デリシャスパーティ♡プリキュア ~破壊者の食べ歩き~   作:ライノア

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全四話リメイク完了。長らくお待たせ致しました。









これまでの破壊者の食べ歩きは...?

「それはパムパムが大人だからだパム。コメコメも大人になったら話せるパム」

「お前がちゃんと一人で買い物出来たって事にしといてやる。ゆいに褒められたいんだろ?だったら俺に考えがある。連いて来い」

「貴女も浮いたりして。あのピンクの子みたいに...」

「若しかしてこいつ、お前んとこのか?前に見た気がしたから...」

「此処で耐えなかったら...俺は俺自身を、化け出て呪ってやる!!」

「...後悔するぞ。私に慈悲をくれた事を」



第四品:膨らむ この思い...キュアスパイシー誕生!/吠えろ この気持ち、パムパムの本音!

 

 

No side

 

おいしーなタウンの洋食ストリートにある高級店にて、制服を着ながら朝食を堪能する一人の少女。芙羽ここね。

この高級店『レストラン・デュ・ラク』は彼女の実家で、自宅には庭にプールがある程の豪邸(ごうてい)だそうだ。

 

レシピッピ「ピピ〜!ピピピ〜!」

 

其処(そこ)へパンのレシピッピが現れ、彼女を見守っているかの様に姿を消した。

たった一人の食事に(いただ)くのに何の不具合も感じておらず、(むし)ろそれを楽しんでいる様にも見える。

 

???「お嬢様。登校のお時間です」

ここね「......」

 

ここねに登校を呼び掛けるのは、芙羽家の専属執事 (とどろき)

高級車で送迎中に外の景色を見ながらここねは昨日の出来事を振り返る。先程自分を家まで送り届けた翼竜を模した仮面の人物。

 

ディケイドB「っしゃ!此処(ここ)でいいな?」

ここね「あ、うん...」

ディケイドB「そうか。んじゃ、急いでっから名乗る必要もないか。縁が出来れば、(また)会おう」

 

翼竜を模したホバーバイクを浮上させると、仮面の人物は空を駆けながら去って行った。

 

ここね「『縁が出来たら(また)会おう』...か」

 

また逢える日を心待ちながら、ここねは静かに微笑んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

世界の破壊者 ディケイド。幾つもの世界を巡り、この世界にて何を噛み締める?

 

イメージOP『寺島拓篤/Nameless Story』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Sakuya side

 

春休みが終わって、俺達は二年生へ進級したと同時に新学期が始まった。クラスは三組で、俺の席は右から二番目で一番下。ゆいも同じく一番下だが、左から一番目の席のようだ。クラスが三組なのはひかる達の学校以来か?

この学校の服装に関する校則が緩く、着こなしがバラバラである為か俺もその校則に甘えてノーネクタイノーブレザーの上にマゼンタのパーカーを着ている。

 

???「おはよう。ゆい」

ゆい「おはよう。同じクラスだね」

???「えっと、こっちは確か...門津君だっけ?男子バドミントンエースの」

咲夜「そういや、お前も確かサッカー部にいたな」

???「覚えてたんだ...私は玉木 ゆかな。宜しくね」

咲夜「ああ、宜しく頼むぜ。玉木」

 

玉木と握手をしようとしたその時、(にぎ)やかな空気が一瞬だけ静寂へと変わる。一際目を引く美少女が入って来た。

 

ゆい「あの子...!」

 

すると、クラス内が急にざわつき始める。

 

クラスメイトA「あの人、『芙羽様』だよね?」

クラスメイトB「『芙羽様』と同じクラスじゃん...!」

咲夜「お前!昨日の...!」

クラスメイトC「何だエース。『芙羽様』と知り合いか?」

咲夜「ああ。昨日飼育し始めたばかりのゴールデンレトリバーを散歩させようと、首輪を探してる最中に外に飛び出しちまってさ。その際に出会した」

クラスメイトB「ってか、待て。よく見れば『芙羽様』の席とお前の席、隣じゃねーか?すっげー幸運だな!今度その席(ゆず)ってくれよ?」

咲夜「断る。一度なった席は固定する主義だからな」

クラスメイトA「くうぅ〜、言うねぇ!流石はエース!幸運とは言えど、俺達が言えない事を平然と言ってのけるッ、其処(そこ)(しび)れる憧れるゥ!」

 

何かどっかで聞いたことある様な台詞だな。

 

わかな「『芙羽様』も同じクラスだったんだ...」

ゆい「『芙羽様』?」

咲夜「誰だそれは?さっき入って来た奴の事か?」

わかな「芙羽ここねさん。頭脳明晰(めいせき)超美人。おまけにスタイルも抜群で、何とお父さんは高級レストラン『デュ・ラク』のオーナー!まぁ、私達と住む世界が違うお嬢様よ」

ゆい「へぇ...!」

クラスメイトA「なぁ、声を掛けてみようぜ〜?」

クラスメイトC「お前が先行けよ...」

 

男子生徒達が話し掛けようとした途端、芙羽は教室から去って行く。

 

クラスメイトC「行っちゃった...」

クラスメイトA「芙羽様が俺達と喋ってくれる訳がないか...」

咲夜「お嬢様が何だってんだよ」

『!?』

咲夜「お嬢様はお嬢様でも、所詮はただの人間と変わりはない。どんなに成績が良くても、スタイルが抜群だろうと、心の底では未熟で弱い自分を隠し切っている。自分一人で孤独になっているのが怖い臆病者だ。それは俺達人間も同じだ」

クラスメイトD「ちょっと!あんた、そんな言い方ないでしょ!大体ね、芙羽様は————」

 

女子生徒は何かを言い切ろうとするが、そんなルールは俺には通用しない。

 

咲夜「じゃあお前らは自分の立場が無いから、ここねとかいう奴に憧れを持ってんのか?甘いんだよ。お前ら人生舐めすぎだよ。憧れで自分を打ち消そうと思ったら大間違いだ。人生はな!お前らが思ってる理想を越える程、より残酷な世界なんだよ!!」

 

そう格言をかましながら俺は机を大きく叩き付ける。その音を頼りに他のクラスも様子を見に来ていた。

 

咲夜「...余り甘く見てっと、今度は自分の心を酷く痛める事になるぜ?加熱されたフライパンに炒められている野菜の様に、あいつもずっと...孤独という名の焼かれた鉄板に耐えてきたんだろう。それを分かってやってくれ」

 

俺のその言葉に反論する者は当然おらず、芙羽に聞かれた事も当然知る由もなかった。

 

クラスメイトD「そ、そうね。御免なさい、勝手に怒鳴ってしまって...」

咲夜「解ればいい、単なる気紛れだ。こっちこそ怒鳴って済まない。それに...あの芙羽とかいう奴の気持ちも、大体分かってきた」

ゆい「それって、如何(どう)いう意味?」

咲夜「大体は大体、そのまんまだ。後は自分達で考えな。人間、心の底から吠えてないと人間じゃねえからな。それが人の『感情』ってモンだ。お前らも聞いてんなら、自分の心を大事に決めろよ?」

