デリシャスパーティ♡プリキュア ~破壊者の食べ歩き~   作:ライノア

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映画編 その2:大人は排除!?迫りくるドリーミアの裏側!

No side

 

ローズマリー「思った通り、デリシャストーンが反応している...!このテーマパークに何か関係が...?()に角、今はその秘密を突き止めなきゃ...うおっとっと!」

 

とある場所にて立ち(すく)んでいるローズマリーの(てのひら)には、スペシャルデリシャストーンが(あわ)く発光している。

見上げた先はドリーミアの入り口。スペシャルデリシャストーンが呼応するかの様に辿り着くと、そのまま入り口を通ろうとした矢先で自動改札機を模した扉に足止めされ、ローズマリーは危うく転倒しかけた。

右端に設置されたランプが赤く発光し、小さい警報音と共に自動ドアからドリーミアのロボットが現れる。

 

ドリーミアロボット『大人発見。大人発見』

オレンジと紫のロボット『『大人、ダメ。大人、ダメ』』

 

たじろぐローズマリーは、自身のポケットから財布を取り出しながら右側を通ろうとするも行手を阻まれ、隙を見て反対側を通ろうと(こころ)みたが二機のドリーミアロボットに通せんぼされてしまう。

 

ローズマリー「え、ええっ...?あ、ほら。ちゃんとお金もあるから!という事で...お願い!大事な用なのよ!だから...!」

『『『『絶対、ダメ』』』』

 

目を(うるお)わせ両手を会わせて懇願(こんがん)するが、それでも大人は立ち入り禁止だと最終警告するドリーミアロボット達は目を細くする。

 

ローズマリー「せめて園長のケットシーと副園長のクーシーと話をさせて!」

『『『『『大人、排除。大人、排除。大人、排除。大人、排除』』』』』

 

これでもまだ立ち去らないローズマリーを強制的にでも追放すべく、警備服を(まと)った五機のドリーミアロボットが左右のサイレンを鳴らしながら周囲を囲む。

 

『『『『『大人、排除。大人、排除。大人、排除。大人、排除。大人————』』』』』

ローズマリー「え?え?えええっ!?」

 

警備用ロボットが振り上げた警棒を見て、ローズマリーは上げた手を戻してドリーミアの入り口を一直線に突破した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Sakuya side

 

次のエリアに向かおうとした俺達に、背後から排除排除と連呼する機械音とそれに追われているとされる足音が俺達の耳に届く。

 

『『『『『排除。排除。排除————』』』』』

ローズマリー「話くらいさせてーーーッ!?」

 

向き直ると其処にはローズマリーが警棒を手に持つドリーミアの警備ロボット達に追われていたのだ。

 

ローズマリー「ああっ!退いてっ!退いてーっ!!此処退いてー!!」

『『『『『排除。排除————』』』』』

『マリ(ちゃん)(君)(さん)(ローズマリー)!?』

ローズマリー「ああーーッ!!」

 

プリキュア組は左側、俺達ライダー組は右側に道を開ける。

ローズマリーが警備ロボットに捕まり、伸縮自在な両腕でケットシーの顔を模したゴミ箱に放り投げられてしまう。

 

ゆい「ああっ!」

咲夜「あいつら、生きたままリサイクルする気か!?」

ジュブリー(人間体)「兎に角助けよう!」

コメコメ(人間体)「コメコメも助けるコメ!」

 

ゴミ箱に放り投げられたローズマリーは足をじたばたと上下に動かしたせいでホールインしそうになる。

 

ローズマリー「あ、あ、あ...ああーーーッ!?」

コメコメ(人間体)「コメッ!」

ジュブリー(人間体)「コメちゃん、そのまま...うおわっ!?」

咲夜「ジュブリー!コメコメ!」

 

ギリギリのタイミングでコメコメがローズマリーの足を掴むが、大人の体の重さに抗えずそのまま足が浮いて引き寄せられてしまう。続く俺とゆいも必死にコメコメの足を取る。

それから雄大とジュニラム、華満とドラジカ、冬美とキバーラ、ここねとクソ犬、かいちょとレグレットが引き寄せられる度に引っ張り出すも、最終的には全員落ちてしまった。

 

『ああああーーーーッ!!!?』

 

何処かの排気管を通り、白い(ほこり)が巻き上がる。

(やが)て埃が収まると、マスコット組全員が元の姿に戻ってしまう。

 

パムパム「パム...」

メンメン「メン...」

コメコメ「戻っちゃったコメ...」

 

落ちた場所を見渡すと、四方八方には複数の排気管。

俺達はケットシー顔のゴミ箱を通じて、人間の食道で言うところの胃に到達した。

 

らん「...此処何処?」

あまね「随分下まで来たみたいだな...」

咲夜「ちょっと待て。この足場....器具?何だか柔らかくないか?」

 

落下した衝撃がまるでない。

下を見てみると、ソファーやテーブル。沢山の器具や食物を模したクッションが俺達の足元に詰められていた。

 

ゆい「これ、全部()いぐるみ!」

ここね「良かった。皆無事で...!」

冬美「此処にクッションがなかったら、あたし達は今頃転落死してたかもね」

雄大「それよりマリさん。どうしてドリーミアに?」

ローズマリー「それなんだけど、実はね「スペシャルデリシャストーンと何か関係がありそうで来た」そう。それよ!って、どうして咲夜がそれを...!?」

 

雄大の問いにローズマリーが説明しようとするも、既にジュブリーから情報を聞き出していた俺はその話に割って入る。

 

咲夜「ジュブリーから聞いたんだよ。要はケットシーとクーシーの二人と話g『大人排除。大人排除』Ah...Sh○t」

 

自動的に開いた壁がドアとして開き、大人であるローズマリーを駆逐すべく待機していたであろう警備ロボット達が姿を現す。

 

ローズマリー「このロボット達の狙いは大人である私。皆は私に構わず逃げてッ!!」

 

電王ベルトとライダーパスを取り出して変身の構えに入るローズマリーだが、俺達も此処で引き下がる訳にも行かない。

 

咲夜「そうも行く訳ないだろ。前にも言ったよな?『一人で抱え込む様な真似はするな』って」

ゆい「そうだよ。マリちゃんを置いて逃げるなんて出来ない!」

ジュブリー「ライダーもプリキュアも助け合いやからね!」

ローズマリー「貴方達ったら...!」

咲夜「感涙してる暇があるなら戦え。やるぞ、お前ら!!」

 

鼻を(すす)りながら感涙しているローズマリーに俺は戦うよう催促(さいそく)し、そのまま全員変身に移行した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

変身バンクBGM『林ゆうき/竜の戦士』

 

