今まで溜めていた話を3話分更新いたします。
少しでも楽しんでいただけましたら幸いです。
どうぞ
『さぁ皆様お待たせしました! ただいまより英雄の息子ネギ・スプリングフィールド選手VS千の刃のラカンことジャック・ラカン選手のぶつかり合い! 勝つのは英雄の息子かはたまた生きる伝説か!? 準決勝開始ぃ!!』
インタビュアーが試合のゴングを鳴らす。先に動いたのはマギと雪姫である。
「それじゃあ雪姫頼むわ」
「あぁ任せておけ」
そう言って雪姫は詠唱を始める。そしてマギは攻撃を仕掛ける。狙うのはラカンではなく相方のカゲタロウである。
「! やはり私を狙うか! だが、私もただでやられるつもりはないぞ!」
カゲタロウは得意の操影術で自身の影を刃に変えてマギを襲う。マギは影から何時ものグレートソードではなく、刃が無い巨大なメイスを取り出した。メイスで影の刃を防いでいく。
「ならば!!」
とカゲタロウは影を集中させて巨大な刃にしてからマギへと放った。だが
「う……うおらあぁぁぁぁぁぁぁ!!」
メイスをフルスイングして刃とメイスをぶつからせてそのまま影の刃を砕く。
「なッ何!?」
カゲタロウは驚くが、その間にマギがカゲタロウの間合いに入る。
「し、しま──」
「ふっとび……やがれええええ!!」
メイスをカゲタロウへ突く。障壁を張らせる積りはない。鈍い音が響く。
「ぐほぉ!」
短い断末魔の如く悲鳴を上げるカゲタロウはそのまま観客席まで吹っ飛んだ。吹っ飛ばされたカゲタロウは痙攣しており、戦闘続行は不可能だった。
「おいおいマジかよ俺の言う通りカゲちゃん直ぐにリングアウトになっちまった」
「……アンタと2人きりで戦いたかったからな。余計な邪魔は居てほしくなかった」
あっという間にカゲタロウを倒したのをネギや小太郎達も驚きで声が出なかった。
「おいおいマジかいな。マギ兄ちゃんあのカゲタロウをあっさり倒しおった」
「うん。流石はお兄ちゃんだ」
「! おいマギさんが動きそうだ!」
千雨が指さすとマギがメイスを影に収納してから四つん這いになった。
「永遠の時の中で少しでも身に着けた集大成を解くとご覧あれってなSWITCH ON BERSERKER LEVEL……100!!
」
マギは四つん這いでSWITCH ON BERSERKER を発動するしかもLEVELはいままで使った事ない100。フルパワーである。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!!」
「(ほぉ……いままできつそうに使ってたやつを普通に使いこなすようになるとはな)いいぜぇ! かかって来いよ」
「GAAAA!!」
マギは四つん這いから飛び上がると、ラカンに向かって飛び蹴りを繰り出す。ラカンは余裕をもって後ろに避けるが、マギの飛び蹴りは会場の床を余裕に砕いた。
「うほ。まじかよ」
ラカンはマギのパワーに舌を巻いていたが、マギは拳や蹴りの連続攻撃を喰らわせる。しかしラカンもマギの攻撃を簡単にいなすし、マギの連撃の風圧で更に会場がひび割れる。
マギとラカンがぶつかり初めて1分も経ってないのに試合会場がえらい有様と化してしまった。
「ほぉ、悪くはねえな。悪くはねえんだが……お前その強化状態ってあんまり意味がないんじゃないか?」
「GURURURURU……やっぱばれてたか」
四つん這い状態を解くとマギはバレたと舌を出す。元々は記憶を失い、無理にでも戦える状態になるために使えるようにした形態。だが、雪姫と永劫と言える永い時の中で戦っていると体も慣れてしまっていた。正直もう使わなくても大丈夫なのである。
「まぁ、今の俺がどのくらい成長したのかを見せるのに丁度いいかなと思ってさ」
「確かに、俺に始めて見せた時はもっと辛そうだったのが今はケロッとしてるからな」
『初っ端のネギ選手の会場破壊をラカン選手は涼しげに対応! この2名の底が全っ然分かりません!!』
観客も全く歓声を上げる感じになれなかった。マギの会場破壊を目の当たりにして呆然としているのである。
「んで、見せたいものはまだあるんだろ? 勿体振らずにさっさと見せてくれよ」
ラカンはワクワクした様子。それはラカンの余裕の現れでもあるが、純粋にマギとの戦いを楽しもうとしているからだ。
