デリシャスパーティ♡プリキュア ~破壊者の食べ歩き~   作:ライノア

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【警告】このエピソードには戦争及びグロテスクな描写が大きく含まれています。苦手な方はご注意下さい。





映画編 その3:明かされる破壊者の秘密...咲夜の失った記憶!前編

Juburee side

 

ライダーマスコット組「「「ご馳走様でした!」」」

パムパム「お腹いっぱい、おかわりしたパム...」

メンメン「もう入らないメン...」

コメコメ「コメー...」

 

コメちゃん達は数十倍にも膨れ上がる程にお腹をパンパンにし、僕達ライダーマスコット組は満腹中枢(ちゅうすい)になって腹を優しく(さす)る。

その微笑ましい様子を見守っていたケットシーとクーシーに、おパムちゃんが(たず)ねる。

 

パムパム「ケットシーさんとクーシーさんはお子様ランチ食べないパム?」

ケットシー「...僕達はいいよ。そんな資格ないから」

コメコメ「コメ...?」

ジュブリー「....ねぇ、一応聞くけど「メンメン!」!」

 

コメちゃんは小さく疑問の声を漏らし、僕はケットシーがお子様ランチを食べない理由を聞こうとした。

すると背後からドアが自動的に開き、聞き覚えのある声が僕達の耳に入る。

 

ジュブリー「さくぽん!皆!」

ゆい「コメコメ!」

ここね「パムパム!」

 

テーブルを数回バウンドして元の体型に戻ったコメちゃん達は、スポットライトの様に照明されたさくぽん達のところへ駆け出す。

それはラム君とキバーラちゃんも同じだった。僕も警戒心を(おこた)らずに内心でさくぽん達との再会を喜んだ。

 

ケットシー「ん?若しかして、さっき(はぐ)れちゃった子達〜?」

クーシー「探す手間が省けたなら、まさに慶賀(けいが)(こら)えないね」

 

ゆいちゃんは少しだけ一歩前に出ながら、真剣な眼差しで二人の名前を尋ねる。

 

ゆい「...ケットシーさんと、クーシーさんだよね?」

クーシー「それがどうかしたかい?」

らん「友達のマリッペが人が()いぐるみにされて、謎の巨大ロボットに連れて行かれちゃったの!」

ここね「探すのを手伝ってほしいんです!」

ケットシー「若しかして、そのお友達って...大人?」

 

食事に夢中になってマリちゃんが縫いぐるみになっていた事を思い出す僕達。

ケットシーは初めてのハワイ旅行気分で足を組みながら呑気な振る舞いを崩さずにいたが、大人のフレーズでトーンを少し低くして首を傾げる。

 

あまね「...そうだが?」

ケットシー「そんな事より!上の楽しいテーマパークに戻してあげるから、もっとドリーミアで遊んでよ〜!」

 

あまねちゃんの圧のある問い返しにケットシーは話を脱線させ、背後にある自分の画が(しょうぞう)画がドリーミア全体の映像として映し出し、僕達を元の位置に戻す様に宣言する。

だが、それに対してさくぽんは呆れ気味にに皺(みけん)(しわ)を寄せて軽く問い詰めた。

 

咲夜「勝手に話を脱線させるなよ...友人の類に『大人』なんて関係ない。今お前らの正面に居る全員が目撃者だ。生憎だが俺達は仲間一人でも、この馬鹿げた思想の楽園に放浪させるつもりは一切ないぞ」

 

説教混じりに断言されて(しお)れるケットシーはテーブルに上半身をうつ伏せに倒して愚痴を(こぼ)し、クーシーは計画の一部を打ち明ける。

 

ケットシー「いきなり出会って即説教?ああ、もう。うるさいなぁ...」

クーシー「探すのを手伝えと言われて探す人なんてそうそう居ないよ。何せ僕達があのロボット達に命じたんだ...『大人は皆、縫いぐるみにしろ』とね」

咲夜「何だと...『大人接近、大人接近』!?」

 

