堕落先生マギま!!   作:ユリヤ

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合流目指せ

 あの後、なんとか気持ち切り替えたネギと茶々丸(マギは少し表情が暗い)は地図を見て自分達の位置を確認をする。夜になり、星から位置を割り出し、今自分たちがいる場所も分かった。

 エリジウム大陸、ケルべラス大樹林。今いる地の場所の名前である。メガロメセンブリアまで1万キロ近くあるという途方もない距離である。

 ただ幾人かは自分達と距離の近い者が範囲内に居ることも分かった。まず最初に同じ密林に居るABCと合流し、その後山脈を超えたDとEに合流し、南下した後に内海沿岸の町に行くのが得策だという事になった。ただ近くに居る人が誰かまでは把握は出来ていない。

 ネギは直ぐにでも動こうとしたが、茶々丸は待ったをかけた。今の自分たちには色々な障害がある。まず最初にネギの体力がまだ戻っていない事。怪我をこのかのアーティファクトで治療したが、その反動で今のネギは軽い熱状態であること。今無理をしたらかえってネギの体力を奪ってしまう。次に装備が万全ではない事。今のネギは愛用している杖がない。携帯用の杖は先の戦闘で破壊されてしまい、今あるのは指輪だけである。更に

 

「! ネギ先生! 静かにしていてください!!」

 

 頭上を下等種ではあるが、肉食の飛龍が鳴きながら飛び去って行った。此処は魔法世界のジャングル、地球のジャングルの猛獣や毒をもつ生物など目じゃない恐ろしいモンスターがうじゃうじゃとジャングルを闊歩しているのだ。

 それを聞きますますネギは探しに行こうとするが、めまいを覚えその場に座り込んでしまった。

 

「今は体を休めてください。無理をなさっては体に響きます」

 

 万全で捜索するために、今日はもう休むことにしたのであった。

 翌日、早朝に出発することにした。

 

「……行くぞ」

「うっうん!」

「分かりました」

 

 声色が低いマギが先頭に立ち、出発した。そして次の障害が……

 

 

 

 

 

 

 

「ギャアギャアギャアアアアア!! グルアアアア!!」

 

 咆哮を上げながら肉食の飛竜がこちらに飛んで向かってきている。かなり鋭利な牙が見え、あれに襲われたらひとたまりもないだろう。だが……

 

「っ!!」

 

 マギがグレートソードを飛竜に向かって振り下ろした。

 

「ぐぎゃ!?」

 

 グレートソードで飛竜が潰され、何も言えぬ死骸へと化してしまった。これで通算10匹目の死骸である。

 

「……さっさと前へ進むぞ」

「う、うん」

「マギ先生、どうか無理をしないでください」

「無理? 何言ってるんだよ? 死ねない俺に無理なんてあるわけないだろ」

 

 マギが発している強烈な殺気に中てられ、凶暴な肉食の飛竜や猿のモンスターにライオンやトラのようなモンスターや巨大な虫がマギを襲おうと牙を向いてこちらに迫ってくる。

 それをマギが全て返り討ちにしてしまう。それも全て頭を潰し直ぐに絶命させてしまった。

 マギは昨日の事でかなり参っているようで、八つ当たりでこっちを襲ってくる肉食を殺していってる。このままだとここら辺の生体系が崩れてしまいそうだ。

 

「お兄ちゃん、その、無理はしないでね」

「無理? 俺の何処が無理をしてるって?」

「いや、その……」

「……早く行くぞ。無駄な時間を過ごしてる暇なんてないんだからな」

 

 余裕がないせいで返答もどこかピリピリしている。更に最悪な事に

 

「お兄ちゃんの付けてるガントレットが……」

「これ以上マギ先生に無理はさせられません。ですが、今のマギ先生を止めることが私達で出来るかどうか……」

 

 マギが装着しているガントレット、それが所々から配線が見えてたり、部品が取れてしまって完全に壊れている。

 あの魔法の出力を強引に上げて更にフェイト達と1人で戦ったのだ。無理な使い方でがたが来てしまったのだろう。

 雪姫の警告を無視し、理性より闇の魔法が上回る程の出力を発動。今の所暴走する気配はないが、肉食の魔物を叩き潰している時はかなり危険な気配を醸し出している。要注意だ。しかしまだネギが本調子ではないのも事実。マギに護られている状態ではあるが、この状態がいつまで続くのか心配である。

 その後もあまりに巨大すぎる肉食が現れた際は身を隠すなどでやり過ごし、ただ前へ前へと進むのであった。

 前を進み続けて2時間は経とうとしていた。歩き続けてマギ達は大きな湖へ到着した。綺麗な光景にネギは感嘆な声を上げる。

 

