女王の女王   作:アスランLS

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【Cクラスに聞く!桐葉君をどう思っているかアンケート】

龍園翔……極上の獲物
伊吹澪……警戒、小説が気になる

この作品、龍園君以外のCクラス生徒影薄いなぁ……。


グループディスカッション②

 

「あちゃー……ちょい責めすぎた質問だったかな?」 

 

町田達のとった話し合い断固拒否の姿勢には、流石の卍解ちゃんも思わず苦笑い。

 

「いえ、一之瀬さんの質問は至極普通かと。ただ想像以上に彼らの警戒心が強かっただけです。……この試験は話し合うことが解決に繋がる唯一の道でしょう。町田君達がそうして知らぬ存ぜぬを貫き通されては、最悪Aクラス抜きで話し合うことになりますよ」

「そうなると不本意だけど、場合によっては最終的に多数決になるかな。必然的に非協力的だった人が疑われるだろうし、たとえば君達の中から当てずっぽうで優待者を指名されても納得できる?」

 

ふむ、中々お上手に主導権を握りつつあるな。第三者が見ればどうしたって、非協力的な態度をとる町田達の心象が悪く見えるだろう。卍解ちゃんの人望は、こういった乱戦も十分に力を発揮するらしい。でも残念……

 

「脅しのつもりか?ならば逆に聞かせてもらうが、話し合いで優待者が誰か突き止められると本気で思ってるのか?」

「他に方法があるなら教えてほしいな」

「ある。この試験を確実に、かつ簡単にプラスでクリアする方法……それは最初から最後まで話し合いを持たないことだ」

  

Aクラスは……というか葛城はBクラス(君達)が一番歓迎しないであろう方針を取るみたいだよ。突然の試験放棄宣言に、卍解ちゃんより先に浜口君が苦言を呈する。

 

「なかなかユニークな意見ですね。誰かもわからない優待者に勝ち逃げを許すんですか?これじゃ優待者がAクラスにいるの思われても仕方ありませんよ」

「どのクラスに優待者がいるかなど関係ない。全てのグループで話し合いを持たなければ、全クラスが平等に勝利できる。それが葛城さんの考えだ」

「葛城君の……?なるほど、ね」

 

葛城の名前を出されてようやく答えに辿り着いたのか、それとも危惧していたことが現実になってしまったのか、どちらにせよ歓迎すべきじゃない葛城の考えに卍解ちゃんは難しい顔になる。その一方、町田は理解できてないであろう生徒達にも説明し始める。

 

「この試験には4通りの結果しかない。その中で絶対に避けたいのは間違いなく、裏切り者を生み出すことだ。裏切り者が正解しようと失敗しようと、必ずどれかの陣営に損害が出るからな。……では逆に、それ以外の答えの場合はどうなる?」

 

町田は適当に指名するように、Dクラスの眼鏡をかけた男子生徒……確か幸村君に答えを求める。

 

「……マイナス要素が存在しない、と言うことか?」

「そうだ、残りの結果1と2にはデメリットがない。クラスポイントが詰まることも開くこともないし、大量のプライベートポイントが手に入り全陣営が等しく潤う。学校側にしか負担が無いのだから、下手に話し合って過ちを犯す方がよほど危険だ」

「ですが優待者がどこかのクラスに極端に偏っていたら、得られるプライベートポイントに大きな格差が生じますが?」

「それはない。試験前に公平性を嫌というほど強調していたし、前の無人島試験でも公平さは徹底して保たれていただろ?試験スタート時点で格差が出るなどありえない」

 

浜口君が反論するも町田は間髪いれず否定する。一見穴の無い完璧な理論に、周りも少しずつ賛同の声が上がる。葛城が背後にいる以上彼では力不足だ。曲がりなりにもこれまで有栖に張り合ってきた男に、いち生徒が理詰めで対抗できる筈もない。……奴の考えを切り崩せるとしたら、多分君だけだぜ?

