堕落先生マギま!!   作:ユリヤ

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邪魔な小石は蹴りあげろ高い壁はぶっ壊せ

「納得いきません!!」

 

夏祭りを行った1週間前、学園長室内でガンドルフィーニの怒号が響き渡る。

 

「落ち着きなさいガンドルフィーニ先生。そんなに興奮しとったら頭に血が上って倒れてしまうぞい」

 

学園長が昂っているガンドルフィーニを落ち着かせようとしているが、ガンドルフィーニは聞く耳を持とうとしない。

 

「これが落ち着いていられますか!?魔法を知った一般人の生徒だけではあきたらず、大罪人であるエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルをこの学園の外に出し、魔法世界に同行させるなど、日本の魔法使いの信用を地に落とす事になるんですよ!?」

 

学園長室には魔法先生や魔法生徒が限界まで入れる位に集まっていた。その中には美空や刹那もおり、また件のエヴァンジェリンは不敵な笑みを浮かべ、マギは不機嫌そうに、ネギは黙っている。

ガンドルフィーニに続くように自分達の正義に信念を持っている魔法使い達も賛同するように叫んでいる。自分達の正義に信念を持つ魔法使い達を見て美空やグラサンをかけている神多羅木といったどちらかと言うと中立な魔法使い達は苦笑いを浮かべるか黙って事の顛末を見守るかのどちらかだ。

そしてエヴァンジェリンを大切な1人と考えているマギはガンドルフィーニ達の物言いに段々と眉が寄り始めどんどんと不機嫌になる。マギが爆発して暴れないように、このまま何事もないように祈るネギ。

 

「あー、ガンドルフィーニ先生。エヴァは学園祭中にマギ先生と一緒に超君と契約した傭兵の撃退に尽力してくれた。それに京都での問題に対しても多大に貢献してくれてわしとしても大変に助かっておるのじゃし、ナギ捜索も手伝ってくれればマギ君やネギ君も助かるじゃろうし、エヴァ自身もナギに言いたい事があるかもしれんしのお」

 

学園長は穏やかな口調で言い聞かせるようにガンドルフィーニ達"正義の魔法使い"にエヴァンジェリンの功績を言うが正義筆頭のガンドルフィーニは聞く耳を持たない。

 

「学園長!そんなたった2つの結果だけで何故簡単に許可しようとするのですか!?京都の件は目を欺くための演技かもしれませんし、傭兵や超鈴音とも裏で繋がっている可能性もあるんですよ!!」

 

酷い言われようだ。エヴァンジェリンが高額の賞金が賭けられているのもあるのかエヴァンジェリンの行動=悪と勝手に簡潔させらてしまう。

これ以上は我慢の限界だと判断したマギはガンドルフィーニ達正義の魔法使いに食って掛かる。

 

「あんたらは何を言ってるんだ?ネギ達から聞いたがエヴァのおかげで京都ではデカイ奴の復活を阻止出来たって聞くし、学園祭でも俺に協力してくれたから被害を抑えられたって。感謝するはずが非難するってどういうことだよ」

「我々は可能性の話をしているんだ!前回前々回は協力しているが魔法世界では裏切るかもしれない!」

 

負けじとガンドルフィーニは反論する。その暑苦しい姿勢に引き気味に溜め息を吐くマギ。

 

「なんでそうエヴァを悪者に仕立て上げようとするんかね。確かにエヴァは高額の賞金が賭けられている。でもそれは賞金稼ぎを返り討ちにしていたから増額したって聞いた。エヴァ自身も自分から人を襲うような下劣な真似はしていないって聞いた。だったら悪じゃない。俺はそう信じる」

「なんでそう簡単に悪を信じるんだ!?」

「決まってる。エヴァが俺にとって大切な人だからだ」

 

告白とも取れる大胆発言に学園長室内は大きくざわつく。エヴァンジェリンは不敵な笑みを浮かべているが、気分が良いのか笑顔が少々ひきつり頬も紅潮している。

自ら悪のエヴァンジェリンを大事な人と言った問題発言に異を唱えようとするガンドルフィーニ。だが学園長は若いっていいのぉとマギの大胆不敵な発言を愉快そうに笑い話にならない状態じゃないだったガンドルフィーニは先程から黙っているネギに視線を向ける。

