇっ」と顔を顰めていた。
………チッ、まだ死んでなかったか。
「こそこそネズミみたいに、それでも自称魔王ですか?」
「ゼェゼェ、黙れ!この化け物が!」
振り返ると体中から血を流し、顔の一部が欠損したノスグーラがいた。
「化け物!貴様は一体何者だ!魔力も無しに魔帝様と同じ、魔法帝国の空間操作魔法を使えるなど!」
「魔帝?魔法帝国?」
「そうだ!我を創造しこの世界の主たる存在!その尊き存在と同じ技術を人間如きが使うなど……!」
よく解らないがどうやらコイツの親玉が別にいるということかな?
「貴様の存在は必ずや魔帝様の脅威になる!この命に変えても貴様だけは……!」
「御高説はもういいよ」
「なんだと……?」
「もうチェック・メイト、てこと。じゃあね自称魔王」
「は?待て貴様!」
私はピュリ姉の艤装に掴まって上昇していく。
それと同時に戦艦主砲郡ユニットの頭部が大きくに振られ、
悠長に攻撃をしようとしてたノスグーラはその体を大きく前方へと大きく吹き飛ばされていく。
「とっておきだよ、消し飛べ」
金属の擦れ合う音とともに戦艦主砲ユニットの口が大きく開いた。
Sideノスグーラ
凄まじい勢いで空に投げ出された体を必死立て直そうと魔力を操作していると、あの化け物がいた方向が光始める。
魔力は一切感じない、だが本能が警告を鳴らす。
感覚的に何かが放たれようとしていると感じた。
我は勢いを利用して逃走することを選択した。
”アレ”は脅威だ!必ずや復活したラヴァーナル魔法帝国に仇なす存在となる!
なんとしても魔帝様に”アレ”の存在をお伝えしなければ!
なんとしても!なんとし……あ?
極光が、全てを包んだ。
Sideピュリファイアー
戦艦主砲ユニットの口内から放たれた荷電粒子が魔王(笑)を飲み込み、ついでに地上で逃げ始めてた魔物ども巻込み地面ごと融解させた。
うわ、海岸線まで一直線に消し飛んでるよ……。
「………出力、間違えたでしょう?」
「………はい」(´;ω;`)
これの後処理を考えると思わず乾いた笑いが出てきた。
フル出力で放ったために戦艦主砲ユニットの頭部モジュールが融解しかけている。
「とりあえず上の鏡面海域はまだ維持できそう?」
「あ、それは……」
「私が引き継いでるから大丈夫よ、ピュリファイアー」
「仕事がお早いことで、オブザーバー」
久々に聞いた声に苦笑しながら振り向く。
そこには白い物体を吊り下げ、触手が蠢く艤装に乗ったオブザーバーがいた。
カグヤも再開に歓喜したのか駆け出……跳んだ!?
「オブザーバー!」
「ちょっ!カグヤ!?」
オブザーバーも慌ててカグヤを触手で受け止めた、心臓に悪い!
「もう、あんまり危ないことはしないでよね」(ナデナデ)
「ふふ、ごめんなさい」(ニコニコ)
反省の色なしのため思わず怒ろうとしたが、カグヤも嬉しそうだしいっか。
…………さて、そろそろツッコむ必要がある事柄をしてきするとしよう。
「オブザーバー、その触手で吊り下げてるものと
「ユニオンご自慢の"M.I.D.A.S"の指向性爆弾と、オマケね」
「………助けてもらっておいてなんだけど扱いが雑過ぎでしょ!?」
触手で胴体をグルグル巻きにされてた北方連合KAN-SENクロンシュタットが憤慨していた。
「あら?なんなら離してあげましょうか?」
「やめて!?ここから落ちたら流石に怪我じゃすまないわよ!?」
「オブザーバー、あんまりからかわないであげて。
お久しぶりクロンシュタット殿、貴女と会うのもスサノヲ事件以来かな?」
「ええ、久しぶりね。貴女が行方知れずになったと聞いていたのだけれど、ここはどこ?」
キョロキョロと辺りを見渡す仕草をしながらカグヤに説明を求めるのであった。
フロントミッション用語補足説明
【"M.I.D.A.S"】
フロントミッション3rdと5thより出典
詳しく書くとWikipediaの丸写しにせざるおえないので簡単に書くと
「何でも分解してエネルギーにするシステム」
だいぶ語弊はありますがここではそういうことで。
爆弾に転用したのは一例であり、本来はエネルギー問題を解決する平和目的のシステムである。