異世界にレッドアクシズの名を刻む!   作:有澤派遣社員

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てんわやんわなレッドアクシズ。
その一方、比較的平和なムーでの一幕


ムー技術支援派遣

[ムー国 マイカル軍港付近]

 

Sideカイオス

 

第1外務局長に任命されての初の仕事が〘上位列強国への挨拶回り〙となり訪問挨拶一番目のミリシアルで長々と面会を待たされ、待たされた時間に対してあまりに短い面会を終わらせて今度はここムー国へ。

正直部下共々ゆっくりと休みたいとは思ったが現在の皇国はあまり良い状況とは言えない。

皇国が第三列強国となって初めての敗戦処理に新政府の動きは鈍重だ。

無論慎重になっているだけ、というのはあるだろうがこの場合レッドアクシズ側がどう受け取るかが重要。

明らかな遅延行為と判断され、より過酷な講和条件を突きつけられる可能性は“無い”とは言えない。

それにレッドアクシズの代表であるエムブラ氏の扱いも頭の痛いことになっている。

皇国で権威を失って久しいイル教の神官服を着させ、ヘリオガ陛下の専属補佐官のような扱いをしていると聞いた時は仕事をほっぽり出して帰国することを真剣に考えたほどだ。

御本人が承諾しているとは聞いているがそういう問題ではない、下手すれば今度こそ本国に被害が出かねない。

さらに第3外務新局長になったタールからの報告だが、アルタラス王国でやらかした大馬鹿者(カスト)の扱いに苦心しているという。

どんなコネを使ったのかあれだけの失態……というか身勝手な要求追加をしておいてクビどころか降格処分さえできてないらしい。

………自分が局長のうちに処分を下せなかったことが本当に悔やまれる。

とにもかくにもこの弾丸挨拶回りを終わらせて早急に帰国せねばなるまい。

 

「やっぱ揺れない地面はいいなぁ……、」「ううぅ……もう船に乗りたくない……!」

「申し訳ないな、本国に戻ったらボーナスに色付けて長期休暇用意してやるからもうしばらく辛抱してくれ……」

「「はい……」」

 

船酔いと快適とは言えない船旅に私含め全員心労が溜まりっぱなしだ。

しかも相手にするのは上位列強国の外交官、精神的重圧もキツイのはその通りではある。

自分が帰国するまでどうか問題が起きてないことを祈りながら妙に賑やかな港を歩いていると、海の方から汽笛の音が響く。

それと同時に港にいた群衆から喝采が上がりより賑やかになる。

何事かと興味を引かれ港の方を見ると3隻の機械動力船が入港してくる様子が見えた。

中央の大型船(・・・)を囲うように3隻の小型船(・・・)が進んでおり中々の迫力だ。

 

「おお、あれがムー国の機械動力船か。魔法も無しにアレだけの船が動くのだな」

「………アレ、なんかおかしいですよ?」

「ん?どうした?」

 

部下の一人が首を傾げているのを不思議に思い声をかけるとつらつらと説明を始めてくれる。

 

「自分、軍艦が好きでして色々な国の軍艦を見るチャンスに巡りあえると思って局に入ったんです。

隙を見て魔写やスケッチなんかを撮ってるのもあります!」

「それ普通に外交問題になりかねんから自重しなさい?(汗)

で、何がおかしいんだ?」

「あの大型船を先導してる先頭の軍艦……間違いなくムーの戦艦【ラ・カサミ】かその同型艦です」

「ふむ、あの小型船が戦艦……?んん!?!?」

 

待て待て待て!それではつまり……!?

 

「そうです!つまりあの大型船はムーの戦艦よりもデカいということになります!

それに大型艦の両側にいる小型艦もラ・カサミよりも大きく見えます!

しかもあの3隻の形状、ムーともミリシアルの艦とも違うんです!」

「ま、まさか!?」

「機械動力船ということを考えると恐らくはレッドアクシズの船ではないかと……」

 

その予測に3人して固まっていると歓声に紛れて群衆の会話が聞こえてくる。

 

「いやホントにデケェ船だな!」「あれ程の艦を友好の証にくれる(・・・・・・・・)なんてな!」

「レッドアクシズ、文明圏外国なんて言ってられないな」「けっ!どうせデカいだけのハリボテだろ?」

「ハリボテかどうかは今後解るだろうけどその可能性は低いだろ」「そうだな、軍関係者が是非にと喜んでたらしいしな」

「それに話によると転移前の友好国とも関係のある国らしいぞ」「あのヤムートとか!?そりゃめでたいな!」

 

………ほぼ確定だな、あの大型軍艦はレッドアクシズのものだ!

しかも友好の証にあれ程の軍艦を寄贈するだと!?

ムーと良好な関係を築いているとは思っていたがこれ程までに親密だったのか……!?

レミール様に見せてもらった映像のことを思い出し、我が国はトンデモナイ存在に弓を引いたことに改めて気付かされた。

自分の命欲しさに第1外務局長になったことを今更ながら後悔しながら本国への帰還を急がねばと決意するのであった。

 

 

 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

 

 

 

 

[マイカル軍港内 技術検証戦艦【ラ・モンド】艦橋]

 

 

【派遣艦隊編成】

 

コンゴウ級量産型戦艦改め、技術検証戦艦【ラ・モンド】

 

フブキ級量産型駆逐艦改め、技術検証駆逐艦【ラ・スノウ】【ラ・ブリザ】

 

 

 

Side金剛

 

