堕落先生マギま!!   作:ユリヤ

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オスティアへ向かえ!

 ナギ&コジロー、ネギ&雪姫の快進撃は止まらず、勝ち進み早くも1週間が経とうとしていた。ネギ&雪姫と相手をする拳闘士はネギの相手を一方的に倒した強さとナギの息子発言に刺激されて最初から本気で向かってきた。

 しかしネギは相手が2人で向かってきても1人で相手をすることをやめず、相手が武器を使ってきたら影に収用していた比較的殺傷力が低そうなメイスやハンマーを使って(それでも本気で使ったら相手は死にそうだが)蹴散らし続け完勝を続けていたのだ。

 1週間も経てばナギ&コジロー、ネギ&雪姫のネームも世界に広がり始めていた。ネームバリューはどちらも高いがやはりそっくりさんのナギよりも英雄の息子のネギの方が大きく差を着けており、オッズもネギの方が大きくなっていたのであった────

 

 

 

 

 砂漠地方テンペルラ。一面の砂漠地帯を四足歩行の竜が疾走しており、その背中にまき絵が乗っていた。

 

「はいよー! タマ! ストップ! ストーップ!」

 

 慣れた手綱捌きでタマと呼ばれた竜を停止させる。

 そんな逞しく竜を操る彼女を、裕奈が待っていた。

 

「ゆーなお待たせー! 買い出し行ってきたよ! 今日はマグロみたいなお魚ゲットしたよー!」

「お疲れまき絵ー! 運ぶの手伝うよ! 今日の賄い超期待だね!」

 

 現在の2人は私服ではなく、お店のウェイトレスが着るような制服を身に纏っている。

 

「おうマキエ、ユーナ! そろそろ昼時だから店に出てくんな!」

『ハーイ!!』

 

 恰幅のいい女猫獣人店主に呼ばれ、元気に返事をする2人。今まき絵と裕奈はこのお店に居候しながらお店のアルバイトをしているのだ。

 

「おー! 今日も元気一杯だね! でも相変わらずおっぱいは小さいねー!」

「もう! 何言ってるんですかトラゴローさんたら! やだー!」

 

 わりと本気でトラゴローと呼ばれた虎獣人にトレイを叩きつけるまき絵。トラゴローは頭から血を噴出してるが、周りは笑い飛ばすだけであった。

 

「それに比べてユーナちゃんはでっかいな!」

「ヒューヒュー!」

「この人たちは遠慮ってもんがないのか!」

 

 ユーナがまき絵と比べられ、口笛を吹かれ、明らかなセクハラ発言に裕奈もツッコミを入れるのであった。このお店に来客するのは物資を運搬する、日本で言いうトラックの運転手が殆どである。ガラは厳ついか悪いかといった人が殆どだが、人なりはいい人が殆どでまき絵と裕奈は遠慮もなく客と接することが出来ているのだ。

 

「マキエちゃんにユーナちゃん、すっかりお店の看板娘が板についてきたじゃねーか」

「ありがたい話だよ! 2人の評判を聞いて隣の街道の客が来てくれて大繫盛だよ」

 

 カウンターで女猫獣人店主と話しながら笑みを浮かべている人種の男性の名はジョニー。飛ばされたまき絵と裕奈をこのお店に連れて来てくれた親切な男である。

 

「ま、故郷に帰るまでの旅費を稼ぐ居候なんだけどね」

「いやはや、まだ子供なのにしっかりしてるよ。そういえば故郷の事は聞いてないけど、どこの出身なんだって?」

「それがね、彼女ら故郷は二ホン、って『あっちの世界』の出身らしいんだよ」

「え!? それってもしかしなくても旧世界の住人かい!? どうりで最初は言葉が通じなかったはずだよ」

 

 ジョニーはまき絵と裕奈の出身を聞いて愕然とした様子で驚いた。そしてそのまま裕奈を呼んだ。

 

「何ですかジョニーさん。いくら命の恩人だからって胸は触らせませんよ~」

「行き倒れを拾ったぐらいでそんな恩は着せないよ。故郷が旧世界なんだって?」

「え、ええそう、らしいですけど。旧世界とか現実世界とか、よくわかりませんけど」

 

 未だにここが地球ではないことをよくわかっていない裕奈にジョニーは成程なぁと納得する。

 

「おじさん、旧世界の人は初めて見たからサイン欲しいぐらいだよ」

「いいですけど、そんなに珍しいんですか?」

 

 ジョニーの冗談に戸惑いながら返していると、同情の眼差しで裕奈を見るジョニー。

 