「「「「プリキュア・デリシャスタンバイ!パーティーゴー!!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

ゆい「にぎにぎ!」

 

コメコメ「コメコメ!」

 

ゆい「ハートを!」

 

コメコメ「コメコメ!」

 

 

 

 

 

 

ここね「オープン!」

 

パムパム「パムパム!」

 

ここね「サンド!」

 

パムパム「パムパム!」

 

 

 

 

 

 

 

らん「くるくる!」

 

メンメン「メンメン!」

 

らん「ミラクル!」

 

メンメン「メンメン!」

 

 

 

 

 

 

あまね「フルーツ!ファビュラス・オーダー!」

 

 

 

 

 

「「「「シェアリンエナジー!」」」」

 

コメコメ「コメ〜!」

 

パムパム「テイスティ!」

 

メンメン「ワンターン!」

 

咲夜「ブフォッ!?」

 

 

 

 

フィナーレ「トッピング!ブリリアント!シャインモア!」

 

 

 

 

 

コメコメ「コメコメ!」

 

パムパム「パムパム!」

 

メンメン「メンメン!」

 

プレシャス「熱々ご飯で漲るパワー!キュアプレシャス!美味しい笑顔で満たしてあげる!」

 

スパイシー「ふわふわサンドde心にスパイス!キュアスパイシー!分け合う美味しさ焼き付けるわ!」 

 

ヤムヤム「煌めくヌードルエモーション!キュアヤムヤム!美味しいの独り占め、許さないよ!」

 

フィナーレ「ジェントルに、ゴージャスに、咲き誇るスウィートネス!キュアフィナーレ!食卓の最後を、この私が飾ろう」

 

「「「「デリシャスパーティ♡プリキュア!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「変身!」」」」」

 

【【カメンライド】】

 

【ディケイド!】

 

【ディエーンド!】

 

キバーラ「チュッ!」

 

『SWORD FORM』

 

ジュブリー「培養!」

 

『INFECTION!Let's game!Dead game!Bad game!What your name!?The Bugstar!!』

 

ディケイド「全てを束ね、全てを創る!仮面ライダーディケイド!旅の語らい始めようか!」

 

ディエンド「後を縋らず全てを撃ち抜く!新たな旅に悔いなき選択を!仮面ライダーディエンド!僕達の旅の行先は...僕達が決める!」

 

クウガ「ゼロから始まる古代のエナジー!仮面ライダークウガ!皆の笑顔は...俺達が守る!!」

 

キバーラ「「世界に輝く女騎士(ヴァルキリー)!仮面ライダーキバーラ!貴方(あんた)の野望、止めてあげる(わ)!」」

 

ジュニラム『人馬一体。兜ヲ象ル子馬ノ鎧!ゴウラム・ジュニア!雄大達ハ僕ガ守ル!』

 

ジュブリー「順風満帆。鳥は鳥でも侮るなかれ!ウォブリージュニア・バグスター!全員纏めて、やっつけたる!」

 

電王S「俺、参上!」

 

ディケイド「全てを破壊し!」

 

『「「「「全てを繋ぐ!」」」」』

 

『「「「「我ら、仮面ライダー!」」」」』ドカーン!

 

 

 

 

 

 

DECADE SIDE

 

ジュブリー「先ずはお手並み拝見や。たぁーッ!!」

電王S「行くぜ行くぜ行くぜーッ!!」

 

先陣を切ったのはプレシャス、ジュブリー、モモタロスの三人。

カロリーパンチをオーラを纏った突きと回転回し蹴り、デンガッシャーによる縦切りを繰り出す。

 

プレシャス「えっ...!?」

電王S「あがが...何だこいつ、意外と硬ぇぞ!!」

 

衝撃と共に金属音が鳴り響き、後から疑問を(こぼ)したプレシャスに続いてジュブリーとモモタロスの手足が(しび)れ出す程の頑強さを誇っていた。

 

ジュブリー「ぐっ...!」

プレシャス「ああっ!?」

電王S「どわあっ!?」

 

怯んだ隙に胴体で受け止めた警備ロボットの一体は攻撃の反動で押し出し、プレシャスはスパイシーとヤムヤムに支えられ、ジュブリーは両腕の翼を少し羽ばたかせて押し出された反動を抑えて着地する。

モモタロスは相変わらずそのまま俺達の足元まで吹っ飛ばされ、俺が地面に着く直前に背中を手で抑えてやった。

 

「「「プレシャス!」」」

プレシャス「ありがと...このロボット、すっごく強い!」

ジュブリー「かなり頑丈に造られとるみたいやな...!」

ディケイド「そっちが頑丈なロボットなら、こっちもメカニカルな見た目で行くぞ!」

【アタックライド イリュージョン!】

 

俺はイリュージョンを装填して三人に分身し、ライドブッカーからフォームライドのカードを取り出す。

 

ディエンド「メカニカルねぇ。だったら僕は...!」

 

レグレットもカードホルダーからカードを取り出す。

それぞれ色が異なり宝石を鷲掴みにされた頭部を持つ三人の魔法使い。

 

【カメンライド メイジ!】

「「「変身!」」」

 

召喚された三人の魔法使いのベルトはウィザードの変身ベルト『ウィザードライバー』を模している赤く縁取られた『ワイズマンドライバー』。

宝石を(わし)掴みにした三本の爪の様なパーツが特徴的な頭部を持ち、漆黒の巨大な爪には頭部と同じ指輪を嵌めている。

黒い肩装甲には巨大な刺が出っ張り、六角形の宝石が埋め込まれた胸部装甲の首元にある赤いラインはスカートの右側まで走っている。色は個体によっては琥珀、緑、青の構成だ。

ファントムになりかけようとも最後まで希望を捨てずに魔法使いの資格を得た『仮面ライダーメイジ』。

俺達もライダーカードを装填し、サイドハンドルを閉じる。

 

【フォームライド エグゼーイド!マキシマーム!】

【ビルド!フェニックスロボ!】

【ゼロゥワァン...メタルクラスタホッパー!】

『マキシマムパワー!エーックス!』

『不死身の兵器!フェニックスロボ!イェイ!』

『Secret material!飛電メタル!メタルクラスタホッパー!"It's High Quality."』

 

