別荘から外へ出たネギ達。
「出たわよ、ネギ最初はどうするの!?」
「やっぱいきなりラスボスの超の所へ突っ込む?」
アスナがネギにこれからどう動くか聞き、ハルナが物騒な事を提案する。
「えっと……超さんは午後に動くっていっていたので午前中は何も出来ることがなくて」
ネギの締まらない台詞に思わず何人かがずっこと滑る。今さっき決意を固めたのに肩透かしもいいところだ。
「それに皆さんまだ最終日の予定があると思いますし……」
「じゃあ、今は解散ってことでええの?」
このかの提案で午前中は各自で行動することになった。
とプールスがネギのズボンの裾を引っ張る。
「ネギお兄ちゃん、マギお兄ちゃんに電話してほしいレス」
「電話?」
「さっきからこの調子何でさ。なんでもいやな感じがさっきから止まないそうで、とりあえず大兄貴にこれからの事を伝えた方がいいかもですぜ」
「カモ君、そうだねお兄ちゃんに電話してみるよ」
ネギはポケットから携帯を出して、思わず目を疑った。
「あれ?圏外だ。おかしいなここでも電波届くはずなのに」
「え?……あれほんとだこっちも圏外」
ネギの携帯が圏外と聞き、各自で携帯の待受を見て、自分達の携帯も圏外だと知る。
これに首を傾げていると
「なぁ少し変じゃねぇか?」
と千雨が声をあげる。
「変?変って何が?」
「何か変に静か過ぎねぇか?まるで空気が死んでるっていうか、通夜みたいっていうか。もういい時間だし、少しは外が騒がしくてもおかしくないだろ」
千雨の言うとおり、不気味なほど静まりかえっていた。
「それに何か煙い感じがするです」
「まさかエヴァちゃん家が火事!?」
夕映が咳き込むのを見て、アスナが勝手にパニックになる。
「落ちついてアスナさん!もし師匠の家が火事ならこの部屋にも煙が充満してる筈です。とりあえず外に出て様子を確認しましょう!」
ネギの指示で外に出る。見ればエヴァンジェリンの家は火事ににはなっていなかった。
「よかったぁ。火事じゃなくて」
「でも何か空気がおかしくない?なんかとっても重いような……」
「っ」
とのどかが口を押さえ踞った。
「のどか!」
「のどかどうしたん!?」
夕映とこのかが駆け寄る。
「何か胸がとても苦しいの。心臓をとても強く捕まれている感じがして不安な気持ちが止まらないの」
「!!なっなぁ!そらを見て!」
亜子が空を、学園がある方角を指差す。ネギ達もつられて空を見上げ絶句する。
「そ、空が黒い」
空が黒に染まっていたのだ。とてつもなく嫌な予感がしたネギは杖に股がる。
「ネギ!」
「上空から様子を見てみます!プールスをお願いします!」
「では拙者も木に登って様子を見てみるでござる」
ネギが空へと飛び、楓も木へ登る。
飛んで学園を見たネギは驚きとショックで開いた口が塞がらない。
「がっ学園がメチャクチャだ……!」
「酷すぎる、何があったんだ……?」
カモが冷や汗を流していると、ネギがスピードをあげ学園へと向かう。
「ちょ!兄貴落ち着いてくだせえ!」
「落ち着けないよ!学園には僕の生徒達やお兄ちゃんが……!」
カモがネギを落ち着かせようとするが、ネギは更にスピードを上げた。
「ちょ!ネギ!?どうしたのよ!?」
ネギが急に飛んでいってしまったのを見て声を荒げるアスナ。
楓も木から降りて皆の元へ戻る。その表情はいつもの涼しげなものではなく、苦々しいものだった。
「楓!何を見たアルか!?」
「……学園が、酷い有り様でござる」
楓の報告を聞き、アスナ達も急いで学園へと向かった。
いち早く学園へと到着したネギ。近付けばその惨状もっとわかった。
まるで戦争が起こった様な有り様だ。所々に爆発で出来たような穴があり、建物も倒壊しており、生徒達が作った垂れ幕やのれんもほとんどが焼け焦げていた。
正にゴーストタウン。人の気配はまるで感じられなかった。
「ホントに何があったんだ?1時間や2時間でこんな有り様になるもんか……」
カモが目の前の光景に戦慄を覚えていると、ネギが駆け出し大声で叫んだ。