背後の肖像画がドリーミアの出入り口を映し、ケットシーの左右には水色のパネルらしきものが投影される。

其処にはドリーミアに来ていた子供の親とされる大人の人達が通路を塞ぐ警備ロボット達に抗議していた。

 

親A『ドリーミアに行った子供と連絡が付かないんです!』

親B『家もです!』

親C『どうなってるんだ!?』

 

ケットシーは視線を戻し、クーシーはさっき話していた事を実行しようとしていた。

 

クーシー「...そろそろ審判の時だ」

透冀「''審判''?」

ジュブリー「審判って、さっきの内緒話の事?」

 

僕の問い掛けに、小さなシルクハットの角度を直したケットシーは優しく問い返す。

その声色には一切の敵意を感じなかったが、大人に対する静寂な悪意が自然と滲み出ていた。

 

ケットシー「...どうやら青い鳥君には、僕達の話を聞かれちゃったか。でも安心して、僕達はいつだって子供達の味方だよ。君達には僕みたいになってほしくないだけさ。だから...」

クーシー「純粋な夢を邪魔されない世界をゼロから再構築する。その為には、大人が一番邪魔なんだ」

 

さくぽん達を照明していたスポットライトが消える。

正面に投影された三つの丸い画面に映っていたのは、必死に講義を続ける大人や、扉を突破しようと警備ロボットに抑えられる大人。

案内ロボットと警備ロボットの目が一斉に赤く光り、放たれた虹色の光で大人達全員が縫いぐるみの姿に変えられてしまった。

 

ケットシー「アハハハハハッ!これで(また)純粋な存在に戻った大人が増えたよ!!」

咲夜「ッ!テメェら!!」

ゆい「何をしようとしてるの!?」

 

怒号を上げるさくぽんと動揺の声を上げるゆいちゃんをクーシーは宥めると、ケットシーが例の計画を語り出す。

 

クーシー「一旦冷静になって?どうやら君達には、僕達の計画を話さなければならない様だ」

雄大「計画だって?」

ケットシー「世界を変えるのさ!」

 

ケットシーが立て続けに計画の内容を話すがてら、両手にテーブルを強く叩く。

 

ケットシー「悪戯(いたずら)に人の心を踏み(にじ)る汚い大人の心を浄化して!子供の時の純粋な思いのまま!生きていける世界を創るんだ!!」

クーシー「縫いぐるみになった大人達は徐々に記憶を無くし、最終的に精神は赤ん坊同然となる」

らん「マリっぺ!!」

 

マリちゃんを含め、これまでケットシー達が縫いぐるみにしてきた大人達の映像に差し替えられる。

 

ケットシー「僕達が手にした石の力を使えば、おいしーなタウンの大人を全員縫いぐるみにする事が出来(でき)ちゃう...!」

冬美「そんな計画...はっきり言って、狂ってる!」

クーシー「何とでも言うがいいさ。創造の前に破壊は有益、これはどの世界にでも必然的な事だよ」

 

冬美ちゃんが断固否定するも、クーシーは冷静に反論する。

 

ゆい「...何があったの?」

ケットシー「...ん?」

 

顎を引いていたゆいちゃんが顔を上げて事情を聞き出し、ケットシーは翳していた手を止めて視線を向ける。

 

ゆい「あたし達、会った事あるよね?」

咲夜「俺もだ。今の自分でも覚えてはいないが、そんな気がする。だが、レグレットの話の一部始終を聞いて...やっと思い出した」

らん「ゆいぴょん、アキぽん...?」

ゆい「覚えてるよ。その、『猫』。あたしが描いた『猫』だもん」

咲夜「その段ボールで作られた太陽のペンダント、あれは俺とレグレットが『あんた達』に関する記憶を消される前に渡したプレゼントだ」

 

