ヘスティアの灯火   作:ダンブルドア同好会会長

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第十一話 張り巡らされた蜘蛛の糸

 

ヘスティア・フォーリーは仕事の出来る女である。

先日の巨大蜘蛛事件から一夜が経つ前、あの忌々しい晩のうちに、夜中彼女はとある高名な魔法生物学者にアクロマンチュラについての見解を聞く文面の手紙を出した。そう、みんな大好きニュート・スキャマンダー大先生である。

 

『禁じられた森に凡そ四百規模のアクロマンチュラのコロニーが有るんですが、どうすればいいと思います?』

 

ニュート大先生大激怒である。

あんな可愛らしい家に余生を落ち着けた全然人に怒らなさそうな優しい人なのに、淡々とこっちの首を締めてくるような文面に、ヘスティアは何処か薄ら寒い何かを感じた。誰がやったんだと言われれば、脊髄反射でハグリッドを指さしてしまいそうだ。しばらくハグリッドには近づかないようにしよう、とヘスティアは思った。

 

因みに、結局正規に行われなかった罰則のことだが。

翌朝一番にハグリッドの元へ向かったヘスティアとギルデロイは、扉が開いたや否や口を揃えてこう言った。

 

「「蜘蛛の素揚げって、蟹みたいな味がするそうだね」」

 

一瞬にしてカチコチに固まったハグリッドに、ギルデロイは背伸びをして肩を叩いた。

 

「僕たち、昨日罰則の巡回はきちんとやったよね?ハグリッド」

 

分かってるよね?という副音声付きで。これでハグリッドの弱みは握れたようなものだ。壊れたブリキの玩具のように首をガクガクと振るハグリッドに満足したように微笑んだ二人の顔は悪魔そのものであった。

因みに労力と美味しさが釣り合っていないのでアクロマンチュラの素揚げとかやりません。

…まあ、人生経験的に一匹ぐらい味わっておいてもいいかも?

女子力とやらが遠くの国へ亡命して行ったヘスティアとあたおかギルデロイは静かに画策するのであった。

 

そんなこんなでヘスティアとギルデロイはここのところ毎日図書室やら必要の部屋に篭もりきりである。アクロマンチュラについて調べていた彼らは、必然的に『危険生物大全』だの、『魔法使いを絶対に殺すクレバーな方法』だの物騒な本ばかり手に取る羽目になっていたので、いつの間にか周囲からは距離を取られていた。

あと、普通にレイブンクロー生には一夜にして八十点を減らした犯人がヘスティアとギルデロイだとバレていた。どうやらヘスティアの不在に気がついたルームメイトが言いふらしたらしい。だからあれだけ同室の者とは仲良くしておれと言ったであろうに。

 

「やっぱり休みの間東南アジア行くしかないのかしら」

「ヘスティア初飛行機?」

「それにしても熱帯雨林行くの?私たち」

「魔法使いは飛行機なんて知らないか。僕は一回オーストラリアに行ったよ」

「でもハグリッドの友人だし、殺すのは忍びないし」

「コアラって分かる?ユーカリの葉っぱ食べるやつ。僕抱っこしたんだよね。写真も撮った」

「多分私の持ってるトランクを応用すればあのコロニーをそのままそっくり移動出来るはずなのよ」

「写真見る?母さんが送ってくれたんだけどね。中々動かない写真っていうのも良いもんだよ。僕の一番キマッた角度で動かないからね」

「問題はどうやってアラゴグと話し合いに持ち込むかね。ハグリッドだけじゃ頼りないし、ダンブルドア先生にご相談すべきかしら」

 

大きなソファが二つ置いてあるだけの酷く殺風景な部屋に彼らはいた。必要の部屋だ。

本に集中力の九割方を割いていた彼らはろくに働いていない思考で会話のドッヂボールをしていた。ペラペラと頁をめくる音を背景に、各々自分の考え着いたことを言っていく。最早会話ではなく独り言だ。お互いに「コイツなんの話してんだ」と思っていたが、指摘するのも面倒くさいようだった。

 

「早急に対処しないとダメね。魔法省に言ったらどうなるのかしら。お父様に聞きたいけど絶対大事にするし…」

「カンガルーは袋の中で子供を育てるんだよ。可愛いんだなまた」

 

だからお前らは話す内容を統一しろ。

 

