マギがアーチャーと戦い始め、別の場所でネギ達が超の元へ向かうために駆ける。
その超はというと、突如巨大な立体映像で現れ、参加者や魔法使い達を挑発するような演説を始める。序でに自身が経営してる超包子をちゃっかりと宣伝するという抜け目のない事をした。
道中では田中や蜘蛛型の多脚のロボットがネギ達に襲いかかるが、道中は古菲やハルナがゴーレムを召喚し蹴散らしてくれたお陰でネギは力を消耗することはなかった。
そしてその彼女達の中でも一番前に出て戦っていたのは、以外にもプールスだった。
「やぁぁぁぁッ!!」
両腕をウォーターカッターの様に鋭利にし、鞭のようにしならせて田中を数体切り捨てた。はたから見れば幼い少女が大人を切り捨てる光景はかなり猟奇的な光景ではあるが、これは全てマギのためであった。マギが自分の成すべきことを全うするために、戦うことを嫌い恐れている少女が大好きな兄のために勇気を出し、一歩踏み出した。
なんと素晴らしき感動的な光景だろうか。だが……
『強い奴はいねがぁぁぁぁっ!!』
「!!きゃああぁぁぁぁぁ!!」
急に現れた妖怪達の恐ろしい形相に、プールスの勇気は一瞬で恐怖に塗りつぶされてしまった。
妖怪達が現れたのなら自分も戦おうとネギは戦闘態勢を取ろうとした瞬間何処からか巨大な手裏剣と飛ぶ斬撃が妖怪達を襲う。
『ああああぁぁぁぁぁぁ!!』
直撃した妖怪達は明後日の方向へ吹き飛んでいった。今の手裏剣と斬撃は自分達が知っている者の助太刀であった。
「漸くお目覚めでござるか。寝坊助でござるなネギ坊主」
「皆さんご無事ですか!?」
忍装束に着替えた楓と真名から逃げてきた刹那が空から現れた。
「楓さん刹那さん!2人共無事だったんですね」
「兄貴、俺っちもいますぜい。超の奴、いけいけで攻め込んできたせいであっちもこっちも乱戦状態ですぜ!」
刹那の肩からネギへ飛び移りカモが簡潔にネギに伝える。走っている時もあちこちでの戦いを見てきたからぐずぐずしてる暇はなさそうだ。
「ここで立ち止まるのは良くはないでござろうな。ここは敵からは格好の狩場でござる」
確かにネギ達が今いる場所は遮蔽物があまりなく、あるとしたら止まっている路面電車が2台だけだった。
直ぐに動こうとしたその時
「!!皆さん散って!!」
何かの気配を感じたネギが叫ぶ。ネギの叫びに反応した楓と古菲はプールスを抱え路面電車の中へ。
ネギは夕映を刹那はのどかをハルナは自力でもう一台の路面電車に飛び込んだ。
だた1人、亜子はネギの叫び声で逆に足を止めてしまった。それが命取りとなる。
1発の銃声が鳴り、銃弾が亜子に直撃し、亜子を黒い膜で覆ってしまう。
「!亜子さん!」
「いけませんネギ先生!あれに当たってしまったらもうどうにもなりません!」
亜子を助けようとネギが飛び出そうとするが、刹那が飛び出そうとするのを阻止する。
「ネギ先生!絶対勝ってな!ウチ、ネギ先生が負けないって信じとるから!!」
自分は何もせずに脱落すると悟った亜子。悔しいと思ったが、自分ができる事はもう応援することしかない。
亜子はネギを応援し、ネギが勝利することを願いながらネギ達の目の前で消えた。
「亜子さん!!」
亜子が死んだわけではない。だが目の前で自分が守るべき生徒が消えてしまった光景を見て、自身の不甲斐なさで憤慨し拳を握り締めた。
『……良く気がついたな。其処からかなり離れた場所から狙った筈なのだがな』
いきなり路面電車のスピーカーから真名の声が聞こえてきた。どうやら何かしらの細工でネギ達に話かけているようだ。
