堕落先生マギま!!   作:ユリヤ

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今日から原作8巻の話です
それではどうぞ


~第6章~過去の話と魔物襲来
エヴァの修行は死にもの狂い?皆は知らない秘密の特訓


 ネギがエヴァンジェリンの弟子入りのテストに合格してから数日が経ち、ネギはマギと一緒にエヴァンジェリンの別荘にて修業を行っていたが、修業と云うよりは…単にネギをいじってるだけにしか見えなかった。

 まず最初にエヴァンジェリンがネギを魔力で強化したパンチで吹き飛ばす。吹き飛ばされたネギの元へ従者の茶々丸とチャチャゼロが接近する。

 対してネギは風花・風障壁で茶々丸とチャチャゼロの動きを止めようとした。

 がしかし、ネギの障壁が消えたのと同時に茶々丸がネギを地に伏せた。追い打ちでチャチャゼロが持っていた短剣をネギの首に届くギリギリの場所にナイフを刺してネギは短い悲鳴を上げた。

 戦闘不能になったネギの顔にエヴァンジェリンは足を乗せて踏みつけ始めた。

 

「如何した?まだ30秒も経っていないぞ。3対1とはいえ1分位は持ち堪えてみせろ…それ位出来ないと、あのフェイトと言う銀髪の小僧には到底敵わんぞ」

 

 エヴァンジェリンはネギの顔をふみふみと踏みつけながら見下ろして言った。

 確かに今のネギが多対一で一分も持ち堪えられないのなら、フェイトには勝てる見込みは粗ゼロである。最悪殺されるかもしれない。

 

「よって私が坊やにピッタリな連携魔法を教えてやろう…多少は力を弱めるが坊やもしっかりと防げよ」

 

 それだけ言うとエヴァンジェリンはネギの腹を容赦なく蹴り上げて、宙へと上げた。

 エヴァンジェリンは吹き飛ばしたネギにジャンプで近づくと、零距離で魔法の射手を放った。

 そして最後は詠唱で止めを刺す。

 

「来れ虚空の雷 薙ぎ払え! 雷の斧!!」

 

 エヴァンジェリンの詠唱が終わると、斧の形をした雷をネギに振り下ろした。

 ネギも障壁で防いだのだが、威力が威力でネギは痺れて動けなくなっていた。

 

「今使った魔法は、決め手としては有効な雷系の上位古代語魔法だ。覚えていて損は無いぞ」

 

 エヴァンジェリンは雷の斧とその連携技をネギに披露したわけだが、雷の斧を喰らっているネギ自身は痺れていて話半分で聞いていた。

 電撃で伸びているネギを見てヤレヤレと呆れているエヴァンジェリンは、あぁそうだと何か思い出した素振りを見せると

 

「今の連携はナギもよく使っていたな。まぁ今の坊やじゃ再現するのは到底無理な話だがな」

 

 ナギの名を聞いて、ネギはピクリと反応した。自分の父の事になると反応が早いネギである。

 

(成程な、無詠唱での魔法の射手を至近距離で発動。中の上程度の詠唱の早い上位古代語魔法…シンプルであまり派手さはねぇけど有効な戦法だな)

 

 カモはさっきの連携をそう分析した。漸く痺れが無くなり起き上がったネギに対してエヴァンジェリンは

 

「よし休んだら実戦訓練を2時間だ。根を上げるなよ」

 

「はッはい!」

 

 更にハードな修業にカモは開いた口が塞がらなかった。さっきも続けて修業を3~4時間ほど続けていたが、小休止した後にまた2時間とは…段々修業がハードになってきていた。

 エヴァンジェリンの修業が厳しいとは思っていたが、これほどとは思わなかったカモ。兄貴は大丈夫なのかと心配になってきた。

 

(まぁ兄貴が心配だと言うのもあるけど、この別荘にも驚きだぜ)

 

 カモは初めてこの別荘に来た時は驚きの連続だった。中でも一番驚いたのは此処で1日過ごしても外では1時間しか経っていないという事である。

 マギはこの別荘でネギより前から修業していたのだ。それで魔力や気がアップしていたのは頷ける。

 そしてそのマギはと言うと…

 

