女王の女王   作:アスランLS

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ほんと葛城君って全然動かないから話作れない!桐葉君につまらない判定喰らうのも納得の不動っぷりです。


無人島試験結果発表

そんなこんなで、あっという間に無人島試験最終日を迎えた。しかし振り返ってみるとこの試験中食糧集めを除けば、ほとんどファルコンと鬼ごっこしてただけだな。リーダー探しは偶然も重なって2日目に全部終わっちゃったし、スポットの占有とかは葛城派だけで行ってたしな。

今日も朝から森の中を逃げ惑っている。最初らへんは慣れない大自然の環境に四苦八苦していたファルコンだったが、この数日で中々の適応力を見せている。……さて、時間的にこれがラストチャンスかね?

 

「おっと追い込まれちゃったか……」

「もう逃げられんぞ」

 

俺を木々に囲まれた天然の袋小路に追い詰めたファルコンが、手を伸ばして俺を捕まえようとする……が、

 

「はい残念♪」

「ぐっ……!?」

 

俺は巨木を蹴った反動で大きく宙返りし、ついでに手でファルコンの頭を踏み台にして後ろを取った。

 

「……ここまでだな」 

「えっ、まだ時間的にもうちょい余裕あるよ?惜しいところまで行ったのにもう諦めんの?」

「あまり俺を愚弄するな。常に俺がぎりぎり追いつけない程度の速さで逃げていたのはわかっている。……そして最後の攻防もわざと追い込まれただろう?」

「ありゃりゃご名答。でもまあ良い鍛練にはなったでしょ?」

「……今後お前と戦わなくてはならない奴等には同情する」

「何言ってるのさ。ずっと俺と戦い続けているのが俺達のリーダーだろうに」

 

大半の奴は俺との埋められない差に絶望したり、劣等感に苛まれて妬んできたり、甘い汁を吸おうと下手に出たり、俺には関係ないと無干渉を決め込んだりするが、あいつは俺を従えるために真っ向からぶつかってきてくれる。だからあいつにぜひとも俺を越えて欲しいと思うと同時に、あいつには負けたくないとも思ってしまう。……面倒な性分だな俺も。

 

「なあ本条。無意味な仮定なのはわかっているが……今回の試験、坂柳が取り仕切っていればどうなってたと思う?」

「そりゃ当然圧勝してたよ。……俺と有栖が組めば無敵だからな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ただ今試験結果の集計をしていますのでしばらくお待ちください。各自飲み物やお手洗いを希望する場合は休憩所をご利用ください』

 

そして試験は終わりを迎えた。休憩所には最後まで試験をやり遂げた各クラスの生徒(Cクラスはリュンケル一人だけだが)が集まっており、リタイアした生徒は客船で待機しているらしい。 

ちなみに今回の試験の肝であるリーダー当てだが、ウチのクラスはDクラスだけの指名に留まった。リュンケルは契約通りB、D両クラスのリーダーの情報を葛城に渡したが、俺のお節介が功を奏したのかBクラスの方は確たる証拠をリュンケルに奪われなかったようで、「石橋を叩いておいて渡らない」がモットーの葛城はリスクを恐れてBクラスの指名を断念したようだ。

いつもの側近3人と集計結果が終わるのを待ったりしながら待っていると、何やら勝ち誇った表情の戸塚と葛城が近寄ってきた。こちとら大自然とおさらばするノスタルジーに浸ってるのに無粋な奴だな。

 

「お前ら坂柳派もこれまでだな。今回Aクラスは葛城さん主導の下425ポイントを残すことができた。間違いなくダントツトップだろうな」

「へー」

「あっそ」

 

今の彼等ははっきり言って道化も良いところなので、俺も橋本も適当に返事する。マスミンとファルコンに至っては反応すら示さない。そんな俺達の態度に戸塚は苛立ちを見せる。

 

「お前ら自分の置かれている状況わかっているのか?派閥筆頭の本条は最低限の協力しかせず、トップの坂柳に至っては参加もしないでクラスに損害をもたらしたんだぞ。2学期からはおとなしく──」

「ありゃりゃ、まーたリュンケルとDクラスの人達が揉めてるよ」

「聞けよ!?」

 