「お兄ちゃん!師匠!あやかさん!まき絵さん!小太郎君!皆さん!いたら返事してくださーい!」
「なっなぁ兄貴こんな場所じゃあ大兄貴や兄貴の生徒達はいないんじゃ……」
カモの言葉に耳を傾けず、ネギは叫びながら皆の名前を呼び続けた。すると、遠くの方に人影を見つけた。
誰かいる。そう思ったネギはその人影の方へ駆けていく。
「すみません!いきなりなんですが、僕と同じ髪色の男の人を見ません……でし……た…か」
人影へ向かって駆けていたネギの足が人影に段々と近付いていくと歩みへと変わり遂には止まってしまった。その人影はおおよそ"人"と呼んでいいものか分からなかった。
全身がまるで影と言っていいほど真っ黒になっており、性別も男か女なのか分からない。
ただ分かるのは目は真っ赤に充血しており、口元から涎を垂らしていた。
虚空を見つめていたが、ネギの存在に気づいたのか、真っ赤になった目をギョロりとネギの方へ向かせ、ゆっくりとした足で近づいてきた。
「う……あ……」
ネギは恐怖で動けないでいた。誰もいないと思ったが人が居て安心したと思った矢先に、人とはかけ離れたナニかに遭遇したのだから。
カモが必死に自分を呼んでいるが、ネギは一歩も動けない。足が地面に引っ付いてしまったようだ。
遂にはナニかがネギを捕まえられる間合いまで近づいて、大口を開けてネギに噛みつこうとする。
「兄貴ぃぃぃぃッ!!」
「!!うわぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
カモの大声で漸く正気を取り戻したネギはナニか相手に本気の鉄山靠を食らわせる。
いつもなら理性で力をセーブ出来る。だが今は恐怖が勝って加減が出来ない。ネギの背中からナニかの骨が砕け肉が潰れる音と感触が伝わってくる。
もろに直撃したナニかはそのまま後方へ吹っ飛び背中から叩きつけられた。
「はぁっはぁっはぁっ……!!」
肩で荒い呼吸をする。倒れたナニかはピクリとも反応を見せない。
「やっやったのか?」
「分からない。けど、思いっきりやったから暫くは動けない……」
はずだった。ナニかの指が少し動いたと思いきや、何事もなかったように上体を起こした。そしてまた立ち上がると、うめき声をあげゆっくりと近づいて来る。
「そっそんな、効いてないの!?」
「ッ!!兄貴、ヤバイですぜ!周りを見てくだせぇ周り!!」
カモに言われて周りを見渡すと、瓦礫や破壊された建物から多くのナニかが這ったり、ゆっくりとした足でネギに近づいてきた。その数、20人以上はくだらない。
「あっあぁぁぁ……」
自分の攻撃が効かない。そんなナニかがぞろぞろと自分に向かって群がっている。年不相応な実力を身に付けているネギだが、早くも心が折れかかっていた。
「兄貴!とりあえず今は逃げますぜ!こんなノロノロの奴ら、飛んじまえば、どうってことないですぜ!」
「うっうん……」
カモのアドバイスで杖に股がり、空へと逃げる。ナニか達は空へと逃げたネギを見上げるだけで、何もしなかったが、暫くすると何事もなかったように散り散りに散った。
「ホントに何だったんだアイツら……」
「うん……そうだ!アスナさん!僕たちが学園へ飛んだのを見て、きっと学園に向かったはずだよ!」
「一応実力ある刹那の嬢ちゃんや楓の嬢ちゃんがいるだろうが、殆どが非戦闘員だ!急ぎましょうぜ!」
「うん!飛ばすからしっかり捕まっててね!」
「合点でさ!」
心が折れかけたネギだが、アスナ達の事を思いだし、直ぐに建て直したのは彼も成長しているのだろう。
来た経路を倍のスピードで飛び戻る。アスナ達が先程のナニかに襲われてないことを願って。
「……そんな、私達の学校が……」
遅れて学園に着いたアスナ達だが、着いた矢先に目の前の学園の有り様を見て呆然としてしまう。
色々な思い出が詰まった学園、振られもしたが、大好きだったタカミチとデートしたこの学園が、無惨なものへと変わり果てた。
涙が零れそうになるが、堪えるアスナ。今泣いてしまえばもう一歩も動けることはないとそう思ったから。
