持ち前の末脚を使って重賞レースを全て総なめしてやりたいウマ娘の話   作:りのちゃん

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作者「暑い!!! ちなみに私最近別の作品も並行して小説書き始めました。ハーメルンにもいつか投稿予定です」


第八十九話 真っ暗な光

 

 思えば、なんで俺はキグナスをターゲットにしてしまったのだろう。分かってる、ああいう連中を潰したかったって言う俺のエゴな正義感があったからターゲットにしたのだ。

 でも、キグナスを無視してしがなく走り続けることもできたはずだ。それなのになぜ俺はわざわざ修羅の道を選んだのか。

 

 なんで俺がたまたま? 本当にそうだろうか。じゃあ意図的? なんとなく違う気がする。

 

 実を言うと、俺のエゴな正義感だけがキグナスをターゲットにしたわけじゃないと思っている。何か別に、俺をキグナスと戦わせる何かがあったはずだ。

 

 なんだろうか、思い当たる節は少ない。

 

 例えばどうしようもなくすごいやつがキグナスと戦っていて、そいつを逆に倒してやりたかったからとか? 

 

 キグナスのような理不尽なチームがいても、全く笑顔を崩さない奴の笑顔を崩してやりたかったとか? 

 

 そんなクズな理由で俺はキグナスを倒したかったのか? 

 

 違うはずだ、俺がキグナスを倒したかった理由、俺にキグナスを倒すやる気を持たせてくれた理由は。

 

 思い出せ。そうだ、トレセン学園に来てから肩慣らしとして走った模擬レース。そこで出会ったあいつが、キグナスと戦っていたから、俺は一緒にキグナスを倒そうと思ったんじゃないか。

 

「あったりまえ!」

 

 お前を超えるために、俺はキグナスを倒そうとしてるんじゃないか。

 

 お前が苦戦するキグナスを倒せれば、俺はお前以上に強くなれるだろ? だからキグナスを倒そうと決めたんだ。俺は……。

 

「お前を超えたいからッ!!」

 

 

 

「クライト……あいつ……やりやがった……」

 

 向こう上面を走り、そのまま最終直線に入ろうとしているバ群の中に、クライトの姿が見える。長い間あいつの走りを見てきた俺ならわかる、あいつは今さっき、領域の偽物を使った。

 

「バカが……バカがバカがバカがバカがぁぁ!!」

 

 クライトは今まで俺の言った事なら信じて実行してくれた。それなのに今日に限って俺の言う事を聞かないなんて……おかしいじゃないか……! 

 

 思えば、あいつが控室を出て行ったときに感じた違和感。あれはクライトが心の底で領域もどきを使おうとしていることが分かっていたのではないだろか。それなのに俺は止められなかった。

 

 あまりの自分の情けなさに、柵に突っ伏して嗚咽しながら涙があふれる。

 

 それでも……それでも、顔を上げると汗を滝のように流し、目をひん剥き、G1でもないのに勝負服が重なって見えるような気迫で走るクライトが見え、俺は精いっぱいの声で叫んだ。周りの目が気になるがそんなの関係無い。俺は涙も鼻水も垂れ流しながら叫ぶぞ。

 

「勝ちやがれぇぇぇえ”! そこまでやるんだったら絶対勝てよ”ぉぉぉ!! 負けたら……負け”たら絶対許さねえ”っ!! お前がいる病院で一生説教してやる”っ!! だから勝てぇぇぇぇ”!!」

 

 

 

 トレ公の声が聞こえたのは、今度は幻聴じゃないはずだ。

 何度も踏んだ芝が、こんなにも柔らかく感じるのは俺の感覚異常だろうか。

 

 前に見えるデルタリボルバーに向かい、俺は領域の偽物を発現した。発現したことにより、俺の体はシンボリルドルフの話にあった領域の様な状態に近くなる。

 

 しかしこれは偽りの領域、本来の領域に比べ力は劣ると言う。

 

