ソシャゲのイベントラッシュ、そして最近ハマった鋼嵐(開拓許可レベルMAX)……!
時間が、時間が足りねぇ!
………以上、言い訳でした(土下座)
[属領クーズ 魔石鉱山採掘現場]
Sideハキ
カンッ!カンッ!カンッ!……
今日も変わらぬ労働を義務として消化していく。
そこに熱意も不満もなく、ただ感情を殺して作業をつづける。
カンッ!カンッ!カンッ!……
「うぅ…、もう……」バタリ
「おい!貴様!何をサボってやがる!」
「ひっ、申し訳、グェ!」バシンッ!
「口答えするな!さっさと作業再開しろ!テメェらが休めるのはノルマ終わらせた後か無様に死んだときだけだ!」バシンッ!バシンッ!
「痛、やめ…」
坑内中に悲鳴が響くがその悲鳴に反応するクーズの人間は皆無だ。
パーパルディアの監督官らだけがその光景を見てニヤニヤと笑い、自身も早くムチを振るう理由が早くできないかと期待の眼差しをコチラへと向けてくる。
そんな視線を無視しながらボタ*1を積めたトロッコを押しながら外へと向かう。
………自分も随分と落ちぶれたものだな。………数年前の自分が今の自分を見たら「腰抜け」「クーズの恥さらし」と罵倒していたであろうと思えるくらいには。
数年前までの自分は何も解っていなかったのだ。
クーズをパーパルディアから取り戻すためにとレジスタンスを立ち上げ、志しを共にする同志らを集め、搾取に忙しい属領統括軍に悟られずにその規模も大きくなっていた。
順調な滑り出しに舞い上がっていた。このまま組織が大きくなれば一矢報いるだけでなく王国を取り戻すことだって出来る!
しかしそれは幻想だった、属領統括軍はこちらのことなんてとうに把握していたのだ。
連中は統治機構に仇なす不穏分子が集まるのを手ぐすねを引き待ってただけであり、
結局同志と思っていた者らに自分達は売られ、あっさりと鎮圧されてしまった。
そしてそこからは苛烈な反乱分子狩りだ。血縁者はもちろんレジスタンスとは無関係な友人らも逮捕されていった。
そのせいでクーズ王国再建を目指していたレジスタンスは同じクーズ国民からでさえ厄介者扱いされ、組織は完全に崩壊した。
自分達がやったことは無駄どころか他の国民達の有害にしかならなかったのだ。
国を取り戻そうと熱意溢れていた間抜けはもう何処にもいない、ここにいるのは燃えカスにすらなれなかった敗北者。
故にトロッコを押して出たときに見えた“巨大な竜のような物体”が頭上を通り過ぎるのを見ても特に何も感じなかった。
「………どうせ、何も変わらないさ」
[属領クーズ 穀倉地帯上空]
〘クーズ領強襲部隊戦力〙
・大型輸送機【一番機】
北方連合製WAP【ヴィーザフ(前衛装備・空挺パック)】×8
北方連合製試作WAP【ダイヤウルフ】
・中型輸送機【二番機】
北方連合製軽装WAP【ジラーニ(火炎放射装備・レーダーパック)】×2
北方連合製重装WAP【アバローナ(ロケット砲装備・弾薬パック)】×2
・中型輸送機【三番機】
陸戦歩兵小隊(人員30人前後+装甲車両2台)×2
何処までも青くが広がる晴天の大空を北方連合が誇る最大サイズの
「目標ポイントへ間もなく到達、各員最終確認を実施」
「妨害らしい妨害もなく侵入できたな……、まぁ連中の装備だとここまで上がってこれねぇだろうけど」
「油断はするな、一番無防備になる降下タイミングを狙ってるかもしれん」
「光学映像で見る限り地上でも動きは見えませんけど……」
「楽観視するな!ここは敵地のど真ん中だぞ!」
北方連合からしてみれば属領の防衛状況は罠なのでは?と警戒するほどにザルであった。
本来国境付近ともなれば普通は早期警戒で対応する戦力くらいいるものだ。