「しかしそりゃ大変だな。せっかく旅費を稼いでも帰るのは厳しいかもしれないよ?」

「ええ!? それってどういう事ですか!?」

 

 急に帰れないと言われ驚きながらも訳を聞くと

 

「ゲートだよ。あの事件でゲートが全て壊されただろ? あのゲートはこっちとあっちを繋ぐ橋みたいなもんで、あれが壊されたって事は帰るのは至難だろうな。まぁ庶民の俺達にとってはだーれも気にはしちゃいないが。でも橋が一度壊れると繋ぎ合わせるのに数年はかかるらしいぜ」

「え、ええ!? そんな……」

 

 直ぐに帰れないと聞かされ、頭が真っ白になった裕奈はその場にへたり込んでしまう。

 

「お、おいユーナちゃん大丈夫かい?」

「ショックなのは分かるけど、気を落とすんじゃないよ」

「はい……」

 

 とても働ける状態ではないと判断した女猫獣人の店主は少し休むように言い、裕奈も少し休憩することにした。

 裕奈は頭の中で後悔と懺悔の気持ちでいっぱいいっぱいになってしまっていた。

 自分が好奇心でマギ達に近づいたことで、誘ったまき絵やアキラや風香と史伽と止めようとしたあやかを(夏美は気づいていない)を巻き込んで、まき絵以外のクラスメイトの安否も分からずじまい。どうして自分はもう少し物事を深く考えのないのかと心の中で自分を責めてしまう。

 と空中に浮かぶ映像を立ち止まって見ているまき絵を見つける。最初にまき絵に謝らないといけない。そう思った裕奈はまき絵に近づき。

 

「まき絵。その、ジョニーさんに聞いたんだけどね、私達旅費を稼いでも直ぐには帰れないかも────」

「ゆーなゆーな! 大変大変! あれ見て見て!!」

 

 裕奈の話を遮って、まき絵は映像を指さす。そこに映っていたのは……

 

『では、デビュー以来13戦全勝の快挙を成し遂げたネギさんにインタビューです! こんにちはー! ネギさん、今日は全国生中継ですよ!』

『全国中継? それじゃあ』

 

 と言って何かを飲み、姿を変えたネギ(マギ)がマイクを持ちカメラの前に立ち

 

『まき絵さん! 裕奈さん見てますか!? 僕です! ネギ・スプリングフィールドです! 僕以外にもお兄ちゃんや! コタロ―君! 千雨さんや茶々丸さんに和美さんにあやかさんも夏美さんもアキラさんも亜子さんも居ます!』

 

 少しでも本人に似せようと声も変え、ネギ本人を演じて見ているであろう一般人組に自分たちの事を教えていた。

 

「ネギ君!?」

 

 裕奈は驚きを見せて、まき絵は少々首を傾げていた。その間にもネギは話を続ける。

 

『ここは交通の便が色々あれなので、そうですね、1ヶ月後、オスティアで開かれる大会で会いましょう! 学園への帰り道も心配しないでください! 大会で会えるのを楽しみにしています!』

 

 それと……とネギは少々溜めてから、少し声のトーンを落とし

 

『風香さん、史伽さん、これをもし見ていたら、何とか無事にオスティアに辿り着いてください。お兄ちゃんは君達を護れない不甲斐ない男で済まないと自身の弱さを悔いています。今僕達が出来ることは皆さんが無事に辿り着けられることを祈るだけです』

 

 店の客はまき絵と裕奈の名前を聞き、ざわつき始めた。

 

『何ですか今の? 彼女へのメッセージですか? というか何時もの口調と違うのはなんで何ですかー?』

『あーそう言う事にしておいてください。あとこの口調についてはツッコミは無しの方向でいいですか?』

『あ、はーい』

 

 ネギの何も言うなという無言の圧にインタビュアーはこれ以上詮索するのは止めようと思った。そして中継映像は報道画面へと変わった。

 

「やった! まき絵帰れるって私達! ネギ君が言ってた場所に行けば!」

「うーん……」

 

 歓喜の声を上げる裕奈に対して、まき絵はうんうん唸ってまだ首を傾げていた。

 

「どうしたのまき絵? 久方ぶりに見る大好きなネギ君じゃん」

「さっきのネギ君、私が知ってるネギ君じゃない」

 

 まき絵は首を横に振るった。

 

「えー? 何言ってるの? 何時ものネギ君だったじゃない」

「ううん全っ然違うよ! 何時ものネギ君の目は可愛らしい目をしてるけど、さっきのネギ君の目はキリっとカッコイイ目つきだったし、それに風香と史伽の事を言った時は声が低かったし、雰囲気もまるでマギさんみたいだったよ!」