 

「ネギ先生!君はどう考えているんだい!?君のお兄さんが悪であるエヴァンジェリン側に付こうとしている!これは君のお父様であるナギ・スプリングフィールドへの冒涜ともとれる行為ではないのか!?」

 

ネギは黙って聞いて、数十秒たってから口を開いた。

 

「ガンドルフィーニ先生。僕はその信念ある正義にある種の尊敬の念を持っています。ですが、その信念が些か強すぎて視界がぼやけてるのではとも思っています」

「なっ何だって!?」

「我々の正義が強すぎるだと!?」

「幾ら英雄の息子だからって!取り消せ!撤回しろ!!」

 

ネギの発言に非難轟々が浴びせられる。相手は子供なのに随分大人げないなと呆れているマギだが、ネギは臆する事なく反論する。

 

「だってそうじゃないですか。超さんの計画を頭が良いけど所詮子供が計画したものだって一掃した結果、超さんが作ったロボットや時間跳躍弾に苦戦したいたじゃないですか。僕が超さんを止めていなかったら、学園の人達をイベントと称して参加させなかったら、どうなっていましたか?」

「くっそれは……」

 

痛いところを突かれ押し黙るガンドルフィーニ達。

 

「それに、京都の件お兄ちゃんの傭兵の件で僕の師匠であるエヴァンジェリンさんが手助けしたことに終わった事に対して今さら物申すなんて、世の中後だしじゃんけんで勝てる程甘くはないと思いますが。僕よりも歳が上なんですから其れぐらい分かりますよね?」

「ぶふっ……くくくく。言うじゃないか坊や」

 

思わず吹き出すエヴァンジェリンを鋭い目で睨む正義の魔法使い達。だがエヴァンジェリンは何食わぬ顔で飄々としていた。

美空や神多羅木もネギの発言に吹き出しそうになったが、美空はシャークティーに神多羅木は刀子に諌められ何とか盛大な笑い声を挙げる事はなかった。

 

「今回師匠が魔法世界に同行し父さんを捜索の手伝いをしていただくのは僕やお兄ちゃんよりも強く経験も豊富というのもあり効率良く父さんを探せる。そう判断しました。僕はお兄ちゃんの次に師匠を信頼しています。貴方方、誰よりも」

 

ガンドルフィーニの体に衝撃が走りショックを受けた。つい最近まで真面目の模範生だと思われたネギがこの数ヶ月で自分達に反発する不良学生のようになってしまったことに。

くっと悔しそうに歯噛みをするガンドルフィーニ。

 

「何と言うことだ……ネギ先生が悪の道に走ってしまうとは。これでは君の御父上であり、英雄のナギ・スプリングフィールドが悲しむのではないのか!?」

「あ、いえ、父さんは英雄として皆さんから称えられていますが、性格はアレですし、皆さんの目線での僕の愚行も笑って流すかもしれないです」

 

ネギの口から出た父であるナギのアレな性格に思わず目が点になるガンドルフィーニ達。学園長やタカミチを見ると懐かしむ学園長とタカミチ。

 

「そうじゃのう。ナギはとても優秀じゃったが、優等生っていうわけじゃなかったのう。自信家で俺様な奴じゃったわりには魔法を詠唱する時はあんちょこ本を手放さない奴じゃった。じゃが曲がった事は大嫌い。気に入らない事があればどんな事にも反発しおった。例え其れが大衆的な正義であったとしても、自身の正義を貫く。そんな男じゃった。」

「彼は悪い人じゃなかった。けど我が道を往くそんな人だった。真面目なのは詠春さんだったなぁ。けど一緒にいてとても楽しかった。そんな人だった」

 

学園長とタカミチの思出話を聞き正義の魔法使い達の何人かはショックを受けている様子だ。まさか英雄であるナギがどちらかというとアウトローと呼ばれそうな側であることに。

 

「子は親に似るってこう言うこと言うんすかねー。ネギ先生やマギさんの性格も父親譲りってことっすか」

「美空、口を慎みなさい!」

 