しかし「どうせパーパルディアに喧嘩を売るような国はいない」と腐りきっている属領軍はそんな“無駄なこと”に戦力や戦費を捻出してるはずもなく、記録上にのみ戦力を配置していることにしてその分の戦費を着服していたのだ。
そんな訳でロクな警戒網もないために堂々と領空侵犯しているにも関わらずロクな対応が無いのであった。
まぁ仮に戦力を配置していたとしても所詮航空戦力はワイバーン種、バードストライクよろしくコクピットかエンジンに突撃でもされなければ脅威ですらないため今回に限り誤差ではあったが。
「降下高度まで間もなく、5…4…3…2…1…」
「降下高度到達!後部ハッチ開放!降下開始!」
「【二番機】【三番機】強行着陸へ移行!」
【一番機】の後部ハッチが開き降下装備を付けたヴァンツァーが次々と降下、巨大な落下傘を展開していく。
対空砲どころかワイバーンさえ飛んでいないため降下シークエンスはかつて行なわれたグラメウス大陸強襲作戦と比べてもなく、一切の損害なく地面へと降下を完了する。
【二番機】と【三番機】はさらに高度を落とし鉱山採掘場の上を通り過ぎ穀倉地帯付近への胴体着陸を敢行する。
北方連合では永久凍土付近の基地は滑走路が凍っているのは当たり前、最悪セイレーンの襲撃で滑走路が破損していることもある関係上、輸送機には〘胴体着陸しても大丈夫な頑丈さ〙を前提に設計されている。*2
無論滑走路もない僻地に強行着陸すれば離陸することは不可能ではあるが、そもそも中型輸送機は航続距離的にも片道切符。
なんなら元々計画していた鉄血・サディアへの南進作戦のために相当数の輸送機が作られたので多少損失は問題ない、と"本国の協力者たち"は判断したようである。
平原を抉りながら着陸した【二番機】【三番機】の後部ハッチが開きそれぞれに搭載されていた戦力を展開していく。
農奴監視のためにたまたま近くにいた属領軍の者達は何が起きてるのか理解できずただ呆然とその光景を眺めているだけであった。
「な、何だアレ……?」
「ゴーレムか?」
「デケェ……」
そんな立ち尽くす人々をよそにアバローナ2機は両肩部のロケット砲発射態勢へと移行する。
「弾着地点算出完了、データリンク開始。目標、属領駐屯基地」
『確認した……、撃て』
「了解、掃射」
2機のアバローナから放たれた4発×4基、16発の弾頭が噴射ノズルの炎と轟音を唸らせながら撃ち出される。
ロクな状況報告も命令も来ないために現状を理解できず慌ただしくとりあえずの準備をしていた属領軍の者たちの頭上で弾頭が分解、無数の小型爆弾が彼らのへと降り注ぐ。
無数の轟音によって彼らの断末魔は掻き消され、瞬く間に基地全体が火の海へと化す。
そんな中、身の危険を感じて命令を待たずに独断専行した竜騎兵2騎が辛うじて離陸に成功していた。
「クソタレ!何だアレは!?」
「基地が、燃えちまってる……!」
「あんな化物の相手なんぞゴメンだ!さっさと逃げるぞ!」
「おい!敵前逃亡は……」
「ちげぇよ!これは応援要請、緊急処置てやつだ!」
「そ、そうか!なら大丈夫だな!」
「頭を使えってんだ馬鹿が。お前も上手く口裏合わ……」
「おい!前!」
「あ?」
自己保身のために早々に見切りをつける算段をしていたところで進路上に【一番機】から空挺降下中のヴァンツァー部隊と鉢合わせる。
「こっちにもゴーレムだと!?空から降ってきてんのか!?」
驚愕する2騎の竜騎士、そして当然空挺部隊も彼らの存在を捕捉していた。
「飛翔目標確認!落下傘に突っ込まれる前に撃ち落とせ!」
「了解、火器使用自由!撃て撃て撃てぇ!」
味方と射線が被らなかった4機から放たれる無数の対装甲貫徹弾のシャワーを浴びる羽目になったワイバーンロードは最初こそ避けようと足掻くも至近弾が広げた翼をかすめたところで絡め取られ肉片へと変わっていった。
「脅威排除完了、降下シークエンス再開します」