 

「ほらほら卍解ちゃん、さっさと反論しちゃいなよ。このままだと多数決で町田……というか葛城の案が通っちゃうぜ?」

「Aクラスの本条君が急かすのもどうかと思うけど、わかったよ。……町田君の考えは間違ってないと思うよ。でもよく考えたらそれはAクラスだから提案できる作戦じゃないかなって思うんだよね。全クラスに平等なメリットがあるってことは、下のクラスにとっては限られたチャンスを棒に振るってことなんじゃないかな?」

「それは……」

「卒業までに特別試験が何回行われるかわからないけど、その度にそんな作戦を続けていたら、クラスの位置もずっと変わらないってことだよ」

 

その指摘に、さっきまで流されかけていた生徒達の顔が段々と強ばっていく。

そう、大前提としてこの学校はAクラスのみが勝者で、それ以外のクラスは全て敗者だ。どれだけ自クラスにメリットがあろうが、敵対するクラスもそれを享受するのなら差し引きプラマイゼロにしかならない。下克上のチャンスを棒に振る行為と同義だ。

少し考えれば実に単純な話だが、簡単かつ確実にメリットのみ享受できると言われれば人は釣られるものだ。でなければ詐欺被害はあれほど拡大していない。

 

「たとえ確実な成果が得られるとしても、私は貴重なチャンスを棒に振れないよ」

「僕達も一之瀬さんに同意見です」

「……言いたいことはわかったが、お前は結果1が最善だと言ったばかりだろ。それでは均等に大金を得るだけで、お前の望む結果にはならないぞ」

「それがそうでもないよ。このグループはCクラスとDクラスの人数が1人多い。結果1でクリアすれば上位クラスとの差を確実に詰められるってことじゃない?」

「自己犠牲を払って下位クラスに得をさせると?お前達に何のメリットがある?」

「そうしないと君達に逃げ切りを許しちゃうかもしれないからね。もし君達の中に優待者がいたら厄介極まりないし」

 

こんなこと言ってるが実際狙ってるのは、俺達の中に優待者がいたらCかDに指名させての結果3か、それ以外なら俺達に指名を外させての結果4なんだよね。だからこそ卍解ちゃん達からすれば、Aクラスが結果2狙いで話し合いを拒否することは非常に困るわけだ。

 

「……先に言っておくが、すでにAクラスの方針は固まっている。お前達が結束して話し合うなら好きにしろ」

 

そう言って町田は立ち上がり部屋の隅に移動し森重もそれに続く。多分どのグループでもAクラスの生徒は同じ行動をしていることだろうね。

 

「さーてと、どうしたもんかなー。あっ、本条君は話し合いに加わってくれると考えていいのかな?」

「あのね卍解ちゃん、葛城のつまらねーチキン戦法に俺が賛同するわけ無いでしょ。有栖が不参加な以上坂柳派の大半は葛城の指示に従うしかないけど、あいつじゃ俺を従えるには力量不足だ。自分より頭の悪い指揮官なんて従う価値もない」

 

町田が隅から敵意を飛ばしてくるが知ったことじゃない。格下を格下と言って何が悪い。

 

「力量不足、か……。ねえ本条君、もし坂柳さんならどういう方針でこの試験に臨むのかな?」

「まず最初にどう上手くやれば600cp獲得できるかを考えるだろうね、うん」

「う、噂で聞いた通り葛城君と対極だね……」

 

有栖は葛城のようにいちいちリスクなど気にしない。今回の試験であいつにとって最悪の展開は、先んじて他クラスに攻撃されて敗北することだ。試験の性質上リュンケルが凄く有利であることはすぐ見抜くだろうし、手がかりを掴み次第リスクなど度外視して殺られる前に殺るだろう。「石橋を叩いて渡らない」のが葛城、「石橋を爆撃機で消し飛ばす」のが有栖だ。

 

「しかしどうするんだ?本条以外のAクラスが参加しないんじゃ、確実に優待者を見つけるのは無理なんじゃないのか」

 

Aクラスの方針に焦った幸村が、問い詰めるように卍解ちゃんに文句を言う。別にいいけど君、さっきまで町田の甘言にあっさり懐柔されかけてたのに態度でかいね。

 

「もし私達の中に優待者がいるならそれでいいけど、あの2人のどちらかが優待者なら、協力してどうにか突き止めないとね。……でもまあ試験は始まったばかりだし、これから対話でどうすればいいかゆっくり決めていけばいいんじゃないかな」