俺は等身大のパネルを通り抜けてエグゼイドに変身。

異空間から出現したマキシマムゲーマが展開し、俺が自らマキシマムゲーマに格納する事で四肢(しし)が飛び出しマキシマムゲーマーへと変身完了。

Cにハーフボディが重なり、横から不死鳥を見た炎の翼とロボットアームを模したアンテナを持つ赤と黒のビルドとなる。

肩装甲と右腕装甲。背中の翼は燃え盛る炎の様な意匠があり、左腕には黒いロボットアームが備わっている。

ゼロディケイドライバーのディヴァインコアから大量のバッタモデルが一旦巨大なバッタモデルになった後に分散。

そのままBの体を(むしば)む様にして纏わり付き、全身が白銀に輝く金属質な見た目のゼロワンへと姿を変えた。

頭部や肩などが鋭利な形状に変化し、全身にはエネルギーラインが蛍光(けいこう)イエローに駆け巡る。

特殊金属『飛電メタル』製の装甲を持ったゼロワン『メタルクラスタホッパー』と、不死鳥と機械の力を宿した永遠の戦士 ビルド『フェニックスロボフォーム』。

 

キバーラ(冬美)「ドッガハンマー!バッシャーマグナム!」

クウガ「サンキュー冬美。超変身!」

 

冬美はモモタロスに受けを命じながらドッガハンマーとバッシャーマグナムを召喚。

バッシャーマグナムを受け取った雄大はペガサスフォームへと超変身した。

 

警備員ロボット『...不明。大人?子供?不明。未確認物体、排除!』

 

警備ロボットの一体がスキャンを始める。

流石に変身状態の俺達を未確認物体と認識したのか、改めて警棒を振り下ろしながら襲い掛かる。

 

ディケイドB「此処は俺達が!」

ディケイドC「迂闊(うかつ)に触ったら火傷じゃ済まないよ!」

 

Cがフェニックス側の視覚センサー『レフトアイフェニックス』で敵の挙動パターンから次の攻撃を先読みし、確実に回避出来る様にした上で頭部に設けられた威嚇装置『イモータルフェイスモジュール』で不死鳥の幻影を見せて牽制(けんせい)した。

流石にロボットであるためか畏怖の念を抱かせられないが、代わりに隙を見せる事は出来る。

Bが飛電メタルの装甲から硬度・可塑(かそ)性・密度を自在に変化させる相転移制御特性を活かし、飛電メタル製の無数のバッタモデル『クラスターセル』は『クラスターテンペスト』発動。

クラスターセルによる遠隔操作で警備ロボット達の視界を(くら)ましている間に、緑のメイジと青いメイジはドライバーの左側にある鎖の意匠を持つ『ウィザードリングホルダー』に備わっているウィザードリングの一つを180度曲げて取り出し、右手の中指に()める。

左右のハンドルレバー『シフトレバー』を一回操作させて魔力解放装置『ハンドオーサー』の向きを右側に切り替え、呪文詠唱スピーカー『スペルエンチャンター』がハンドオーサーに(かざ)したウィザードリングの名を告げる。

 

『イェス!グラビティ!アンダスターン?』

キバーラ(冬美)「サポートしてくれるの?有難(ありがと)う!」

 

青いメイジが黄色い魔法陣を操作して冬美を浮遊させ、ドッガハンマーのトゥルーアイ開眼に繋げる。

 

『チェイン!ナウ!』

 

緑色のメイジが触れた地面から魔法陣が出現。無数に現れた銀色の鎖で警備ロボット達を拘束させる。

更には追い討ちを掛けるかの様に、俺は全身を360度回転させながらマキシマムゲーマの顔に搭載されたスキャニング装置『アイライトスキャナー』からエネルギーを溜め込んでビームを照射しようとした際にCに俺の肩に乗る様に(うなが)す。

 

ディケイドA「C、乗れ!」

ディケイドC「オッケー。乗るならせめて反対側に!」

『イェス!スペシャル!アンダスターン?』

 

Cは正面から地面を強く蹴り逆向きで肩に乗せる。俺の背後に合わせたメイジは翳した手から赤い魔法陣が出現。

其処から噴き出した火炎で警備ロボットの一体を火達磨(だるま)にした。

 

ディケイドA「有難な、琥珀色のメイジ。空中にいる者以外は全員しゃがめ!消毒されても、責任は取らないぞ!!」

 

警告を促した俺は直ぐ様全身を旋回させると琥珀色のメイジが火炎で外部を(あぶ)り、俺が回っている間にCが右肩の攻撃装置『BLDソルファイアショルダー』による熱光線の収束照射を少しずつ行い、中枢機能を内部から加熱破壊。

この時、雄大も全身を回転させたジュニラムの遠心力に抗いつつペガサスボウガンで警備ロボット達の頭部を的確に撃ち抜く。

 

ディケイドA「最後の仕上げだ!」

 

トドメに溜め込んだエネルギーをビームとして()ぎ払い、警備ロボット達は纏めて爆散した。

一瞬だけ見えてはいたが、Bも鋭利状に変化させたクラスターセルで下から串刺しにする形でサポートしていた様だ。

 

ディケイドA「ふぅ、一丁上がり!」

キバーラ(冬美)「やり過ぎにも程があるってば」

クウガ「取り敢えず、まだ警備ロボットが居るかもしれないから一旦此処を脱出しよう!」

ディケイドC「皆は先に行ってて。直ぐに終わるから!」

 

後で合流するCを残して俺達は狭い部屋から脱出する。

出た先は野菜などの具材を置いた三段式の巨大なスチールワックが配置された廊下。

 

プレシャス「ああっ...!!」

 

正面から目撃したプレシャスが愕然と声を漏らす。

其処には二十三機もの警備ロボット達が俺達を待ち伏せしていたのだ。

周囲を阻まれた俺達を睥睨(へいげい)する警備ロボット達は両腕に持った警棒を交差させて構えの態勢に入る。

 

ディケイドC「お待たせ!作業終わったよ!」

ディケイドB「C。意外と早かったな...何だこれは?」

ディケイドC「何って盾だよ?鳥籠を意識して造ったんだけど...」

 

其処へオーロラカーテンを通じて合流したCが持ってきた製造物は、燃え盛る鳥(かご)をイメージした盾...というよりかは、籠の持ち手部分が何故か警備ロボットの頭部になっている。

これはフェニックスロボフォームの左肩装甲に取り付けられた製造ユニット『BLDアーセナルショルダー』の性能と関連し、さっき破壊した警備ロボット達の残骸を材料として取り込み、この燃え盛る警備ロボットの生首籠を造った。

活発は良いが、物を造る時のセンスは相変わらず過激なところが多い。そんなCもまともなところはあり、何やら秘策があった様だ。

 

ディケイドC「さっきプレシャス達が攻撃した際にとても頑丈だって言ってたでしょ?だから、その硬質性ならどんなにスピードを応用した強い攻撃にだって耐えられる筈!...まぁ、流石にファイズのクリムゾンスマッシュとかは耐えられないと思うけど」

