堕落先生マギま!!   作:ユリヤ

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今回とある作品の武器が登場します。
その作品を知らない方は申し訳ございません



MOONLIGHT

マギ達がウェールズに到着した翌日。マギ達は改めてネカネに案内されて町並みを観光した。歴史を感じるような建物に広大な自然をふんだんに堪能する一行。

眼前に広がる草原でプールスと亜子とかけっこしたりして遊んでいると日が傾きもう夕食の時間だと言うことでネカネの家に戻ろうとして、マギはふと足を止めた。

 

「どうしたマギ?」

 

雪姫が呼び掛けてもマギは反応を見せず

 

「……呼んでいる」

 

とポツリと呟いた。

 

「呼んでいる?」

「あぁ何かが俺を呼んでいるんだ。声じゃない、何かを感じるんだ皆は何か感じないか?」

 

雪姫達は皆首を横に振る。雪姫達にマギを呼んでいる何かの気配を感じ取れない。

 

「呼んでる。呼んでるんだ……」

「おっおいマギ、何処へ行くんだ」

 

マギは自身を呼ぶ気配に導かれるように駆け出し、雪姫達も慌ててマギを追いかけた。

マギは導かれ、昨日訪れた魔法学校で足を止めた。此処にマギを呼ぶ存在が居るようだ。

しかし今度は地下に向かう階段を下りていった。

 

「おいマギ、この下にお前を呼ぶ者が居るのか?」

「あぁ。けどなんか人の感じはしない。なんか別の存在みたいだ」

 

雪姫に聞かれマギはそう答える。人の感じがしないどういうことなのだろうか。

 

「まさかマギさんやエヴァンジェじゃなくて雪姫みたいな、人じゃない奴が封印されてるのか?」

「いいえ。そんな話一度も聞いたことはないわ」

 

千雨の推測にネカネは直ぐに否定する。ネカネもこの学校で学んでいたが、校長はそういった話を隠すなんて真似はしていないと信じている。

到着した場所は英語で≪武器庫≫と書かれていた。物騒な場所なのに見れば鍵も南京錠も付けられていない。

取っ手を持ち、ゆっくり引くとぎぎいという音を鳴らしながら開いた。

中は誇りっぽく、真っ暗だったのでネカネやのどか達が初歩の魔法で火を点火させ壁に刺さっている松明に火を当て、武器庫が火の明かりで照らされる。

 

「どれもこれも随分古い武器です……」

 

夕映の言うとおり、最近の武具ではなく日本で刀というところの剣や槍が大事そうに置かれている。

 

「昔の戦争にここの村が基地として使われていたらしく、この学校が建つ前は前線基地が建てられていたらしいの。戦争が終わってからは使われていた武器は供養も兼ねてこの武器庫を作って閉まった後に上に学校が建てられたみたいなの」

「へーそうなんや……」

「どれもこれもお役目ごめんって訳だな」

 

 

亜子や千雨もまじまじと武具を見る。まるで博物館だと思ったのどか達。こんな場所にマギを呼んでいるものがあるのか

とマギが遂に歩みを止めた。

 

「これは、なんだ?」

 

マギは目の前のものをまじまじと見る。

それは1本の剣であった。

刀身は鉄ではなく宝石のようで、まるで芸術品のよう。

炎の光で刀身は青白く光る。

その光はまるで夜空を照らす月光であった。

 

「とっても綺麗レス……」

 

プールスは目の前の刀身の輝きに感嘆の声を挙げている。確かにこの月光のような輝きは美しいと思ったマギ達。

 

「でもこれって普通の剣じゃないよな。回りの剣と違って錆び付いていないし、魔法剣って奴か?」

「これって伝説の聖剣っていうやつかな?エクスカリバーとか有名やん」

「これがマギを呼んでいたものか?」

「あぁ。さっきからこの剣が俺を呼んでる。けど、この剣は一体何なんだ?」

 

マギは光輝く剣に手を伸ばそうとするが

 

