デリシャスパーティ♡プリキュア ~破壊者の食べ歩き~   作:ライノア

2 / 47
読者の皆様、お待たせ致しましたリメイク第一品です。デパプリの公式設定を踏まえた上で、士さんが世界を旅する際に役割を与えられた様に、咲夜君の役割を私立新鮮中学校の生徒(男子バドミントン部エース)という設定にしました。
それと、漢字変換が多いところは振り仮名を付け、読み易くしました。それでは、気を取り直してリメイク第一品どうぞ!


第一品:ご飯は笑顔♡変身!キュアプレシャス/悪魔のエース□変身!仮面ライダーディケイド

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

No side

 

彼の生前はB型社会人。ある日突然死んでしまい、自身の記憶を代償に、世界の破壊者の力と不老不死の特典を得た。

まるで豚小屋から自由になりたいと願う様に。世界を巡る中、沢山(たくさん)の仲間と出会ってきた。しかし、その戦いの中には死んだ者も存在していた。

それでも彼はその者達の事を忘れぬ様、意思を引き継ぎながら、この胸に永遠に刻み込んだのだった。

あれから百年くらいが経過した次なる世界は————。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

??? Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ディケイド…ディケイドッ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

咲夜...起きろ...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おい、咲夜。起きろって...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい咲夜!起きろッ!!」

???「...はっ!夢か…」

バドミントン部員A「何だよ咲夜。ほっつき歩いてた上に、練習中で爆睡(ばくすい)か?」

咲夜「ああ、悪いな。最近寝てなくてさ...誰かが助けを求めてる夢を見たんだよ。ってか、ホントに俺が男子バドミントン部のエースなのか?」

バドミントン部A「まだ寝ぼけてんのか?ってか、次の練習試合お前の番だぞ?」

咲夜「...ヤッベ、すっかり忘れてた!」

バドミントン部員B「全くしっかりしろよな」

バドミントン部員C「まだ春休み中とはいえ、せっかくのエースが寝ぼけてちゃどうしようもねーぜ?」

咲夜「悪い悪い。心配してくれて有難(ありがと)な。んじゃ...体操して、足を吊らない程度に加減を入れながらやっちゃいますか」

「「「ダメだ全然話聞いてない...」」」

 

こんなマイペースな俺だが、バドミントンのコートに立ちながらこれまでの事を振り返る。何故こうなったのかと話したいところだが、その前に回想と共に自己紹介をしようと思う。

俺は門津(かどつ)咲夜(さくや)。自分の生前の記憶と引き換えに、世界の破壊者 仮面ライダーディケイドの力を、一生歳を取らない特典と同時に手にした所謂(いわゆる)転生者だ。

次の世界の舞台は、おいしーなタウン。料理店が集う世界中の料理が味わえる町だ。

その大半は繁華街(はんかがい)(けん)(ひしめ)き合い、玉席(ぎょくせき)混合の激戦区だと思われがちだが、実を言うとジャンルごとにエリアが分割されているらしい。『和食』がメインの和食ストリート、『洋食』がメインの洋食ストリート、そして『中華』がメインの中華ストリートの三つ。観光客も含め、大きな(にぎ)わいを見せている。

この町にある私立新鮮(しんせん)中学校。如何(どう)やら俺は、この学校の生徒というのが今回の役割らしい。おまけにバドミントン部のエースって事になっているとは。

あ。(ちな)みにこの情報は俺を連行した部員の奴らから聞いた。時期は三月下旬で、まだ春休み中とのことだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜回想〜

 

咲夜「此処(ここ)が次の世界か...って、あれ?何だこの制服。えーっと、私立新鮮中学校 1年3組 門津咲夜...また学生か」

バドミントン部員A「おい!咲夜!探したぞ!」

咲夜「えっ?誰だよ、お前ら!?」

バドミントン部員B「エース!練習中に何処(どこ)ほっつき歩いてたんだよ!?」

バドミントン部員C「きっと先生も心配してるぜ?早く戻らないと午前の練習終わっちまうぞ!」

咲夜「えっ?ちょ、待て!何で俺がお前らのエース何だよ————」

バドミントン部員A「言い訳不要!ほら行くぞ!」

咲夜「おい!一体何処(どこ)へ連れてく気だよ〜ッ!?」

 

〜回想終了〜

 

こうして耳を傾けようともしなかった男子バドミントン部の奴らに連行されて今に至り、男子バドミントン部の担当教師にその事を注意された。

好きでサボった訳じゃないんだけどな。やっぱ百年以上経ってもこういう展開は()れないモンだな。そう思っているとシャトルは打ち上げられ、気が付く頃にはバドミントンの練習試合は始まっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼休みに突入し、俺は校庭で昼飯を食おうとした。えっ?勝敗はどうなったかって?圧勝だったよ。

昼飯は連行される際に部活仲間が買ってきてくれた。それほど俺が尊敬されてるって訳か。

俺は昼休みに一人で食えるところを探して周囲を見渡すと、校庭では偶然に女子サッカーの練習試合が行われていた。

春休みなのに部活があるなんて、大変なモンだな。俺はその試合を観戦してから弁当を食う事にした。

ドリブルをしている青チームの少女を赤チームが阻む様にスライディングを仕掛けるが難なく避けられ、最後には華麗(かれい)なシュートを決めるのを許してしまう。

 

咲夜「いよっしゃ!今日はいい写真になりそうだ。早速この世界に来た記念として一枚パシャっと...ってあれ?シャッターが切れない...!?」

 

審判のホイッスルが青チームへの勝利を鳴らす。同時に俺はガッツポーズを取り、その光景を撮るべくマゼンタの二眼レフカメラ『Black Bird Fly』のシャッターを切るが、パチリといった音が鳴る事はなかった。

 

咲夜「まぁ、原因はどうあれど、此処(ここ)も俺の世界じゃなさそうだ…」

???「待って!」

 

期待が不満へと変わり、別の場所で食おうとした矢先、突然声を掛けられる。さっきシュートを決めた少女のようだ。

 