ディケイドB「言ったな?じゃあその籠の性能、俺とリーダーがテストしてやるよ」

 

テスト宣言した俺は黄色い頭部の青いドライブ、Bはアクセルフォームのフォームライドカードを取り出す。

 

【フォームライド ドラーイブ!フォーミュラ!】

【カメンライド!ファイズ!】

『Complete.』

 

気を取り直して赤いラインが全身に巡るBはファイズに。

俺は黄色い頭部のドライブにカメンライドを果たす。

青を基調とした胸部装甲がフォーミュラーカーのフロントウィングやカウルで覆われ、装甲の随所にはタイヤ交換シフトカーの名称がスポンサーロゴの如く散りばめられている。

因みに黄色いラインが走るタイプ専用の標準仕様タイヤは小さく、ガムテープくらいの大きさだ。

青き音速のドライブ『タイプフォーミュラ』になった俺は、更にライダーカードをドライバーに装填した。

 

【アタックライド マンターン!】

 

両腕のタイプ仕様タイヤ『タイプフォーミュラタイヤ』からローマ字で『MANTAAN F01』と書かれている小さいオレンジ色のタイヤ『マンターン』に付け替える。

これはタイプフォーミュラタイヤの高速移動時のスピードに比例した負荷が加わるため、身体能力を鍛えた変身者でなければ意識を手放すデメリットを少しでも無くすためのタイヤ交換だ。

 

ローズマリー『一点突破よ!』

プレシャス「オッケー!」

 

ローズマリーの掛け声でプレシャス達が正面から仕掛ける。

大きく跳躍したプレシャスが鉄骨を踏み台に、急降下しつつカロリーパンチを繰り出す。

 

プレシャス「はああーーーッ!!」

 

攻防態勢に入った警備ロボットを後方に押し切るも、左側の警備ロボットが全身の角度を90度に曲げながら警棒を振り下ろそうとする。

進行の妨害はさせまいと、ペガサスボウガンの空弾で気を引かせた雄大と飛び蹴りをかますヤムヤムが防ぐ。

立て続けにカッターブレイズで右側の警備ロボットの襲撃をも防ぎ、電気を帯びながら振り下ろされる警棒を割って出たスパイシーがパンバリアで受け止めつつ押し返す。

 

【フォームライド ファイズ アクセル!】

【アタックライド オートバジン!】

 

胸部の外部装甲が開き、赤いフォトンブラッドが白く変色。

同時に黄色から赤い複眼に変わった俺はアクセルフォームに変身する。

下準備をおっ始めんばかりにBはオーロラカーテンでマシンディケイダーを転送。

ライダーカードの効果でマシンディケイダーはオートバジンに変化し、右グリップ部分をファイズエッジとして引き抜く。

俺も背部に装備された推進装置『エクスファンブースト』で周囲の空気を取り込む。これで下準備は完了した。

 

プレシャス「左右の攻撃は防いだ!フィナーレ!」

ディケイドC「ジュブリー!モモタロス!」

 

プレシャスの掛け声でフィナーレがスライディングからの回転足払いで中央に居た警備ロボットの足を宙に浮かせ、ドミノ倒しの様に横転させる。

 

電王S「俺の必殺技・ジュブリーバージョン!」

『Full Charge.』

『キメワザ!クリティカルインハリット!』

 

ジュブリーがバグヴァイザーⅢのソーチェン部分から鋸状のエネルギー回転刃左右に飛ばし、モモタロスが全身を一回転させながら回転刃の中央にある穴にオーラソードを引っ掛けて一気に薙ぎ払う。

 

ディケイドB「10秒で決めるぞ!」

『Start up.』

ディケイドA「よーい...どんッ!!」

 

そのタイミングを計らったBは左腕に装着しているファイズアクセルのスイッチ『スタータースイッチ』を押してアクセルモードを発動。

液晶画面『ソルグラス』越しに見えるカウンター上部に1.0と表示され、残り時間10秒をBに伝える。

俺の掛け声で加速しながらスタートを切り、スピードロップの要領でCが造った鳥籠を中点に警備ロボットの包囲網に何度も蹴りを浴びせる。

 

『3,2,1...Time out. Reformetion.』

 

カウントが0になると同時に警備ロボットは全て爆散。

強制的にBはアクセルフォームから通常形態に戻り、Cの宣言通り鳥籠は灰塵(かいじん)と帰す結果となった。

 

「「「やったー!」」」

ディケイドC「あーあ。せっかくの試作品だってのに、もう崩れちゃった...でも、こう見えて直せるんだよね。このフォーム」

 

鳥籠が消えた事に落ち込むCだったが、何やら希望があったのか気持ちを切り替えつつ、アーセナルショルダーで警備ロボット達の残骸を取り込む。

そして翳した右手から噴き出した灼熱の炎が灰となった鳥籠を包み込むと、まるで何事もなかったかの様に再生した。

ただ再生しただけじゃない。今度は持ち手が警備ロボットではなく持ち手を足で掴んでいる不死鳥に置き換わり、隙間を埋める様に羽ばたく鳥の装飾が幾重に追加された強固な造形となっている。

これはフェニックスロボの右腕に内蔵されている焼却ユニット『フレイムリヴァイバー』にあり、何と破壊された物体を炎で包み込むと、新たな姿で再生する事が出来るというチート能力だ。

 

ディケイドA「流石は天才物理学者の作ったライダー。派生フォームでもチート能力はお墨付きか」

 

俺がフェニックスロボの能力に感心している矢先で、何処からか地響きが鳴り始める。

地響きの正体は薄水色の調理ユニフォームを纏うキャタピラロボット。

その体躯は俺達が破壊したばかりの警備ロボットよりも遥かに超える大きさで、ホース状となった両腕の手首は鉤爪状となっている。

巨大ロボットは真紅に染まった敵意を視線を俺達に向けると、躊躇(ちゅうちょ)なくその腕を大いに振り下ろす。

フィナーレは咄嗟に宙返りで後方へ下がり、俺達ライダー組も難なく回避出来たが、冬美の姿が何処にも見当たらない。

目を抉らせてみると、其処にはプレシャス達と冬美が巨大ロボットの襲撃を受けていた。

 

ゆい「コメコメ!」

ジュニラム『キバーラチャン!』

 

そのまま四人の変身は強制的に解除され、好機と見做(みな)した巨大ロボットは両目を点滅させながらホース状の腕でコメコメ達とキバーラを吸引する。

 

ジュブリー「さくぽん、エナジーアイテム!」

ディケイドA「そう言うと思った。使え!」

ジュブリー「有難う!じゃあ、行って来る!」

『縮小化!』

 

