デリシャスパーティ♡プリキュア ~破壊者の食べ歩き~   作:ライノア

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これまでの~破壊者の食べ歩き~は...?

「私に恨みでもあるの〜!?」

「まだお嬢様扱いされてる様だが気にするな」

「あたしはキバット族のキバーラ...クソ犬ちゃん。貴女、ディケイドが如何いう存在か知りたくない?」

「大変な事になったパム...」

「悪いけど僕を命令していいのは僕自身だ。誰も命令にも従うつもりはない」

「助ける。同じ釜のご飯を食べた...『友達』だからっ!!」

「誰かが言っていた...『人の力も汁も合わせるのが味噌』ってな」

「チェックメイト!」



第七品:強火の情熱!煌めいてキュアヤムヤム!!/目覚める最後のエナジー妖精!正しい加熱の仕方!! 

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Sakuya side

 

怪物騒動が収まった放課後、俺達はHeart Bakaryでここねが気になっていた事を告げる。それは投稿サイト『キュアスタ』で鳴戸がアイコンのアカウント『ちゅるりん』が食レポをしている画像がこれまで被害に遭ったレシピッピに関連する料理ばかりが投稿されていたのだ。ここねがその画像の中で一番気になっていたのはこれ。

 

ここね「『ぱんだ軒のラーメン最高!これを食べたら、ラーメンの妖精が現れて』...!?」

 

液晶画面をスワイプするここね。すると後の画像にはラーメンのレシピッピがイラストとして投稿されていたのだ。因みに後ろ姿もきっちりと描かれている。

 

ここね「あ、これって...!」

咲夜「レシピッピ...!?」

ゆい「ええっ?若しかしてレシピッピ!?」

ここね「うん...」

ゆい「ちゅるりんさんは見えるんだ...!」

パムパム「やっぱりブンドル団と関係あるパム?」

コメコメ「コメ?」

 

クソ犬は早とちりをするが、そうとは言っていない。

 

咲夜「いや、仮に店のラーメンやスープ等の画像の投稿に別状はないが、学校のエビフライが投稿されているという事を考えれば...投稿者は恐らく、うちの学校の生徒である可能性は大だ。兎に角そのぱんだ軒ってところに行って、ブンドル団と関連があるかどうか調べに行こうぜ」

 

俺達の一日はまだ終わってはいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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No side

 

ゆい『それで待ち合わせしたいんだけど...ぱんだ軒ってラーメン屋さんでいいかな?』

 

ゆいとの連絡をデリシャストーンで通じながら、ローズマリーは立ち止まる。

 

ローズマリー「勿論よ。もう来てるし」

ゆい『ええっ!?何で!?』

咲夜『まさか、エナジー妖精が目覚めたのか!?』

ローズマリー「ええ。『ラーメン食べたい』んですって...メンメンが」

咲夜『メンメン...?」

メンメン「メン...」

 

三体目であり最後のエナジー妖精 メンメンはきょとんとした声色でそう呟くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

世界の破壊者 ディケイド。(いく)つもの世界を巡り、この世界にて何を噛み締める?

 

イメージOP『寺島拓篤/Nameless Story』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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Sakuya side

 

パムパム「やっと目覚めたパム〜!」

 

コメコメの時と同じ様に、クソ犬はメンメンと呼ばれるエナジー妖精に抱き付く。このパターンはご察しの通り。

 

パムパム「メンバーヌ・チュルチュルット・クルクルリン・グルタミンサン・メンドラゴン!」

咲夜「......!」

 

長え。けどこれで表情が顔に出ようが歯を食い縛りながら我慢しないと漢の務めにはならない。

 

ゆい「メンチュル・クルクルゥ〜...!」

 

同じく名前が長過ぎて混乱しながら倒れ掛けたゆいを抱えるここね。いや待て、名前の最初と最後に『メン』ってついたな。メンドラゴンって...完全にアレだろ。

 

咲夜「『メンバーヌ・チュルチュルット・クルクルリン・グルタミンサン・メンドラゴン』!これがこの鹿の本名だ!」

メンメン「メンッ!?」

パムパム「咲夜、一発で全部覚えちゃったパム...それとメンメンは鹿じゃなくてドラゴンパム!」

咲夜「いやどう見ても鹿だろ」

メンメン「僕は鹿じゃないメン!」

咲夜「いや鹿だ。何処をどう見たって丸っこい耳があった時点でテメエは鹿だ」

メンメン「僕はドラゴンメン!」

咲夜「鹿だ!」

メンメン「ドラゴンメン!」

咲夜「鹿!」

ローズマリー「まぁまぁ。会ったばかりなんだし、喧嘩もそれぐらいにしときましょ?」

 

忠誠するローズマリーに俺達は(いさか)いをやめた。

 

咲夜「...分かったよ」

メンメン「僕の事はメンメンって呼ばれればそれでいいメン」

 

気持ちを落ち着かせ、のんびりとした口調で話すメンメンは主張すると、ゆいは安堵する。

 

ゆい「有難う、メンメン!」

メンメン「メン」

 

鹿野郎は憎めないが、エナジー妖精は皆可愛い事というが分かった。暫く経って店の鉄扉を少し開けながら店内を覗いてみる。

 

???「いらっしゃーい!」

咲夜「うわあっ!?びっくりしたあ!!って、お前...華満!?」

らん「はわ?和実さんと芙羽さん!エースの咲夜さんまで!」

 

すると、ひらがなで『ぱ』と描かれた赤いエプロンを着た少女が出迎えてきた。驚く一同。その正体は俺達三人と一番下の席にいた少女、華満らんだった。

 

ゆい「此処、華満さんの家だったんだ」

らん「うん。さ、中にどうぞ〜」

 

中に入ってみると、一番左に座っているパンダの置物や、絵柄が並んでいた。

 

「「へいらっしゃい」」

ここね「可愛いお店...」

ローズマリー「そうなの?」

咲夜「それは個人の感想によるぜ」

 

暫く経って、俺達にラーメンが配られた。具材は豪華で、卵、メンマ、チャーシュー、餃子、海苔、そしてパンダの顔が描かれた鳴戸が入っていた。

 

らん「お待たせしました〜!さ、家の特性スープをお楽しみくださ〜い!」

「「「頂きます!」」」

咲夜「頂きマスタードラえモンゴル!」

 

俺は舌を舐めずり、早速一同で食う事に。因みに俺はラーメンだけじゃ物足りなかった為か、飯も頼んどいた。これは飯が進む。

 

ゆい「デリシャスマイル〜!」

ローズマリー(やだ、箸が止まらない...!)

