異世界にレッドアクシズの名を刻む!   作:有澤派遣社員

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ガンブレ4とアプデきたAC6が原因で遅れました(白目)
ホントに申し訳ないです……。
でも仕事も忙しくなりそう…………。

…………そろそろ物語を大きく動かせるぞ!(現実逃避)


狂信者部隊(ファンクラブ)

 

 

 

〜〜〜時は少し遡り、北方連合からの緊急連絡がくる2時間前〜〜〜

 

 

[海上要塞ヴァルハラ ウォルター・フェン私室] 

 

Sideウォルター・フェン

 

まだ日が昇り始めたばかりの早朝、懐かしい相手からの通信に応じていた。

 

「お前から連絡があるとはな、ヴァグナー"特佐殿"」

『私用での通信だ、肩書なんぞいちいち言わんでもいい』

「おいおい、今や新大陸を切り開いた新進気鋭の英雄様を呼び捨てにしろって?」

「プライベートと仕事を別けるくらいの分別はあるさ」

 

ジョークにも真面目に返すヴァグナーの反応に懐かしさも感じつつ、態々通信をしてきた理由を聞くとしよう。

 

「で?なんでコッチに通信を?」

『………エムブラ指揮官と急ぎ直接話しが出来るように願いたい。コチラの失態でアイツの進退にまで迷惑をかける訳にはいかん』

 

思わず天を仰ぎそうになった、冷徹無比で他人の心情に疎い鉄人がここまで深刻になるとか……!

 

「おい待て、何が起きてる?」

『もうすぐ新大陸で大規模な脱走兵が発生する』

「………………は?」

 

脱走兵が発生する、という訳の解らん文面が頭を入ってこず思わずフリーズしてしまう。

 

「どういう意味だ?話しが読めん」

『………混乱するのはよく理解できる。私も報告を聞いて同様の反応だった』

 

大きくため息をついて、ヴァグナーが重い口を開く。

 

『事の発端は北連外交官がリーム王国に滞在中にパーパルディア皇国から特使が来たらしい。内容としては魔法資源の輸出をしろ、という内容だ』

「………おかしいだろ、何で派遣されてるエムブラ指揮官を経由せずに話しがくるんだ?」

『向こうの思惑なんぞコッチは知らん。問題なのはその特使が言った個人的な要求だ』

「個人的な要求?なんだ?賄賂でも寄越せってか?」

『同志メルクーリヤを奴隷として献上しろ、だ』

 

思わず椅子からズリ落ちそうになる。その特使とやらは馬鹿か?馬鹿なのか!?

 

「………馬鹿なんだな」

『ああ、馬鹿だな』

 

よりにもよって奴隷・労働階級達が蜂起して建国した北方連合にその要求をするとか、パーパルディアはどういう基準で特使を選んだのか……。

 

『どうやら"前科持ち"のようでな、調べてみたらアルタラス王国でも同じようなことをやらかしていたらしい』

「腐ってるなあの国、だがそれがなんで脱走兵の話しに繋がるんだ?」

 

今の馬鹿者の話しと“脱走兵が発生する”という話しの繋がりが見えてこない。

 

『奴隷の要求だけなら国交断絶で済む話しだ。だが問題は同志メルクーリヤを要求したことだ』

「まぁKAN-SEN達は皆綺麗どころだからな、メルクーリヤも北方連合で人気なんだろ?」

『7割』

「ん?」

『国内で暇人どもが調べた上げた《北方連合KAN-SENへの国民感情の調査》で、《一番好きなKAN-SENは誰か?》はものの見事にバラけたが《最も親しみを持つKAN-SENは?》の調査では7割近い数字を叩き出したのがパーミャチ・メルクーリヤだ』

 

国内人口の7割から支持を受けている、そう言っていると同義の内容に絶句する。

 

「………そこまで、か」

『ああ、特に採掘業や一次産業の労働者からの支持は凄まじいぞ。過去のことを加味しても異常なくらいの熱狂的人気だ』

「過去、【血の粛清事件】*1か」

『愚か者共が報いを受けたとはいえあの暗黒期は建国以来最悪の汚点だ。未だに引き摺っている世代は多い』

「それがメルクーリヤ氏のことに繋がる、と?」

『あの暗黒期でもっとも労働者に寄り添っていたのは間違いなく同志メルクーリヤだ。故に潜在的な支持者は相当数になる』

「もしかして脱走兵というのは?」

『………暴走した狂信者共だ。しかもかなり上層の人間も協力してるようでな、そこそこの規模になる可能性が高い』

 