「ふッ!はぁッ!トオァ!テリャ!!」

 

 魔力と気を纏いながら両手に短剣を握り、剣や蹴りを混ぜた型を行っていた。

 まるで踊っているかのようにマギは剣を揮う。

 

「ハァッ!…ふぅ~」

 

 最後の締めで短剣の袈裟斬でしめると、深い深呼吸をして膝をついた。顔には大量の汗を滲ませていた。一見普通に剣を揮ったり足を蹴り上げたりしてるだけに見えるかもしれないが、実際やってみるとかなり大変の様だ。

 魔力と気を身に纏うだけでかなり体力を消費するのだ。そんな中で剣を振ったりするのはかなりキツイ。

 そんなマギの元へエヴァンジェリンが近づいてきた。

 

「お見事、この短時間で5時間もその状態を維持できるようになったのだな」

 

 マギはこの魔力と気を纏った状態を5時間ほどまで維持できるようになったのだ。

 

「まぁな…これもエヴァの教え方が分かりやすいからだな」

 

 マギは息を整えながらエヴァンジェリンに感謝の言葉を送った。エヴァンジェリンの教え方は厳しくて辛い事もあるが、的確で分かりやすい師事をしてくれる。そのおかげでマギはこの短時間で長時間もその状態を維持できるようになったのだ。

 マギに感謝されてエヴァンジェリンも嬉しいのか当然だと胸を張った。

 

「この調子だったら闇の魔法の修業に入っても大丈夫そうだな」

 

「本当か?やっとだぜ」

 

 漸く闇の魔法の修業に入れるという事で、マギはこれまでの苦労が報われるぜとそう思った。

 

「じゃあ少し休んだ後に、闇の魔法の修業へ…いくぞ」

 

 急にエヴァンジェリンがふらついたので、マギはエヴァンジェリンが床に倒れない様に支えてあげた。

 

「おいエヴァ大丈夫か?」

 

「あぁマギ…すまないな少しふらついただけだ。今日は少し張り切り過ぎたな…全くこの体が時々面倒に感じるよ。おい坊や今日の授業料を払ってもらうぞ」

 

「ええでもマスター(師匠)、昨日あれだけ払ったのに…」

 

 エヴァンジェリンの事をマスター(師匠)と呼びながら近くによるネギ、そんなネギを逃がさない様にガッチリと捕まえるエヴァンジェリン。

 

「昨日のあれだけでは…全然足りぬぞ」

 

 それだけ言うと顔を近づけるエヴァンジェリン。そんなエヴァンジェリンとネギの遣り取りを少し複雑な顔で眺めていたマギであった。

 

 

 

「ただ今帰りました~」

 

「ただいま帰ったぜぇ」

 

 エヴァンジェリンの修業を終えて寮へ帰ってきたマギとネギ。

 マギは別段変わったところも無くいたって普通であったが、ネギはげっそりとして見るからにやつれていた。

 

「お帰りネギ君マギさん。何やネギ君、えらく疲れてるみたいやなー」

 

「はは…はい。マスターの修業が最近厳しくなってきたものでアハハ…」

 

 ネギは乾いた笑みを浮かべながらこのかにそう言った。

 

「ネギ、アンタはまだ子供なんだからあんまり無理して体壊さないでよね」

 

 ネギの顔を見ずにノートに授業の復習を写していたアスナは一応ネギに無理だけはしない様に釘をさしておいた。

 

「ハイ気を付けます…アスナさんは勉強中ですか~偉いですねぇ~」

 

「まぁね。今まで刹那さんと剣の修業をしたり南の島とかに行ったりしてたからねぇ。中間がもう直ぐだし、しっかり勉強しておかないとね」

 

「そうですかぁ~頑張ってくださいねぇアスナさ~ん」

 

 ネギはフラフラしながら梯子でロフトへ向かおうとした。

 

「ちょっとネギ…アンタ本当に大丈夫なの?」

 

 ノートにカリカリと書いていたアスナだが、流石にネギがフラフラしすぎてるのを見て心配になって、一回シャープペンを置いた。

 