ゆいちゃんがケットシー達と面識があった事、さくぽんは首に掛けている太陽のペンダントは透冀おじちゃんと一緒に作ったプレゼントだと打ち明け、二人は目を見開く。

 

ケットシー「あの時の君なのか...!?」

クーシー「何故その事を知っている?まさか、君はアキノリ...それにそっちの方はレグレットなのかい......!?」

咲夜「ああ、そうだぜ『兄貴』。あんたの可愛い弟分、吉木燦憲とレグレットだ」

透冀「あの資料を見て、やっと貴方に関する記憶が戻ったよ。又会えたね『ヨウ兄』」

 

ケットシーの愕然の問い掛けにゆいちゃんは優しく(うなず)き、さくぽんと透冀おじちゃんはクーシーを『兄』と呼んだ。

目の前に立っていた少女がゆいちゃんだと気付いたケットシーは項垂(うなだ)れる。

 

ジュニラム『''ヨウ兄''?』

ジュブリー「どういう事なの、さくぽん?」

咲夜「『犬養ヨウタ』。財団X内で一人になった俺を介抱(かいほう)してくれた...兄的存在だ」

ジュニラム『''財団X''ッテ...!』

ジュブリー「それって、透冀おじちゃんやラム君が生まれた悪の組織の事だよね...?」

 

財団Xの単語に驚愕(きょうがく)しながらも僕は尋ねる。

その眼差(まなざ)しには嫌われる覚悟で打ち明かすという信念が宿っていた。

 

咲夜「...ジュニラム、キバーラ、そしてジュブリー。これはお前らにとって酷な内容かもしれない。それでも聞くか?」

 

さくぽんは真剣な表情で僕達に目を向けて問い掛ける。

例え自分の過去に衝撃を受けても受け入れる覚悟があるのかを。僕達の答えはもうとっくに決まっていた。

 

ジュブリー「...勿論、どんな過去でも僕は受け入れるよ!」

ジュニラム『僕モ!』

キバーラ「あたしも、問題ないわ」

 

僕達の覚悟を受け取ったさくぽんはまるで憑物が落ちたかの様に大きく息を吐き、自身の過去を話す。

 

咲夜「そうか...分かった。其処まで俺の過去を受け入れる自信があるんだな?だったら今更躊躇(ためら)う必要はない。これから語り始めるのは、転生者の肩書きを背負わされた(かつ)ての『少年』————

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

吉木燦憲の真実の物語だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Sakuya side

俺は退屈な事は嫌いだった。いつも通りの毎日が気に食わなかった。

生まれた時から、生まれた後も、成人になっても心の中で無意識に思うことも何度かあった。

パチンコで多額の借金を叩き出した挙句の果てに裁判で離婚した父親、C型肝炎に掛かった祖母と口論する短気で金にがめつい祖父、中1から育児放棄どころか碌に物の断捨離が出来ない母親。

話が合う友人が出来ても、俺の心は晴れないばかりだった。

俺は身勝手なエゴイスト(臆病者)だった。知的障がいの同級生が(いじ)められている姿をただ傍観している事しか出来なかった。その時の俺は自分が虐めに巻き込まれるのが怖かったんだと肌で実感した。

足が(すく)んでるばかりの惨めな人生を送っている自分が嫌だった。今直ぐにでも深い溝に突き落としたかった。皆と同じ裕福な家庭に生まれれば良かった。

俺は何も出来なかった。友人を救えなかった。勇気を出せなかった。逃げてばかりだった。自分の事ばかりだった。

若し、願うなら...若し、俺の願いが叶うとするなら————

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

咲夜(過去)『いっその事全ての記憶を無くして、色んな世界を巡りたいなぁ...』

 

叶わないと理解した上で吐いた呟きと共に、俺は目を閉じた。

目を閉じてどれ程の時間が経過したのか、服を着ている感じがしない。

目を開けると謎の液体が口を塞ぎ込む。培養ポッドの液体の中で踠き苦しむ俺に構わず、白いスーツの中性の男性は称賛する。

 