コメコメ達を救出すべく、Cは俺が投げ渡されたエナジーアイテム『縮小化』の効果でジュブリーは手の平サイズの大きさとなり、わざと巨大ロボットの腕に潜入した。

このエナジーアイテムは脱出する直前にアタックライドで実体化させたもので、万が一の時に俺が落とさない様に持っていた。

実は俺がアタックライドで実体化させたエナジーアイテムは縮小化だけじゃなかった。

 

ディケイドA「お前も行って来い、ジュニラム!」

『液状化!』

ジュニラム『アリガト!僕モ行ッテ来ル!』

 

『液状化』のエナジーアイテムで茶色の液状と化したジュニラムは、ジュブリーの後を追って巨大ロボットの腕に潜入する。

 

電王S「何だぁ?あのデカブツは!?」

ローズマリー『今此処で倒したらコメコメ達が巻き添えを喰らっちゃうわね。モモタロス、一旦変身解除よ!』

電王S「変身解除だぁ?しょうがねぇ、やられんじゃねぇぞ!」

 

モモタロスは(かつ)を入れながらデンオウベルトを外して変身を解除した。

 

ローズマリー「こっちは私が。フィナーレ達はゆい達を!」

フィナーレ「ああ!」

 

俺達がゆい達の保護をしている間、俺にデンオウベルトとライダーパスを投げ渡したローズマリーはスチールワックの角を左右雁行(がんこう)に次々と蹴り上げ、タイミングを見計らって飛び上がった刹那(せつな)、巨大ロボットの目から寒色のビームが放たれる。

 

ローズマリー「...あら、不思議。何だか、若返っていく様な...」

 

ローズマリーは一度は腕で視界を覆うも、体が子供くらいに縮んで行く。

若返った愉悦(ゆえつ)感に(ひた)る間もなく、ローズマリーは縫いぐるみになってしまった。

 

ローズマリー「マリちゃんが、縫いぐるみに...!?」

 

俺は咄嗟(とっさ)に回収を試みたが、反応神経は巨大ロボットの方が早かった。

即座に縫いぐるみとなったローズマリーを吸い込むと、(また)何処からか警備ロボット達が現れる。

 

ディケイドA「...一旦引くぞ!」

 

一時撤退を余儀なくされた俺達は、オーロラカーテンで瞬間移動させたライダーマシンに跨って前方へ走行する。

ゆい達と冬美は背後を振り返りながらパートナーの名を(なげ)くしかなかった。

今更巨大ロボット達のところに戻ったとしても、ローズマリーの様に縫いぐるみにされかねないからな。

 

フィナーレ「マリちゃんが当たった光...入り口で見たのと同じの様だな」

ゆい「...うん」

ディケイド「だんだんと闇が深くなってきたな。ドリーミアの知られざる秘密が...!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Jubulee side

 

コメコメ「コメ!」

メンメン「メン!」

パムパム「パムゥ〜!」

 

コメちゃん達を助けるべく後を追っている。

僕はエナジーアイテムの力で体が小さくなり、ラム君は体を液状化させた状態だ。

巨大ロボットのパイプを通った先は滑り台で、塒を巻きながらカップ型の機械の中に突入。

中に入っていた小麦粉がクッションとなって衝撃を緩和させていた。

降り掛かった小麦粉の粉を落とした僕達は工場内を見渡す。

 

パムパム「随分奥に来ちゃったパム...」

メンメン「完全に迷子メン」

コメコメ「大丈夫コメ!心配ないコメ!絶対に皆のところに戻れるコメ!」

 

迷子になってしまい、目が潤わせるおパムちゃんとメン君をコメちゃんが(げき)を飛ばす。

 

ジュブリー「コメちゃんの言う通りや。諦めずに探せば、ゆいちゃん達に会えるよ!」

キバーラ「そうね。いつまでもくよくよしてたら、冬美達の顔が浮かばれないわ」

ジュニラム『兎ニ角、コノ工場ノ辺リ一面ヲ徹底的ニ模索シヨウ!』

ジュブリー「ナイスアイディアだよラム君。それじゃあ早速...!?」

 

工場内を徹底的に模索を決行した僕達の前に、先程僕達を吸い込んだ巨大ロボットの腕と同じ造形のバキュームが再び僕達を吸い込んだ。

バキュームは上に配置されていたパイプラインに繋がっていて、コメちゃんは一度はへばり付くも、後から吸い込まれた僕達に押し込まれてそのまま風圧の流れに押し出されてしまう。

電子レンジの音に類似した音が鳴ると同時に僕達は謎の部屋に落下し、コメちゃん達とキバーラちゃんはクッションで難を逃れ、僕は液状化を解除したラム君の上に着地する。

 

メンメン「此処は何処メン...?」

キバーラ「何だか、可愛らしい部屋ね」

???「おやおや。こんなところで迷子が六匹も迷い込んでしまうとは...」

???「此処は立ち入り禁止だよ」

 

辺りを見渡すと、僕達が落ちてきたのはレストランでよく見掛ける長いテーブル。

椅子にはドリーミアのロボットが赤ちゃんとして座り、上にあるライトと同化した蝶々型のベッドメリーは星、太陽、月、雨雲を模したマスコットが施されている。

 

???「ああ、そんなに警戒しないで。僕達は全ての子供の味方だからね!」

ジュニラム『''子供達ノ味方''...?』

キバーラ「何だか怪しい感じね」

クーシー「失礼な。そんな猜疑な目で見られたら、僕達がもっと困るだけだよ?」

 

突如現れた二つの影の一人が、僕はバグヴァイザーⅢの銃口を向ける僕を諫言(かんげん)する。

僕達ライダーマスコット組が(いぶか)しむ中、メン君は自分達が迷子になってしまった事を話した。

 

メンメン「僕達、皆と逸れちゃったメン...」

???「それは困ったな。流石に君達を此処へ置いておく訳にはいかないしね」

???「オゥケィ!そうと決まれば、早速皆を此処へ連れて来よう!」

パムパム「良かったパム〜!」

コメコメ「有難うコメ!猫さん、犬さん!」

 

二人の影はさくぽん達を此処へ連れて来ると宣言し、再会を待ち望んでいたコメちゃん達は安堵の表情を浮かべる。

 

???「今、僕達の事を猫って言った?」

???「僕が犬なのは誰でも分かるけど、どうして分かったんだい?」

ジュブリー「さくぽんがお前達の事を、猫や犬の神様って言ってたで」

コメコメ「違うコメ...?」

 