「でもどうせこれが俺のラストランだ……デルタリボルバーにさえ追いつければいい!!」

 

 俺はこれ以上トレ公の戦績に負け星を増やしたくない、菊花賞でデルタリボルバーにリベンジしようにも、スタ公がいるだろうからな。あいつの実力は本物だ、勝てる気がしねぇ、だからもう、ここで終わらせる……。

 

「行くぞ拳銃野郎!!」

 

「その呼び方を……するなぁ!!」

 

 いくら領域の偽物で身体の感覚が研ぎ澄まされ、スタミナが蘇ろうとも、脚が蝕まれていると言うのは本当のようで、デルタリボルバーに追いつくために加速していくにつれて足の痛みが増していく。

 

 デルタリボルバーまではあとほんの1バ身ほど……ゴールまではあと200mほど!! 

 

 もう止まることなんてできやしない、脚が壊れようと関係ない。もう俺の目の前にいるウマ娘を倒す事。それだけを考えて走るだけだ。

 

「トレ公ォ!! 見てろよ!? これが俺の走りだああああ!!」

 

 手をひたすら前に伸ばし、デルタリボルバーを何とかして躱そうとするが、あと一歩のところで届かない。デルタリボルバーも俺に抜かされまいと本気になっているのだろう。こうなってしまえばもうお互いの根性比べで勝った方がこのレースを制する勝負。

 

 負けるもんか。

 

 もう肺そのものが破れそうなほど酸素を吸い込んでいる。付け根から千切れそうなほど脚を動かしている。デルタリボルバーの超速スパートに対して、俺も気合でスパートをかけたんだ。こんなチャンスはもう二度と来ないし、自分から捨てた。

 

 勝利を信じ、ひたすら前に走り続けていた時だった、突然、俺の視界が暗くなったかと思ったら、以前よりも明るい景色が広がっていた。あれだけうるさかった自分の心臓の音が、全く聞こえない。観客の声も聞こえない。そんな状態になったのは、残り100mの時だった。

 

「はぁっ……はぁっ……」

 

 ああ、これが、本物の領域か。

 

 任意で発現など出来ない、本物の領域。

 

 そう理解したのは、一瞬だった。

 

『マックライトニングだ! マックライトニング! 攻略不能に見えたデルタリボルバーを! マックライトニングが躱した躱した! そのままリードを広げてゴールイン!! 神戸新聞杯、制したのはマックライトニングです!!』

 

「医療班を呼べぇぇぇえ!!」

 

「勝っ……た……?」

 

「クライトさん! クライトさん!!」

 

 ゴールしたと同時に、トレ公の声やメテオの声が聞こえた。もう脚が痛すぎて地面に倒れ込んでいる俺を心配してだろうか、医療班を呼んでいるようだ。顔の部分があったかい、この感じは鼻血が大量に垂れ流れているのだろう。頭がずきずきと痛む、涙が出てくる。もう指の一つも動かすことができない。俺から出てくるのは、ミジンコの鳴き声のようなか細い声だけだった。

 

 俺はそのまま意識が薄くなってきて、気付いたら気を失っていた。

 

「クライト! クラ……ト……! ……ラ!!」

 

 

 

「……あ……?」

 

 目が覚めると、視界いっぱいに広がる白い天井。どうやらどこかの病院のようだ。

 

 体を起こすと、突然の激痛が走り俺は痛みに悶えた。痛みの方向を見ると俺の脚の方からで、俺の脚は見る限り何も問題が無い健康的な脚なのに、動かそうとすると激痛が走るようになってしまっていた。

 

「あぁ……まったく、勝ってよかった……」

 

 気を失う直前、確かに実況の人が俺の名前を呼んでいるのが聞こえた。神戸新聞杯の結果自体は俺の勝ちで間違いないだろう。

 

 ベッドを囲むカーテンをめくってみると、隣にはトレ公がパイプ椅子に腰掛けてグースカ寝こけていた。近くには俺の私物がたくさん入ったカゴがあったので、その中からスマホを取り出して神戸新聞杯からの日付を確認する。今の時刻は昼ごろのようだ。