ここね「...美味しい」

咲夜「うんめえー!飯が進むぜェー!!おら、野郎共も食え!」

 

コメコメとクソ犬にラーメンの麺を食わせる。残った鹿には箸で摘んでいる麺でおちょくる。

 

咲夜(...しゃあねえな)

 

流石に嫌気を刺したのか仕方なく麺を食わせると、さっきの態度が水に流れた鹿は幸せそうな表情で食っている。

 

ここね「このスープ、優しい海の味がする...」

ゆい「これは昆布かな?出汁が絶妙!」

咲夜「箸で溶かした卵の黄身とチャーシューの味が出汁の中で歌うハーモニー。まさにオーケストラそのものだ。それしか言えねえ程美味い...!」

らん「一口食べただけで家の隠し味が分かるなんて...嬉しい!このスープは家の家族の涙と汗の結晶なんだ...!」

 

華満が俺の手を握りながら素材集めの旅の経歴を熱弁(ねつべん)する。

 

らん「この味を完成させるまでにはね、もの凄〜く長い時間が掛かって...ある時は荒れた海を乗り切り、またある時は異国の地を彷徨って...漸く最高の食材と出会って生まれた家自慢の特製のスープなんだ!」

咲夜「ちょっと大袈裟っぽいが、色々と苦労したんだな」

らん「あ。はにゃ、食べてたとこ御免ね...あはは、ひひ」

メンメン「......!」

 

気を確かに持った華満は照れる。

 

ゆい「ぷはーっ!」

「「「「ご馳走様でした(ごっつぁんです)!」」」

 

俺達はスープを飲み干すと、その笑顔に答えながらラーメンのレシピッピが現れる。

 

レシピッピ「ピ〜!」

らん「あっ!ラーメンの妖精!」

「「「「ええ(はぁ)っ!?」」」」

ゆい「レシピッピが見えるの!?」

らん「およ?『レシピッピ』...?」

ゆい「うん。妖精さんの名前!」

らん「若しかして、皆にも見えるの!?」

ゆい「うん、見えるよ!」

 

ゆいに合わせる様に俺達は頷くと、ラーメンのレシピッピは華満の手の平に止まる。

 

らん「うわあ...レシピッピっていうんだ」

ここね「若しかしたら...

ゆい「えっ?」

ここね「ちゅるりんさんって...!

らん「よーし!今日はらんらんのレシピッピ記念日に決定!」 

 

小声でここねはゆいに耳元でちゅるりんの正体を察しようとするが、華満の声で遮られてしまう。

 

メンメン「す、素晴らしい記念日メン!」

咲夜「!?」

らん「だよね〜...『メン』?って、誰?」

咲夜「た、ただの縫いぐるみだ。気にするな」

ローズマリー「...ホント、素敵な記念日メン!」

 

誤魔化さんがばかりに隠した鹿をローズマリーはそのままコートのポケットに入れた。

 

らん「有難う御座いました〜!」

ローズマリー「ああ...焦った〜」

ゆい「ぱんだ軒のラーメン美味しかったね」

ここね「うん」

ローズマリー「ホント!」

咲夜「...」

 

結局ちゅるりん探索も忘れてなごみ亭に戻る事になったが、俺はまだちゅるりんの正体を掴む目的を諦めてはいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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No side

 

らん「はにゃ?これ和実さんのかなぁ...?」

 

ゆい達が帰って暫く経ち、らんはパンダの縫いぐるみから小鹿の様な黄色い物体を見かける。

 

???「和実?お友達、およねさんのお孫さんだったの!」

らん「知ってるの?」

???「らん。なごみ亭だ、届けてやんな」

らん「うん、分かった。いってきま〜す!」

 

らんの母親 つるねはなごみ亭を知っているかと問うと、父親のこしのすけが黄色い小鹿らしき物を届ける様に促す。同時に黄色い小鹿...メンメンは目を覚ますが、なごみ亭に届けられるまでは縫いぐるみのフリをせざるを得なかった。

 

 

□ 

 

Sakuya side

 

ローズマリー「メンメン。もういいわよ」

 

俺達はなごみ亭に戻り、ローズマリーはメンメンをコートのポケットから出てもいいと声掛けるが、出て来る音沙汰もない。まさか...!

 

咲夜「ちょっといいか?」

 

俺はコートのポケットを突っついてみると、目を丸くする。この感触、やはりこれはメンメンじゃない!

 

咲夜「...やっぱりな。ちょいとメンメン探してくるわ!直ぐ戻る!」

ゆい「あっ、え、ちょっと...!」

 

俺はオーロラカーテンから出現させたマシンディケイダーに(またが)りながら走行した。

 

「「「ええっ!?」」」

 

同時にローズマリーがポケットに間違えてパンダの縫いぐるみを入れてしまった事に関しては言うまでもなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

No side

 

らん「レシピッピかぁ...はんにゃあ〜!又会いた〜い!今度会えたらお話しして、ラーメンについて語り合って...ふわわわ〜!楽しみ無限大〜!!」

メンメン「止めてメン〜!」

らん「ふに?誰?」

 

縫いぐるみのフリをしていたメンメンを握りながら両手をぶん回すらん。何処かで声がしたと感じると振り回す手を止める。

 

メンメン「メンメン〜...」

らん「うわあっ!?」

メンメン「ん?メン...!」 

 

宙に上がった反動で我に返ったメンメンはらんを見て、喋らない様に手で抑える。

 

らん「ほわわ〜!ほわん、ほわん、ほわ〜ん!君、何の妖精!?」

 

そんなメンメンを見たらんは興味津々で目を輝かせる。

 

メンメン「...驚かないメン?」

らん「マシマシに驚いてるよ〜!でもレシピッピがいるんだもん。他の妖精だって全然アリ〜!(むし)ろウェルカ〜ム!」

メンメン「....!僕、メンメン。ラーメン美味しかったメン!」

らん「ありがと〜!華満らんだよ〜!じゃあメンメン。お友達記念にツーショット!」

メンメン「メン!」

???「見つけたぞ鹿野郎」

 

(いず)ら動じる事なく記念撮影をした直後、マシンディケイダーに跨っていた咲夜が声掛けた。

 

 

Sakuya side

 

ゆい「はい」

らん「はい!」

ゆい「本当に有難う」

らん「ううん。またねメンメン

メンメン「メンメン」

らん「それじゃまた〜」

 

パンダの縫いぐるみと鹿が取り換えると、華満は鹿に小声でまた会える事を期待しながら去って行った。

 

ゆい「えっ?今の...」

咲夜「ローズマリー。お前、とんでもないミスを犯したな...お陰で鹿が妖精だって事バレたぞ!!!?」

ゆい「ええっ!?」

 

俺の一喝で一同は唖然(あぜん)とした。暫く経って俺はゆいとローズマリーと共に鹿とベンチで今までの出来事を話していた。

 

メンメン「大丈夫メン。僕の事は黙っててくれるって約束してくれたメン」

ローズマリー「でも、気を付けなきゃ駄目でしょ?」

咲夜「いや、元はと言えばお前の確認不足のせいだろ?お互い様だ」

ローズマリー「ぎくっ!?...そ、それもそうね」

メンメン「メン...」

ゆい「でも華満さん、良い人でよかったね」

メンメン「らんちゃんと話すの楽しかったメン」

パムパム「どんな事話したパム?」

 