「ああ、見せてやるよラカンさん。俺のとっておきのその1を」
マギはポケットから雪姫と契約した本契約のパクティオーカードを取り出してラカンに見せる。
「ほほーパクティオーカード。それも本契約とはおめーも隅に置けないじゃねーか!!」
「?」
「何をかまととぶってるんだよー! 本契約っていうことはそいつと色々とやったってわけだろ!? 戦いの前で一発やるとはな!!」
にやにやと笑いながらラカンは指で輪っかを作ると人差し指を何度も出し入れするハンドサインをマギに見せる。マギも最初はラカンの言ってることとハンドサインを理解出来ていなかったが、分かった瞬間にぼっと顔を赤くし
「ばっ! ちが、違う! 俺と雪姫はそんな事はしてない! 精々雪姫の血を飲んだぐらいだ!」
「んだよ。アイツチキって一番手っ取り早いやつでやりやがったか。数百年生きてるのに初心ってるのかよー!」
つまんねーと唇をとがらせるラカン。詠唱を続ける雪姫はその顔に青筋を立てる。
「んだと!? 雪姫さんの奴自分だけ抜け駆けしやがったな!」
「マスター、マギさんとの仲を一歩前進したんですね。おめでとうございます……」
千雨は雪姫の抜け駆け行為にお冠。茶々丸は言葉では祝福してるが顔は少し悲しげである。
「マギ兄ちゃんが本契約のパクティオーカードを手に入れるとはな。どんなカードなんや?」
「わからない。けど、強力なのは間違いないよ」
小太郎とネギはマギの本契約のカードがどんなものか予想している。が、そんな事よりもやばい反応を見せている者が1人。
「そっかぁ♪ マギさんと雪姫さん、エヴァさんがそんな事をしたんだぁ♪ そっかそっかぁ羨ましいなぁ……ウフフ♪」
「の、のどかお姉ちゃんがなんか怖いレス……」
「落ち着いて本屋ちゃん! 気持ちは分からなくないけど!」
「はわわこれぞまさしく修羅場やなー。マギさんも罪づくりな男やえー」
のどかが闇のオーラを醸し出して、彼女の周りには半径数mは人が離れている。
マギも背筋に寒気を覚えるが、気を取り直す
「さぁ見せてやるよ──アデアット『血塗れの吸血鬼伯爵』」
赤黒い光がマギを包むと、マギの格好が漆黒の鎧を纏い深紅のマントを羽織る姿へと変わった。
「ほぉ。姿が変わったか……だがそれだけで終わるわけねえよな」
「ああご覧あれ。第一の力を」
そう言ってマギは影から一本のナイフを取り出すとおもむろに自身の掌を切った。いきなりの自傷行為に観客もざわつく。ぽたりぽたりとマギから流れ落ちた血が地面を濡らす。
「『進軍せよ我が兵隊』」
マギが唱えると地面を濡らした血が一気に広がり巨大な血の池へと変わった。更に
『うぉ……ぉ、ぉぉぉぉぉ……』
血の池からうめき声をあげながら白目を向いたマギの分身が1人這い上がってきた。しかしその数は1人1人増えていき…………
『うぉぉぉぉぉ……』
「いやキモ!」
その数はゆうに100を超えた。うめき声をあげるマギの分身が100を超えたら流石のラカンもうんざりする。
「第一の能力、俺の魔力を消費し俺の分身を召喚する。消費レベル1で1体。それが100体だ。さぁ、1対100だ。行け」
『うぉぉぉぉぉ』
マギが腕を振るうと100のマギの分身がラカンへ攻め立てる。
「なるほどなー数で押すって戦法か。けどな……」
ラカンがマギの分身を殴ると分身はぱぁんという音を上げながら弾け飛んだ。
「いくら数を揃えても烏合の衆だぜ」
不敵に笑うラカン。しかしマギも笑みを返すと血の池から更に分身を召喚する。
「ちなみに分身を倒されてもレベル1の分身ならリカバリータイムは1秒位だ」
「はぁ!? んだそりゃ! まじでゾンビみたいなしつこさじゃねえか!」
ラカンが分身を蹴散らしても次から次へと血の池からうめき声をあげながらマギの分身が召喚されていく。
「まぁずっとレベル1の分身じゃ味気ないからな。次は一気にレベル100だ」
今度はレベル100の分身を5体召喚する。その手にはナイフや棍棒が握られている。
「そら行けぇ!」
マギが命じると5体の分身はうめき声ではなく咆哮を上げながらレベル1のようにのろのろ動くのではなく高速で動く。