コメちゃんの謝礼の言葉に混じった猫と犬のワードに二人は向き直り、コメコメの回答に一顧する。

視線を合わせた二人は頷き、手を二回叩くとライトの照明が明るくなる。

簡易なステップを踏む猫と犬————ケットシーとクーシーが僕達の正面に姿を現した。

 

ケットシー「ううん。大正解だよ〜!!」

コメコメ達『ケットシーさんとクーシーさんコメ(パム)(メン)!』

ケットシー「ああ、嬉しいな〜!僕が猫だって分かったのは、君達が初めてだよ〜!!君達は、何て素敵な子供なんだ!君達こそ僕が求めていた純粋な心の持ち主だよ〜!!」

クーシー「ケットシーが猫だって分かったのは、ごく稀だからね。それにしても、''神様''はちょっと諧謔(かいぎゃく)すぎるんじゃないかな?青い鳥君」

ジュブリー「鳥は合っとる。僕にはジュブリーって名前が———あ...」

 

偶然にもケットシーに(すく)い上げられたコメちゃんと、クーシーに反発しようとした僕の小腹が()いてしまう。

 

ケットシー「...お腹空いてるの?じゃあ、御馳走(ごちそう)を作らなくちゃ。さぁ、クッキングを始めよう!」

クーシー「早速だけど、君達の持ってるドリーミアリングを(かざ)してくれるかな?」

ジュニラム『チョット待ッテ!僕ハ機械ダカラ、オ子様ランチナンテ食ベナイヨ!?』

 

ラム君は元々財団Xによって作られた対ディケイド専用兵器。

父親であるオリジナルのゴウラムと同様に鉄を吸収しないと体形を維持出来ないため、人間の食べ物を口にする事は不可能だ。

だが、それを(くつがえ)す様にクーシーは紳士的な態度を変えず、落ち着いた表情で即答した。

 

クーシー「大丈夫、君達もちゃんと食べられる様に保証はしておくよ。それじゃあ気を取り直して、ドリーミアリングを翳してもらえるかな?」

『(コメ!)(パム!)(メン!)』

 

気を取り直して僕達が翳したドリーミアリングに旗のついたライス、シチュー、ホットケーキ、タルタルソース付きの骨付きチキン、苺と葡萄(ぶどう)のフルーツサンド、蛸さんウインナー、トマトとブロッコリー、チャーシューラーメン、焼売(シューマイ)、目玉焼き付きのハンバーグ、メロンクリームソーダ、プリン、ナポリタン、お結びなどの食べ物がシャボン玉として投影される。

 

ケットシー「此処はドリーミア。此処は、子供が大好きなお子様ランチが生まれる場所なのさ!」

クーシー「ただ待ってるだけじゃ面白くないからね。音楽でも聴いて気分転換と行こうか」

ケットシー「それじゃあ!」

クーシー「...始めようか」

 

ケットシーとクーシーが軽く手を叩くと、ファンファーレが部屋内に甲高く鳴り響く。

 

ジュブリー「あの結晶は...ぐっ!?」

 

何処からか虹色の光が放たれ、僕は腕を交差させて(さえぎ)る。

目を開けると、再び僕達ライダーマスコット組が人間の姿に変化していた。

 

ジュニラム(人間体)「...あれ?又人間になっちゃった!」

キバーラ(人間体)「一体何処まで謎が深いのよ、このテーマーパーク...」

 

カーテンコールが開くと、回り出した歯車から青いマーチングバンドの衣装を着たドリーミアロボット達が現れる。

左右の六体は喇叭を吹き、中央の五体はドラムを小刻みに鳴らしている。

 

ジュブリー(人間体)「...乗ったるで。ケットシー、クーシー。こう見えてリズムの刻み方は慣れとるからな」

クーシー「言ってくれるじゃない。それじゃあ、僕達の踊りに付いて来れるかい?」

ジュブリー(人間体)「上等や!!」

 

此処は乗るしかないと、僕は二人にリズム対決に挑むのだった————。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Decade side

 

ゆい「何だろう?このリズム...」

ディケイド「意外と好みな曲調だな」

 

ライダーマシンで警備ロボット達から逃げていた俺達の耳に音楽が流れていた。

子供や大人でも楽しめる様な曲調で、強いて言うならばファンファーレに近い。

パイプを抜け出すと、其処ではドリーミアのロボット達が調理を行なっていた。

ナイフとフォークの個体はコンベアに並べられたキャベツを千切りに、ゴムベラとスプーンの個体はピーマンを何度も掬い上げる。

その他にもスープの点検をする個体や、大鍋をかき混ぜる個体。四角いフライパンで厚焼き卵を作っている個体など、個体によっては調理の役割を担う個体が存在していた。

そして完成したであろう料理はパイプラインを泳いでいる。

 

ゆい「何だか、楽しそう...!」

ディケイド「...お前ら!楽しんでる場合じゃないぞ!!」

『!!』

 

何処からか近付いて来る気配に勘付いた俺はゆい達を一喝。

すると警備ロボット達が俺達を挟み撃ちにし、曲に合わせて徐々に此方へと前進していく。

 

ゆい「どうしよう。囲まれちゃった...!」

ディケイド「雄大!冬美!お前らのバイク、少しだけ借りるぞ!」

【カメンライド ドラーイブ!】

【アタックライド トライドロン!】

【アタックライド ライドブースター!】

 

俺はタイプスピードに戻り、アタックライドカードを立て続けに二枚装填する。

ドライブのライダーズクレストを通り抜けたマシンディケイダーは、赤をベースにボンネットとルーフ部分に白いラインが走っているドライブ専用のスーパービークル『トライドロン』。

同じくライダーズクレストを通り抜けたライドチェイサー2000とマシンキバーラは赤と青のレーシングカー『ライドブースター レッド』、『ライドブースター ブルー』に変化した。

ライドブースターの後部に配置された超高出力のブースター『ツインパルスブースター』をトライドロン後部の前輪に接続。『ブースタートライドロン』となる。

 

ディケイド「無駄話は後だ。ギュウギュウ詰めにしてでも此処を離れるぞ!」

冬美「そんな事より、あんた運転大丈夫なの!?」

ディケイド「安心しろ。こんな事もあろうかと、運転免許は取ってある...期限はとっくに切れてるけどな」

 

レグレットを助手席に、雄大と冬美はライドブースターの運転シート『ライドオンシート』に搭乗させる。

このシートはマグネットフィールドを形成する事でシートベルトの様に搭乗者を固定させる機能を持ち、立ち乗りの際は脚部を磁力で固定するから振り落とされる心配はない。

搭載された飛行ユニット『ヴォルテックスフローター』で超高速回転するファンで稼働エネルギーを送り込み、車体下部に向けて強力なエネルギーの渦を発生でトライドロンを宙に浮かせる。