???「貴方、確か男子バドミントン部エースの門津君だっけ?あたし、和実ゆい!」

咲夜「和実か。それで、俺に何の様だ?」

ゆい「今練習が終わって休憩中何だけど、一緒に御結(おむす)如何(どう)?」

咲夜「握り飯か...丁度良い。俺も弁当じゃ物足りないと思っていたところだ。(すそ)分けさせてもらおう」

 

俺は遠慮(えんりょ)する事なく握り飯も頂く事にした。コンビニで買った昼飯では物足りなかったからな。

 

女子サッカー部員「和実さん、このままサッカー部に入ってくれればいいのに...」

???「無理無理!」

 

女子サッカー部員達は和実の方を見るが、俺は黙々(もくもく)と握り飯の具材を噛み締める。

 

ゆい「んん〜っ!昆布たまんな〜い!」

咲夜「やっぱ握り飯の具材と言えば...」

「「鮭だよ()〜!」」

咲夜「...うん。美味い」

ゆい「デリシャスマイル〜!!今度は何かな〜?んん!おかか〜!!」

咲夜「こいつ結構握り飯好きだな」

???「ゆいは御結(おむす)び目当てだから」

女子サッカー部員「あはは...」

 

和実の握り飯好きに苦笑する女子サッカー部員。和実は何かを思い出したのか握り飯を見つめる。

 

ゆい「ねぇ、『御結(おむす)びの妖精』って見た事ある?」

咲夜「!?」

 

その言葉に俺は目を丸くする。

 

???「えっ?何?」

ゆい「ううん、何でもない」

咲夜「『御結(おむす)びの妖精』ねぇ...。若しかしたら会えるかもな、そいつに」

ゆい「えっ?そうかな...?」

咲夜「会えるったら会えるさ。例え現実でなかったとしても、夢の中だけならいつでも会える。それだけの事だろ」

 

そう言って俺は握り飯を丸ごと(ほお)張る。女子サッカー部員達は疑問の声を上げるが、和実は気持ちを切り替えて握り飯を(ほお)張る。

 

???「美味しそうに食べるね〜、見てるこっちも笑顔になっちゃう」

ゆい「お婆ちゃんがよく言ってたんだ。『ご飯は笑顔』...だって!」

 

祖母の言葉を引用する和実は、天の道を行き(すべ)てを司どる男の象徴でもある太陽の様な笑顔を女子サッカー部員達に照らしてみせる。

 

咲夜「『ご飯は笑顔』...か。そろそろ練習に戻る。じゃあな」

 

俺はそう呟きながら二眼レフのシャッターを切る。今度はちゃんと撮れたみたいだ。不満だった気持ちが満足な気持ちへと切り替わる様に、口を緩ませながら今度こそ校庭を後にする。さて、次の練習に備えるべく体育館に戻るとしますか。

 

???「何だったんだろうね。あのピンク」

咲夜「...ピンクじゃない。マゼンタだ」

 

同時に密かに呟いた女子サッカー部員に色を指摘した事は言うまでもなかったけどな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

No side

 

場面は大きく変わり、此処はクッキングダム。様々な食料が建築物の素材となっており、この世界の異世界と言っても過言ではない。

 

???「これより、レシピボンの捜索に行って参ります」

 

王室にて(ひざまず)いている美意識の高い青年の名はローズマリー。レシピボン捜索隊隊長を務めており、国王の勅命(ちょくめい)にてレシピボンの捜索(そうさく)を命じられていた。

 

???「うむ、宜しく頼むぞ。ローズマリー」

 

彼の忠誠を見届けながら玉座に座っているのはクッキングダム国王 クッキング。同じくその隣の玉座に座っているのは女王のクックイーン。

 

クッキング「我が国の宝『レシピボン』を盗んだ奴らは、必ずやレシピッピを集め出すじゃろう。何としても止めなくてはならん!これを...」

 

クッキングがそう言うと、威風な服を着たオールバックの男 フェンネルがローズマリーにバックを差し出す。ローズマリーが中身を見てみると、其処(そこ)にはハートの装飾(そうしょく)が付いているフードを着ている手の平サイズの小動物と思わしき三匹の生物が熟睡(じゅくすい)していた。

赤いフードは米粒の様な耳(あか)が特徴の薄ピンク色の狐、青いフードは垂れている左耳に白い花の装飾(そうしょく)にピンクの布を付けた髪飾りを付けている茶色い仔犬、オレンジのフードは小鹿の様な二本角を持つ黄色い小竜。

 

クッキング「エナジー妖精のコメコメ、パムパム、メンメンじゃ。きっと役に立つじゃろう。それと、もう一つなんじゃが、この世界を破壊しようとする悪魔『ディケイド』もそれを狙っておる。何があろうと、必ずやレシピボンを取り戻してくれ」

ローズマリー「はっ!」

 

悪魔と呼ばれし存在を忠告したその刹那(せつな)、密かに眠っていたコメコメの左耳が聞いていたかの様に小さく振った。

 

 

 

 

 

 

 

 

世界の破壊者 ディケイド。(いく)つもの世界を巡り、この世界にて何を噛み締める?

 

イメージOP『寺島拓篤/Nameless Story』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Yui side

 

ゆい「御結(おむす)び美味しかったな〜。こっちから帰ってみよう!」

 

サッカー部の助っ人をした後、帰ってる途中なんだ。あの門津君って人、一体何だったんだろう?そう思いながら今日も気分転換で商店街を訪れる。でも其処(そこ)であたしは突然、ある物を目にする。

 

ゆい「あれ?皆閉まっちゃってる...どうしたんだろう?」

 

辺りを見渡すと、いつも賑わっていた(はず)の商店街が何故か休店、閉店などがあちこち閉まっていた。一体何があったんだろう...?