その様子を見にクソ犬は問い掛ける。

 

メンメン「ラーメンの事とか...レシピッピは『ほかほかハート』が好きって話をしたメン」

ゆい「ほかほかハート?」

ここね「?」

ローズマリー「『ほかほかハート』っていうのはね...お料理を食べる人の『美味しい』や『嬉しい』、『有難う』の気持ちから生まれるものなの」

咲夜「つまり、レシピッピはそこからエネルギーが一杯あるところに出現しやすいということか」

ゆい「へぇ〜、そうなんだ...」

 

警戒した方がいいぞお前ら。恐らく次に狙われるのはぱんだ軒だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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DIEND SIDE

 

ディエンド「ジェントルー。何見てるの?」

ジェントルー「この『ちゅるりん』というアカウント、今後のレシピッピの回収にも(はかど)ると思ってな」

ディエンド「へぇ...そうなんだ」

 

僕はジェントルーのスマホを見てみる。彼女によれば、此方の世界のインスタ『キュアスタ』の投稿者『ちゅるりん』というアカウントが今後のレシピッピ回収に役立つという事だ。

 

ジェントルー「それはそうと、スパイとして送り込んだ奴はどうしている?ディケイドが変身した別の姿のライダーと何か関係があるのか?」

ディエンド「キバーラの事?彼女なら大丈夫だよ。彼が変身する仮面ライダーはディケイドの天敵だからね」

ジェントルー「『ディケイドの天敵』...?」

 

暫く経ち、僕達はおばさんと作戦会議をしている。

 

ディエンド「...というわけなんだ」

セクレトルー「一度に沢山のレシピッピを...?」

ジェントルー「はい。より強いウバウゾーを作るため、最適な場所を見つけました」

ディエンド「この前の四体だと物足りないからね。せめて五、六体を捕獲すれば問題ないと思って。その分、僕がディケイドを追い詰めるのにも捗るしね」

セクレトルー「分かりました。良い作戦ですね...っていうか、そんなイケイケの店行きたいわ!

ディエンド「今度連れてってあげるから」

セクレトルー「...そうですか、それは楽しみです。それでは...!」

ディエンド「やっちゃうか」

セクレトルー「せーの!」

「「「ブンドルー!ブンドルー!!」」」

 

この儀式マジで勘弁して。僕にとっては地獄だ。本音を吐かずに僕達は作戦を開始するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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Sakuya side

 

数日後、今日は担任教師から転校生が来るとの情報が入る。クラスメイト達が教室内でざわつき始め、どんな生徒が来るのか待ち遠しい気持ちを吐露する。

 

ゆい「ええーっ!?」

ここね「!」

らん「はにゃっ!?」

咲夜「!!」

 

引き戸が開けた転校生を見ると、俺と瓜二つの茶髪の生徒が教室に入って来たのだ。

 

???「はじめまして、今日からお世話になります。海詠(わだなが) 透冀(とうき)です」

クラスメイトA「あいつ、咲夜に似てないか?」

クラスメイトB「門津君そっくりだ...!」

クラスメイトC「異母兄弟かな?」

 

違え、絶対違えよ。俺はこいつの事を昔から知っている何故なら————。

 

透冀「久しぶりだね、''アキノリ''。相変わらず食べれる様になった?果物の柿じゃない方の牡蠣」

咲夜「!!」

 

唐突に放たれた言葉に俺は目を丸くする。

 

クラスメイトA「えっ...焼き海苔?」

透冀「ア・キ・ノ・リ。僕が昔、彼が...咲夜君が昔、海苔を食べていたから、その渾名で呼んでいたんだ」

クラスメイトB「それじゃあつまり、門津君とは幼馴染みって事?」

透冀「まぁ、そんな感じになるね。それと、君達は咲夜君の事を普通に『門津君』って呼んでもいいから気にしないで。彼の事をアキノリって呼んでもいいのは僕だけだから」

クラスメイトB「は、はぁ...?」

担任教師「それじゃ、海詠君は門津君の席から右ね」

透冀「はい」

 

こいつは俺の事を『アキノリ』と呼んだ。けど、それは間違いではない。何故ならその名前は————

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の転生前の名前なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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TOUKI SIDE

 

らん「レシピッピ、レシピッピ、レシピッピ...ひにゃあ〜。やっぱりレシピッピについての本はないか...」

???「驚いたな... 」

らん「お?」

???「君もレシピッピを知っているのか?」

 

図書室でレシピッピの本がないと猫背になりながら落ち込む華満少女の前に僕とジェントルー...否、菓彩あまねが前に出る。

 

らん「あ、生徒会長。海詠君までどうして此処に?」

透冀「そんな事はどうでもいい。そんな事より、先ずは場所を変えよう」

 

 

□ 

 

あまね「より多くのレシピッピをか?」

らん「はい。どうしたら会えるでしょうか...?」

あまね「...良い方法がある」

らん「教えてください生徒会長!」

 

食いついた華満少女は目を輝かせながら聞く耳を持った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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Sakuya side

 

数日後、ぱんだ軒には長蛇の列が並んでいる。理由としては『ラーメンとセットで一品半額サービス!』と実施されていた事で大繁盛、俺達は急遽(きゅうきょ)その店の手伝いをする事となった。

 

ゆい「お待ちどう様!ラーメン二丁上がり!」

ここね「はぁ...はぁ...」

ローズマリー「えっさ、ほいさ...」

咲夜「アルアルアルアル...!」

「「御っ手伝い〜」」

らん「...ありがと!」

 

客がそれぞれ感想を述べるとラーメンを含め、中華料理レシピッピが現れた。

 

ゆい「うわあ...!凄いよ、こんなに沢山のレシピッピ見た事ない!若しかしてこの為に...!」

らん「うん!家の自慢のスープに皆が...感動してくれてるんだあああああああああああッ!!」

メンメン「想像を越える情熱メン...メン?」

 

その時、鹿のオレンジのフードに付いているハートが黄色に淡く光出す。

 

咲夜「早速おいでなすったか...!」

 

この気配、間違いなくブンドル団だ。

 

ジェントルー「ブンブン、ドルドル、ブンドルー!!」

「「「ピピピ〜!ピピ〜!!」」」

らん「ほえっ?ああっ!」

「「「「「「ピピ〜...」」」」」」

 

中華料理のレシピッピ計六体は、捕獲用の蓋に捕獲されてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

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DIEND SIDE

 

ジェントルー「ふっ。レシピッピをこれほど沢山集める事が出来るとは...」

ディエンド「まさに策略の内だね」

 

ジェントルーが捕獲箱の(ふた)を閉める鉄扉が開き、オカマさんが叫ぶ。

 

