『皆様…………長らくお待たせしました。これより世紀の一戦が始まります』
インタビュアーの声に会場は盛り上がっている。決勝戦を前に大闘技場が模擬合戦開催形態へと変貌していく。ナギの名を冠する大会決勝にふさわしい世界規模の決勝戦となる。
『さぁ! 勝つのはナギか! それとも、ジャック・ラカンを打ち倒したネギか! 凄まじい激闘が予想されます。会場の観客も今か今かと待っております。ですが、会場は大丈夫でしょうか。ご安心ください!』
インタビュアーが炎の魔法を観客席に放った。炎の魔法は観客席に張られた障壁魔法によって打ち消された。インタビュアー曰くこの障壁は艦砲射撃にも耐えられる優れもの。先の準決勝のマギとラカンの試合の時にもこの障壁が張られていたから観客席は無事だった。
そして有事があった際は夕映達の騎士達がすぐに駆け寄れるように空で待機していた。
「あぁーまさか外回りの警備なんて。まぁいいや、モニターで見ようと」
コレットが文句をつぶやきながら甲に小さなモニターを出しながら試合を観戦しようとしていた。
『コレット! 警備に集中なさい!』
「いいんちょのくじ運が悪いせいじゃん」
『私も見たかったですよ!!』
エミリィに文句を言うがエミリィ本人も見たかったと本音を言う。
「マギさん、ネギ先生。どちらも頑張ってです」
空で待機しながらマギとネギを応援する夕映。しかし…………
『間もなく、選手入場! という言いたいところですが、ネギ選手がまだ試合会場に来ていないそうです。何かトラブルにでもあったのでしょうか』
『このまま不戦敗ってことになりゃ、観客は暴動でも起こしそうだがな。まぁ俺に勝ったんだ。さっさとこいってな』
ラカンが耳の穴に指を突っ込みながらそう言う。何故ラカンがいるかというと、運営が頭を下げてラカンを解説役をお願いしたのであった。
観客も所々で来ないマギに何かあったのかという者や悪態をつく者もいた。ラカンの言うとおりこのままでは暴動が起こりそうだ。
「来るやろマギ兄ちゃんは」
「うん、お兄ちゃんは逃げるなんてしない」
ネギと小太郎はマギが来ることを信じていた。
「何やってんだあのやろう! 早く来ねえとマジで不戦敗になるぞ!」
「ウチの拳闘団で棄権なんて出たら干されるどころじゃねえぞ!」
トサカ達は来ないマギにハラハラしていると
「アニキ来ました!!」
トサカの取り巻きが叫んで、トサカは遅れたマギに文句の1つでも言おうとしたが息をのんだ。
「…………悪い、遅れた」
体から黒い魔力を漏らしているマギが遅れたことに謝罪する。
「あ、ああ。さっさと着替えてこい! これ以上は客が待てねえぞ!!」
「分かった。遅れて悪かった」
それだけ言うとマギは着替えるために更衣室に向かった。
数分後、試合着に着替えたマギは会場入り口へと向かう。
「マギさん」
亜子がマギを見送りに来てくれた。
「マギさん気をつけてね」
「あぁ、勝ってくるわ」
微笑むとマギと雪姫は闘技場へとリングインした。観客は歓声を上げる者もいれば、遅れてきたマギに対してブーイングを浴びせる者もいたが、すぐに黙った。
マギから漏れ出ている魔力に息をのんだからだ。今のマギに近づいただけで気を失いそうになるほどの濃密な黒い魔力。
「どうやらマギ兄ちゃんは仕上がったみたいやな」
「うん、すごい魔力だ」
ネギと小太郎も闘技場へと入り、マギの魔力にネギは息をのみ小太郎は不敵に笑った。
「待たせて悪かったな。それじゃあ始めようぜ…………と言いたいところだが」
マギはニヤリと嫌な笑みを浮かべながらこんな提案をしてきた。
「このまま戦っても、おまえ達じゃ雪姫には勝てないだろう。そこでだ、俺1人で相手をしてやる。俺が倒れたらおまえ達が優勝だ」
しんと静まる闘技場、次の瞬間には会場が揺れるほどのブーイングが響いた。当然だろうマギが言ったことはネギと小太郎を侮辱することだ。なめ腐っているとも言える。
マギを攻める罵詈雑言が闘技場に響くが、ネギはマギが大きく息を吸うのを見た。まずいと判断したネギは小太郎に耳を塞ぐようにジェスチャーで指示した瞬間
「GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!」
ブーイングよりも大きなマギの咆哮がビリビリと闘技場を響き渡った。あまりの大きさに観客席にいたのどか達もすぐに耳を塞いでなんとか気を失うことはなかったが、観客席にいた観客の何割かはマギの咆哮で失神してしまった。
マギの咆哮でしんと静まりかえった闘技場。その間にマギは影からメイスを取り出すと地面に突き刺す。地面がひび割れる。
「さぁ! さっさとやろうぜ!」
不敵な笑みを浮かべ、指をくいくいとして挑発するマギ。
『な、なんかネギ選手随分と好戦的ですね。あんなキャラでしたでしょうか』
『あー、嬢ちゃん早く始めてやりな』
マギのキャラにインタビュアーも戸惑っていたが、ラカンはマギの状況を察したのか、さっさと始めようと促す。
「来るで」
「うん、警戒しよう」
小太郎とネギはマギがどう動くか警戒する。
『それでは、試合を開始します! レディ──────―ファイト!!』
インタビュアーがゴングを鳴らした瞬間、マギは一瞬でネギと小太郎の間合いに入り、まず小太郎にむかってメイスを振り下ろした。鈍い音と共に地面に沈んだ小太郎。そのまま横にスイングしてネギへとメイスを当てて、ネギは闘技場の柱へと叩きつけられて、そのまま闘技場へと落ちた。一瞬の出来事に観客は呆然としてしまった。
『はっ早すぎる!! ネギ選手一瞬でコジロー選手とナギ選手を一掃! あまりの早さにこのまま決着がついてしまうのか!?』
観客はあまりのあっけない決着にブーイングと文句を言おうとした瞬間
「がはぁ!!」
マギが反吐を吐きながら地面に沈んだ。
『え!? ええええええ!? ネギ選手が吐いて倒れてしまった! 何か攻撃でも当たったのかぁ!!』
『あー違うぜ。ネギのやつ、俺との戦いの後でもう限界だったのさ』
『と言いますと』
『今のあいつはボロボロのガタガタ。いつ倒れてもおかしくないのさ』
ラカンの言ったことに観客達はざわざわと騒ぎ出す。その間にインタビュアーがカウントを始めた。カウントが10のところでネギと小太郎がむくりと起きた。
「やっぱ警戒しといて良かったな」
「うん、お兄ちゃんのことだからこの行動に移ると思った」
ネギと小太郎はマギの奇襲を予想しており、あらかじめ魔力を防御に回していた。そのおかげでダメージは入ったが致命的ではなかった。カウントが進む中マギはまだ倒れたままだ。
「これで終わりかいな」
「そんな事ないよ。絶対」
カウントが15になったところで、マギがメイスを杖代わりにして残っていた反吐を吐き出した。
「やっぱ起きるか。殺す一歩手前の本気でやったんだけどなぁ…………」
影にメイスを収納して、今度はグレートソードを出して肩に担ぎ
「今度はマジでやる。病院送りになることを覚悟するんだな」
魔力を回し、体から魔力を放出し始める。そしてパクティオーカードを出すマギ。そしてネギもパクティオーカードを出した。
「いくぞネギ」
「いくよお兄ちゃん」
「「アデアット」」