「えー!? じゃあ今のネギ君はマギさんだっていうの?」

 

 やはり何時もネギを見ていたまき絵は直ぐに先程のネギがマギだという事に気付いた。

 

「どうしたんだいユーナちゃん。さっきまで青ざめてたのに随分と大慌てで。さっきの男はマキエちゃんの彼氏かい?」

「ううん! さっきの人はマギさんだよ! でもマギさんがネギ君になってて、どういう事かさっぱりだよ!」

「ほー姿を変えてる、か。そのマギさんとかネギ君ていうのは魔法使いの様だな。それも闘技場に出てるんだ。結構強いみたいだね」

「へー魔法使いだったんだ! 学園祭の武道大会の時も凄い事してたし! やっぱりネギ君とマギさんって只者じゃなかったんだ!」

 

 普通ならもっと驚くものだがあっさりと納得するまき絵。これが3-Aクオリティである。

 ともあれ、これで2人の目的は決まった。

 

「ともかくガンガン旅費稼ぐっすよ! 目指せオスティア!」

「ネギ君達は無事ってわかったけど、アスナは大丈夫なのかなー」

 

 オスティアを目指すために、ジャンジャン稼ぐことにした裕奈とまき絵。

 無事に辿り着いたら、勝手な事をしてごめんなさいとネギ達に謝るために、沈んだ気持ちとおさらばし、頑張ろうと意気込む裕奈であった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 裕奈とまき絵がジャンジャン稼ぐと意気込んだ同時刻、インタビューを終えたネギ(マギ)が選手入場口の階段を下って行った。その道中でトサカが壁に寄りかかっている。

 

「ケッ、今日も勝ちやがったか」

「なんだ? 相手側に賭けたのか?」

「いいやテメェに賭けたよ。テメェの強さは重々身に染みたからな」

「そりゃどうも。これからも、ネギ・スプリングフィールドの応援よろしく」

 

 ネギが不敵に笑いながらトサカを通り過ぎようとしたが、トサカはそんなネギの態度が気に食わなく

 

「そうやって余裕ぶってるのも今のうちだ! テメェよりも強い奴なんてこの世界にはごまんと居るんだからな」

「……分かってるさ。俺よりも強い奴が居ることは身をもって知っている。だから俺は、そんな奴らから勝って、亜子やアキラや夏美を取り戻すんだ」

 

 本気と書いてマジと呼ぶくらい真剣な表情でトサカを見つめそのまま歩き去るネギ。ネギが伊達やかっこつけで言っていないことは肌で感じ、つまらなそうに舌を打つトサカであった。

 暫く歩いていると、曲がり角に待っていた和美がネギに手を振っていた。

 

「マギさん、いや今はネギさんて呼んだ方がいいかな? こっちこっち、ナギ君とコジロー君と雪姫さんが待ってるよ」

「あぁ、今行くよ」

 

 和美に案内され、皆が待っている場所に向かうと、雪姫と千雨にマギウスに茶々丸とあやかは各々手を振ってネギを迎えてくれたが

 

「なんだ。随分と不貞腐れてるじゃないか」

 

 ぶー垂れてるコジローと少々しょぼんとしているナギの姿があった。

 

「そりゃそうやろ。マギ兄ちゃんがネギの名前を使ったせいで、こっちの注目度はガクッと下がっとるんやで! そらそうやろ、ただのそっくりさんよりも英雄の息子の方が注目度は高いんやで。今マギ兄ちゃん外に出て見ろ、取材のやつらやにわかファンに野戦の挑戦者に絡まれるで」

「いやぁすまんな。ネギがクソ親父の名前を使ったらなんか対抗心がムクムクと湧き上がって来てな。んでなんでネギ当人はしょんぼりしてるんだ?」

 

 マギ(ここからは本名で)はネギが落ち込んでいる様子を尋ねると

 

「マギ兄ちゃんが自分のフリをしてインタビューをしたのを見て自分で子供っぽいって勝手にショックを受けてるんやと」

「僕ってあんな子供っぽい話し方をしてたのお兄ちゃん?」

「ん~まぁやっぱなんやかんや言ってお前まだ10歳だからな。少しは子供っぽい話し方の方がいいかと思ってな。どうだったあやか、俺ネギぽかったか?」

「そうですね。やはりマギ先生はネギ先生のお兄様という事もあってネギ先生の雰囲気をしっかり見ていると思いました。ですがやはりどこかぎこちなさはありました。ネギ先生はどこか大人びた雰囲気の中で時折見せる年相応な仕草が素晴らしいものでマギ先生のぎこちなさがネギ先生の良さを殺してしまっているのが悔やまれる点です。そもそもネギ先生の魅力とは────」

