変装をし、超を探す事になったマギ一行。
「……で、なんでお前は超を探すふりしてアトラクションを楽しんでるんだ?」
「あうぅ、ごめんなさぁい」
ネギはマギに呆れられていた。ネギは時間がかなりあるという事で超を探すふりをして、乗り物式のシューティングゲームに乗ったり、恐竜が出るスプラッシュ系のジェットコースターに乗ったり、3Dシアターを見たりと一応科学系のアトラクションで超がいるかもしれないが、遊び過ぎた。
マギに呆れられてショボンとするネギであるが、マギはヤレヤレと呟きながら
「まぁいいか、時間もまだ残ってるし……ネギの遊びたいって気持ちも分からなくはないからな」
ネギに呆れながらもマギも内心楽しかった。日本にくるまで娯楽と言う娯楽をしないで修業の毎日であったから、こう言っためいいっぱい遊ぶと言う事をしなかったのだからかえって新鮮である。
マギに肩車されているプールスも大満足な様子。
「まッ偶にはいいじゃねぇか」
マギの言った事にネギは顔を輝かせる。
「いいんですか?」
「いいんだよ。ネギ位の歳だったら普通は遊んでいるのが普通なんだから……せっかく遊べる時間が出来たんだし、アイツには宝物になるような思い出を残してもらいたいんだよ」
刹那に聞かれて答えたマギはフッと笑いながら「やっぱ俺って甘いか?」
「いえマギ先生はいいお兄さんだと思います」
「そこが大兄貴の良い所だと俺っちは思いますぜ」
刹那とカモは笑いながら首を横に振った。
「さて……と俺らも行きますか。ネギの奴どんどん先に行ってるし、迷子にでもなったらな」
「はいそうですね」
そう言いながらどんどん先に行っているネギを追いかけるのであった。
「うわぁ、自分で飛ぶのとは違った感じだなぁ」
ネギは下を見降ろしながらそう呟く。
ネギが次に乗りたいと言ったのは飛行船である。
飛ぶならいつも杖で飛んでいるじゃないか?とカモはネギに尋ねるが、たまにはゆったりとした感じもいいと答えるネギ。
「まぁたまには魔法の力を使わずに、空を飛ぶって言うのもいいもんだな」
飛行船から見下ろす景色も悪くない。そう思ったマギである。
プールスもマギの肩から降りて、キャッキャと楽しそうに景色を見ている。
「マギお兄ちゃん、あっちの方には何があるんレスか?」
「あっちか?何があるんだろうなぁ?俺と一緒に見に行くか」
マギはプールスを連れて飛行船の奥へと行った。
残ったのはネギと刹那にカモである。
ふと刹那が微笑んだ。
「どうしたんですか刹那さん?」
「そう言えば、ネギ先生と私の2人でいると言うのは珍しいですね」
「あッ……そうですね」
改めて意識すると顔が赤くなるのを感じるネギ。
ネギにはマギ、刹那にはこのかと居て2人きり(カモもいるが)になるのは珍しい。
「でも、こんな風に学園祭を心から楽しむことが出来るようになったのは、ネギ先生達のおかげです」
ありがとうございますとネギに微笑みかける刹那。
刹那はネギの手を取りながら
「私がこのかお嬢様と仲良く出来ているのも、アスナさんと友達になれたのもネギ先生達のおかげです」
「貴方方は私の恩人です。先生に何があっても私は先生をお守りします」
刹那に言われたネギはありがとうございますと言った後に
「でも僕も、もうただ護られるだけじゃないです。もっと強くなって大切な仲間、アスナさんやこのかさん……刹那さんだって僕は絶対護ります」
凛々しい顔で刹那に宣言し、刹那は固まってしまった。
がネギはブルッとしながら
「アハハ、ちょっとおトイレに行きたくなってしまいました。ちょっと行ってきます」
と何ともしまりの悪い感じになってしまった。
刹那はトイレに行くネギを苦笑いで見送った。
ネギが見えなくなると、ふぅと溜息を吐く刹那。
「ネギ先生を見ていると、時々私よりも年上なのか年下なのか分からなくなります」
