問題児と時の人が異世界から来るそうですよ?? 作:ガイドライン
「あーもう!一体何処まで行ったんですか!?」
深い森をスピードを落とさずに突き進む黒ウサギ
この黒ウサギはー箱庭の眷属ーと言われているらしく
箱庭でこの下層にいることは珍しい
しかし、こうも勝手に動かれると困る
それも誰に聞いても問題児と答えるだろう十六夜と
誰も気づかずにその場所にたっているだろう時崎が
二人一緒に行動する時点で何かが起きてしまうと
そんなことを考えながら二人を探していると、
遠くの方で爆音とともに水しぶきが上がった。
「確か、あそこには水神の眷属がいたはず・・・
これはまずいのです!!!!!」
水しぶきが起きた場所へたどり着いてみると
そこには十六夜が水辺に向かって立っていた。
「十六夜さん!!」
「…黒ウサギか……
なんで髪がピンク色に変わってるんだよ。」
はぁはぁ、息切れしている黒ウサギと
それを見て十六夜は何かを分かったような表情をする
そして息を整えた黒ウサギは、
いままで不満をぶつけるかのように
「一体どこまで来てるんですか!!?」
「世界の果てまでですよっと。
まぁ、そんなに怒るなよ。
それにしてずいぶん速かったな」
(黒ウサギが…
半刻以上もの時間、追いつけなかった……?)
黒ウサギは箱庭の世界、創始者の眷属である。
そのかける姿は疾風より速く、
その力は生半可な修羅神仏では手を出せない。
その黒ウサギに気づかれることなく姿を消したことも、
追いつけなかったことも、
思い返せば人間とは思えない身体能力だった。
「ま、まあ、それはともかく!
十六夜さんが無事でよかったデス。
………あれ、あの時崎さんはどこに……」
「ここにいますが」
「ひやっあ!!!!」
時崎はどこにいるのかと心配していると
まさか黒ウサギのすぐそばにいた
それも気づかれずに近づいたわけでもなく
ずっとそこにいたようで本当に気づかなかった
あまりにも予想外のことで反射神経で
とっさにその場から離れたのだが
時崎からしたらまるで
近づいてほしくないと言われているようで
化物だと思われているようで
「そんな離れなくても…傷つきます」
「す、すみません!!!
ですけど脅かさなくてもいいのでは」
「僕は普通に話しかけただけですよ」
「普通に…って、そんなこと……」
「それよりウサウサ
水神というものはあの白い蛇のことですか??」
え? と黒ウサギは硬直する。
時崎が指指したのは
川面にうっすらと浮かぶ白くて長きモノだ。
黒ウサギが理解する前にその巨体が鎌首を起こし、
『まだ…まだ試練は終わってないぞ、小僧ォ!!!』
それは身の丈30尺強はある巨躯の大蛇だった。
それが何者か問う必要はいだろ
間違いなくこの一帯を仕切る水神の眷属だ。
「蛇龍…!
って、どうやったら
こんなに怒らせられるんですか十六夜さん!?」
ケラケラ笑う十六夜は事の顛末を話す。
「なんか偉そうに『試練を選べ』とかなんとか、
上から目線で素敵なことをいってくれたからよ。
俺を試せるのかどうか試させてもらったのさ。
結果はまあ、残念な奴だったが」
それを聞いていた蛇龍は、
『貴様…付け上がるな人間!
我がこの程度の事で倒れるか!!』
蛇龍の甲高い方向が響き、牙と瞳を光らせる。
巻き上がる風が水中を上げて立ち昇る。
黒ウサギが周りを見れば、戦いの傷跡と見て取れる
捻じ切れた木々が散乱してい。
あの水流に巻き込まれたが最後、人間の胴体など
容赦なく千切れ飛ぶのは間違いない。
「十六夜さん、下がって!」
「なにいってやがる黒ウサギ
これは…っておい……」
会って始めて見る十六夜の満面な笑顔だったのだが
言葉を続けようとしたときその目に
十六夜の言葉を止めることが起きていた
「初めまして時崎 一です
友達になってください」
「「はっ!?、はあぁ!!!??」」
「あっ、やっぱり友達になるもの
ギフトゲームというのを
やらないといかないんでしょうか??
