異世界にレッドアクシズの名を刻む!   作:有澤派遣社員

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ガンブレが楽し過ぎて無限に時間が溶ける(゜∀。)ワヒャヒャヒャヒャヒャヒャ


ところで突然だが【愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ】という言葉がある。

…………それホントォ?


愚行

※三人称視点

 

リーム王国王都ヒルキガの高級宿のとある一室、豪奢なソファーにふんぞり返る貴族風の男と簡素な椅子に座りビジネススーツを着た二人の男が高級木材のテーブルを挟んで相対していた。

 

「急な申し出にも関わらずそれなりに早い対応だな、ご苦労ご苦労」

「いえ、こちらも王都を離れる前でしたので」「………」ムスッ

 

ニヤニヤと笑みを浮かべ満足そうに頷く男、パーパルディア皇国外務省のカスト。

営業スマイルで返事する北方連合外務省マーク、仏頂面で不機嫌気味のスコット。

気配を察したマークが高速で肘打ちして直させたのでスコットの不機嫌顔にカストが気づくことはなかったが……。

 

「では早速だが本題に入ろう、お前らが採掘している魔法資源を我が国パーパルディアに役立たせてやる!

辺境の蛮族国家如きが献上ではなく我が国と貿易という形をさせてもらえることを光栄に思うがいい!」

「……そうですか(なんか頭が残念な方ですね)」「………?(なんで上から目線なんだ?コイツ)」

 

仮にも敗戦国が戦勝国(正確には同盟国の一角)に対する態度ではない。

マーク・スコット兄弟は表情にこそ出さなかったが、何故ここまで強気な態度なのか理解できないでいた。

 

しかしこれにはカスト側にも言い分があった。

というのもカストは北方連合がレッドアクシズの傘下であることは調べていたのだが、まだ新参者であるが故にレッドアクシズ内での発言力がないと勝手に思い込んでいた。

グラメウス大陸への行軍もレッドアクシズ内で厄介事を押し付けられたものであり、周辺国家への対応が弱腰(パ皇基準)なのも国力が低下していて砲艦外交が出来ないでいる!と推察しているのだ。

パーパルディア皇国は格下から舐められないために弱腰外交など絶対に有り得ない。

それくらいなら外交などせずにテキトーな理由をでっち上げて攻め滅ぼすのが常。

そして格上相手だろうと決して弱みは見せず、どれだけ損失が出ようと見栄を重視する傾向もある。

………なお発生した損失は属領や属国に補填させるまでがセットである。

 

「貿易条件もリームと同じで構わんぞ」

「リームと同じ、ですか?(それだと輸送コストが厳しいが……)」

「そ、そうだ!(ここまで譲歩してるんだぞ!なんでそんな微妙な顔をする!?)」

 

カストとしては皇国基準で許容ギリギリの破格の条件を提示しているつもりなのだが、北方連合側としては輸送コストがネックであった。

それは貿易港として一番近く魅力的な工業都市デュロが基本“他国の輸送船を入れない方針”であることだ。

国防の観点もあるのだろうが、工業都市を回すために自国輸送船の出入りだけで手一杯というのも理由であった。

そのためさらに南に降った皇都エストシラントまでいかなければならない。

そうなると輸送コストが嵩み、利益率が大幅に低下する可能性が高いのだ

 

「(クソ、こうなれば……!)私のコネを使えばデュロに貿易港を用意させてやれるぞ?」

「むぅ……(それならば、悪くない条件ではあるか?)」

 

ネックであった輸送距離が解決するならギリギリ採算が取れると試算していた。

それに工業都市デュロに貿易港を置けるということは……

 

「リームとは比べるまでもなく!先進した魔法技術を持つ我が国の工業都市!得られる利益が莫大であろうなぁ〜?」

 

カストがニヤニヤと勝ち誇った顔で言うことも理解出来る。

貿易条件がリームと同じであっても国の規模と魔法資源の依存度から輸出量はかなり多いと予想できる。

さらにいえば北方連合が輸出するようにすれば現在不平等条件で貿易協定を結ばれている文明圏外国への負担も減ることになるとマークは考えていた。

そうなれば間接的にレッドアクシズや傘下国全体の利益にもなる。

そのため即断は流石にできないが、十分検討するに値する内容ではあると判断した。

 