シャークティーに叱られる美空。そんなことガンドルフィーニ達は関係ない。もうナギの名を使っての説得は無意味と言うことを思いしらされてしまったのだから。

 

「ガンドルフィーニ先生。もう止めましょう。これ以上私達が何を言っても無意味です」

「高音君!?君は何を言ってるんだ!?」

 

正義の味方筆頭とも言っていい高音がガンドルフィーニを静止させる。

 

「マギ先生」

「おう、君はたしか……高音だったか。悪い、今の俺は記憶がない。辛うじて君を認識出来る程度だ」

「いいえ構いません。ですが、私の話を聞いては貰えませんか?」

 

高音の頼みにマギは深く頷く。ありがとうございますと頭を下げる高音。

 

「まず最初に、マギ先生私は貴方の印象を、失礼ですがとても無礼な人だと思っていました。どんな時も口を開けば『めんどうだ』と口走る、あまり宜しくない性格だと」

「人から見たらそんな性格だったんだな、俺……」

 

苦笑いをして頬を掻くマギに申し訳ございませんと謝罪する高音。

 

「さらにそちらのエヴァンジェリンさんの封印を解いた時には、何て事をしたのだと、私は勝手に失望し落胆しました。英雄の息子である貴方がそんな非道な事を平気でしたなんて……と。そして私は貴方の道を正そうとそう決心しました」

 

勝手な物言いだと判断したエヴァンジェリンは高音に敵意を向けるが、話を続ける高音。

 

「封印を解いてもエヴァンジェリンさんは悪の道を邁進することなく。マギ先生も筋の通った方だと言うことが学園祭の一件知ることが出来ました。ネギ先生の言う通り、私は自身の正義を信じるばかり周りが見えずらくなっていたかもしれません」

 

そう言って高音はマギやエヴァンジェリンに頭を下げた。これには正義の魔法使い達も騒ぎだす。

 

「高音君!?君は何をやっているんだ!?悪であるエヴァンジェリンに頭を下げるなんて正気なのか!?」

「私は至って正気です。確かにエヴァンジェリンさん、彼女は高額の賞金が賭けられています。ですが、賞金を賭けられているからと言って本当に悪なのか、それは私の目で確かめるべきだとそう判断しました」

 

ですが、と話を続ける高音。ただ楽観的にエヴァンジェリンやマギを信じる訳ではない。

 

「私も知っていますが、魔法世界は危険な所です。あそこは私達人以外にも獣人や悪魔と言った亜人も普通に暮らしている世界。さらにドラゴンと言った魔物も闊歩しています。こちらの世界の理も効かない世界です。一歩危険な場所に足を運べば命の危機。そんな世界になし崩しとは言え、魔法を知った生徒も一緒に魔法世界に連れていくのは大変危険です。最悪命を落とす結果になるかもしれません。マギ先生、貴方に彼女達を護り抜く自信と覚悟は決まっていますか?」

 

黙っていたマギ。そして重々しく口を開く。

 

「正直言って自信は少ない。記憶を失い短い期間で戦い方をその身に刻んだ。魔法世界で通用するかは分からない。いざとなったら不死身になったこの体を肉壁にして護り通す。皆で無事に戻ってくる。その覚悟だけは本物だ」

 

真剣な眼差しで高音を見つめるマギ。その目には覚悟の色が濃く出ていた。

そう言ってマギは学園長に目配せをしてあるものを高音達に見せる。

それは契約書であった。其処にはこう書かれていた。

 

―――私、マギ・スプリングフィールドは魔法世界において同行者にトラブル、最悪死亡事案が発生した場合、全ての責任を取り、如何なる罰も受ける所存である

 

これを見てまたも正義の魔法使い達は騒ぐ。しかしネギとエヴァンジェリンも同じようだ。どうやら2人にはこれを見せてはいない様子だ。

 

「大切な者達が欠けるような事があれば、俺は皆の前に居る資格はない。死ねない身だ。大切な人を護れなかったら、どこか地下深くにでも幽閉され無意味な一生を過ごす位がお似合いだ。学園長にも許可を貰っている。契約が破棄されればこの契約書は直ぐに俺を拘束する」

