異世界にレッドアクシズの名を刻む!   作:有澤派遣社員

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久々の更新となり申し訳ありません……!


荒神へと至る“モノ”

 

[皇都エストシラント パラディス城 謁見の間]

 

※三人称視点

 

突然倒れ伏したカグヤの護衛達。

殆どの者達が光に溶けていく護衛達に困惑し、遠巻きにしてる中でパーラスは隊長格だったストレングスを足蹴にしている。

 

「このクソ亜人が、ビビらせやがって!」ガンガン!

「パーラス様、それ以上は……」

「この!この!この!」ガンガン!

 

気分よく弾劾していたところに水を差されたことから完全に頭に血が昇っているのか、部下の制止の言葉に耳を傾けずやめる気配はない。

幼き皇帝ヘリオガはこのような光景に心痛めつつも、最愛の女性(カグヤ)が何も反応をしないことに疑問を持ち、隣にいる彼女へと意識を向けようとした瞬間、

 

 

ドゴンッ!

 

 

まるで大砲でも撃ったのかと勘違いする轟音が玉座の真横(・・)から謁見の間全体へと響く。

それと同時にパーラスの足元が弾け、何かしらの破片がパーラスや部下達を襲う。

特にすぐ近くにいたパーラスは足に破片が刺さったのか悲痛な叫びを上げながら地面を転がる。

その光景に息を呑みながら、ヘリオガは轟音の発生元へと恐る恐る顔を向ける。

 

———そこにいたのはカグヤと同じ顔の“別のナニカ”。

髪飾りのような小さな角は大きく禍々しくなり、美しかった黒髪は真っ白に、澄んだ碧色の瞳は冷たい金色と変化。

その手には女の細腕に不釣り合いな鉄塊の如き大口径ハンドガンがその手に収まっており、銃口から硝煙を吐き出していた。

———そして、純白の神官服の首筋や袖からは黒光りする金属で出来た数匹の【蛇の頭(スサノヲの端末個体)】が覗かせていた。

 

周りも状況を理解し始めたのか、玉座の間にいた人間らは“カグヤのようなナニカ”へと視線を向ける。

恐怖、奇異、敵意、様々な感情の籠もった視線を気にもせず“カグヤのようなナニカ”改め、宿主の身体をセイレーン化(活性状態)へと変異させた【スサノヲ】は元凶たる“優先排除対象(ドミディア)”へと手にした大口径ハンドガンを向ける。

 

———優先排除対象、補足

「なっ!?(馬鹿な!洗脳が解けたのか!?)」

 

まさか事態に周りの眼が向いていることに気に掛けることも忘れ、慌てて指にはめた【支配者の瞳】をかざすへ。

 

「命ずる!こちらに害意を向けるな!」

 

命令を受けたカグヤの腕が下げられる……、ことはなくカタカタと揺れながらしかしゆっくりと銃口をドミディアへ向けようとし続ける。

まさか抗われるとは思ってもいなかったドミディアは焦りながら再度【支配者の瞳】を起動する。しかし…

 

「重ねて命ずる!今すぐその物騒な物を降ろせ!」

———阻害干渉、問題ナシ、再補足、開始

「!?!?何故だ!?何故効いていない!?」

 

コチラへと向けられる銃口の動きが鈍っただけ、少しづつ少しづつ銃口はドミディアを捉えようと動き続ける。

正確には“カグヤの精神”は問題なく支配下に置けているが、身体に絡みついている“スサノヲの端末”が物理的に補正しているため多少動作が鈍る程度となってしまっていた。

スサノヲからしても宿主への負担が大きくなるので大変不本意であり、つまりはドミディへの敵意はさらに上昇した。

 

———目標、排除

「レ、レオノスゥ!」『世話がやける!』

 

絶死の弾丸がドミディアへと放たれるも、その射線上に全身鎧の巨躯レオノスが滑り込み弾丸を受け止める。

 

ガギンッ!ガギンッ!