「まぁそうだなぁ」
ところでとカモは刹那を見ながら
「刹那の嬢ちゃんは、兄貴の事はどう思ってるんだ?仮契約とはいえ兄貴とキスもしたんだし」
「……正直言ってよく分かりません」
カモの問いに分からないと答えた刹那。
ネギに対しては異性として見ているが、異性として好きと言えば好きなのかが分からない。
年相応の無邪気な行動を見て微笑んだりしたり、大人顔負けの凛々しい表情を見て頼もしさを感じたり……
刹那のネギに対しての今の感情は、戦場を共に駆ける戦友。背中を預けたい存在のようなものだろう。
此れが今の刹那の気持ち、今はこれでいいのだろう。
「今の私はネギ先生を護れるという事で満足してるんだと思います」
「そうかい、でも嬢ちゃんが兄貴の事を好きになったら俺っちは、刹那の嬢ちゃんも応援するぜ」
カモの言った事にありがとうございますと笑いながら言った刹那。
「しかし、超さんはどこにいるんでしょうか?」
「そうだなぁ。兄貴たちが入ったアトラクションに、もしかしたらいるかもって思ったんだけどなぁ」
超はどこにいるんだろうと思っていると
「おやこの私をお探しカ?」
刹那が後ろを振り返ると、其処には超がいた。
「超さん!?」
「過去への旅はいかがだったカナ?」
超がにこやかな笑みを浮かべながら、刹那にそう問う。
「まずは体験させるのが一番だと思い、保健室のお茶に眠り薬を仕込ませてもらったヨ。悪かたネせつなサン」
「あの急に来た眠気は薬のせいだったのか……」
ひとつ聞きたいとカモが割って出る。
「タイムマシンなんて代物、いかな天才でも普通の人間じゃ作り出す事はまずもって無理だ。そんなタイムマシンを作った……アンタは何者だ?」
「私の正体が知りたいカ?」
「あぁ知りたいね。アンタが何者なのか、兄貴や大兄貴の敵になるのか味方なのか……このさいハッキリさせてもらおうか」
……フフと超が不敵に笑った。今ここに天才と呼ばれている超の正体が分かるのか。
そう考えながら、刹那は生唾を飲み込んだ。
「ある時はナゾの中国人発明家!クラスの便利屋、恐怖のマッドサイエンティスト!」
「またある時は学園№1の天才少女!」
「そしてまたある時は人気屋台『超包子』オーナー……その正体は」
その正体は……!刹那は拳を握りながら聞いていた。
そして超は言った。自身の正体を、超の正体とは……
「なんと火星から来た火星人ネ!タコチュー!」
「ふざけるな!」
カモはズッコケ、刹那はどこから取り出したのかハリセンを超の頭に叩きつけた。
あれだけ正体をじらしておいて、それかと刹那は言いたくなった。
しかしハリセンでツッコミなんて自分らしくないと恥じた刹那は、落ち着くように息を吐きながら
「まぁ……吸血鬼にロボに幽霊、忍者までいるクラスだ。今さら宇宙人が増えたところで驚かんがな」
ふふそうだナと笑いながら同意する超
「でも、せつなサンも人のコトは言えないと思うがネ」
今の超の言った事、超は刹那が普通の人間ではない事を知っているようだ。この事はあまり知られてはいないはずだ。
刹那は超から距離を取り、カードを構えながら警戒する。
「貴様……目的はなんだ。ネギ先生やマギ先生の信頼を裏切るようならば、私の剣が黙っていないぞ」
「ふふ、そんなカワイイ格好ですごまれてもナー。かわいいヨ」
「うッうるさい!」
超にからかわれて、ペースを乱されている刹那。
「安心するネ。信頼のことは約束できないが、時計はネギ坊主に学祭を楽しんでもらうために渡したヨ」
それにと超は前かがみになりながら
「ネギ坊主とは血のつながった私の大切な人ネ。私がヒドイコトするハズないヨ」
刹那は超の言った事に絶句する。超が堂々とネギと血がつながっていると告白し戸惑いを隠せない。
刹那の信じられないと言う表情に超は笑いながら
「火星人うそはつかないネ。信じるといいヨ」