 

 

 

 

 

No side

 

ローズマリー「もう...こっちの世界ってば広さ大盛り〜...」

 

広場に彷徨(さまよ)っているのはローズマリー。レシピボンを探すべく現実世界に行き着くも広大(こうだい)過ぎて旅費(りょひ)も無い(ゆえ)に行方を追う事が出来ず、今でも倒れそうにもなっている。

 

ローズマリー 「レシピボン...何処なの...?」

コメコメ「コメ?」

 

小腹を空かせながら遂には生き倒れ、その反動でコメコメが目覚める。

 

コメコメ「コメ?」

ローズマリー「………」

 

ベンチで小腹を空かせながらうつ伏せに生き倒れていたローズマリーは、疲弊(ひへい)な表情で気を失っていた。

 

コメコメ「コメ〜!ココココッ!コメ〜ッ!!」

 

状況を察したコメコメは助けを求めるべく、何処かへ行ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

コメコメ「コメ...」

 

コメコメはローズマリーを助けようと食料探しの途中に八百屋に展示されている桃を食べさせようと考えていたが、乳母車(うばぐるま)に乗っている赤ん坊がそれを見つめる。

 

母親「あら、美味しそうな桃!」

店員「いらっしゃい!」

 

赤ん坊の母親と思われる母親が桃と間違えてコメコメを掴んでしまう。

 

母親「キャーッ!!」

コメコメ「コメ〜ッ!!」

 

互いに目が合い、驚きの声を上げる両者。母親は直ぐにコメコメを手放すが、赤ん坊が乗っている乳母車(うばぐるま)に入ってしまい、その反動にてベビーカーが坂道を暴走する。

 

母親「あっ!」

店員「大変だ!」

???「これ持ってて!」

???「あんたもこれ持ってろ!」

 

店員と母親に(かばん)と袋を投げ渡す少年少女が赤ん坊が乗っている乳母車を止めるべく坂道を下る。乳母車(うばぐるま)を制止しようと奮闘するコメコメ。だが、小さい体では非力なまま。

 

???「はにゃ〜!!!?」

コメコメ「コメ〜ッ!!」

 

其処へ自転車に乗った明るい栗毛の少女が暴走している乳母車(うばぐるま)を目撃すると、驚きの声を上げる。暴走する度に乳母車(うばぐるま)は速度を増していく。

このままでは衝突してしまい、栗毛の少女が怪我に(おちい)るか、赤ん坊が命が危険に晒されてしまう。

力尽きそうになったコメコメは乳母車(うばぐるま)から手を離してしまうが、瞬時に新たな手が掴まれた。

 

「「追いついたー!!」」

 

掴んだ手の正体はゆいだった。普通の人間をも凌駕(りょうが)する身体能力で追いつくと、(かかと)をブレーキを掛ける要領で地面を滑走し、同じく追い付いていた咲夜も栗毛の少女が乗っていた自転車の横に割り込むと、数cmにて間一発で受け止める。

 

咲夜「ふぃ〜、間一髪だ。危うく足吊るところだった...」

ゆい「大丈夫?」

赤ん坊「あうあう!」

ゆい「よかった...!あれ、門津君?こんなところで会うなんて奇遇だね」

咲夜「お前は...和実?そっちこそ奇遇だな。けどまぁ、赤子が乗ってる乳母車(うばぐるま)を止めない訳には行かなかったからな」

 

赤ん坊の安全を確認すべく優しく声を掛けるゆいは咲夜の存在に気付く。コメコメは二人に目を輝かせる。

この二人ならきっとローズマリーを救える。そう思っていると、背後から何かが倒れる音がしたのか、早々に身を隠した。

 

ゆい「わっ!大丈夫!?」

 

気が抜けて横転した自転車ごと倒れる栗毛の少女。ゆいは心配そうに声を掛ける。

 

???「あははは...心配ご無用。このらんらん特製出前五号なら倒れても...」

咲夜「其方(そっち)じゃなくて、お前の方だろ?()に角、無事で何よりだ。立てるか?」

???「...えへへ。ありがと〜」

母親「ああ!有難(ありがと)御座(ござ)います!」

咲夜「如何(どう)って事はありません。単なる、気紛れです」

母親「それでもです!本当に有難(ありがと)御座(ござ)いました!」

 

大丈夫らしいテクノロジーを自慢する栗毛の少女に手を差し伸べる咲夜。

栗毛の少女は安心感を覚えたのか、感謝を述べながらその手を握ると、店員と母親が赤ん坊の無事を確認するべく駆け寄って来た。

 

???「何かあったのかしら?」

???「その様ですね...」

 

その光景を眺めていたのは、高級車に乗っている大人びた印象を持つ紺色ボブヘアーの少女。

笑い合う三人を眺めるのも特段興味無さげ。彼女にとっては通りすがりの見知らぬ他人でしか無かったが、一瞬だけ咲夜と目が合う。

 

???「青...」

???「あっ、はい!」

 

信号の目が赤から青に変わった事を執事に促すと、高級車はそのまま通り過ぎて行った。

 

咲夜「何だったんだ?あの高級車...」

ゆい「ねぇ!せっかくだし、一緒に帰らない?」

咲夜「...ついでだからな」

 

 

 

 

 

 

Sakuya side

 

ゆい「ん?」

コメコメ「コメ〜...」

 

帰り際に広場に通りがかる俺と和実。其処(そこ)には薄ピンク色の小狐が空腹で生き倒れていた。

 

ゆい「やっぱり!さっきの!」

咲夜「狐か...」

コメコメ「コメ〜!コメコメコメ、ココココ〜!」

ゆい「え〜っ!浮いてる!?貴女何者なの!?どうして!?すご!うわあ〜!!」

コメコメ「コメコメ〜」

 

興味津々(しんしん)なゆいに照れる小狐。瞬時に小腹を空かせてしまう。

 

ゆい「よかったらどうぞ!」

コメコメ「コメ〜!」

 

それを察した和実は袋から握り飯を差し出す。せめてラップぐらい巻いとけよ。それは置いといて、目を輝かせた小狐は嬉しさのあまり握り飯を食う。

 

ゆい「御結び、好き?」

コメコメ「コメ!」

ゆい「あたしも!」

咲夜「...可愛い

ゆい「えっ?」

咲夜「...あ、いや。何も」

コメコメ「コメ〜...ファッ!?」

 