「……どうやら、それが貴方の覚悟なのですね。分かりました。マギ先生、貴方を信じます。私も魔法世界に用があります。出来ればそちらで合流してお父様の捜索のお手伝いを出来ればと思っています」

「ああ、ありがとう」

 

と感謝の言葉を送るが、納得していない2人が居る。

 

「おいどういう事だマギ!?そんな話聞いてないぞ!」

「そうだよお兄ちゃん!僕や師匠に黙ってこんな事を決めるなんて!!」

「悪い2人とも。でもこれが俺の覚悟だ。誰かを失ってまで俺はのうのうと生きていきたくない。だったら後ろ指刺され一生罪を背負っていくのが相応しいと思って決めたことだ」

 

別にかっこつけている訳ではない。これがけじめだと判断したまでである。しかしネギとエヴァンジェリンがそれを聞いてはいそうですかと言ってくれるほど素直ではない。

 

「だったら私ももう一度封印されて一生空虚な生活をしてやる。おいジジイ!その契約書に追加しておけ!」

「学園長先生!僕もオコジョの刑を一生と契約書に書いてください!!」

「おっおい、エヴァ、ネギ、これは俺の覚悟だ。そんな――」

「バカは黙ってろ!!

「お兄ちゃんは黙ってて!!」

 

はいと思わず直立してしまうマギ。あまりのネギとエヴァンジェリンの気迫に変な声を出す正義の魔法使い達もちらほらいる。

 

「お前はそうやって全部自分で責任を背負おうとしている。お前1人に押し付ける程落ちぶれてはいないぞ。一緒に地獄に落ちてやる」

「お兄ちゃん。僕だって計画の発案者の1人で皆の先生なんだ。絶対に皆を護る。護れない者に自由はない。だからこそ僕も覚悟を決めたよ」

 

エヴァンジェリンとネギも覚悟を決めた。ガンドルフィーニ達はネギだけに馬鹿な真似はよせと必死に説得している。

が学園長がその契約書にネギとエヴァンジェリンの事も追記していく。

 

「学園長!?何を勝手な事を!」

「勝手とはなんじゃ勝手とは。ネギ先生とエヴァンジェリンが覚悟を決めたのに蔑ろにするのは酷じゃろうて。それに……この者達だけに責任を押し付ける積もりはワシもないからの」

 

そう言って学園長もある事を追記した。

 

――魔法世界にて上述の事が起こった際、監督不届きとして私近衛近右衛門は全ての役職から退いた後に残りの余生は幽閉され償いの念をもって償っていくことを誓う。

 

「学園長!?」

「ただ行ってらっしゃいと笑顔で送り出すわけないじゃろう。1人だけ安全圏でのうのうとするほど愚かなつもりはない」

 

学園長の覚悟に正義の魔法使い達も何も言えない。反論する意志もないと判断した学園長は話を続ける。

 

「これにて魔法世界にエヴァンジェリンを同行するという事で決定とする。マギ君、ネギ君そしてエヴァンジェリン。無事に戻ってくる事を強く願っている。そして願わくはもう1人一緒に戻ってこれると良いんじゃがなの」

「はいっ」

「ああ」

「ふん、まぁ任せておけ」

 

こうして、魔法世界にエヴァンジェリンの同行が認められたのであった。

 

 

 

 

「………ちっ英雄気取りの愚か者共が。今はせいぜい下らない三文芝居の茶番を演じておくがいい」

 

正義の魔法使いまじって、ネギとマギの覚悟を忌々しく浅い劇を見るかのように睨み付けているのを学園長とタカミチは気付かなかった。

 

 

 

 

 

 

「そう言うことで、お前達に何かあった時にはマギや坊やに私、ついでにじじいが責任を負う事になったからな」

「いやあたしらが知らない所でそんな大事な事が決まった事を今聞いてプレッシャーが凄いんだが!?」

 