「だ…大丈夫です。アスナさんは気にせず勉強を…むにゃむにゃ」

 

 最後方はちゃんと言えずに梯子に引っ掛かる形で軽く寝ている状態であった。

 そんなネギの姿を見てマギはやれやれと呆れながら梯子で引っ掛かっているネギを担ぎ上げると、梯子を上ってネギを布団に寝かせていた。

 

「たく、寝るんなら布団で寝ろよな」

 

「うん…ゴメンねお兄ちゃん」

 

「気にするな。お前の授業の用意も俺がしといてやるよ」

 

 マギがネギに気にするなと言うと安心したのか、ネギは静かに寝息を立てて寝てしまった。

 直ぐに爆睡する程であるからよほど疲れていたのだろう。

 

「ねえカモ、放課後にエヴァちゃんの所に行って3~4時間は経っているけど、あんなにフラフラになるもん?」

 

「いやまぁエヴァンジェリンの修業が思ったよりも厳しくて、子供の兄貴じゃヘロヘロになるってもんでさ」

 

「本当に?何かアタシに隠し事してない?」

 

 アスナは疑い深くカモを見ながらそう言った。そんなカモを援護するかのようにマギが

 

「まぁ今のネギじゃ仕方ねえよ。俺もエヴァの所で修業した時にはきつくて1日中寝たきりなんて日があったからさ」

 

 と援護した。マギがそう言ったので、アスナはカモが言った事を信じる事にした。

 

「まぁいいや、お休みネギ。しっかり休みなさいよ」

 

 それだけ言うとアスナは勉強を再開した。

 

 

 

 翌日だがネギの様子がやはりおかしいとアスナは再度そう思った。

 昨日爆睡してたはずなのだが、疲れが取れておらず授業中終始フラフラしていた。

 生徒達は5月病に掛かったのか、それとも気の早い夏バテになったのかとヒソヒソと話していた。

 特にネギloveであるあやかやまき絵はフラフラしているネギをハラハラと見ていた。

 

「アスナさん、ネギ先生に何かあったのですか?」

 

「ううん、アタシもよく分からないの」

 

 夕映はアスナに何があったのか尋ねるが、アスナ自身も今一よく分かっていない状況である。

 アスナ達がヒソヒソと話している間にも授業が終了し、ネギはしっかり復習してくださいね~と生徒達に言うとフラフラと教室の外に出てしまっていた。

 ネギがふらふら歩いているのを隠れながら見ているアスナ。

 

「やっぱり変よ。あんなたった数時間であんなになるなんて、ばれない様について行って正体を明かしてやるわ」

 

 アスナはネギの後をついて行こうとしたその時

 

「何やってるさねアスナ?」

 

「フムフム、ネギ坊主の後をついて行くアルか?」

 

 と和美に古菲とのどかに夕映とこのかに刹那が現れた。

 

「ちょ!行き成り現れないでよ!ビックリするじゃない!」

 

「あんま大きい声を出すんじゃないよ。ネギ先生に気づかれるさね」

 

「でもネギ坊主今日の私との朝練でもフラフラだたアルよ。流石にあれは何かあったんじゃないかと思ったアル」

 

 ネギに何かあったのか気になるアスナ達はネギに気づかれない様に後をついて行くことにした。

 

「しかしネギ先生はエヴァンジェリンさんの所で修業をしてるのですよね?マギさんも一緒なのにあれほど疲労しすぎてるのは少し妙です」

 

「でもやっぱりネギ君が子供だからじゃないかなー」

 

 夕映の考えにこのかはネギが子供だからとそう答えた。とそんな事を話しているとネギはエヴァンジェリンそしてマギと合流してエヴァンジェリンの自宅へと向かって行った。

 

「でもやっぱりたった数時間であんなにやつれるなんて、それはやっぱりあんなことやこんなことを…」

 

 と和美が大人なシーンを妄想してそれは無さすぎでしょ!とツッコミを入れた。

 

「まだネギは10歳なのよ?それにエヴァちゃんはマギさんの事が…」

 