生徒A「咲夜!何があった!?」

 

その言葉に反論する生徒は当然いなかったが、男子バドミントン部所属の生徒と思わしき生徒には当然、様子を伺いながら問い掛けてくる。

 

咲夜「問題ない…ただこいつらを叱咤してやっただけだ。余り怒鳴りたくもない。少し静かにさせてくれ」

生徒A「分かった。何かあったら俺達にも頼るんだぞ?」

咲夜「ああ。悪いな」

ここね「......」

 

俺は授業が始まるまでフードを被り、自分の席で顔を隠しながらうつ伏せになる

芙羽がその事を耳にした事のも、当然知る由もなかった。

 

 

 

 

 

 

「「いただきまーす!」」

咲夜「...いただきます」

 

学校が終わって食堂にて夕飯を食ってるが、先程怒鳴った件もあって俺だけは意気消沈としていた。

 

ゆい「はむっ。んん〜っ!鱈の目、デリシャスマイル〜!」

ローズマリー「春を感じさせる味よね」

咲夜「...ああ。そうだな」

あきほ「二人共、新しいクラスは如何(どう)?」

咲夜「はい。とても(にぎ)やかな感じでした」

ゆい「知ってる子も結構いたよ。あ、マリちゃん。この前、町で会った子覚えてる?芙羽ここねさんっていうんだけど、あたし達、この子と同じクラスになったの」

ローズマリー「へぇ、あの子と?」

ゆい「うん。でもね、皆あの子の事『芙羽様』って呼んでたんだ...」

咲夜「その事で俺が新しいクラスメイト達の前で怒鳴って、今もこんな感じです」

あきほ「...そうだったの。仲良くなれるといいね」

ゆい「うん!」

あきほ「…咲夜君に何があったかは聞かないけど、人の為に怒ってくれたのはとても良い事よ。若し友達になったら、あの子と仲良くね」

咲夜「はい...激励して頂いて、有難(ありがと)うございます」

 

 

 

 

 

 

 

コメコメ「コメ〜!」

ゆい「はい、あーん」

 

夕飯を食い終わって自宅に戻り、ゆいは赤子に化けたコメコメにハートキュアウォッチから出現したお子様様のサンドイッチを食わせる。

 

コメコメ「コメ〜!」

咲夜「...可愛い

ローズマリー「あら咲夜。コメコメにメロメロ大盛り?」

咲夜「はぁ!?んなわけないし、勘違いすんな!!」

ゆい「お婆ちゃん言ってた...『嘘を付く事は顔に出る証拠だ』って。この前だって、人間に化けたコメコメに抱き付いてたじゃん」

咲夜「うっ!?」

 

俺達のやり取りにローズマリーは微笑む。

 

ローズマリー「それにしても、コメコメは化けられる様になって嬉しさ大盛りね」

咲夜「...ああ。その様だな」

パムパム「ゆい、咲夜」

咲夜「如何(どう)かしたか?クソ犬」

 

俺達はその様子を見ていると、クソ犬が俺達に話しかけて来る。内容は大体把握している。

 

パムパム「パムパムも『ここね』って子に会いたいパム」

咲夜「あいつにか?」

 

俺の問い掛けに応じて頷くクソ犬。

 

パムパム「あんな綺麗(きれい)な子、初めて見たパム。髪も艶々(つやつや)で、良い香りもして...パムパム、あの子とお友達になって一杯お喋りしたいパム!」

ローズマリー「...喋っちゃ駄目でしょ?」

パムパム「ワオゥ...でも、パムパムもコメコメもお世話になったし、ちゃんとお礼したいパム〜」

 

その意見もローズマリーに頬を(つね)られる始末。それでも俺達はクソ犬の気持ちを分からない訳でもない。

 

ゆい「そうだね。明日聞いてみるよ」

咲夜「それまで、家で大人しくしてるんだぞ?」

パムパム「...パム!」

 

会って恩返しが出来る心待ちに、クソ犬は喜びの遠吠えを上げる。やっぱこいつメスガキ感増し増しだけど、コメコメと同じく良い子と言ってもいいな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

No side

 

場面は変わってブンドル団アジト。

三度も計画を邪魔されたゴーダッツにとっては破壊者であるディケイドに慈悲を与えられるのは意に沿わず、(ひざまず)くジェントルーに目を向ける。

 

ゴーダッツ『我が望みを知りながら、失敗を重ねた挙句、あのディケイドに慈悲を与えられるとは...』

ジェントルー「申し訳御座いません」

セクレトルー「プリキュアとディケイドが現れて以来、計画も(とどこお)っています。ですが、次の手は講じています」

ゴーダッツ『朗報を待っているぞ...』

 

セクレトルーの期待に応え、ゴーダッツは姿を消した。

 

セクレトルー「...ゴーダッツ様はパンがお好きです」

ジェントルー「はぁ...」

セクレトルー「ご機嫌伺いには好物を捧げるのがセオリー。そしてその数は多い程喜ばれる...つまり、分かりますね?」

ジェントルー「『レシピッピを一度に多く捕まえる』...と?」

 

セクレトルーの言った言葉の意味を理解したジェントルー。

 

セクレトルー「はい。では参りましょう...」

「「ブンドル、ブンドルー!!」」

???「......」

 

シアンカラーの銃を手に持つ影はその光景を見届けると、静か気に去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Sakuya side

 

翌朝、俺とゆいは芙羽と話すべく普通通りに登校する。

 

ゆい「おはよう」

『おはよう』

クラスメイトB「おはようエース」

咲夜「おはようお前ら。昨日は騒がせて悪かったな」

クラスメイトD「謝らないで門津君。悪いのは私の方よ」

クラスメイトA「そう自分を責めんなって。芙羽様と隣になったエースならきっと許してくれるさ」

咲夜「有難(ありがと)な、心配してくれて...」

クラスメイトC「おっ、今日は意外と素直だ」

咲夜「さて!気持ちを切り替えて、今日こそ張り切って行くぞォッ!!」

『おーっ!!』

 

昨日の不安を吹っ飛ばし、改めて授業が始まった。けど...。

 

ゆい「んん〜!芙羽さ...」

わかな「ゆい!昨日の放課後何だけど...」

ゆい「うっ、うん!」

咲夜「おい、芙羽。ゆいがお前に話があるって...」

男子生徒A「おい!お前確か、男子バドミントンエースの門津だっけ!?」

男子生徒B「お前の新しいクラスの席、芙羽様の隣なんだって!?」

男子生徒C「羨ましいぜ畜生!」

男子生徒D「流石はピンク男にしては幸運じゃねえか!」

咲夜「ピンクじゃねえマゼンタだ!ってか、誰だ噂流したお馬鹿共は!正直に出て来い!見つけたらタダじゃおかねーぞ!!」

 

