マギ対ラカンの試合はマギが辛くも勝利を納める事が出来た。無事に決勝に進めることが出来、ネギ、小太郎も準決勝で対戦相手に勝利し決勝戦進出を果たした。
直ぐに決勝戦を開始……という事にならなかった。マギとラカンの試合によって、闘技場の損傷が激しく、ネギ達の試合には応急で闘技場を直したが、流石に決勝戦にボロボロの闘技場を使うのは見栄えが悪いと判断したのか改修工事が始まり、決勝戦は改修工事も含めて2日後になった。
街ではマギとラカンの試合の話で持ち切りであった。
「いやーまさか、ネギがあのジャック・ラカンに勝っちまうとはな!!」
「そうか? 俺はあんな勝ち絶対に認めないね! あんなのラッキーパンチじゃねえか」
「ばーか何言ってんだよ。あれはネギと雪姫の作戦勝ちじゃねえか! 俺の前でネギの悪口なんて許さねーぞ!」
「今バカって言ったか!? 喧嘩として買ってやるぞ!」
試合を見ていた観客がネギ派ラカン派に分かれ、言い合いから野良試合に繋がり、警備兵のお世話になる人が後を絶たなかった。
「街中マギ兄ちゃんとラカンのおっさんの試合の話で持ち切りやな。誰も俺とネギの試合の事を話しとる奴なんかおらんぞ」
「そんぐらいマギさんの試合が凄かったって事だろ」
「はい、凄かったレス」
食料の調達の為に街に買い物に繰り出してきた小太郎、千雨プールスにマギウス、夏美。小太郎はマギとラカンの試合の話を耳にして不満気である。
「でも、これで決勝はネギ先生とマギ先生だから私達は無事に解放されるんだ! よかったぁ」
「ああ、そやな……」
「小太郎お兄ちゃんどうしたんレス?」
「あぁ、これでマギ兄ちゃんと俺らが戦う事になった。けどな、そのことでネギの奴が」
「なんだ、またナーバスになってるのか」
何処からかラカンの声が聞こえ、声が聞こえた方を向くとラカンがカゲタロウと一緒に店で飲んでいた。
「お、マギ兄ちゃんに負けたラカンのおっさんやないか」
「へ、あれは勝ちを譲ってやったんだよ。あのままやってたら俺が勝ってたぜ」
「まぁ、あながちラカンさんの言ってる事は間違いじゃないんだろうな」
千雨もあのままマギとラカンが戦っていたらどうなっていたか、想像が出来なかった。
「いや、そんな事よりもネギ先生がブルーって事だよ」
「当ててやろうか? 俺とマギがやりやってるのを見て勝てねーとかまた思っちゃったんだろ」
「……まぁそうやな」
頭を掻きながら肯定する小太郎。確かにネギはマギとラカンの戦いを見てから何処か心あらずだったなと思い出す千雨。
千雨達の空気が暗くなったのを見てラカンはからからと笑う。
「たく、俺がせっかく見てやったってのによ。頭いい子ちゃんは直ぐに悪い方に向いちまうからいけねえ」
『ではラカン様はネギ先生がマギ先生に勝てるとそうおっしゃっているというわけですか?』
「ネギお兄ちゃんすごいレス」
「まそれでも、誰かがネギの奴の尻を蹴っ飛ばす事をしなきゃ始まらないだろうがな」
ラカンはコップの酒を飲み干すのだった。
一方の闘技場の廊下、そこには思い悩んでいるネギとそのネギに付き添っているあやかがいた。
ネギはマギとラカンの試合を思い出していた。闇の魔法を使いラカンと戦ったマギ。そして必殺技のぶつかり合い。マギのファフニールでの口から出したビームがラカンのビームを切り裂いた。
そして、氷の中でラカンへ必死に喰らいつく姿を見た。
「あやかさん、僕はこの決勝戦を棄権します。僕達がこの大会に出たのは亜子さん達を救うためです。お兄ちゃんがラカンさんに勝って、僕達も準決勝を制した今、僕達が決勝戦で戦う必要はありませんから」
暗い顔でそう言うネギは何処か自分に言い聞かせるように、だが逃げの言い訳にしか聞こえなかった。
あやかはネギの言った事に何も追及はしなかった。ただ微笑みながら
「……貴方がそう言うのであれば私は何も言いませんわ。ネ、ナギさんは今まで頑張ってきました。皆さんも文句はないはずですわ」
「……ありがとうございます」
そうだこれでいいんだ。
だがこれに納得をする者だけではない。
「おい、どういう事だ」
トサカが無表情でネギに近づいてくる。
「トサカさ──―」
ネギが最後まで言い切る前にトサカは割と本気でネギを殴った。
「きゃああ!?」
あやかが悲鳴を上げる間にトサカは何度もネギを殴り飛ばした。
「てめぇ棄権するってどういう事だああ!? もういっぺん言ってみろ!」
トサカはネギの胸倉を掴みながら壁に叩きつけた。
「……僕では勝てないんです。ラカンさん勝てたあの人に。ラカンさんやあの人は僕とは違う、まさに化け物なんです」
弱音を吐くネギ。完全に折れてしまっていた。だがトサカにとってはそれが気に食わない。
「何が化け物だ! 俺が18年かけてやったことを1月半でやっちまったてめぇがどっちも化け物じゃねえか! そんなお前と何が違う!?」
ネギの腹に一発重いものを喰らわすトサカ。思わず咳き込むネギ
「……僕には、決定的な何かが足りないんです。あの人達のようになるような何かが。僕はあの人達のようにはなれない」
まだ弱音を吐くネギにトサカ容赦なく横っ面を殴り飛ばした。
