「今日の面接、受かるといいんだけどあんまり自信が無いなぁ、僕にも出来そうなアルバイトがやっと見つかったのに……」
「あんまり手応え感じられなかったのは辛いかも、これを外したら次は簡単に見つからないんじゃ……」
一人の少年が本日に赴いたアルバイト採用面接の出来栄えを、帰路に着きながら振り返っている。
彼の顔色を伺うも結果は芳しくは無い様子、どうやら自分の能力に対してあまり自信を持てない性格の様だ。
かの少年は姓は
頭頂部には犬耳が、臀部には犬の尻尾が生えているのだが、これは彼だけの特異体質という訳ではない。
彼のように重桜で生まれ育った人間はミズホの神秘と呼ばれる不思議な力の影響を受けており、重桜国民の多数は動物の要素が身体から現われている。
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「あら、あの男の子は……」
「また何か面倒事ですか、姉様」
「まあ、そんなところかしらね、気になった子がいたの、ほら…… あそこにいる犬耳の男の子」
「ふむ、遠くからだと特に珍しくはない男子に見えるが…… あれですか?」
「そう、あの子の事を調べ上げて頂戴、ただの杞憂だとしても構わないわ」
「わかりました、そうなったとしても文句は言わないでもらいたいですな」
「あら、つれないわね、でも私の勘が、KAN-SENとしての何かが、あの男の子を逃すなと私を後押ししてるの、おわかり?」
「はぁ…… 承知しました」
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そして数日後の夕方、彼は通学路を遡りながら自宅に帰る途中、先日に面接を受けたバイト先の人事担当から
碧が所持しているスマホ宛に電話がかかってきたのだが、予想していた通りの不採用連絡であった。
やはり自分のような如何にも虚弱な子供が採用されるのは難しいのだなと思いながら、諦めて帰路に着くのだった。
自宅の玄関前に着いた碧はいつもの様に郵便受けの中身を漁る、入っていたのは一枚の封筒だけだった。
普段ならチラシ等の紙類が大半を占めるのだが、今日はどうやら意図しない珍客が紛れ込んでいた。
封筒の宛名を確認すると我が家の住所と『舵取碧様』と書かれている事から恐らく自分宛てである事は間違いないだろう。
差出人の名前も確認しようと表面を向けると、そこには『重桜帝国海軍』と書かれていた。
今時、珍しい毛筆と墨で書かれている上に、やたら達筆だが読みやすいしっかりとした字で書かれている。
これだけ手の込んだ封筒を使うと言う事は、かなり重要な内容が書かれているに違いないだろうと判断した碧だが
玄関前の郵便受けで立ち読みとか流石落ち着かないので、一先ずは自室へ帰る事にした。
家に入り「ただいま」と声をかけると、リビングの方から母親の「おかえり」という声が帰ってくる。
この時間帯の母は家事と料理に追われて忙しいのである、そっとしておくに限ると碧は判断した。
碧は両親の他に双子である弟と妹が居る、二人とも友人と遊んでいる時間帯なのだろう、家の中には見当たらない。
父は言わずもがな、職場で勤務中に違いない、帰ってくるには早すぎる時間である。
階段を上り自室に入ると制服を脱ぎ捨てカバンを定位置へと置き、ラフな格好に着替える。
ベッドの上に胡座をかき一息入れた後、手に持った封筒を眺め、意を決して封を切った。
薄い封筒の中にはたった便箋と用紙が1枚ずつ封入されており、便箋には『航空母艦・赤城』の署名に加え彼女がしたためたと思しき文章。
そして用紙には地図と目的地への行き方、面接日時と必要な持ち物が書かれていた。