休み時間でも。

 

クラスメイトA「かーちゃんがさ、砂糖と塩間違えてさ〜」

クラスメイトC「ええっ!?どうしちゃったの...?」

咲夜「ゆい、起きろ。いつまで寝てんだ。ゆい!」

ゆい「...はっ!しまった。寝過ぎちゃった」

咲夜「何やってんだよ全く...」

 

爆睡したゆいを起こしたりと、中々会えないまま時間は過ぎて行った。

 

 

No side

 

ウサギ小屋で檻の中にいるウサギを眺めながら表情を少しだけ和らがせるここね。小屋の外に抜け穴を発見すると、ウサギが脱走した事を悟るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

Sakuya side

 

時間は十二時となり、昼食のチャイムが学校内に木霊する。

 

「「芙羽(さん)!一緒にご飯()べよ()...」」

???「あの子ならもう行っちゃったよ」

ゆい「うう...」

 

制服の上に薄オレンジのカーディガンを着ている栗毛の少女の名は華満らん。詳細は第一品を参考にしてくれ。それと、メタ発言は気にするな。

 

らん「あ。若しかしたら食堂にいるんじゃない?」

 

芙羽が食堂にいることを憶測(おくそく)する華満。こっちにゃいないと思うが、手当たり次第探ってみるか。

 

ゆい「そっか!有難(ありがと)う、行ってみる!」

らん「えへへ。らんらんも行こ〜」

 

食堂に向かう俺達に華満もその跡をついて行った。

 

 

 

 

 

 

巨大な招き猫が配置されている建物は俺達新鮮中生徒の食堂。室内では行列や会話などで(にぎ)やかな雰囲気だった。

 

ゆい「はらペコった〜」

咲夜「こっちを探してみたが、やっぱいなかった」

ゆい「そっか。でも、諦めずに芙羽さんを探さないと!」

咲夜「そうだな。兎に角、外探してみるぞ」

 

昼食を後にし、俺達は芙羽を探しに外へ向かった。その側にソフトクリームのレシピッピを見掛ける。こいつもブンドル団に狙われる事はないと信じながら。

 

らん「おおぉ〜、ひやシュワが滑らかなパラレルターンを描く...あーん。んん〜っ!学校始まったって感じ〜!!」

 

 

 

 

 

 

ゆい「芙羽さん何処(どこ)だろ〜?」

 

校舎で探索中、小腹を鳴らすゆい。我慢しろ。今は芙羽を探すのが最優先だ。

 

咲夜「...おい、あれ見ろ」

 

俺が指差した方向には裏手で大型マットを引いている芙羽を目撃する。

圧力を掛けながら引っ張るも、マットの重量には抗えず膝を付いてしまう。勿論、このまま傍観する訳にもいかない。

 

咲夜「随分と探したぜ。芙羽様よ」

ここね「!」

 

いいリアクションだ。ゆいは芙羽が持っていたマットの持ち手の半分を握る。

 

ここね「貴女達...」

ゆい「これ、動かしたいんだよね?」

咲夜「俺達も手伝ってやるよ」

ここね「別に...一人でやるから」

咲夜「そう(かたく)なに言うなって。この世でお前が一人じゃ出来ない事、知らない事が、数え切れない程ある(はず)だろ?」

ここね「えっ?」

 

素っ気なく断ろうとするが、俺達には関係ない。

 

ゆい「おばあちゃん言ってた...『人の力も汁も、合わせるのが味噌』って。一緒にやれば、きっと出来るって!せーので引っ張ろ?」

ここね「うん...」

咲夜「じゃあ俺が角側持っとくわ。行くぞ?」

「「せーの!」」

咲夜「いっせーのせ!」

「「「ぐぬぬぬぬ...!」」」 

 

大型マットが動く。

 

ここね「動いた...!」

 

更に引っ張り、マットが数cmの間で止めると、其処にあるものを目撃する。

 

咲夜「!これは...!」

ゆい「如何(どう)したの?...あ」

 

一羽の白い子ウサギ。芙羽は子ウサギを助けようとマットを引っ張っていたのだ。

その後は飼育小屋に戻し、親と思われる一匹のウサギと(じゃ)れる様子を見る。勿論、掘った穴も岩で埋めといた。

 

咲夜「お前、優しいんだな。俺達と同じく」

ここね「えっ?」

ゆい「この間もコメコメの事で助けてもらって、本当に有難(ありがと)う!」

咲夜「探す手間が省けそうになったしな」

 

まぁ、これは俺が巻いた種なんだけどね。何とか墓場まで持って行く事が出来た。

 

ここね「あれは偶然会っただけで...」

 

頬を染める芙羽。クソ犬の願いを叶える為に一つ言っておきたい。

 

ゆい「ねぇ!今日の放課後、家に遊びに来ない?」

ここね「えっ?いきなりそんな事言われても...」

ゆい「じゃあじゃあ、芙羽さんの好きな場所は如何(どう)(また)皆と会ってほしくて...」

咲夜「如何(どう)してもお前に会いたがってる仔犬がいてさ。ほら、此処に尻尾振ってるのが...は?」

 

俺達の中心には目を輝かせているクソ犬が尻尾を振っている。

 

ゆい「ええっ!何で学校に!?」

パムパム「パム!」

咲夜「お前な。家で待てつったろ?まぁ、来てしまったからにゃ、隠す必要もないか」

ゆい「で、こんな感じなの。でも学校じゃ何だし、放課後如何(どう)?」

パムパム「パム〜」

ここね「......!」

 

クソ犬のつぶらな瞳に目を奪われ、可愛さの余り、何かを爆発させまいと堪える芙羽。こっちもニヤけそうになるが我慢だ。

 

 

 

 

 

 

ここね「か...か...!」

咲夜「可愛いすぎだろてめえらあああああああああああああああああああああッ!!!!

 

つぶらな瞳で見つめてくるコメコメも加えられ、逆に俺が爆発した。ちょっと待って。ウサギも猫も好きなんだけど、犬科ってこんなに可愛かったか!?

