堕落先生マギま!!   作:ユリヤ

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奪われた希望 訪れる恐怖

 詠春が石化され途方に暮れるネギと刹那、しかしマギは詠春を一度見た後拳を握りしめた。

 

「ネギ刹那、早く動くぞ。こんな所でうだうだしてたらこのかが危ないぜ」

 

 マギの言い方はきつく聞こえるが、今は行動に移さないと若しかしたらこのかに危険が迫っているかもしれない。それに詠春や他に石になったかもしれない本山の人達を助ける方法はあるはずだ。マギ達が頷きあうと

 

「全く……静かだと思ったら騒々しいな」

 

 ダルそうなエヴァンジェリンと何時もの調子の茶々丸が此方に歩いてきた。

 

「エヴァに茶々丸」

 

「無事だったんですね!」

 

「無事とはどういう事だ?私は別に」

 

 エヴァンジェリンは石になってしまった詠春を見た。

 

「何があったんだ?」

 

「ざっくりとした説明で言うと、俺達が知らない間に敵が入り込んで俺たち以外は全滅だ」

 

「そうか……詠春め、平和すぎてボケた様だな」

 

 エヴァンジェリンはもう一度石になった詠春を見てそう悪態をついた。

 

「エヴァ単刀直入に言う、俺達に協力して敵を撃退してくれ」

 

「私がか?私が手伝って何か得する事も無いからな、ハッキリ言って面倒な事はしたくない」

 

 エヴァンジェリンは協力的ではなかった。面倒な奴だなホントに…とマギは頭を掻きながら

 

「なら交換条件だ。協力してくれるなら明日お前と一緒に京都を回ってやる」

 

 マギが交換条件を言うと、エヴァンジェリンはピクンと反応する。

 

「本当か?」

 

「本当だ。エヴァは元々この件には関わらないって言ってたのに巻き込んじまったからな、そのお詫びだ」

 

 マギの交換条件にエヴァンジェリンは数秒だけ考えると

 

「その約束絶対に守れよ。もし動けないと言っても引き摺ってでも連れて行くからな」

 

「ああ約束だ」

 

「だったら協力してやろう」

 

 やけにアッサリとエヴァンジェリンは協力してくれる事になった。エヴァンジェリンが協力してくれる事で強力な戦力になる。

 

「それで大兄貴、これから如何するんで?」

 

 ネギの肩に居たカモが(居たのかと言いそうになったがあえて黙るマギ)これからどうするのかと尋ねる

 敵が侵入してるのなら、闇雲に動くのは得策ではない。もっと慎重に動くべきだ

 

「取りあえず、アスナと連絡をとってみろ。アスナが無事かどうか分からねえと話にならないからな」

 

「了解お兄ちゃん…もしもし、アスナさんアスナさん。無事だったら返事をしてください」

 

 ネギがパクティオーカードでアスナに連絡を取ってみる。数秒経った後にアスナから返事が戻ってきた。どうやらこのかも一緒で一応無事の様だ。

 

「よかった無事だったんですね。余り時間が無いので簡潔に言います。敵が侵入しました。さらに最悪な事に長さんもやられてしまい、今やこの本山は安全な場所ではなくなってしまいました。アスナさんはこのかさんを守ってください。後で合流しましょう。場所はさっきの大きなお風呂で」

 

 ネギはアスナとの通信を終えた。このかが無事だと聞いてホッと一安心する刹那。がまだ敵は本山に居るのだ。気を抜いてはいけない。

 

「戦力を分担するぞ。ネギと刹那に茶々丸はアスナ達の所へ、俺とエヴァがのどか達の所に行って無事かどうか確かめてくる」

 

 マギはなぜ茶々丸をネギの方に付かせたのかは、ネギと刹那と茶々丸の中で魔力が一番高いのはネギではあるが、近接戦闘では一番下である。もし敵が近接戦闘も出来る敵であるならば、刹那だけでは不安があるだから茶々丸を付かせたのだ。

 

「そういう事だ。茶々丸頼むぞ」

 

「了解しましたマスター。マスターもお気よ付けて」

 

 ネギに刹那、茶々丸はアスナとこのかの元へと急いだ。マギとエヴァンジェリンはのどか達の元へ、のどか達が無事かどうか確かめるためにのどか達が休んでいる部屋へと急いだ。

 

