女王の女王   作:アスランLS

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【Dクラスに聞く!桐葉君をどう思っているかアンケート】

綾小路清隆……友人、警戒
堀北鈴音……敵意、警戒、嫉妬
櫛田桔梗……嫌悪 
佐倉愛里……ハンカチのお礼のタイミングを逸した……
須藤健……友人
山内春樹……敵意
池寛治……敵意
幸村啓誠……敵意、警戒
平田洋介……友人、敬意
軽井沢恵……感謝
高円寺六助……興味



グループディスカッション③

 

結局あの後は皆警戒しまくったせいで、ろくに進展も無いまま1回目のグループディスカッションは終了した。その後空き時間を利用して勉学に励んでいたが、ルームメイトの橋本からカジノに誘われたので同行することに。

 

「はいこれ全部6番」

 

今日もギャラリーの注目を浴びながらポーカーで荒稼ぎしてから、稼ぎのほとんどをルーレットに突っ込む。そしていつものようにルーレットの中を転がる玉がどこに止まるのかを確認もせず、俺は分けたチップをプライベートポイントに換える。橋本がなんか名残惜しそうな顔をしているが、俺が稼いだ分をどう溶かそうが俺の勝手だ。というかお前今日結構負けてたんだから自分の心配だけしてろ。

 

「つくづく思うが、ほんとギャンブル引くほど強いなお前。……そういやずっと姫様と勝負で引き分けてきたって前言ってたけど、ポーカーとかでも互角なのか?」

「ポーカーなんかそもそも勝負に含まないよ。俺も有栖も勝利に対してどこまでも潔癖だからね、運に助けられた勝利なんて何の価値も見出だせない。……それに俺は、勝負を運で決めるなんて八百長の次に興醒めだと考えているしね」

「ふーん……まあそれはそれとして本条、優待者が誰かわかったのか?」

「ああ、Dクラスの軽井沢ちゃんだったよ。俺がちょっと周りに探りいれたらもの凄く動揺してたし」

 

表面上はどうにか隠しきれていたが、『優待者』って単語を聞くたび逐一反応していたから間違いない。……やっぱ問答無用過ぎてシンキングもクソもねーよ。

 

「……一応聞くけど指名しないのか?」

「わかってるなら聞くなよ。今回限りで葛城派を解体するため、Aクラスには完膚無きまでに負けてもらわないと。だから残りの4回はもう、卍解ちゃんがどうするか高みの見物だな」

 

それとコージーも……と心の中で付け加えておく。こいつがコージーのこと知ったら絶対に粉かけに行くだろうし、ここは友達のためにも絶対に黙っておくべきだろう。

 

「一之瀬がどうするか、ね。それはちょっと難しいんじゃないか?町田が葛城の言いつけを破るとは思えないし、森重だってよほどの確証が無ければ裏切らないだろ」

「かといってその余程の確証……例えば学校から送られてきた、その子が優待者であることを示すメールを見せたりすれば、Aクラスが勝ってそれで終わりだよね」

 

Aクラス以外が優待者のときの一之瀬ちゃん達にとっての理想は、Aクラスの誰かが裏切りかつその指名が外す結果4だ。しかしそのためには葛城が提唱する全グループ結果2作戦をどうにかする必要がある。森重は坂柳派なので優待者である確実な証拠を提示されれば裏切るだろうが、それでは本末転倒だ。

 

「だったら卍解ちゃん達が取るべき手段は1つ。偽の優待者を用意してそれを信じ込ませることだよ」

「……いや、それこそ無理な話だろ。優待者であることを示す確実な証拠はメールだけだし、そのメールに手を加えると退学だぞ?」

「そこを何とかするのが彼女の腕の見せどころだよ。それで躓いてるようじゃ有栖の遊び相手は務まらない」

 

この2週間さぞや退屈していただろうからな、葛城派が没落するだけでは溜飲を下げないかもしれない。ここは何かしら手土産を用意しておくべきだろう。

 

「はいはい、相変わらず姫様思いなようで何よりだよ。ったく、なんでさっさとくっつかないのかねぇ……」

「お前には死んでもわからないよ多分。……さて、そろそろ時間だね。お前も猿グループで頑張れよ、多分ミスターが勝つだろうけど」

 

あいつなら優待者が誰か推察するのは容易いだろうし、失敗したときにクラスが負うリスクなど屁とも思わないだろう。

 

「はっきり言ってくれるなぁ……ところで本条、今回の試験どこが勝つと思う?」

「十中八九リュンケル達Cクラスだな。少なくともAクラスは確実に勝てないだろうよ」

 

後はリュンケルがどう動くかだね。なんかやたらとDクラスに執着してるし、無人島試験のリベンジがてら集中攻撃してもおかしくはない。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして本日二回目のグループディスカッションが始まるが、相変わらず町田と森重は話し合いに一切参加しようとはせず、他のクラスの生徒達も情報を引き出されるのを恐れてやたらと警戒している。このままじゃつまらねーグダグダになりそうだね、まったく仕方がない……

 

「第1回!ジェンガバトルー!」

「「「……はい?」」」

 