 

レオノス自身はあの細腕で片手撃ちしているからには大したことないだろうと高を括っていたが、想像以上の衝撃に驚愕する。

 

『くぅ〜!だが弾切れまで耐えれる程度だ!』

 

火薬のみを使ったの純科学式の銃である以上、物理的に装弾数は限られる。

さらにあれだけ大口径となれば過去の経験則から多くても10発と予想、再装填するタイミングで一気にケリをつけれると思考を巡らせる。

腕部の装甲が軋みを上げながら11発、12発目を耐え抜いたところで銃撃が止み、レオノスの狙い通り弾倉の交換を始めたのを確認。

その動作も決して遅いという程ではないが、レオノスからしてみればあまりにも隙だらけであった。

 

『死なんように手加減はしてやる!』

 

一気に距離を詰めたレオノスは無造作にブローを叩き込もうとするが、突然現れた“障壁らしきモノ”に阻めれる。

 

『な、なんだと!?』

———再装填完了、行動再開

 

障壁の切れ目からレオノスの頭部装甲へと銃弾が叩き込まれ、堪らずよろけたところへ次々に弾丸は連射される。

それも全てレオノスが着込むGMG型魔導アーマーの関節部・可動部へと正確に放たれおり、そのうち2発が装甲の隙間からレオノス自身の右肩、右腕へと届く。

 

『ぐぅ〜!魔力反応の無い障壁だと……!?』

 

レオノスからすれば理解できない事象であったが、KAN-SENを知るものならそれが防御スキル特有の【防御シールド】であることをに気づけただろう。

 

『この女もいつぞやのヤツと同じか!なら手加減なんぞせんぞ!』

「待てレオノス!?殺すのはマズイ!」

 

戦闘兵器としての本能が刺激されたレオノスをドミディアが慌てて止めようとする。

ドミディアとしてはあの女(カグヤ)がどうなろうと構わないが、流石に死なれては後々の計画が破綻するのと、思った以上にヘリオガが依存しているのも無視できない問題だった。

まだまだどちらにも利用価値がある以上、死なれては困る。

 

『チィッ!だが五体満足は諦めろよ!』

 

【支配者の瞳】のせいで“ある程度”命令を聞かねばならないレオノスは苛立ちつつも本腰をいれて攻撃を開始。

防御シールドに拳が当たるたびに魔導砲が炸裂したかのような轟音が響き、それに応戦するように銃声が鳴る。

唐突に始まった人外バトルに周りの近衛兵らは何とか手にした装飾銃を構えるも完全に及び腰となっており、他の大臣らやパーラス達臣民統治機構の面々は痛みで気絶したパーラスを引きずりながら扉の外へと逃げ出していく。

カグヤ(スサノヲ)とレオノスの激突の余波で飛び散る破片が辺りをさらに破壊する中、玉座の影でヘリオガは震えて身をかがめていた。

 

(怖い怖い怖い……!でも、カグヤを置いていく訳には……)

 

ヘリオガが勇気を振り絞り玉座から頭を出すと、淡い光の壁が自分に降り注ぐ破片を防いでいるのを目撃する。

カグヤに纏わりつくスサノヲの端末個体のうち一体がヘリオガを守るよう個別に防御シールドを展開していたのだ。

スサノヲからすれば(カグヤ)以外の人間など塵芥に等しく、その気になれば優先排除対象(ドミディア)もろとも城ごと吹き飛ばすことに躊躇は無い。

しかしそのようなことをすれば(カグヤ)愛玩具(ヘリオガ)世話役ら(交友のある使用人達)も確実に死亡する。

(カグヤ)からの心象は推して然るべし、後々のことを考えて好感度稼ぎのが優先、と判断した。

スサノヲからすれば(カグヤ)に呼ばれて露払い*1をして以降、格納庫で燻るだけの日々。

KAN-SENやセイレーンらが何故貧弱な人型形態をとっているのか理解に苦しんでいたが、戦闘が無いときに(カグヤ)と交友が持てないのは大きなマイナスと理解し始めた。

さらに言えば、今現在守るべきカグヤの身体を使わねばまともに護衛も出来ない現状は改善すべきと判断。

専用の人型もしくは小型ボディの必要性を演算する片手間で相手をされているとは想像だにしてないレオノスは防御シールドを突破出来ないことに苛立ち始めていた。

 