意気投合する和実と小狐。腹一杯になった小狐は誰かの存在に気付いたのか俺達を誘導する。誘導していた場所へと思われる広場に向かうと、ベンチにはオカマらしき人物が生き倒れていた。

 

ローズマリー「お腹...空いた...」

ゆい「ええっ!?大変!」

咲夜「どう見てもオカマじゃねーか。兎に角、このままにはしておけねーな」

ゆい「あたしに任せて!よいしょ!」

コメコメ「コメッ!?」

咲夜「!?」

ゆい「...大丈夫!直ぐにこの町で一番のお店に連れてくから!」

コメコメ「コメ〜!」

咲夜「...こいつ人間じゃねえ」

 

【速報】伝説の(スーパー)おいしーな人誕生のお知らせ。

 

ゆい「門津君。行くよー!」

咲夜「...あっ、悪い。直ぐ行く」

 

俺は和実の後を追って、オカマが持っていたバックを背負いながら『この町で一番のお店』と呼ばれる場所へと向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Sakuya Side

 

俺達は今、定食屋『なごみ(てい)』にいる。丁度オカマ分の定食が並べられていたところだ。まさか、和実がこの定食屋の一人娘だったとはな。

 

???「はい、お待ちどうさん」

 

なごみ亭の経営者である和実の母親である、あきほ叔母さん。どっかで聞いた事のある声なんだよな...気のせいかな?怒ると「シャンナロー!」って言いそうだけど。

 

ローズマリー 「何て素晴らしい...!」

ゆい「お母さんの料理は、この町で一番だと思うんだ!」

咲夜「俺もそう思う。大好物である鮭の焼き具合もバッチリだしな」

あきほ「バッチリと言っても、普通の定食だけどね」

ローズマリー「何をおっしゃるの!この誇り高き香りが、如何(いか)に心を込めてらっしゃるかを語っていてよ!」

咲夜「そんな大袈裟(おおげさ)な」

ローズマリー 「大袈裟(おおげさ)でもないわよ!なのに私...お渡しするお金も持ってないなんてぇ...!」

あきほ「気にしないで食べな」

咲夜「そうだぜ。遠慮せず食えよ」

ローズマリー「出来ないわ!」

あきほ「じゃあ、奥の手だな」

 

 

 

 

 

オカマが定食を食い終え、恩返しとして皿洗いに参加する。勿論、俺も参加させてもらった。

 

ローズマリー「頂いた分、大盛りに働いちゃうわよ〜!」

咲夜「おっ。随分と意気揚々(ようよう)じゃねーか」

ゆい「これもお願いしまーす。えっと...」

咲夜「名前を聞きたいんだろ?そういや、俺も聞いていなかったからな」

ローズマリー「ローズマリーよ。マリちゃんって呼んで」

 

和実はオカマに名前を聞いていなかった。実は俺も名前を聞いてなかったためか、オカマは簡潔に自己紹介をする。

 

ゆい「あたしは和実ゆい」

咲夜「門津 咲夜だ。宜しく頼むぜ、オカマ」

ローズマリー「ちょっと!其処はマリちゃんって呼んで頂戴(ちょうだい)!」

咲夜「生憎(あいにく)俺は人様に指示されるのが嫌いな立場だ。けど見るからにして、お前を悪人とは思ってはいない」

ゆい「そういえばマリちゃん。休んでなくて大丈夫?」

咲夜「多分大丈夫だろう。あいつはあいつなりに、恩を返したくて返したくて仕方がないんだよ」

ローズマリー「Exactly(エグトリ)よ。あんなデリシャスな定食を食べたら、元気特盛りよ!有難うね。ゆい、咲夜」

咲夜「礼を言われるまでもないが、誰かが言ってたさ。『ご飯は笑顔』...ってな」

ゆい「そうそう。ご飯は笑顔だから!」

ローズマリー「まあっ!素敵な言葉!」

 

微笑む和実とオカマ。俺は写真を撮りたいところだが、今は食器洗いに専念する事にした。

店内を見てみると、定食の味を堪能するカップルや観光客の姿が。(ほお)が落ちる程の笑顔が満ち溢れていた。

 

ローズマリー「ほかほかハートが溢れてる...素敵なお店。あら?貴方もこのお店が好きなのね」

 

一瞬にして見えたが握り飯を(かたど)り、天使か(ひなどり)を思わせる羽とハート型の尻尾を持つ一頭身の精霊。

オカマが静かに微笑むと同時にその姿を消した。今は...見なかった事にしよう。

場面は変わり、キッチンで皿を拭いてる途中に和実は疑問を吐露(とろ)するかの様に問う。

此処(ここ)は二人だけの話になりそうだから、敢えて黙っておくことにする。

 

ゆい「マリちゃん、聞いてもいい?」

ローズマリー「んふふ。美しさの秘訣?気になるわよねぇ〜!やっぱり!」

ゆい「...それはいいかな」

ローズマリー「そうなの!?」

ゆい「マリちゃんも、『御結びの妖精』が見えるの?」

咲夜「!?」

ローズマリー「えっ...貴女見えるの?レシピッピが?」

咲夜「『レシピッピ』...?」

 

俺は目を丸くしながら疑問を吐露(とろ)する。オカマは一瞬戸惑うも、素直に答える。

もう黙ってても何も変わらないから俺もありのままを話す。

 

ゆい「レシピッピって言うんだ。うん!見えるっていうか、ぼんやりと...」

咲夜「ああ、実は俺も見えるんだ。何故だか分からないが、何となく...な」

ローズマリー「そう...レシピッピはね、お料理の妖精なの。小さい頃は見える事があるんだけど...普通は大人になると見えなくなって、忘れてしまうものなのよ」

 

小狐もリュックの中で密かに聞いている。

 

ゆい「そうなんだあ...!」

ローズマリー「レシピッピが見えるのは、貴女達二人がお料理を大切に思っているから。その気持ちがとっても強いのね!」

ゆい「そっかあ...レシピッピっていうんだ。あれ?マリちゃんは何でレシピッピの事、そんなに詳しいの?」

ローズマリー「それは...」

咲夜「それは...?」

ローズマリー「ヒ・ミ・ツ!」

 