 

 日付はかなり過ぎており、神戸新聞杯の二日後だった。

 

「……」

 

 俺はスマホをカゴの中に戻し、再び天井を見つめる。走れなくなった脚の感覚を体で感じていると、自分のウマ娘としての存在意義を考えてしまう。こうなることは覚悟の上で領域を使ったのだが、それでも走れなくなってしまった事実っていうのは、なかなかに効くな……。

 

 しばらく脚の感覚を感じていると、俺の寝ている部屋の扉が開けられた。そこに立っていたのはデルタリボルバーだった。

 

「起きていたのか」

 

「なんとかな。それで? 何の用だ、拳じゅ……デルタリボルバー」

 

 デルタリボルバーは特別意識を取り戻した俺の事を嫌がる様子はなく、ただ黙々と花瓶の水を入れ替えるなどをしてくれていた。

 

「……私の武器は、言わずもがなこのスタミナだ。私がこの武器に目覚めたのは最近、それなのにそれを早くも打ち破ったお前に、すこしばかり尊敬の念があるんだ」

 

「それで氷野の眼を縫って病室に来てるってところか」

 

「……そうだ、そこに置いた花束は私の自腹だ」

 

 デルタリボルバーが指差した方向を見ると、確かに花束が置いてあるのが見えた。それにしても自腹か……。確かにウマ娘はバイトが出来なくはないが、大体レースやトレーニングに集中したくてやらないのが普通だと思っている、それなのに花束を見ると軽く10本は花が入っている。今は造花であっても高いからな……それを自腹で払ったのはなかなかにすごい。それにバイトなんてさせてくれなさそうなキグナスだからなおさらだ。

 

「それじゃあ、私はこれで帰る」

 

 ある程度病室の清掃が終わると、デルタリボルバーは病室から出て行ってしまった。少しくらいゆっくりしていけばよいのにと思い呼び止めたが、キグナスのトレーニングがあるからと断られてしまった。

 

 尊敬の念か……あいつもムーンのやつみたいに、根はただの勝負精神旺盛なウマ娘なのかもな……。

 

 俺がデルタリボルバーの事についていろいろ考えていると、すれ違う様にまた病室が開けられた。

 

「やっほークライト! 今日も来たよ……ってえぇぇぇぇぇ!! 起きてる!!」

 

「なんで俺が寝てると思っててそのテンションなんだよ」

 

 今度はサンが病室にやってきた。サンに関しては病院なんだからスキップしながら入ってくるのはやめた方が良いと思うが……。サンは珍しく制服じゃなく、赤い奇抜な服を着ていた。

 

「シャインもこの後来るよ!」

 

「もう勢ぞろいじゃないか」

 

 サンはカゴいっぱいに俺の好きな飲み物やお菓子を入れて持ってきてくれて、さっきのデルタリボルバーの花束も合わせてすでに机がパンパンになっている。

 

「……どいつもこいつも、俺に対して時間割きやがって」

 

「え~? だってクライトには早く治ってほしいもん!」

 

「え……?」

 

「ん? だってクライト、脚がちょっと痛んじゃっただけでしょ? 脚を治して菊花賞に出るんでしょ?」

 

「あ、ああ……そうだな、菊花賞、出るよ」

 

 サンがふいに放った俺への心配の言葉は、俺が治る未来があると言う風だった。どういうことだ? 俺の脚が治る……のか? いや、そんなわけはない。この脚の痛みを感じてわかる、これは絶対に治らないと。だからこそ不思議だ、なぜサンは俺の脚が治ると思っているのか……。

 

 サンはカゴの中から一つお菓子を取り出して自分で食べている。その横でまだ眠りこけているトレ公を見て一つの説が頭に浮かんだ。

 

「トレ公……てめ~話してねぇな……?」

 

「え~? なんか言った? クライト?」

 