ローズマリー「あそこ!」

ジェントルー「ラーメン娘。君のお陰だな」

ディエンド「君が僕達の罠にまんまと掛かってくれたお陰でより計画が捗ったよ」

らん「えっ?らんらんの...?」

ゆい「ジェントルー!ディエンド!」

ジェントルー「出でよ、ウバウゾー!」

ウバウゾー「ウバウゾー!!」

 

ジェントルーはテボ...敢えて言うなら麺湯切り器を青い炎に包み込ませ、ウバウゾー化させる。

 

ローズマリー「デリシャスフィールド!」

 

オカマさんは虹色のオーロラを出現させて空間に飛び込むが、竜の胴体を持つ黄色い鹿はオーロラから脱出する。

 

咲夜「よし、俺も...ぐっ!?」

 

アキノリも後を追おうとするが、僕はゼロディエンドライバーから放った銃弾で妨害させる。

 

ディエンド「君を彼らのところへは行かせない」

咲夜「それはどうかな?変身!」

【カメンライド ディケイド!】

 

ゼロディケイドライバーを腰に当て、ディケイドのライダーカードを装填したアキノリはディケイドへとその身を変化させる。

 

らん「はにゃにゃにゃにゃっ!?はにゃ〜っ!?門津さんが...変身した!?」

【アタックライド イリュージョン!】

ディケイドA「この力を俺も使えるって事、忘れたとは言わせないぞ?」

ディエンド「そうか。だったら止むを得ないね」

 

アキノリはイリュージョンで三人に分身し、Aと思われる個体が右手を翳すと、銀色の幕『オーロラカーテン』を出現させる。よりによってそう来たか。だけど僕もただ見てるだけじゃつまらない。黒いカードホルダーから二枚のライダーカードを取り出し、ゼロディエンドライバーに装填させてポンプアクション。ディスプレイに浮かんだ紋章はZEXTと描かれた二体の精霊飛蝗(ショウリョウバッタ)

 

ディエンド「地獄から来たお客さん。いらっしゃい」

【カメンライド キックホッパー!】

【カメンライド パンチホッパー!】

『『Change Kick(Punch)Hopper. 』』

 

トリガーを引くと三原色が現れ、ライダーの姿を形作る。飛蝗の全身を連想とさせる赤い複眼を持ち、ジャッキの様なハンマー機構を利き足である左側に付けている深緑のバッタライダー。その横に並び立つのはもう一人のキックホッパーだけど体色は焦げ茶色で複眼が白。ハンマーの様な機構は右足に付いている。

地獄の底から這い上がり、『地獄兄弟』とも呼ばれた二人組のライダー。仮面ライダーキックホッパーとパンチホッパーが個体AとBと対峙する。

 

パンチホッパー「兄貴。如何やら俺達、(また)地獄から這い上がれたみたいだね」

キックホッパー「ああ。例え何度倒され様と俺達はずっと一緒だ」

ディケイドA「影山...!?」

ディケイドB「矢車まで...!?」

パンチホッパー「久しぶりだなアキノリ。いや、今は''咲夜''って呼んだ方がいいのかな?」

キックホッパー「何方でもいいだろ呼び方なんて。どうせ俺なんか...呼ばれてもいい渾名なんて存在しない」

 

その性格も相変わらずだね矢車君。

 

ディケイドA「C。ゆい達の援護に行ってやれ」

ディケイドC「分かった。そっちは頼んだぞ!」

ディケイドB「間違っても消滅するなよ?」

ディケイドC「...ふっ、任せておけ」

キックホッパー「今...誰か俺達を笑ったか?」

ディケイドC「あ。ヤベ」

キックホッパー「お前ら同じ姿をしているな。笑ったのはお前か?それとも、お前かぁッ!?」

ディケイドB「行け、C!矢車達は俺達が如何にかする!」

ディケイドC「ああ。死ぬなよ二人共!」

「「お互い様だ!!」」

 

個体Cはサムズアップを個体Aと個体Bに向けると過敏的に反応し憤慨するキックホッパーは個体Cに襲い掛かろうとするが個体Aに阻止され、個体Bはキックホッパーの相手をする。活を入れたCは頷きながら和実少女達のいるデリシャスフィールドに繋がっているオーロラカーテンへと飛び込んで行った。

 

ディエンド「これは僕からの無料サービスだ」

【カメンライド 剣斬!】

 

瞬時にカードを装填し、ディスプレイに映る風を切る仮面。外見は忍者そのもので、黄緑と緑の二刀を両手に持つ。緑のマフラーを(なび)かせる風の剣士 仮面ライダー剣斬は個体Cの追跡し、オーロラカーテンに飛び込んで行った。

 

 

 

□ 

 

C SIDE

 

俺はAが出現させたオーロラカーテンに飛び込み、デリシャスフィールド内にいるゆい達と合流を果たすと、オーロラカーテンに飛び込んだ側に召喚されたと思われる緑の忍者ライダー 剣斬はジェントルー側に並び立ち、聖剣『風双剣翠風(はやて)』を両手に腰を落としながら構える。同じくウバウゾーも鎖鎌の要領で繋がっている麺湯切り器を構える。

 

ウバウゾー「ウバウゾー!!」

ディケイドC「皆。任せて悪かった!」

ジェントルー「来たかディケイド。このウバウゾーは今までとは一味違う...此処はプリキュア共々退いた方が身のためだぞ?」

ゆい「それは無理!」

ここね「当然」

ディケイドC「生憎だが、逃げるという選択は俺達の辞書には載ってないんでな。本気で行かせてもらう!」

 

 

 

□ 

 

「「プリキュア!デリシャスタンバイ!パーティーゴー!!」」

 

 

 

 

 

 

□ 

 

 

コメコメ「コメ!」

 

ゆい「プリキュア!デリシャスタンバイ!パーティーゴー!にぎにぎ!」

 

コメコメ「コメコメ!」

 

ゆい「ハートを!」

 

コメコメ「コメコメ!」

 

ゆい「シェアリンエナジー!」

 

コメコメ「コメ〜!」

 

 

 

 

 

 

コメコメ「コメコメ!」

 

プレシャス「熱々ご飯で漲るパワー!キュアプレシャス!美味しい笑顔で満たしてあげる!」

 

 

 

 

 

 

パムパム「パム!」

 

ここね「プリキュア!デリシャスタンバイ!パーティーゴー!オープン!」

 

パムパム「パムパム!!」

 

ここね「サンド!」

 

パムパム「パムパム!」

 

ゆい「シェアリンエナジー!」

 

パムパム「テイスティー!」

 

 

 

 

 

 

パムパム「パムパム!」

 

スパイシー「ふわふわサンドde心にスパイス!キュアスパイシー!分け合う美味しさ焼き付けるわ!」

 

 

 

 

□ 

 

ディケイドC「もう変身してるけど一応言っとこう。全てを束ね、全てを創る!仮面ライダーディケイド!!旅の語らい...始めようか!」

ジェントルー「愚かな。ウバウゾー!」

ウバウゾー「ウバッ!」

「「早い!」」

ウバウゾー「ウバウゾー!ウババババババババ!!」

 