「ね、ナギさん! 大丈夫ですか!? 貴方、何でこんな非道な事を! この人は貴方に殴られる筋合いはございません」
あやかはネギを助け起こし、トサカに反発する。トサカはあやかに助け起こされるネギを見て溜息を吐き
「足りない、なれない、自信がないだぁ? そりゃてめぇ、舞台の真ん中でスポットライトを浴びる主役が一番言っちゃなんねぇ言葉だろうが」
殴りすぎて痛めたのか拳に息を吹きかけるトサカは踵を返して去ろうとする。
「言っとくが、俺はテメェらの正体を知っている。だがな、今のテメェなんか脅す価値もねえ」
言う事だけ言ってトサカは去っていった。
「ネギ先生酷い怪我が……あの人なんて事をするんですか!!」
あやかはトサカの一方的な態度に立腹であったが、ネギは思い悩む顔を浮かべているのであった。
一方マギと雪姫はというと
「……」
マギが更に盛られた大量の料理を一心に食していた。だが
「────うぐぅ」
突如呻きだしたら体中から黒い靄のようなオーラを出し始めた。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……ぁぁぁぁぁぁ」
マギは力を込めて黒い靄を引っ込めると大きく深呼吸をした。
「マギさん大丈夫なん?」
亜子が甲斐甲斐しくマギの背を撫でて世話をしてくれる。
「あぁありがとう」
亜子に御礼を言うマギに雪姫は
「闇の魔法を使いすぎたな。これ以上使うとお前の身がもたないぞ」
「だけど、使わなかったらラカンさんに勝てなかった」
「決め手は私の魔法だったがな」
「まぁ、そうなんだけど…………」
雪姫に言われて少し落ち込む様子を見せるマギ。
「マギさんウチの歌魔法で少しでもマギさんを癒してあげるから」
亜子が歌魔法でマギを少しでも癒やそうとしてくれる。マギも顔色が少しだけ良くなり亜子にお礼を言っていると
「おい」
トサカが現れた。トサカの登場に少しだけ亜子がびっくりするが、トサカは鼻を鳴らしながらマギに近づく
「てめぇの弟だがな、てめぇの戦いを見てびびって棄権しようとしたから殴っておいたぜ」
「そうか、ありがとなわざわざ嫌な役を買ってくれて」
「勘違いすんな。俺はてめぇやあいつみたいに力を持っているのにいちいちウジウジするような奴が気に食わないだけだ」
「もおトサカさん、またわるもんみたいなことして」
「うっせぇおまえは黙ってろ」
亜子がトサカに怒るがトサカは別に気にしていない。
「それでどうなんだ」
「何がだ?」
「とぼけんな。次はてめぇと弟がやるんだ。勝つ見込みはあるのかって聞いてんだ」
トサカに聞かれ、マギは数秒考え込み
「さぁな」
「さぁなって、てめぇはあのジャック・ラカンに勝っただろうが。そんなてめぇがあいつに負けるかもしれないって言いてえのかよ」
「あいつの強さも本物さ。楽勝とは言えないし、ラカンさんとやり合ったおかげで俺の体はボロボロさ。もしかしたらってこともあるさ」
「…………ざけんなよ」
マギの答えに納得いかないのか、トサカはマギの胸ぐらを掴み
「てめぇは誰もが出来ないことをやったんだぞ。それなのに何弱気なことを言ってるんだ!? てめぇもしボロボロだからって手を抜いて負けたりでもしたら、てめぇらのことをチクってやるからな!」
「おいおい何勘違いしてるんだ?」
「あぁ!? ──────っ!?」
トサカは冷や汗がブワッと出た。マギが笑みを浮かべていたからだ。それもゾッとするような黒い笑みを
「俺は別に負けるとは思ってないさ。それに…………兄が弟に負けるなんてカッコワルイダロ」
そう言った瞬間マギから黒い魔力がまたあふれ出した。
「マギさん!!」
「っ」
亜子の叫び声ではっとしたマギはなんとか自力で黒い魔力を引っ込めた。
「…………まぁそう言うことだ。あんたをガッカリさせるまねはしないさ」
「…………あぁそうかよ。まあ俺には関係ないことだ。せいぜい潰れないように頑張ることだな」
言いたいこと言い切ったからか、トサカは去って行った。マギは深いため息を吐くと雪姫に寄りかかる。
「やっぱきついな…………」
「な、なぁマギさん。やっぱり棄権しない? 今のマギさんやっぱり普通じゃないよ」
「そうだな。だが、ここまで来たら最後までやらないと客も満足しねえだろ」
「でも…………」
亜子は何かを言おうとしたが、マギが心配かけまいと亜子の頭を優しくなでた。
「雪姫頼みがあるんだが、ネギと小太郎は俺1人で戦いたい。だから手を出さないでほしい」
「…………本気か? お前1人で戦って楽に勝てる相手ではないだろ坊や達は」
「そうだな。でも雪姫が戦ったら楽勝だろ。だから頼むエヴァ」
マギの頼みに呆れたように雪姫は
「好きにしろ。だが私は絶対に手は貸さないからな。お前が力尽きたらすぐに降参する」
「悪いな。けど、絶対勝つからさ」
そう言うとマギは残った料理を片っ端から食い終わり大きくのびをする。
「明日も早いからな。もう寝るか」
マギは部屋に戻ろうとするとマギを呼び止める亜子
「マギさん、絶対に無理しないでね。ウチマギさんの辛い所なんか見たくないから」
「あぁ」
微笑むとマギは部屋に戻るのであった。
次の話はとりあえず3週間後に投稿しようかと思います。