先ずは便箋を読み上げ内容の確認を取る事にした、便箋も赤城の直筆で封筒と同じく毛筆と墨で書かれており彼女の才の片鱗を感じさせる一枚である。
便箋の文章をスマホのメモへと箇条書きすると、この様な内容となっていた。
・貴方を重桜海軍施設の用務員としてスカウトしたい
・職務内容は赤城の身の回りの世話とKAN-SENに関わる職務が主である。
・住み込み前提の職務の為に学業は諦めてもらう事になるが、卒業認定資格やその他資格へのサポート有り。
・各種保険と福利厚生、個室寮を完備。
・給与は高卒初任給程度だが、状況に応じて昇給と手当有り。
この様に書かれているが最後の給料の部分は、碧にとっては非常にありがたい条件であった。
そもそも彼がアルバイトとはいえ労働に勤しむ決意をした切欠が両親の負担を減らす為であった。
下の子が双子として産まれてきてしまった為、養育費と子育ての労力が単純に2倍以上になってしまい、大変なのである。
父の稼ぎが極端に悪いというわけではないが、時勢を考えるとやはり貯蓄のペースが思った以上に伸びていない。
そんな状況でありながらアルバイトが出来るようになった年齢で、親に小遣いや自分が欲している物を強請る訳にはいかないのだ。
父の収入は歳の離れた幼い弟と妹の養育費に充てるべきだと碧は考えている。
そんな時に降って湧いたように提示された好条件な仕事の話に飛びつかないわけがない。
碧は早る気持ちを抑えながら、地図が書かれた用紙を確認する。
こちらは面接場所の住所に面接会場の付近の地図、そして連絡先の電話番号と持参する荷物が書かれている。
必要な物は筆記用具と履歴書に学生証、服装は学生服を着用して来るようにと書いてある。
日時は来週の日曜日の昼過ぎ、面接が終わるまではこの書類は大切に保管しておかねばと思い鞄の中にしまう。
封筒の中身を読み終えた後は、家族全員が揃った夕食時に面接へ行く事を伝えた以外には、特に何事もなくいつも通りの生活をして眠りについた。
そして数日が過ぎ、今日は自分の人生を大きく変えるかもしれない大事な日。
朝早く起き天気予報を確認するも本日は快晴で出かけるにはとても良い日だ。
身支度を整え朝食を食べ終えた後に出発、地図に書かれた目的地まで電車を使って移動するのだが、未知の土地なので少々緊張している。
事前に調べた情報によると最寄り駅から外に出た時に連絡先に電話を送迎の自動車を寄越すとの事だ。
碧は緊張も程々に予め登録しておいた電話番号に電話をかけた。
「こちらは重桜海軍学園母港、要件を申されよ」
低めの凛々しい女性の声だがやや堅苦しい、今時珍しい喋り方をする人だと思いながらも碧は応答する。
「はじめまして、本日にそちらで面接をさせていただく予定の舵取碧と言います」
「ふむ、そなたが…… 赤城殿から話は聞いている、今は最寄りの駅に居られるのか?」
「はい、赤城さんから送られてきた手紙の指示の通り、最寄り駅到着後に連絡しています」
「わかった、今から送迎車を寄越す故、最寄り駅の入口付近にて待たれよ、赤い自動車が送迎車、拙者はそれに乗ってそなたのもとへ向かう」
「拙者の名前は高雄と申す、白い軍服に長い黒髪の女が拙者だ、今から出立するが30分ほど待たせることになる、よろしいか?」
「わかりました、駅前で待っています」
「了解した、暫し待たれよ」
碧がそう言うと通話は切れた、迎えが来るまでの間はどうしたものかと辺りを見渡すと、丁度近くにベンチがあったのでそこに腰掛けて待つ事にした。
それから20分程だろうか、自販機で飲料を買って飲んだり、スマホで時間を潰しをしていると一台の赤い乗用車が近づいてくるのが見える。