「余りそれに触らん方がよいぞ」

 

後ろから校長の声が聞こえ皆一斉に振り替える。

 

「じーさん、触らない方がいいってどういうことなんだ?」

「うむ。どうやらその剣は呪われておるようで、剣を持った者達はことごとく可笑しくなったか命を失っておって、危険ということでこの武器庫に奉っておるというわけだ」

 

呪われていると聞かされ、亜子やプールスは小さな悲鳴をあげ、のどかや夕映に千雨は冷や汗を流す。

 

「呪われてるって、そもそもこの剣は何なんだよ」

「この剣はわしが生まれる前からこの地にあったらしくての――」

 

校長の話だと戦が終戦した時に武具を埋葬しようとしたら、混ざっていたらしい。

この剣も一緒に納めようと1人の男が剣を掴んだ。そして悲劇は起こる。

剣を掴んだ男は暫く静止していたが、目や鼻口耳から血を吹き出し絶命してしまったという。

場は混乱の大騒ぎになり、他の男達も剣を掴むが次々に血を吹き出すか、発狂し再起不能になるかのどちらかだった。

結果この剣が危険だという認識が浸透するまで10人以上は犠牲になったという。

その後はその場に居合わせた魔法使いが魔法で何とか剣を安全に運んで他の武具と同じように奉ったのであった。

これにて一件落着……とは問屋が卸さないようであった。

剣は奉られた後も人を呼んでおり、呼ばれた者はこの武器庫へ訪れ剣を握り絶命してしまった。中にはその剣の噂を聞いたのか手に入れようとする輩も現れるようになったという。確かに錆びることなく輝く剣などお宝でしかない。

が結果は同じ、酷い骸が剣の前に無残に転がるだけであった。

そして年月は経ち、学校が建設され、剣の事は『呪いの魔剣を触った者は呪いによって死ぬ』という警句として語り継がれ、学校の生徒や教師は誰1人剣に手を出そうとする者は居なかった。

ただ、どんな時代にも阿呆は必ず居るものだ。

学校の卒業生の男が度胸試しということで剣を掴もうとしたのだ。

だが呪いは迷信ではないというのは知っていたので、仲間を連れて、自身に呪いを無効にする魔法を盛大に掛けたそうだ。

そしていざと剣を掴んだのだ。魔法が効いているのか呪いが発現することはなかった。

男は調子に乗って勇者のように剣を掲げようとしたら、急に頭を抑え、叫びだし発狂しだした。

直ぐに仲間が先生や校長を連れてきた事によって命だけは助かった。

だが精神が逝ってしまい、薄ら笑いを浮かべながら

 

『悪魔が……竜が……獣が……月の化物が殺しにやってくる』

 

延々と呟き、哀れ度胸試しをしようとしたら病院のベッドの住民となり、未だに回復していないという………

 

「それがこの剣に関わった者の末路だ」

 

校長の話を聞いてすっかりすくんでしまったプールスやのどかや夕映。怖さとエグさが混じった話に嫌にイメージが浮かんでしまった。今日は中々眠れそうになさそうだ。

「なぁマギさん、校長先生の話を聞いたけど、別にマギさんが選ばれた特別な存在ってわけじゃなさそうだぞ?あたしから言わせれば甘い匂いで誘い込んで獲物を食べる食虫植物のようなもんだろ」

 

千雨の例えは的を得ているだろう。しかしマギは

 

「……でも俺はこの剣を取る。取らないといけない気がするんだ」

 

そう言いマギは剣へ手を伸ばそうとする。しかしマギの手首を雪姫が掴む。

 

「分かっているのかマギ、私とお前は不死身の存在であるが精神までもが不死身というわけじゃない。精神が死んでしまったら人の死となんら変わりがない。それに私達は魔法世界に行ってナギを探しに行くんだ。こんな得体の知れない物を手に入れるためじゃない」

 

志し半ばで途中退場なんてただの馬鹿だ。

 

「……ごめんエヴァ。けど、俺を信じてくれ」

 