「貴様、一体」
刹那が戸惑っていると、超はにこやかな顔から真顔となり
「せつなサンやあすなサンにネギ坊主はマギサンと親しいようだガ、単刀直入に言うガ……これ以上マギサンと一緒にいると貴方達は不幸な目にあウ。いっこくも早くマギサンと縁を切った方がいいヨ」
超はマギと縁を切れと言いだした。
「おいおい超さんよ、俺っち達の大切な大兄貴と縁を切れだって?あんまふざけた事を抜かすと、俺っちも黙っちゃいねぇぜ」
「そんな事を私達に言うという事は、それ相応の理由があるんだろうな?」
「これは警告ダ。これ以上マギサンと関わっていると、大切人達を失うコトになるヨ。私もマギサンがこの世界にいるせいで大切な人達を失っタ……クラスメイトの皆にも悲しい思いはしてもらいたくはなイ」
超は冗談を言っている様子ではなかった。
超の言った事に刹那とカモは何も言い返せなかった。
「やっぱりこれはタイムマシンだったんですか!?」
「そうネ。懐中時計型タイムマシン『カシオペア』。使用者とそれに密着した同行者を時間跳躍させる、驚異の超科学アイテムヨ」
超が見つかったという事で、飛行船から出たマギ達。超に色々と使い方を教えてもらっていた。
だがしかし
「いやぁしかし、ちゃんと動いて良かたよ。実際に動かすのはこれが二度目、最初の起動から2年半経ってるからネ」
超もちゃんと動くかどうか心配だったようだ。
というか動くか分からない物をネギに渡したわけだ。
「えっとどういう事ですか?」
「実はこのタイムマシン、駆動エネルギーに使用者の魔力を使てるネ。それで私一人では動かせなかたが、ネギ坊主のおかげで作動実験もできたヨ。いやいや上手く動いて良かた」
「おい超、もし上手く動かなかったらどうなってたんだ?あんまり聞きたくないけど」
マギが最悪動かなかった場合どうなってしまうのか聞いてみると
「それはまぁ……どことも知れぬ異空間にハマり込んで、永久に漂流とか考えられるネ。成功してホントに良かた良かた。もう安心ネ」
「「えええぇぇ……」」
かなり危ない物を渡されたことを知って、怒りを通り越して呆れてしまった兄弟であった。
「でもまぁ、このタイムマシンのおかげで予定通りに事が進めそうだな」
「超さんありがとうございます。こんな凄い物を貸していただいて」
「コレぐらいおやすいごようダ。説明書渡しとくネ。好きなだけ使うといいヨ」
超はネギに説明書を渡した。頭のいいネギだったら直ぐにタイムマシンの使い方を覚えるだろう。
ネギが説明書を読んでいる間に、超がマギに近づいた。
「マギサン、今タイムマシンを手にしているガ、もしマギサンにとって後悔するような事があったら、マギサンは過去に戻ってやり直すカ?」
刹那とカモは超を警戒しながら、マギが何を言うか見る。
「う~んそうだなぁ……俺はやり直さないな」
「ほう、それは何故カ?」
「まぁ正直嫌な事とかはやり直したい……って思う事はあるさ。まぁ今回のすっぽかしは置いとくとして、人間過去に捕らわれちゃいけないと思ってる」
「過去にこだわらずに前に進んでいくのが大切なんだ。前に進んでいくのは確かに辛いこともあるだろうな……でもさ、過去を変えようとするのは今生きている事から逃げてるんじゃねぇかって。下手に過去を変えたら存在が消えちゃうからな」
「だから俺は過去を変える事はしないな」
マギが言った事に成程と頷く超。
「マギサンは強い意志のお持ちのようダ。でも世の中には過去を変えたいと思う人はおおぜいいるヨ」
「あぁそうだな。だから俺は過去を変えようと思う人たちを軽蔑はしない。自分自身の存在を消してしまうかもしれないからな。覚悟だってあるだろうさ」
「ふふふ……そうカ。マギサンと話が出来て良かたヨ」
満足そうにしてそれでハと超はにこやかに笑いながら満足そうに立ち去って行ったのであった。