何か言ってるが興味無いので無視無視。「強がりやがって……」とかぶつぶつ言ってる戸塚を捨て置いて、リュンケル達に駆け寄ってみる。……しかしこりゃまた、

 

「随分ワイルドになったねリュンケル。町歩いてたら職質されそうだ」

「ぶっ殺すぞテメェ。……それより鈴音はどこだ。ケツでも撫でてやろうと思ったんだがな」

 

あらやだ手をわきわきさせてお下品だこと。……などと思っていたらホリリンに惚れてるであろう須藤君が、何やら怒りに任せてリュンケルに詰め寄ろうとしていたので、一応肩を掴んで止めておく。

 

「っ!?」

「すぐ熱くなっちゃダメだぜ?口で喧嘩売られたなら口で応じなきゃ」

「んなことわかってらぁっ!ちょっと脅してやろうとしただけだ!……というかそれより、本条お前なんで──」

「さあ、なんでだろうね?」

 

不可解な出来事に襲われ須藤君が怒りを静めたのを確認し、平田君がリュンケルに向き直る。

 

「堀北さんなら昨日リタイアしたよ」

「は?リタイア?あいつがそんなタマかよ」

 

あちゃー……その反応からして、どうやらまんまとしてやられたようだねリュンケル。そして葛城達の道化も完全確定したな、可哀想に。

そして良いタイミングで集計が終わったようで、真島先生が拡声器を持って姿を現す。無事試験を乗り越えた俺達に対する賛辞を述べてから、いよいよ試験結果の発表に移る。

 

『なお結果に関する質問は一切受け付けていない。自分達で結果を受け止め分析し次の試験へと活かしてもらいたい』

 

「だそうだ。失禁しないで、ちゃんと現実を受け止めろよ?」

「それはこっちの台詞だぜ。ポイント全部使いきったとか、バカじゃねぇの?」

「僕らはボーナスポイントも含め125ポイント。立派にやり遂げたと思ってるよ」

「興味無かったから知らにゃい」

「このスーパー自己中野郎はともかく……はっ、その程度のポイントで満足するとはおめでたい奴等だな」

「0ポイントが偉そうに言うんじゃねぇよ!」

「……ク、クク。確かに俺はポイントを使い切ったがな、俺は紙に書いたぜ?お前らDクラスのリーダーの名をよ!」

 

ふむ、須藤君は驚愕し動揺してるけど、コージーも平田君も平然としてる……須藤君にも教えてやれよ事前に。

 

「そしてAもBも同じように書いた。どういうことだかわかるか?」

「どういうことだよそれ、なあ!?も、もし本当だとしたら……」

「これからさぞや面白いもんが見られるぜ、なあ本条?」

「ウン、ソウダネ」

 

ダメだ……こんなにイキイキとしているリュンケルにネタバラシなんてできないよ、可哀想で。

 

『最下位は…………Cクラスの0ポイント』 

 

「ぶははは!やっぱり0ポイントじゃねぇかよ!ダッセー!!」

「……0だと?」

 

リュンケルを指差しながら腹を抱えて笑う須藤君。リュンケルはショックを受けているようには見えず、冷静に何が起きたのか思考を巡らせていた。……まあウチのクラスと契約した時点で、最低限の成果は上げているからねぇ。

 

『続いて3位はAクラスの120ポイント。2位はBクラスの140ポイントだ』

 

「ふむ、やっぱこうなったか。それじゃあ葛城をおちょくりに行くとするか。あっ、ホリリンにはナイス替え玉☆って伝えといて」 

「っ、わかっていたのかい?だったら何故……」   

 

平田君の言いたいのは多分、どうしてリーダーがホリリンから変わっているのに葛城を止めなかったのか?ってことだろうけど……

 

「だから興味無いんだってば。それに集団にトップは二人もいらないし、最初から盛大にこけてもらうつもりだったよ坂柳派(俺達)は。……それじゃあまた船で」

 

和を重んじる彼からしたらクラス同士で蹴落とし合う俺達は理解できないのか、複雑そうな表情の平田君の視線を背に俺はAクラスの集まりへと移動する。……というか結局何も喋らなかったなコージー。