赤い乗用車は碧から多少離れたところで停車し多少の間をおいた後、運転座席と助手席の扉が開き、車内から二人の女性が現れる。
二人揃って同じ程の背丈で、一人は白い大きなリボン、もう一人は重桜の伝統的な装飾品を使って後頭部に長い髪を纏め上げている。
高雄も瑞鶴も白い制服に茶色の革靴という格好であり、いかにも重桜軍人という出で立ちである、彼女達が迎えの者だと碧もそれとなく察したようだ。
彼女達は軽く辺りを見回した後に人気のない場所ということもあり、難なく碧を発見し彼のもとへゆっくりと近づき話しかける。
「……失礼、舵取碧殿で間違いないだろうか?」
「はい、僕が舵取碧で間違いないです」
「そうか、本日は面接地の学園母港まで案内を担当する高雄という者だ、よろしく頼む」
「そしてこっちはそなたが見たくて野次馬しに来た瑞鶴という拙者の友人だ…… 全く、これは公務だというのに」
高雄は少し呆れた様子で瑞鶴の方を見て溜め息をつく。
一方、瑞鶴は悪びれる様子を見せず朗らかに笑みを浮かべて碧を見ている。
「今日の私は休暇だから問題ないし!! それに、あの赤城先輩が率先して会おうとしている少年って気になっちゃってね」
「会ってみて良かったわ!! 少年とは聞いていたけどこんなにかわいいだなんて!! あ、でも男の子にかわいいは失礼かな?」
興奮気味に矢継ぎ早に喋る瑞鶴と隣で呆れている高雄を見て、碧はふと思った。
『この人達、めちゃくちゃ大きい』と…… スケールが狂ってるのではないかと錯覚するくらい身長・乳房・下半身が大きい。
身長は碧自身が非常に小柄というのを考慮しても大きい、碧の頭頂部が彼女たちの肩の高さ程になってしまうのだ。
制服もサイズに余裕を持って作られてはいるのだろう、しかし彼女達の制服は肉の暴力に生地が張り詰めながら耐えている。
KAN-SENというのは皆してこんな体型なのだろうか? 碧の疑問は尤もなのだが、彼はまだ目の前の二人が初めて遭遇したKAN-SENなので今はそれを知る由もない。
「さて、ではそろそろ行くとしようか」
「えぇ~、もう少しお話したいよぉ」
「瑞鶴殿、あまり時間をかけると遅刻してしまう、それに車内でも会話は出来るであろう」
「ん~…… 仕方ないなぁ」
渋る態度をわざと見せる瑞鶴を高雄は適当に嗜めて、碧を後部座席へと案内する。
碧は後部座席へそそくさと乗り込むが、それを見た瑞鶴は便乗する様に碧の隣の席へと乗り込む。
そんな瑞鶴の行動には既に慣れているのか、ため息を一つ吐いて運転席へと高雄は乗り込んだ。
エンジンキーを鍵穴に挿入すると内装の電飾や装置に電力が通い、操縦席に隣接している小型のディスプレイに光が灯る。
高雄は手袋を外しディスプレイに指を押し付ける、認証のサインが表示されエンジンキーを回すと同時にエンジンが低い唸り声をあげる。
そして操縦席横のレバーを操作してギアを入れると車体はゆっくりと前進を始めた。
「乗ってみて思ったんですけどとても大きな車ですね…… 僕だと足元がスカスカです」
「まぁ確かに大きい車ではあるな、この車はある意味KAN-SEN用に作られているからな」
「私達みたいな大型艦船はみんな長身だからね、私達はむしろ控えめなんだ、一部の戦艦KAN-SENとかとても大きいんだよ」
「駆逐艦や一部の巡洋艦の娘達は小柄で、碧殿の様に脚を投げだしているKAN-SENもいる、そう気にするものでは無いぞ」
碧の質問に高雄と瑞鶴がそれぞれ答える、その言葉を聞いて碧は納得したような表情を浮かべた。
どうも自分の体が小さいというコンプレックスが未だに拭えない。
そんな碧を見て瑞鶴は悪戯っぽい笑みを浮かべて碧の頭を撫で始める。
突然の事に碧はビクッと体を震わせてしまうが嫌な気分では無かった。