魔法省に言ったら絶対不味くなるだろうな、というのはあれからウンウンヘスティアが考え直した結果だ。アクロマンチュラのコロニーがホグワーツの近くにあるということで、彼らは絶対に原因調査に現れる。もしハグリッドが尋問を躱して、物的証拠も出なければ、原因不明ということで対処されるだろう(ヘスティアの父が魔法法執行部隊の長だったので分かるが、ハグリッドが尋問に耐え、ボロを出さないのはほぼ不可能に思える。少なくともアラゴグが燃やされる時に号泣するだろう。ヘスティアは確信している)。

 

しかし今はただでさえ状況が芳しくない。ホグワーツ理事であるクソッタレ死喰い人のマルフォイ家を筆頭に、魔法省上層部にもホグワーツからダンブルドアを引き離したい人間は多い。ホグワーツがこのイギリスで一番安全で、闇の帝王の魔の手が及ばないと確実に言える最大の原因はダンブルドアだ。

もし、「何故アクロマンチュラの巣を見逃したのか」と責任問題にされてダンブルドアの校長職が揺らいだりでもしたらヘスティアに1/100のSAN値チェックが入ってしまう。

 

恐らく、これはヘスティアの完全なる憶測だが、ダンブルドアが校長職に就いている最大の目的は若い魔法族の人材を管理する事にある。

権力に興味が無いらしいというのもそうだろうが、なら何故田舎でニュートのように悠々自適に研究にも没頭していないかと言われればそれが有力だろう。まあダンブルドアが田舎でのんびり暮らすたちにも見えないが。

ダンブルドアがその“管理”を重要視しているのなら、ヘスティアはなんにも言うことは無い。ただ彼の意志を尊重するのみである。少なくとも彼に不利になる事なんて進んでやるわけが無いし、彼の意志を察することが出来るのがヘスティアが目を掛けられている理由だ。

 

ニュートには不幸にももうアクロマンチュラのことはバレてしまっている。

で、彼からは「早急に対処せねばなりません」というお怒りメールが続々と届いている。吠えメールが来ていないだけマシだろうか。いちいち並べてみたらヘスティアの机を覆いそうな量だ。世界随一の魔法生物学者だからこそ状況のヤバさが手に取るように分かるのだろう。ここ三通ぐらいはアクロマンチュラの生態についてどの学術書よりも詳しく書いた特級呪物みたいな手紙を送り付けてきたし。

ヘスティアが「色々こちらとしても考えがある。魔法省に蔓延るゴミのような奴ら(訳:死喰い人)の事も考えて一週間以内には返事を出す」と嘯かなければ普通にダンブルドアに連絡がいってそうだ。いってないよな?いっていて、ダンブルドアがこちらを泳がせている場合も十分考えられる。

ヘスティアはダンブルドアのことをよく理解していた。

 

ニュートのヘスティアへの好感度は高い。一年生の頃からなんだかんだ文通している彼女は、今や彼の子供よりも連絡をとっている人間になった。祖父たちが対グリンデルバルド戦に加わっていたこともあってフォーリー家への魔法省関連の信頼は絶大と言ってもいいだろう。

ヘスティア自身ニュートの事が好きであるので、アクロマンチュラをこのまま放しておくのはありえない。

 

「シドニーはいいよ。ヘンテコな建物があるんだ。名前は確か…」

「ギルデロイ」

 

ヘスティアは自分の持っていた本をパタンと閉じて、ギルデロイの方を向いた。ギルデロイも彼女に倣って目を合わせる。

 

「ダンブルドア先生に言いに行くわよ」

「やっと決心が着いたんだね。おめでとう」

「胃が痛いわ。どうしてかしら。私たち別に悪い事してないのに」

「いつもなら心当たりがありすぎるんだけどね」

「明日言いに行きましょうよ」

「そうやって先延ばしにするんだろ。あっちから話しかけられたら跳ねながら着いていくくせに」

 

そう言うと、ギルデロイは立ち上がり、ヘスティアの脇に両腕を回し、ソファから床にゆっくりと下ろした。そのまま死体を運ぶようにズルズルとギルデロイは出口に向かっていく。ヘスティアは液体のように身体の全てを脱力させていた。

重い、なんて言った日には殺されそうだ。体力の限界を迎えたら杖で浮かせて運ぶことも視野に入れながらギルデロイはヘスティアを引き摺っていた。

 

「後ろめたいことが無ければ私だってダンブルドア先生と一緒に居たいわ」

「いつものアレを後ろめたいことだと認識していないことに僕は驚愕している」

「アレぐらいで青筋立てるほどダンブルドア先生は子供じゃないの」

「そりゃあ僕たちに比べれば遥かに大人でしょうよ」

 