「……本条、Aクラスが話し合いに参加するようにお前から説得できないのか?」

「逆に聞くけどね幸村君。君がミスター……あ、高円寺のことね……に何か指図されたとして、おとなしくそれに従うのかい?」

 

こちらに矛先を変えた幸村君だったが、俺の指摘に思わず黙り込んでしまう。普段好き勝手している奴にあれこれ命令されても、よほど切羽詰まってない限りふざけるなとしか思わないだろうね。

 

「……ねえ軽井沢さんだっけ。ちょっと聞きたいことがあるんだけど」

 

話し合いが難航し始めた途端Cクラスの女子生徒、たしか眞鍋ちゃんがDクラスの女子生徒、たしか軽井沢ちゃんに話しかける。思わぬ接触に携帯を弄っていた軽井沢ちゃんは面食らい気味に顔を上げる。

 

「……なによ?」

「もしかしてなんだけど……夏休み前にリカと揉めた?」

「は?リカって誰よ?」

 

眞鍋ちゃん曰く、Cクラスの諸藤ちゃんが以前軽井沢ちゃんらしき人に意地悪されたと聞いたので、それが本当なら謝って欲しいとのことだが、表面上はそんなこと知らぬ存ぜぬという態度で携帯弄りを再開する軽井沢ちゃん。

……うん、心当たりがあるみたいだね。

 

「……リカに確認してもらうけどいいよね?軽井沢さんじゃないなら問題ないでしょ」

 

その態度に苛立った眞鍋ちゃんは携帯のカメラを向けるも、軽井沢ちゃんは反射的にそれを手で払いのけた。結構強く飛ばしたなぁ、壊れたらどうするんだろ。

 

「何すんのよ!?」

「勝手にあたしを撮らないでよ。別人だって言ってるでしょ」

 

お互い一歩も譲らず、しかもどちらの主張も一定の理がある。だから争い事が嫌いな卍解ちゃんも迂闊に仲裁に入れない。

と、ここでCクラスの生徒二人が、眞鍋ちゃんに加勢するように軽井沢ちゃんへ詰め寄った。

 

「な、なによ……あたしが悪いっていうの?」

「別人だっていうならムキになって否定しなくてもいいじゃない。撮らせてよね」

「嫌だってば……」

 

ふむ……いつも何かに怯えてる子だと思ってたけど、こうして誰かに詰め寄られると特に顕著になるな。それからコージー、ここ来たときからずっと軽井沢ちゃんに意識がいってるけどどうしたのさ?もしかして片思い……じゃないね見た感じ明らかに。なんというか…………家電製品の機能を確かめてるかのような無機質さを感じるね。

 

「後ろめたいことがあるから否定してるんじゃないの?とにかく撮らせてもらうから」

「嫌だってば!……ねえ本条君、この子に何か言ってあげてよ」

 

おっとここで俺に助けを求めに来たか。……いやいや彼氏持ちが気安く男の腕とか組んじゃダメでしょ。これ有栖に知られたら破滅一直線だよ君。あの子意外と焼き餅焼きだから。

 

「はいはい君達喧嘩しなーい。一応今特別試験中ですよー?」

「ほ、本条君には関係ないでしょ……」

「関係あるなしは重要じゃないよ。助けを求められて特に断る理由が無ければ、とりあえず手を差し伸べるのが俺だし。友達思いなのは結構だけどさ、肖像権を侵害していい免罪符にはならないよ?」

「うっ、それは……」

「それに若いうちから横着しちゃダメでしょ、ちゃんと本人連れてきて確認しなさいな」

 

眞鍋ちゃんはまだ納得していない様子だったが、俺を理詰めで説き伏せる自信が無かったのか、おとなしく仲間と共に引き下がった。

 

「変な言いがかりやめてよね、まったく。

……ありがとう本条君」

「それは別に構わないけどさ、もし本当に君が犯人だったらちゃんと謝るんだよー?」

「大丈夫だって、絶対私じゃないし」

 

ごめんね、俺が嘘とか隠し事を不条理に見抜けちゃう人間で。悠々と席に戻る軽井沢ちゃんに内心謝っておく。彼女が非を認めようとしないことや、ずっと何かに怯えながらも無理に高圧的に振る舞う理由は、これまでの経験から推測するのはそう難しくない。