研究員『素晴らしい。これは初の生存者に違いない...』

 

そう言って男はポッドの液体を抽出し、俺と会話をすべく眼鏡を掛けている20代半くらいの研究員は闊歩(かっぽ)する。

液体が全て取り除かれ、()き込む俺は研究員と目を合わせる。

 

咲夜(過去)『此処は...何処だ?』

研究員『此処は財団Xの研究施設です。どの世界でも弱肉強食は必然、弱者は血肉と化し、強者はその肉を喰らう...我々は古来より強力な兵器を製造、裏で各国に売り捌(さば)き戦争を激化させる。そうやって利益を得る者はどの世界にもあるものです』

 

野生動物の例えで言いくるめようとした研究員は俺が反抗する意志を見抜いていたかの様に、とある物を取り出した。

左右には赤・青・緑の宝玉が埋め込まれているバックル、中央に赤いレンズが埋め込まれている白いカメラの様なドライバーだった。

 

研究員『これはディケイドライバーと()って、怒りや嫉妬と云った装着者が溜め込んだ負の感情をエネルギーに変換させる所謂感情制御装置です。貴方は家族の口論でよくストレスを溜め込み易い傾向にある。果たして限界まで溜め込んだ負のエネルギーが全て解き放たれたら、世界はどの様に変わり果てるのか...』

咲夜(過去)『家族との口論?何の事だ?』

研究員『その様子だと、君は生前の記憶がない様ですね。ならばその証拠を見せてあげましょう』

 

疑問を漏らす俺の答えに応じる様に研究員が指を鳴らすと、シルバースクリーンを照射した光から棺桶(かんおけ)の中に居た俺を囲む人達が(むせ)び泣く映像が映し出される。

 

咲夜(過去)『何だよこれ...!何で俺が棺桶の中に居るんだ!?俺を囲んで咽び泣いてる人達は誰だ!?一体何が起こってるんだよ!?』

研究員『彼らは君の親族ですよ。どうやら君の記憶は、|蛻(もぬ)けの殻に留まってしまった様だ』

咲夜(過去)『蛻けの殻...?』

研究員『ああ。今の貴方は所謂(いわゆる)、肉体が実体化しただけの幽霊と云ったところか?』

 

理解が全く追いつかなかった俺は、研究員の胸ぐらを掴み掛かって元の体に戻すよう命じる。

 

咲夜(過去)『ふざけるな...早く俺を元の体に戻せ!!』

研究員『もう遅い...貴方の肉体の心臓は既に停止している、血管は詰まっている。貴方は既に我々財団Xの一員です』

咲夜(過去)『何が一員だ!そんな事するくらいなら俺は...!!うっ!?ぐっ!がああああああッ!!!!』

 

研究員に腰に当てられたドライバーから電流が全身に流される俺は掴んでいた手を離し、そのまま呆気なく膝を突いた。

 

研究員『初対面の私に対して、身の程を(わきま)えない...途方もない頭の悪さだ。このディケイドライバーと呼ばれるベルトには、装着者が我々に反逆しない様にセーフティロック機能も搭載されている...外そうとしても無駄な努力だ』

 

電流で全身にダメージを負った俺の背後に、自動ドアから財団Xの構成員が二人現れる。

 

研究員『彼は例の実験で唯一の成功者です。連れて行きなさい』

『『はっ!』』

 

研究員の命令で俺の体を立ち上がらせた構成員二人に、俺は何処かへ連行された。

俺が連れて行かれた室内には、冷徹な目で睥睨する構成員達が並び立っていた。

無言で構成員二人に押し出された俺が中央に居た構成員の前に立たされる。

構成員達のリーダーと思わしき屈強な男は、率直(そっちょく)に俺に問い掛けた。

 