ギルデロイが必要の部屋から彼女を引っ張り出した時点でヘスティアは諦めたようだった。ローブのホコリを叩き、髪を梳かして身なりを整える。精一杯可愛こぶった表情でヘスティアはギルデロイを見た。

 

「私のビジュアルは?」

「オール優」

「よし、行くわよ」

 

まるで戦地に赴く兵士のようだった。

いつもダンブルドアには土曜日の午後三時からは予定が無いことを知っていたヘスティアは(ギルデロイはその事実に鳥肌が止まらなかった)、校長室の扉をトントンと叩く。因みにガーゴイルの合言葉は『ラズベリーパイ』だったし、ヘスティアはこれまた不思議なことに知っていた。

偶然よ、と彼女は言ったが、ギルデロイは身体の胃辺りが猛烈に痛くなり始めた。はやく帰りたい。

ヘスティアはそんなギルデロイに構わず、校長室の扉を二回叩いた。

 

「先生、ヘスティアです。事前の連絡なしにすみません。お時間よろしいでしょうか?」

「構わんよ」

 

二人の後ろからぬっとダンブルドアが現れた。ギルデロイは突然の事に飛び跳ねて階段を転げ落ちかける。ダンブルドアはニコニコとその様子を見て微笑んでいた。

 

「なにか儂に話したいことがあるようじゃの」

「はい」

 

どうぞ、とダンブルドアは扉を開けた。ヘスティアは少しばかりスカートの裾をつまんでカーテシーした後、中に入っていった。明らかに慣れている。後で尋問をしようと心に決め、ギルデロイも校長室の中に入った。ヘスティアは止まり木でうつらうつらとしていたフォークスを撫でている。ダンブルドアは最後に扉を閉めると、部屋の真ん中にある一番目立つ椅子に座った。

ああ、あれ目立っていいな。座ってみたい。絶対僕に似合う。ギルデロイはきらきらとした眼差しを向けた。

 

「それで、君たちが儂を頼ってくるとは余っ程のことじゃろう」

「買い被りすぎでは?」

「この学年で最も才能の溢れた魔法使い二人だと信頼しておるよ」

 

ヘスティアはともかく、僕とは絡みなんてほぼなかった癖に、よくいけしゃあしゃあと。ギルデロイはきらきらとしたブルーの目を向けてくるダンブルドアを一瞥した。

褒めるの上手いな。ギルデロイのダンブルドアへの好感度は10上がった。チョロい。

 

「私たち、禁じられた森の深い場所ででアクロマンチュラを見つけたんです」

 

ヘスティアが遂に口を開いた。

 

「何処から入ってきたかは知りませんが…恐らく魔法生物の密輸業者が誤って森に放したんでしょう。すっかりコロニーも大きくなっているようです。でも、禁じられた森に面白半分で入ってしまう少々好奇心旺盛な生徒もいるでしょう?魔法族の血が流れるのは本意ではありません。どうしてもここから移したいのです」

 

なんとも白々しい口ぶりだ。まるで故意に起こったことを事故のように話すヘスティアに、ギルデロイは察した。

恐らくダンブルドアへの頼み事の仕方は、これが正解なんだと。

 

「私、ニュート先生にアクロマンチュラの生態を聞こうと思います。ケトルバーン先生は今35回目の謹慎中ですけど、お願いしたらきっと手を貸してくれる思います。スラグホーン先生もアクロマンチュラの毒が手に入るなら嬉々として助けてくれるはずです。他の先生方だって…生徒に危険が及ぶとなれば助力は惜しまないでしょう」

 

そこまで言うとヘスティアはギルデロイに目配せをした。ギルデロイは一歩前にでる。言葉を引き継ぐような形でギルデロイも口を開いた。

 

「アクロマンチュラのコロニーは、東南アジアの熱帯雨林の何処かに移動させようと考えています。まず巣を検知不可能拡大呪文を掛けたトランクの中に入れた後、飛行機でアジアに移動。私は勿論、飛行機に乗ったことがありますから、問題なく行けると思いますよ」

「それに際して、ダンブルドア先生にお力添えをして頂ければ、とても良い結果が生み出せると思うんです」

「それで今日私たちがこちらにやってきたってワケです」

 