「……龍宮隊長、やっぱり超さん側に付いていたんですね」
『あぁ。私は超の奴の考えに共感して超側に付いた。まぁそれ相応の報酬は頂いているがな』
不敵に笑っている真名。正に何時でもお前達を狙い撃ちしてやると行っているようだ。路面電車に籠っていたら格好の的。しかし飛び出したとしても其処を狙われるだけだ。どうするか策を考えるネギ。
『ネギ先生、君も心の何処かでは超の考えは正しいと思ってるんじゃないかい?どうだろう、今からこちら側に寝返るというのは。超も歓迎すると思うよ』
今度は揺さぶりをかけてくる真名。明らかに罠だ。だがその罠を打ち破る手段を思い付かない。どうしようかと思いながらポケットをまさぐっていると何か固いものが手に当たる。
(!これなら行けるか……正直確証はない。けど、やるしかない)
「……龍宮隊長、僕は先生です。先生なら生徒が危ない事をしようとするなら止めるのが遣るべきことです!!」
『……そうか、残念だ。ならネギ先生、君は此処で退場だ』
ぶちっとスピーカーから音が消えた直ぐに銃弾が路面電車に直撃し路面電車を黒い膜が覆う。
「「ネギ坊主!!」」
「ネギお兄ちゃん!」
楓と古菲プールスが悲鳴を上げる。自分達では目の前の光景をただ見ているしか出来ない。そして目の前のネギ達を乗せた路面電車は音もなく消えてしまった。
「ネギお兄ちゃん……」
目の前でネギ達が消えてしまった光景を見て呆然としているプールス。ネギ達を護れなかったことに悲痛な顔を浮かべる楓。
すると目の前の空間が歪んだと思いきや、次の瞬間には無傷のネギ達が現れた。
「ネギお兄ちゃん!!」
ネギが無事だったのを見て飛びはねて喜ぶプールスとほっと胸を撫で下ろす楓と古菲。
『驚いたなネギ先生。今のはどういったマジックを使ったんだい?』
「企業秘密、です」
今度は楓達がいる路面電車から真名の声が聞こえ、ネギは余裕そうな表情を浮かべながらそう答えた。
種は簡単。ネギが持っていたカシオペアを使い、一瞬だけ時間跳躍をしたのだ。その件のカシオペアからは紫電が走っている。一週間の時間跳躍で無理をしすぎたのか、今のような緊急脱出は後何回か使えるかはわからない。
しかしこれ以上真名に足止めされてしまったら時間がなくなってしまう。そんなネギを護ように楓が前に立つ。
「ネギ坊主、ここは拙者が。龍宮真名は拙者が引き受ける。一度忍者と狙撃手、どちらが強いか試したかったでござるからな。だから前へ進めネギ坊主」
「……おねがいします、楓さん」
今は楓を信じ先に進むしかない。だがもう一度真名へ言いたいことがあるネギは立ち止まり
「龍宮さん、それでも僕は僕達はあなた達の計画を止めさせてもらいます!!」
それだけ言うと、前へ進むためにネギ達は駆け抜ける。
「良かったのでござるか?ネギ坊主を行かせるような真似をして。立派な職務怠慢でござらぬか?」
『そうだな。だがそれでも気になってな。ネギ先生と超、どちらの思いや覚悟が強いか……とな』
そうでござるかと笑う楓。糸目の楓が開眼し本気の気を纏う。
「さて、ここからは一切の問答も無用」
『殺しあいまではいかないが、思う存分やり合おうか』
真名の元へ向かうために、楓は大きく跳躍した。
少々時間が遡り、真名が狙撃で魔法使い達を強制退場させている間、とある場所で
「やあぁぁぁぁッ!!」
ハマノツルギを剣状態にしたアスナが超に向かって刃を振り下ろしていた。しかし簡単にアスナの攻撃を避ける超。
「どうした明日菜サン。愛しノ高畑先生ガ目の前から消エてしマっテ怒り心頭カ?」