来客の皆さん、いきなり叫んですいませんでした。破壊者は破壊者なりにて思った事自由に叫ばせてください。

というわけで気を取り直してやって参りました。芙羽のお気に入りの店でもある洋食ストリート店にあるパン屋『Heart Bakary』。今は待ち合わせている最中だ。

 

ゆい「お待たせ〜」

 

注文をし終えたゆいが戻ってきた。ハートパン、カレーパン、そして新作のロールパンサンドの三つがそれぞれ三人分のお盆に置かれていた。

 

ゆい「どれも美味しそうで迷っちゃった!マリちゃんも来れば良かったのに...」

 

 

 

 

 

 

~回想~

 

ローズマリー「パ〜ム〜パ〜ム〜!まさか学校なんて行くなんてねぇ...!」

パムパム「御免なさいパム〜!」

咲夜「まぁ、許してやれ。大体予想は付いていたし、問題事も起こさなかったしな」

ローズマリー「そうだったの?まぁ、何事もなくてよかったわ」

 

時は(さかのぼ)り数時間前、芙羽に会いたい一心で来てしまったクソ犬はローズマリーに頬を抓られながら叱責(しっせき)されていたが、何事も無かった事を知ると安堵し、手離された。

 

ローズマリー「んで、Heart Bakaryで会うんでしょ?私も一度、行ってみたいわ〜!」

咲夜「ローズマリーも来るか?」

ローズマリー「ええっ!?悪いわよ〜!でも、二人がいいなら...」

ゆい「分かった!じゃあ、行って来る!」

咲夜「戸締り頼んますわ」

ローズマリー「って、置いてくんかい!?」

 

話を最後まで聞かずに置いてってしまった。ホント申し訳ない。

 

~回想終了~

 

 

咲夜「まぁ、後で土産買っとけば(とが)め無しだな。兎に角食おうぜ」

ゆい「ふぅ...ハラペコった〜!ん?ハートパンと新作のロールパンサンドで迷って、両方にしちゃった!」

咲夜「何方(どちら)かを選べないなら両方選ぶってか?お前らしい考えだな」

ゆい「えへへ...まぁね」

ここね「...私もロールパンサンドと迷った...」

ゆい「やっぱり〜?」

 

俺達は両手でロールパンサンドを二等分に千切る。

 

ゆい「よかったら、半分どうぞ!」

咲夜「俺もどうぞ」

ここね「あ、ありが...」

咲夜「そういや犬専用のもあったんだっけな」

 

犬専用のパンもあり、コメコメはロールパン、クソ犬は骨型となっている。

 

ゆい「あ〜ん、んん〜っ!デリシャスマイル〜!!」

咲夜「うん、美味い...」

ここね「...美味しい」

ゆい「ねっ!」

 

パンを口に含ませ、感想を述べる俺達。その時の芙羽の表情は無表情だが、少し笑ってる様にも見えた。その様子にクソ犬は尻尾を振る。

 

ゆい「素敵なお店だね。よく来るの?」

ここね「...うん。静かで、穏やかな空気がいつも満ちてる。此処で過ごす一人の時間が好きなの」

ゆい「ああ、じゃあうるさくしちゃったね。御免ね」

咲夜「けど、一緒に食うともっと美味いだろ?」

ここね「別に...」

「「「ピピ〜!」」」

咲夜「レシピッピ!今度は三体か。いや待てよ、目に見えてるって事は...」

ゆい「若しかして...見えるの!?」

ここね「貴女達も?」

ゆい「うん!すっごく嬉しい!おっとっと...」

 

恥ずかしがりながら芙羽は外方を向くとサンドイッチ、カレーパン、そしてハートの形をしたレシピッピが一気に三体も出現する。最後のは恐らくハートパンだろうな。

レシピッピが見える事に一致する俺達。

 

ゆい「やっぱりカレーパンも美味しそう」

咲夜「じゃあ俺が買ってこようか?」

ここね「あっ...和実さん!門津君!これ...」

ジェントルー「ブンブンドルドル、ブンドルー!!」

 

追加で買おうとした俺達を名前で呼び止める芙羽。

食器にあったカレーパンを三等分にしようとしたその時、ジェントルーが現れ、パン系レシピッピの三匹が捕まってしまった。

 

ローズマリー「ジェントルー!何て事を!」

ゆい「マリちゃん?如何(どう)して此処(ここ)に!?」

ローズマリー「『羨ましくてこっそり来ちゃった』なんて、恥ずかしくて言えないわ!」

ゆい「言ってるよ」

 

本音を漏らしたローズマリーに小声で突っ込みを入れるゆい。けど、これはこれでカッコいい。見直したぜ。

芙羽はパムパムを抱えて立ち上がった瞬間、当然レシピッピが奪われた影響は店内に出ており、半分になったロールパンサンドを試しに口にする。

 

客A「何この味!」

客B「味が変わったぞ...」

ここね「あむっ...如何(どう)いう事...!?」

ジェントルー「レシピッピが三匹...まぁいいだろう。出でよ、ウバウゾー!!」

 

ブンドル団のマークが押印された計量器は青い炎を噴き出し、巨大な怪物へと変貌する。

今回は前とは違ってレシピッピが三体分。少しは腕が鳴る程度の強さだろう。

 

ここね「何あれ...?」

咲夜「此処(ここ)は俺達がどうにかする!」

ゆい「芙羽さんは安全な場所に!」

ここね「えっ?」

咲夜「ローズマリー、頼んだ!」

 

当然逃げ惑う人々。俺達は芙羽に安全な場所へ避難するように促す。

 

ここね「待って!」

ローズマリー「デリシャスフィールド!!」

 

お構いなしにフィールドを展開するローズマリー。芙羽は俺達に手を伸ばし、片手で持っていたクソ犬が青白い光を発すると、そのままフィールドへの光へと飲み込まれて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

No side

 

パムパム「何で中に入ってるパム!?」

ここね「えっ!?」

 

気が付くと砂漠の様な異空間にいただけではなく、人語を喋るパムパムに驚くここね。

辺りを見渡すと、計量器型の怪物と対峙している二人の姿が。

 

咲夜「今回は計量器か...だったら重力で押し潰しながら攻める。計量オーバー10万トンだ!」

???「計量10万トンは流石にキツすぎるんじゃないかな?」

『!』

ゆい「誰!?」

???「あまり姿は見せないけど...僕はディケイドの事を昔から知っている、通りすがりの仮面ライダーだよ。覚えておいて」

【カメンライド バルカン!】

【カメンライド サソード!】

 

不意に掛けられた謎の声と同時に電子音が鳴り響き、警報の様な音がフィールド内に鳴り響かせる。

その電子音は咲夜にとっては聞き深かった。

 

???「行ってらっしゃい」

『シューティングウルフ!』

『Change Scorpion.』

 

岩陰で二枚のカードをシアンカラーの銃に装填する謎の影。ポンプアクションを行い、引き金を引くと三原色の影が重なり、咲夜と同じライダーの姿を形作る。

サーベル状の剣を両手に持ち、緑の複眼と(さそり)を模した頭部と胸部、両肩のアーマーは(はさみ)を連想とさせる紫のライダー。

狼を彷彿とさせる頭部に青い右半身には赤いラインが走っているアンドロイドの様なライダー。

謎の影は召喚された二体を見届けると、そのまま立ち去って行った。

 