マギは雪姫の制止を振り切り、剣を掴んだ。次の瞬間

 

「あっ、が!?」

 

マギの頭の中へ次々と映像が流れ込んでくる。それは膨大で次々と流れていく奔流のごとき激しさ。常人なら頭の中がパンクしてしまう程だ。

 

(これは……記録?いや、この剣に刻まれた記憶なのか?だめだ、意識、が………)

 

遂には意識を正常に保てなくなり、一瞬の気の緩みよって記憶の奔流に押し流されマギは意識をテレビの様にぶつりと切ってしまったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――――ギ。―――――ギ。――――マギ。――――おいマギ!―――マギ!この馬鹿早く起きろ!!」

「……う、あ……?」

 

雪姫の怒鳴り声に反応するように、マギはゆっくりと目蓋を開け、そのまま上体を上げた。

 

「あれ?皆どうしたんだ?」

 

呑気にいやこれは寝ぼけて場違いな事を聞き出すマギに雪姫は割りと本気な拳骨を浴びせる。

悶えるマギにのどかやプールス達が飛び込んで来て、暫く混乱していたマギだが、漸く自分が何をやったのか思い出した。

 

「俺、ずっと意識を失ってたのか?まさか結構時間が経って……」

「いや、時間事態は10分も満たしておらん。お前が倒れてエヴァンジェリンは随分と慌てておったぞ」

「黙っていろじじい!それとマギ、今度勝手な事をしたら、許さないからな。覚悟しておけよ」

「あぁ。次からは絶対にしない」

 

憤っている雪姫に深々と謝罪する。

 

「そう言えばマギさん、もう剣を持っても何ともないのか」

 

千雨に聞かれ、マギは改めて剣を凝視する。もう何も起こらないようだ。

 

「これは俺がこの剣に認められたっていう事で良いんだろうか」

「いや、ウチらに聞かれても困るんやけど……」

 

苦笑いを浮かべる亜子。

 

「それで、マギさんは一体何を見たんですか?」

 

のどかに聞かれ、ぽつりぽつりと呟くように話し始める。

 

「見るというより、追体験してるような感覚だった。この剣を持ってでっかい悪魔だったりミイラになった王様だったり、白い竜や黒い竜やはたまた赤い頭巾のじいさんと、更には獣になった市民や神父や騎士と、見てるだけで正気を失いそうな化物と、他にも狂ってしまった狩人だったり、形容しがたい邪神のような化物だったり、義足じいさん、最後は月から化物が現れて……そいつらと死闘を繰り広げ、終わって気がついたら目を覚ましたって所だ」

 

聞いてる感じじゃラノベが数冊は作れそうだなとツッコミを入れる千雨。

 

「追体験と言ってもやって来た事はリアルでしかなかった。でも修行を行っていたから何とか勝てた。戦いの中で何回も身を引き裂かれたし、炎で焼かれたりしてたけど、不死身のお陰っていうのもあったんだろうな。多分今まで死んだり狂ったりした奴らはこれらの戦いに脳や精神が耐えられなかったからだろうな」

 

不死身様々だなとマギは少しおどけてみたが、反応が今一で滑ってしまい、急いで咳払いで誤魔化した。

 

「それでこの剣が何か分かったです」

 

夕映が剣の正体が何かを尋ねると、マギは真剣な顔に切り替え

 

「この剣は恐らくだが、この世界の物ではない。そして魔法世界の物でもないだろう」

 

この世界つまり地球産でも魔法世界産の剣ではないと聞き、驚きを見せるのどか達。

 

「どうしてそう思ったんですか?」

「あーのどか、理由としてはだな、俺が追体験した世界では亡者が闊歩してたし、悪魔や竜もいた。中世のファンタジーな見た目で最初は魔法世界かと思ったが、魔法世界には獣人や耳の長いエルフみたいな人がいると聞いた。がその世界ではそう言った人種を見ていない。竜の女の子や下半身が蛇なやつは居たがな。人が獣になってしまう世界は魔法は全然見られず、剣と銃が主流の近代ヨーロッパな世界だった。けど、地球でそんなパンデミックがあれば歴史に残るだろうし、邪神みたいな化物の存在が知れ渡っていたら、世紀のスクープになってそれこそ歴史に残っていただろうさ」