「なんだよ……なんなんだよこれ!!」
我慢の限界が来たのか、千雨が声を荒げた。
「ちょっ落ち着きなよ!」
「うるせぇ!目の前もん見て落ち着けっていうのか!?少し学園から離れてたのに急に世紀末な世界になっているのにか!?アタシは普通の生活を望んでいたのに、これが超の望んでた世界なのか!?ふざけやがって……!見つけたらぶっ殺してやる!!」
ハルナが宥めようとするが千雨が胸倉を掴み、唾が飛ぶかという位喚き散らした。
「落ち着いてーや!」
「今争っても何も解決しないでござるよ!」
「それよりも今は誰かいないか探す方がいいアル!」
周りの者が、暴れようとする千雨をなんとか落ち着かせようとする。早くも皆の心がバラバラになりかけていた。
とその時、小さな地響きが短くそして連続で起こった。近くにあった水溜まりも小刻みに波紋を刻んでいた。
「なっなにこの揺れ?」
「よくある恐竜映画で大きな恐竜が、ゆっくり近づいてくるみたいです」
「……!みっみみ皆、あああああ、あれ!」
亜子が大口を開けて、またもある方向を指差す。亜子につられて方向を指差すとそこにいたのは
「――――――!!!!」
廃墟とかした建物を叩き壊した巨大なナニかが咆哮をあげながら現れた。
「もう、今度はなんなのよ……!!」
ぼろぼろの学園を見て直ぐに巨大なナニか。情報過多で頭がパンクしそうになりそうだ。
巨大なナニかは数刻吠えていると、アスナ達に気づいたのか、腕をアスナ達へ伸ばす。
すぐさま刹那と楓が各々の得物を持って構える。
「せっちゃん!」
「このちゃん、ここは私たちが時間を稼ぎます。だからエヴァンジェリンさんの家へまで戻って」
「そんな!相手しないでさっさと逃げようよ!」
「……そうしたいのは山々なんでござるが、目の前のものはどうやら拙者らを逃がそうとは思ってないようでござる」
巨大なナニかがもう一度吠えると腕を振り下ろした。このかやのどかが悲鳴をあげ、刹那と楓が覚悟を決め前へ飛び込もうとしたその時、数回の爆発が巨大なナニかを襲う。
「――――――!!」
鬱陶しそうに爆発で出来た黒煙を振り払う巨大なナニか。その上空を数機の戦闘機が飛んでいくのが見える。
「あれは!?」
「日の丸がついているです。ということは自衛隊の戦闘機!?」
夕映が戦闘機に日の丸が描かれているのを見、巨大なナニかを攻撃したのが、自衛隊の戦闘機だと分かる。
自衛隊の戦闘機が上空で旋回すると、ミサイルで巨大なナニかを攻撃する。
今度は戦車が数台現れ、砲撃を放ちながら巨大なナニかへ突っ込んでいく。
そして戦車に続く形で武装した自衛隊が凡そ100人以上が重火器で攻撃する。
「撃て撃てぇ!これ以上のさばらせるな!!」
「報告!ミサイル、8発、砲撃10発全て命中!しかし致命傷は与えられていない模様!」
「くそ!平気な面してやがる!文字通り化物か!!」
巨大なナニかにダメージが入ってないと分かると、隊長らしい自衛官が悪態つく。
「!!民間人発見!!」
自衛官の一人がアスナ達を発見し、隊長がアスナ達に近づく。
「君達こんなところで何をやっとるか!?」
「あっあの、私達ここの生徒なんです」
アスナの言ったことに、驚きを隠せない隊長。
「ここの生徒!?あの惨劇から一週間経ったのに、まだ生存者がいたのか……」
隊長の一週間の言葉に暫し呆然とするが、いち早くはっとした夕映が隊長へ詰め寄る。
「すみません!今一週間と言っていたですが、学園祭から一週間経ったということですか!?」
「あっあぁ……目の前にいる化物共が急に現れて、人間に襲いかかってきた。襲われた人間はゾンビ映画みたいに奴らの仲間入りさ。今じゃ化物と人間の生き残りを賭けた戦い……なんて言いたいが、力の差は歴然で全ての人間が化物になるのは時間の問題だ。くそ、魔法なんて非科学的なものが昔から有ったとかいう話だが、もうこいつらに勝てるならなんでもいいから持ってこいってんだ!」
今目の前の自衛官は魔法と言った?何故ただの自衛官が魔法の事を知っている?