プライバシーを避けるオカマに流石の俺達も呆れられる。

 

ゆい「ええっ...!?」

咲夜「其処(そこ)は素直に言うとこだろ!」

ローズマリー「んふふ。代わりに、美しさの秘訣(ひけつ)を教えてあげるから」

「「それはいいかな(ええわ)」」

ローズマリー「何でよ!?」

 

俺達に突っ込むオカマはその後、なごみ(てい)を後にすることとなった。

 

コメコメ「コメコメ〜」

 

バックの中にいた小狐も手を振り、俺達はそれを見送った。

 

咲夜「...やっぱ可愛いな。あの狐」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

No side

 

場面は大きく変わり、クッキングダムとは違う異世界。数々の水晶が(ただよ)っており、赤いバツ印の上に金色でBのシンボルが描かれた浮遊城。

丸い(ふた)を開けると、出て来たのは邪悪なオーラによって気力を失った四体のレシピッピ。紫の鎖で繋がれたレシピボンへと吸い込まれると、絵となって収納された。

黒を基調とした怪盗風の衣装を身に(まと)う銀髪の少女。彼女の名はジェントルー。ブンドル団に所属する行動要員だ。

 

???「無事、レシピッピにレシピボンが収まりました。我らの団長ゴーダッツ様が、お喜びになるでしょう...」

 

右目が隠れている緑のショートヘアーと、赤を基調とした刺々しい印象を持ち合わせる衣装を身に(まと)った女性の名はセクレトルー。彼女もまた、ジェントルーと同じくブンドル団に所属する上役だ。

 

セクレトルー「...ってゆーか、これぐらい出来て当然じゃね?クッキングダムから追手が出たそうです。一掃を励んで下さい...ってゆーか、まだまだ働き方が緩いっての

ジェントルー「はっ!承知しました!」

 

二言目にて陰険(いんけん)な口調で嫌味を付け加えるセクレトルー。だが、ジェントルーは彼女に与えられた指針を素直に受け入れる。

 

セクレトルー「それでは参りましょう...せーの!」

「「ブンドル!ブンドルー!!」」

 

お約束の様な掛け声に合わせる二人。だが、緑の服を身に(まと)った三人目はそれに応じる事はなく、それを見守るばかりだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Sakuya side

 

オカマが帰ってから(しばら)く経ち、そろそろ俺もお(いとま)しようかと思った時にドアが開く。

茶髪と吊り目が特徴の男。服装は白いパーカーの上に青いアウター。黒いズボンを()き、靴は赤いスニーカー。なんか、どっかで見た事ある様な格好と色合いだな...今でも最悪な目に合いそうな気もしそう。

 

おまえ、サイアクなめにあわされたいか?

 

いや、呼んではいないが遭いたくないです。

 

???「...ちは」

???「いらっしゃい。あっ、たっくん!」

???「母さん。俺、昼からオムライス食べに行って来るわ」

???「はぁ〜い!了解です」

 

息子の意見を受け入れる母親らしき女性。どうやら外食自由な家風(かふう)なのだろう。

 

ゆい「オムライス〜?いいないいな〜!」

???「相変わらず食い意地張ってんな。ゆいは」

ゆい「いーじゃん、別に!」

あきほ「ゆいと一緒に行っておいでよ」

???「えっ!?」

咲夜「遠慮なんてするな。どうやらその様子だと、昔からの知り合いみたいな感じだったぞ?」

???「お前確か、男子バドミントンエースの…!」

咲夜「門津 咲夜だ」

???「あの時のか。俺は...」

ゆい「品田(しなだ) 拓海(たくみ)。中学二年生で、あたしの幼馴染(おさななじ)み!」

咲夜「幼馴染(おさななじ)みか。通りで口調が砕けてると思った。それより、行かないのか?そのオムライス店とやらに。お前の大事な幼馴染(おさななじ)みが『一緒に食いに行きたい』って行ってるんだ。どんなに意地を張ってても、何故か心の底では遠慮してそうだからな」

ゆい「そうだよ!一緒に行こうよ!」

???「いいわよ。たっくんもゆいちゃんと一緒に行きたがってたし」

拓海「えっ!?ちょ...母さん!」

ゆい「わーい!やったやった〜!」

拓海「...しょーがねーな」

 

品田の母親と思わしき人物の許可を得て、喜ぶ和実の無邪気さに仕方なく(ほお)を染める品田。俺も同行することとなり、同時にトイカメラで写真を撮ってほしいと頼まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場面は変わって、洋食ストリートのオムライス店。

 

「「「いただきます!」」」

 

写真を撮り終え、食う前の挨拶(あいさつ)を言って俺達はスプーンで(すく)ったオムライスの一欠片を口に運び、それぞれ感想を述べる。

 

ゆい「んん〜っ!デリシャスマイル〜!!」

拓海「卵のふわふわ感すご!」

咲夜「...やっぱ、この味でないとな。二人共撮るぞー、はいチーズ」

 

俺はトイカメラで写真を撮り終えると、食いながら店内を見てみる。なごみ亭と同じ様な観客の笑顔が満ち溢れる空気に漂い、オムライスのレシピッピが現れた。

 

咲夜「こいつは...!」

ゆい「レシピッピ!」

 

和実がレシピッピと(たわむ)れる中、邪悪な気配を感じ取る。

其処には俺が探していた銀髪の少女が弁当箱の様な物の(ふた)を開けると、物凄い吸引力でレシピッピを閉じ込め、そのまま店を去って行く姿が。

 

ゆい「待って!」

 

銀髪の少女を追った和実に続き、俺も後を追おうとするが、店内に異変が起き始める。

 

拓海「何だ、味が変わった...?」

咲夜「何?(ホントだ。味が変化している...!)」

 

俺はオムライスを口に運びながら噛み締めると、品田の発言通り、とてもオムライスとは思えない味へと変わっていたのだ。

それは俺達だけではなく、店中にいる全ての客のオムライスにも影響が及んでいた。

 