「異世界の空に綺麗な湖。それに見たことのない不思議な動植物……こんな状況じゃなければここにキャンプでも張って、ゆっくりと魔法世界の秘境を楽しみたいところです」

 

 頬を赤くしながら思ったことを口に出す。しかしネギの顔が赤いのは興奮ではなく、体調不良の体温上昇だ。

 

「いいえネギ先生、もう今日は此処で休みましょう。これ以上はネギ先生のお体に障ります」

「ダメです! 僕たちが此処で止まっている間に何かあったら間に合わない事になってしまうかもしれません!」

 

 ネギは頑なに前に進もうとしている。マギは黙っているが、マギも早く前へ行きたいであろう。

 

「いいえいけません。ネギ先生が倒れてしまったら本末転倒です。まずはご自分の体を大事にしてください。どうか焦らないで」

 

 茶々丸はネギの体を心配するが、それでもネギは届かず

 

「分かりました。ですが15分です。15分休んだら直ぐに出発します」

「15分!? しかしそれでは休んだことになりません!」

「それ以上は休めません! 何としてでも今日中にたどり着かないといけないんです」

 

 ネギの考えは揺らがないようだ。

 

「……おい、休むんならさっさと休むぞ。今は1分1秒も時間を無駄にするわけにはいかないからな」

 

 マギの一声で休むことになったその時

 

「グルルルル……」

 

 マギ達の前に黒い虎のような黒い竜が唸り声を上げなら登場した。

 

「しまった! こんな近くに!!」

「ネギ先生!」

 

 黒い虎竜(こりゅう)は角を発光させると雷で攻撃してきて、迫る雷を避けるマギ達。

 

「魔法の射手光の光の三矢!!」

 

 ネギは無詠唱で魔法の矢を虎竜に向かって放った。これに驚いてさっさと此処から立ち去ってほしい。ネギはそう思ったが、考えが甘かった。虎竜は今度は角から魔法障壁を展開して、ネギが放った魔法の矢をいとも簡単に防いでしまう。

 

「魔法障壁を使う!? 野生の生き物なのに!!」

 

 ネギが驚いている間に、虎竜はまたも雷をネギに向かって打ってきた。ネギも咄嗟に魔法障壁で雷を防ぐが、鞭打った体で展開した魔法障壁だったため、直ぐに膝をついてしまう。

 

「ネギ先生!!」

 

 茶々丸がネギに駆けつけて抱き起す。無理に魔法を使ったせいで、今のネギは熱も上がり意識が混濁している状態だ。そのまま意識を失ってしまいそうだ。

 こうなったら自分がネギを護ろう。そう判断した茶々丸はネギを護るために虎竜の前に立ちはだかろうとしたその時

 

「ネギ、茶々丸、邪魔だ。後は俺がやる」

 

 マギが虎竜と対峙する。

 

「お兄、ちゃん……」

「マギ先生! 無茶をしないでください!!」

「無茶? 死なない奴が無茶をしないで何時無茶をするんだよ。それに……こいつから旨そうな匂いがして堪らないんだよ」

 

 見ればマギは口から涎を垂らし続け、まるで植えた獣の形相をしていた。虎竜もマギがネギよりも厄介な相手だと瞬時に察して威嚇しながら角を発光している。ネギはマギに止まってほしいと懇願したが遂に意識を失ってしまった

 

「……っ──!!」

 

 マギは雄たけびを上げながらグレートソードを虎竜に向かって振り下ろした。しかしマギのグレートソードは虎竜の魔法障壁によって防がれてしまい、有効打を与えることが出来なかった。かえって虎竜はマギに向かって雷を放つ。

 グレートソードで雷を防ぐマギは舌打ちをする。

 

「厄介な障壁だな。どうするべきか……」

 

 マギは少しの間思案し、何かを思いついたのか、グレートソードを影へ戻すと、両手を広げてゆっくりと虎竜へと近づいて行った。

 

「マギ先生何をやっているんですか!? いくらマスターと同じ不死身だからなど言って危ない真似は止めてください!!」

 

 マギは耳を傾けず、更に虎竜へと近づいていく。

 

「さぁ食ってみろよ。極上とまでは言えないだろうが、だが何の労力もなくただ飯が食えるんだぜ? こんな美味しい話はないだろう?」

 