「あーOKOK、俺のネギの演技はまだまだだっていうのは良く分かったから」

 

 あやかの力説を途中でカットする。しかしマギがネギの名を使い、ネギがナギの名前を使ったのには訳がある。

 

「2人のおかげでメディアの露出は高いし、マギさんのインタビューは全国に中継されたしスプリングフィールドの名前で大暴れしてれば世界中に散らばった仲間も気づいてオスティアに向かってくれるだろうさ」

 

 和美の言う通り、闘技場の活躍を知れば散り散りになった仲間がオスティアに向かってくれるだろう。

 話を戻し、マギはこの1週間で和美に千雨にあやかと街で集めてくれていた情報をおさらいすることにした。

 

「やっぱあの事件で魔法世界全11か所のゲートポートが壊されたみたいだね。現実世界との橋は全て閉ざされ、復旧には2、3年はかかる。まさに最悪な状況ってわけさ」

「まぁあたしもそれを聞いたときは絶望しかなかったが、だがまだ希望はあったというわけだ」

「それが廃都オスティア。二十年前に戦争が起こるまでは風光明媚な古都で有名でしたが、今は殆ど廃墟となっており、観光の街へと変わっているそうです」

「その無人の街に今は使われてないゲートがある。そこは奴らフェイト一味に襲われてないし、ゲートも停止してるだけで生きているってわけさ」

 

 女性陣の情報収集により、かなりの情報と希望が集まったという訳である。自分たちが戻るためにはそのオスティアに向かうしかない。それにおあつらえ向きにその1ヶ月後にはオスティアにて拳闘大会の全国決勝が開催される。

 終戦20年を記念する祭りも行われ、かなりの盛り上がりが予想されるが、もっとも重要なのは

 

「この全国決勝の優勝賞金が100万ドラクマ! おまけに荒っぽいお祭りだから私達お尋ね者が落ち合うのにも持って来いってわけさ!」

「つまり、借金返済、みんなと合流、お家に帰る。この3点がこのお祭りで全て解決出来ちゃうかもってことですね!」

 

 ふよふよ浮遊していたさよ(少し千雨がびびっている)がしめてくれた。

 

「全て解決か。えーな! さんざんやられっぱなしだったんや。風がこっちに向いてきたみたいやんか」

「でもそのためにはネギ君とコタロ君にマギさんと雪姫さんがオスティアの大会参加の資格を手に入れないといけないけど、大丈夫そう?」

 

 自信はあるかと和美がネギに尋ねる。

 

「大丈夫です。こんな所で負けたら話になりませんよ」

「任せとき! あと10勝もすれば、参加資格は充分やしな!」

 

 ネギと小太郎が自身を込めてそう答える。しかしマギが……

 

「心配するな。もしネギと小太郎が途中で負けても俺と雪姫が居るんだ。俺と雪姫だけがオスティアの大会に行けばなんとかなるだろ」

 

 この一言で周りの空気が少し下がったように感じた。小太郎がマギを睨み、ネギも少々視線を鋭くしてマギを見た。

 

「おい、どういう事やマギ兄ちゃん。まるで俺らがどっかで負けるととでも言いたげやないか」

「別にそういうつもりで言ったわけじゃない。が、拳闘士は強い奴がいるんだ。そいつらに負けちまえばお前らが出来ることは何もなくなる」

「そうは言うけど、お兄ちゃんは大丈夫なの? お兄ちゃんだって、強い人が居るってことは承知してるでしょ?」

「あぁ重々承知だ。けど俺や雪姫には不死身っていうアドバンテージがある。いざという時は不死身を活かして勝利してやる。フェイトにボコボコにされた2人と違って、な」

「む、むむ……」

 

 バチバチとネギと小太郎とマギの間に火花が舞い散る。茶々丸とあやかとさよはマギ達の剣幕に泡を食い、和美はこの状況を面白がり、千雨と雪姫は男の意地に呆れる始末だ。

 

「そこまで言うんやったら、もしマギ兄ちゃんが途中で退場したら大笑いしてやるわ」

「だったら俺は鼻で笑ってやるよ」

「言ったなお兄ちゃん。決勝戦で会えるのも楽しみにしてるよ」

「その決勝戦にしっかりとお前らが居ることを祈ってるよ」

 

 火花段々と大きくなり、大火となりかけた所で、和美が数回手を叩き鎮静化させる。

 

「はいはい、内輪揉めなんてダサい事はやめやめ。今やらなければいけない事は、オスティアに行くこととその間に情報を集まること。1ヶ月もあるんだから少しでも遠くに行き、仲間の情報かつ本人を見つけることも可能だからね」