「すみません!何故魔法の事を知っているんですか!?」
この状況だが、少しでも情報が欲しい。夕映が情報を聞き出そうとするが、効かなくても鬱陶しくなったのか、巨大なナニかがまたも咆哮をあげた。しかし今度の咆哮はどこか違うように感じた。まるでナニかに命じてるような……
「こっ今度はなに?」
ハルナも参ってしまったのか、蒼白な顔で辺りを見渡す。くそっと悪態をつく自衛官。その目は諦めの色が出ていた。
「ここまでか……君達!ここをまっすぐ2KM先に我々の基地がある!どうにかそこまで逃げ―――」
自衛官は最後まで言うことが出来なかった。瞬く間にアスナ達の前から消えてしまったからだ。
さっきの自衛官は何処にと辺りを探すが見つからず、上空から自衛官の悲鳴が聞こえてきた。
上を見上げると、翼を生やしたナニかが自衛官の首筋に噛み付いていた。
一体だけではなかった。空から100は下らない翼を生やしたナニかが戦闘機や自衛官に襲いかかり、陸でも四つん這いで獣の様なナニかが戦車へと襲いかかる。
自衛官達は手持ちの火器で応戦するが、そもそも銃が効いていないのか、弾丸が体を貫いてもナニかの群れは勢いを止めず向かっていく。
抵抗虚しく、自衛隊は次々にナニかに喰われていく。中には化物になりたくないのか、自分の頭を銃で撃ち抜き自決する者も居た。
戦闘機や戦車は辛うじて抵抗するが……
「――――!!」
巨大なナニかが口から熱戦を吐き、戦闘機の操縦士は脱出する間もなく、一緒に蒸発してしまった。
戦車も踏み潰されるか、掴まれ遠くへ投げ飛ばされる等呆気なく敗れてしまう。
哀れなことだ。自衛隊は巨象に踏まれる蟻の如く蹂躙されしまった。
得物を食いつくしても満足していないのか、ナニか達はアスナ達へ狙いを定める。
「ハハ、アハハハ……もうどうにでもなっちまえよ」
目の前の惨劇を目の当たりにして千雨はもう笑うことしか出来なかった。
ナニか達が吠えると一斉にアスナ達へ向かう。のどかとこのかが悲鳴をあげ、アスナはハマノツルギ(ハリセン)を具現化させ、刹那、楓、古菲が覚悟を決めたその時
「みなさーーーん!!」
杖に股がったネギが間一髪で駆けつけ、大量の魔法の屋を放つ。魔法の矢によってナニかの何体かが行動不能になる。
「ネギ!!」
心が折れかけていたアスナ達に微かな希望が現れてくれた。
ネギはアスナ達を護かのように杖を構える。さっきは恐怖で心が潰れそうになるが、目の前の大切な存在で心を奮い立たせる。
「皆さん、僕が雷の暴風で退路切り開きます。その隙に師匠の家まで全速力で逃げて下さい」
「ネギ!アタシ達も一緒に戦うわ!」
アスナが戦うと言うが
「駄目です!今回は今までと全く違う!だから今は言うことを聞いてください!」
そして雷の暴風を発動させるために詠唱を始める。魔法の矢で行動不能になっていたナニかも起き上がると、またネギ達に襲いかかる。
「!雷の暴風!!」
今出せる最大の雷の暴風を放つ。今度は致命傷だったのか、ネギ達の前に居たナニかは雷の暴風によって爆散した。ナニかが吹き飛んだことで道が切り開かれた。
「皆さん!行って下さい!!」
「……分かったわ。ネギ、絶対無事で戻ってきてね!」
「ネギ君!」
「ネギ先生、すみません……お願いします!」
「ネギ坊主、無理はするなでござるよ!」
「ネギ坊主、呼吸を乱せば直ぐに呑まれるアル!」
皆がネギに一言言い、エヴァンジェリンの家へ駆け出す。なんとか皆が見えなくなるまで踏ん張るネギ。そして限界が来、雷の暴風をとくと、アスナ達の姿はもう見えなくなっていた。