???『お前が被験体4531だな?』

咲夜『''4531''...それが俺の名前なのか?』

???『そうだ。正確に言えばあの実験で転送された者の番号だがな。お前は仮面ライダーが空想だった世界から転送した魂の一人...これまで転送された者達の魂は最初は維持出来たが、肉体が実体化出来たのはごく稀でな。その中でお前は唯一の成功者という訳だ』

 

此処の構成員達のリーダー『バロス』の説明によると、俺は仮面ライダーが空想の存在だった世界から転送した魂の一人で、これまで転送してきた魂は肉体を維持出来たのはごく稀。

俺はその中で唯一の成功者で、さっき研究員に付けられたディケイドライバーを使える素質があるという事だ。

 

バロス『これから貴様を我々の様な強靭(きょうじん)な肉体を身に付ける。相応の覚悟をしておく事だ!4531!!』

 

其処から俺は構成員達による特訓の日々は、まさにスパルタとも言える地獄だった。

組み手ではディケイドの力を使おうとしても数人で掛かって来るため、初変身の余裕すらなかった。

当時の俺の精神は今でも壊れかけてはいたが、それでも負け時と戦闘経験を(みが)いていった。

戦闘経験を磨いていく度に俺はメンバーから徐々に認められていき、休憩時間を10分だけ与えられた。他の構成員達の約三分の一だが、俺が休めるのには十分な時間帯だった。

そんなある日ブリーフィングでは、俺を転送させた張本人の科学者『カルコル』も同席していた。

今回はそんな俺に重要な試練が与えられる。

その内容は独裁国家の殲滅(せんめつ)だった。

 

カルコル『...先ず私から前提として説明しましょう。これは両部隊が合意した全独裁国家に対する同時襲撃作戦です。目標は敵方が保有する武器や兵器の奪取及び————』

バロス『此処からが本題だ!要するに国内各地での総力戦を行う。貴様らは貧乏(くじ)を引いた!此処に居る面々がアサインされたのは、各国の命知らず共の魂と悪意を分割してでの回収だ!』

 

カルコルの長ったらしい説明に割って出たバロスは全メンバーに分かり易く堂々と説明する。

 

咲夜(過去)『ちょっと待ってくれ。独裁国家って...中には拉致された人達が沢山(たくさん)居る。何も拉致された人まで巻き込まなくても————!』

カルコル『さっきも言いましたが、我々の任務は貴方の世界の猿共の魂と悪意の分担回収です。他の奴等の命など、微塵(みじん)の欠片もない』

 

淡々と説明された内容に違和感を覚えた俺は少しだけ躊躇(ためら)いを吐くが、カルコルに呆気なく否定されてしまう。

独裁国家の中には日本を含めた各国の人々が奴隷として大勢拉致されている。

だが、バロスはそんな事は承知の上で冷徹な視線を向けながら俺の理論を吐き捨てて説明を続ける。

 

カルコル『私は部隊の現場監督として出ましょう。魂の寄せ集めには統率が必要です...4531の転生前の世界では未だに他国内での戦争や反乱が続いていると聞きます。武器がなければ何も出来ない猿共の魂と悪意の二つに分担して回収するのは容易(たやす)い事です』

 

バロスの命令でカルコル部隊の構成員達は早速魂の回収に取り掛かった。

俺はバロスに計画の内容を(いぶか)しみながら問い掛ける。

 

咲夜『''魂を集めるって''、お前らの目的は一体...!?』

カルコル『そういえば、雛鳥(ひなどり)以下の貴方にはまだ言っていませんでしたね。我々の目的は財団Xの復興です。その為には多くの原料を必要としている...その中では我々が成そうとしている一つの計画『次世代型ロイミュード''セカンドロイミュード』の開発にも大きく関連しています』

咲夜『''セカンド、ロイミュード''...?』

 

その目的は財団Xの完全復興...というよりかはセカンド・ロイミュードを作り出し、俺達人間と共生する社会にする事である。

二人で一人の仮面ライダーWがミュージアムのエージェントを務めていた加頭順の死亡に伴い、ガイアメモリと風都から完全に手を退く事を決断。組織は今でも半壊状態となっていた。