ゆい「ええっ!?何か出て来た!?」

ローズマリー「アレって若しかして、咲夜と同じ仮面ライダー!?」

咲夜「仮面ライダーサソードと、仮面ライダーバルカン。こりゃ厄介だな...」

ジェントルー「何だ、今のは...?だが、これで我々の勢力は増えたも同然」

ウバウゾー「ウバウゾー!!」

ゆい「行くよ二人共!」

咲夜「おう!」

コメコメ「コメ!」

 

 

 

 

 

 

コメコメ「コメ!」

 

ゆい「プリキュア!デリシャスタンバイ!パーティーゴー!にぎにぎ!」

 

コメコメ「コメコメ!」

 

ゆい「ハートを!」

 

コメコメ「コメコメ!」

 

ゆい「シェアリンエナジー!」

 

コメコメ「コメ〜!」

 

 

 

 

 

 

咲夜「変身!」

 

【カメンライド ディケイド!】

 

 

 

 

 

 

コメコメ「コメコメ!」

 

プレシャス「熱々ご飯で漲るパワー!キュアプレシャス!美味しい笑顔で満たしてあげる!」

 

【ディケイド!】

 

ディケイド「全てを束ね、全てを創る!仮面ライダーディケイド!旅の語らい...始めようか!!」

 

 

 

 

 

 

Sakuya side

 

ここね「貴女達は...!」

プレシャス「芙羽さん!?」

ローズマリー「如何(どう)やって中に...!?」

ディケイド「恐らくクソ犬の力で此処(ここ)に迷い込んだんだろう。後、ローズマリー。お前が昨日デリシャスフィールドを展開した光景もバッチリと目撃されたからな」

ローズマリー「えっ!?そうだったかしら!?」

ディケイド「いや、気付けよ!?」

ウバウゾー「ウバウゾー!!」

ディケイド「…バルカンとサソードは俺が、プレシャスはウバウゾーを頼む。間に合うかどうかは分からないが、必ず追い付く!」

プレシャス「分かった!」

 

俺達の話を遮る様にウバウゾーは叫び、バルカンとサソードは武器を構えながら歩み寄って来る。

 

ローズマリー「あの子は私が!」

プレシャス「お願い!」

ディケイド「頼んだぞ!」

 

俺達は駆け出し、其々の相手に向かって行く。

 

プレシャス「はああーっ!うわっ!えっ!うわあっ!」

 

ウバウゾーの頭部にパンチを繰り出すプレシャス。だが、その頭部が計量皿であるためか押し戻されてしまい、直ぐに体制を立て直す。

 

『CLOCK UP』

ディケイド「クロックアップか...」

 

サソードが左側のスイッチを押して高速移動能力『クロックアップ』を発動しながらの斬撃に加え、バルカンが青い銃から弾丸を吐き出す。

反撃の隙を与えないつもりだが、奴が召喚したライダーには自我を持たない。

俺は高速移動しているサソードの斬撃を受け流すと、そのまま盾にして蹴り飛ばし、銃撃を行っていたバルカンに直撃する。これで隙が出来た。

 

ディケイド「ホントは此処(ここ)でイリュージョン使いたかったけど、手間が省けた!」

【アタックライド イリュージョン!】

 

イリュージョンで二人に分身した俺達はカードを取り出す。

 

ディケイドA「昆虫大合戦だ」

ディケイドB「血が上った狼には満月を見せとかないとな」

【カメンライド カブト!】

【カメンライド キバ!】

『Change Beetle』

 

本体である俺は赤い装甲を身に纏うと、青い単眼が角と思わしき下顎の突起が上昇し左右に分割され、頭部から胴体までは甲虫(かぶとむし)の全身を連想させる軽装のライダーとなる。

同じくBの体を巡る様に波紋が流れ、体色が(にご)ると同時に体形を変化。(やが)てはステントグラスの様に飛び散るとその姿を変える。

額に緑の宝玉が埋め込まれており、蝙蝠(こうもり)を模した釣り上がった黄色い複眼。銀の鎧に黒く縁取られた筋質の赤い胴体。両肩と右足の装甲には鎖で封印を施されたかの様に縛られている。

天の道を行き(すべ)てを(つかさ)どる仮面ライダーカブト、運命(さだめ)の鎖を解き放つ仮面ライダーキバへと姿を変えた。

 

ここね「姿が変わった...!?」

【アタックライド クロックアップ!】

『『CLOCK UP』』

 

Bはバルカンとの肉弾戦に至る。

同時に再びクロックアップを発動させるサソードに合わせ、俺はライドブッカーを剣モードにしながらクロックアップを発動。そのまま高速の世界へと移動する。プレシャス達の目には火花が散る様にも見える。

 

ローズマリー「此処(ここ)は危ないわ、離れましょう」

ここね「......」

 

離れる様に促すも、芙羽は意味不明な光景に呆然としていた。

 

ウバウゾー「ウバウゾー!!」

ローズマリー「プレシャス、後ろ!」

プレシャス「強い...!」

『CLOCK OVER』

 

頭部の計量皿をフリスビーの容量で投擲(とうてき)するウバウゾー。プレシャスは空中で避けるが、ブーメランの様に起動を変えた計量皿の不意の帰還により、距離を大きく開けられてしまう。

ウバウゾーの強さを述べるプレシャス。同時にクロックアップが解除され、サソードは再びクロックアップを発動しようとする。

 

ディケイドA「させるか!」

サソード「!」

 

だが、俺はそうもいかず、直前にガンモードにしたライドブッカーで左側のボタンを撃ち抜くと、ボタン側が小さくショートを起こす。これでクロックアップは完全に封じた。

 

ディケイドA「これでご自慢の高速移動は出来なくなったな。さぁて、こっからが正念場だぁッ!!」

 

剣モードにしたライドブッカーを構えながらサソードとの剣撃をクロックアップ無しで戦う事となる。

 

ディケイドB「はぁッ!!」

バルカン「...」

 

一方Bは銃撃を仕掛けるバルカンの攻撃を両腕を交差させながら向かって行き、地面を蹴りながらの飛び蹴りを放つが、バルカンは何処(どこ)からか取り出したアタッシュケースを盾にしてBの攻撃を防ぐ。

 

ディケイドB「おりゃっ!」

バルカン「!」

 

瞬時にバク宙でバルカンの前に立ち、蹴り上げたBの右脚が高く振り上げた事で上空に打ち上げられる。

アタッシュケースが宙に舞う中、Bはライダーカードを取り出す。

 

【フォームライド キバ バッシャー!】

 

ゼロディケイドライバーのレンズから男性の人魚を指す事が多い半魚人『マーマン』の彫像が現れ、グリップを手に持つと(ひれ)の様な三枚の装飾(そうしょく)が施された緑の銃、魔海銃(まかいじゅう)バッシャーマグナムへと変形し、右腕と胴体が鎖に覆われ、魚人の(ひれ)と腕を模した右腕と魚の骨の様な意匠を持ち合わせる緑の胴体へと変化。複眼は黄色から緑に変色する。