「おいマギ、余り言いたくはないが…これだけ静かなんだ、何時も大騒ぎをするアイツラだ。変に静かすぎたら逆に大騒ぎしているはずだ」

 

「……」

 

 エヴァンジェリンが言った事にマギは無言で返した。そうだ、何時もは騒がしい和美やハルナだったら静かすぎる本山を不思議がって逆に大騒ぎになる。それかマギ達の元に来るかもしれない。もしかしたら……いや大丈夫だとマギは首を横に振る。

 

「まだアイツ等に何かあったとは決まったわけじゃない。今はアイツ等が無事だと信じよう」

 

 話をしている間にマギとエヴァンジェリンはのどか達が休んでいる部屋へと到着した。

 

「のどか俺だ、マギだ。入ってもいいか?」

 

 マギが言っても返事が無かった。最悪のパターンを想像してしまい、マギはゆっくりと襖を開けた。そこには

 

「これは…」

 

「クソッタレ」

 

 詠春と同じように石化して石になってしまったのどかにハルナそして和美だった。遅かったのだ。マギは石になってしまったのどかの頭を触って俯いてしまったが、今は悲しんでいる暇は無い。辺りを見渡すがのどかにハルナ和美が石になってしまったのだが、夕映の姿が何処にもない。

 

「夕映の奴何処にも居ない、上手く逃げられたのか?」

 

「自分だけ上手く逃げられたとは……何とも運がいい小娘だな」

 

 取りあえずは、夕映は今の所無事かもしれないという事が分かった。しかし最近になって魔法を知ったのどかと和美そして魔法に一切関係の無かったハルナを石にさせてしまったのは、本山だったら大丈夫だと勝手に決めつけた甘い自分だと自分自身に怒りを覚えたマギ。

 

「全く貴様に関わったせいで悲惨な目にあうとは、この娘たちも哀れなものだな」

 

 マギとエヴァンジェリンの後ろから聞きたくもない声が聞こえ、振り返ってみると部屋の壁に背中を寄りかからせているアーチャーの姿があった。

 

「アーチャーっテメェ!」

 

 マギは持ってきていた仕込み杖でアーチャーを斬りつけようとしたが、まぁ待てと手で制止られる。

 

「いいのかこんな所で暴れて?貴様の大切な生徒が砕けてもしたら如何するんだ?」 

 

 アーチャーのバカにするような言い方にマギは動きを止める。そうだ、こんな狭くてましてや石になってしまっているのどか達が居る所で戦って、最悪の場合のどか達が砕けたりしたら助からないかもしれない。

 

「クソ……」

 

 マギは仕込み杖の構えを弱めるが、警戒は解かずにアーチャーを睨み付ける。

 

「テメェらの目的はなんだ。あと何で俺を狙う」

 

 マギは改めてアーチャーに目的を聞いた。しかしアーチャーは済ました態度で肩を竦めながら

 

「目的はただ一つ、私の一応の雇い主の千草嬢は西洋魔術師への復讐だ。貴様を狙うのは自分の胸に問いかけてみろとそう言ったはずだ。ほんの数時間前の事なのに忘れるとは…貴様の頭の中は随分とおめでたく出来ているようだな」

 

 相も変わらずマギに対する見下した態度に、マギは飛び掛かろうとしたが堪えた。

 

「アーチャーとやら、貴様が使っている武器を具現化する魔法は何処で習得した?」

 

 こんどはエヴァンジェリンがアーチャーが使っている魔法に付いて尋ねると、アーチャーはエヴァンジェリンに対して深々とお辞儀をした。

 

「これはこれは、『闇の福音』と悪名高いエヴァンジェリン・A・K・マクダウェル。シネマ村の時に貴女を蹴り飛ばしたのは申し訳ない。しかし残念だが私の魔法を易々と教えるつもりは毛頭も無い」

 

 自分の魔法を教えるつもりが無いアーチャー。とその時空に白い光が打ち上げられた。マギとエヴァンジェリンは打ち上げられた白い光は何なのかと何かの合図なのか、するとアーチャーがフムと頷きながら

 

「如何やら仲間がこのか嬢を手に入れた様だな」

 

「このかを!?」

 

 このかが敵の手に落ちたという事は、ネギ達がやられてしまったという事だ。まさかのどかや詠春のように石になってしまったのか…

 マギがそんなことを考えているとアーチャーが蜃気楼のように揺らぎ始めた。逃げるつもりだ。

 

