三宅明人……140
幸村啓誠……90
外村英雄……70
神崎隆二……170
鬼頭隼……250
桐山生叶……100
瀬川大悟……180
南雲雅……200
藤巻航……160
緒方正親……240
堀北学……200
※勿論オリジナル設定ですので悪しからず。
とても女の子には話せない世界一お下劣な聖戦が終わり、入浴を済ませた俺はちゃっちゃと寝室に戻りたいところだが、話があるらしいのでランスと共に指定された空き部屋に向かう。グループメンバー達が今日の成績ランキングを楽しみにしているだろうから、手短に済ませてほしいなあ。
「それで話って何?」
「単刀直入に問う。お前はこの特別試験、1位を取りに行くつもりか?」
まあ、その件についてだろうね。ランスが望んでいる返答も予想できるけど、残念ながら期待には応えられないかな。
「勿論そのつもりだよ?やるからにはトップを取らないとね」
「本気か?お前達が勝てばAクラスは不利になるだけだ。それに気づかないとは言わせんぞ?」
俺の返答が気に食わなかったのか、たぶん子供が泣くであろう強面で睨んでくるランス。
今回の試験の報酬はクラスポイント含めて、グループメンバー1人1人に支払われる。Aクラス生徒が1人しかいないグループが1位を取ったところで他の3クラスに差をつめられるだけだから、クラスのことを第1に考えるなら大半がAクラス生徒で構成された、ランスのグループが所属する大グループに勝ちを譲るべきなんだろうね。元より俺が楽しくないから知ったことじゃないけど、一応大義名分は振りかざしておこうかな。
「あのねランス、君達って確かコランダム先輩と同じ大グループだったよね?」
「そうだな」
「そして俺達はみやびん会長と同じグループ。で、あの2人が今回グループの順位で勝負してるわけじゃん」
「ああ」
「何でもこれまで散々挑んでは袖にされ続けてきた末に、ようやく勝負を受けてくれたらしいよ。そんな大事な大事な戦いで俺達が足引っ張って負けちゃったら、みやびん会長に恨まれちゃうよ」
「……」
「知ってる?あの人と敵対した生徒は、必ず退学しちゃうっておっそろしいジンクスがあるらしいよ。ああ怖い怖い、試験でわざと負けるなんてとてもとても-」
「つまらない建前は必要ない。もう1年近くの付き合いなんだ、お前がそんなことを恐れるような奴ではないと俺もわかっている」
せっかく引き下がる理由をあげたのに、ランスは依然として厳しい表情のまま。まったく、これだから潔癖な奴は面倒なんだよ。……仕方ない、もう手心を加えるのはやめにしよう。
「そもそもお前は体育祭のリレーで南雲先輩を打ち破っている以上、既に目をつけられていると考えていいだろう。ならば-」
「ここはクラスの利益を優先して勝ちを譲れってか。……あーあ、やっぱり君は有栖に歯向かう資格なんて無かったとつくづく思うよ」
「……何だと?」
「君の小グループは大半がウチのクラスの生徒で占められたグループだろ?対して俺の小グループは俺の趣味で揃えた、結成時のイーグルス並みの寄せ集めグループ。これで勝てないようじゃ……Aクラスの男子は束になっても俺に及ばないということになっちゃうよ?」
「……それは……」
「そもそもそんなに俺達が1位を取るのが不満なら、真っ向から捩じ伏せてみなよ。……少なくとも有栖ならそうするだろうぜ」
何やら難しい表情のまま考え込むランスを捨て置き、俺は部屋を後にした。
ランスといい卍解ちゃんといいなまじ有能な子は、高い知能が災いして俺との力の差に無意識に心が折れてしまっている。何とかして殻を破らなきゃ、有栖の遊び相手にはなり得ないんだよね。もうコージーという極上の獲物がいるからあれこれと導いてやる義理は無いけど、獲物は多ければ多いほど良いから頑張ってね。
さて、それじゃあ部屋に着くまでに今日の採点を済ませとこっかな。
今回の特別試験において、まず間違いなく評価対象となる項目はおおよそ4つ。
『禅』……座禅開始までの作法、座禅そのものの姿勢などの採点。
『駅伝』……評価の基準は多分シンプルに順位とタイムになると思われる。
『スピーチ』……大グループの1人1人がスピーチを行い、声量、姿勢、内容、伝え方で採点される。
『筆記』……道徳問題中心のペーパーテスト。評価基準はまず間違いなく点数の善し悪し。
各項目それぞれ20点満点、あとは『清掃』や『朝食』など加点要素の可能性のある作業や真剣に試験に取り組む姿勢を総括して20点満点、合計100点満点でグループメンバーを採点すると……1位俺、2位浜口君、3位墨田君、4位山田君、5位別府君、6位コージー、7位幸村君、8位石崎君、9位リュンケル、10位六助と言ったところかな。
やはりBクラスの生徒はバランスが良いから上位に食い込むね。最下位の六助も何とか50点はギリ超えたから、今日もペナルティは無しでいいかな。
うむ、悪くはない。悪くはないが良くもない。2位の浜口君が70点未満は、全体でトップを取りに行くにはちょっと心もとない。コージー、リュンケル、六助のハイスペック問題児がもう少し本気でやってくれるなら話は別だけど、皮算用に頼るのは趣味じゃない。さて、俺は責任者としてどう取り組もうかね?