 

『そして1位……Dクラス、225ポイント。以上で結果発表を終了する』

 

まさかの1位にDクラスの集団から爆発的な喝采が飛び交う中、俺は頭の中で今回の試験結果を分析し振り返ってみる。 

まず最初に最下位のCクラス。

最初の300ポイントを初日で使い尽くし、気がすんだらクラス全員がリタイアして完璧なバカンスを楽しむ……とBクラスとDクラスに思わせておいて、リュンケルを含む3人だけは虎視眈々と各クラスのリーダーを探っていた。そしてBクラスとDクラスにそれぞれスパイを潜り込ませリーダーを特定し、Aクラスのリーダーはリュンケルに恩を売りたがっていた橋本がリークした。よって合計150ポイント……とはならず結果は無情の0ポイント。

この結果はDクラスのリーダーを外し、逆にDクラスにリーダーを当てられたからだろう。ホリリンがリタイアしたようなのでリーダーは別の誰かに移っている。リーダーは正当な理由なくして交代できないが、リーダーの体調不良によるリタイアは正当な理由として通るだろう。よって100-50-50で0ポイント。これはリュンケルどんまい。

続いて我等がAクラス。

有栖が不参加だから270ポイントからスタート。葛城達がこつこつとスポットの占有を頑張っていたようだが、リーダーを当てられたから全部パァ。リュンケル同様Dクラスのリーダーを外し、さらにリュンケルにリーダーを当てられ合計マイナス100。残りの50は……得点からして多分Dクラスにも当てられたようだ。……2日目に口八丁でホリリン達を追い返しておいて、最終的に結局バレるとかだっさ。

次はBクラス。

奇抜な戦略を用いず正攻法で試験に臨むが、他クラスの生徒を疑いもせず引き入れるという愚行を犯し、案の定リュンケルにリーダーを指名されて140ポイント……うん、特に良くも悪くもない平凡な結果だ。

しかし有栖が指揮取ってなくて良かったな卍解ちゃん。あいつだったらリスクなんて恐れず指名しているだろうし、何だったらDクラスにも情報をリークして40まで減らされてたかもな……いや、Dクラスとは同盟関係を結んでいるっぽいしそれは無いか。

そして最後に……教師達もビックリしたであろう、大金星をもぎ取ったDクラス。

平田君曰く、リーダー指名を除けばスポットのボーナス含めて125ポイント。あのまとまりの無いクラスで、ミスターにホリリンとリタイアを2名も出しながら、それでもそれだけ残せただけでも頑張ったよ彼等。平田君が誇らしく思うのも頷ける。

その上リーダーを特定されながらも、リーダーを入れ換えるという荒業で指名を逃れ、さらに最終得点からして2クラスのリーダーを的中させている。Bクラスの最終ポイントと、卍解ちゃん達が俺の情報をホリリンにも共有したことからして、あの2クラスは同盟関係にあると見て間違いない。よって彼等が的中させたのはAクラスとCクラス。

ウチのクラスはどうせ戸塚がまた何かやらかしたんだろうが、まさかスパイを潜り込ませていた筈のCクラスが当てられるとは……それにリーダー交代作戦だが、明らかに潔癖優等生タイプのホリリンが行いそうな作戦とはどうも思えない。となるとまたコージーが裏で糸を引いていたのか?……だとしたら実に面白い。

目立つのが嫌いな事なかれ主義者を自称していたから、無理矢理戦いを強要する気は無かったが……どういう心境の変化か知らんが、ホリリンを隠れ蓑にしつつそっちから挑んでくるなら十分楽しめそうだ。リュンケルも卍解ちゃんもこのまま終わるわけ無いだろうし……喜べよ有栖、この学校はお前が憂いているほど退屈しなさそうだ。

 

「どういうことだよ葛城!」

 

……さてと、少し興が乗った。今回の試験を経て他クラスにも面白い奴が色々いるとわかったことだし、つまらねー対抗馬にはひと思いにギロチンを振り下ろしてやるとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




桐葉君本人は無自覚ですが、大自然から離れることになってちょっと不満を抱えています。その八つ当たり気味な不満の矛先が向かうのは……
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