「アーチャー!逃げる気か!?」

 

「あぁ逃げるさ。このか嬢が手に入った今、貴様の相手をする意味など無いのだからな」

 

 そしてアーチャーの姿が完全に消えるが、あぁそれと…と何処からかアーチャーの声が聞こえた。

 

「このか嬢の事だか、忌々しい事だが、貴様の脇腹を瞬時に治癒したんだ。もしかしたら石になってしまった貴様の生徒達も元に戻るかもな」

 

 それだけ言うと、アーチャーの声はもう聞こえなくなった。アーチャーが居なくなるだけで部屋はシンと静まりかえって、逆に不気味さをました。

 マギは黙りを決め込んでいたが、拳を力強く握りしめ拳から血が出そうな程だった。

 

「行くぞ、こんな所で油を売ってる暇はねぇ。さっさとネギ達の所に戻るぞ」

 

「あぁ…」

 

 マギとエヴァンジェリンはのどか達の部屋を後にする。

 

「しかしアーチャーと言う奴、何故近衛木乃香の力の情報を私達に教えたんだ?」

 

「さぁな。目的のこのかを手に入れて調子に乗ってるんじゃねえのか?勝った気でいるアイツの出鼻をくじくためにさっさとこのかを助け出そうぜ」

 

 そんな事を話してる間にマギとエヴァンジェリンはネギたちが居るであろう大浴場に到着した。

 大浴場の扉を開けてなかに入り様子を伺うと、なかに居たのは一応無傷のネギに怪我をしている刹那、右腕を押さえている茶々丸。そしてタオルをくるんだ素っ裸のアスナだ。

 このかの姿が見えないと言うことは、アーチャーの言う通りこのかが敵の手に渡ったということだろう。

 

「一応聞くが何があった?」

 

 マギの問いに刹那が重々しい口調で話す。

 

「私達が此処に来たときにはもうお嬢様の姿がなく、裸でぐったりしていたアスナさんだけでした。私やネギ先生が何があったのか尋ねようとしたのですが、気配を消した銀髪の少年に不意を突かれ私は成す術も無くやれてしまい」

 

「私も敵の攻撃を防いだのですが、余りにも威力が強すぎて右腕で防いだのですが、そのせいで右腕を損傷しました。恐らくですが通常の4割程度の力しか出せません」

 

「そうか、これが終わったらハカセと超に直してもらえ」

 

 刹那と茶々丸は戦力が半減したと考えた方が良い。マギはまだあの銀髪の少年が近くにいるのではと思い、辺りを見渡すがカモが

 

「大兄貴、あの銀髪のガキなんですが水を利用したゲート系のテレポート魔法で逃げちまいまして、兄貴と同じくらいの歳でテレポートなんて高等魔術を使えるなんてただもんじゃないですぜ」

 

「やれやれだ。あのアーチャーなんてクソ傭兵の他にネギ位のクソガキとは骨が折れそうだ」

 

 マギがこれからが大変だと呟いていながらネギの方を見た。ネギは黙って項垂れて杖を握りしめていた。刹那や茶々丸そしてアスナがやられてしまったのに自分は何も出来なくてそれで落ち込んでいるのだろう。

 マギはそんなネギを見て溜息を吐きながら近づいた。何時もの様にネギの頭を撫でるのかと思いきや、ネギの頭に拳骨を落とした。結構本気で。

 

「~!!」

 

 ネギはかなり痛かったのか涙目になりながら頭を押さえた。

 

「そうやってクヨクヨしてたらこのかが戻って来るのか?そんな無駄な事してねぇでさっさとアイツラを追いかけるぞ」

 

「うっうん」

 

 ネギは頭を押さえながら頷いた。刹那の傷をネギが直していざこのかを救出しようという事になったが

 

「おいアスナ、これ以上は今迄以上に危険な戦いになるぞ。それでも来るか?」

 

「行くに決まってるでしょ!大事な親友のこのかが連れてかれたのよ。それを黙ってるわけないじゃない!」

 

 アスナも一緒に行くそうだ。そうかと頷くマギ、だがとマギはアスナから顔をそむけると

 

「ちゃんと服は着てけよ」

 

「え?……あ」

 

 アスナは自分がハダカだったのを思い出して、アスナは顔を紅潮させながら早足で浴場を後にした。着替えて来るのだろう。

 

