女王の女王   作:アスランLS

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【桐葉君に聞く!Dクラスをどう思っているかアンケート】

綾小路清隆……かなりお気に入り
堀北鈴音……面白い子
須藤健……今後に期待
高円寺六助……俺を従えられるかな?
それ以外……興味なし


4巻エピローグ

 

鼠……裏切り者の正解により結果3

 

牛……裏切り者の回答ミスにより結果4

 

虎……優待者の存在が守り通されたため結果2

 

兎……裏切り者の回答ミスにより結果4

 

竜……グループ全員の正解により結果1

 

蛇……優待者の存在が守り通されたため結果2

 

馬……裏切り者の正解により結果3

 

羊……優待者の存在が守り通されたため結果2

 

猿……裏切り者の正解により結果3

 

鳥……裏切り者の正解により結果3

 

犬……優待者の存在が守り通されたため結果2

 

猪……裏切り者の正解により結果3

 

 

以上の結果から本試験におけるクラス及びプライベートポイントの増減は以下とする。

 

 

Aクラス……マイナス200cp プラス200万pp

Bクラス…… 変動無し   プラス250万pp

Cクラス……プラス150cp  プラス550万pp

Dクラス……プラス50cp  プラス300万sp

 

                     

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

【side:橋本正義】

 

午後11時。

いつものカジノにて学校から送られてきた特別試験の結果を確認したが、俺達Aクラスは惨敗に終わった。悔しさはまるでない。葛城が指揮を取るこの2つの試験でクラスに大きな損害を与えれば、おのずと葛城は求心力を失う……全て坂柳が想定した通りの結果だ。

本音を言えば最初からからクラスを対立させたりせず、確実にAクラスのまま卒業できる方針を取ってもらいたいものだが、まあ凡人である俺には天才様の考えなど理解できる筈ないか。問題なくAクラスで卒業できるのなら、俺も姫様に忠誠を誓い続けるだけだ。……そうでないなら話は変わってくるけどな。この先誰の下につくことになっても、最終的に俺がAクラスで卒業できればそれで構わない。

 

「AからDまでの関係性を無視するってのは、クラスの区別なく名前の順に並び替えることで、優待者の法則はグループに割り振られた干支の順番に位置する生徒……か。わかってしまえば単純な法則だが、それでも裏切るには相当な度胸がいるな」

「1億分の1くらいはクラスごとに法則がバラバラの可能性もあるし、より推理を確実にするには他クラスの優待者を最低1人は見抜きたいよね。……そうなるとリュンケル、随分早くから優待者を見抜いたんだねぇ」

「初日の1回目で見抜いた奴が言ってもな……しかしCクラスが勝ったのは予想通りだが、なんだって龍園はこんなAクラスだけを狙い打つ真似をしたんだ?」 

「さあね、気になるなら本人に聞きに行けば?あの子意外と自己顕示欲強いから、今ごろDクラスのホリリンあたりに勝ち誇ってると思うよ」

「なんでD……ああ、そういえば無人島試験の借りがあったな。……じゃあなおさらなんでDクラスに攻撃しなかったんだよ?」

「肝心の竜グループは結果1だし、ろくでもないことを企んでるのは間違いないだろうね……ほいフラッシュ」

「す、スリーカードです……」

 

屈辱に身を震わせるディーラーからチップを巻き上げるという、もはや見慣れたやり取りをする友人について考えを巡らせる。

 

本条桐葉。

 

もはや同学年で知らない奴はいないであろう、坂柳派の筆頭にして学年最優秀と名高い生徒。坂柳の下についている点では俺と同じ立場だが、自力ではトップになれないから勝ち馬に乗ることを選んだ俺と違い、あらゆる方面でトップに立てる資質を備えているにもかかわらず、性に合わないという理由で坂柳の下に甘んじている変わり者だ。普通こういう天才は自分の能力に自信があるから、人一倍プライドも高くて易々と人に従ったりしないんだがな。

……だがまあ俺からすれば好都合な関係ではある。万が一に備えて他クラスにもコネクションを構築しておくのは勿論だが、坂柳と本条……手を組んだこの2人が負ける光景は想像がつかない。本条が俺のスタンスを察しているのに何も警戒した様子が無いのは、俺が寝返るような状況にはならないと確信しているからかもな。

……さて、そろそろカジノでプレイできる回数の上限になるし、今日もいつものようにポイントをドブに捨ててお開きか……あーあ、今にもったないおばけがでるぞ。

 

「……って、何してんだ本条?」

「800万ポイント分チップに変えてきた」

「いや、それは見りゃわかるが……」

 

困惑する俺に構わず、本条はその1枚100万ポイント相当のチップを全て、いつものようにルーレットの賭け金を乗せるスペースに置い……

ちょっっっっっ!?