折角の獲物が居なくなったが、まだネギは残っている。ナニか達はネギだけに狙いをつける。荒い呼吸を深く深呼吸をし、息を整えると改めて杖を構える。
「来い!僕が相手だ!」
「兄貴を舐めると痛い目見るぜぇ!!」
ネギ一人でナニかの群れを相手取る。そして隙をついて杖に股がると全速力で飛び去った。
『諸君、今回は戦わずして勝たせてもらたヨ。ズルいやり方だガ、カシオペアに細工をさせてもらっタ。片道だけだが、一週間後の未来へダ。一週間も経てば、魔法も少しずつ認知されていくだロウ。ようこそ!素晴らしき新しい世界ヘ』
アスナ達が先にエヴァンジェリンの家へ戻り、暫くするとネギも戻ってきた。これからどうするかともう一度別荘に戻ろうとしたが、その別荘に手紙が貼ってあった。
『私の勝ちネ』と一言。古菲が超の筆跡だと分かり、更に魔法使いの手紙だと分かり映像を再生させると、超が立体映像で現れた。
そして先程のメッセージをしゃべり、映像は終わった。
本当に一週間も時を越えてしまったのか……のどかや夕映は膝から崩れるように座り込んでしまった。
「戦わずして負けるなんて……」
「……くそったれが!!」
負けたことによる悔しさよりも、目の前で起こった惨劇のせいで考えが纏まらないアスナから千雨がアスナから手紙をひったくると感情のまま引き裂いてしまう。
楓が止めようとする間もなく、手紙はばらばらの紙片と変わる。破り終えた千雨は部屋の隅に座り込むとそのまま顔を膝に埋もれた。
空気が完全に通夜と化してしまう。
(こんな時……お兄ちゃんが居てくれたら……)
ネギはこの場にいないマギの横顔を浮かべる。と次にははたと思い出す。
「そうだ!仮契約のカード!!のどかさん夕映さん、2人はお兄ちゃんと仮契約してるからカードの念話を通して連絡出来るはずです!」
ネギの指示で少しだけだが、顔色がよくなったのどかと夕映が自分のカードを取り出す、これで少しでもことが好転すればいいのだが、運命はまたも牙をむく。
のどかと夕映は自分のカードを見た瞬間、のどかは悲鳴をあげカードを放り投げる。夕映は放り投げなかったが、さっきよりも顔面が蒼白になってしまう。
「どうしたの!?」
アスナ達がのどかと夕映に駆け寄る。のどかと夕映はマギを慕い好いている。カードは絆の証しでもあるのに、それを放り投げるのはただ事ではない。
「カードが、カードがおかしくなっているんです……!」
辛うじて話が出来る夕映がそう答えてくれて、ネギが放り投げたのどかのカードを拾い上げ、カードを見て息を呑む。
カードに描かれているのどかはいつもと同じだ。だがその背景がおかしい。
いつもだったらのどかの後ろで本が浮いているのだが、本の変わりに血のように真っ赤な真紅が蠢いていた。更に夕映がアーティファクトを呼び出そうとしても全く反応がない。
カードが使えない、それはつまりマギの身に何か起こったということだ。その事が更にネギ達の心をざわつかせる。
「……もう、ここでじっとしてる暇はないかもしれません。危険ですが、もう一度学園に戻ってお兄ちゃんや師匠や超さんにクラスの皆さんを探します」
「……そうね、こうなったら超さんを見つけてふんじばってどうしてこんな事をしたか吐いてもらいましょ!」
正直今のネギ達は空元気もいいところだ。だがそれでも一歩前に前進しなければ何も始まらない。もう一度学園に戻ろうとした。
「どうしてこんな世界にした、カ。私だって好きでこんな世界にしたつもりじゃないんだがナ」
声が聞こえ、ネギ達が声が聞こえてきた方を向くと
「そろそろ時間じゃないかと思ってた所ヨ」
壁に寄りかかり、横目でこちらを見ている超がそこにはいた。