重桜の"主上"からの勅命により榛名達と共に訪れることになった、今回のムーへの技術検証艦の輸送と技術派遣任務。

ロデニウス大陸各国にもまだ配備されてないコンゴウ級量産型戦艦であり、性能こそ自らの艦船形態時の艦には劣るもののこの世界では破格の性能を持つといえる。

三笠様の艦体形態とほぼ同等の形状をしているラ・カサミ級に対して装甲・火力・射程全てにおいて上回りさらには最高速度30ノットを出せる高速戦艦。

当初想定していた技術支援内容では船体の用意はもう少し先の予定であったが、推定転移国家である“帝国“の脅威が差し迫っていること、そして使節団の誠意ある態度に感銘を受けた"主上"の鶴の一声でコンゴウ級量産型戦艦1隻にフブキ級量産型駆逐艦2隻、そして重桜製単葉機の設計図と駆逐艦・巡洋艦の技術資料を早期に供与されることになった。

無論重桜政府としてもレッドアクシズ内での発言力を強めるためにムー国を味方に抱き込む思惑もあるが。

我々KAN-SENからしてもマイラス氏の身を挺した行為は好感を持てることであり、自身と同じともいえるコンゴウ級型が供与されるのは誇りに思う。

そのため長期滞在も視野に入る今回の派遣任務には私と榛名、夕張、熊野、鳳翔、吹雪、深雪の計7名のKAN-SENに加え重桜工廠から十数名の技術者派遣という気合の入りようである。

しかし正直タイミングが悪いとは思ってしまう、カグヤのパ皇への常駐の件だ。

その影響で本来予定していた鈴谷が情緒不安定になり急遽熊野に変更になったりもしている。

むろんカグヤのことは心配ではあるが仕事を放棄する訳にはいかないのでそこは割り切っている………、つもりではある。

同じく艦橋にいる榛名自身もソワソワしており、心ここにあらずとまではいかないが落ち着きはない。

 

「榛名、そろそろ向こうの方々とご対面なのだから落ち着きなさい。我々は勅命を受けてここにいるのですよ?」

「うっ……!申し訳ありません金剛姉さん!」

「カグヤのことが心配なのは私も同じ、ですがこういう時こそ余裕を持ち優雅な振る舞いが必要ですわ」

「はい!頑張ります!」

 

目を煌めかせている姿は子供っぽくて、とても優雅とは言えないのだが先ほどまでの落ち着きのなさよりずっといいだろう。

 

 

 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

 

 

 

[マイカル軍港 特設ドック]

 

Sideマイラス

 

技術検証戦艦として【ラ・モンド】と命名された艦を目の前にし、改めて歴史の転換期に立ち会っているのだと実感する。

我が国に無い重桜の艦艇のために急遽作られた専用ドック、急造とはいえ我が国の威信が賭かっている一大プロジェクトの要の施設。

技術開発局の支部が併設され各部署からも自分を含め首都オタハイトから異動という形で相当数の人員が派遣されているため今後も拡張していくことになる予定とのこと。

中には首都からの左遷だと嘆いていた奴もいたが、目の前に並ぶ3隻の軍艦を見てその考えも吹っ飛んでいることだろう。

軍港内だが今回に限りマスコミも特例として入場と撮影許可が降りているのかあちらこちらから相当数のフラッシュが焚かれている。

 

「いよいよだな、ラッサン!」

「ああ!ところで……もう大丈夫か?」

「え?何が?」

「いや、向こうのKAN-SEN達の対応」

「……………ダイジョーブダヨ?」

(すっげぇー棒読み!?)

 

今でも目を瞑ると思い出すあの柔らかくも大重量の感触、そして美談として広まった“あの件“。

自殺したくなる程の羞恥心で三日ほど部屋に立て籠もることになってしまったが、もう大丈夫、ダイジョウブナンダ!(痩せ我慢)

 

…………冗談抜きに、もう普通の女性とはお付き合いできんかもしれん(泣)

 

そんな割と洒落にならないことを考えながらも動き出したタラップを見て思考を切り替える。

相変わらず謎存在である巨大ヒヨコとネコモドキがせっせと作業する姿に使節団組以外からは戸惑いの反応が見られる。まぁ普通はそうだよな……。

そしてタラップを降りてくる一団の先頭は見覚えがある人物、KAN-SENの金剛殿であった。

 

「ようこそムーへ、金剛殿」

「ええMr.マイラスもお元気そうで何よりですわ」

 

笑顔で握手を交わしていると一団の中から山吹色が目立つ重桜独自の衣服を纏った女性が前に出てきた。

 

「此度の技術派遣団代表を務めます、篁技術中尉です。どうぞよろしくお願い致します」

「これはご丁寧に、マイラス・ルクレール技術士官です」

「使節団訪問時のさい、我々の技術に対して最も熱意に溢れていたと伺っております。その熱意に応えられるよう尽力する所存です」

 

握手をするその手は女性らしさを残しつつ軍人らしい力強いものであった。

しかしその所作や物腰がただの軍人というには繊細で気品がある。

そう言えば重桜の貴族階級は身につけている服装の色で表していると聞いた覚えがある。

確か下位から黒・白・黄・赤・青、そして"主上"と呼ばれるトップが紫であったはず。

そうなるとそれなりの地位にある貴族のご令嬢やもしれない。重桜の気合の入れようが解かるというものである。

重桜からの誠意に感嘆しつつも彼女らを失望させぬようこちらも尽力をせねば!

そう決意しつつ技術者として新たな探求が始まることに興奮を抑えきれぬのであった。

 

 

 

 

レッドアクシズより重桜技術支援派遣団、ムー国に到着

 

 





ムーの戦艦命名法則が【ラ・〇〇〇】

金剛→ダイヤモンド→【ラ・モンド】

吹雪→スノー・ブリザード→【ラ・スノウ】【ラ・ブリザ】
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