ウバウゾーは飛び掛かり、目にも止まらぬスピードでギリギリの距離で近づき、ヌンチャクの要領で地面に叩きつける。

 

プレシャス「はああああーっ!!」

ローズマリー「上手いわプレシャス!」

プレシャス「!」

 

プレシャスの蹴りでウバウゾーは宙に上がるが、隙を狙っていたのか挟み撃ちにした網で捕獲し、中にいるプレシャスごとぶん回す。

 

スパイシー「プレシャス!」

ディケイドC「こっちも合流したいところだけどよ、全然攻撃の隙を与えてくれない...!」

 

剣斬の疾風の如く剣撃が俺を徐々に追い詰める。これじゃ合流出来そうにもない。けど、AとBもこっちで応戦してるんだ。俺がやらなきゃ誰がこいつを止めるんだよ。俺は剣斬の双剣を押し返しながらライドブッカーからカードを取り出す。

 

ディケイドC「剣士には剣士だ!」

【カメンライド セイバー!】

『ブレーイブドラゴーン!』

 

炎に包まれ、右手に握られている聖剣『火炎剣烈火』で斬り払うと、俺を剣士の姿へと変化させる。赤いドラゴンの上顎を(あし)らう装甲と赤いローブの右半身。剣の刀身を模したアンテナと燃え盛る炎を宿すクロスの複眼を持つ複眼。物語の結末を自分で決める炎の剣士『仮面ライダーセイバー』へと姿を変えた俺は剣斬の剣撃に左手に剣モードにしたライドブッカーを持った荒々しい二刀流で対抗し、鍔迫(つばぜ)迫り合いに迫った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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No side

 

客A「おい!何だアレは!?」

客B「誰か戦ってるぞ!」

「「えっ(メン)?」」

 

ぱんだ軒の料理が突如味が変化し、敬意を払った客達の声を頼りにらんとメンメンはその場に駆け寄ってみると、二人のディケイドと地獄兄弟が交戦していたのだ。その戦闘を目撃していた客達はその戦いに不安を感じていた。料理の味が変化した原因は彼らにあると。

 

ディケイドA「だったら、これで!」

ディエンド「させないよ」

 

ライドブッカーからカードを取り出すAとBだが、ディエンドの高速移動によって奇襲を掛けられる。

奇襲を掛けたディエンドの手元にはカブトと全身に銀色のラインが走る赤い複眼を持つファイズのライダーカードだけではない。全て高速戦闘が可能のライダーカードが存在していたのだ。

 

キックホッパー「ありがとなレグ。これで吉木を倒し易くなった...お前はいいよなぁ、吉木。どうせ俺達なんか...他のライダーにも成れやしない」

「「ライダージャンプ」」

『『RIDER JUMP.』』

 

ベルトにあるホッパーゼクターの脚を畳み空中に飛び上がる地獄兄弟。

 

キックホッパー「ライダーキック...!」

パンチホッパー「ライダーパンチ...!」

『『RIDER PUNCH(KICK).』』

 

更にホッパーゼクターの脚を戻し、利き足と利き腕を防御体制に入ったディケイドに命中させるとハンマー機構が作動し、威力を上昇させた反動によって大きく後退させる。

 

ディケイドA「ぐっ...!?」

ディケイドB「やっぱりこいつらも前より強くなってる...!スペックはこっちが上の筈...!」

パンチホッパー「スペックが上とかじゃないんだよな。それ」

キックホッパー「どうせ俺達にはお前を倒せる気力なんてない。だが何度も倒され、這いずり回ってきたからこそ、お前らと同等に渡り合う強さを身に付けた。最早スペックの差なんてどうだっていい...」

ディケイドA「そういう事か...大体分かってきた」

ディケイドB「お前らは俺達に倒される度に力を(たくわ)え、今の様にオリジナルとしての自我が芽生えた...!」

 

キックホッパーとパンチホッパーの言い方は正論に値する。嘗て彼らは過去に仲間から見捨てられたのは皮肉でしかない。だが、こうして彼らが共にいるからこそ言える事なのだと改めてAとBは実感させられてしまう。

 

パンチホッパー「そういうこと。レグが召喚するライダーは負ける度に強さを増していく。勿論、俺と兄貴も同様にな...兄貴。話すのも面倒だし、そろそろ終わりにしようよ」

キックホッパー「そうだな相棒。吉木...いや、門津。お前も俺達と地獄に堕ちろ」

らん「そんな門津さんが...!らんらんがレシピッピに会いたいだなんて言ったから...!」

メンメン「らんちゃんのせいじゃないメン...」

 

ディケイドの正体を咲夜だと判断したらん。歩み寄る地獄兄弟に窮地に追いやられるAとBを見て後悔の涙を流す。

 

ディケイドA「...るな」

らん「えっ...?」

ディケイドA「自分を責めるなッ!!!!」

 

その様子を見ていたAは仮面の下で歯軋りをしながら一喝する。

 

ディケイドA「鹿の言う通り、自分を責める必要はない。お前はこうも言ったな。『お料理の妖精に又会いたい』って。その言葉に嘘偽りのない想いに応えられたからこそ会う事が出来たんだろ?俺は嘗て、自分の家族に自由を奪われたままだと勘違いして何度も自分を責め続けた。そんな心が暴走して俺自身の悪魔を具現化させてしまった。その頃の俺は指を咥えて見ているだけの木偶(でく)の坊で、ビビりで、言い返せる勇気がない臆病者で、親友の期待を裏切って、本音を吐くのが怖くて、ただ自分に甘えてるだけで、そんな自分が嫌で...過去の自分を見返す事だけに...仮面ライダーの...ヒーローの役割に人生の全てを捧げた!」

らん「仮面...ライダー?」

ディケイドA「そうだ、仮面ライダー...それが俺が変身するヒーローの名だ。俺はこの力を手に入れてから記憶を失って、多くの者と出会い、その中には死んだ者もいた。けどな、俺はそいつらの事を一度も忘れた事がない。何故なら、この胸に永遠に刻み込んでいるからだ。客だってそうさ。誰か美味いと思えば美味いと思うし、不味いと思えば逆に不味いと不満に思うする。そんな人間の感情をお前は幾度か見てきた筈だ。だが俺が一番見たくないのは...誰かが泣く顔だ!!」

らん「っ!」

ディケイドA「俺達は...俺はこれ以上、誰かが泣く姿を見たくない。いつまでも笑ってままでほしいんだ!老若男女も関係ない!よく聞けブンドル団!!お前らが料理の味を奪って欲を満たす為にその力を振るうのなら俺は...人間の自由と!料理の味を守る為にこの力を振るう!知ってるか?『人間諦めなければ必ず努力は満たされる』そうだ。お前らも道さえ違っていれば...違う未来を歩めていたかもな。完璧(パーフェクト)とかそういうのは関係なしにそう思ってるよ」