寝室に戻り成績発表を済ませた後、枕の下に『25』と書かれた紙を見つけたが見なかったことにして捨てた。夜更かしはお肌に大敵なのだ。
その後も合宿は俺主導の下、概ね順調に進んでいく。
一口にリーダーと言っても色々なタイプがある。例えば有栖のように優れた頭脳とカリスマで統率する、ランスのように手堅く堅実な方針で安心感を抱かせる、卍解ちゃんのように魅力と人徳で自然と団結する、リュンケルのように恐怖と暴力で支配する、(厳密にはコージーが裏で糸を引いているんだろうが)ホリリンのように目に見える実績で信頼を勝ち取る等様々だ。
性格的に向いていないことはさておき、リーダーとして俺はこの中だとホリリンに近い性質だろう。友好的な子もそうでない子も、ケチのつけようのない実力と実績で黙らせる。合宿中に様々な課題に直面したが、その度に俺は先陣を切ることでグループメンバーの道標となり、誰かしらが遅れを取ったり壁にぶつかったりすればその都度フォローを入れ示した。
流石に1週間程度で基礎体力が向上したりはしないので、幸村君や浜口君は運動面で活躍することは無いだろうが、座禅に関しては皆及第点レベルまでに仕上がったと言っていいだろう。石崎君も含めて筆記の成績はかなり向上したし、コージーのスピーチも……まあ、うん。
懸念事項があるとすれば、大グループ全体での交流がほぼ皆無なことだね。先日のババ抜きの件を根に持っているのか、3年グループは他学年と露骨に壁を作っているし、コランダム先輩との勝負がかかっている筈のみやびん会長率いる2年生グループも、勝つ気があるのか全体的にやけにのんびりとしている。で、俺達1年生グループの子達もイカサマでカモられかけたせいか、歩み寄ろうとしていたのはBクラスの3人のみ(そして当然袖にされていた)という有り様だった。
ファルコンによるとコランダム先輩が所属する大グループは、あの人を中心に1年から3年まで非常に統率の取れた団体となっているそうだ。もし評価対象にグループ全体の団結力があったら惨敗だなこりゃ。まあこの学校は結果の伴わない仲好しこよしを評価した試しがないから、流石に無用な心配だろう。
……しかしみやびん先輩もひねくれ者だよね。ようやくコランダム会長が勝負を引き受けてくれたってのに、まともに勝負しにいかないなんてさ。元主将さん曰く生徒会は特別試験のルールにある程度口出しできるらしいし、
そんなこんなで迎えた7日目の早朝。
明日の朝になれば即試験が始まり、それが終わればこのグループとの関係も終了する。アットホームとは言い難いがまずまずの結束力のグループだっただけに、名残惜しむ子も少なくないだろうね。六助やリュンケルは当然腫れ物扱いされてるし、石崎君はコージーに対して嫌悪感が強いけど、この辺はまあ仕方がない。社会に出ていく以上は嫌な相手とも折り合いをつけなければならないときもあるだろうし、良い勉強になったとポジティブに考えるしかないだろうね。
「はい皆ちゅーもーく。これから明日の駅伝について話すので最低限耳だけは傾けといてね」
俺が軽く呼び掛けるとグループ内のほとんどが姿勢を正し、リュンケルや六助も一応意識だけは向けてくれている。
ちなみに駅伝の試験はリレー形式、山岳地帯のコースを往復計18キロを小グループ全員で走りきるというルールだ。
「俺達は10人グループだから、普通に考えれば不利なように思えるよね」
「?そりゃそうだろ。人数が多い方が1人1人の負担が少ないしよ」
「走る距離を均等に分ければ、ね。最低1人1.2㎞走る必要があるから15人グループだと均等にせざるを得ないけど……俺達10人グループは運動に自信の無い子は1.2㎞走るだけにしておいて、自信のある子が多めに走るという戦略が可能なんだ」
「な、なるほど……」
「確かに、やりようによってはそれなら1位を狙えるかもしれないね」
全員が俺の説明に納得したようだし、出し惜しむ必要もないので俺の考えた必勝戦略を伝えようか。
「それじゃあ皆1.2㎞頑張って走ってね。残りの7.2㎞は俺が走るから」
「「ちょっと待て!?」」
即座に石崎君と幸村君からストップが入る。他にも周りを観察すればコージー、リュンケル、六助以外はこの作戦を良しとしないみたいだ。もうすぐ清掃の時間だからこんなことにあまり時間を割きたくないんだけどなぁ。