Bはキバ バッシャーフォームへとフォームチェンジすると、バッシャーマグナムの銃口をバルカンに向ける。引き金を弾き、安定翼である三枚の(ひれ)を旋回させる度に水の銃弾が吐き出される。

バルカンも青色の銃『エイムズショットライザー』を向けながら銃弾を放ち、互いの銃撃が撃たれる度に足が後方に下がって行き、装甲が火花を散らす。

 

ディケイドB「!」

ディケイドA「危ない!」

【フォームライド カブト マスクド!】

『PUT ON』

ディケイドA「ぐっ!?」

 

バルカンは地面に落ちていたアタッシュケースを手に取り、再び盾として水弾を防ぐと、水色のショットガン型の武器『アタッシュショットガン』に変形させ、Bに砲身を向ける。

状況を察した俺はサソードのサーベルを押し返し、Bの前に立ち塞がりながら取り出したカードを装填。下顎の突起が下がり、甲虫の(さなぎ)を思わせる銀の鎧を身に纏う。カブト マスクドフォームにフォームチェンジした俺はバルカンのアタッシュショットガンの弾を防ぐが、吐き出された弾丸は700に及ぶ数であるためか、装甲の数箇所には弾痕(だんこん)凹凸(おうとつ)になっている。

 

【フォームライド キバ ガルル!】

ディケイドB「ハウリングショック!」

 

俺は余りにも散弾のダメージに深手を負ってしまう中、Bのゼロディケイドライバーのレンズから青い獣人の彫像が現れ、グリップを手に持つと狼の顔が現れ、湾曲(わんきょく)した刀身を露出させた刀剣『魔獣剣(まじゅうけん) ガルルセイバー』へと変形。

両腕と胸部が鎖に覆われ、右肩はキバの初期形態でもあるキバフォームと同じだが、左肩は狼男の毛皮の様に四つに波打ち、青い胴体は胸骨を思わせる。複眼は緑から青へと変色し、キバ ガルルフォームへとフォームチェンジしたBは(つば)にある狼の頭『ワイルドジョー』から咆哮を転用した音波砲を放ち、サソードとバルカンを地面に引き()らせる程に吹き飛ばす。

 

ディケイドB「ガウ、ガウガウガウ!?」

ディケイドA「大丈夫だ、問題な————うあっ!?」

ディケイドB「ガウ!?グルァッ...!グッ!グルルルルルルル...!」

 

オリジナルのガルルフォームの影響で唸る様な声しか発せなくなっているB。だが例え喋れなくても言葉だけは通じ合えている。だが休む暇もなくバルカンは砲身を向けながら俺に散弾を飛ばしてくる。その隙にサソードはBに斬り掛かるが、硬質変化した獣毛を模した小型の盾『ウルフェンへアードシールド』で剣先を受け止める。

 

ここね「何が起きてるの...?如何(どう)してあの子達は戦っているの!?」

ローズマリー「それは...」

 

一方、芙羽の問い掛けにローズマリーは即答する事が出来ずにいた。

 

ここね「貴女話せるんでしょ!?教えて!お願い!」

パムパム「レシピッピが盗まれたせいで、パンの味が変わってしまったパム」

 

状況を訴える芙羽。最早隠す必要は無いと悟ったクソ犬は正直に真実を告げる。

 

ローズマリー「パムパム!」

ここね「『レシピッピ』...?」

パムパム「プレシャスとディケイドは、それを戻す為に戦ってるパム」

 

ローズマリーに喋るなと言わんばかりにその声色には後悔の感情が含まれていた。

 

プレシャス「はああーっ!」

 

500キロカロリーパンチを放とうとしたプレシャスの打撃を(かわ)し、落下しながらの計量皿にて押し潰される。

 

ローズマリー「プレシャス!」

ジェントルー「捕まえたレシピッピが多ければ多い程、ウバウゾーは強くなれる。一石二鳥だな」

プレシャス「大丈夫!芙羽さんの、大切なパン屋さんは...あたし達が守るから!」

 

その時、計量皿が揺れ動く。パワーが自慢のプレシャスが押し潰されまいと抵抗している。

 

ディケイドA「そうだ!敵側が一石二鳥ならば、こっちも一石二鳥になりゃあいい!」

ローズマリー「それ、如何(どう)いう意味よ!?」

ディケイドA「そんなの自分で考えろ!」

サソード「...」

ディケイドA「ぐっ!野郎...!こいつら、前に召喚された時よりも、強くなってやがる...!」

 

俺はバルカンの顔面に向けて左拳を振るう。だがバルカンは手に持っているアタッシュショットガンをケースの形状に戻して盾の様に防ぎ、鳩尾(みぞおち)目掛けての上段蹴りを放つ。

バルカンはアッパーを仕掛けるが、俺は直様両腕で受け止める。だが左腕に持っていたアタッシュケースを再びショットガンの形状に変えながら砲身を腹部に当てる。

 

ディケイドA「ぐああああああッ!!」

ローズマリー「ディケイド!」

ディケイドB「ガウーッ!!」

 

セロ距離から放たれる散弾の雨。装甲は大きく(くぼ)み、その衝撃で俺は大きく吹き飛ばされた。装甲が激しく火花を散らす。息を切らしながら何とか膝を付ける程度にまで立ち上がると、バルカンは徐々に俺の方へと牛歩する。

 

ディケイドB「ガウッ!グッ!グルアアゥ...ガアアアアアッ!!」

 

Bは援護に向かいたいところだが、余所見をしてる暇はないとサソードはサーベルに力を入れ、一気に押されて行く。それでも負けじと応戦する。

 

プレシャス「マリちゃん。早く、芙羽さんを...!」

 

ローズマリーは手を翳すと、螺旋状の空間を展開する。これがデリシャスフィールドから脱出する為の空間だろう。

 

ローズマリー「さぁ、此処(ここ)から外へ!」

ディケイドB「!」

 

ローズマリーがそう促すも、芙羽は動こうともしなかった。

 

パムパム「早く逃げてパム!御免なさいパム。パムパムが会いたいなんて我儘(わがまま)言わなければ、こんな事には...」

ディケイドB「グルルルルルルルルルル...ガウッ!ガウガウガウ!ガウーッ!!