キックホッパー「何なんだ...!お前はッ...!?」

 

苛立ちを覚えるキックホッパーにふっと笑うA。その答えはとっくに決まっていた。

 

ディケイドA「胸に刻め、地獄兄弟。俺は門津咲夜、又の名を...仮面ライダーディケイド。人間の自由と料理の味を守る為に戦う...通りすがりの仮面ライダーだ。覚えておけ!B、仕上げだ!」

ディケイドB「ああ!」

 

状況を察したBはオーロラカーテンを出現させると、地獄兄弟は足を止める。証拠映像として映ってのはデリシャスフィールド内でプレシャスがウバウゾーに捕まり、手も足も出なくなっているスパイシーとローズマリーの姿が。らんはこのオーロラに飛び込めば間違いなく其処へ行き着くと察した。

 

客A「何だこれは...!?」

客B「おい見ろ!あの怪物、前に見た事あるぞ!それにあの子達は一体...!?」

ディケイドB「あの黒い怪盗服を着た少女の名はジェントルー。こいつこそ、ぱんだ軒の料理の味を狂わせた張本人だ。こいつが所属している怪盗ブンドル団はその名の通り、怪盗服を見に纏っているのが特徴で、全ての料理を独占しようと企んでいる悪の組織だ。彼方此方(あちこち)で料理の味を奪い、多くの店を閉店ガラガラに追い詰めたのもこいつらの所業。あんた達も何度か被害に遭っている筈だ。思い出してみろ、味が変わって怪物が現れたのが何よりの証拠。だからあの両親には何の罪も(とが)めもない」

客A「何だって!?通りでラーメンの味が不味くなると思った!」

客B「捕まえてレイp...じゃなくて痛い目に合わせてやる!」

ディケイドB「あんた達の力じゃ手に負えない。これは...俺達の戦いだ。約束する。俺達が...俺が必ず。おいしーなタウンの異変に終止符を打つ!」

らん「門津さん...!はんにゃ!」

 

客達はオーロラカーテンを抜けてジェントルーを懲らしめようとしたが、当然Bにらん自身の戦いだとハッキリと制止された。その間にらんはメンメンと共にプレシャス達のところにいるデリシャスフィールドと繋がっているオーロラカーテンに飛び込んで行った。

 

ディケイドA「頑張れ、華満らん」

ディケイドB「さて、俺達はこいつらの後始末をするか」

ディケイドA「昭和ライダーの力はあまり使ってないけど、止むを得ないな!」

ディケイドB「ああ、見せてやるよ地獄兄弟。これがライダーの原点にして頂点!始まりの記憶だ!」

 

オーロラカーテンが消滅すると、AとBはライドブッカーからライダーカードを取り出す。描かれていたのは原点にして頂点、飛蝗の頭部を模した二人のライダー。

 

「「ライダァァァァ...変身!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【カメンライド 1号!】

【2号!】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

C side

 

らん「はにゃ!?」

 

俺は剣斬と応戦している中、突如出現したオーロラカーテンが出現し、其処には華満がデリシャスフィールドに転送されてきたのだ。

 

ジェントルー「!?」

らん「はんにゃ!」

 

ジェントルーと対峙したらんは勇気を振り絞りながら足踏みをする。

 

らん「お願い!うちの味を返して!」

ジェントルー「何だ...?」

スパイシー「えっ?」

ウバウゾー「ウバ...?」

 

華満がジェントルーと対峙している光景を目にしたウバウゾーは両腕の振動を止める。

 

ローズマリー「ちょ、ちょっと。貴女達!如何して!?危ないわよ!」

 

ローズマリーが何を言おうと華満が立ち止まったままだった。

 

らん「ラーメンも餃子も、どのメニューも大事に作り上げたうちの味なの!その味を楽しみにしていたお客さんをガッカリさせたくない!!」

ジェントルー「客が楽しみにしていたのは...半額という値段じゃないのか?」

 

涙ぐみながら言った華満の言葉に冷静に反論するジェントルー。流石の華満でも言葉が詰まりそうになるが、突然に誰かの腹の虫が鳴る。これは言うまでもないだろう...。

 

プレシャス「華満さんの話聞いてたらハラペコった〜!」

「「この状況で!?」」

 

俺は戦っている最中でもローズマリーと共にツッコミを入れる。

 

プレシャス「ぱんだ軒のラーメン思い出しちゃったよ〜!美味しかったなスープ。昆布のお出汁が口の中一杯に広がって...」

ローズマリー「や、やめてよ。食べたくなってきちゃうじゃない」

スパイシー「麺の歯応え喉干しも、スープとよく絡んで...」

プレシャス「食べたい」

スパイシー「今直ぐに」

ローズマリー「あのラーメンを...!」

 

プレシャス達の話を聞いていると仮面の下で唾を飲んだ俺と剣斬は同時に剣を降ろす。

 

ディケイドC「俺だって...俺だって!あのラーメンの汁!チャーシューの油と掻き混ぜた卵の黄身が重なった時、聖なる心の隅から隅まで施す飯が進む味わいをもう一度体感したい!実験してみたくなるぜ。紅生姜(しょうが)入れたらどんなに美味いことやら...!早くウバウゾー倒して、今直ぐあのラーメンを食いてえええええええええええええええええええッ!!!!」

らん「...!」

メンメン「皆が美味しいって言ったから、ほかほかハートが溢れたメン!」

らん「はにゃっ!」

 

それぞれの感想を聞いて華満は自信を取り戻した。

 

剣斬「...紅生姜

ディケイドC「えっ?」

 

本音を叫んだ俺の紅生姜の発言に反応した剣斬は小さく呟く。

 

ジェントルー「ふっ、何かと思えば。君が呼び寄せた客は安さの釣られただけ...味など気にするものか!」

らん「はんにゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!!!