瑞鶴の手付きはとても優しく、慈しみに溢れていたからだ。
そして碧の顔が赤くなっている事に気付いた高雄は瑞鶴に注意をする。
「あまり碧殿を誑かすな、赤城殿に何を言われるかわからぬぞ、拙者達の役目は送迎と護衛だ、安易な接触は良からぬ誤解を生む」
「はいはい、わかりました、高雄ってばお堅い」
注意を受けた瑞鶴は少しつまらなさそうな顔をして碧の頭に乗せていた手を離す。
碧はその行動にほっとした様子を見せるが、高雄は呆れた様子で溜め息をつく。
「全く、そなたが碧殿に興味を持つのは解るが、今は公務中なのだぞ」
「わかってるよ、でもちょっとくらい、ね?」
「よくない、拙者達がこうして護衛についている意味を考えろ」
高雄の正論を受けて瑞鶴は不満げに頬を膨らませる、そんなやり取りを見ながら車窓の外にふと目を向ける。
そこには広大な海が広がり、車道はいつの間にか広く大きく、海岸に沿って遠くへ伸びていく。
空には海を縄張りとする海鳥が飛び交い、時折鳴き声をあげながら旋回する姿が見える。
天から灌ぐ太陽の光を海が受け止め、海面を白い光が煌々と照らす。
今から向かう先はどんな場所なんだろうと、期待と不安を胸に抱きながら碧は窓から見える景色を眺め続ける。
そんな碧の様子を見て二人は微笑ましく思うと同時に、赤城の考えがイマイチ読めずに居る。
高雄は碧と初めて目を合わせた瞬間、抗う余裕も無く意識が惹き込まれそうになった。
国家間の合同演習に於いて数多のKAN-SENと交戦し、敵から目を逸らさず戦場を自らの力で乗り越えて来た彼女にとってそれは初めての経験だった。
高雄は瞬時に気を強く持ち、意識して強引に少しだけ下に視線を逸らした、強者でもない小動物の様な可愛らしい少年に畏怖に近い感情を覚えたのだ。
言い方が悪いがこのような得体の知れない少年を護衛を寄越してまで学園母港に招待する、そんな赤城の考えが高雄には理解し難かった。
一方、瑞鶴は格上の先輩である赤城が労力と時間を割いてまで手元に手繰り寄せ、あわよくば確保を企んでいる相手がどんな人物なのか興味があった。
そして実際に会ってみて、休暇を潰してまで会いに行って正解だと考えていた。
瑞鶴は高雄ほど深刻には考えておらず『こんな可愛らしい少年が母港に来てくれるのかぁ』程度にしか考えて居なかった。
あと『赤城先輩は結構面食いだな……』とそこそこ無礼な事も思っていた。
瑞鶴の思考回路は割と適当で雑な部分が多いのであった。
「母港が見えてきたな、そろそろ到着するぞ」
瑞鶴との雑談に興じていた碧であったが、高雄の言葉で車窓の外を見ると無骨で巨大な港が視界に入る。
埠頭とドックには大小様々な艦船が停泊しており、少数の女性と多数の『ひよこ』の様な生き物が艦体の上や作業場で何やら作業をしているのが見える。
上空にはレシプロ戦闘機が巡回しており、周囲の警戒に当たっているようだ。
学園母港を眺めていると不意に車の速度が次第に緩やかになり、やがて停車する。
先程の港湾部とは違って、重桜の伝統的な作りの大きな門が堂々と鎮座しており、港湾部で先程見かけた『ひよこ』の様な生物が周辺を警邏していた。
車輌を門に近づけ停車し、高雄が運転席の窓を開けると警邏をしていた彼ら(?)が車輌を包囲する。
高雄は懐から身分証と思しき物を取り出して提示すると、彼らは複数でそれを凝視した後に敬礼した。
隊長らしき『ひよこ』が合図を出すと、別の『ひよこ』達が急いで門の扉を開放する。
門が開ききったのを確認した後、高雄は彼ら(?)に労いの言葉をかけて自動車を門の内側へと徐行し、すぐ近くの車庫へと車輌を入庫させた。
高雄が自動車のエンジンを切り、後部座席の碧と瑞鶴に降車するよう促す。