俺が意味も無く軽井沢ちゃんの抱えるものをこっそり暴き出していると、何やら申し訳なさそうに卍解ちゃんが声をかけてくる。

 

「仲裁を任せちゃってごめんね本条君」

「別に構わないってば。それより結局話し合いはどうすんの?」

「うーん……いざ話し合うとなると、難しいね」

「それじゃあ丁度良いテーマがあるよ」

「え?……あ、うん。何かな?」

「はい、ではこれより第一回!進路希望調査を始めたいと思いまーす!」

「「「……え?」」」

 

グループ全員が呆気に取られる中、俺はお構い無しに変なテンションで話を進める。今からすることは何をおいても勢いが大事なので、いちいち立ち止まってられないのです。

 

「この先俺らAクラスを見事引きずり降ろし、負け犬クラス計120名の犠牲を払いながら掴んだ栄光の下、君達が将来いったいどんなことをしたいか聞いていきたいと思います」

「何か嫌な言い方だなそれ……」

「甘いね幸村君。人生とは弱肉強食、人は誰しも何かの犠牲の上で生きてくものだよ。だいたい皆食事前に決まって『いただきます』とか言うけどさ、それを誰に向かって言うべきかとか何一つ考えてないでしょ多分。これからは摘み取られた植物や屠殺された家畜とかをちゃんと想像しながら言わなきゃダメだよ?」

「いや食欲失せるわ!?」

「はい、ギャーギャーうるさい眼鏡は放っておいてじゃんじゃん話進めますねー。それではまず前回の試験で見事1位に輝いたDクラスの皆さんから聞いていきましょう!トップバッターはコージー、君に決めた!」

「オレ……!?」

 

突然指名されたピカチュ……コージーは、珍しいことに凄く動揺していた。生徒会長に殴られかけても平然としてたのにね。

 

「え、えーと……とりあえず今は高校生活を平穏無事に過ごすことしか考えてないな」

「つまらん!0点!はい次、軽井沢ちゃん!」

「れっ……!?」

 

何やらショックを受けた様子のコージーだが、構うことなくノンストップで話を進める。

 

「えと、何か楽しい仕事をしたいかなー……」

「こけし職人ね、OK。はい次、幸村君!」

「それ楽しいの!?ねえ!?」

 

何か言ってるが無視無視。

 

「くだらんな。何故そんなことをお前に話さなければなら-」

「じゃあ眼鏡屋さんに決定」

「おい!?」

「はい外村君!」

「ひぇっ!?せ、拙者はパソコンが得意なので、それをを扱う仕事が──」

「なるほど凄腕ハッカーか」

「えぇっ!?……いやしかし、それも中々格好良いでござるな!」

「流石にこの学校もね、犯罪者の支援はしてくれないだろうから諦めてね」

「自分で振っといてそれはあんまりではござらんかっ!?」

「じゃあ次はBクラス!はい、卍解ちゃんは何アテンダントになりたいのかな?」

「キャビンアテンダント以外の選択肢を潰された!?え、えーと……保育園の先生、とかかな」

「意外性ゼロ!30点!」

「30点!?」

「じゃあ次、浜口君!君は優待者であることを守り通すでいいのかな?」

「いや優待者は僕じゃないで──

 

 

っ!?……っ!」

 

浜口君は思わず咄嗟に口もとを手で押さえてしまい、すぐにそのことを後悔するよう顔を歪めた。とりあえずBクラスの人達はもうちょっと駆け引きの勉強をしようか。ポロっと言っちゃっても堂々としていれば、五分五分の確率で抑えられたのに。そんな風に狼狽えてちゃ誰も君を優待者だとは思わないよ。

ほとんどの人は一度浜口君に視線をやった後、ゆっくりと俺に向かって警戒と畏怖が混ざった視線を向ける。

 

「……とまあこんな風に、時間をかけて少しずつ優待者が誰か絞っていけばいいんじゃね?それじゃあ主導権は返すよ卍解ちゃん」 

「……にゃはは。わかってたけど、やっぱり一筋縄ではいかないよね」

 

 




桐葉君にとって軽井沢さんは興味ゼロの生徒ですが、助けを求められたらそれに応じるため、彼女にとって理想の男子に近いです。……有栖ちゃんがいなければの話ですが。
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