 

マントを(ひるがえ)しながら店の味を侮辱するジェントルー。怒れるハートに火が付いた華満は天に向けての叫びで雲を大きく過ぎらせ、涙を拭って必死に抗議する。

 

らん「勝手な事言わないで!あんたには理解できない!あの味を生み出すために流れた汗と涙の物語を!味わった人しかわからない、口の中一杯に広がる特製スープが巻き起こすきらめく感動!(さわ)やかな潮の旋風!あんたの想像の100万倍でもお釣りが来るくらい、あのスープは美味しさに溢れてるの!」

メンメン「メン!」

ジェントルー「生意気だ...!」

らん「うちの味...返して!!」

スパイシー「いけない!」

 

ジェントルーに立ち向かう華満をウバウゾーは蹴り飛ばそうとしたところをスパイシーがパン型エネルギーを飛ばして足止めをするが掻き消されてしまう。

 

らん「はにゃあ!?」

ディケイドC「くっ!」

【カメンライド 龍騎!】

【アタックライド アドベント!】

ディケイドC「来い、レッダー!」

 

俺はディケイド龍騎に姿を変えて呼び出したレッダーが咆哮を上げ、空中からの火炎弾でウバウゾーを牽制させる。

 

ウバウゾー「ウバッ!?ウバババッ!?」

メンメン「メンメン!」

 

其処からメンメンが口から放った直径数mの火球を放つ。放たれた火球は怒り狂うが如く上昇していく。

 

ウバウゾー「ウバッ!?」

 

ジェントルー「何っ!?」

メンメン「らんちゃんと咲夜の想いが、僕のハートに火を付けたメン!」

ディケイドC「中々いい炎を吐くじゃないか。パムパム、アレは?」

パムパム「年に一度に出るか出ないかの熱血モードパム!」

ローズマリー「激盛りレアって事!?」

プレシャス「超特大激盛り〜!!」

 

プレシャスとローズマリーはそう言ってるが、『出るか出ないか』って...Aに鹿って言われてるのが断然に理解出来るな。さて、今度は俺の番だ。俺はメンメンの前に立ちながらライダーカードを取り出す。

m

ディケイドC「メンメンだったな。本当の火の吹き方...教えてやるよ」

【アタックライド ストライクベント!】

ディケイドC「ドラグクロー...ファイヤアァァァァァァァァァァァッ!!」

ウバウゾー「ウバッ!?ウバババババ...ウバウゾー!?」

 

ドラグレッダーの頭部を模した鉄甲『ドラグクロー』が装備された右腕を突き出すとドラグレッダーが火炎を噴き出し、ウバウゾーを更に牽制させる。

 

メンメン「これが、本物の炎...!カッコいいメン!」

ディケイドC「だろ?ってなわけで(ハッシュタグ)龍騎20周年。ツイッタートレンドインよろしくな」

 

その時、不思議な事が起こった。メンメンのフードの装飾が放った黄色い光がらんのハートキュアウォッチを生み出したのだ。

 

ローズマリー「ハートキュアウォッチ...!?」

メンメン「らんちゃんのラーメン、僕大好きメン。だから一緒にレシピッピを助けて、あの味を取り戻すメン!」

らん「メンメン...有難う!」

メンメン「プリキュアに変身メン!」

ディケイドC「華満!」

らん「ほいきた!何でも来いだよ!」

 

 

 

 

 

□ 

 

メンメン「メン!」

 

らん「プリキュア!デリシャスタンバイ!パーティーゴー!!くるくる!」

 

メンメン「メンメン!」

 

らん「ミラクル!」

 

メンメン「メンメン!」

 

らん「シェアリンエナジー!」

 

メンメン「ワンターン!」

 

ディケイドC「ブフォッ!?」

 

悪い、初変身中に吹いたわ。

 

 

 

 

 

 

メンメン「メンメン!」

 

???「煌めくヌードルエモーション!キュアヤムヤム!美味しいの独り占め、許さないよ!」

 

 

 

 

 

□ 

 

ジェントルー「くっ!キュアヤムヤム...!?蹴散らせ!ウバウゾー!!」

ウバウゾー「ウバウゾー!」

 

ウバウゾーはテボを中にいるプレシャスをも巻き込んでヨーヨーの様な攻撃を仕掛ける。

 

ヤムヤム「はんにゃ!」

プレシャス「くるくる回る〜!!」

ローズマリー「ヤムヤムしっかり!スパイシーとCはサポートを!」

 

このまま避け続けてもヤムヤムの体力が減ってしまう事を悟ったローズマリーは指揮を取る。

 

スパイシー「オーケー」

ディケイドC「分かった!けど、どうやりゃいいんだ...?」

剣斬「...俺も手伝うよ」

ディケイドC「えっ?」

剣斬「マジでないわ。相棒と一緒に食ったラーメンの味を台無しにするなんて...俺も戦うよ。剣士として、アイツに今の俺の強さを見せてやりたい!」

ディケイドC「緋道...分かった!」

 

自我が芽生えた剣斬の意見に承諾した俺は攻撃するタイミングを見計らう。

 

ヤムヤム「はにゃ...」

スパイシー「任せて!」

ヤムヤム「はにゃ...有難う!バリカッターブレイズ!!」

 

スパイシーはパン型エネルギーでヨーヨー攻撃を防いでいる隙にヤムヤムは黄色いエネルギーの刃を麺湯切り器に当て、目を回しながらプレシャスは解放された。

その隙を狙って俺は左手に召喚したドラグレッダーの尻尾を模した青龍刀『ドラグセイバー』をドラグクローに逆手持ちで持ち替えながらファイナルアタックライドのカードを装填。

 

【ファイナルアタックライド リュ、リュ、リュ、龍騎!】

ディケイドC「ドラゴンライダースラッシュ!」

『猿飛忍者伝!ニンニン!翠風(はやて)速読撃!』

剣斬「はああああああッ!たああっ!!」

 

ドラグセイバーをドラグクローの炎で纏った刀身でドラグレッダーの尻尾の刀身をばねにして強く蹴り上げ、ウバウゾーの左側に斬り付ける。それに合わせ、剣斬は右側に回って風双剣の刀身に風のエネルギーを纏いながらウバウゾーに飛び掛かりつつ斬り裂く。

 

ウバウゾー「ウバウゾー!?」

メンメン「ヤムヤム、今メン!」

ヤムヤム「ふに!プリキュア!ヤムヤムラインズ!!」

 

ヤムヤムは液晶画面に触れ、両手に発生させた多数の麺状のエネルギーを一斉に飛ばし、ウバウゾーを浄化する。

 

ウバウゾー「お腹いっぱい!」

「「ご馳走様でした!」」

「「「「「「ピピ〜ッ!」」」」」」

 

ウバウゾーの消滅に伴い、六体のレシピッピが一気に解放されるとヤムヤムのハートキュアウォッチに格納される。

 

ヤムヤム「はわわ〜!」

ジェントルー「三人目のプリキュアが現れるとは...!」

 

ジェントルーは姿を消し、俺達はヤムヤムに駆け寄る。

 

プレシャス「有難うヤムヤム!」

ヤムヤム「やったよ〜!」

ディケイドC「ぱんだ軒の信頼を取り戻すのには余程の時間が掛かるが、あいつなら大丈夫だろう。なっ?緋道...ってあれ?緋道?」

 

俺は周囲を見渡しながら剣斬を探すが、その姿は見当たらなかった。だが、確信のある物は見つける事は出来た。それは剣斬のライダーカードだった。

 

ローズマリー「如何したのC?」

ディケイドC「いや、何でもない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

□ 

 

Sakuya side

 