「ありゃ?何かご不満?」
「いや不満っつーかよ……なあ?」
「ああ。責任者とはいえ、お前だけに負担を押し付けようとは思わん」
「えー。大事なのは良識よりも実績だよ?……それとも何、たかだか7キロちょいで俺がバテると思われてる?心外なんですけど」
「そ、それは……」
一斉に言葉に窮してしまう幸村君達。今ごろ体育祭での蹂躙劇が脳裏を駆け巡っていることだろう。
「……まあどうしてもと言うなら石崎君、君は2㎞走ってよ。どうせ筆記とかスピーチじゃ活躍はできないだろうし」
「一言余計なんだよお前は!?……わかったよ、任せろ。何なら3㎞走ってやってもいいぜ?」
「それは遠慮しておくよ、やるからには確実にトップを取りに行かなきゃね。石崎君このグループの中じゃ速い方だけど、全体で見るとそこまで突出してないし」
「ほんとに歯に衣着せねぇなお前は……」
しょんぼり顔で石崎君が引き下がったところで、俺は六助に視線を向ける。
「それで走る順番だけど……アンカー手前は俺が走るから、アンカーは六助に任せるよ」
「「「待て待て待て!?」」」
先程よりも強く引き止められる。今度はリュンケルも少なからず驚いているみたいだ。当の六助は相変わらず優雅に髪を整えてるけど。
「何考えてんだ本条!こんな最下位ゴリラにグループの命運を預けるとか正気か!?」
「考え直せ本条!そもそも真面目に走るかどうかも怪しいのに、よりもよって何故アンカーに……!?」
「逆だよ。むしろアンカー以外は不安だから絶対に任せたくはないかな」
「ど、どういうことだ……?」
俺の主張を理解できず困惑する周囲を捨て置き、一応六助に歩み寄って確認しておく。
「ねえ六助。どうせ君はこのグループのために一生懸命走るなんて有り得ないだろ?」
「愚問だねえマイフレンド。君が統率する以上、誰かが露骨に足を引っ張らない限り最下位は有り得ないだろうし、私はこれまで通り必要最低限のことをこなすつもりさ」
「だよねえ……それはそうと六助、誰かに追い抜かれて平気でいられる性分かね?」
「ふむ、どういうことかな?」
「体育祭もあったし、この学校の男子生徒がどれだけ走れるかは全員分頭に入ってる」
「今さらっととんでもないこと言ったぞアイツ……」
石崎君が何やら言っているが関係ないので無視。
「それでシミュレートしてみたところ、よほどのアクシデントが起きない限りアンカーの君にバトンが渡る頃には十分なリードで1位になりそうなんだよ。そこから誰かに追い抜かれることを君が良しとするかい?」
「ふむふむ、中々興味深い意見だねぇ。……だけどそれだけで私にアンカーを任せるのは危険じゃないかね?私が君の思惑通りに動くことを良しとせず、あえて追い抜かせたりするかもしれないよ?」
「だったらそれは君にアンカーを任せた俺のミスだ、責めやしないさ。ただまあ……」
そこで一度言葉を切り、挑発的に六助を見据えながら言葉を続ける。
「絶対的優位な状況で勝ちを取り零すような奴には、俺の上に立つ資格なんて無いけどな」
これは紛れもない本心。
六助が俺を欲しがっていることが本心だとしても、意地を優先して負けることを選ぶなら、俺はこいつに対して完全に興味を失うだろう。
しばらく無言で値踏みするように俺を見ていた六助だったが、やがて愉快そうに口を歪めた。
「君の想像した通り、誰かに追い抜かれるなんて美しくないことはお断りだ。君がトップでバトンを回してくるなら、そのままトップでゴールするつもりだよ」
「それだけ確認できれば上々だよ。皆もそれで納得したね?それじゃあご飯前の清掃に行こうじゃないか」
明確な実績は無条件の信頼を生む。俺が勝つと断言したからには、それを疑いはしないだろう。
原作でのグループの不協和音は絶対的なリーダーの不在が大きな要因であるため、桐葉君というわかりやすい柱があるせいで特に問題も起きませんでした。そして高円寺は原作と違って同クラスの幸村君が責任者じゃないため、道連れを避けるために必要最低限の協力を行ったため、原作ほどヘイトを溜めていません。
グループメンバーの成績については要望があれば公開します。