ゆい達を後ろの席に乗せようとしたが、ブラックペッパーがターザンの要領で現れ、フィナーレごとゆい達を持ち上げた。

 

ゆい「ブラペ!?どうして此処に...!?」

ブラックペッパー「君達とは初対面の(はず)だが?」

 

話をはぐらかしているブラックペッパーはさて置き、俺達はパイプラインの方へ避難した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Jubulee side

 

ケットシー「最後の仕上げだよ〜!」

 

ケットシーが二回叩く。

天井の光が消えると、テーブルの一部がカメラレンズの様に開き、中からお子様ランチが出て来る。

僕とクーシーは息が切れ切れになり、お互いのダンスパフォーマンスを認め合う。

 

クーシー「...やるじゃないか」

ジュブリー(人間体)「お前もな...!」

ケットシー「二人共、キレの良いダンスだったよ〜。丁度お子様ランチが完成したところだよ〜!」

 

コメちゃんと僕は旗の付いたお結びをベースにした和風のお子様ランチ。フライドポテト、エビフライ、コーンと枝豆、胡瓜(きゅうり)とミニトマトを乗せたレタス、目玉焼きと星形の人参がおかずとして盛り付けられている。

おパムちゃんとキバーラちゃんはキャベツとウインナーを挟んだホットドッグとフルーツサンドをベースにした洋風のお子様ランチで、おかずはフライドポテトに、レタスとレモンを乗っけた唐揚げ。最後の方は枝豆とトマトのサラダかな?

メン君とラム君はナポリタンをベースにした中華風のお子様ランチで、おかずは皿に乗っけたミニトマトと斜めに切った胡瓜。肉まんや饅頭(まんじゅう)、ピーマンと赤ピーマンでトッピングした酢物で、デザートは杏仁(あんにん)豆腐となっている。

 

コメコメ「コ、コメコメも...」

 

拓海君が言っていた事を思い出したのか、コメちゃんはお子様ランチを食べるのを躊躇(ためら)ってしまう。

 

クーシー「さぁ、Bon appétit(召し上がれ)...」

「「「「いただきます(パム)(メン)!」」」」

 

おパムちゃんとメン君がお子様ランチのおかずを次々と口に運び、ラム君とキバーラちゃんはレストランの観客の様に一個ずつ味わって食べている。

特に機械の体を持つラム君にとっては人間の食べ物を生まれて初めて口にした事の感動を与えていた。

甘味、辛味、苦味、酸味の四フレーズが舌で踊り出し、今まで吸収してきた鉄とは比較的に美味を生み出す。

 

メンメン「とっても美味しいメン!」

ジュニラム(人間体)「人間の食べ物って、こんなに美味しい物だったんだ...!」

キバーラ(人間体)「意外といけるわね。一体どういう味付けしてるのかしら...?」

パムパム「ジュブリーとコメコメも早く食べるパム!」

ケットシー「さぁ、遠慮なく」

 

ケットシーの勧誘に僕の心が少しだけ揺らぐ。

この二人に混じり気な感情があるけど、純粋な心がある事だけは確かだ。

 

コメコメ「じゃあ、ちょっとだけコメ」

ジュブリー(人間体)「...いただきます」

 

コメちゃんはおにぎりの一欠片を。僕は八当分に切ったビーフステーキの一欠片を口に運ぶ。

瞬時に僕の舌を通じて脳に閃光が走る。

 

ジュブリー「......」

ケットシー「どうかな?」

クーシー「お気に召したかい?青い鳥君」

 

俯いた僕を見て、クーシーは感想を求める。

そんなのステーキを口に入れた時から回答は出とる。これは...これはッ...!!

 

ジュブリー「う...!う...!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

美味あああああああああああああああああああああああああああいッッッッッ!!!!」

コメコメ「コメ〜!」

 

ほかほかハートが数倍にも上がる程に(あふ)れ出し、僕とコメちゃんは次々とお子様ランチに手を出す。

瞬時にお子様ランチのレシピッピが通り過ぎた様な気がしたけど、無我夢中に食べる事に集中していた僕達はどうでもよかった。

摩擦(まさつ)と金属音が鳴ると僕達は我に返り、気付けばお子様ランチを完食していた。

 

ジュブリー(人間体)「...しまった!」

コメコメ「全部食べちゃったコメ〜!!」

 

お子様ランチを完食してしまったコメちゃんは、プレートを引いてお子様ランチを食べてしまった事に嘆く。

 

コメコメ「お子様ランチなんて食べてたら、コメコメはずっとお子様コメ!」

ケットシー「...良いんだよ」

コメコメ「...コメ?」

ケットシー「食べたって良いんだよ」

 

ケットシーがコメちゃんの頭を優しく撫でながら励ます。

お子様ランチを食べるのに年齢なんて大差はないし、好きな人は食べても問題ない。

コメちゃんは少し心が(やわ)らいだのか、真剣な表情で自分の目標を打ち明ける。

 

コメコメ「...でも、コメコメは早くおっきくなって、なりたいものが...あるコメ!」

ジュブリー(人間体)「...僕も誕生して間もないバグスターやけど...それでも、その背中を追い越したい人がおる。その背中は宇宙に行っても届かないくらいに」

 

ケットシーが静かな笑みを浮かべると、室内に菱形(ひしがた)の立体映像が投影される。

 

クーシー「...そうか、君達には素敵な夢があるんだね。(かつ)ての僕が可愛がっていた二人の弟分の面影が重なって見えるよ」

ジュブリー(人間体)「...あんたも、過去に何かあったんか?」

クーシー「うん、ちょっとね」

ケットシー「今の純粋な気持ちを捨てたりしないで。お子様ランチにワクワク出来る純粋な子供の心は、君達にとってとても大切な物なんだ。若しその気持ちが消えてしまったら————」

 

立体映像が途絶え、ケットシーは全身を脱力させる。

だが、その前向きな振る舞いは一切崩さなかった。

 

ケットシー 「————僕達の世界は、悲しい闇の中に閉ざされてしまう。でも、大丈夫...今の君達のままで。諦めなければ、夢は叶えられるんだよ!」

コメコメ「ホントコメ!?」

ジュブリー(人間体)「『諦めなければ、夢は叶う』...」

 

二杯目のお子様ランチが出て来ると、スポットライトが僕達に当てられる。

 

ケットシー「さぁ、だから好きなだけお子様ランチを食べていいんだよ〜!君達の素敵な夢の為にも!」

 

二杯目のお子様ランチを堪能している中、僕は二人の内緒話を耳にする。

それは決して聞いてはいけない裏での計画が密かに行われようとしていた。

 