カルコルにとっては加頭順は心から尊敬すべき存在で、彼の死を知った時は本気で悲しんでいた。

発言からして、自身の怨敵であるダブル含めた全ての仮面ライダーを駆逐(くちく)しようとしていた為、ある意味でセカンドロイミュードと人間の共生は(もっぱ)ら考えていない様にも聞こえた。この計画に関しては成る可く警戒はしておこう。

 

バロス『4531。カルコルから話は聞いていたな?今の説明を分かり易く言うぞ。敵国の制圧により、連中が泣いて()びる損害を与える。貴様はその下、うちの役立たずに付けられた安いおまけだ。役立たず共、各自準備を始めろ。愉快(ゆかい)な遠足の始まりだッ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

財団Xのタイムマジーンという可変式エアバイク型のタイムマシンでカルコル部隊は悪人の魂を回収すべく、それぞれの過去へとタイムスリップする。

俺達バロス部隊が向かったのは西暦2022年2月24日。

全身に黒いフードを覆い、バロスと共に同行していた俺に出来る事は侵攻するタイミングを待つのみだった。

それと同時に他の部隊達は身を隠しながらも、侵攻するタイミングを見計らっていた。

そんな中、ブルドーザーの様な音が鼓膜を(つんざ)く程に響く。国旗がペイントされた戦車のキャタピラが地面を踏み鳴らし、十人くらいの軍兵が機関銃を持って侵攻していく。

これから戦争が勃発するというのに、日本人である俺達が逆に襲撃するという事は顔を大体的に報道され、いずれは日本にも兵器の力に(おびや)かされる可能性が俺の脳内に示唆(しさ)される。

野生動物の世界で例えられている『喰うか喰われるか』。

強者が弱者の肉を喰らい、弱者は強者に肉を平らげられるのと同じ様に俺達(人間)は他者を利用するのにも手段は選ばず、自身の掲げる正義の為ならば何処までも残酷になれる生物だ。

これからこの国が地獄と化す事も知らずに戦車と兵士達が徐々に進行していく。

 

兵士『おい、其処の貴様ら!こんなところで何をやっている!?』

 

だがそんな最中、一人の兵士が俺達を不審に思ったのか、仲間との距離を開けて俺達に銃を向けて近接してくる。

 

バロス『...そろそろ頃合いだな。4531、直ぐに戦闘態勢に入れ』

 

だが、そんな事もお構いなしに小さく呟いたバロスは即座にマントで視界を覆わせてから拳銃を抜き、兵士の顳顬(みけん)を撃ち抜く。

 

軍兵A『敵襲だ!撃て!!』

 

仲間が銃撃で倒れたのを目撃した軍兵は銃口から弾丸の雨を一斉に吐き出す。

バロスは余裕そうな表情で口角を上げながら手を(かざ)すと、モノクロカラーのオーロラが出現。

モノクロのオーロラはまるで壁の様に俺とバロスを守り、弾切れになると今度は取り出したアーミーナイフで切り掛かる。

 

バロス『接近戦か、良いだろう。(まと)めて相手をしてやる!』

 

サバイバルナイフを取り出したバロスは人間離れな脚力で一気に距離を詰め、一人の兵士の喉を盛大に掻っ(さば)く。

喉を掻っ切られ、血飛沫(しぶき)が飛び散る直前に兵士の全身を回転。返り血を浴びせて他の兵士達の視界を塞がせる。

瞬時に左手で素早くハンドガンを抜き、的確に兵士達の眉間(みけん)を撃ち抜いていく。

次々と兵士の命を刈り取りながら、バロスは傍観していた俺を叱咤(しった)する様に命令する。

 