咲夜「ホンットに済まなかった!」

ゆい「どうして急に謝るの?」

咲夜「まさか店が並んでいるところで戦うなんて思いもしなかったんだ!仮面ライダーとして本当に申し訳ない!!」

こしのすけ「気にするな丸坊主。あんたがおいしーなタウンの異変を解決するってはっきり宣言したんだ。その心意気は間違いなくヒーローの塊だ!」

つるね「そうよ、ヒーローは何事にも立ち向かう勇気があるからこそ何度でも立ち上がれるんだから。あんたもこれ食べて行きなさい、うちの店の繁盛を取り戻してくれたお礼だよ」

 

そう行ってつるねさんは俺をヒーローと(たた)えながらラーメンを差し出す。AとBが地獄兄弟を倒した後に変身解除した事で俺がディケイドだということがバレた。

 

咲夜「えっ?けど俺、客の皆にも正体バレちゃいましたし...」

観客A「遠慮すんなって。ヒーローがそんな事気にして如何すんだよ?人の事言えないけど、いつも美味しいラーメンを作ってくれてる女将(おかみ)さんに申し訳ない」

観客B「そうよ。私達の料理の味を守ってくれるって約束したじゃない」

観客C「よっ!料理の守り人『仮面ライダー』!」

観客D「『仮面ライダーは人間の自由と料理の味を守るためにブンドル団と戦うのだ!』...なーんてな」

観客E「これからも応援してるぜ。仮面ライダー」

咲夜「...!」

 

俺は多くの客にエールを贈られると何故か嬉し泣きをしてしまう。

 

つるね「ほら。麺が伸びる内に食べな」

咲夜「...いただきます」

 

視界が涙で一杯の中、俺は箸を手に取り、麺を口に運んでいき、スープを一口飲む。

 

咲夜「...ゔん。美味じい」

 

感涙に引き寄せられる味を喉に染み込ませながら俺は感想を述べたのだった。

 

ローズマリー「随分と泣き虫ね。咲夜は」

咲夜「...うるせえローズマリー。その顔歌舞伎にするぞ」

ローズマリー「なっ、歌舞伎って...!?一体何で描くつもりよ!?」

咲夜「これで」

 

俺が取り出したのは前にゆいと一緒にあおぞら市に遊びに行った側にまなつから貰った情熱のリップ。

 

ローズマリー「ちょっとそれリップじゃないの!?メイク落としにくくなったら如何すんのよ!?ちょっとやめなさいよ、ねぇ。ねぇったら!」

『ハハハハハハハハハハッ!』

 

店内に客達の笑い声が響き渡る。暫くして俺は腕で涙を拭いティッシュで鼻を噛んで漸く気持ちが落ち着いた。

 

咲夜「気持ちが大分楽になった...」

ゆい「これから宜しくね。らんちゃん!」

ここね「宜しく。ら...らん」 

らん「えへへ...こちらこそ宜しく。ゆいぴょん!ここぴー!」

ここね「ここぴー...!」

 

ここねは渾名で言われた事に照れる。何だか嬉しそうだな。

 

ローズマリー「ローズマリーよ」

らん「マリッペ!」

ローズマリー「『ペ』!?ふふっ。悪くないかも〜」

 

あの...ドラクエの何かっすか?因みに俺は『アキぽん』と呼ばれる事となった。何故かって?俺の転生前の名前が含まれてるからだよ。許すまじ海詠透冀。

 

ここね「それにしても、ちゅるりんがキュアスタに載せるお店はやっぱり美味しい」

らん「はにゃ...ちゅるりんを知ってるの?」

ゆい「ちゅるりんさんってさ...一体誰なんだろ。らんちゃん?」

らん「は...はにゃ...」

 

ゆい達は華満に目を向ける。

 

咲夜「何言ってんだお前ら、既に目の前にいるじゃないか。絶対お前だろ?華満」

らん「...は〜い。ちゅるりんで〜す」

咲夜「だと思ったわ!」

 

照れながら素直に告白する華満。昨日の学校のエビフライの画像で分かってたわ。

 

らん「よく分かったね」

ここね「レシピッピが見えるって言うし...」

ローズマリー「お料理の情熱からも!」

らん「それじゃ、今日の記念に皆で写真撮ろうよ!」

 

記念写真でカメラに近付くゆい達。俺は剣斬のライダーカードを見ながら小さく呟きながら微笑む。

 

咲夜「今度、ラーメンに紅生姜...入れてみるか」

ゆい「咲夜君、撮るよ〜?」

咲夜「ああ、悪いな」

らん「はい、チーズ!」

「「「「イェイ!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヤムヤム「今日はパイナップルジュース!ヤムヤムと乾杯!」

 

オリジナルED『吉武千颯 /DELICIOUS HAPPY DAYS♪』

 

 

 

 

 

□ 

 

次回、デリシャスパーティ♡プリキュア ~破壊者の食べ歩き~

 

らん「らんらん、キュアスタ辞めたんだ...」

 

ディケイドA「ノーコンテニューしてでもクリアしてやる!」

 

ゲンム「君は知り過ぎた...」

 

第八品:ちゅるりん卒業!?おでかけ!おいしーなタウン/笑顔を活かすSpirit!探検おいしーなタウン!!

 

全てを破壊し、全てを繋げ!

 




次回、らんがキュアスタ辞退...!?




















如何でしたでしょうか?召喚された剣斬は紅生姜で自我が芽生えてディケイド達と共闘する展開にしてみました。お陰様でデパプリメンツ全員揃いました!
今回登場したディエンドの変身者 透冀君の名前の由来は咲夜君と同じくディケイドの登場人物『海東大樹』の捩りです。
次回召喚されるライダーは...御察しの通りです。次回もご期待下さい!

海東大樹

かいとう だいき

かいだい とうき

わだなが とうき

海詠 透冀





ディエンドが召喚したライダー

キックホッパー、パンチホッパー、剣斬

剣斬とキックホッパーの共通点
・サブライダーで、カラーリングが緑。
・頭の英文字が『K』から始まる。
・相棒ポジションの怪人を倒した事がある(前者は怪人、後者は怪人になりかけた弟分)
・メインライダーのカラーリングが赤。
・ラーメンを食べている事が多い。




初使用したカメンライド

1号、2号、セイバー

KAMEN RIDE
-昭和-
V3、ライダーマン、X、アマゾン、ストロンガー、スカイライダー、スーパー1、ZX、BLACK、BLACK RX
-昭和(ネオライダー)-
真、ZO、J
-平成1期-
アギト、ファイズ、響鬼、電王
-平成2期-
ダブル、オーズ、ウィザード、鎧武、ゴースト、エグゼイド、ジオウ
-令和-
ゼロワン
-TVシリーズ外-
仮面ノリダー、ホッパー1号(The First版1号)、ホッパー2号(The First版2号)、ホッパーVersion3(The Next版V3)、G、アマゾンズ(オメガ、アルファ、ネオ)、ミライダー(シノビ、クイズ、キカイ、ギンガ)

デパプリメンツが揃った!貴方がヒロインにしたいと思うのは誰?

  • 和実ゆい
  • 芙羽ここね
  • 華満らん

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