帰って来た故郷
飛行機にて空の旅を堪能した後、イギリスへと到着したマギ一行。ウェールズ行きの電車に揺られ、そこから徒歩でマギやネギ達の故郷である村へと到着した。
「ここがマギさんの故郷なんですね」
「スッゴく自然が綺麗でのどかな所やね!」
「空気がすごく美味しいですね」
「言い方悪いけど電波通ってなさそうな雰囲気だな……」
「わーい!!」
のどか達は各々感想を言い、プールスに至っては草原を楽しそうに走り回っている。
「どうだマギ。久し振りに故郷に帰って来た感想は?」
「はは。やっぱり記憶がないから何も思い出せないや。けど……心にかな、暖かみを感じるよ」
エヴァンジェリン改め雪姫に故郷を見て何か感じるかと聞かれマギはその様に返す。確かに何の思い出も甦ることはないが、マギの言う通り心地よい暖かさを感じている。
目の前の自然を味わっている中でマギはある人物を待っていた。その人は……
「マギ!!」
走ってきたのであろう肩で息をする女性が此方に向かってきて来ている。マギとネギの従姉である。
「ネカネ……姉」
ネカネの顔を見てポツリと名を呟く。ネカネは事前にマギの事を手紙で知っている。記憶を失った事にはショックを覚えたが、マギが五体満足でいる事にほっとした様子である。
「マギ、随分逞しくなったわね」
「その、ネカネ姉も元気そう……だめだ。前のネカネ姉の事を知らないからなんて言っていいか分からねぇ」
申し訳なさそうなマギの顔をネカネは優しく包み込む。
「そんなことないわ。ネギから手紙で知らされた時はそれはショックだったわ。けどマギ、貴方が元気な姿を見せてくれた事が一番嬉しいわ」
マギは照れているのか嬉しいのか、ガントレットの手で頬を掻く。
と今度はプールスの方へ顔を向ける。
「それであなたが……」
「はっ初めましてレス!私はプールス・スプリングフィールドレス!」
初めて会うネカネにもじもじしながら自己紹介をするプールス。ネカネは微笑みながら
「初めましてプールス。ネカネ・スプリングフィールドよ。ネカネお姉ちゃんって気軽に呼んでくれて構わないわ」
プールスは顔を輝かせて何度もネカネの名を呼ぶ。
「私は雪姫だ。マギ達の付き添いで来た先生だ宜しくたのむ」
きりっとした態度で名乗る雪姫に大丈夫ですよと返すネカネ。
「ネギから手紙で聞いています。私は貴女の事を信じています」
「なんだ。折角名乗ったのに名乗り損だな。改めて、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルだ。この姿は変装でな、こっちでは本来の姿は見せない。宜しくたのむ」
「ええ。ようこそエヴァンジェリンさん歓迎するわ」
ネカネの微笑みに雪姫は不敵な笑みで返す。
「宮崎のどかです。宜しくお願いします」
「綾瀬夕映です。素敵な歓迎ありがとうございますです」
「長谷川千雨です。暫くご厄介になります」
「和泉亜子です。宜しくお願いします!マギさんの故郷って素敵な所なんですね!」
のどか、夕映千雨に亜子が各々自己紹介する。ネカネはうふふと
「可愛らしい子達ね。皆マギのガールフレンドなのかしら?」
「いや、まだそう言う関係ではいないよ。けど皆とっても素敵でとってもいい子達だよ」
ネカネに対して正直に答えるマギ。マギの返答にのどか達どころかネカネも顔を赤くしてしまう。
「マギったら、そんな事を平気で言うなんて……」
そしてネカネに連れられ故郷の村へと案内されるのであった。
村の色々な所を紹介してくれるネカネに元々異国文化に興味津々なのどかや夕映は目を輝かせ、外国に来たということに改めて興奮する亜子と外面は涼しげな顔をしているが、マギの故郷ということもあって内心は結構楽しんでいる千雨と多種多様な表情を浮かべていた。
道中マギを知っている村の住民がマギに挨拶する。一応住民達もマギの状態の事はある程度把握しており、マギもぎこちないながらも住民達に挨拶を返す。
「そしてここが、マギやネギが勉強をした学校よ」
「うわぁ……素敵な所ですね」