バロス『4531!何を突っ立っている!?お前は我輩の援護に集中しろ!』

咲夜(過去)『でも、バロス......!』

バロス『私情を挟む余裕があるなら手を動かせ!それともこの作戦が失敗して、今直ぐにでもクビになりたいか!!?』

咲夜(過去)『ッ!......!!』

 

銃剣による突きを紙一重(ひとえ)に避ける。ゼロ距離からの銃撃と剣先による突きの合わせ技でサバイバルナイフで受け切るしか他にないが、いずれは音速に飛び続ける銃弾に耐え切れず、サバイバルナイフの刃先は完全に折れてしまうだろう。

竦んだ足がそう簡単に動いてはくれない。戦争で20歳になれず戦死してしまった日本兵達の気持ちを今此処で体感してしまったからだ。

だがこのまま行動を起こさなければバロスは数の暴力で追い詰められ、無惨に殺されてしまう。

全身を震わせながらも覚悟を決めた俺は、ライドブッカーのグリップを45度曲げてトリガーを弾く。

銃口からマゼンタのエネルギー弾が吐き出され、避けられた銃剣の向きを少しずらして引き金を弾く直前の兵士の頭を撃ち抜いた。

初めて人を殺した感触に本当は誰も殺したくなかった気持ちを無理やり突き動かされた衝動で押し殺してしまった。一人の人間の命を奪ったからには、もう後戻りは出来ない。

 

咲夜(過去)『()るしか、ないのかッ...!!』

バロス『...それでいい。それでこそ我々と鍛えた甲斐(かい)があったな』

 

竦んでいた足を無理にでも前進させながら、ライドブッカーのグリップを更に45度曲げる。

すると銃口の下から剣先が出っ張り、片足で地面を蹴ってグリップから手が離れない握力で振り上げた両腕を隆起させる。

軍兵の一人が銃口を向けるも、引き金を弾く直前にバロスが弾丸の様に飛ばした(つば)で視界を一時的に(くら)ませられる。バロスの視線を一瞥(いちべつ)した俺は唐竹割りの要領でライドブッカーを右(なな)めに一気に振り下ろす。

 

咲夜(過去)『ぬああッ!!』

兵士B『うああああッ!!』

 

掻っ捌かれた箇所から噴き出した返り血を浴び、純白だった服が一瞬にして鮮血に染め上がった。

 

兵士C『うわあっ!ば、化け物ッ!!』

兵士D『たかが二人ごときに怯むな!撃て!撃て!!ぐっ!?』

 

それを皮切りに軍兵の一部は戦慄してしまうが、仲間を殺された怒りに駆られた者が銃撃を催促しようとした直前にバロスは煙幕弾を正面に向けて投擲(とうてき)

銃弾が着弾した煙幕弾は空中で爆発、周囲に煙幕が広がる。

俺は無言でバロスに渡された二つの手榴弾らしき物をアンダースローで投げ、煙を通り越して軍兵達の背後に着弾して閃光を放つ。

けたたましい音と同時に閃光が放たれる。どうやらこの手榴弾は閃光弾だった様だ。

 

兵士E『其処かッ!?』

 

そして軍人の死骸から頂戴(ちょうだい)した長靴の右側を再度正面へと投げ、もう片方は全身を捻って一回転させた上で右側に投げる。

あの長靴は軍人の足首をそのまま斬り落として投げた物で、俺にとっては投げる前と後の重みは十分。飛び道具の投げ方に関する訓練は頭が痛いくらいにやり込んでいる。

長靴が落ちた重みの掛かった音に兵士の二人が右側と背後に銃撃を始める。

 

咲夜(過去)『あんたら...余りにも耳が遠過ぎないか?』

 

その直後に回転が止まる直前で左側へ転がってライドブッカーを銃モードにした俺は光弾を撃ち出す。

兵士達の苦鳴が次々に上がり、土煙から巻き上がった人影がそれを(とら)える。

だが、この位置のまま撃ち続けたら何れ俺も銃弾の餌食(えじき)となる。だから俺はライドブッカーから光弾を一発撃ち出す度に又別の位置へとジグザグに左右前後を行き来する。