それでしたらお願いしたいのですが」
黒ウサギと十六夜が驚いている中で
時崎はマイペースで蛇神に話しかけている
さすがの蛇神も呆然としていたが
『いいだろう、心意気は買ってやる。
それに免じ、この一撃をしのげば
貴様に勝利を認めてやる』
「いえ、友達になってほしいだけです」
『まだそんなことをいうか…
その戯言が貴様の最後だ!』
蛇神の雄叫びに応えて嵐のように川の水が巻き上がる。
竜巻のように渦を巻いた水柱は
蛇神の丈よりも遥かに高く舞い上がり、
何百トンもの水を吸い上げる。
竜巻く水柱は計三本。
それぞれが生き物のように唸り、
蛇のように襲いかかる。
「時崎さん!!そこから離れてください!!!」
「黙ってろ黒ウサギ。
もしかしたらいまから面白いものが見れるぞ。」
黒ウサギが時崎をその場から離れさせようとしたが
なにを考えているのか十六夜はそれを止めた
時崎はふぅーと息を吐いたあと
川へ足を進めていき、そして水面にその足を「置いた」
そう、水面に足が付いた、水の上に立っていた
一歩一歩と水の上を歩きながら蛇神に近づく
「人の話を聞いてほしいですね」
僕は友達が欲しいだけ
だから僕は一歩一歩と前に向かって進む
向かってくる水柱の方へと
「真正面から受けるなんて無理です!!!」
水柱とはもうわずか
触れれば簡単に人を傷つけ、
その肉体を引き剥がすだろう
だけどそれを分かっていないのか、
いや、分かっているからこそか、
時崎はその水柱に対して
そっと壊れないような手つきで、
その水柱に触れてみせたのだ。
するとどうだろうか、
水柱は時崎の手を傷つけなかった
それよりも水柱が時崎を
傷つけないように「止まった」
「なっ!!!?」
「……ほう…」
『なんだと!!!!!!』
全員が驚いている、いま起きている現象に。
時崎が触れた水柱はそこで止まった
止まったといっても水柱が
無くなったりしたわけではなく
言葉通り水柱が「止まっている」
「停止」しているのだ
それはまるで造形のように水面に立っている
ビデオを途中で一時停止しているように立っている
いまそこには普通では見ることのできないもの
それはもはや人智を遥かに超越した力である。
「ただ友達になってほしいだけですよ」
こんなすごいことをやりとげたのに
いまだに時崎は友達になってほしいという
一体、なにを考えているのだろうか…
本当に友達が欲しいからあんなことを……
「いいもの見せてもらったぜ時崎」
背後から聞こえる声の主、十六夜は
時崎が止めた水柱を踏み台にして高く飛び上がり
放心している蛇神に向かい
「あとは俺にやらせろおぉ!!!!」
大地を踏み砕くような爆音。
胸元に飛び込んだ十六夜の蹴りは蛇神の胴体を打ち
蛇神の巨躯は空中高く打ち上がり川に落下した。
その衝撃で川が氾濫し、水で森が浸水する。
「人の友達を倒さないでください」
「はっ、ギフトゲームをしたわけじゃねんだ
この蛇神と友達にはなれねえな」
「そうですか…それは残念です」
「全然残念そうじゃねえな
くそ、今日はよく濡れる日だ。
クリーニング代ぐらいは出るんだよな黒ウサギ」
十六夜は全身がびしょびしょに濡れているが
時崎は飛んできた水しぶきを
その体に触れた瞬間に止めた
いや止めたというより弾かれたように
重力に負けて水しぶきは足元へ流れて川へと帰った
だが、そんな時崎や十六夜の冗談めかした声は
いまの黒ウサギには届かない
(人間が…神格を倒した!?
それも只の腕力で!?
いやそれよりも水柱をいとも簡単に止めたなんて…
そんなデタラメが―――!)
だが現実、いま目の前では横たわっている蛇神と
その蛇神に勝利した人間が二人
(信じられない……
だけど、本当に最高クラスの
ギフトを所持しているのなら……!
私達のコミュニティ再建も、
本当に夢じゃないかもしれない!)
「おい、どうした?
ボーっとしてると胸とか脚とか揉むぞ?」
「え、きゃあ!」
背後に移動した十六夜は
黒ウサギの脇下から豊満な胸に、
ミニスカートとガーターの間から
脚の内股に絡むように手を伸ばしていた。
押しのけて飛び退き時崎の後ろに隠れ
黒ウサギは感動を忘れて叫ぶ。
「な、ば、おば、貴方はお馬鹿です!?
二百年守ってきた黒ウサギの貞操に
傷をつけるつもりですか!?」
「二百年守った貞操?
うわ、超傷つけたい」
「二百年も生きてるんですか
……長生きですね…」
「お馬鹿!? いいえ、お馬鹿!!!!
それに時崎さん、いま失礼なこと考えましたよね!!!!?」