ポカンとする生徒達を尻目に、俺は部屋の中心に組み上げられたジェンガを設置する。

 

「話し合いの場はあと5回もあるんだし、とりあえず話し合いは適当に遊びを挟みながらにしようぜ」

「あの本条君……今どこから出したの?その組み上がったジェンガ」

「手品だ」

「いや、流石にそれは無理が──」

「手品だ」

 

何やら納得できなさげな卍解ちゃんだが、実際できてしまったのだから仕方がない。

 

「いきなり何をふざけたことを……今は特別試験の最中だぞ!ジェンガなどやっている場合ではない!」

「別にふざけてはいないよ幸村君。この中には将来どこかの企業に就職するのではなく、自分で会社を立ち上げ経営者になる奴もいるかもしれない。そのとき必要になってくる組織運営をはかる思考を養うのに、ジェンガは最適な遊びなのだよ」

「何……?」

 

怪訝そうな表情の幸村君に対し、俺はジェンガの組み木から一本抜き出す。

 

「組織運営に重要なのはジェンガと同じバランス感覚だ。役立たずの部下を左遷して窓際に送り……」

 

そしてそれを一番上に重ねる。

 

「しかし思い詰めないように、屋上で缶コーヒーでも奢ってちゃんとフォローしておく。……だいたいこれだけ覚えておけば組織は回る」

「会社経営舐めてるだろお前!?そんな簡単な理論で回るか!」

「まあ四の五の言わずやってみようや。それに、きみも他に代替案があるわけでも無いんでしょ?」

「む……」

「にゃはは、そうだね。本条君の言う通り、気軽に遊びながら話し合うのも悪くないかな」

 

俺の意見に卍解ちゃんが賛同し、浜口君と別府君もそれに追従する。そして他の生徒も俺が口八丁に言いくるめて、最終的に町田と森重以外のジェンガに参加することになった。

 

「でも話し合いなんかして意味あんの?どう考えても優待者がズルすぎるっていうか、この試験難しすぎるって」

 

そんなズルすぎる優待者こと軽井沢ちゃんが1つ抜き出し、そのまま一番上に置く。

 

「言いたいことはわかるよ軽井沢さん。でもそれは考え方次第じゃないかな。1日2時間集まるって言ってもお喋りや携帯を触ったりも自由だし、授業のように息苦しくもないでしょ?」

 

卍解ちゃんも同じように抜き出して上に乗せる。その際若干塔がグラついた。

 

「それはまぁ……楽しいけどさ」

「でしょ?だからもっと気楽に話そうよ。殻に閉じ籠っちゃ苦しいと思うよ?現に町田くん達ずっと険しい表情のままだし」

 

二人の会話を聞き流しながら、俺はちょっとしたお茶目でわざと不安定になるように抜き出して上に置く。そんな中、卍解ちゃんの話を聞いていた町田が失笑する。

 

「優待者を見つけるなんて出来るはずないだろう。本条の使った手段も一回きりでもう通用しない。……それに、もしかしたらBクラスの中に優待者がいるかもな。その二人の話を信用できるのか?」

 

町田が卍解ちゃんに揺さぶりをかける中、コージーは俺と同じく敢えてバランスが不安定になるようにジェンガを抜き出し上に置く。君も中々悪よのう。

 

「綾小路殿!?なんてことするでござるか!?」

「それは町田君達にも言えるんじゃない?仲間を信用できる?」

「……当然だ。それに──」

「うぐぅ……どこを抜き出しても倒れそうな予感がビンビンするでござる……!」

「俺達Aクラスが優待者に拘る理由などない。毎月10万以上振り込まれるのに、たかが50万に固執すると思うか?」

「まったく仕方ないなー外村君は。ほら、ここを抜いてごらん?」

「そうかな?この特殊な学校じゃ、いくらポイントがあったって困らないと思うけど」

「むう、かたじけないでござる本条殿!」

「バカバカしい。ま、精々無駄な足掻きを──」

 

ガラガラガッシャァアアンッ!!

 

「ぬぅわぁあああぁぁあああ!?」

「そこ抜くと100パー崩れる☆」

「はかったな本条殿ぉぉぉおおおおおっ!?」

「うるっっっさいなお前ら!?今大事な話してるんだから静かにしろ!」

「ほうほう、大事な話……ねえ?ふーむ、葛城の指示で話し合いを拒否した奴の言葉とは思えないなぁ」

「っ!?……~~~っ!!」

 

挑発を交えた俺の指摘に顔を真っ赤にした町田は、再び携帯に目を落として拒絶の意を示す。

 

「ありゃりゃ、自分の殻に閉じ籠っちゃった。卍解ちゃんの邪魔しちゃったかな?」

「……いや、そんなことないよ。むしろ本条君のおかげで糸口も見えてきたかもね」

 

なんかちょっと格好つけてるとこ悪いんだけどさ……あっさり主導権取られ過ぎやしませんかね。しっかりしてくれよまったくもう。

その後は何故かひたすら幸村君がジェンガを崩し続け、あっという間に1時間が過ぎていった。最初は不満げだったのに後半凄いムキになってたね君。

……それにしても眞鍋ちゃん、軽井沢ちゃんに対する不満とか怒りが収まるどころか悪化してたなぁ。このまま何事も無けりゃいいけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