 

「24番に800万」

「おぃぃいいいぃぃぃいいいっ!?何してんだお前は!?」

「うるさいな橋本、いきなりはしゃぐな」

「はしゃいでねぇよパニクってんだよ!おおおおまお前……自分が何やってるかわかってるのか!?」

 

既にベットしたからにはもう取り消しは不可能。ディーラーは困惑しながらもルーレットを回し始めた。

 

「……ところで橋本、この前俺のことを天才様だとか何とか言ってたっけ?」

「こんなときに何の話だ!?お前ただでさえ坂柳派が龍園に支払うポイントを引き受けたばかりなのに、何して-」

「お前の言う通り確かに俺は天才なんだろうが、俺は自分が天才であることを誇りに思ったことは生まれてこの方一度も無い。何故だかわかるかい?」

「は、はあ……?」

 

昨日までとは違い本条はすぐにカジノを退出しなかった。唐突な問いかけに俺が困惑している間もルーレットは回る。

 

「それは俺がたまたま多くの才能に恵まれただけだからさ。もし仮に俺以外の有栖やミスターといった天才達が、天才になるという運命を背負ってこの世に生まれてきたのだとしても……俺だけは違う。俺だけはただ運良く天才だったに過ぎない」

 

回る。

 

「……いや、そんな断言できるものじゃないだろ?姫様や高円寺がそうなら、お前だってそうなんじゃないのか?」

 

回る 回る 回る。

 

「いいや、他の天才達はどうかは知らないけど、世界中で少なくとも俺だけはただ運が良かっただけだと確信している。たとえば俺の両親は有栖の両親と違って、善良だが凡庸な人だから、才能を受け継いだって訳でもないし……」

 

回る回る回る回る回る回る回る回る回る回る回る回る回る回る回る回る…… 

 

「そして何より……」

 

そうしてようやくルーレットが止まり、中を転がっていた銀色の玉が1つの数字を指し示す。

 

 

 

 

 

24

 

 

 

「「「っ!?!?!?!?」」」

「……ほら、事実として俺は凄まじく運が良い」

 

俺が、ディーラーが、ポイントを換金する係の店員が、不正をしていないかチェックする警備員が……その場にいる全員が絶句する中、本条は何でもないかのようにさらりと言った。

ありえない……ルーレットの数字賭けが的中する確率は僅か3%未満。絶対に当たらないという程では無いが、全財産をつぎ込むような賭け方は正気の沙汰じゃない!それを平然と行ったことはもちろん、さっきの本条の会話の運びからして……当たることを確信していたとしか思えない……!

カジノ側はイカサマを疑い警備員はルーレットや本条本人、果ては一緒にいた俺までを入念に調べるが、当然ながら何も出てこない。まず本条はルーレット自体には一度たりとも触れてないし、そもそもルーレットを回したのもディーラーなのだから、どうやってもイカサマなどできる筈もない。

 

「悪いんだけど俺、運が絡む勝負で勝とうと思って勝てなかったことも……生まれてこの方一度も無いんだよね」

 

やがて観念したのか、顔を真っ青を通り越してお粥のように白くさせた店員から2億8800万ポイントを受け取り、未だに言葉を告げずにいる俺を連れてカジノを出た。

 

「この学校が安易に膨大なポイントを手に入れられる方法を見過ごす筈がない。こうして前例ができてしまった以上、来年からは賭けられる額に上限がつくか、ルーレットそのものがなくなっているだろうね」

「……最終日にこうすると決めていたのか?」

「カジノじゃ勝ち過ぎる客は嫌われるけど……もう縁が切れるなら嫌われても構わないしね」

「以前運が絡む勝負を否定していたのも、もしかしてこのためか?」

「そ。やったところで100%俺が勝っちゃうんじゃね。結果の見えた勝負なんて退屈なだけだよ」

 

プライベートポイントを2000万貯めればAクラスに上がることができる。たとえ途中でB以下にクラスを落としたとしても、卒業目前に移ってしまえば無事Aクラスで卒業できる。そんな誰もが一度は考え、そして誰もが非現実的過ぎて諦める偉業を、たった1度の賭けで14人分も実現させやがった。それはつまり単純計算で、本条にとって13番目以内の優先順位にいれば、勝利が約束されるということに他ならない。