客A「何だ!?この味...!」

客B「何か、味変わってない?」

客C「変な味...」

客D「何!?このオムライス!」

客E「急に味が変わった...!」

店員「ええっ!?そんな...!」

 

俺はバックから取り出したクレラップで味が変わったオムライスを包む。

ついでにペンで『後で食う!』と書き残しながら店内から飛び出し、和実と合流する。固くなった料理の飯を食うのは、俺の好みじゃないからな。

 

ゆい「どういうこと...?」

咲夜「恐らくレシピッピが(とら)われたと同時に味が変化したんだろう。まぁ、これは俺自身の推測だけどな」

ゆい「ちょっと見て!マリちゃん?如何(どう)して此処(ここ)に...!?」

 

和実が指差した方向を見る。其処(そこ)にはオカマが黒い怪盗服を身に(まと)う銀髪の少女と対峙していた。

 

ローズマリー「見つけたわよ。レシピボン泥棒!」

ゆい「マリちゃん!?」

咲夜「オカマ!?」

ローズマリー「ゆい!咲夜!」

ゆい「その人、レシピッピを...!」

ローズマリー「やっぱりレシピッピも集めていたのね...このコソ泥!」

???「コソ泥とは失礼な。我は怪盗ブンドル団のジェントルー。君の相手はこっちだ。出でよ、ウバウゾー!」

 

ジェントルーと名乗る少女に捕獲されたレシピッピが入っている弁当箱の様な物を取り出すと赤く光り出し、放ったエネルギーが赤いバツ印の上に黄色でBと描かれたマークとなって近くにあったオムライス店のフライパンに宿す。

闇のオーラを(まと)いながら青い炎を吹き出したフライパンが巨大な怪物へと変貌(へんぼう)した。

 

ウバウゾー「ウバウゾー!!」

ゆい「何あれー!?」

咲夜「ウバウゾー...あれがこの世界の怪物か」

ローズマリー「フライパンちゃんになんてことしてくれるの!?」

ウバウゾー「ウバウゾー!!」

 

驚きの声を上げる和実だが、俺は警戒の表情で呟く。こういう敵はこれまでの旅で何度も見てきたからな。

オカマは器具の扱いに憤慨(ふんがい)していると、ウバウゾーの遠吠えによって人々が逃げ惑う。

 

拓海「ゆい!ん?あいつ...!」

 

密かにオカマを見ていた品田がいる事を俺達はまだ知らなかった。

俺はディケイドライバーを取り出そうとすると、オカマはいただきますの要領で手を合わせ、(ひね)った手を天に向かって上げる。

 

ローズマリー「デリシャスフィールド!!」

 

半径10m程度の虹色のオーロラがブンドル団達を包み込み、彼女達を捕らえる(ろう)獄となる。

 

ゆい「マリちゃん?待って!」

咲夜「和実!乗れ!」

 

和実はオカマのいる空間へと手を伸ばす。俺は密かにオーロラカーテンから出現させた愛車『マシンディケイダー』に和実を後ろに乗せると、虹色のオーロラが消滅する直前にスピード全開で走行していった————。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ローズマリー「この特別なフィールドからは、レシピッピを連れ出す事は出来ないわよ!さぁ、大人しく返しなさい!」

ジェントルー「手荒に奪うのは私の主義に反するが...邪魔するのであれば仕方ない」

 

俺はマシンディケイダーでフィールドの結界を突き抜けながら走行すると、オカマの近くで停車させる。戦闘の最中だが、何とか侵入出来た。

 

咲夜「侵入完了っと...」

ローズマリー「ええーっ!?あんた達、どうやって此処(ここ)に!?」

咲夜「知るか、そんな事」

ローズマリー「はいぃ!?」

ゆい「分かんないけど...でも!レシピッピを助けたいの!」

ローズマリー「えっ?」

コメコメ「コメ?」

 

レシピッピを助けるべく、無鉄砲に駆け出す和実。

 

ジェントルー「何だ?こいつら...」

ローズマリー「ゆい!」

 

無表情ながらも疑問を呟くジェントルー。ウバウゾーは和実を踏み潰そうとするが、地面を強く蹴った勢いで(かわ)される。

 

ローズマリー「うっそー!?すご!」

 

だが、伸縮した手が背後から衝撃を与える。オカマは両手をクロスさせると、光をロープを生み出し、ウバウゾーをうつ伏せに転倒させる。

俺も見てるだけじゃ尺が合わない故にドライバーを腰に巻く。銀の縁取りに赤いレンズ。ライトグリーンに塗装された本体には新たな時代を刻む三つのライダーの歴史を物語(ものがた)らせる紋章。サイドハンドルにはシアンの縁取りが入っており、左右のハンドルにはマゼンタの宝玉が横に三つ並んでいる。

これが、俺が変身する仮面ライダーディケイドに変身する為のベルト『ゼロディケイドライバー』。

 

ローズマリー「ゆい!今の内に早く!逃げなさい!」

ゆい「マリちゃん、門津君...有難(ありがと)う!」

ローズマリー「だから逃げなさいって!」

ゆい「でも...レシピッピ泣いてた!」

 

オカマに逃げろと警告されても、和実は礼を言いながら突き進んで行く。背後にいたウバウゾーが襲い掛かろうとするが、オカマが無数のロープで捕縛する。

ディケイドライバーの左腰にカードケース型の武器『ライドブッカー』のグリップを四十五度曲げると銃の形となる。引き金を引くと銃身から光弾を吐き出し、ウバウゾーに銃撃を与える。

 

咲夜「和実。此処(ここ)は俺達が何とかする」

ローズマリー「貴女はレシピッピを!」

ゆい「二人共、有難(ありがと)う!」

 

同時に小狐がバックから飛び出す。

 

ジェントルー「ウバウゾー」

ウバウゾー「ウバウゾー!!」

咲夜「オカマ!」

ローズマリー「マリちゃん!?うわあっ!」

コメコメ「コメ〜!」

ゆい「コメコメ!」

 