 とそれ以上は言わなかった。マギの事が好きなのどかの前でそんな事を言うのは流石に気まずくなってしまうのだ。

 でもそれは如何かな~?と和美はニヤリと笑いながら

 

「エヴァンジェリンって案外独占欲が強そうだからねぇ~若しかしたらどっちも独り占めしたい…な~んてね」

 

 和美の言った事にすこし戸惑いを見せるアスナ。それは何か嫌だな…とそんな考えが頭を過った。

 道中雨が降り始めたが、目的のエヴァンジェリンの家に到着した。

 エヴァンジェリンの自宅の中に入っていくマギ達。そんなマギ達を茂みの奥から覗いていたアスナ達。

 

「雨が降ってきたから家の中で修業でもするのですか?」

 

「まさか、修業をするには家の中じゃ狭いでしょ?ちょっと家の中を覗き込んでくる」

 

 アスナは一人でエヴァンジェリンの家へ近づき、窓から家の中を覗き込んでみた。

 しかし家の中には誰も居なく、マギ達の気配も感じられなかった。

 

「あれ?誰も居ない…」

 

 アスナはマギ達が何処にもいないのを不思議がり、他の皆と一緒にエヴァンジェリンの家の中へと入って行った。

 鍵をかけておかないなんて不用心だと思いながらも家の中をくまなく探してみた。

 リビング、キッチン2階にお風呂とトイレとくまなく探したが、マギ達の姿は無かった。

 

「おかしいわね、ネギ達が家の中に入って行ったのは確かに見たのに…」

 

 なのにどうして何処にも居ないんだと首を傾げるアスナ、とのどかがアスナ達を呼んだ。

 何事かとのどかの所に駆け付けると、如何やら地下室に何かあったようだ。

 地下室には多くの人形がしまっていたが、気にするのはそれじゃない。

 

「これです、こんなのが地下室に」

 

 夕映が指を差したのは塔や砂漠に雪国にジャングルのミニチュア、そうこれはエヴァンジェリンの別荘である。

 

「何よコレ?色々なミニチュアなのかしら?エヴァちゃんも変わった趣味があるのね。でこれがどうかしたの?」

 

 別荘の存在を知らないアスナ達にとっては此れはタダのミニチュアでしかない。アスナはこのミニチュアがどうかしたのか尋ねると

 

「いえ、先程のどかがこの塔のミニチュアでマギさんやネギ先生の姿を見たそうです」

 

「ええこんな小さいのに?何かの見間違いじゃない?」

 

 とアスナが見間違いだと言っていると、和美が何かのスイッチを足でカチッと押してしまい、和美の足元に魔法陣が出現して和美から順に姿を消してしまった。

 

「ってアレ?皆何処に行っちゃったの?」

 

 気が付いたら自分以外誰も居なくなってしまったが、アスナの足元にも魔法陣が出現して、次の瞬間にはアスナも地下室から姿を消してしまった。

 

 

 

 所変わって寮に帰っている千鶴と夏美。2人は部屋が同じという事で何時も一緒に帰っているのだが、最近千鶴の様子がおかしいと思っている夏美。

 

「はぁ…マギさん…」

 

 千鶴は時々マギの名を呼んでは溜息を吐いている事がある。

 実は千鶴は前に不良から助けてもらった事で少しづつだがマギの事を意識し始めていたのだ。

 

「だけどちづ姉も恋をするなんてね~」

 

 夏美が軽い気持ちでそんな事を呟くと千鶴はおほほと笑いながら。

 

「夏美ちゃん?もって何かしらもって?私が恋をせずに一生を終えるとでも思っていたのかしら?」

 

 夏美はヤバいと思ってしまった。今のは失言であった。

 千鶴は怒るとかなり怖いので今夏美の目の前に居る千鶴は笑ってはいるが、目が笑っていなかった。なんとか誤魔化そうと話題を変える夏美。

 

「そッそう言えば今日のネギ先生、元気が無かったけど如何したんだろうね?」

 

「…ええそうね。風邪じゃなければいいのだけれど」

 

 何とか話題を変える事が出来てホッと一安心な夏美。

 暫く歩いていると千鶴があら…と何かを発見して

 