「(こいつ態度は気に入らんが私情を挟むわけにもいかんしな)

解りました、では一度本国にて協議を……」

「いや待て待て、取引条件やデュロへの貿易港や今回の件は俺も相当譲渡してるだ。なら誠意てもんがないと、なぁ?」

「……そうですか」「………(イライラ)」

 

不快感が増すが表情には出さないように努めるマークとスコットの内心に気づかず、カスト的にはここからが本題である。

 

「先ほど条件だって私のコネありきのモノ。こっちにも見返りがないと困るんだよ」

「つまり、誠意を示さないとこの条件はそもそも白紙と?」

「まぁそうなるが、別にたいした内容じゃない。なんなら今日この場で済むモノさ」

「ほぉ〜?」「…………!(ふざけてるのかコイツは!)」

 

即物的なモノ、そうなるとそこまで難しい要求では無いだろうとマークは考えるが、スコットはさらに眉間にシワを寄せる。

現実主義で腹黒い(マーク)に比べ、過去の苦労から理想を重んじ潔癖なところがある(スコット)はこういう輩が反吐が出るほど嫌いである。

しかしここは公の場、さすがに自重はするものの多少表情に出てしまう。

しかし基本的に相手を見下しているカストはそんな変化にもまったく気付いて無かった。

 

「そう言えば君達の連れの女、アレ(・・)はなんて名前なのかね?」

 

唐突に話題が変わり兄弟そろって虚を突かれ目を点にする。

その反応にカストも「……あれ?」と固まる。

 

「“連れの女”……?」

「………外交交渉は俺らは二人で来てるが?」

「いやいや!?貴方方と一緒に来た白い服の女がいるでしょ!?」

「「………ああ」」

 

ここでようやく“連れの女”が“勝手についてきた女(パーミャチ・メルクーリヤ)”に変換される二人。

そもそも失礼な話にはなるが兄弟としてはメルクーリヤに恩義や畏敬の念こそあれど"女性"としては見ていない。

何せ歳が歳である。自分らの親どころか祖父母よりも年上であろう相手に"女"を感じていないというのもある。

………なによりあの“巨乳メスガキロリババア〜ポンコツ臭添え〜”(属性過多)に性欲を感じたら負けだと割と本気で考えてる二人。

 

「同志メルクーリヤのことでしたか(呆れ顔)」

「勝手に着いてきた故に"連れ"という認識がなかったな……」

「ええ……」

 

あまりにもぞんざいな扱いにさすがのカストでさえドン引きである。

 

「あ、扱いが雑でないかね……?」

「まぁそんなもんですよ、あの方への対応は」

「色々好き勝手やってる方だからな……」

 

二人のぞんざいな扱いは所謂“お決まりムーブ”というか親愛の裏返しというか、厄介ファンの反応というか……。

ともかく大半の北方連合市民が感じる「まぁあの人は奔放さが魅力だからね!」を素直に認めたくない"男子"の意地とも言える。揃ってガキである。

しかしカストがそんな裏事情を知る由もなく、言葉の通りに受け取った。

 

――――つまりは、厄介者故に毛嫌いされている、と。

 

「それはそれは!困った方なのですねぇ〜。なら丁度よい提案かと」

「ほぉ?」「ん?」

「単刀直入に言いましょう、先ほどの条件というのですがね?

メルクーリヤ、あの女を奴隷として私個人に献上(・・・・・・・・・・・)してくれればそれでよいさ!」

 

もうカストの中では全てが万事上手く行くと確信していた。

扱いに困っている厄介者一人を奴隷として献上すれば万事解決、自分達の功績も増える。

仮に奴隷に関して嫌悪感があろうと嫌っている者なら快く承諾してくれるだろうと!