成田空港にてマギに好意を寄せる者達通称『マギ組』のツッコミ代表である千雨がエヴァンジェリンにツッコミを入れる。

今日はマギ達が一足先にイギリスに行く日である。この日のためにパスポートを発行し、プールスに至っては国籍自体がないので葉加瀬が色々とやってくれている。

そしてネギやアスナ達は見送りというわけだ。

 

「改めて言うが其れぐらい魔法世界は危険な場所ということだ。マギや坊や、そして名誉顧問である私はお前達を護るという責任がある。だがそれでも何かトラブルが起こった時には自分達で対処しなければいけない。くどいようだが聞くぞ。それでも行くか?」

 

答えなど決まっていると言いたげな表情を浮かべているアスナ達。

 

「行くに決まってるでしょ?そんなんじゃ何のためにあんな修行をしたか分からないじゃない」

「あぁそうだな。特にあたしらはアンタにずっとしごかれて来たんだ。行くのは正直あたしらの我儘だ。けど好きな人が危ない場所に行くかもしれないなら心配になるに決まってるだろ」

 

アスナと千雨の答えにのどか達も頷く。ふっと笑ったエヴァンジェリンは

 

「肝は据わったようだな。さぁ行くぞ」

 

エヴァンジェリンの号令でマギ達は搭乗ゲートに向かう。

 

「お兄ちゃん。あっちに着いたらお姉ちゃんに僕は元気だって伝えておいてね」

「まぁお前も直ぐに来るんだけどな。あぁしっかり伝えておくよ」

「マスター。私の最終調整がまだ終わらないため、ネギ先生と遅れて向かう事をお許し下さい。それと千雨さん、ハカセから千雨さんに渡す物があるそうですが、それも後日に一緒に持ってきますのでそれまでお待ち下さい」

「あぁ分かった。後で来ればいい」

「あたしに渡す物?なんだろ。分かったよ待ってるから」

 

各々見送りの言葉を贈り、受け取りマギ達は搭乗ゲートの奥へ。

ネギ達の姿が見えなくなり、マギ達は気になる事があった。それは……

 

「エヴァ、その姿はなんだ?」

「一応私は高額の賞金首だからな。面倒な事が起こらないようにの変装だ」

 

そうエヴァンジェリンは何時もの幼女の姿ではなく、きりっとした目が鋭い魅力的な大人の姿になっている。

 

「私の設定は学園に居る魔法世界に精通している美人女教師と言った所だ。現地では本名で呼ぶなよ。直ぐに正体がばれるかもしれんからな」

「そっか。じゃあ今偽名を考えた方がいいかもな」

 

そう言ってマギは今のエヴァンジェリンに合いそうな名前を思案する。そして雪のように白いエヴァンジェリンの顔を見てポツリと呟く。

 

「……雪姫」

「雪姫?」

「あぁ。エヴァの肌って雪のように白くて綺麗だし、確か昔はお嬢様だったんだろ?だから雪のように綺麗なお姫様って事で雪姫。どうかな?」

 

結構いい名前をつけられたと思ったマギは珍しく鼻を鳴らす。エヴァンジェリンもマギに誉められた事に満足げだ。

 

「雪姫。いいと思います」

「私もエヴァンジェリンさんにぴったりだと思うです」

「まぁいいんじゃねーの?」

「うん!似合ってると思うで!」

「エヴァンジェリンお姉ちゃんお姫様みたいで素敵レス!」

 

のどか達の評価も高く、エヴァンジェリンも顔を赤くし口を引くつかせる。

 

「よし、それじゃあ今から私はエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルではなく雪姫だ。だっだが、まぁマギは私と2人きりの時とかはエヴァと呼んでいいぞ」

「あっあぁ。分かっ……た?」

 

エヴァンジェリン否"雪姫"大人の女性の顔を赤らめた上目遣いに心音が上がったマギは目線を反らす。そんな光景を面白くないと言いたげに頬を膨らませる亜子と千雨。

かくしてマギは雪姫達を連れて故郷へと戻るのであった。

 

「……あれ?今のってもしかしてマギ?何であんな綺麗な女の人を連れてるのよ?ていうかネギは一緒じゃないの?」

 

途中でネギの幼なじみとすれ違ったが、気付くことはなかったのであった。

 

 

 

 

 

 

 


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