「行き倒れよ夏美」

 

「いッ行き倒れ!?」

 

 千鶴が行き成り行き倒れと言い出したので慌てる夏美。

 だが行き倒れと言うのは小さい子犬だった。

 

「なんだぁ犬かぁ~ビックリしたなぁ」

 

 てっきり人が行き倒れだと思ってしまい、少しだけホッとする夏美。

 だが行き倒れている子犬だがよく見ると怪我をしているようだ。

 

「あら怪我をしてるようね、寮に連れて帰って治してあげましょう」

 

「ちづ姉大丈夫?バッチくない?」

 

 夏美が千鶴に大丈夫か尋ねて千鶴は大丈夫よと返した。

 千鶴と夏美は子犬を連れて寮へと帰った。

 だがこの子犬を連れて帰った事で、2人の特に夏美の運命が大きく変わる事に気づいていないのであった。

 

 

 

「皆何処!?」

 

 アスナは魔法陣から出て皆を探そうとしたら、目の前に夕映が居た。

 

「夕映ちゃんよかった、見つけたわよ!」

 

「アスナさん漸く来たですね」

 

「何処に行ってたの?心配したわよ」

 

「私の事は良いです。それよりも周りを見て下さいです」

 

 夕映に言われてアスナは周りを見渡してみた。

 此処はさっき居た地下室ではなく、巨大な塔の頂上であった。

 

「って!何処よ此処はぁッ!?」

 

 アスナはあんぐりと開いた口が塞がらなかった。

 如何やらさっき見たミニチュアと同じ場所の様です。と夕映は冷静に分析していた。

 

「こっちです。ついて来て下さいです」

 

「もう何も驚かないつもりだったんだけどね…と言うかここ結構暑いわね。この前まで南国に行ってたのに」

 

 アスナはそんな事を呟きながら夕映の後をついて行った。

 ついて行ったのだが、この塔を結ぶ頂上の橋には手すりなんて存在しておらず、おまけに少し風が強くて落ちてしまうのではないかと考えてしまい思ったより早く歩けなかった。

 

「全くファンタジーでもいい加減にしてほしいわよ…」

 

「そうですか?私としてはファンタジー(こっち)の方が胸が踊る思いですよ。退屈な授業よりはこっちの方が充実してるです」

 

「その割には足が震えてるけど、夕映ちゃんもやっぱ怖いんでしょ?」

 

「…これは武者震いと受け取ってほしいです」

 

 などと話している内に塔に到着してみると其処にはこのかなどの他のメンバーが居た。

 

「アスナさんが来ない30分間の間に、私達で塔をあらかた調べて見たです」

 

「え?30分?アタシ皆が居なくなって探したのって1~2分位よ?」

 

 アスナと夕映の時間間隔が違う事に首を傾げてみる。

 この別荘の仕組みをまだ知らないアスナ達にとっては謎な別荘である。

 暫く立つと和美が塔の下の階で声がしたと言ってこっちに来いと手招きする。

 アスナ達は長い螺旋階段を降りながら、下の階に到着してみると話し声が聞こえてきた。ネギとエヴァンジェリンの声であった。

 何をしてるのかと耳を澄ませてみたが、次の瞬間には固まるアスナ達。その話声と言うのがネギの荒い呼吸と、エヴァンジェリンの何処か艶めかしい声であった。

 まさか和美が言っていたあんなことやそんな事をやっているのではないかと想像してしまったアスナ達は顔を紅潮してどうすればいいのか分からなかったが、アスナが思わず部屋の中へ入ってしまった。

 

「こらぁ!アンタ達何やってるのよ!?」

 

 アスナが勢いのまま部屋に入ってみると、ネギとエヴァンジェリンが何をやっているのか…

 

「ん?(ちゅうぅぅ)」

 

「ちょエヴァンジェリンさん、これ以上はぁぁぁ」

 

「エヴァあんまり血を吸い過ぎるなよ」

 

 ネギの腕に噛みついて血を吸っているエヴァンジェリンの姿があった。

 自分が考えていた事の予想外の事をやっており思わずズッコケたアスナ。

 