 

それとと話を続けるマギ。

 

「世界観が違うのに、同じ剣はある。俺はこの剣は何かしらの力によって様々な記憶が概念が形作られ剣となり、別次元世界からこの世界にやって来た。そう仮説を立てた」

「いや何かしらの力ってなんだよマギさん。それにどうやってこの世界にやって来たんだよ」

「いや正直言って謎の力としか言いようがないし、この世界に来たのも不思議パワーということだろうし、それに……今考察する必要もないだろ。この剣が俺のになったということが分かっただけでももうけもんだ」

 

ええぇとマギのあっけらかんな姿に千雨は思わず引いてしまう。がマギの言う通り訳の分からんものに対しても考察しても時間の無駄であろう。

 

「ですが別の世界、所謂平行世界というわけですか。前の私ならそのような世界を否定していたですが、未来から来た超さんも居るんです。平行世界があっても可笑しくはなKいのですね」

「けどほんまにかっこいいねその剣。まるでマギさんが勇者になったみたいやね」

 

亜子がマギの事を勇者と称賛し、勇者かと呟くマギ。

 

「まぁ勇者って器じゃねえな俺は。それはネギの方だろ。それにこの剣があった世界って王道勇者が裸足で逃げ出すほどのダークファンタジーな世界だったし」

 

と雑談を終える。

 

「それでこの剣は何て言う名前なんだ?随分と大層な名前でもあるんだろうな」

「あぁ。この剣は月明かりの大剣とか、月光の大剣とか、月光の聖剣って名前があるみたいだが。そうだな……月光の(つるぎ)。そう呼ぶことにするよ」

 

こうして月光の剣はマギのものになったのだ。マギが魔力を月光の剣に送り、それに呼応するように、月光の剣は刀身を美しい月の光を出すのであった。

 

「っ!」

 

とその時、マギは何かの気配を感じる。そしてそのまま月光の剣を持ちながら武器庫を飛び出していった。

階段をかけ上り地上に戻ると、月光の剣を何もない虚空に向けて構える。

 

「どうしたマギ。血相を変えて飛び出して」

 

追い付いた雪姫が訳を聞くと

 

「何かが来る。悪い気配がたくさんと」

 

そうマギが言った瞬間、目の前の空間が大きく揺らぎ大きな暗い大穴が現れた。

その暗闇の穴から

 

『うぉぉぉ……』

『ぐぁぁぁぁ……』

 

翼の生えた、太い角が付いた、腕が6本あるといった異形の悪魔達がぞろぞろと動物の群れのように現れた。

そんな異形の化物の最前列に居た悪魔が人の姿となり黒服とマントを纏いシルクハットを被った老紳士へと姿を変える。

 

「やぁ、まさかこんな早い形で再会するとは思わなかったよマギ君」

 

かつて学園に侵入し、ネギと戦ったへルマンがシルクハットを取り優雅に挨拶をし決まったとばかりに笑みを浮かべた。

のどかや夕映に亜子はへルマンの登場に驚き、へルマン襲来時には魔法を知らなかった千雨はだれだと首をかしげ、雪姫はあぁこいつかと然程興味なさそうに、プールスは嘗てよくしてくれたことを思い出し素直に喜んでいいのか複雑そうに。

そして名指しされたマギはというと……

 

「……すいません。どなたですか?」

 

申し訳なさそうに謝罪し、へルマンに名を尋ねた。

へルマンは笑みのまま固まり、しんと静まり返りとても居たたまれない空気となってしまった。

本来だったらと一触即発の張り詰めた空気になるはずだったのに、マギの一言によって色々と台無しなグダグダな空気になってしまったのであった。

 

 

 

 

 

 

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