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グループ決めは難航を極めた。
打倒Aクラスを掲げ手を組んだ3クラスだが、やはり優先すべきは自クラスから退学者を出さないことと、自クラスの生徒の割合が大きいグループを上位にすることだ。よってグループ作りは有力者を引き入れることは勿論、足を引っ張るような生徒を他所に押し付けることが重要になってくる。
何が言いたいのかというと……
「俺は龍園とは同じグループになりたくない」
「ああ、あいつとだけはごめんだ」
誰もリュンケルと組みたがる人がいないため、グループ決めが一向に終わらない。心優しい平田君が手を差し伸べようとするも、同じグループの生徒はこれでもかと猛反対する。
これまで散々えげつない手段で暴れまわってきた彼は当然周りからよく思われていないし、退学のかかった試験で不用意に爆弾を抱えたがる者はいない。彼が一線を引いたことは既に知れ渡っているが、これまでの行いからフェイクだと疑う人も多いし、尚更信用なんてできないだろうね。
当の本人はキングボンビー扱いされていることに気にも留めず孤高を気取ってるし、色々事情があるのかこれまでリュンケルを慕っていた石崎君や山田君も彼を遠ざけている……仕方ない、ここは俺が一肌脱いであげよう。
「ねぇザキちん達、手詰まりなようだから助けてあげようか?」
「何……?」
「残る5つのグループの内3つはザキちん、金田君、平田君を中心とした15人のグループでしょ?残る10人からなるグループの2つの内の1つを俺に任せてくれたら、リュンケルを引き入れるし責任者になってもいいよ」
「守りに入ったAクラスの生徒であるお前が、わざわざリスクを抱え込むだと?……何を企んでいる?」
「ふざけんなよ本条!葛城さんの方針を無視する気か!?」
「戸塚うっさいでしゃばってくんな。ランスの方針なんて俺の知ったことじゃないし、そろそろこのグループ決めの時間飽きた」
「相変わらず自由奔放ですね本条氏は……」
試験内容が不明なんだから適当にパパッと決めりゃいいものを、グダグダと無駄に時間を浪費しよってからに。
「それに俺には策略とか必要ないからね。誰がメンバーでもどんな試験内容でも勝つ自信あるし。……それで返答は?」
「勿論僕達Cクラスは賛成するよ」
「我々Dクラスも異存ありません」
「……いいだろう。ただしグループ内のAクラス生徒はお前1人にしろ」
「よし、交渉成立だね♪」
ザキちんの出した条件は仮に俺が有言実行して上位になっても、Aクラスへの恩恵を最小限に抑えるためだろうね。
もとよりクラスへのメリットなど度外視していたので二つ返事で承諾し、リュンケルのもとへ向かう。
「まあそんな訳で、よろしくねリュンケル」
「わざわざ俺を引き入れるとは酔狂な奴だぜ。……俺はこの学校に特に未練を持っちゃいねぇ。道連れ覚悟でテメェを退学に追い込むかもなぁ?」
「そんときゃポイントを払って免除してもらうよ。プライベートポイントは持て余してるし、400クラスポイントはちょっと痛いけど……君が去った後のDクラスから毟り取ればいいさ」
「クク、自爆しようが俺が犬死にするってわけか。だがお前以外はどうかな?他に入りたがる奴をどうやって見繕うつもりだ?」
「まあ何とかなるんじゃない?露骨に足引っ張らなきゃ道連れなんて出来ないルールだし。……そうだ、せっかくだから抱えるだけ抱えてみよっか」
「あぁん?」
怪訝そうな顔をするリュンケルを捨て置き、優雅に爪の手入れをしている六助に近づく。
「やっほ六助、俺のグループに入らない?」
「やあマイフレンド。勿論構わないよ、君がいれば少しは退屈せずに済みそうだ」
立て続けに問題児を集める俺に周りが唖然とするのもお構い無しに、今度は山田君と石崎君に狙いを定める。これまでリュンケルの手下として悪行を尽くしてきた彼等は、リュンケル程じゃないにしろ敬遠されているからね。