 にやにやと笑いながらどんどん近づき、遂に虎竜の間合いまで近づいてきた。

 虎竜もただ近づいてくるマギを警戒している。魔法を使える虎竜の様な強力な魔法生物はかなりの知能を持っている。それこそ状況を理解することの出来るほどの知能をだ。

 そんな虎竜はグレートソードを持っていたマギが面倒な獲物であることは直ぐに理解できた。そんな相手が武器を消して自ら近づいてきたのだ。

 罠かと考える虎竜。しかしマギには2人の仲間がいる。そんな2人を護るために、勝てないと判断したマギが自ら餌という名の生贄となり2人を逃がそうとしていると段々考えるようになった。

 何て殊勝な心掛けだろうか。それに、今の自分は腹が減っている。無駄に体力を使わずに飯にありつけるならそれでよし。虎竜は咆哮を上げながらマギの右肩から心臓めがけて食らいつく。虎竜が食らいついた瞬間に血が舞う。

 

「マギ先生!!」

 

 悲痛な声を上げる茶々丸。楽に飯にありつけた。まぁこの人間を食ってまだ足りなかったら残りも食らってやろうかと強者の余裕を見せていた虎竜だが

 

「ぐるぅ!?」

 

 マギの血を飲んだ瞬間に顔を歪めてしまう。なんだこの人間の血は!? まるで嘗て自分が小さかった時に何も飲まず食わずでやっと飲んだ泥水よりもまずいではないか! 

 こんな人間食えたものじゃない。食って下手したら体調を崩してしまうと目の前の人間から口を離そうとした瞬間、マギが右腕で虎竜の頭を猫や犬のように撫でまわしたと思いきや、がっちりとロックして口から離れないようにする。

 

「……よぉぉく味わえよ。これがてめぇの最期の晩餐だ。まぁ不死身の俺を食っても栄養にはならねえだろうけどな」

 

 マギは不敵な笑みを浮かべながら背中に隠していた月光の剣を取り出し、そのまま虎竜の首に月光の剣を突き刺した。

 

「ぐるあぁぁぁぁ!?」

「やっぱりな。てめぇは相手に攻撃されている時しか障壁を張らない。こういう食事の時は油断して障壁を張らない。餌になった甲斐があったってものだ」

 

 虎竜は暴れてマギの拘束から抜ける。しかし月光の剣が致命傷になっているため、呼吸するのがままならない。もう自分の命は風前の灯火だというのは本能で察してしまった。 

 

「今度はこっちの番だ。てめぇが持っている極上の物、俺に寄越せ」

 

 傷を再生させてから、虎竜に向けて濃密な殺気を放つマギ。殺気に中てられ虎竜は此処で初めて恐怖を覚えた。そうだったのだ。自分は捕食者ではない。最初からこいつの食卓に並べられた料理であったのだ。

 こいつに食われたくない。虎竜は恐怖に負けて自身がもうすぐ死ぬと分かっていながらも翼を広げて湖から逃げ去ろうとした。しかしそれよりも早くマギが虎竜に向かって飛び

 

「あああああああああ!!」

 

 叫びながらマギはグレートソードで虎竜の頭を叩き潰した。なんてことない。力のある虎竜もマギにとっては今まで潰してきた魔法生物となんら変わりがなかったのだから。

 しかし虎竜は他の生物と違い、マギは腕を虎竜の死骸に突っ込むと何かを探していた。

 

「っ! これか!!」

 

 そして何かを見つけたのか腕を引っ張り虎竜の死骸から何かを引き千切った。

 力のある魔法生物は人と違い詠唱を唱えずとも魔法を使うことが出来るのは、魔力を作り出す事が出来る器官が備わっているからだ。

 それが今マギが持っている雷で光っている虎竜の魔力袋と呼ばれる、血を作る肝臓のように魔力を作ることが出来る臓器である。

 そんな虎竜の魔力袋をまるで極上の料理を今から頂くように涎を滴らせて大口を開けて、虎竜の魔力袋を一口で頂いた。

 何度も咀嚼して飲み込んだマギ。その口は恍惚笑みを浮かべていた。

 

「あぁ……旨いなぁ……」

 

 くくくと笑みを浮かべるマギ。純度100%の魔力を喰らった事で、マギの体は少しずつ力が戻って来て、少しずつ闇の魔力がマギから溢れだそうとしていた。

 

「いけませんマギ先生!!」

「もっとだ。もっと……クワセロォォォォ!!!」

 

 雄たけびを上げながら闇の魔力を放出するマギ。次の瞬間にはマギの意識は闇へと落ちていったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あ? 俺、何してた? 意識が、飛んでいたのか? いったい何時から?」

 

 気が付けば青かった空が夜の星空に変わっている。かなりの時間が経っているようだった。

 

「あの竜の肝を食ってからの記憶がない。何がどうなったん────」

 