思わず頭を抱えそうになる、想像を絶する事態が起きようとしているのは十分に理解できた。

 

「阻止は出来ないのか?」

『正直難しい。襲撃の可能性が高い最南端の基地に怪しい動きがあると警告したが相手にされなかった。要約すると

《我が基地でそのようなことは有り得ない!仮に万が一にでもそのような有事があれば降格処分だろうが何だだろうが受け入れる!》

とのことだ』

「おい、それって……」

『最南端基地の司令もグルなのは確定。自身の進退さえなりふり構わないのだろう。こちらも対策部隊を動かそうとしてるが各所からの妨害・遅延をされてるようで恐らく間に合わん』

「支持者が多いせいか……、メルクーリヤ氏から直接説得は難しいのか?」

『現在帰路の洋上で子飼い連中の暴走を止めるのに手一杯のようだ。それに暴走してる奴等との接点があるとは限らん』

 

それはそうだ、一方的に敬ってる連中が暴走してるのであってメルクーリヤ氏が指示してる筈もなく、その当事者らを把握してるとは考えづらい。

 

『同志メルクーリヤもだいぶ困惑しているようでな。

《なんとかしておいて!ソビエツキーに怒られる!》と半泣きではあったな……』

「本人からしたらとんだとばっちりだからな……」

 

勝手に奴隷にと名をあげられ、さらにそれを理由にクーデター紛いのことが起きそうなってるとか泣きたくもなろう。

 

「深刻な状況なのは理解した。だがエムブラ指揮官へ繋ぐのは難しい、というかこちらも色々と限界だから早く戻ってきてほしいくらいだ」

『ん?どういうことだ?』

「………同伴したセイレーンが通信妨害しているようでな。最低限の定時連絡のみでこちらからの呼び掛けが出来てないんだ」

『可笑しくないか?鉄血特有の仕事人気質なあの指揮官がそんな杜撰なことをするとは考えにくいが』

「そのはずなんだがなぁ、そのせいでKAN-SENの中には洗脳・催眠の類をされている!と叫んでる者もそれなりにいる」

『そう考えたくもなる状況だな。実際ヘイスカネンの鬼人族が有翼人のテロリスト共に洗脳されていたわけだしな』

「待てヴァグナー、何の話だ?」

『何の話、とは?』

「人間が、洗脳されていた先例があるのか……?」

『ああ、魔道具だから魔法とは少し違うモノだったようだが……、何故そのことをお前ほどの地位のヤツ(レッドアクシズ機甲部隊総括)が知らないんだ?』

「ヘイスカネンの巫女の件は聞いているが、その洗脳云々は完全に初耳なんだが?」

『…………』「……………」

 

どうやら、事態は考えうる限り最悪の状況に至っているようだ……。

 

 

 


 

 

今回の北方連合がエスペラント王国事変にて把握していた【洗脳効果を持つ魔道具】の存在がレッドアクシズへ情報共有されていなかったことには色々と不幸が重なった結果であった。

 

まず根本的なこととして洗脳魔道具自体が確保できていなかったことにある。

鬼人族に使われていたモノは救出のさいに全て破壊してしまっており、発端である有翼人らの拠点は邪竜復活時の影響で半壊。

一部研究資料は見つかるも洗脳魔道具の実物は発見できずにいた。

そのためエスペラント王国・北方連合でも魔道具の性能を正確には把握できてはいなかった。

そして【洗脳効果を持つ魔道具】という使い方次第では大きな混乱を起こしかねない劇物であるため《正確なことが判るまでは公にしないほうが良いのでは?》という善意と《秘匿すれば他国に対する魔法技術のアドバンテージになるのでは?》という悪意により情報共有が停滞していた。