ラカンならレベル100程度の分身なら簡単に対処出来るだろうが、うろちょろと動きまるで黒いアイツだ。観客も黒光りするGを連想した。
「ちぃっ! うろちょろして鬱陶しいなぁ!!」
「ふ、嫌がらせには丁度いいだろ? さらに、レベルを上げよう。1000だ」
と今度はクレイモア、バトルアックス、モーニングスターを握る分身を召喚する。戦い方も太刀筋がしっかりした戦い方だ。レベルが上がっていきラカンも避け始める。
「さらにこんな事も出来るんだぜ」
そう言うとマギはまたレベル1の分身を召喚する。
その数は1000を超える。死出の軍隊。まさに死の河。
そんな死の河が一気にラカンへ雪崩れ込む。
「ああああああ!! うっぜぇ! いい加減鬱陶しさが限界突破だ! アデアット! 『千の顔を持つ英雄』!」
飛び上がりラカンはアーティファクト千の顔を持つ英雄を発動させ、巨大な剣斬艦剣を展開する。
「これで蹴散らしてやるよ。斬艦剣!!」
斬艦剣を死の河へ落とす。斬艦剣で死の河の分身が殆が消し飛んだ。しかしマギはニヤリと笑う。
「使ったなラカンさん。千の顔を持つ英雄を。ありがとよ俺の誘いに乗ってくれて。よーくその斬艦剣を見て見るんだな」
「は? 何だよ」
マギに言われるがまま自身が放った斬艦剣を見てみると刀身に赤い血管のようなものが浮き出ていた。それが瞬時に刀身に巡る。
「第2の能力『これより先は我が領地』。発動した範囲で相手のアーティファクトの主導権を握る事が出来る。ラカンさん、あんたの剣を使わせてもらう」
マギは刀身が赤い血管で覆われた斬艦剣を持ち上げるとげるとそのままラカンへ振り下ろした。轟音と砂煙が舞い上がる。観客は呆然とする。マギが大量の分身を召喚しただけじゃなく、ラカンの斬艦剣を奪いそのまま使った事に処理が追いつかなかった。
そしてラカンの剣を使ったマギは理解している。この程度でラカンが倒せるなんて思っていなかった。
「まさかてめぇの剣にぶった切られるとは思わなかったぜ。だがな……この程度で俺が倒せると思ったか? 」
砂煙が晴れるとラカンが片手でしかも指で数十mはある巨大な剣を掴んで止めているのを見て、更に観客は目を見開いた。マギも剣を止めたラカンを見て、やっぱりなと思った。
「そりゃそうだよな。クソ親父と肩並べてたラカンさんがやられるとは思っていなかったさ。この本契約のカードも俺の新しい力のお披露目みたいなものだったしさ」
それに……
「この力は次の戦いで思い切り使うつもりだからさ。あんまりネタバレしたくないんだよね」
「ほぉ。それじゃあその本契約の力じゃなくて別の力があるんなら見せてくれよ」
これよりもすごいものを見せてくれるのか……観客が固唾をのむ。深く深呼吸し、意識を集中させるマギ。
「マギウス・リ・スタト・ザ・ビスト!! 来たれ炎の精闇の精 闇よ渦巻け燃え尽くせ地獄の炎!! 闇の業火 固定 掌握!!」
右腕に闇の業火を集め掌握し
「冥界の地の底よ 断罪の炎 罪深き者の魂ごと焼き尽くせ 黒き炎! 固定 掌握!!」
左腕に黒き炎を掌握した。さらに
「この心臓に滾る暗黒の力よ 地獄の底より甦れ! 怒れる大地の炎となりて、我を飲み込め! 我こそはこのディストピアの覇者 強欲の黒炎! 固定 捕食!!」
黒い魔力を口に集約し思い切り噛み砕いた。これは学園祭のアーチャーとの戦いで使った3重の闇の魔法。
今までは唸り声を上げていたが、今度は歯を食いしばり耐えきる。
体はどんどんと肥大化し、身長はラカンを上回る程の巨体に身体には鱗のような鎧を身にまとい、手足も爬虫類のような骨格と鋭利な爪が生え、腰には太い尻尾も生えた。
背中に翼が生え、顔もめきめきと変形していきまるで竜のようだ。
「GUOOOOOOOOOOOOOOONN!!!」
猛々しい咆哮が闘技場に響き渡る。観客はもう何度唖然としたか分からない。マギが無数の分身を出したり、ラカンの剣を奪ったと思ったら、魔法を自分に取り組み漆黒の龍に変わったのだから。
「『邪竜ファフニール』……さぁこっからが本気だぜ」
「へ、上等」
マギの方向に、ラカンも不敵の笑みで返す。
マギが咆哮を上げながらラカン目掛けて翼を羽ばたかせる。そしてがっちりと組み合う。
組み合った瞬間に衝撃が起こり、会場は更にひび割れ破壊されていったのであった。