 辺りを見渡して絶句してしまった。あんなに綺麗だった湖は見る影もなく悲惨な光景と変わってしまっており、自分が狩った虎竜の他に別の虎竜が転がっており、他にも蟹のような魔法生物に蛇のような魔法生物、狼種の魔法生物。猿と鬼を足したような魔法生物、色々な魔法生物が死屍累々に転がっている。

 どれもこれも頭を叩き潰されてるか、首を叩ききられているか死因は様々であるが、皆同じように腹を裂かれている。恐らくは自分のさっきに反応してここの周りの魔法生物達が自分を襲ったのが関の山だろう。

 そして自分の口回りが血で汚れ、同じように衣服にも血がこべりついてしまっている。

 

「まさかここの奴らの肝を全部食ったのか俺……腹とか壊さないかな?」

 

 と場違いな呑気なことを宣うマギ。得体の知れない生物の生の臓器をそのまま喰うなど、いよいよマギが普通ではないと証明することになってしまうが。

 とマギははっとして辺りを見渡す。そう言えばネギと茶々丸はどうした。

 見れば横になってぐったりしているネギとそのネギを護るように所々汚れているが壊れていない茶々丸が居た。

 

「おいっ茶々丸、ネギ、しっかりしろ」

 

 マギが茶々丸の肩を揺する。まさか自分がこの2人に手を掛けてしまったのか。最悪なビジョンが頭をよぎっていると茶々丸がゆっくりと目を開いた。

 

「茶々丸っ、大丈夫か? どこも怪我していないか?」

「マギ先生……はい、ネギ先生も少し熱が下がりました。ですがまだ油断は出来ません。私はネギ先生を護っていまして少々汚れた程度です」

「……よかった。お前達に何もなくて、何かあったら俺は……」

 

 折角調子が戻ったと思ったらまた情緒が不安定になりかけているマギの胸に茶々丸が飛び込んできた。

 

「ちゃ、茶々丸?」

「マギ先生、どうか自分の事を責めないでくださいっ。今回の事はマスターも予測出来ていませんでした。そんなマスターが出来なかったのにマギ先生が何故自分お一人で全ての責任を負おうとしているのですか」

 

 顔を上げた茶々丸の目には涙が流れる。マギの目の前に居るのは作られた少女ではなく、普通の女の子と変わらなかった。

 

「どうか、どうかご自身を傷つけるような真似はこれ以上しないでください。貴方が傷つく姿を見るのはもう嫌です」

「……あぁ、すまないな。悪かった」

 

 涙を流す茶々丸の頭を撫でてあやすマギ、しかし茶々丸は悲しみの感情でマギがこれ以上無茶をしないと約束を誓っていないことに気付かなかった。マギはこれ以降も飛んで行った仲間全員と合流するまで無茶な戦いを強いるだろう。

 

「……あぁ」

「茶々丸!? どうしたんだ!?」

 

 ふらりと倒れてしまった茶々丸に慌ててしまうマギ。

 

「やっぱり茶々丸、お前何か」

「いえ、そうではありません。今の私はエネルギーが、枯渇している状態です。人で言うなら、空腹状態になっているだけです」

「そんな……! 何か、何か出来ることは無いのか!?」

「いえ、大丈夫です。安静にしていれば、少しずつですが、回復をすることが、出来ます」

 

 それか、と茶々丸はポケットからゼンマイを出した。

 

「ゼンマイ? これってもしかしてこれを茶々丸に巻けばいいのか?」

「はい……ですが、何時もはマスターに巻いてもらっていまして、本来ならマスターに巻いてもらうつもりでしたので、その、心の準備が……」

「何言ってるんだ! 今俺が巻いてやるから待ってろ!」

 

 色々といっぱいいっぱいなマギは半ば強引にゼンマイを巻くことを強行するのだった。

 

「ここで、いいのか?」

「は、はい。その、優しくお願いします」

 

 マギはゆっくりと茶々丸の後頭部のゼンマイの挿入口にゆっくりとゼンマイを入れた。

 

「……うっ、くぅ」

「だ、大丈夫か? まさか入れ方が間違ってたか?」

 

 初めてのことでマギもどぎまぎしながら間違って挿してしまったのかと慌ててるが、

 

「だ、大丈夫です。あの出来るだけ、ゆっくりと魔力を送ってください」

「あ、あぁ分かった。ゆっくり、ゆっくりな」

 

 マギもゆっくりとゆっくりと茶々丸に魔力を送るのだが

 

「ふっふぅぅぅぅぅぅぅ」

「だ、大丈夫なのか? なんか辛そうに見えるが」

「ちっ違います。その、あの……」

 