完璧。ヘスティアとギルデロイはドヤ顔でダンブルドアの前に立っていた。

褒めてくださいと言わんばかりに彼らの瞳は輝いている。

ダンブルドアはニコッと笑った。ヘスティアとギルデロイもニコッと笑った。

ヘスティアは知っていた。ダンブルドアは生徒に考えさせることを軸に置いている方なのだ。ここまで考えていたら、流石に突っぱねられることは無いだろう。

しかし現実はそう上手くいくはずもなく。

 

「ちと惜しいのう」

 

そうダンブルドアが笑顔で口にした瞬間、ヘスティアとギルデロイは崩れ落ちた。

 

シテ…ドウシテ…と虚ろげに呟くヘスティアと、プライドをバットでフルスイングされ何も言えないギルデロイ。床に手をついた彼らが完全に終わった空気でその一帯の空気が暗く澱ませている中、ダンブルドアは微笑んだ表情を変えずにそれを眺めていた。

 

「そんなに落ち込むでないぞ」

「一週間…一週間考えた結果…ちと惜しいのう…????僕達は何処を見逃していたんだ…????」

「私、わざわざマグルの航空会社まで調べて…機内食だって選んだのに…」

 

フィッシュ・オア・チキン?

ヘスティアが機内食のことをギルデロイに聞いた瞬間、どうしてもその単語が頭に残ってしまい、数日脳内でその言葉を咀嚼した後、彼女は『イギリス〇〇航空の美味しい機内食30選』というしょーもない雑誌を買った。マグルの書店の物をわざわざフローリッシュアンドブロッツに取り寄せて貰った人間はそうそういないんじゃないのか。ヘスティアはお得意様であったため、ギリギリオッケーだった。嫌味は言われたが。

 

「因みに、何がそんなにダメだったんでしょう…?」

「それは私も聞きたいですね…」

「ふむ、ほんの一部と言えばほんの一部、全てと言えば全てじゃな」

 

ダブルノックアウト!ヘスティアとギルデロイの精神は崩壊の一途を辿っている!

ダンブルドアが言わんとしていることは、つまり、解決案の全面やり直し。

機内食はナシになりました。プライベートで食べてください。ヘスティアの心は立ち直るのに数日必要とするだろうというところまでボロボロになっていた。機内食…。

 

「まず、君たちの計画は物事を一面からしか見れていないのじゃよ」

 

ダンブルドア先生によるガチアドバイスがはじまった。

ダンブルドアは座っている椅子を左右にキイキイ言わせながら膝の上で手を組んでいる。ヘスティアはこんな状況にも関わらずどこか新しい扉を開きかけていた。

ダンブルドア先生に…追い詰められたり責められるのってなんかイイかもしれない…

ギルデロイは目をハートにさせた我が相棒の肩をスパーンと叩いた。戻ってこい。そんな扉開かんでよろしい。ギルデロイは人知れず新たなる闇の帝王の発生を阻止した。

ダンブルドアは最早慣れたのか、それを対して気にもとめず言葉を続けていく。

 

「東南アジアの熱帯雨林にコロニーをそのまま移動させたとして、その後はどうするつもりじゃ?」

「そ、それは…なるようになるんじゃないですかね…?」

「それがいけないのじゃよ」

 

ダンブルドアはギルデロイの目を見て片眉を上げた。どうやら教師らしく彼らに学ばせるつもりらしい。ダンブルドアは杖を一振して彼らの後ろに一つづつ椅子を現した。ヘスティアとギルデロイがそれに座る間に紅茶が目の前で注がれていく。

ダンブルドアが砂糖は?と聞くと、ギルデロイはスプーン2杯、ヘスティアは何も、と言った。

 

「アクロマンチュラとはなんぞや」

 

ダンブルドアが急に哲学的なことを言い始めた。

ヘスティアが答えようと口を開きかけたが、ダンブルドアは答えを求めている訳ではなかったようで、そのまま言葉を続けた。

 

「答えは、人肉を好む生き物、じゃ。東南アジアの熱帯雨林の奥深くに生息しており、大規模なコロニーを築く。群れには長となる二匹の雌雄がおり、規模はどんどんと大きくなってゆく。そこまでは調べたじゃろう」

 

ダンブルドアは紅茶に砂糖を入れ終わると、伏せていた目をちらとふたりに向けた。目の前に置かれた紅茶を手に持つと、ほんのり暖かい。ヘスティアは頷きながらその紅茶に口をつけた。

 

ん?なんでダンブルドアはヘスティアが猫舌なことを知ってるんだ?