全体主義こそ至高!を掲げる北方連合ではあるがそれは良くも悪くも“身内同士(国内)”に限ったモノ。

他国に全体主義を押し付けるようなことをしないが、同時に何処ぞの“鉄のカーテン”ほどではないにしろ他国との線引はしっかりと行っている。

表立って魔法資源の調査報告やサンプル提出に協力的なのは、秘匿するより資源の有用性を売り込むほうが国益になるからである。

逆に言えば秘匿するほうが国益になるなら徹底して情報を規制もする。

 

しかしそれでも最低限の義理立てとして経緯と大凡の状況を書いた【エスペラント王国事変の報告書】として直接レッドアクシズへ、つまり総指揮であるカグヤ・エムブラへは提出はされてはいたのだ。

しかしタイミングが悪かった。報告書が届く前にカグヤがパ皇に出向、そのまま帰ってきておらず、北方連合からの重要機密扱いの上"状況が終了したこと"の報告書であったために留守を預かっていた補佐官KAN-SENらも内容の精査が後回しにしてしまっていたのである。

 

 


 

 

〜〜〜そして時は戻り現在、遥かに続く雲海の上で〜〜〜

 

 

道中、複数国の領空を侵犯しまくりながらパーパルディア国境付近領空に侵入した3機の北方連合製輸送機。

そのうち最も大型の輸送機の中で剣呑な雰囲気を漂わせながらブリーフィングを行う一団があった。

その中リーダー格にあたる強面の男が声を張り上げる。

 

「諸君!改めてこのような、軍人として唾棄すべき愚行に賛同してくれたこと、心より感謝する!」

「リーダー今更言いっこなしですぜぇ!」

「そうです!我らは決して後ろ暗いことをするためにここにいるわけではありません!」

「「「例え祖国から裏切り者扱いされようとも!」」」

「「「二度と祖国の地を踏めぬことになろうとも!」」」

「「「恩義ある"我らが女神"メルクーリヤの為に!!!」」」

「「「「「「この身!捧げる覚悟はできています!!!」」」」」」

 

熱狂的、そう表現するしかないほどに彼らの思考は一色に染まっていた。

 

【怒り】

 

北方連合に対して奴隷を要求するだけでも国辱モノと断じ得るものを、あろうことか返しかけれぬほどの恩義がある同志メルクーリヤの身柄を要求するなど最早血の粛清しかあり得ぬ!と怒り狂っていた。

今でこそ成人となっている彼らだが、その殆どが暗黒期に親に売られた未成年者かもしくは親を亡くした孤児である。

親の庇護下から離され右も左もわからず汚れ仕事で命を失うか路頭で飢え死ぬか、そんな選択肢しかなかった自分らに手を差し伸べてくれた存在。

 

彼女の存在無くして今は無く、現在の北方連合もなかったと確信しできる!

この作戦で戦果を立てようと誇れるものではなく、良くて不名誉除隊の上で一生刑務所暮らし、最悪銃殺刑なのも覚悟の上!

 

死すら恐れぬという決意を聞き、リーダー格の男が感涙に咽ぶ。

 

「――――!お前らの覚悟!しかと受け取った!では作戦内容の説明に入る!」

 

既に輸送機強奪するようなことをしといて今更作戦説明?と思われるが彼らは至って大真面目である。

そもそもここに集まってる者等は“グラメウス大陸にいた”ことを除き多種多様な所属の混成、と呼ぶのも烏滸がましい"混雑"部隊である。

陸・海・空の所属どころか予備兵役の者、はたまたま軍直轄の警備組織の人間までいる始末である。

そもそもが突発的な事態(勢いに任せた暴走)だっため、まずは集められる人員と武器を掻き集めたために“基地に侵入して輸送機強奪後離陸”するまでの作戦は事前に行っていたがパーパルディアでどのような作戦をするかまでは集めれた戦力を確認してからというなんともお粗末な状態であったのだ。

…………ヴァグナーをはじめとした良識組が今回の"脱走騒ぎ"を直前まで見落としていたのも《そんな馬鹿なことをするはずがない》という常識的な思考があったも原因である。

 

「目標はやはり民需軍需共に支える最大の工業都市デュロか?」

「へっ!生ぬるいぜ!頭墜とすのが一番!皇都エストシラントに決まってらぁ!」

「いや、国辱には国辱を。歴史的にも宗教的にも重要視されている聖都パールネウスでは?」

 

