中央暦1640年1月16日
パーパルディア皇国 皇都エストシラント、第3外務局
「さて、ロデニウスの連中は何と返事を送ってきたかな」
カイオスは、部下から書類を受け取り読み始めた。
「……な、なんだこれは!?」
「どうしましたか? 局長」
書類には要約するとこう書かれていた。
『アルタラス島から即時、軍を撤退せよ』
そしてその文章の下には、
『追伸。もし、こちらの指示に従わない場合、我々はパーパルディア皇国に対し宣戦を布告する』
と書いてあった。
第3外務局ではどうしようもできないのでこの書類は上層部へと回された。
◆◆◆
パーパルディア皇国 皇宮パラディス城
「なにぃ! 我が国が蛮族どもに舐められているだとぉ!!」
カイオスの報告を聞いた皇帝ルディアスは激怒した。
「はい。おそらく、あの国は我が国を侮っていると思われます」
カイオスは淡々とした口調で言う。
「まあ良い。アルタラス王国の次はロデニウス連合だ! 蛮族は皆殺しにしてやれ!」
要請は無視され、アルタラス王国への侵攻が続く。
◆◆◆
1月18日、ロデニウス連合は要請文を無視したと判断し、パーパルディア皇国に宣戦布告を行った。
同時に、「世界のニュース」が全世界に向けて放送した。
ロデニウス連合とパーパルディア皇国の戦争が始まったことを報道した。
この放送により、ロデニウス連合の名は世界中に知れ渡った。
1月20日
アルタラス島北部に上陸したパーパルディア軍は進撃を再開した。
アルタラス王国軍は奮戦するも、練度が低く、徐々に押されていった。
また王都ル・ブリアスに援軍のロデニウス連合軍が到着するまで持ちこたえなければならないという重圧もあり、士気は落ちていた。
そんな中、ついにロデニウス軍が現れる。
自国の戦列艦より何十倍も大きい軍艦の群れを見て、アルタラス軍の兵士は驚いた。
「あれがロデニウス連合の船か!?」
「あんなに大きな船がたくさんあるぞ!」
彼らは、列強国ムーの戦艦に乗船した経験があり、その時見た艦艇を思い出していた。しかし、目の前に現れた艦隊はそれよりはるかに大きく、威容を放っていた。
揚陸艦から次々と上陸してくる兵士たち。そして、戦車や榴弾砲も現れる。
「なんだこれは……鉄の化け物か?」
それは、アルタラス王国軍が知る兵器とは似ても似つかないものだった。
王都ル・ブリアス北方約10㎞の平野に防御陣地を築いていた。塹壕を掘り、土嚢を積み上げ、機関銃を設置する。
九七式中戦車チハや九五式軽戦車さらにチハ改造車の長十二糎自走砲が配備される。
なぜ長十二糎自走砲が配備されたかというと、パーパルディア軍が運用する地竜リントヴルムの防御力がどの位なのか不明だったからだ。
そこで、攻撃力の高い砲を持つ車両を選んだ結果である。ほかにも九六式十五糎榴弾砲も配備されている。
「おいおい、なんなんだよありゃぁ……」
「まるでバケモノじゃないか」
ロデニウス連合軍は、アルタラス王国軍と協力しつつ、防衛ラインを構築していく。
王都の西方にも防衛線が敷かれる。森になっているので、そこから侵入されると厄介だ。
8.8 cm FlaK 36を擬装ネットで覆い、偽装する。
戦闘の準備は着々と進む。