 

涙を浮かべるクソ犬。聴力が良い為か、歯を(きし)る様に唸るB。バルカンがアタッシュショットガンの砲身を向けながら近付く中、クラッシャーを露わにしながら野獣の遠吠えの様に叫ぶ。俺はサソードとの鍔迫り合いになりながら、Bの言ってる事が分かる様に翻訳する。

 

パムパム「パム…?」

ローズマリー「今、何て...!?」

ディケイドA「『何今更後悔してんだよ!』ってさ。おいクソ犬テメエ!お前何自分を責めてんだよ!?芙羽と出会って友達になりたかったんじゃなかったのか!?沢山(たくさん)お喋りしたいんじゃなかったのか?それともお前が望んでいた事は全部嘘だったのか!?」

パムパム「ッ!」

ディケイドA「俺はこれでもな...!遊び半分で破壊者やってる訳じゃねぇんだよ。だからよ...お前が望んでいた気持ちを、勝手に投げ出そうとするなッ!!」

ローズマリー「ディケイド...!」

ディケイドA「これが...Bがお前に伝えたかった言葉だ!まぁ、同じ犬仲間でもあるからな。犬科だけに吠えてみろよ、お前の本当の気持ちを!!エナジー妖精 パムパムッ!!!!」

 

言いたい事は全部吠えた。後はこいつの気持ちで運命が決まる。

 

パムパム「パムパムは...パムパムは!ここねとお友達になって、沢山(たくさん)お喋りしたいパム!だから...だからっ...!」

 

芙羽は泣きじゃくるクソ犬を慰める様に横顔をそっと撫でる。

 

ここね「貴女に会えてよかった。私、此処(ここ)に残る。あの子達と一緒にまた美味しいパンを食べたいの!私、一人が楽だった。静かな一人の時間が好き。人と関わるのは面倒だし凄く疲れるから…でも、あの子達と一緒だと心の中で温かい物が…今まで知らなかった思いがどんどん膨らんで行く...!私、守りたい。例えこの世界が残酷だったとしても。大切な場所をあの子達と!だって、どんな事も一緒にやればきっと出来るって、もう知ってるから!」

 

バルカンがアタッシュショットガンの砲身を向けながら引き金を引こうとしたその時、クソ犬が芙羽の思いに一致したのか青いオーラが纏われる。

 

パムパム「ここね!パムパムも、ここねと一緒に守りたいパム!」

ここね「パムパム...!」

 

水色のフードに付いているハートが光を放ち、芙羽の左手首にハートキュアウォッチが出現する。

 

ローズマリー「ハートキュアウォッチ!?」

【カメンライド カブト!】

『CAST OFF CHANGE BEETLE』

 

隙を突いてカブトのライダーカードを装填し、凹凸(おうとつ)となった全身の装甲を脱皮させる。吹き飛ばした装甲がバルカンに直撃し、手に持っていたアタッシュショットガンが手離される。俺は助走を付けながら黄色いカードをドライバーに装填する。

 

【ファイナルアタックライド カ、カ、カ、カブト!】

『RIDER KICK』

ディケイドA「ライダーキック!だあああああああああッ!!」

 

角に充填されたエネルギーを放出した飛び蹴りをバルカンに放つ。

 

【ファイナルアタックライド キ、キ、キ、キバ!】

ディケイドB「ガルル!ハウリングスラッシュ!!グルアアアアアアアアッ!!!!」

 

Bも同じく隙を突いて押し返し、唐竹割りの要領で縦に振るう。ダメージを受け、よろけたところで黄色いカードをドライバーに装填すると、青空から満月を照らす夜空となり、Bはガルルセイバーをクラッシャーに咥えて空高く飛び上がりながら回転。山一つをぶった切る程の切れ味でサソードを切り裂く。

直後、青い狼の顔が浮かび上がり満月の夜は青空へと戻り、サソードとバルカンは消滅する。

 

パムパム「ここね。プリキュアに変身パム!プレシャス達と一緒に助けるパム!」

ディケイドB「ガウ!」

ここね「...うん!」

 

変身を決意する芙羽。その一言に迷いはなかった。

 

 

パムパム「パム!」

 

ここね「プリキュア!デリシャスタンバイ!パーティーゴー!オープン!」

 

パムパム「パムパム!!」

 

ここね「サンド!」

 

パムパム「パムパム!」

 

ゆい「シェアリングエナジー!」

 

パムパム「テイスティー!」

 

 

 

 

 

 

パムパム「パムパム!」

 

???「ふわふわサンドde心にスパイス!キュアスパイシー!分け合う美味しさ焼き付けるわ!」

 

 

 

 

 

 

スパイシー「はああーっ!」

ウバウゾー「ウバーッ!?」

 

プレシャスを押し潰そうとしているウバウゾーを蹴り飛ばすスパイシー。今此処(ここ)に、新たな戦士が誕生した。

俺達はプレシャス達に合流する。

 

ディケイドA「こっちは片付いた。如何(どう)やらその様子だと、覚悟が決まったみたいだな」

プレシャス「芙羽さんなの?」

ディケイドA「違えよプレシャス。今のこいつは...」

スパイシー「キュアスパイシーよ」

ディケイドA「...だそうだ」

ローズマリー「『キュアスパイシー』...!?」

ジェントルー「二人目のプリキュア...!?」

ディケイドA「さて、さっきはよくも俺の仲間を押し潰そうとしてくれたな。計量10万トンはまたの機会だ。B」

ディケイドB「ガウ!」

 

頷くBはゼロディケイドライバーのハンドルを開くと、装填されていたカードが排出しながらライドブッカーに転送される形で消滅。

ライドブッカーから新たなカードを取り出す。描かれていたのは紫のキバ。俺もカードを取り出し、描かれていたのは銀とターコイズブルーのビルド。互いにカードをエクスチェンジし、そのままドライバーに装填する。

 

【フォームライド ビルド スマホウルフ!】

『繋がる一匹狼!スマホウルフ!イェイ!』

 

銀とターコイズブルーのボディが重なり、電話アプリと狼の横顔を模した複眼。右側は狼の爪を模した右腕と鋭利な右肩装甲。左側の四角い肩装甲にはコメントロゴが描かれており、左腕にはiPadの様な大型シールドが装備されている。Bはビルド スマホウルフフォームへと姿を変えた。

 

ディケイドB「やっと普通に喋れるぜ」

ジェントルー「やれ、ウバウゾー!」

ウバウゾー「ウバウゾー!!」

 

フリスビーの容量で投擲しようとするウバウゾー。

 

プレシャス「またさっきの攻撃が...!」

ディケイドA「大丈夫だ。今から一人じゃ出来ねえ芸当を披露してやれるんだ...仲間がいればな!」

ディケイドB「まさに勝利の法則は決まったって感じだな」

スパイシー「私に考えがある」

 

計量皿を投擲するウバウゾーに合わせ、俺達は作戦通りに動く。

 

ウバウゾー「ウバッ!」

ディケイドA「よっと」

【フォームライド キバ ドッガ!】

 