仮にパ皇の人間が聞いたら顔を真っ赤と真っ青にと忙しく変えそう場所ばかりが憶測として上がる。

しかしその予想を聞いたリーダー格が首を横に振る。

 

「残念だがそれらを含めた各都市への直接攻撃は却下だ。支援していただいた委員会の方々からもそれは念押しされている」

 

そういいながら奥の方へと目を向ける。その先には他のヴァンツァーよりも大型なヴァンツァーが一機あり、その足元でうたた寝する女性が一人。

委員会直属の特殊戦術部隊、通称"特戦隊"から派遣された人員であり一応の監視役でもあった。

今回集まった中では個人戦力最高クラスであり、万が一にも恥知らずな行為が発生すればその"牙"は躊躇無く全てを食い千切るであろう。

 

「いくら憎き特権階級の権力者どもが蔓延る巣窟とはいえ、そうではない者らのが圧倒的多数だ。無闇矢鱈に襲撃を行えばただの虐殺と変わらぬ、そのような行為は同志メルクーリヤが悲しむだけである!」

 

頭に血が上っていた連中も“同志メルクーリヤが悲しむ”という単語を聞き一旦冷静になり、確かにそうだなと納得し始める。

………なお既にこの馬鹿共の暴走のせいでメルクーリヤ本人が頭抱えて半泣きではある、南無。

 

「よって都市への直接的な攻撃をせずにパーパルディアの国家機能へ最大限の打撃を与える目標。

それは………、パーパルディア属領地域。正確にはそこに点在する大穀倉地帯だ」

 

攻撃目標の狙いに気付いた者らからどよめき上がる。

特にかつて飢餓に苦しんたことのある者らは若干表情が暗くなっていた。

しかしそのような反応も僅かな時間であり、直ぐに覚悟を決めた表情へと戻っていく。

 

「穀倉地帯とその輸送路を寸断することでパーパルディアを干上がらせる!最初に攻撃するのは魔石鉱山も保有する“クーズ”!

また属領は武力により屈辱的な併合を強いられた歴史的背景を持つ国々だ。我々の襲撃に呼応して動きのある可能性が高い。その点を留意するように!

 

「「「「「「да!!!!」」」」」」

 

輸送機の中に響く雄叫びに大型試作ヴァンツァー【ダイヤウルフ】の足元でうたた寝の"フリ"をしていた女性【マーティカ・ビャーチェノワ】は無機質な瞳を僅かに開き、誰かに気づかれる前に再び目を閉じた。

 

(ここまでは当初の予定通り、あとは作戦展開後に暴走する輩が出ないことを祈るだけね)

 

彼女が危惧しているのはこれから向かう属領で隷属させられている者らを見た彼らが感情のままに過剰な虐殺をしないか?それだけであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

意気揚々と属領へと向かう彼ら彼女ら、そして裏で支援した委員達も油断していた。

 

 

最悪の時代を、寒さと飢えに政治的腐敗が蔓延した暗黒期を知るが故に無意識に“あれ以上の地獄は無いだろう”と思っていた。

 

属領にいる支配層がどんな馬鹿で愚か者でも最低限の常識はあるだろうと。

 

 

 

――――――――人の悪意と欲望に限りなぞ無いのだ。

 

 

 

……………属領の現状を知った若い兵はこう言い残している。

 

「ここに"人間"なんていなかった。居たのは人の皮を被った"悪魔"どもと死んだ瞳をした"家畜"だった」

 

 

 

*1
第二章 貴族の存在意義を参照




機体紹介

大型試作ヴァンツァー【ダイヤウルフ】

人間の脳に機体との接続装置を埋め込むことで〘人機一体〙を目指したS型デバイス。
本機はそのシステムを最大限活かせるように調整されたS型デバイス専用機体である。
大型化したことで出力と装甲は従来のヴァンツァーを大きく上周り、大柄な体躯に似合わず主力前衛機と同等の機動性と運動性も確保している。
反面試作機故に汎用性は考えられておらず武装も固定式である。

右腕部強化マニュピレーター
左腕部一体型ガトリングガン
胴体部火炎放射器
両肩部大型のシールド
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