午前11時半。船外のデッキにて久し振りに天体観測を楽しんでいたら、学校側からメールが届いた。

 

『猿グループの試験が終了いたしました。猿グループの方は以後試験へ参加する必要はありません。他の生徒の邪魔をしないよう気をつけて行動して下さい』

 

うむ、まず間違いなくミスターが裏切ったのだろう。あの自由人が何度も無理矢理拘束されるのを許容する筈がない。やっぱ橋本程度じゃミスターの相手は荷が重かったか……。

 

「……本条」

「んあ?葛城?」

 

これはまた予想外な人物。この船から見える幻想的な満天の星空がまるで似合わない、存在からしてロマンの欠片もない無骨で無粋な男がいったい俺に何のようだ?

 

「どうしたんだよ?お前の方針に従わないことへの苦情は受け付けねーぞ。そもそも俺ミーティングでハブられたし」

「特に用があるわけではない。お前が俺の指示に従わないことはもう割り切っている。ミーティングに呼ばなかったのはそのためだ。不快に思っていたなら謝ろう」

「ふむ、そういうことなら許してやろう。……せっかくだから聞いておきたいんだけど、なんでこんな戦略で臨む?」

「当然Aクラスにとって最善の選択をしたまでだ。余計なリスクを廃し、堅実に勝ちに行く……それが俺のやり方だ」

 

嘘偽りなくそう思ってるようだが……いやいやいや。こいつ自分が置かれてる状況ちゃんとわかってるのか?それとも崖際に追い詰められてなお勝負ができない臆病者か?どちらにせよガッカリだが……

 

「あのね葛城、今の君の立場ちゃんとわかってんの?無人島の大敗とリュンケルとの契約のせいで君の派閥はもう虫の息だよ?この試験を無難に乗り越えたとしても、このままじゃ2学期から有栖に主導権を握られるだろうね。ここはリスクを伴ってでも勝負に出るべき──」

「俺は」

 

ちょっとした老婆心から諌めようとした俺の話を、葛城は手で制止しながら遮った。

 

「クラスに降りかかるリスクを気にも留めない坂柳を批判し、そんな奴の方針に反対する姿勢を貫いてここまできた。自分が追い込まれたからといって無鉄砲にリスクのある勝負に打って出ることは、これまで俺を信じてついてきてくれた者への裏切りであるし、何より……俺の信念を否定することに他ならない」

 

…………………………へぇ。

 

「この前の無人島試験で、遺憾ながら龍園にそれを気づかされた。クラスのリーダーを坂柳に明け渡すのは、俺の愚かさが招いたことだと甘んじて受け入れよう。だからといってあの女に好き放題させるつもりはないがな。……遅かれ早かれ一之瀬あたりが説得を持ちかけてくるだろうが、意見を変えるつもりはない。クラスを任された者として、俺は俺の責務を全うする」

 

派閥争いで有栖に敗北したことを受け入れながらも、この男の闘志は衰えるどころかさらに増していた。要は有栖がリーダーになることを黙認しつつも、その過激な行動に対するストッパーになるということだろう。……全てはAクラスの生徒達のために。

 

「己の信念を貫き通す、か。堅実な手段ばっかり選ぶつまらねー男だと思っていたが……中々頑固な男じゃないか。そういう不器用な生き方は嫌いじゃないぜ」

「お前に好かれたところでどうだという話だが……まあ素直に受け取っておこう」

「それじゃニックネームはいったい何にしようかなー?」

「は……?」

「だからニックネームだよ。有象無象からアダ名呼びに昇格させてやるんだ、ありがたく頂戴するがいい」

「いや別に要らないんだが-」

「ふーむ……よし、アデランスに決定!」

「おい、どこを見てそう決めた?」

「お前の名前と頭」

 

まあ流石にそれは下手したら名誉毀損に該当しかねないので、紆余曲折の前を削って「ランス」に決定した。経緯を知らなければやたら格好いいな。

 

 

さて、ランスの考えは中々悪くない。この試験を無難に乗り越え大量のプライベートポイントを確保すれば、こちらに流れてかけている元葛城派の生徒も何人かは考えを改めるだろうし、派閥が縮小しようがある程度の人数を確保できれば、有栖も好き放題独裁は行えなくなるかもしれない。それでも有栖主導であるためランスが仕切るよりは攻撃的になるだろうが、そのくらいはランスも妥協の範囲内だろう。

 

 

 

 

 

……問題があるとすれば、Aクラスがこのまま試験を無難に乗り越えられる可能性が、限りなく0なことだけだろうね。ごめんねランス、派閥の解体はもう決定事項なんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 




原作で綾小路君が佐倉さんや櫛田さんとイチャイチャしてる一方、桐葉君はオッサン顔の男子と仲良くしてました。彼に好意的な女子はいっぱいいますが色目を使う子は皆無。有栖ちゃんが怖いから。

葛城君と煉獄さんが同じ声と最近知って、ついねじ込んじゃいました。
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