「そろそろ逆噴射高度だ!着地でヘマして脚を破損させるなよ!」
「「「「了解」」」」
[旧クーズ王城 現属領軍本部]
クーズ領の中央にある古風な城、かつてのクーズ王族の居城であり現在は属領軍の本部としての役目を担っていた。
「ナニ!基地が燃えているだと!?」
「はい、基地との連絡が取れないことを考えるとほぼ間違いなく……」
「クソ!何処のどいつかは知らんがやってくれたな!」
「どうしましょうか……?このまま籠城を?」
「するか馬鹿が!?駐屯基地を吹き飛ばすような攻撃がこの城に降り注ぐだけだぞ!?」
「では、どうすれば……」
「………クーズのゴミどもを集めてテキトウな農具でも持たせろ」
「肉壁にでもなさるのですか?」
「あのゴーレム共が街に向かって無差別攻撃してないのはおそらくクーズ占拠が目的だからだろう。
ならば労働力を削る行為は躊躇するはずだ。その間に撤収するぞ」
「了解しました、脱出の準備と並行しておこないます」
「ああ頼む」
部下が出てくのを見送った男が焦った様子を残しながらも下卑た笑みを浮かべる。
「今の地位を失うのは歯がゆいがどうせクーズは殆ど出涸らしの土地。ならせいぜい最後の瞬間までオレのために役に立て、クーズの家畜ども」
[クーズ領 城下町中央通り]
Side 北方連合機甲部隊 アルチョム准尉
自分は今回の騒動には“義憤”にかられて参加していた。
メルクーリア様への侮辱は当然怒り心頭ではあったが、それ以上に“虐げられてる者らの解放”という大義に酔っていたのは否めない。
………今にして思えば甘い見通しであったと後悔しかなかった。
空挺降下中に若干トラブルはあったがそれ以降は問題なく都市部へと進軍。
そして建物を壊さずに進めるルートは都市部中央の大通りでギリギリという感じであり、その通りをなぞるように進んていたのだが……。
………目の前に広がる光景に言葉を失っていた。
『指示あるまで絶対に発砲するな!絶対にだぞ!』
『おいおい!なんでこんな状況になるんだよ!?』
『くっ……!なんて卑劣な』
目の前の光景、それは農具もったボロボロの身なりの人々が怯えた表情をしながらも壁となってこちらの進路上に立ち塞がっている。
その人々の後ろではパーパルディアの軍服を着た兵士が骨董品みたいな銃を農具を持つ人々へと突き付け、音声は拾えないが何やら叫んでいるようであった。
………どう見ても脅されてるのは明白であるが、ヴァンツァーの火器では被害が大きくなり過ぎる。
当初の予定であればヴァンツァーを前衛に押し出して敵方の戦意を挫くとともに現行に不満を持つ現地民が暴走しないように脅す意味もあった。
それが完全に当てが外れ膠着状態へとなってしまっていた。
『各機!現在歩兵部隊が狙撃ポイントへ向かっている!後方の連中を排除するまでは決して動くな!』
「………チクショウ!」
自身のあまりに不甲斐ないなさに悪態をつく。
自分達は彼らを救いに来たはずだったのに!我らにこそ大義はあったはずなのに!
………現地民からすればパーパルディアも我々も恐怖の対象でしかないのか?
「コレが、現実、なのか……」
何もできない悔しさと甘い夢想をしていた自身への憤りで下唇を噛み締める。
――――――機体カメラが映す農具を持つ人々の顔には僅かな怯えと、それ以上に力ない瞳と諦めの表情が嫌という程鮮明に映されていた。
結局、歩兵部隊が後方の軍人らを狙撃にて排除するまで膠着状態は続き、排除後も状況を理解出来ずに右往左往するばかり。
痺れを切らした同僚が空に向けて威嚇射撃をしてようやく命の危険を理解したのか散り散りになって逃げていく姿を見て、まるで家畜だなと思った自身に自己嫌悪するのであった。
今年最後の更新となりますが、皆様良いお年を。