「なあ本条」
「おや、幸村君とコージー。どしたのさ?」
「俺達もお前のグループに入ってもいいか?」
「別に構わないけど……中々のチャレンジャーだね。俺はこれからただ自分が楽しみたいがために、地雷グループを作るつもりなんだけど」
「お前の常軌を逸した実力は十分知っている。どんなメンバーだろうと上位を狙う余地は十分にある。それに打倒Aクラスを目指すなら、お前の情報はできるだけ集めておくべきだ」
なるほどね……多少のリスクを飲んででも積極的に勝ちに行くとは、どうやら幸村君はよほどAクラスの座に執着してるらしい。
だけど俺にとっては嬉しい誤算だ。コージーは目立つのが大嫌いだから俺から声をかけにいくのは避けようと思ってたけど、これなら友達である幸村君に意見を合わせたという大義名分が成り立つ。
その後石崎君達も俺の勧誘に応じ(彼等がほんの一瞬リュンケルに意味深な視線を向けたが俺はあえて見逃す)これでC・Dクラスの人員は揃い、残るBクラスも幸村君の話を聞いて考えを改めたのか、墨田誠君、浜口哲也君、別府良太君の3人が加入し合計10人のグループが完成した。そして俺が不穏分子を独占したおかげで残る4グループもスムーズに決まる。
「はい、それじゃあ学校側にグループ結成の報告に向かうので、軍隊のように統制のとれた動きでついてくるように」
「さっき出来たばかりの寄せ集め集団に無茶言うな!?」
「宮さん宮さんお馬の前にヒラヒラするのは何じゃいな~」
「軍歌も歌わんでいい!」
「あ~れは朝敵征伐せよとの錦の御旗じゃ知らないか~」
「清隆も乗っかるな!」
「一天萬乗の一天萬乗の帝王に手向いする奴を~」
「龍園まで!?」
「「「トコトンヤレ、トンヤレナ~」」」
「合唱するな腹立つ!だいたいなんでお前らそんなに軍歌詳しいんだよ!?」
流石幸村君、怒濤のツッコミ捌きだね。ニックネーム枠に昇格まであと一息だよ。
「……ある程度のリスクは覚悟していたが、ちゃんとやっていけるか怪しいグループだ」
幸村君は溜め息をつきつつ項垂れるがまあ無理もない。石崎君達はリュンケルのみならずコージーのことも避けてるし、六助は相変わらず他のメンバーのことなど気にも留めずに自分に酔っている。……現状チームの完成度は間違いなく最下位だろうね。
「……なあ本条。高円寺はこれまで特別試験を一度として真剣に取り組んでこなかった奴だ。取りにいったからにはちゃんと制御する方法があるんだよな?」
「え?そんなの無いよ」
「……は?」
何やら呆然としてるけど幸村君、そんな都合のいいものがあると思ってたの?それともまさか、彼を制御する方法が知りたくてこのグループに入ったの?……だとしたらとんだミステイクだね。
「さっきも言ったじゃないか、自分が楽しむためにグループを作るって。ちょっと興が乗ったからジョーカーをコレクションしただけさ。というか誰かに制御される六助なんて気色悪いでしょうが」
「流石はマイフレンド、私のことをよくわかってるようだねぇ」
「……入るグループ間違えたかもしれない」
特別試験だからってちょっと肩肘張り過ぎだね幸村君。もっとゆとりを持って行動しないと。
真嶋先生に報告を終え、上級生を含む既にグループを作り終わった生徒達が集まっていたのでそちらに向かう。
全ての小グループが完成したことを確認し、みやびん会長が俺達1年生……というか俺に声をかけてきた。
「意外に早くグループが作り終わったな。ちょうど時間もあるし、これからすぐに大グループも作らないか?」
「学校側が許可してくれますかね?」
「それくらいの融通は利く筈だ。夜決める予定だったのは小グループ結成に時間がかかると予想した学校側の配慮だし、早々に小グループが決まったならこのまま移行した方が得だろ?」