既に頭の中ではあの魅力的な肢体をどう楽しもうかと妄想を拡げているカスト。

だから気付かない、明らかに場の空気が変わったことに。

 

「…………失礼、聞き間違いでしょうか?同志メルクーリヤを奴隷として献上しろ、と聞こえましたが?」

「だからそうだと言っているだろ?お前らとて厄介払い(・・・・)も出来て丁……」

 

 

ドゴンッ!!!!

 

 

丁度よい、と言う終わる前にテーブルが凄まじい音が轟いたと思ったら、木製のテーブルがひび割れ、一部砕けた破片が舞う。

あまりの出来事に目を点にするカストはマークに向けていた視線を恐る恐る隣の人物、轟音のした方に目をやる。

そこにいたのは当然スコットではあるが見た目が変化していた。

元々筋肉質だった身体はスーツが張り裂けんばかりに筋肉が隆起し、顔も若干毛深くなり目の瞳孔が縦に割れ食いしばる口元には鋭利な犬歯が見えている。

そう、感情の昂りから一部だけではあるがヴルコドラク(人狼)としての特徴が現れていた。

人間だと思っていた相手がいきなり獣人になったことと、重厚な木製テーブルを素手で叩き割らんとした姿にカストは目を白黒させる。

故にスコットが勢いよく手を首元に伸ばしたことにも反応が遅れ、テーブル越しに片手で持ち上げられるカスト。

 

「え!?はぁ!?」

「いい度胸だクソ野郎……!縊り殺してやる!」

「ヒィィ!?待て待て!何故そんな反応を……」

「あの方は我が国の至宝だ!それを奴隷だと!?巫山戯るな!!!」

 

最早殺気を隠しもせず声を上げるスコットとそれを止める気配さえないマーク。

ここに至ってようやくカストも状況に気づく、自身の勘違いと己の命が風前の灯火であることに。

 

「………無駄な時間でしたね。帰るぞスコット」

「ま、待て!交渉を!」

「貴方の言葉なんぞ聞く価値もありませんね」

「わ、私はパーパルディア皇国の特使だぞ!こんな扱いをしてタダで済むと……」

「どうぞお好きに報告を。今後二度とお会いすることはないでしょうが、ね」

「あぁ……!待っ」

「フンッ!」

 

尚もマークに食い下がろうとするカスト。

しかしこれ以上は聞くに堪えないと判断したスコットが力の限り掴んでいたカストを放り投げる。

成人男性が宙を舞う、そしてその先にあるのは窓枠、さらにはここは3階である。

ガラスが割れる音と聞くに堪えない汚い悲鳴を無視しながら宿の一室を出ていく二人。

当然何事かと周りの客の視線が集まるがスコットがひと睨みするとスゴスゴと顔を逸らす。

異常に気付いてとんできた従業員にはマークが口止め料込みで窓枠の弁償代を払い高級宿をあとにするのであった。

 

 

 

 

 

 

――――――――この会話を聞いていた“影”があらん限りの憎悪と義憤に燃えていることにも気付かずに。

 

「あのお方を奴隷によこせ、だと……!ふざけたことを!早急に本国の“同志達”にもこの蛮行を共有せねば……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――なおさらに余談だが、投げ出されたカストは運良く高級宿のゴミ捨て場がクッションになり全身数箇所の骨折とヒビ程度で済んだようである。

 

 

 

 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

 

 

――――――――1週間後

 

 

北方連合より緊急入電

 

機甲兵団(ヴァンツァー)2個中隊を中核とした大規模な脱走兵が発生。

 

該当部隊はグラメウス大陸最南端の飛行場を襲撃、偶然駐機していた(・・・・・・・・)軍用大型輸送機1機と中型輸送機2機を強奪。

 

該当部隊はトーパ王国を領空侵犯しながらさらに南下

 

航路予測より、行先はパーパルディア皇国と推測

 

至急パーパルディア皇国に残留するエムブラ指揮官への報告を願う

 

 

 

 





結論∶所詮は知恵ある偉い人が残した言葉、後先考えない馬鹿の思考なんぞわかとらん。てことさ!ガッハハハ!

顔無「ファーック!?!?」
パ皇「洒落になんねぇーよ!?」
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