大体彼女は出された熱い飲み物をふうふうするのに数分は掛かるのに。

 

ギルデロイは凍りついた。まさか…いや、まさかな。

ハハ、と彼の口から掠れた声が漏れたが、ヘスティアとダンブルドアはお構い無しに話を続けていた。

 

「インドネシアの魔法政府も近年はアクロマンチュラの数が多くなってきたことに危機感を示し始めてのう。多くの人員を投入して駆除を行っているそうじゃ」

 

そこでじゃ、とダンブルドアは言った。

 

「儂たちがアクロマンチュラを放したらどうなる?彼らは慎重に駆除を行っておる。見たことも無いコロニーが急に出来たとなれば、大事になるのは間違いないじゃろう。最悪外交問題になる可能性がある」

 

なるほど、とギルデロイは頷く。ヘスティアは唇を噛んだまま、ずっと黙っていた。

 

「つまり、私たちは殺さねばならぬと?」

「そうなることになるのう。そうじゃな…万が一のことも考えて、夏じゃ。生徒の居ないうちに儂ら教師がやっておこう」

「先生」

 

ヘスティアが口を開いた。彼女の視線は未だ紅茶の波を眺めていたが、口を開かずにはいられないようだった。

 

「私たち、それに参加してはだめですか」

 

ダンブルドアは少し驚いた後、にっこりと微笑んだ。

 

「一日なら良いじゃろう。他の先生方に儂から掛け合っておこう」

 

ギルデロイは驚いたように目を見開いた。生徒が夏休みに学校に残るのなんて、絶対許されたことないのに。

やっぱりヘスティアは目を掛けられているというか…期待されているというか…なんだろう、よく分からないけれど、ダンブルドアにとって他と一線を画す生徒であることは間違いないだろう。

暗い顔をしたままのヘスティアにダンブルドアは眉を下げる。

 

「そう落ち込むでない、仕方の無いことなのじゃ…」

 

ヘスティアは暗い顔をしながら、小さく頷いた。

 

 

 

「しっかし、まさか君がルーン文字学を応用した元素魔法に手を出して、尚且つそれを利用してダンブルドアに個人指導を取り付けていたなんてね。やれば出来るじゃないか!」

 

校長室を出てきた二人は人のいない廊下を歩いていた。予期せぬことを聞いてギルデロイは有頂天である。軽い足取りでヘスティアの隣を歩いていた。

 

「君さ、仮にもモテるじゃないか。一欠片分ぐらいは性格も評価されてるわけで。なんでダンブルドアにそれを反映できないのかずっと疑問に思ってたんだよ」

「…そうね」

「それで、どんな方法を…って、ヘスティア?」

 

ヘスティアは突然立ち止まった。先程よりはだいぶマシになったが、未だ暗い顔をしている。

目だけは真っ直ぐにギルデロイを見つめていて、ギルデロイはその真剣さにごくりと唾を飲んだ。

 

「…ギルデロイ」

「なに」

「仕方ないことじゃ、無いからね」

 

念を押すように言った言葉に、ギルデロイは目を見開いた。

 

「私たちは自分の利益のために何百もの命を潰すのよ。どんなに私たちにとって残虐であったとしても、ハグリッドの大切な生き物であったことには違いないわ。…仕方ないことじゃ、無いからね」

 

うん、とギルデロイは気圧されたように言った。

まるでヘスティアが自分自身に重しを付けているようだった。




ダンブルドア豆知識11
守護霊が不死鳥
キェエエエエエエエエエエエエエエ!!!!
こんなん好きになるしかないやんけ…守護霊が不死鳥ておま…オーバーキルだよ…ダンブルドア推しを殺すんじゃないよ…
恋って怖いですね。盲目で。
でもね、不死鳥が守護霊ってすごくないですか?なんでダンブルドア先生は私に守護霊を見せてくれないんですか?守護霊って遠くの人にも見せることが出来るんですよね?ずっと私は窓辺で待ってますよ。クリスマスだってホントはダンブルドア先生が赤い帽子被ってやって来るんじゃないかなーって密かに楽しみにしてるんですよ。煙突がないのが悪いのか?グリフィンドール寮に入れば靴下にプレゼント入れてくれますか?なんで?なんで?なんでホグワーツから手紙が来ないの?公式サイトで守護霊が毒蛇だと診断されたからか?それともスリザリンだと診断されたからか?私が全部悪い。頼むから来世で不死鳥の守護霊を見せてくれ。頼む。青い炎みたいな不死鳥が見たいんだ。ダンブルドア先生の杖から出た不死鳥が見たいんだ。
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