ネカネがマギとネギが育った学校を紹介しのどかが感嘆の声を挙げる。
そこからはネカネが学校を案内していく。雪姫はときおりほぉと声を出す以外は特に特別な感情は出さないでいた。のどか達は興味深そうに目移りしていた。
そしてマギは学校を見て微笑みを浮かべながら
「学校か、学校で俺何してたか何にも思い出せないがどんな生徒だったんだろうな」
と感傷にふけっていると
「そうじゃのぉ、素行は悪い不良学生を振る舞っておったが、授業は真面目に受けるのはナギに対する反発な事をしておったのぉ」
声が聞こえた方を振り替えると、長い長髪と立派な髭を蓄えたいかにも老賢者な佇まいの老人。この学校の校長でマギとネギの祖父が、ようと軽い挨拶をしながら登場した。
「あー……じーさんだよな」
「おいおいそんな顔せんでもよいぞ。しかし随分逞しくなったのう前と見違えたぞ」
「はは、ネカネ姉にも言われたけど、どうせなら記憶を失う前の俺に聞かせたかったよ」
自嘲気味な笑みを浮かべるマギに校長は肩を強く数回叩く。
「何を言っておる。記憶を失ってもお前はお前だ。立派に成長してくれて、わしは誇りに思うしコノエも鼻が高いじゃろて」
「……あろがとうじーさん」
今は称賛を素直に受けとるマギであった。
「さて、エヴァンジェリンにお嬢さんがた、長旅で疲れたろう。ネカネが食事を用意しておる。よく食べゆっくりするとよい」
校長がそう促し、マギ達はネカネが作った料理を食した。 ネカネの料理は食べた記憶は失ってはいたが、どこか懐かしさを感じる。そんな料理だった。
その日の夜。のどか達は部屋に案内され、静かな寝息を立てている中、マギと雪姫はネカネと校長に呼ばれた。
「そう……ネギも連れて魔法世界に……」
ネカネは悲痛な顔を浮かべながら俯く。やはり危険な場所へ赴く事に思うことがあるのだろう。
「なぜ急に魔法世界に行こうと思った?」
「クウネルさんにクソ親父が生きてることを聞いて、今魔法世界に行かないと当分、いやもしかしたらもう二度とクソ親父に会うことが出来なくなる。そう直感が囁いたんだ」
「あいつのあの態度は気に食わんが実力はあるからな」
ふうあやつかと溜め息を吐き呟く校長。どうやらクウネルのあの性格には校長も手を焼いているようだ。
「だがマギ分かっておるか?魔法世界はエヴァンジェリン程ではないが、強きまたは凶悪な魔法使いなどごまんとおる。お前やエヴァンジェリンはともかく、ネギやあの子達を連れていくのは危険じゃないのか?」
「じーさんの言う通りだ。けどのどか達が自分達の意思で同行するって言ってくれた。だったら彼女達を尊重することにした。それに自分達から硝煙舞う殺伐とした場所には行かないって決まったし」
修行が始まる前に不死身の体を使って危険な場所へ1人でも向かおうという話をマギがしたら、ネギやのどか達が必死に止め最後には涙目でマギが行くなら自分達も行くという一騒動が起こった。そして危険な場所でも対応出来るようにとエヴァンジェリンの地獄の修行を行ったのだ。
危険な修行をしたが、わざわざ危険な地雷原に突撃する必要はない。そう決定したのだ。
「そう言うことならお前を信じよう。それに魔法世界はネギも知らぬ世界が広がっておる。お前にとってもいい勉強になるだろうて」
「ありがとうじーさん。絶対に俺は誓ったことを破らない事を誓うよ」
マギは覚えてないが校長とマギは日本に行く前と同じような誓いを立てるのだった。
「マギ、どうか無理だけはしないでねお願いだから」
「分かってるよネカネ姉。無理はしない。けど自分の責務は絶対に果たすさ」
「エヴァンジェリンもあっちの世界で悪さだけはせんようにの」
「分かってる。マギと坊やを裏切る真似はしないさ。それと今の私は雪姫だ。私の本名を言っていいのはマギだけだ」
「ほぉ、あのばかたれからマギに心変わりとはな。おまえさんもやるのぉ」
「うるさい。あまりちょうしにのった事を言うならその立派なアゴヒゲを凍らせて氷柱みたいにするぞ」
とその後少しの雑談をして寝床に入ったマギ達であった。