気合を入れたウバウゾーはロープを振り解き、その反動でオカマは倒れる。ウバウゾーに捕まった和実を助けるべく小狐は果敢に立ち向かうが、大きさの関係か、呼気によって吹き飛ばされる。

 

咲夜「大丈夫か?」

ローズマリー「ええ、大丈夫よ。けど、人質を取られたわね」

咲夜「気にする事はない。直ぐに助けるさ」

ジェントルー「君達に告ぐ。この子を傷付けたくなければ、フィールドを解きたまえ!」

咲夜「と言っても、唯一フィールドを解く事が出来るのはこいつだけだぞ。若し、こいつが『断る』と言ったら...?」

ジェントルー「この子の命はない」

ローズマリー「待って!分かったわ。言う通りに...」

 

俺に支えながらもオカマは立ち上がり、フィールドを解こうとしたが、人質となった和実が叫ぶ。

 

ゆい「マリちゃん!レシピッピを...レシピッピを助けないと!」

ローズマリー「...でも貴女達を、やっぱり巻き添えには出来ない!」

コメコメ「コメ...」

 

コメコメはゆいに近寄る。

 

ゆい「大切な思い出なんだ。レシピッピは、お婆ちゃんとの大切な思い出。いつも笑っててほしい...だって、ご飯は笑顔だから!」

 

その時、小狐————コメコメが被っているフードに付いているハートの装飾(そうしょく)から発した光が、和実の左手首にハート型のウォッチを出現させる。

 

ローズマリー「なっ、何?」

ジェントルー「何だと!?」

ローズマリー 「あれはまさか、伝説の戦士『プリキュア』の!ゆい...!」」

咲夜「如何(どう)やら此処も俺の世界じゃなさそうだが、この世界でやるべき事が大体分かってきた!」

 

俺はディケイドライバーのサイドハンドルを展開。ライドブッカーをガンモードの状態で収納されているカードを取り出しながら装填すると、銃身から放たれた光弾でウバウゾーを牽制(けんせい)

それに合わせ、オカマは突き出した拳から撃ち出した渾身のエネルギー弾を放つと、その反動で赤いペンダントに(ひび)が入る。

手放され落下しそうになった和実がコメコメを握る様に触れると、落下を防ぐピンクの楕円(だえん)形の結界に包み込まれる。

 

ローズマリー「ゆい!コメコメと一緒に『プリキュア』に変身よ!」

ゆい「変身?『プリキュア』?」

ローズマリー「うん」

ゆい「分かった!やってみる!」

 

如何やらこの世界はプリキュアの世界だったそうだ。意味不明な単語に違和感を覚える和実だが、頷くオカマを見る。その表情はまるで、迷いがないかの様のだった。オカマの気持ちに答えるべく、和実は変身を決意する。

 

 

コメコメ「コメ!」

 

ゆい「プリキュア!デリシャスタンバイ!パーティーゴー!にぎにぎ!」

 

コメコメ「コメコメ!」

 

ゆい「ハートを!」

 

コメコメ「コメコメ!」

 

ゆい「シェアリンエナジー!」

 

コメコメ「コメ〜!」

 

変身完了し、決め台詞を放つ。

 

コメコメ「コメコメ!」

 

???「熱々ご飯で(みなぎ)るパワー!キュアプレシャス!美味しい笑顔で満たしてあげる!」

 

 

プレシャス「うわ...!」

ローズマリー「すご!ホントに変身した!」

プレシャス「マリちゃんが言ったんだよ!?」

ローズマリー「イェイ!」

 

呆れかえるプレシャス。

 

ジェントルー「『プリキュア』...?」

 

ジェントルーが呟く。如何やら奴はプリキュアの事を知らない。それなら都合が良い。

 

咲夜「その様子だと、お前はプリキュアを存じていなかったようだな。だったら好都合だ。それじゃ、俺も暴れますか。最早、隠す必要もないしな!」

 

俺は前に出ながら、ディケイドライバーのサイドハンドルを開き、ライドブッカーからカードを取り出す。

 

咲夜「変身!」

【カメンライド ディケイド!】

 

ドライバーに差し込もうとする直前にサイドハンドルを開き、裏返したカードを差し込んでサイドハンドルを閉じる。無数の人影が渦巻く様に俺に重なり、灰色の鎧を形成。ドライバーの赤いレンズから飛び出た七枚のプレートが突き刺さると、走行の体色が灰色からマゼンタへと変色。発した黄色いシグナルと翠色(すいしょく)の二眼が変身完了を合図する。

 

プレシャス「ええーっ!?門津君も変身したー!?」

ディケイド「まぁ、色々あってな」

ローズマリー「ディケイド...?咲夜が、あのディケイド!?」

ウバウゾー「ウバウゾー!!」

プレシャス「うわっ!?こっちに来たー!!」

ディケイド「両手を上に突き出せ。奴を受け止めるんだ」

プレシャス「そんな事出来る訳...」

ディケイド「いいから俺を信じろ。来るぞ!」

 

するとウバウゾーが飛び掛かり、俺達を圧死させようとする。けど、無意味だ。俺は再びライダーカードを取り出し、ドライバーに装填する————

 

プレシャス「んんん...えっ?」

ジェントルー「何ッ!?」

プレシャス「はああっ!!」

ウバウゾー「ウバッ!?」

 

————必要は無く、俺の警告通りに動いたプレシャスは両手で受け止め、そのままウバウゾーを投げ飛ばした。

 

ディケイド「なっ?言った通りだろ?」

プレシャス「何?この力は...」

ローズマリー「それが、プリキュアの力よ!」

プレシャス「プリキュアの力?」

ローズマリー「イェイ!」

ディケイド「兎に角、今はウバウゾーを倒して、レシピッピを取り返すぞ!」

ウバウゾー「ウバウゾー!!」

ディケイド「こちとら百年以上も旅してんだ。ベテランオールラウンダー舐めんなよ!」

【アタックライド ブラスト!】

ディケイド「ディケイドブラスト!」

 