二人はそれに従い、先に瑞鶴が、次に碧が車輌から降りる。
最後に高雄が降りて車輌にロックをかけた後に、敷地内の案内を高雄が始める。
「これから赤城殿が居る執務室へと向かおう、面接は其処で赤城殿が直々に行うと聞いている、拙者について参れ」
「高雄について行こっか、碧くん」
「あっ、はい、よろしくお願いします」
ごく自然に碧と手を繋ぐ瑞鶴を見て、高雄は彼女の社交性を少しは見習わなくてはと思いつつ、舗装された小径を歩いていく。
敷地内は重桜式の庭園となっており、色とりどりの花が咲き乱れる花壇が並び、時折吹く風が花の香りを運んでくる。
庭園の中にも大小様々なサイズの『ひよこ』の様な生物がそこかしこに居り、碧はどうしても気になったので高雄に問いかける。
「高雄さん、さっきから気になっていたんですけど、あの子達は一体……」
「ああ、彼等は『饅頭』と呼ばれている者達で、我らKAN-SENと共存している不思議な生物だ」
高雄の説明を聞いてもいまいち理解できないのか首を傾げる碧、そんな彼の様子に高雄は苦笑しつつ補足する。
「まあ、見ての通り可愛らしい生き物であろう? 敵意は無いので安心してほしい」
「見た目に依らず結構優秀というか多芸なんだよね、言葉は話せないけどこっちの考えは理解してくれるし」
「そうだな、饅頭達のおかげで成り立っている業務もある、決して無碍にはできない我々の仲間だ」
饅頭の説明を聞きながら小径を歩くこと数分、前方に重桜様式の立派な邸宅が姿を現した。
碧が住んでいる地域は現代的な建物が立ち並ぶ場所なのだが、この基地は港以外は古風な作りの建物が多い様だ。
勝手知ったる我が家の如く、靴を脱ぎ邸宅の中に入っていく高雄と瑞鶴に、碧は恐る恐るついていくしかなかった。
高雄は玄関から真っ直ぐ伸びる廊下を歩き、とある部屋の前まで行くと立ち止まり襖の前で中にいるであろう人物に話しかける。
「赤城殿、客人をお連れした」
「お務めご苦労、入りなさい」
赤城の落ち着いた口調の返事を聞いた高雄は襖を開けて二人を招き入れる。
室内には畳が敷かれ、広々とした部屋の隅の一画は小規模な書斎と化しており、赤城は文机の前に置かれた座椅子に座っている。
文机の上には資料、そして事務作業用のノートパソコンが置かれており、重桜様式の室内と些かミスマッチな組み合わせにも見える。
「高雄、このお方を無事に此方まで送り届けた事、ご苦労でした、そして…… 瑞鶴、貴女は休暇の筈、でしょう?」
赤城は普段通りの穏やかな表情を浮かべつつもその声音は何処となく冷たい、瑞鶴は冷や汗を流しつつ答えた。
「乗用車に乗って出発する寸前で瑞鶴殿に見つかってしまったのだ、普段は気にも止めない癖に今日はやけに拙者に問い詰めて来てな……」
「赤城先輩が高雄を寄越してまで会いたいってどんな人かな?と思いまして、高雄について行っちゃいました、あはは……」
「そんな大雑把な好奇心で休暇を潰してまでついていくなんて、全く貴女と来たら……」
呆れながら溜息を吐く高雄と、冷ややかな視線を向ける赤城に瑞鶴は縮こまりながら弁明する。
「いやそのぉ~、ちょっとした出来心と言いますか、別に悪気が有った訳じゃなくてですね、はい……」
「任務中の高雄に迷惑を掛けた事ですし、後日に始末書を提出しなさい」
「えぇっ!?」
「あら、加賀に扱かれる方が好みかしら?」
「始末書でお願いします……」
瑞鶴が高雄に助けを求めるような目線を送るが高雄は「自業自得」と目で返すだけだった。
赤城は二人の様子を眺め苦笑しつつ、高雄と瑞鶴に部屋から退出する様に促した。
二人は赤城に一礼するとそのまま執務室を後にするのだった。