 多分、トレ公は俺の脚の状態の事をサンやスタ公に話していない。

 

 俺から言えとでも? 全くめんどくさい事をしてくれたものだ。

 

 その後、時間が経ってスタ公の奴がお見舞いに来たが、相変わらず俺の脚の状態については知らない様子だった。やはり、トレ公はみんなに話していないようだ。

 

 スタ公やサンが帰ってからも、お見舞いは続いた。

 

 俺がゴールして倒れた時に真っ先に医療班の奴を連れてきてくれたメテオ。

 

「レースが始まる前からクライトさんの様子がおかしいと思って……よかったです、移動しておいて。あ、これお花です」

 

 アルビレオのトレーナー室にあるテレビでレース映像を見ていてくれたノースとランス。

 

「脚、お大事にね、菊花賞もあるんだから。はいこれジュース、あなたのトレーナーさんにも」

 

「スターインシャインの友人が倒れたと聞いた時は驚いた、無事に治して戻ってきてくれ。そろそろ寒くなってくるからな、マフラーだ。治った時にでも付けてくれ」

 

 同じくキグナスのトレーナー室でレース映像を生で見ていたシャイニング。

 

「はい! クライトさんの脚にリボン付けてみたよ!」

 

「余計な事をしおってコラァ……」

 

「まぁまぁ! それとはいこれ! 他のみんなと被らないようにしたかったから……ぱかプチ! シャインさんのやつ!」

 

「スタ公好きすぎるだろ」

 

 だが、やはりお見舞いに来たやつ全員に言えるのが、俺の脚の状態を知らない事だった。それも今から治して菊花賞に出れるくらいの軽い状態だと話されているようだった。

 

「さて……このくらいで全員来たか?」

 

「んん……ん……」

 

 ある程度お見舞いに着た奴が帰り、そろそろ俺の知り合いが全員来たであろう頃に、ようやく俺の隣で眠りこけていたトレ公が目を覚ました。

 

「よ、トレ公」

 

「……クライト!? 起きたのか!!」

 

「いや、むしろよくこの長時間起きなかったな」

 

 サンやシャイニングなどが叫んでいたはずなのだが……トレ公が起きなかったのが不思議だ。それほど俺の病室に滞在していたのだろうか。トレ公は目を覚ました俺に驚き、目を擦りながら俺の顔と脚を交互に見ていた。

 

 トレ公は間抜け面で驚いていたが、しばらくしてからトレ公は安堵の気持ちが溢れだしたように涙を流していた。

 

「よ”っ……よか”った……」

 

「ちょ、ちょっと待てよ、何もそんなに泣くこたぁ……」

 

「俺はお前が領域もどき使った時、本当にお前が死ぬんじゃないかと心配になって俺はもう……」

 

 目が覚めたてで意識が朦朧としているだろうに、トレ公はまるで泣き上戸の酔っぱらいのように泣き続けていた。聞くとレース場から運ばれ、応急処置が終わってからというものずっとこの部屋にいたらしい。バカか。

 

 話を聞いているとかなりやばい状態だったらしく、脚だけでなく酸欠による障害で体の節々が極限状態だったそうだ。確かに倒れた時、脚がいたいだけじゃなく頭もずきずきと痛んで鼻血もドバドバ出していた気がする。

 

 しばらくトレ公の話を聞いていたが、俺は一つトレ公に聞いておくべきことがあるのを思い出して切り出した。

 

「なんで他の奴らには俺の脚の状態を言ってないんだ?」

 

「あ~……それはな……」

 

 俺がそう聞くとトレ公は口をごにょごにょともごらせていた。ただ俺としても友人を騙すと言うのは気に食わないので、トレ公に対して威圧感を送り続けると、トレ公の方が先に折れた。

 

「……あ~、分かったよ、白状するって」

 

「おう、言ってみろ」

 

「ちゃんといつかはみんなに話すつもりだ。でも今は、今だけは嘘をつかないと、辛気臭くなっちゃうだろ、この部屋」

 