クーシー「...ケットシー。例の計画はまだ実行しないのかい?」

ケットシー「心配いりませんよ。犬養(いぬかい)さん、唯一信頼出来る大人は貴方だけだ。悲しいけど、そんな子供達の夢を壊そうとする奴が居る。だから僕達が、そんな奴等からこの子達を...子供達を守ってみせる」

 

『犬養』とクーシーを本名で呼ぶケットシー。

自らが語る『子供達の夢を壊そうとする奴』、それは間違いなく大人である可能性が大だ。

大人がドリーミアに入れない理由を僕は鵜呑(うの)みにしてしまった。

何故彼らが大人を嫌うのか。これから知られるであろう境遇を、僕は一旦頭から離してお子様ランチを堪能した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Sakuya side

 

警備ロボット達の行進から逃げ切り、くたびれたフィナーレはかいちょの姿に戻る。

俺達も変身を解除し、オーロラカーテンで専用ライダーマシンを元の位置にあった場所に瞬間移動させた。

 

ブラックペッパー「此処なら一先ず、安全そうだ」

ゆい「マリちゃんはコメコメ達は、大丈夫かな...?」

咲夜「心配すんな。コメコメ達はきっとこの何処かにいる筈だ。だが問題は、あの巨大ロボットに吸い込まれたローズマリーが何処に居るかだな」

冬美「...ねぇ、ちょっとこれ見て!」

 

冬美が目撃したのは、透明なパイプラインに着いたコメコメの全身の跡やジュブリーの羽が数枚突き刺さっていた。

 

ゆい「これって...コメコメの跡だ!」

雄大「あっちには、ジュブリーの羽があるぞ!」

透冀「この奥に吸い込まれて行った可能性が高い。行ってみる価値はありそうだね」

ブラックペッパー「縫いぐるみになった方は、私が探しておく」

咲夜「ああ。頼んだぞ、ブラックペッパー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブラックペッパーにローズマリーの行方を任せ、俺達はコメコメとジュブリーの痕跡(こんせき)を頼りに通路を真っ直ぐ進むと、奇妙な大部屋に行き着く。

縫い目の一部が(ほど)けて綿がはみ出ている動物の縫いぐるみやアルファベットが書かれたブロックなどの玩具(おもちゃ)が等身大で沢山(たくさん)配置され、子供の絵が余光を発しながら壁面に描かれている。

 

雄大「此処は一体...?」

透冀「玩具に、落書きだらけだ...」

冬美「何だか、大きな子供部屋みたいで不気味な感じがする」

 

俺達はとある絵を見て立ち止まる。

その壁面にはお子様ランチが大きく描かれていた。

 

ゆい「此処にもお子様ランチの絵がある...!」

らん「ケットシーかクーシーが書いたのかな?」

ここね「お子様ランチ、好きなのかも...」

 

ゆいは何かを思い出したのか、数歩お子様ランチの絵に歩み寄る。

 

ゆい「...これ、何処かで見た気がする」

咲夜「見た事があるのか?」

ゆい「うん。覚えてないんだけど、何処かで...」

 

ゆいは壁面に描かれた絵を見る。その絵は明らかにケットシー達の過去を物語っていた。

二人の巨人に迫られる小人を守ろうとしている謎の生物。

その左側には宝石らしきものを見つける二人の科学者。左側には一人の子供が手を繋いでいる様にも見える。

その前の絵は何処かの家に訪れる少年。その外見はゆいの実家であるなごみ亭に類似し、注目すべき点はお子様ランチのライスに刺さった旗に描かれた動物の絵。

熊にも見えるが、顔の中央の出っ張りは園長であるケットシーを連想とさせていた。

 

ゆい「若しかして...!」

 

何かを思い出したのか、表情を(けわ)しくするゆい。

歩を進めようとした俺の足元にクシャっと何かを潰した音が鳴る。直ぐに退()かした足で踏んでしまった物を目視すると、其処にはさっき踏んだ影響で(しわ)が入っているひしゃげた紙くずだった。

 

咲夜「こんなところに紙くずか?捨てる前にどんな内容か見てみるか」

 

室内の周辺を見渡し、俺は見境(みさかい)もなく紙くずを広げた。

広げた瞬間、紙くずに記載された内容に俺は絶句する。

『被験体4531 吉木燦憲(アキノリ)』と、衝撃の事実に体が顫動(せんどう)する程の内容が記載されていた。

 

透冀「...アキノリ?何見てるの————ッ!これって...!?」

 

俺の立ち竦む様子に憂慮(ゆうりょ)したレグレットは歩み寄り、俺の見ていた資料の内容に愕然(がくぜん)とする。

 

冬美「レグレット...?」

雄大「何か見つけたのか?」

透冀「...ちょっと見せて!」

 

突発的に資料を取り上げたレグレットは、資料の内容を黙読し終えると両腕を脱力。

険しい表情で(くちびる)を噛んだ。

 

透冀「...間違いない。これは財団Xの資料だ」

雄大「財団Xだって!?」

咲夜「財団Xたって...セカンドロイミュードは元々、ソルトルーがあいつらの意思に反してまで人間社会に役立つためだけに作られたんだろ?何で俺の名前が...!?」

 

セカンドロイミュードを作ったソルトルー...塩谷祐平が人々の社会をサポートするためを目的として作られる予定だったが、その善行が財団内で露見。

『裏切り者』と断定したメンバーによって、オーロラカーテンシステムで追放されてしまった。

 

透冀「雄大と冬美も知ってると思うけど、アキノリの転生前の記憶を唯一知っているのは僕だけだ。でも、その記憶は元々消されたんじゃなくて、僕に移された後に消されたんだ(・・・・・・・・・・・・・・)

雄大「記憶を移された後に...消された!?」

冬美「...レグレット。あんたとアキノリの間に...財団Xで何があったの?」

 

冬美に俺達の事情を(たず)ねられたレグレットは爪痕(つめあと)が出来るくらいに拳を握る。

自分が朽ち果てるまで掩蔽(えんぺい)する筈だったと、 苦虫を潰す様な表情が物語っていた。

 

透冀「本来なら墓場まで持って行くつもりだった。言っても酷だって分かってたから...でもこうなってしまった以上、全てを語らざるを得ない。僕とアキノリが財団X内で何があったのか...それを今話す時が来た。アキノリ、君はリムル達の世界に至るまで、正式な転生者じゃない。君は————

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

財団Xによって強制的に転送させられた『肉体が実体化しただけの''魂''』だ

 

俺の消された記憶が、破壊者の本当の秘密が明かされる。

それは余りにも壮絶で残酷な出来事だった。

 

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