「なんだお前達か、如何してこんな所に居るんだ?」

 

「アタシ達の事よりもネギに何やってるのよ!?」

 

「何って血を貰っているんだよ。血があった方が私も思う存分力を出せるしな。本当はマギの血を吸おうとしたんだが、マギは最近までタバコを吸っていたからな血がまずくて体に悪いからという事で坊やの血を飲んでいたと言う訳さ」

 

「悪いなエヴァにネギ。俺がタバコを吸っていたばかりにネギやお前に負担かけちまって…」

 

 マギの申し訳なさそうな顔にエヴァンジェリンとネギは仕方ないと言ってくれた。

 

「仕方ないさ、それにマギがタバコを止めて少しづつだけど血も綺麗になってきたからな…と如何したんだ神楽坂明日菜?」

 

「な…なんでもないわよ」

 

(何よ想像してた事と全然違うじゃない!と言うかなんでアタシはあんなことを考えていたのよ…あぁ恥ずかしい!)

 

「どうせそんな事だと思ったわよ!」

 

「何を考えていたんだお前は?」

 

 エヴァンジェリンの呆れた視線にうっさい!とアスナは大声で喚き散らした。

 本当に何を考えていたんだ?エヴァンジェリンは呆れた視線を向けていると、エヴァンジェリンの前に和美が現れた。

 そしてアスナや自分達が想像していた事をエヴァンジェリンの耳元で小声で教えてくれた。

 教えてくれたことにエヴァンジェリンは顔をボン!と真っ赤にしながら

 

「ふッふざけるな!私はそんな節操のない女じゃないぞ!私が本当に好きなのは…」

 

 と其処で口をつぐんでしまった。自分の目の前にはのどかも居る。あまり色々と暴露したくないとそう思ったエヴァンジェリンである。

 閑話休題、この話は此処で終わりにしよう。

 

「それでエヴァちゃん、この塔はいったい何なのよ?」

 

 アスナはエヴァンジェリンにこの塔の正体を聞いてみると

 

「これは私が造った別荘だ。少しの間使っていなかったのをいろんな理由で掘り出した。今はマギと坊やの修行のために使っているがな」

 

 エヴァンジェリンの説明にアスナ達はへぇ~と塔の周りを見渡した。魔法ではこんなものも作れるのかと感心する。

 

「全く、お前達は勝手に入ってきて…言って置くがこの別荘に入ると最低でも1日はこの別荘の中で居てもらうから簡単には出てこられないぞ」

 

 エヴァンジェリンの爆弾発言にええッ!?と悲鳴みたいな声を上げるアスナ達。

 明日の学校如何するの!?やら聞いてないよ!と騒ぎ始めたのを見て喧しいと顔を歪めるエヴァンジェリン。

 

「少し黙れ…心配するな。お前達も聞いた事があるだろ浦島太郎の竜宮城を…この別荘は竜宮城の逆だ。此処で1日過ごしても外では1時間位しか経っていない。これを利用してマギや坊やの修行を見ていると言う訳だ」

 

 とエヴァンジェリンが別荘のとんでも機能をアスナ達に紹介して凄いと言う感想しか言えなかった。

 

「という事はネギ君やマギさんって学校終ってから此処で修業してたん?」

 

「はい…流石に疲れます…」

 

「まぁ俺は結構前から此処で修業をしてるからかなり慣れたけどな」

 

 このかの質問にネギはまだ慣れてないから疲れると、マギはネギよりも前から此処で修業をしてるからかなり慣れたと答えた。

 

「ん?ちょっと待ってマギさん、マギさんは何時頃からこの別荘で修業してるの?」

 

 アスナはマギに何時頃から修業をしてるか尋ねた。

 

「何時頃からって言うとそうだな…修学旅行から帰ってきて、エヴァの所で修業をしてもらう事になって…ネギがエヴァの弟子入りの試験のをする前から本格的な修行を始めたな」

 

 マギの答えを聞いてこの別荘の仕組みを考えてみると、マギはネギの何十倍否何百倍もの時間を修行していた事になる。

 