プレシャスとスパイシーは空中に飛び上がり、Bは後方に待機。俺もちょいと無理はしとくか。そう思いながら真横に避け、カードを装填する。

ゼロディケイドライバーのレンズからフランケンシュタインを模した彫像が右腕を模した紫の戦鎚(せんつい)魔鉄槌(まてっつい)ドッガハンマー』を手に持つと両腕、両肩、胴体が鎖に覆われる事で頑強な鎧へと変化させ、複眼は紫となっている。俺はキバ ドッガフォームへと姿を変えた。

 

ローズマリー「気を付けて、それは...!」

 

Uターンしてきた計量皿にスパイシーは手を翳すと、メロンパン型のシールドを展開させ弾き返す。

 

ディケイドB「オーライオーライ...ウルフェイタルクロー!」

 

待ち伏せしていたBが右腕にある伸縮自在の鉤爪でスパイシーが弾き返した計量器を切り裂く。

 

ジェントルー「何ッ!?」

ウバウゾー「ウバ、ウバッ!?」

ディケイドB「これさえなければお前はウバウゾーならぬスカウゾーだ!」

ジェントルー「...はっ!」

プレシャス「はああーっ!」

ウバウゾー「ウバッ!」

スパイシー「ピリッtoサンドプレス!」

 

ウバウゾーは両脚のバネを利用して避けるが、スパイシーが生成した食パン型のエネルギーで挟み撃ちにされた。

 

ウバウゾー「ウバッ!?」

【ファイナルアタックライド ビ、ビ、ビ、ビルド!】

『ボルテーックフィニーッシュ!イェーイ!』

ディケイドB「スパイシー、一旦距離を取れ!」

ディケイドA「ドッガサンダー!」

ウバウゾー「ウババババババババババババババーッ!!!?」

 

挟み撃ちとなったところを周囲に映写したスマホのアイコンの中を黒い狼の幻影がパンのエネルギーを食い千切る様に走りながら(けしか)けている間にスパイシーを退かせるB。

俺はドッガハンマーを天に(かか)げると、呼び起こした紫電(しでん)の雷撃がウバウゾーに直撃する。

 

プレシャス「凄いよ三人共!よおし...500キロカロリーパーンチ!!」

 

プレシャスは挟み撃ちとなった黒焦げのウバウゾーを殴り飛ばす。

 

ウバウゾー「ウ...ウバウゾ〜」

 

目を回しているウバウゾーにトドメの一撃を放つチャンスが与えられる。

 

ディケイドB「後は任せたぜ。スパイシー!」

パムパム「スパイシー、決めちゃうパム!」

スパイシー「うん!プリキュア!スパイシーサークル!!」

 

スパイシーはハートキュアウォッチの液晶画面をタッチし、両手で大きな団円を描いて放った螺旋状のビームでウバウゾーを浄化する。

 

ウバウゾー「お腹一杯!」

ディケイドB「此処(ここ)で早口言葉!ハム、バームクーヘン、パムチム!ハム、バームクーヘン、パムチム!ハム、バームクーヘン、パムチム!よし言えた!」

「「「ごちそうさまでした(お疲れ様です)!」」」

「「「ピピ〜!ピピピ〜!」」」

 

ウバウゾーの浄化に伴い、解放されたパン系レシピッピ三体はスパイシーのハートキュアウォッチに吸い込まれていき、無事を確認したスパイシーは静かに微笑む。

 

ジェントルー「キュアスパイシー。覚えておこう...」

 

ジェントルーは姿を消す。

 

プレシャス「スパイシー、やったね!」

スパイシー「...ふふっ。一緒だから、出来たの。それに私、ずっと貴女達に伝えたかった」

プレシャス「えっ?」

スパイシー「...有難(ありがと)う」

ディケイドB「どう致しまして」

プレシャス「えへへ。此方(こちら)こそ有難(ありがと)う」

パムパム「これからはずっと一緒パム〜!」

 

感謝の言葉を述べられ、俺達は笑みを浮かべる。

 

ローズマリー「心強い仲間が出来たわね」

プレシャス「うん!あっ...アハハ。ハラペコった〜」

ローズマリー「もう。プレシャスったら」

ディケイドB「どんだけ食い意地張ってんだよ」

スパイシー「それなら...」

 

 

 

 

 

 

その後はHeart Bakaryに戻った側にてローズマリーも来店する事となり、色々な種類のパンがあって迷っていたそうな。

一方、俺達三人は外で改めてパンを食う事となった。

 

ここね「どうぞ」

ゆい「有難(ありがと)う」

咲夜「んじゃ、俺も。はい」

 

芙羽は三等分にしたカレーパンの一欠片をゆいと俺にシェアする。

俺も器用な手で三等分にしたカレーパンの二欠片を、ゆいと芙羽にシェアする。

 

ゆい「あむっ、んん〜っ。デリシャスマイル〜!」

咲夜「サクッと...うん。美味い」

ここね「...美味しい」

 

カレーパンの味を噛み締める俺達は、互いに笑顔を浮かべるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スパイシー「今日はシュワシュワサイダー。私とCheers!」

 

オリジナルED『吉武千颯 /DELICIOUS HAPPY DAYS♪』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回、デリシャスパーティ♡プリキュア ~破壊者の食べ歩き~

 

ゆい「ここねちゃんに避けられてる...?」

 

ディエンド「加盟した記念に、一つ芸当を見せてあげよう」

 

ディケイド「共に戦う仲間を励まし、助け合う。そして一緒に進化していく...」

 

第五品:仲良くなりたいのに…!ここね、初めてのお友達!/ジェントルーの助っ人!?トレジャースナイパー ディエンド!

 

全てを破壊し、全てを繋げ!

 




次回、ここね迷走。




















如何でしたでしょうか?お陰様で全四話リメイク完了致しました!今回は平成一期と二期の9作目繋がりとしてキバとビルドを出しました。
ビルドは第二品で登場済みですが、カメンライド済みの他のライダーも状況に応じて再変身させる予定です。
次回はディエンドが登場します。それでは。






















初使用したカメンライド

カブト、キバ

KAMEN RIDE
-昭和-
1号、2号、V3、ライダーマン、X、アマゾン、ストロンガー、スカイライダー、スーパー1、ZX、BLACK、BLACK RX
-昭和(ネオライダー)-
真、ZO、J
-平成1期-
クウガ、アギト、ファイズ、響鬼、電王
-平成2期-
ダブル、オーズ、ウィザード、鎧武、ドライブ、ゴースト、エグゼイド、ジオウ
-令和-
ゼロワン、セイバー
-TVシリーズ外-
仮面ノリダー、ホッパー1号(The First版1号)、ホッパー2号(The First版2号)、ホッパーVersion3(The Next版V3)、G、アマゾンズ(オメガ、アルファ、ネオ)、ミライダー(シノビ、クイズ、キカイ、ギンガ)



ディエンドが裏切るならどのタイミング(ちょっとネタバレ要素あり)?

  • ハートジューシーミキサー
  • 追加戦士
  • パワーアップアイテム
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