大グループを作り始める雰囲気を察知した先生達が何やら慌ただしく動き始めている。小グループ結成が早く決まる場合のパターンくらい想定しておけると思わなくもないが、もう16才になった桐葉君はいちいち揚げ足を取らないのだ。
「それでいいですよね?堀北先輩」
「ああ、それで構わない」
「決まりですね。……ところで大グループの結成方法ですけど、野球のドラフトみたいに1年の代表者6人に、俺たち上級生のグループを指名させるってのはどうすか?じゃんけんで勝った順に2、3年の小グループを指名していけばすぐに大グループが決まりますよ」
「それでは公平性に欠けるだろう。1年の持つ情報量は少ない」
「それは仕方ないでしょ会長さん。人脈構築や情報収集力も実力の内でしょ」
「……なるほど、一理あるな。だがな本条、会長はもう南雲だ」
「おっといけない元会長さんだった。……元会長さんって言い方何かモヤっとするのでアダ名変えましょうか」
「俺の知ったことではない。今は大グループの決め方を話してるんだ、関係ないことは-」
「みやびん会長何かいい案あります?」
「聞け」
「堅物先輩とかどうだ?堀北先輩にピッタリだ」
「南雲も乗っかるな」
「ふむ、悪くないですね……じゃあちょっとアレンジしてコランダム先輩に決定」
「おい」
「だはははは、全然原型とどめてないじゃねぇか!」
「……」
「硬さはダイヤモンドの方が上だけど……何かこう、しっくりきませんよね」
「ああ確かに、何か成金みてぇなイメージで堀北先輩には合わな-」
「いい加減にしろ」
俺とみやびん会長の額目掛けて振り下ろされるコランダム先輩の拳。
「……痛ぇっす堀北先輩。元とはいえ生徒会長が暴力に訴えるのはどうかと思います」
「コランダムだけに拳も硬いっす」
「囀ずるなバカ共。……どうやら異論も無いようなので、大グループ決めを始めるぞ」
どうやら俺達がおちゃらけてる間に、1年生に不満が無いか聞いてきてくれたらしい。
俺達はそれぞれの小グループに戻り、1年生のグループからは責任者6人……俺、ランス、ザキちん、金田君、平田君、三宅君がそのまま話し合いの場に出る。そして厳正なるじゃんけんを行い、まあ当然今までじゃんけんで負けたことの無い俺が一番最初に指名することになる。
「じゃあみやびん先輩達のグループで」
「即決だな。グループメンバーと話し合わなくていいのか?」
「責任者は俺なんだからこれくらいの横暴は許されるでしょ」
意気揚々と自分のグループに戻ると、ある程度上級生に詳しいBクラスの墨田君が苦い顔をしている。
「なんで相談も無しに決めたんだよ?というかグループ内の面子で考えると、選ぶなら普通堀北先輩のグループだろ」
コランダム先輩とみやびん会長どちらが優れてるかは置いておくとして、グループ内の面子には確かに開きがあった。
「そだね。みやびん会長のグループは何故かC、Dクラスの生徒がやけに多い。噂ではみやびん会長は2年全体を掌握しているのにあの微妙な人選……どう考えても何か企んでること山の如しじゃないか。だからこそ敵に回すべきではないと判断したのさ」
「そ、それは……」
「そして、できれば警戒していることも、あの人には悟られたくない。この学校の生徒会長の権力は絶大だし、敵に回さないために万全を期すべきだ。だったら敢えて考え無しに適当に決めたと思わせて、見くびってもらった方が都合がいいでしょ?」
「そ、そこまで考えていたのか……」
もっともらしい理屈で上手いこと言いくるめたけど……当然何か面白そうという理由で選びました☆
俺の適当な口八丁に惑わされないリュンケルやコージーはジト目を向けてくるけど、どちらも墨田君に指摘してあげるようなお人好しじゃない。六助?大グループ決めなんてどうでもいいとばかりに髪を整えてるよ。
その後グループ選択は粛々と行われ、やがて6つの大グループが完成した。
結成、桐葉小グループ!
メタ視点ではとんでもない厨パですね。