「うっさい馬鹿鈴音!いい加減大人しくしなさいよ!!」
激昂しながらハマノツルギを振り下ろす。が、怒りで太刀筋がバラバラで素人でも目を凝らせば避けられる位雑だった。
なぜここまでアスナの感情が怒りで昂っているのか、それはさっきまでアスナはタカミチと行動を共にしていたからだ。
ヒーローユニットとして動いていたアスナ。そこに偶然とスクナ型の巨大ロボットを足止めしていたタカミチと出くわしたのだ。
其処からはタカミチに同行して田中や妖怪達も相手にしていった。フラれはしたが、タカミチと一緒に戦うことが出来たのは正直嬉しかった。
だがそんな嬉しいといった感情は直ぐに消し飛ぶことになる。超がアスナとタカミチの目も前に現れたからだ。
学園で上位の強さを持つタカミチを早く退場させるために、超自らタカミチを刈り取りに来たのだ。
目の前に事の原因が現れたことで一緒に超を捕まえようとタカミチに提案するが、そのタカミチに手で制しられる。
ここは元彼女の担任であった僕に任せて欲しいと超との一騎討ちを望んだタカミチ。タカミチのおねがいに頷くしか出来なかったアスナ。そんなアスナに礼を言い超と対峙するタカミチ。
最初は文句ない実力で超を攻め込むタカミチ。相手はかなりの実力者ということもあり、冷や汗を滲ませながら紙一重でタカミチの攻撃を避ける。
次第にタカミチの方が優勢になり、自身の勝ちを確信したタカミチがもう止めるんだと君のやり方や考えは危険なものだと説得する。
しかし相手は大人顔負けの頭脳を持つ天才の超だ。タカミチの説得を上回る考え方で説き伏せていく。そして
「大切な師ヲ護るコとガ出来ず二死なセた貴方と違イ、私ハもっト上手クヤれる」
自身の大きな傷であるトラウマを抉られ動揺を隠せないタカミチ。
「心が揺レたナ高畑先生、それガ貴方ノ敗因ダ」
タカミチの背後に瞬時に回った超が真名が撃っていたものと同じ銃弾をタカミチに当てる。瞬間にタカミチを黒い膜で覆い、悲痛な表情を浮かべながらタカミチは強制退場をしてしまった。
そして今に至る。やはりアスナの闇雲な太刀筋では超を捉える事は出来そうにない。
今のアスナは怒りと一緒に悲しみの感情が渦巻いていた。元担任のタカミチが力じゃなく言葉で説得をしようとしたのに、その思いを無下にしたのが許せなく悲しかった。
「あぁそウ言えバまダ聞いテなかっタな。明日菜サン、一週間後ノ世界ハどうナっていたカな?とてモ素晴らしキ世界二なっテいたダろう?」
超の問いかけにアスナはハマノツルギの柄を強く握りしめながら
「素晴らしき世界ですって?……ふざけんじゃないわよ!!あんたがマギさんを狙う傭兵と手を組んだせいでマギさんが悪魔みたいになるわ、マギさんが暴れて多くの人が死んで世界が滅亡寸前になるわ、あんたのやろうとしたことで世界はひどいことになったのよ!それに、それにあんたも死んじゃったのよ!?最後まで踏ん張って死んじゃったけど、アタシはとても辛そうに見えた……もう、こんなことはやめよ?もしかしたらこのままだと一週間後と同じようになっちゃうかもしれない。おねがいだから1人で何でも抱えこまないで……」
あの光景を思い出して涙を流しながら、超にこの計画を止めて欲しいと懇願するアスナ。
しかしアスナの想いは超に届くことはなかった。