 

「ねえ橋本」

 

俺が脳内でこれまでの方針をシフトさせ、どうやって本条から気に入られようと画策していると、当の本条が何かを見透かした目をしながら話しかけてきた。

 

「この際だからはっきり言うけどさ、俺はお前のことを心底つまらねー男だと思ってる」

 

今の俺にとっては凶報かつ、しかし予想できていた事実を突きつけられる。本条は気に入った生徒を妙なアダ名で呼ぶ傾向があるが、同じ立場の神室や鬼頭とは違い俺だけはずっと苗字呼びのまま。だから内心俺のことはあまり好きではないと気づいていた。これまではそれでも別に構わなかったが、ここは何としてでも確実な安泰が欲しい。どうすればいい……

 

「お前のその、誰かに頼りきった勝利を求めるスタンスが心底理解に苦しむんだよ。さっきのでわかっただろうけど、俺はコイン1枚あれば人生の勝利が約束される。……でもそんな勝利はつまらないと思わないか?やっぱり勝利ってのは自分の力で奪い取るもんだよ」

 

……本条の話を聞いているうちに、俺はいつの間にか手を力強く握りしめていた。

ふざけるな、それは『持ってる』側にしかわからない考えだろう。別にそんな豪運に頼らずとも全てにおいて突出した才能を持つお前に、決してトップに立てない人間の気持ちがわかってたまるか。

 

「……まあでも価値観は人それぞれだし、お前がどうしてもそれを望むならくれてやってもいいよ?」

「……は?」

 

流石に言い返そうとした俺に、本条はあっさりと俺の望みを叶えると言ってきた。

 

「お前が俺に望むのは『卒業間近でAクラスじゃなかったときに2000万ポイントを譲渡する』……でしょ?いいよ、約束してあげる」 

「……本当、なのか?悪いけど口約束だけじゃ信用は-」 

「俺は約束を破らないけど、形に残る契約が欲しけりゃ面倒だからそっちで用意してね」

「なぜだ?なんで気に入ってない俺にそこまでするんだよ?意味わかんねえよ」

「以前も言わなかったっけ?求められて断る理由が無ければ、とりあえず手を差し伸べるのが俺だよ。……ただし1つ条件がある!」

 

良い笑顔でビシッと人差し指を突きつけてくる本条に、俺は思わず身構える。2000万もの大金と引き換えにするほどの要求だ、決して軽いものではないだろう。

 

「お前が今続けてる蝙蝠外交だけど……」

「ああそれか?もう続ける理由も無くなったし、言われなくてもちゃんと打ちき-」 

「ダメ。誰にもこの2000万の件を打ち明けずに今後も続けること。それが条件」

「……は?いや、いったいなんのために?Aクラスにとっては何のメリットも無いぞ?」

「そっちの方が面白くなりそうだから。お前はつまらねーけどお前の行動自体は面白いしね」

 

あまりの変人具合にとうとう開いた口が塞がらなくなった俺を捨て置き、何故か世にも奇妙な物語のテーマを口ずさみながら自室に戻る本条。その姿が見えなくなってから……俺は思わず脱力しその場に座り込む。 

 

 

 

完全に俺の預かり知らない方向から、突然欲していたものが転がり込んできてしまった。あれだけ求めてやまなかったのになんだこの脱力感……本条の言ってたことが少しだけわかった気がする。確かに達成感も何も無いな。

 

 

 

 




Q.どうして持ち金全部をルーレットに突っ込んだのですか?
A.橋本が慌てふためく光景を見たかったから。


ドリームジャンボ並のプライベートポイントを手に入れた桐葉君ですが、あぶく銭なので多分次話あたりでほとんど散財します。

桐葉君は生まれつき、神から祝福されたと言われたら信じてしまいそうなほど幸運です。綾小路君や高円寺君ですら運ゲーだと勝ち目がありません。このすばのカズマさんに匹敵します。しかも負けようと思えば負けられるなど融通も効きます。
しかし必ず勝つ勝負を好まない桐葉君にとってはあまり歓迎するものではなく、少しでも運の絡むような勝負事を純粋に楽しめない原因となっています。

桐葉「あてずっぽうとか運否天賦とかは絶対ダメだ!当たっちゃってつまらねーからな!」

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