「しかしな……」

 

 トレ公はそう言っているが、今日この数時間お見舞いを受けて、俺が治ると思ってこの病室にお見舞いに来てくれる人たちに申し訳ないと言う気持ちがあった。

 そのため、俺はトレ公から目を離し、天井を見つめながら言い放った。

 

「俺は、トレ公がみんなに言わなくても自分で言うぜ」

 

「……」

 

「俺は、走れないクライトとして戻る。その覚悟をして、神戸新聞杯であの武器を使ったんだ」

 

「……そうか、そうだよな。そうだよな……そっ、そうだよなぁ……」

 

 トレ公は自分にしょうがないと言い聞かせるように何度も言葉を繰り返した。

 

 そこからトレ公はずっとごねていたが、俺が何度も何度も説得すると、みんなに脚の状態を告白することを許してくれた。その日は既にみんな病室を訪れていたので、次の日キグナスの立場的にめちゃくちゃ気まずくなるデルタリボルバー以外の全員を集めて、俺の脚について話した。

 

 皆、最初は驚いていた。もう俺が走れなくなるなんてと。

 

 でも、みんな驚いていたのに次第に俺の事を励ましてくれた。

 

 スタ公は『何年かかっても走れるくらいまでリハビリ手伝うから!』と。

 

 サンは『じゃあシャインと一緒にリハビリするから!』と。

 

 ノースとランスは『あなたみたいに強靭な性格ならすぐに帰ってくるんでしょ、ハナから信じてないわよ』『脚の治療法については、アルビレオで調べておこう』と。

 

 シャイニングは『クライトお姉ちゃんならなんだかんだ言って気合で治すでしょ!』と。

 

 本当に、好き勝手言ってくれるものだ。

 

 励ましの言葉をかけてパーティ気分になった病室は、しばらく人であふれかえった。しばらくしてまたみんな帰る時間になったので、病室は俺とトレ公だけになる。

 

「……な、言っても別に良かったろ。あいつらはああいう奴らなんだよ」

 

「ああ、正直、すまんかった、クライト」

 

 トレ公は顔を赤らめながら頭を掻いて謝罪の言葉を放った。まぁこれから無理難題を押し付けるからそれを許可して貰えばチャラにするのだが。

 

「なぁトレ公。俺今から無理難題言うんだけど、許可してくれるか?」

 

「……俺が実現出来る事なら許可しよう!」

 

 トレ公に許可を出してくれるかを聞くと、元気よくそう答えてくれたから安心して相談できる。俺はトレ公に耳打ちし、俺の考えた無理難題を教えた。

 

 

 

「いやぁ、ひっさしぶりのトレセン学園だな」

 

「しばらく病院だったからな」

 

 俺が神戸新聞杯で病院送りになってから数日が経ち、俺は松葉杖を使いながらではあるものの退院することができた。俺は久しぶりのトレセン学園の門を必死にくぐり、ある場所へと向かう。

 

 蜘蛛の巣が張っていたのに、最近は掃除のおかげで綺麗になっているこのトレーナー室。

 

 俺はトレ公と一緒にその扉を開く。

 

「え、クライト? 退院したの!?」

 

「マックライトニング……」

 

「クライト、速水さん、どうしたんです?」

 

 扉を開けて出迎えてくれたのは、スタ公・ヴェノム・橋田だ。ここはスタ公のトレーナー室。俺はここで、やることがある。

 

「スタ公! 俺を……」

 

「俺を……?」

 

「このトレーナー室のサポーターにしてくれ!」

 

「……えぇぇぇぇぇぇ!?」

 

 俺がやること、それはスタ公やヴェノムや橋田の手伝いをすること、菊花賞や有馬記念その他もろもろに問題なく出走できるように。

 

「俺も、お前のとこのサブトレーナーにしてくれ! 橋田!」

 

 もちろん、トレ公も一緒に、だ。

 

 俺の目の前に立つ三人は、口をあんぐりと開けたまま語っていた。

 

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