「そうカ、一週間後デハその様な結果二なっていタのか。しかシ残念ダが、涙ヲ流してモ私にハ何も響かなイ。最悪ノ結果ヲ聞いてモ私ノ覚悟ハ揺らグ事ハなイ。その世界デは私ハ死んだガこの私ハまだ生きていル。なラより良イ結果二なるヨうにすれバ問題なイ。それ二、分かっただロう明日菜サン。マギ・スプリングフィールドと関わっタせいデろくナ事二ならなイ。此を期二関係ヲ改めルコとをお勧メするヨ」
全く考えを変えようとしない超。天才だからなのか分からないが意固地になっているように見えた。何処か初めて会い、まだ波長が合っていないネギと姿が重なるようにアスナは感じた。
自身の想いが簡単にあしらわれたことに怒りと悲しみの感情が濁流のようにぐるぐると頭の中で巡る。
何で、どうして分かってくれないの。負の感情で頭が一杯になり
ぷっつん―――とアスナの中で何かが切れた。
その瞬間、魔力と気が爆発的に膨れ上がりアスナの体を纏った。
雰囲気が変わった。超はアスナの気配がさっきとはうって変わって変化したことで警戒したが、一瞬で超の目の前から消え、背後に回った。
持ち前の魔力でここまで早く動けることに驚きながらも腕を交差させアスナの攻撃を何とか耐えるが、そのまま数歩下がってしまう。
そのままアスナが追撃してくる。しかしさっきまでのやたらめたらな攻撃ではなく、正確な太刀筋。下手したらそのまま切り捨てられそうな程鋭かった。
(何ダこの太刀筋ハ、さっきまでとはまるデ違ウ。キレて逆に冷静二なっタ?いや違ウ。さっきまでノ明日菜サンとは雰囲気ヤ気配ト違ウ。まるデ"こっちの方ガ明日菜サンにしっくリ合ウ"様ナそんナ感じダ)
今確かなのは遊んでいたら下手したら殺されはしないだろうが、無事じゃすまないだろうというところ。
本気を出して仕留めないといけない。超の服にもカシオペアが埋め込まれている。先程タカミチを仕留めたように、瞬間に時間跳躍をして背後に回って銃弾を当てて強制退場するだけだ。
タイミングを見計らい、アスナがハマノツルギを振り下ろした瞬間に時間跳躍をして背後に回る。
勝った。勝利を確信し、銃弾をアスナの体に当てようとしたが、目を見開くことになる。
瞳孔の開いた目でアスナが背後にいる超を凝視していたからだ。まるで超が背後に回ることを読んでいたかのように
振り返ったアスナが超にハマノツルギを上段で振り下ろした。
このままではやられると判断した超は再度防御の構えを取るが、突如何か高速で動くものが横からアスナを掠め取るように連れ出した。
「―――あっぶねー、遠くから様子見してたけど、クラスメイトがスプラッタ現場を作るんじゃないかと思ってヒヤヒヤしたっすよ。それよりアスナ、正気にもどれー」
修道服に身を包んだ美空がアーティファクトでアスナを連れ出し全速力で逃げ出している。
「……美空、ちゃん?……!離して美空ちゃん!あのバカ超をふん縛らないと!!」
「いやぁさっきまでのアスナならできるかもしれないすけど、今のアスナじゃ返り討ちにあうのが関の山っしょ。こっちもココネとシスターシャークティがやられちゃったから旗色悪くなってさ。一回下がって体制を立て直した方がいいっしょ」
喚くアスナを無視してわりにあわねっすと思いながら速度をあげ離脱するのだった。
「……今ハ美空に救ワれタ、そウ思った方ガ良いカもシれナいナ……」
深く息を吐き、気持ちを落ち着かせる超。さっきのアスナは本当にやばかった。下手をすれば殺されていたかもしれない。
少々遊び過ぎた。そう自分を叱咤し、もう自分は高みの見物と洒落こんだ方がいいかもしれないと判断する。
「さぁ、早くこイ。急がなイと間に合わなクなるゾ」
そう呟いた超は、背中に取り付けていたスラスターを吹かし、空へと飛んでいった。