 見れば茶々丸の頬が赤くなっており

 

「き、気持ちいいんです……」

 

 何時もは見せない茶々丸の艶やかな声に思わずマギも顔が赤くなる。茶々丸はクラスの中でも大人っぽい(ガイノイドだから歳は一番下だが)見た目なため、何かいけないことをしているような感じになってしまう。

 しかし魔力を送らないと。茶々丸を万全の状態にしていた方が今後の皆の捜索に支障をきたすことは無いだろう。

 

「茶々丸、もう少しだけ魔力を送るぞ。だから、少し耐えてくれ」

「は、はい分かりました。その、ゆっくりでお願いしますぅ……」

 

 マギは茶々丸へ魔力をゆっくりと送る。魔力を送っている間に茶々丸も変な声を出さないように口に手を当て、必死に耐えている。

 

「くぁwせdrffgyふじこlp~~~~~~~~~!!」

 

 ホントに何かいかがわしい事を茶々丸にしてるのではないかと、マギも変な気持ちにならないように耐えて、無心で魔力を送りながらゼンマイを巻いた。

 しかし無心過ぎてしまったのか、今のマギは魔力の肝を食べすぎて魔力が有り余っている。そのせいで、無意識に闇の魔力を茶々丸に送ってしまっていた。その結果……

 

「はぅ!!」

 

 魔力が充填した瞬間に、茶々丸の体が大きく揺れる。そしてそのまま倒れこんでしまった。

 

「ちゃっ茶々丸、大丈夫か?」

 

 マギは心配しながら茶々丸を抱き起す。が、茶々丸はそのままマギを押し倒してしまった。

 

「ちゃ、茶々丸さん?」

 

 マギはいきなり茶々丸に押し倒されたことに目が点になるがその張本人である茶々丸は

 

「はぁはぁはぁはぁっ」

 

 顔がオーバーヒートしそうな位に真っ赤で目の焦点が合っていなかった。

 

「茶々丸本当に大丈夫なのか!?」

「だ、だいじょうぶれひゅう。魔力は充分にたまりまひたぁ。でしゅがぁ体がとってもぽかぽかとあったかくてぇ、気持ちがいいんでしゅぅ……けど、体の奥がうずいてうずいてぇどうにかなってしまいそうなんですぅ……」

 

 赤い顔、呂律が回っていない口調、意識もどこか呆然としている。間違いない、茶々丸、酔っぱらってるとマギはそう判断する。しかしロボットも酔っぱらうのかと呑気な事を考えようとしたその時

 

「だからぁ……」

 

 何か嫌な気配を感じ取った瞬間

 

「この疼きをどうにかしてくださぁぁぁい!!」

「うぉぉぉぉぉぉ! 力強い!?」

 

 酔っぱらった茶々丸がマギに襲い掛かってきた。必死に抵抗するマギ。しかし茶々丸の力強さに戦慄を覚えてしまう。

 

「マギ先生! マギ先生! マギ先……マギさん! マギさん!! マギさああああん!!」

「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!! だっ駄目だ! 茶々丸! これ以上はお互いの為にならないいいいいいいいい!!」

 

 酔って暴走した茶々丸とマギの攻防は、そのまま茶々丸の酔いがさめるまで続くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「その……昨日は申し訳ありませんでした」

「いや、お互い何もなかったんだ。今回の事は互いに何もなかったという事にしようさ」

 

 翌朝、昨日の事を覚えている茶々丸とマギは互いに背を向け顔が直視できなくなり、顔を赤くしながらマギに謝罪をする茶々丸にマギは特に何かを失っているわけじゃないので特に気にしないと茶々丸を安心させるようにそう言い聞かせた。

 そしてネギはというと……

 

「さっさぁ! もう十分に休みましたし行きましょう!!」

 

 茶々丸程ではないが顔を赤くしているネギが先に行こうと促している。

 

「ネギ、お前まだ顔が赤いじゃねえか。まだ本調子じゃないのか?」

「それでしたらもう少しお休みになった方が……」

「大丈夫です! 昨日しっかり休んだので体調は大丈夫です! 今僕たちは足を止めている時間は無いんですから!!」

 

 何かを誤魔化すように捲し立てるネギに首を傾げるマギと茶々丸。

 2人は気づかなかった。昨日の夜の出来事をネギは聞いており、気付かれないように寝たふりをしてあまり眠れなかったのだ。

 

(うう、お兄ちゃんと茶々丸さんの昨日の事が凄すぎて眠れなかったよぉ……)

 

 少年にとっては少々刺激が強い光景であり、当分は忘れそうになかった。

 こうして3人の出発は何とも気まずいスタートになったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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