まさにヒット&アウェイとはこの事。バロスの注意を引きながら、成る可く敵側の視線に俺の影が映らない程度に距離を取る。この戦法は体力トレーニングの反復横飛びでヒントを得たものだ。

土煙が晴れ、残るはさっきの銃撃で生き残っていたリーダーと思わしき者と仲間を一方的に殺られて怖気(おじけ)付く兵士の二人。

 

兵士F『あ、ああっ......!』

兵士D『貴様!何を怯えている!さっさと撃たんかッ!?』

兵士F『だ、だって隊————ぢょおっ!?』

 

泣き言を言う直前に兵士はバロスに透かさず顳顬を撃ち抜かれ、残った一人に俺は兵士の死体を肉壁として思いっきり投げ付ける。

リーダーの男は投げられた肉壁を退かすが、距離を詰められた時点でもう遅い。

セロ距離で銃口を向けて引き金を引くよりも先に左側からバロスが投擲していたと思われるナイフが男の腕を食い込み、少しずれた照準から銃声が鳴り響く。

この時、少しずれた照準に銃弾が俺の体に食い込む事はなかった。何故なら俺が発砲される直前に更に全身を屈ませ、両腕が地面に手が付く数mmまで下げていたからだ。

 

兵士D『ぐっ、貴様ら...ごぁっ!?』

 

ポケットから取り出したサバイバルナイフによる突きよりも早く、俺はサバイバルナイフを男の顎に深く突き刺した。

 

兵士D『ご...が...が...!!』

 

微かな声で俺を睥睨(へいげい)する男のサバイバルナイフが緩んだ手から落ち、透かさず残った左手で取って腹部に突き刺す。

男は完全に絶命して物言わぬ亡骸(なきがら)と化したが、念の為にライドブッカーの光弾で脳天を撃ち抜く際に斬った首を戦車に乗っていた兵士達の見せしめとしてバロスの足元に転がす。

口角を上げたバロスは兵士の生首を盛大に踏み付ける。

踏み付けた事で返り血が地面を染め上げ、脳味噌(のうみそ)の断片や歯と目玉が飛び散る。

砲撃しようとした兵士の嘔吐(おうと)する声が耳に届き、この隙を見過ごさなかった俺とバロスは戦車の主砲に向けて銃撃を喰らわせた。

兵士の(はかな)い断末魔を皮切りに俺とバロスは同時に走り出し、兵士の死骸から盗んでいた手榴弾を主砲に投入。

もう一台の方ではバロスが直接操縦席に入って残った兵士達を仕留めていた。

プロペラ音と共に戦闘ヘリに乗っていた兵士達がスナイパーライフルで照準を定めると、戦車に隠れていた俺の居る位置を狙撃してくる。

 

咲夜(過去)『クソッ、ヘリまであったのか...!まぁ、戦車もあってヘリがあってもおかしくはないな』

 

俺は二つ目の閃光弾を宙に投げ、ライドブッカーの光弾で閃光を解き放つ。

この隙を好機と見做(みな)した俺は、ライドブッカーでヘリのプロペラを撃ち抜いた。

プロペラを撃ち抜けれて飛行能力を失ったヘリは前方へと落下していく。

明らかに衝突する先はさっき俺が破壊して隠れていた戦車で、咄嗟にヘリが衝突する直前で左側に転がる。

転がったと同時に右には爆発音。左側には砲撃音が耳に伝う。

次に映った光景は、戦車の砲撃で撃墜した戦闘ヘリの残骸だった。

 

バロス『...余りにも汚い花火が上がった様だな。4531、遠足はまだ終わっていない。このまま他の部隊と合流するまで押し切るぞ!』

咲夜(過去)『ああ。もう後戻りは、出来ない......!』

 

 

 

 

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