『(無駄に硬い!こうなれば……)どうした!?殻に閉じこもるばかりの臆病者かぁ!?』

 

ドミディアへの射線を警戒しつつの正面突破では埒が明かないと判断したレオノスは取り敢えず挑発という手段に出た。

これで無理に攻勢にでて隙ができれば儲けもの、といった程度の牽制。

しかしスサノヲからすれば片手間で潰せるような相手から舐められたことに感情回路が一瞬で熱暴走する。

 

———“展開”

 

カグヤ(スサノヲ)の頭上で空間が軋んで歪む。

虚空にできた空間の隙間から幾つも金属パーツが飛び出ては組み合わさり形成し始める。

スサノヲにはKAN-SEN達が持つような人型時用の艤装などが“現時点では”存在しない。

スサノヲ自身、人型同様に艤装の必要性を感じていなかったし使うこともないと判断していたからだ。

なので現在組み上がっているものは艤装などではない、そう———

 

———25mm九六式3連装機銃

———試作型四連装30mm機関砲

 

艦載されている武装の再構成(・・・・・・・・・・・・・)、である。

 

———掃射開始

 

ガガガガガガ!!!!

 

途切れることなく鳴り響く発砲音、そして瞬く間に破壊されていく謁見の間。

感情回路が熱暴走したスサノヲはもはや周囲への配慮など無視しレオノスごとドミディアの“殲滅”へと思考を移行した。

 

『なっ…!?ヌゥオオオオーーー!!!!!』

 

対してレオノス状況を理解するよりも早く最大出力で魔導障壁を展開。

何とかドミディアへの射線を遮ることには成功せるも、自身も防御体勢以外の行動が取れない状態へと陥る。

 

(マズイ!選択肢を潰された!)

 

怒涛の弾幕に障壁が削られていくのを内臓魔力絞り出して補強するというゴリ押しで何とか耐えてる状態、こうなると遠距離攻撃手段が限られるレオノスでは相手の弾切れまで耐えるかしかない。

しかしそんな終わりの見えない暴威の嵐が唐突途絶え、かわりに大きな影が粉塵越しに見える。

 

 

———105mmSKC高角連装砲(改修型)

 

 

ヘリオガとドミディアは状況を理解できず目が点になり、それがおおよそ何なのかを理解できたレオノスは目を剥いて驚愕する。

 

———砲撃開……?

 

砲撃をしようとしようとした瞬間、スサノヲは本体の方に異常を感知、

それと同時に展開していた武装が床に落ち、轟音とともに形を崩して行く。

 

 

 


 

 

 

———Error、演算端末の処理能力急激に低下

 

———確認、連携中の“主機”にて異常発生、連携途絶

 

———遠隔端末の操作困難、“巫”の保護を最優先、転送のための演算を……

 

 

…………お義母さんに、ナニカあったの?

 

 

———肯定、オブザーバーの“主機”に異常が発生中、現在演算ユニットのフル稼働にて転送演算を処理中

 

 

…………私よりもお義母さんを助けてあげて

 

 

———否定、優先度は“巫”の保護が最上位

 

 

…………もう誰かを失くして、後悔したくない

 

 

—————————否…

 

 

…………お願い、だから

 

 

—————————肯定、“巫”の願うがままに

 

 

 


 

 

 

「なんだ!?どうなった!?」

『………(今度はなにをする気だ?)』

混乱するドミディアを背に、油断なく防御体勢を維持しながら状況を観察するレオノス。

 

「……カグヤ?わ!?」

 

立ち竦むカグヤへとゆっくりと手を伸ばしたヘリオガの腕にスサノヲの蛇型端末が巻き付く。

 

———暫く離れる、死に物狂いで“巫”を守れ

 

男とも女とも言えない声が不服そうな様子でヘリオガへと伝言をしたと同時にスサノヲの蛇型端末と転送した武装群が光の粒子となって消えていく。

あとに残ったのは悲惨な状態となった謁見の間、倒れ伏すカグヤであった。

 

 

 

*1
7話繋がる世界




力はある上に独占欲強い【自称神】とか厄災以外の何物でもねぇなという。
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