ホント歳を取らない身体で良かったよ。ウバウゾーは伸縮した手を伸ばしながら攻撃してくる。プレシャスは駆け出し、俺は分裂したライドブッカーの銃身から吐き出した光弾をウバウゾーに浴びせる。

 

プレシャス「すごい!あたし飛んでる!」

ディケイド「プレシャス、前だ!」

 

再び捕まり投げられるプレシャス。まだ戦闘に馴れていないが、チュロスに似た形状の岩に直撃しそうになるも体制を立て直し、ウバウゾーに向かって蹴り上げる。

 

プレシャス「行っくよー!」

【アタックライド スラッシュ!】

プレシャス「500キロカロリーパーンチ!!」

ディケイド「ディケイドスラッシュ!」

 

右腕に500の数字をエネルギーとして纏わせたパンチを繰り出すプレシャス。俺は助走を付けながらライダーカードをライドブッカーから取り出し、ドライバーに装填。ライドブッカーのグリップを更に四十五度曲げ、刀身を露出させると、地面を強く蹴り上げ、数十もの刀身の残像を放ちながらの袈裟(けさ)斬りをウバウゾーに放つ。ウバウゾーは大きく吹っ飛ぶ。

 

プレシャス「ウォッチが...!」

ローズマリー「プレシャス!決めて!」

コメコメ「コメ!」

プレシャス「やってみるよ!」

ディケイド「俺も忘れちゃ困るぜ?一緒に決めるぞ!」

プレシャス「うん!」

【ファイナルアタックライド ディ・ディ・ディ・ディケイド!】

 

俺はライドブッカーのグリップを四十五度下げて銃の形にし、黄色いカードを装填。銃身を向けると、十枚の黄色いカードのエネルギーが並び立つ。

プレシャスはハート型のウォッチの液晶画面をタッチし、左手で大きく正三角形を描く。

 

プレシャス「プリキュア!プレシャストライアングル!!」

ディケイド「ディメンション...ブラスト!!」

ウバウゾー「お腹一杯!」

 

重なる二つの技がカードのエネルギーを突き抜け、邪悪なオーラをも破壊する浄化技を受けたウバウゾーはプレシャスと共に手を合わせる。

 

「「ご馳走様でした!」」

ディケイド「Alza la Testa.もう冷めてるけどな。鮫だけに...same(セイム).」

 

するとウバウゾーは花火の様に爆散し、大きなハートの上にディケイドの紋章が浮かび上がる。

 

レシピッピ「ピピ〜!ピピピ〜!」

プレシャス「レシピッピ!良かったぁ〜!」

 

浄化された事によって弁当箱は砕け散り、(とら)われていたレシピッピは自由を取り戻す。俺達の元へ寄って来ると、ハート型のウォッチが発した光に吸い込まれていった。

 

プレシャス「ええっ!入っちゃった!?」

ローズマリー「あら...」

ジェントルー「プリキュア...ディケイド...」

 

ジェントルーは小さく俺達の名を呟きながら姿を消した。

 

ディケイド「...逃げたか」

プレシャス「ああ〜、ハラペコった〜!」

ローズマリー「有難う。コメコメ、キュアプレシャス。これでオムライスの味も元に戻った(はず)よ」

プレシャス「本当?良かったぁ...!でも、『プリキュア』って何?」

 

緊張感を解くプレシャスに礼を言うオカマ。

 

ローズマリー「それはね...」

ディケイド「『伝説の戦士』。昔からそう呼ばれているらしい」

ローズマリー「ちょっと!何であんた、そんな事知ってんのよ!?」

ディケイド「俺も前に、別世界のプリキュアにも会った事があるからな。これくらい如何(どう)って事ない」

コメコメ「コメコメ〜!」

ディケイド「ってか、待てよ。オムライスの味が戻ったって事は...!」

 

事を悟った俺はマシンディケイダーに跨る。

 

ローズマリー「ちょっと、何処(どこ)行く気よ!?」

ディケイド「やり残したい事を果たしに行く!」

 

そう言って俺はオーロラカーテンを出現させ、マシンディケイダーを走行させる。ある場所で今回の戦いの役目を果たすために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はブンドル団の被害にあったオムライス店に立ち寄ると、其処(そこ)には俺がラップで包んでいたオムライスがまだ食卓に残っていた。もう随分冷めてると思うが構わない。俺は包んであったラップを外し、オムライスの一欠片をスプーンで掬い、口に運ぶ。

 

咲夜「...良かった。ちゃんと元の味に戻ってる」

 

無事完食し終え、俺はオムライスの代金を払ってそのまま去って行った。だが、その側に一言だけ言わせてくれ。

 

咲夜「其処(そこ)に隠れてるのが、店長でも、店員でもいいから俺の話を聞いてほしい。食事の時間には天使が降りてくる。そういう神聖(しんせい)な場所なんだと...食事は一期一会だ。諦めずに、毎回毎回を大事にしろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プレシャス「今日はイチゴジュース。あたしと乾杯!」

 

オリジナルED『吉武千颯 /DELICIOUS HAPPY DAYS♪』

 

 

次回、デリシャスパーティ♡プリキュア ~破壊者の食べ歩き~

 

咲夜「悪魔悪魔ってうるさいな!」

 

ローズマリー「貴方、何処かで会ったかしら?」

 

拓海「知らないけど...」

 

ローズマリー「ゆいのお母さん、素敵ね。お母さんと仲良くするのよ」

 

ディケイド「こいつはお前を信じている...」

 

プレシャス「心配してくれて有難う。でもね、やっぱりあたし、見てるだけなんて出来ないよ!」

 

ディケイド「新しい調理法だ。変身」

 

【カメンライド...】

 

第二品:さようなら、ゆい...!マリちゃんの決意/ディケイド数十変化!(なぞら)うカメンライド!

 

全てを破壊し、全てを繋げ!

 




次回、カメンライド解禁。

ディエンドが裏切るならどのタイミング(ちょっとネタバレ要素あり)?

  • ハートジューシーミキサー
  • 追加戦士
  • パワーアップアイテム
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。