「お兄ちゃん、のどかさん達の方は如何だったの?」

 

 ネギの問いにマギは首を横に振りながら

 

「俺達がのどか達の所に辿り着いた時にはもう遅かった。のどか達も詠春さんと同じように石になっていた」

 

「そんな……」

 

 ネギもそれを聞いて又落ち込む。ただとマギが先程アーチャーが言っていた事を話す。

 

「さっきアーチャーが言ってたんだが」

 

「アーチャーってお兄ちゃんを狙ってた傭兵さん?」

 

 ネギが首を傾げる。傭兵をさん付けなんてそこは如何なんだよとマギがツッコむ。

 

「アイツが言ってたんだがこのかの力なら石になった奴らを治せるって言ってたんだが…」

 

「確かにシネマ村の一件で私の肩の傷や、マギ先生の脇腹の傷を瞬時に直してしまった。このかお嬢様はおそらくですが治癒魔術師の素質があるのかと、もしそうなら石になってしまった長達を治せるかもしれません」

 

 もしそうなら希望が見えてきた。このかを救出して石になった者達を助ければ万々歳だ。

 

「だったら神楽坂明日菜が着替え終えたら早く動くぞ。こんな所で待っているだけでも時間の無駄だ」

 

 エヴァンジェリンが腕を組みながらそう言ったのと同時に着替え終えたアスナが戻ってきた。これで準備は完了である。

 

「それじゃあ、皆さん行きましょう!」

 

 ネギの号令にマギ達は頷き、このかの救出に向かったのだった。

 

 

 

 

 

 本山からさほど離れていない川の畔に、千草とアーチャーに札を顔に付けた鬼、そして銀髪の少年の姿があった。そして捕らわれてしまったこのかは千草が召喚した猿の着ぐるみの腕の中だった。

 

「おお、やるやないか新人!最初からお前に任せればよかったわ」

 

 念願のこのかが手に入って有頂天になる千草。これで計画はほぼ完了だと思っているようだ。

 

「このかお嬢様も手に入ったことやし、後はお嬢様を連れて例の場所に行けば…ウチの大勝利やフフフ」

 

「…」

 

 千草が一人でブツブツと呟きながら笑みを浮かべており、そんな千草を銀髪の少年が無表情で見ていた。

 

「むーッ!むーむーッ!!」

 

 猿の腕に抱かれたこのかは口を布で縛られて何も喋れない状況の中、今の自分の状況が今一掴めない混乱と、これから自分はどうなってしまうのかという恐怖で頭が一杯だった。青ざめているこのかに千草は近づき顎を持ち上げながら

 

「心配しなくてもいいえこのかお嬢様。何も酷い事はしまへんから」

 

 と言ったが口を布で縛られている以上そう言った事も言っても信じられなかった。

 

「千草嬢、君はもう勝った気でいるが余り油断するな。油断大敵と言う言葉がこの国にはあるだろう」

 

 アーチャーの言った事にそれはそうやえと同意する千草、千草はあと少しという所でいつも失敗しているのだ。今回こそは失敗は出来ない。

 

「それじゃあお嬢様を連れて祭壇へ向かうえー」

 

 千草が祭壇なる場所に向かおうとしたその時

 

「待て!」

 

 刹那の声が聞こえ後ろを振り返ってみると間に合ったマギ達の姿があった。

 

「そこまでだ!お嬢様を返してもらおう!!」

 

 刀を構えた刹那が千草に向かってそう叫ぶ。千草はもう追ってこれたマギ達を見て軽く舌打ちをするが、何かを思いついたのかニヤリと笑い始めた。

 

「そうや…念願のこのかお嬢様が手に入ったんや、お嬢様の力を見せるって言うのも面白うそうやえ」

 

「あっアンタこのかに何するつもりなのよ!?」

 

 アスナはハマノツルギの柄を握りしめながら、千草に強く尋ねるが何するつもりってと余裕そうな態度を崩さず

 

「何をするって先程も言ったえ、面白そうな事をしようと。このかお嬢様の力お前達にも見せてやるえ」

 

 そう言った後に、千草は呪文を唱える。すると水面が怪しく光り始めた。

 

「さぁウチからすれば楽しい楽しい喜劇、アンタらにとっては怖い怖い恐怖の始まりやえ。お嬢様を取り返しに来たことに後悔する程になぁ」

 

 千草の言う通り本当の恐怖はこれからなのだった…

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