 

 熱くなっていた頭がクールダウンしていくのを感じ、ムキになってしまったことを反省する男3人

 

「危ない危ない。危うくマギ兄ちゃんに乗せられる所やったわ」

「僕も熱くなって周りが見えなくなる所だった」

「俺も大会の熱気に中てられすぎたみたいだな。すまん」

 

 マギが謝罪し、直ぐにネギと小太郎は受け入れた。だがと小太郎は拳を前に出す。

 

「そうは言っても俺らは仲間やけど、大会中は敵同士や。決勝戦に当たったら俺は本気でマギ兄ちゃんを倒すつもりや」

「うん、僕も全力でお兄ちゃんにぶつかっていくよ」

「あぁ来い。俺はお前らを弱いとは思っていない。決勝戦で全力で相手をしてやるさ」

 

 3人の男は互いの拳をぶつけ合い、男同士の誓いを立てるのであった。

 男同士の誓いを立てて今度は今ここに居る全員で白き翼の誓いを立てる。

 

「1ヶ月後のオスティアに向かって、行くぞ!」

『おー!!』

 

 円陣を組み、互いの手を重ねあいマギが誓いを言い、ネギ達が続くのであった。

 話も終わり、各自で自由行動をとる。ネギと小太郎はその場から離れる。注目選手が一か所に纏まっていると誰かに見られては不審に思われるかもしれないからだ。

 

「まったく、マギさんも人が悪いね」

「何がだ?」

 

 和美が笑いながら肘で突いてくる。

 

「あんな挑発するみたいな言い回しをしてネギ君とコタロ君を焚きつけるなんて。決勝戦で戦った時は大変そう」

「俺らは勝たなければいけないし、どっちかが残っていれば大丈夫なんて甘い事を考えてる暇なんて無いんだ。それに俺だって不死身がアドバンテージだとは思ってない。武道大会は戦闘不能とみなされれば負けだ。俺は死ぬことはないが気絶はするし、身動きを封じられてしまったら何も出来ない。俺だって無敵じゃない。さっきの挑発は俺への誓いの言葉だ。俺は絶対負けられないってな」

 

 ネギと小太郎へ対する挑発は自分も負けてはいけないという誓いを立てていた。そんなマギの肩を雪姫が優しく叩く。

 

「心配するな。お前の相棒はこの私だ。お前が無茶をしそうな時はこの私に任せておけ。むしろ私1人で十分だ」

「あぁ、頼もしい限りだよ。けど、基本は俺だけで勝ちたい。ヤバそうな時だけ頼んでもいいか?」

「好きにしろ」

 

 マギと雪姫のペア。この2人なら何事もなく優勝してしまいそうだなぁと思った千雨と和美、さよあやかであった。

 

「けど1ヶ月かぁ。その頃にはもう学校も始まってるだろうし、立派な行方不明扱いになって大騒ぎになってるだろうな」

「そうですね。あっちに残してしまった千鶴さん達が心配します」

 

 千雨とあやかがぽつりとつぶやいていると

 

「お前たちは何を言ってる? こっちの1ヶ月はあっちでは2週間も経っていないぞ」

「へ?」

「は? 何言ってるんだよ雪姫さんよ」

 

 雪姫の呆れたような物言いに目が点になるあやかと千雨。

 

「魔法世界と現実世界の時間の流れはかなり違う。この1週間の出来事も現実世界では2日しか経っていない。つまりこの世界自体私の持っている別荘と同じようなものだ」

「はぁ!そんな大事な話何で言わないんだよ!」

「聞かれていないからな。それに無事に帰れれば夏休み最終日位には戻れるんだ。ちゃんと戻れればそれでいいじゃないか」

 

終わり良ければ総て良しと言いたげなあっけらかんとした雪姫の態度に開いた口が塞がらない千雨。何かツッコミを入れようとしたが、諦めた。

 

「まぁそれもそうか。無事に帰れればそれでいいか。そんじゃあ少しはこの魔法世界を楽しみますか!」

『ちう様。無理に楽しむのはメンタルに支障が出てしまう可能性が』

「いいんだよマギウス。こんなの楽しんだもん勝ちだ」

「お、いいじゃん長谷川。そうそう楽しもう楽しもう。アンタも立派な3-Aの一員になってきたね」

 

千雨を茶化す和美を見て、笑うあやかとさよと茶々丸。そんな光景を見て微笑むマギ。

まだまだ時間に余裕はある。それを知って、少し雰囲気が柔和になったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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