「とするとマギさんはネギよりも一杯修行したの?ズルいわよマギさん!ネギはあんな少ない時間で修行したのにマギさんはこの別荘で一杯修行したなんて…それじゃあネギが弟子入りのテストでマギさんに勝てるわけないじゃない!」

 

 アスナはズルいと言いながらマギを指差した。そんなアスナにエヴァンジェリンは心底呆れたような溜息を吐いていた。

 

「神楽坂明日菜、お前はまだそんな甘い事を言ってるのか?おめでたい奴だな」

 

「むッ!それは如何いう意味よエヴァちゃん!?」

 

 アスナはエヴァンジェリンにおめでたい奴と言われることに納得できず、どういう意味なのか再度尋ねる。

 

魔法使い(私達)の戦いはスポーツじゃない。命を賭けた殺し合いをすることもある。そんな中で卑怯なんて言葉は何の意味も無い…勝てばいいんだよ結局は。貴様だって修学旅行での戦いで実感しただろう魔法使いの戦いを」

 

「それはそうだけど…でもッ」

 

 エヴァンジェリンに言われて再度言い返そうとしたアスナだが言葉が出ずに何を言っていいのか分からないでいたが、良いんですよアスナさん…とネギが優しくアスナにそう言った。

 

「でもネギ…」

 

「いいんですアスナさん、僕の事をそんなに思ってくれてありがとうございます…僕も最初この別荘の事を知って心の片隅でお兄ちゃんをズルいと思ってしまいました。こんな所で修行していたら僕なんかじゃ勝てないって…でもマスターの言った通りです。勝たなきゃいけない…もう修学旅行のようなみたいなことにならない様に、僕はもっと強くならなければいけないんです」

 

 ネギの決意や熱意にアスナも何も言えなくなった。

 

「それにな神楽坂明日菜、マギだって楽して強くなったわけじゃない。坊やの何十倍も辛い環境で修行した…普通の人間だったら死ぬかもしれない修行をな。マギの修行の辛さと覚悟を知らないで知ったような言い方をするな。今度またふざけた事を抜かすんだったらその口を引き裂くぞ」

 

 エヴァンジェリンの凄味のある口調や目線にアスナやアスナ以外の者達も思わず身震いをしてしまった。

 そんなエヴァンジェリンによせよエヴァとマギがエヴァンジェリンの肩に手を置いた。

 

「俺の事をそんなに言ってくれるのは有りがたいけどな、それじゃあアスナ達が怖がっちまう。アスナも分かってくれたと思うしそれ以上は止めてくれ」

 

「そうか分かった…おい神楽坂明日菜、マギに免じて今日は許してやる。だが今度の時は覚悟しておけ」

 

「わッ分かったわよ…マギさんもごめんなさい。何も知らずに好き勝手言っちゃって…」

 

「いいんだよ。俺は全然気にしていないぜ」

 

 マギが気にしていないという事で、この話は終わりにすることにした。

 

「さて…と今日の修行は此れぐらいにして、そろそろ飯にするか?アスナ達も着た事だしパァッと軽いパーティでもやるか?」

 

 マギのパーティと言う提案にアスナ達は大歓迎。そろそろおなかも空いてきた事だしパーティで盛り上がりたいものである。

 

「フン仕方ないな…今日は此れぐらいにするか。別に歓迎してはいないがとりあえずおもてなしはしておくか…」

 

「つれない事言うなよエヴァ、偶にはゆっくりする事も大事だぜ?」

 

 マギの言った事にまぁそうかと仕方なく頷いた。

 こうしてエヴァンジェリンの別荘では、軽いパーティを始める事にしたのだった。

 

 

 

 一方子犬を拾った夏美と千鶴は寮に戻って子犬を治療しようとしたが…

 

「ちづ姉大変!ちょっと目を話した間に犬が居なくなって、代わりに裸の男の子が!」

 

「…あらまぁ」

 

 子犬ではなく、腕に怪我をした犬上小太郎が寝ていたのだ。

 この小太郎が現れた事によって、ネギやマギに危機が迫っていることにまだ誰も気づいていないのであった…




この章では所々原作ブレイクをしていくつもりです
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