中央暦1641年2月13日。ロデニウス連合トラック泊地。
「グラメウス大陸の調査?」
「ああ、そうだ」
「だが、グラメウス大陸には魔物しか住んでいないんじゃなかったのか?」
「その通りだ。だが、魔王討伐作戦において深海棲艦が出現したように、グラメウスにも何かあるのではないかという意見が出てな」
「それで調査ってわけか」
「そういうことだ」
執務室で提督と話しているのは長門だ。
「しかし、グラメウス大陸は魔物の巣窟なんだろ? 危険じゃないのか?」
「もちろん、それなりの戦力を用意するつもりだ」
「それなりね……。まあいいか。とにかく、了解したよ」
「ありがとう。頼んだよ」
「任せてくれ」
◆◆◆
翌日。
グラメウス大陸へ向かう調査隊の面々は、準備を済ませ港に集まっていた。
「では、これよりグラメウス大陸へ向けて出発する!」
提督の号令のもと、艦隊は出港する。
そして数日後。
トーパ王国の「世界の扉」前に、調査隊一行は到着した。
「この扉の向こうにグラメウス大陸があるのですね」
「はい。ここから先は危険な地域となりますので、十分注意するようにお願いします」
「わかりました」
「この門を潜ればグラメウス大陸となる。皆、気を引き締めるように」
「はっ!」
「了解しました!」
「うむ。行くぞ」
そして、一行は「世界の扉」を潜り抜け、グラメウス大陸へ足を踏み入れる。
◆◆◆
「ここが、グラメウス大陸ですか……」
「酷い有様ですね……」
調査隊は辺りを見回す。
荒れ果てた大地、ところどころに転がる岩、草木は一本たりとも生えていない。
まさに死の世界といった様相である。
「これは確かに、魔物の一匹や二匹出てきてもおかしくありませんね」
「油断するなよ」
「分かっています」
「しかし、何も見つかりませんねぇ」
「もう少し奥の方まで行ってみましょう」
「そうだな」
彼らはさらに先へ進む。
「ん……あれは……」
一人の兵士が遠くに何かを見つけたようだ。
「どうした?」
「あそこに何かあります」
「本当か!? よし、行こう」
彼らは兵士が発見した場所へと向かう。
そこには、何かの建物らしきものがあった。
「これは……遺跡でしょうか?」
「おそらくそうだろう」
「中に入ってみよう」
そして彼らは、建物の中へ入っていった。
◆◆◆
建物の中には、ロボットのようなものがいくつか置いてあった。
「こいつは……遺〇守衛?」
ぱっと見は某オープンワールド・アクションロールプレイングゲームに登場する遺〇守衛に似ている。
「古の魔法帝国の遺物でしょうか?」
「かもしれません。ですが、こんなものが何故ここに……」
同行しているトーパ王国軍の兵士が呟く。
「とりあえず、写真を撮っておきましょう」
撮影係の兵士により、写真が取られる。
「他には何か無いか探してみましょう」
「分かりました」
こうして、調査隊が建物を探索すること数時間。
特に目ぼしいものは見つからなかった。
だが、一つだけ奇妙なものが見つかった。
それは、駆逐イ級に似た何かが描かれている石板だった。
「これは……?」
「なんでしょう?」
「さぁ?」
トーパ王国軍兵士たちは首を傾げる。
「深海棲艦と関係があるのか?」
「どうなんでしょうね」
「深海棲艦は古の魔法帝国が生み出した兵器かもしれない。研究施設などがあれば調べてみたいが……」
「そう簡単に見つかるとは思えませんが……」
「仕方ない。一度戻ろう」
彼らはいったん遺跡から出る。そして、調査隊の本部へと戻った。
◆◆◆
それから数日間、調査隊はグラメウス大陸を捜索した。
しかし、めぼしい発見はなかった。
魔物と数回戦闘になった程度である。
「やはり、ここには何もないようですね」
だが、彼らが想像していない事態が待ち受けていた。
◆◆◆
「ふぅ……今日も良い天気だな」
ある日の提督は、調査隊の本部で仕事をしていた。
そこへ、長門がやってきた。
「提督、ちょっといいか?」
「ああ、構わないよ」
「実は、妙なものが見つかってな」
「妙なもの?」
「ああ。これを見てくれ」
「分かった」
そして提督は、長門が持ってきた写真を目にする。
「ここだ」
「これは……?」
提督は目の前にあるものに困惑する。
「何に見える?」
「駆逐イ級?」
提督は、その絵に描かれているものとよく似たものを知っていた。
深海棲艦と呼ばれる謎の生命体。その深海棲艦の駆逐イ級そっくりなのだ。
「なぜこれが?ここは異世界のはずだろ?まさか、転移してきたというのか?ならもっと早く気付くはずじゃ……」
提督は頭を抱えながらブツブツと独り言をつぶやく。
「提督?大丈夫か?」
「ん……あ、ああ。すまない。少し考え事をしていてな」
「そうか。まあいい。トーパ王国軍の兵士が言うには、古の魔法帝国のものらしい」
「古の魔法帝国?」
「なんでも、一万数千年前に全世界を支配した超大国だそうだ。今は大陸ごとどこかへ逃げたとか……」
「なるほど……。で、そいつらが残したものだって言いたいわけか?」
「そういうことだ」
「そうなると、古の魔法帝国が深海棲艦を生み出した元凶なのか?」
「断定はできないが、可能性はあると思う」
「そうか……」
提督は難しい顔をしながら、その写真を眺める。
(古の魔法帝国が深海棲艦を作ったとして、地球に現れた理由はなんだ?)
彼は思考を巡らせる。
「どう思う?」
「正直、判断材料が少ないな。ただ、古の魔法帝国は警戒するべき相手だろう」
「そうだな。では、このことを本国へ報告しよう」
「頼むよ」
こうしてグラメウス大陸の調査は終わりを迎えた。
しかし、この先に戦いが迫っていることを彼らはまだ知らない。